(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画素回路は、一端が前記電気光学素子の他端と接続され、他端が共通信号供給線に接続されている第2容量素子をさらに含み、前記対向電極に供給される信号と前記共通信号供給線に供給される信号が同一であることを特徴とする請求項1に記載の画素回路。
前記画素回路内に保持された画像データをリフレッシュするステップは、画像データ取り込み制御信号により制御される第3スイッチ素子を介して前記画素回路へ画像データを供給するステップをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の画素回路の駆動方法。
前記第1、第2のリフレッシュ動作の各々が、負極性から正極性への極性反転を行うリフレッシュ動作と、正極性から負極性への極性反転を行うリフレッシュ動作であることを特徴とする請求項6に記載の画素回路の駆動方法。
前記サンプリング制御信号と、前記画像データリフレッシュ制御信号と、前記画像データ取り込み制御信号のインアクティブ電圧が同レベルであることを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の画素回路の駆動方法。
前記サンプリング制御信号と前記画像データ取り込み制御信号のアクティブ電圧が同レベルであることを特徴とする請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の画素回路の駆動方法。
前記サンプリング制御信号により前記第1スイッチ素子をアクティブにする時間と前記画像データ取り込み制御信号により前記第3スイッチ素子をアクティブにする時間幅が等しいことを特徴とする請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の画素回路の駆動方法。
前記画素回路内に保持された画像データのリフレッシュ後に前記画素回路の周辺回路の動作を停止させる手段をさらに具備することを特徴とする請求項12に記載の画素回路の駆動回路。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(1)第1実施形態
図1は、本願発明の第1実施形態による画素回路を用いたアクティブマトリクス型電気光学装置のブロック図を示している。
【0019】
前記アクティブマトリクス型電気光学装置は、画素回路がアレイ状に配置されているアクティブマトリクスアレイ回路100と、走査線駆動回路101と、データ線駆動回路102と、駆動電圧生成回路103と、画像処理回路104と、制御回路105と、を具備する。
【0020】
前記制御回路105は、前記走査線駆動回路101と、前記データ線駆動回路102と、前記駆動電圧生成回路103と、前記画像処理回路104と、を制御することで、前記アクティブマトリクスアレイ回路100を駆動する。
【0021】
前記駆動電圧生成回路103は、前記画素回路を制御する制御信号の電圧レベルV
1,V
3,V
4,V
5を生成し、前記走査線駆動回路101に供給する。また、データ信号の高電圧レベルV
DHおよび低電圧レベルV
DLを生成し、前記データ線駆動回路102に供給する。さらに対向電極電圧信号V
COMを生成し、図示しない対向電極および前記アクティブマトリクスアレイ回路100に供給するとともにその電圧レベルを制御する。
【0022】
前記画像処理回路104は、前記電気光学装置の外部から入力される画像データD
INを処理し、前記電気光学装置に適した画像データD
OUTを生成するとともに前記データ線駆動回路102に供給する。
【0023】
前記走査線駆動回路101は、前記駆動電圧生成回路103において生成された複数の電圧レベルを有する電圧が入力されるとともに前記制御回路105により制御され前記アクティブマトリクスアレイ回路100を駆動する制御信号を生成する。
【0024】
前記データ線駆動回路102は、前記画像処理回路104により処理された画像データが入力されるとともに前記制御回路105により制御される。
【0025】
ここで、前記アクティブマトリクス型電気光学装置における1画素は、RGBのサブ画素からなり、それぞれのサブ画素は同一の前記画素回路を備えている。
【0026】
図2は、本発明の第1実施形態による前記アクティブマトリクスアレイ回路100の1サブ画素である画素回路の構成図を示している。
【0027】
図2において、回路201は前記アクティブマトリクスアレイ回路100の奇数行における画素回路の1つであり、回路202は偶数行における画素回路の1つである。本実施形態においてそれぞれの画素回路は同一であってよい。
【0028】
前記画素回路201,202は、スイッチ素子SW
1,SW
2,SW
3と、静電容量がC
SMPであるサンプリングキャパシタC
2と、静電容量がC
STである保持キャパシタC
1と、静電容量C
LCを備えた電気光学素子LCと、を具備する。前記電気光学素子LCと保持キャパシタC
1とは、並列に接続されており、一端には、前記スイッチ素子SW
3、SW
2を介してデータ信号DATAが供給され、前記保持キャパシタC
1の他端には、共通信号供給線から対向電極電圧信号V
COMが供給され、前記電気光学素子LCの他端には、対向電極から対向電極電圧信号V
COMが供給される。
図2における実施形態では、前記スイッチ素子SW
1,SW
2,SW
3は、n型チャネルトランジスタで構成されているが、これに限定されるものではなく他のスイッチ素子で構成してもよい。例えば、p型チャネルトランジスタで構成する場合には、入力信号の極性等を見直すことにより適用可能である。また、前記電気光学素子LCは液晶として構成されているが、これに限定されるものではなく有機ELなどであってもよい。
【0029】
なお、特許文献1(特表2006−523323号公報)に記載の先行技術においては、電気光学素子と保持キャパシタである第1容量性サブ素子とは、一端は本発明と同様に共通に接続され、該一端にデータ信号が供給され、電気光学素子の他端は、対向電極(コモン電極)に接続されている。しかし、第1容量性サブ素子の他端は、本発明とは異なり、例えば次列のアドレス指定導体に接続されることが述べられている。
【0030】
前記画素回路201,202には、データ信号DATAと、電気光学素子LCの対向電極電圧信号V
COMと、データ信号DATAの前記画素回路内への供給を制御する画像データ取り込み制御信号G
1、G
2と、ノードN
1の電圧レベルに対応する電圧レベルをサンプリングキャパシタC
2にサンプリングするタイミングを制御するサンプリング制御信号ENA
1、ENA
2と、前記画素回路201,202内の電気光学素子LCおよび保持キャパシタC
1をリフレッシュするタイミングを制御する画像データリフレッシュ制御信号SET
1、SET
2と、が入力され、前記画素回路201,202を制御する。ここで、各制御信号の符号最後の1,2は奇数行に対する制御信号(1)か、偶数行に対する制御信号(2)か、を示している。
【0031】
詳細な制御、動作は、後述するが、前記スイッチ素子SW
1は、サンプリング制御信号ENAにより制御され、ノードN
1の電圧レベルに対応する電圧レベルをサンプリングキャパシタC
2にサンプリングする。前記スイッチ素子SW
2は、前記画像データリフレッシュ制御信号SETと前記サンプリングキャパシタC
2の電圧レベルにより制御される。前記スイッチ素子SW
3は、画像データ取り込み制御信号Gにより制御され、データ信号DATAを前記画素回路201,202内に供給する。
【0032】
なお、サンプリングキャパシタC
2の静電容量C
SMPは、保持キャパシタC
1の静電容量C
STと電気光学素子LCの静電容量C
LCの合計の容量に対して、1/10以下にすることが望ましい。これは、サンプリング時に保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCとに保持された電荷の変動が表示に影響を与えないようにするためには、可能な限り小さい容量であることが望ましいが、一方でスイッチ素子を駆動するための十分な電圧レベルを確保するためには一定以上の容量が必要となるからである。
【0033】
次に、本発明の第1実施形態による前記画素回路の制御動作原理を、
図2、
図3を参照しながら説明する。前記画素回路201,202は同一回路であるので、ここでは、奇数行における1サブ画素の画素回路201における動作を基に説明する。
【0034】
図3の(a)から(c)は、前記画素回路の制御動作原理を示すものである。ただし、
図3はあくまでも原理的なものであり、実際の制御については
図5以降のACタイミングにおいてさらに詳しく説明する。
【0035】
図3の(a)に示されている通常表示においては、画像データ取り込み制御信号であるG
1信号および画像データ書き換え制御信号(リフレッシュ動作中は画像データリフレッシュ制御信号)であるSET
1信号をアクティブにすることにより、スイッチ素子SW
3、SW
2をオンにする。したがって、スイッチ素子SW
3,SW
2を介して、データ信号DATAの電圧レベルを保持キャパシタC
1と電気光学素子LCへ印加することが可能となる。前記保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCが前記データ信号レベルに対応する電圧レベルまでチャージされた後、画像データ取り込み制御信号G
1および画像データ書き換え制御信号SET
1をインアクティブにして、スイッチ素子SW
3、SW
2をオフにする。なお、スイッチ素子SW
2を確実に制御するために、画像データ取り込み制御信号G
1および画像データ書き換え制御信号SET
1をアクティブにする前に、予めサンプリング制御信号ENA
1をアクティブにしておくことが望ましい。
【0036】
通常表示が終了後、
図3の(b)に示されているサンプリング動作を行なう。前記サンプリング動作では、サンプリング制御信号ENA
1をアクティブにすることによりスイッチ素子SW
1をオンにする。これにより、保持キャパシタC
1および電気光学素子LCの静電容量C
LCに保持しているデータに対応する電圧レベルが、サンプリングキャパシタC
2にサンプリングされる。サンプリング後、サンプリング制御信号ENA
1をインアクティブにすることで、スイッチ素子SW
1をオフにする。
【0037】
前記サンプリング動作の後、
図3の(c)に示されているリフレッシュ動作を行なう。リフレッシュ動作では、画像データリフレッシュ制御信号SET
1を所定のアクティブレベルにし、その電圧レベルとサンプリングキャパシタC
2に保持された電圧レベルとに基づき、スイッチ素子SW
2のオン/オフ制御を行なう。スイッチ素子SW
2のオン/オフ状態に応じて、データ信号DATAの電圧レベルを保持キャパシタC
1と電気光学素子LCへ印加する。
【0038】
そして、前記サンプリング動作とリフレッシュ動作を定期的に適宜繰り返す期間(以下、低消費電力期間と称する)においては、各画素の自己保存データに基づいた画像データのリフレッシュが行われるため、全画素同時のリフレッシュが可能である。このため、サンプリング動作とリフレッシュ動作以外の前記低消費電力期間においては、周辺回路動作を停止することができ、かつデータ書き換えに伴うDATA線の充放電電流も生じないため、消費電力が削減可能となる。
【0039】
以上の動作原理に基づき、特許文献1(特表2006−523323号公報)の先行技術における回路および各種制御信号による制御を検討すると、後述する(5)、(6)式を満たさないため、オフ画素のリフレッシュ動作中に、本来オフとならなければならないスイッチ素子SW
2がオフとならない場合が生じ、その結果、オフ画素がリフレッシュ動作後にオン画素となってしまう誤動作が生じる可能性があることが判明した(
図4)。
【0040】
また、前記特許文献1においては、保持キャパシタである第1容量性サブ素子の一端が各走査線上で共通化または隣接する走査線に接続されている。しかし、そのような構成では、電気光学素子のコモン電極に供給されるV
COM電圧と前記第1容量性サブ素子の前記一端から供給される信号電圧との差分電圧と、前記第1容量性サブ素子の静電容量と電気光学素子である第2容量性サブ素子の静電容量との容量比に応じて生じる電圧とが、電気光学素子の両端電圧に直流電圧として重畳されてしまい、電気光学素子の表示に不具合を生じることになる。さらに、特に電気光学素子が液晶である場合には、直流電圧の重畳が、液晶寿命に悪影響を及ぼすことは言うまでもない。
【0041】
そこで本発明の実施形態においては、前記画素回路201の制御信号の1つである画像データリフレッシュ制御信号SET
1に、該制御信号のアクティブ前に所定の電圧をプリセットすることで、オフ画素における誤動作を回避するとともに制御に必要な電圧レベル数を削減する。
【0042】
また、保持キャパシタC
1の一端を全画素で共通化して対向電極電圧信号V
COMを供給することにより、電気光学素子LCの一端に供給される対向電極電圧信号V
COMとの差分電圧と、前記保持キャパシタC
1の静電容量と電気光学素子LCの静電容量との容量比に応じて生じる電圧とを解消する。これにより、電気光学素子の端子間電圧V
LCに不要な直流電圧が重畳されることはなくなり、フリッカを防止することができ、さらに、電気光学素子の長寿命化が実現できる。
【0043】
以下に、本発明の第1実施形態による第1ACタイミングについて、
図2、
図5を参照しながら詳細に説明する。
【0044】
図5は、
図2に示されている本発明の一実施形態による画素回路201,202を制御する制御信号の第1ACタイミングチャートを示している。本発明の第1実施形態における動作に必要な制御信号のタイミングおよび必要な電圧を明確にするために、この
図5を参照して以下に詳述する。
【0045】
ここで、
図5では、結果としてライン反転駆動となるように、制御信号ENA
1、G
1,SET
1による奇数行毎の駆動と、制御信号ENA
2、G
2,SET
2による偶数行毎の駆動とに、グループに分けて駆動を行う例を示している。フレーム反転駆動を行う場合には、
図5に示す奇数行への制御信号を偶数行にも入力することにより実現できることは言うまでもない。
【0046】
今、スイッチ素子SW
1,SW
2,SW
3は、それぞれスレッショルド電圧V
thが1[V]であるトランジスタであると仮定する。そして、電気光学素子LCにオン電圧が4[V]の垂直配向液晶を用い、対向電極電圧信号V
COMおよびデータ信号DATAの高電圧レベルV
DHおよび低電圧レベルV
DLをそれぞれV
DH=4[V]、V
DL=0[V]と仮定する。さらに各制御信号が取り得る電圧レベルは、V
1=12[V]、V
3=4[V]、V
4=0[V]、V
5=−4[V]に設定されるが、これらの電圧設定に限定されるものではない。
【0047】
例えば、電圧レベルV
5はデータ信号DATAの低電圧レベルV
DL(=0[V])−対向電極電圧信号V
COMの振幅電圧(=4[V])+スレッショルド電圧V
th(=1[V])以下となればよく、V
1はデータ信号DATAの高電圧レベルV
DH(=4[V])+対向電極電圧信号V
COMの振幅電圧(=4[V])+スレッショルド電圧V
th(=1[V])以上となればよい。
【0048】
さらに、トランジスタのスレッショルド電圧V
thに応じて、データ信号DATAの電圧レベルV
DL,V
DHをオフセットさせ、それに応じて電圧レベルV
1,V
3,V
4,V
5の設定を適宜変更してもよい。また、トランジスタSW
3やトランジスタSW
2がオフする際のキックバック電圧等により、液晶層に直流電圧が重畳されると、フリッカ等が生じることがある。この場合には、対向電極電圧信号V
COMおよびデータ信号DATAの電圧レベルを各々独立に制御してオフセット電圧を加えてもよい。
【0049】
なお、
図5に示す電圧レベルV
2は、上記の各電圧レベルV
DH,V
DL,V
1,V
3,V
4,V
5の電圧設定に応じて必然的に定まるものであり、この場合V
2=8[V]となる。
【0050】
図2に示す本発明の一実施形態である画素回路201を制御するための各制御信号の設定に必要な条件を以下に列挙する。
図5に示す第1ACタイミングは、この設定条件に基づいて、各制御信号のタイミングおよび電圧を設定したものである。
【0051】
・V
COM信号(対向電極電圧信号)
サンプリング&リフレッシュ期間中、対向電極電圧信号V
COMは、Lレベルの期間とHレベルの期間を有すること。
【0052】
・DATA信号(データ信号)
(a)サンプリング&リフレッシュ期間中、データ信号DATAは、対向電極電圧信号V
COMがLレベルの期間に少なくとも1回HレベルからLレベルへ遷移すること。
(b)サンプリング&リフレッシュ期間中、データ信号DATAは、対向電極電圧信号V
COMがHレベルの期間に少なくとも1回HレベルからLレベルへ遷移すること。
【0053】
・ENA信号(サンプリング制御信号)
(a)サンプリング制御信号ENAは、画像データ取り込み制御信号Gがアクティブ前、かつ、対向電極電圧信号V
COMがHレベルの期間中にアクティブとなることが望ましい。対向電極電圧信号V
COMがLレベルの期間では、ノードN
1での電圧レベルと、制御信号のインアクティブ電圧レベルが同レベルの場合があり、このときにサンプリング制御信号ENAをアクティブにすると、サンプリング容量C
2に電荷をチャージできなくなる場合が生じるためである。
(b)サンプリング制御信号ENAのアクティブ電圧は、電圧V
1とすることが望ましい。これは、ノードN
1の電圧レベルが最大で、データ信号DATAの高電圧レベルV
DH(=4[V])+対向電極電圧信号V
COMの振幅電圧(=4[V])の電圧レベルV
2(=8[V])となるため、アクティブ電圧としてはそれよりもスレッショルド電圧V
th分以上高い電圧レベルが必要だからである。またアクティブ電圧を他の制御信号と一律で電圧V
1とすることにより、周辺回路を簡素化することが可能となるためである。
(c)サンプリング制御信号ENAのインアクティブ電圧は、電圧V
5とすることが望ましい。これは、他の制御信号のインアクティブ電圧と同一にすることにより、周辺回路を簡素化することが可能となるためである。
【0054】
・G信号(画像データ取り込み制御信号)
(a)サンプリング&リフレッシュ期間中、画像データ取り込み制御信号Gは、データ信号DATAのHレベル、Lレベル両方を包含する期間でアクティブとなること。
(b)正極性リフレッシュ期間では、データ信号DATAの極性と対向電極電圧信号V
COMの極性が逆極性である期間においてアクティブとなり、データ信号DATAの極性と対向電極電圧信号V
COMの極性が同極性である期間においてインアクティブとなること(
図5におけるリフレッシュ期間R
P1,R
P2)。
(c)負極性リフレッシュ期間では、データ信号DATAの極性と対向電極電圧信号V
COMの極性が同極性である期間においてアクティブとなり、データ信号DATAの極性と対向電極電圧信号V
COMの極性が逆極性である期間においてインアクティブとなること(
図5におけるリフレッシュ期間R
N1,R
N2)。
(d)画像データ取り込み制御信号Gのアクティブ電圧は、電圧V
1とすることが望ましい。これは、サンプリング制御信号ENAのアクティブ電圧と同一とすることにより、周辺回路の簡素化が可能となるためである。
(e)画像データ取り込み制御信号Gのインアクティブ電圧は、電圧V
5とすることが望ましい。これは、他の制御信号のインアクティブ電圧と同一にすることで周辺回路を簡素化することが可能となるためである。
【0055】
・SET信号(画像データ書き換え制御信号/画像データリフレッシュ制御信号)
(a)サンプリング&リフレッシュ期間中、画像データリフレッシュ制御信号SETは、データ信号DATAがHレベルであり、かつ画像データ取り込み制御信号Gがアクティブの期間において、アクティブとなること。
【0056】
(b)画像データリフレッシュ制御信号SETは、リフレッシュ期間前に、該制御信号のインアクティブ電圧とサンプリング期間におけるノードN
1の電圧の中間レベルにプリセットすることが望ましい。
【0057】
より詳しくは、正極性リフレッシュ期間前にオンの画像データを保持している場合(ノードN
1の電圧がV
N1=0[V])、プリセット電圧V
PSTは、該制御信号の立ち下がり時にスイッチ素子SW
2をオフさせるために、
V
PST>−(V
th+V
DL)+V
N1+V
5 ・・・・(1)
となり、正極性リフレッシュ期間前にオフの画像データを保持している場合(ノードN
1の電圧がV
N1=4[V])、プリセット電圧V
PSTは、該制御信号の立ち下がり時にスイッチ素子SW
2をオンさせるために、
V
PST≦−(V
th+V
DL)+V
N1+V
5 ・・・・(2)
となる。よって、(1)、(2)式と上述の電圧設定条件より、正極性リフレッシュ期間におけるV
PSTの設定可能な電圧範囲は、
−1[V]≧V
PST>−5[V] ・・・・(3)
となる。
図5のサンプリング期間Samp
1,Samp
3では、(3)式の電圧範囲に基づいて、プリセット電圧V
PSTを適宜設定すればよいが、電圧V
5=−4[V]に設定することが、より望ましい。これは、他の制御信号の電圧レベルと同一にすることで周辺回路を簡素化することが可能となるためである。
【0058】
一方、負極性リフレッシュ期間前にオンの画像データを保持している場合(ノードN
1の電圧がV
N1=8[V])、プリセット電圧V
PSTは、該制御信号の立ち下がり時にスイッチ素子SW
2をオンさせるために、
V
PST≦−(V
th+V
DL)+V
N1+V
5 ・・・・(4)
となり、負極性リフレッシュ期間前にオフの画像データを保持している場合(ノードN
1の電圧がV
N1=4[V])、プリセット電圧V
PSTは、該制御信号の立ち下がり時にスイッチ素子SW
2をオフさせるために、
V
PST>−(V
th+V
DL)+V
N1+V
5 ・・・・(5)
となる。よって、(4)、(5)式と上述の電圧設定条件より、負極性リフレッシュ期間におけるV
PSTの設定可能な電圧範囲は、
3[V]≧V
PST>−1[V] ・・・・(6)
となる。
図5のサンプリング期間Samp
2,Samp
4では、(6)式の設定可能な電圧範囲に基づいて、プリセット電圧V
PSTを適宜設定すればよいが、電圧V
4=0[V]に設定することが、より望ましい。これは、他の制御信号の電圧レベルと同一にすることで周辺回路を簡素化することが可能となるためである。
【0059】
このプリセット動作を行わない場合には、負極性リフレッシュ時における画像データリフレッシュ制御信号SETのアクティブ後のインアクティブ電圧を電圧V
5より低い電圧レベルに下げる必要が生じる。しかし、予め上述の条件に基づいてプリセットすることにより、画像データリフレッシュ制御信号SETのインアクティブ電圧は電圧V
5に統一され、制御信号の電圧レベル数を削減することが可能になるとともに周辺回路を簡素化できる。
【0060】
(c)画像データリフレッシュ制御信号SETのアクティブ電圧V
SETは、該制御信号の立ち上がり時にスイッチ素子SW
2をオンさせるために、
V
SET≧V
th+V
DH−V
N1+V
PST ・・・・(7)
となる。
【0061】
正極性リフレッシュ期間前にオンの画像データを保持している場合(ノードN
1の電圧がV
N1=0[V])、上述のとおりプリセット電圧V
PSTを電圧V
5=−4[V]に設定すれば、
V
SET≧1[V] ・・・・(8)
となり、正極性リフレッシュ期間前にオフの画像データを保持している場合(ノードN
1の電圧がV
N1=4[V])、上述のとおりプリセット電圧V
PSTを電圧V
5=−4[V]に設定すれば、
V
SET≧−3[V] ・・・・(9)
となる。よって、(8)、(9)式より、画像データリフレッシュ制御信号SETのアクティブ電圧V
SETは、
V
SET≧1[V] ・・・・(10)
となる。
図5の正極性リフレッシュ期間R
P1,R
P2では、(10)式の設定可能な電圧範囲に基づいて、画像データリフレッシュ制御信号SETのアクティブ電圧V
SETを適宜設定すればよいが、電圧V
3=4[V]に設定することが、より望ましい。これは、該制御信号のアクティブ電圧レベルを同一にすることで周辺回路を簡素化することが可能となるためである。
【0062】
一方、負極性リフレッシュ期間前にオンの画像データを保持している場合(ノードN
1の電圧がV
N1=8[V])、上述のとおりプリセット電圧V
PSTを電圧V
4=0[V]に設定すれば、
V
SET≧−3[V] ・・・・(11)
となり、負極性リフレッシュ期間前にオフの画像データを保持している場合(ノードN
1の電圧がV
N1=4[V])、上述のとおりプリセット電圧V
PSTを電圧V
4=0[V]に設定すれば、
V
SET≧1[V] ・・・・(12)
となる。よって、(11)、(12)式より、画像データリフレッシュ制御信号SETのアクティブ電圧V
SETは、
V
SET≧1[V] ・・・・(13)
となる。
図5の負極性リフレッシュ期間R
N1,R
N2では、(13)式の設定可能な電圧範囲に基づいて、画像データリフレッシュ制御信号SETのアクティブ電圧V
SETを適宜設定すればよいが、電圧V
3=4[V]に設定することが、より望ましい。これは、該制御信号のアクティブ電圧レベルを同一にすることで周辺回路を簡素化することが可能となるためである。
【0063】
(d)画像データリフレッシュ制御信号SETのインアクティブ電圧は、電圧V
5とすることが望ましい。これは、他の制御信号のインアクティブ電圧と同一にすることで周辺回路を簡素化することが可能となるためである。
【0064】
以上を基に、
図2、
図5を参照しながら、各制御信号のタイミングおよび電圧レベルについて説明する。
【0065】
まず通常表示期間NDでは、通常のライン反転駆動による動画階調表示または静止画低消費電力表示のデータ書き込みが行われる。ここで、制御信号であるENA信号、G信号、SET信号のアクティブ電圧は、サンプリング期間およびリフレッシュ期間における制御信号のアクティブ電圧V
1であり、同様にインアクティブ電圧もサンプリング期間およびリフレッシュ期間における制御信号のインアクティブ電圧V
5とする。はじめにENA信号をアクティブにすることでスイッチ素子SW
1をオンにし、ノードN
1とノードN
2の電圧レベルを等しくする。その後G信号とSET信号を同時にアクティブにすることで、スイッチ素子SW
3とSW
2をオンにする。このような電圧設定および制御タイミングにより、前記データ書き込み前におけるノードN
1、ノードN
2の保持電圧に係わらず、所望の電圧をスイッチ素子SW
3、SW
2を介して保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCに保持させることができる。
【0066】
なお、制御信号であるENA信号、G信号、SET信号の電圧レベルについてはアクティブ電圧を電圧V
1、インアクティブ電圧を電圧V
5としたが、これに限られるものではない。しかし、電圧V
1、V
5を用いることにより周辺回路の簡素化が図れるという点において優位である。
【0067】
前記通常表示期間NDによるデータの書き込み後、サンプリング動作および正極性/負極性リフレッシュ動作が行なわれる。そして、正極性/負極性リフレッシュ動作においては、画像データリフレッシュ制御信号SET
1,SET
2のアクティブ電圧は、電圧V
3とする。
【0068】
まず、サンプリング期間Samp
1では、対向電極電圧信号V
COMがHレベル(電圧V
DH)の期間において、サンプリング制御信号ENA
1をアクティブにし、スイッチ素子SW
1をオンにする。これにより、ノードN
1の電圧(オン画素の場合は電圧V
4、オフ画素の場合には電圧V
3)が、サンプリングキャパシタC
2にサンプリングされる。サンプリングキャパシタC
2に、ノードN
1の電圧に対応する電荷がチャージされた後、サンプリング制御信号ENA
1はインアクティブとなり、スイッチ素子SW
1はオフとなる。
【0069】
その後、正極性リフレッシュ動作または負極性リフレッシュ動作を行なうリフレッシュ期間に入る。
図5では、サンプリング期間Samp
1の次には、奇数行において正極性リフレッシュ動作を行なうリフレッシュ期間R
P1が示されている。
【0070】
正極性リフレッシュ期間R
P1では、対向電極電圧信号V
COMがLレベル(電圧V
DL)かつデータ信号DATAがHレベル(電圧V
DH)からLレベル(電圧V
DL)に遷移する期間において、画像データ取り込み制御信号G
1をアクティブにし、スイッチ素子SW
3をオンにする。これにより、ノードN
3には、スイッチ素子SW
3を介してデータ信号DATAが到達する。
【0071】
そして、データ信号DATAがHレベルの期間において、画像データリフレッシュ制御信号SET
1を該制御信号のインアクティブ電圧である電圧V
5から該制御信号のアクティブ電圧である電圧V
3にすることで、ノードN
2の電圧を画像データリフレッシュ制御信号SET
1の電圧変動(=8[V])+サンプリングキャパシタC
2の充電電圧だけ変化させる。
【0072】
このとき、オン画素であれば、ノードN
2の電圧は電圧V
2となる。これは、ノードN
3における電圧、すなわち、スイッチ素子SW
3を通過してきたデータ信号DATAの電圧V
DH(=電圧V
3)よりも十分に高い電圧である。したがって、スイッチ素子SW
2がオンとなる。これにより、データ信号DATAの電圧V
DH(=電圧V
3)が、スイッチ素子SW
3、SW
2を介して保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCに印加される。
【0073】
オフ画素の場合には、ノードN
2の電圧は電圧V
1となる。これは、ノードN
3における電圧、すなわち、スイッチ素子SW
3を通過してきたデータ信号DATAの電圧V
DH(=電圧V
3)よりも十分に高い電圧である。したがって、スイッチ素子SW
2がオンとなる。これにより、データ信号DATAの電圧V
DH(=電圧V
3)が、スイッチ素子SW
3、SW
2を介して保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCに印加される。
【0074】
その後、データ信号DATAがLレベルの期間において、画像データリフレッシュ制御信号SET
1を該制御信号のアクティブ電圧である電圧V
3からインアクティブ電圧である電圧V
5にすることで、ノードN
2の電圧を、画像データリフレッシュ制御信号SET
1の電圧変動(=-8[V])+サンプリングキャパシタC
2の充電電圧だけ変化させる。
【0075】
このとき、オン画素であれば、ノードN
2の電圧は電圧V
4となる。これは、ノードN
3における電圧、すなわち、スイッチ素子SW
3を通過してきたデータ信号DATAの電圧V
DL(=電圧V
4)と同電圧である。したがって、スイッチ素子SW
2がオフとなり、ノードN
1がデータ信号DATAと切断されるため、保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCにより、ノードN
1の電圧は、保持された電圧である電圧V
3に維持される。
【0076】
ここで、電気光学素子LCの端子間電圧V
LCは、ノードN
1の電圧−対向電極電圧信号V
COMの電圧である。対向電極電圧信号V
COMはLレベルの区間であるため、電気光学素子LCの端子間電圧V
LCは、ノードN
1の電圧である電圧V
3(4[V])−対向電極電圧信号V
COMの電圧V
DL(0[V])、すなわち+4[V]となり、オン画素の正極性リフレッシュ動作が終了する。
【0077】
オフ画素の場合には、ノードN
2の電圧は電圧V
3となり、ノードN
3における電圧、すなわち、スイッチ素子SW
3を通過してきたデータ信号DATAの電圧V
DL(=電圧V
4)よりも十分に高い電圧である。したがって、スイッチ素子SW
2がオンとなる。これにより、データ信号DATAの電圧V
DL(=電圧V
4)が、スイッチ素子SW
3、SW
2を介して保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCに印加される。その後、画像データ取り込み制御信号G
1がインアクティブとなり、スイッチ素子SW
3をオフにする。これにより、ノードN
1がデータ信号DATAと切断されるため、保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCにより、ノードN
1の電圧は、保持した電圧V
4に維持される。
【0078】
ここで、対向電極電圧信号V
COMはLレベルの区間であるため、電気光学素子LCの端子間電圧V
LCは、ノードN
1の電圧である電圧V
4(0[V])−対向電極電圧信号V
COMの電圧V
DL(0[V])、すなわち0[V]となり、オフ画素の正極性リフレッシュ動作が終了する。
【0079】
次に、偶数行の負極性リフレッシュ動作のためのサンプリングを行うサンプリング期間Samp
2となる。
【0080】
サンプリング期間Samp
2では、対向電極電圧信号V
COMがHレベル(電圧V
DH)の期間において、画像データリフレッシュ制御信号SET
2を電圧V
4にプリセットするとともに、サンプリング制御信号ENA
2をアクティブにし、スイッチ素子SW
1をオンにする。これにより、ノードN
1の電圧(オン画素の場合は電圧V
2、オフ画素の場合には電圧V
3)が、サンプリングキャパシタC
2にサンプリングされる。サンプリングキャパシタC
2に、ノードN
1の電圧に対応する電荷がチャージされた後、サンプリング制御信号ENA
2はインアクティブとなり、スイッチ素子SW
1はオフとなる。
【0081】
サンプリング期間Samp
2の終了後、偶数行において負極性リフレッシュ動作をおこなう負極性リフレッシュ期間R
N2に入る。
【0082】
負極性リフレッシュ期間R
N2では、対向電極電圧信号V
COMがHレベル(電圧V
DH)かつデータ信号DATAがHレベル(電圧V
DH)からLレベル(電圧V
DL)に遷移する期間において、画像データ取り込み制御信号G
2をアクティブにし、スイッチ素子SW
3をオンにする。これにより、ノードN
3には、スイッチ素子SW
3を介してデータ信号DATAが到達する。
【0083】
そして、データ信号DATAがHレベルの期間において、画像データリフレッシュ制御信号SET
2を該制御信号のプリセット電圧である電圧V
4から該制御信号のアクティブ電圧である電圧V
3にすることで、ノードN
2の電圧を画像データリフレッシュ制御信号SET
2の電圧変動(=4[V])+サンプリングキャパシタC
2の充電電圧だけ変化させる。
【0084】
このとき、オフ画素であれば、ノードN
2の電圧は電圧V
2となる。これは、ノードN
3における電圧、すなわち、スイッチ素子SW
3を通過してきたデータ信号DATAの電圧V
DH(=電圧V
3)よりも十分に高い電圧である。したがって、スイッチ素子SW
2がオンとなる。これにより、データ信号DATAの電圧V
DH(=電圧V
3)が、スイッチ素子SW
3、SW
2を介して保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCに印加される。
【0085】
オン画素の場合には、ノードN
2の電圧は電圧V
1となる。これは、ノードN
3における電圧、すなわち、スイッチ素子SW
3を通過してきたデータ信号DATAの電圧V
DH(=電圧V
3)よりも十分に高い電圧である。したがって、スイッチ素子SW
2がオンとなる。これにより、データ信号DATAの電圧V
DH(=電圧V
3)が、スイッチ素子SW
3、SW
2を介して保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCに印加される。
【0086】
その後、データ信号DATAがLレベルの期間において、画像データリフレッシュ制御信号SET
2を該制御信号のアクティブ電圧である電圧V
3からインアクティブ電圧である電圧V
5にすることで、ノードN
2の電圧を、画像データリフレッシュ制御信号SET
2の電圧変動(=-8[V])+サンプリングキャパシタC
2の充電電圧だけ変化させる。
【0087】
このとき、オフ画素であれば、ノードN
2の電圧は電圧V
4となる。これは、ノードN
3における電圧、すなわち、スイッチ素子SW
3を通過してきたデータ信号DATAの電圧V
DL(=電圧V
4)と同電圧である。したがって、スイッチ素子SW
2がオフとなり、ノードN
1がデータ信号DATAと切断されるため、保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCにより、ノードN
1の電圧は、保持された電圧である電圧V
3に維持される。
【0088】
ここで、対向電極電圧信号V
COMはHレベルの区間であるため、電気光学素子LCの端子間電圧V
LCは、ノードN
1の電圧である電圧V
3(4[V])−対向電極電圧信号V
COMの電圧V
DH(4[V])、すなわち0[V]となり、オフ画素の負極性リフレッシュ動作が終了する。
【0089】
オン画素の場合には、ノードN
2の電圧は電圧V
3となり、ノードN
3における電圧、すなわち、スイッチ素子SW
3を通過してきたデータ信号DATAの電圧V
DL(=電圧V
4)よりも十分に高い電圧である。したがって、スイッチ素子SW
2がオンとなる。これにより、データ信号DATAの電圧V
DL(=電圧V
4)が、スイッチ素子SW
3、SW
2を介して保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCに印加される。その後、画像データ取り込み制御信号G
2がインアクティブとなり、スイッチ素子SW
3をオフにする。これにより、ノードN
1がデータ信号DATAと切断されるため、保持キャパシタC
1と電気光学素子LCの静電容量C
LCにより、ノードN
1の電圧は、保持した電圧V
4に維持される。
【0090】
ここで、対向電極電圧信号V
COMはHレベルの区間であるため、電気光学素子LCの端子間電圧V
LCは、ノードN
1の電圧である電圧V
4(0[V])−対向電極電圧信号V
COMの電圧V
DH(4[V])、すなわち−4[V]となり、オン画素の負極性リフレッシュ動作が終了する。
【0091】
正極性/負極性リフレッシュ動作終了後から、次のサンプリング動作、リフレッシュ動作までの一定期間は、周辺駆動回路を停止させる。
【0092】
その後、偶数行のサンプリング期間Samp
3、偶数行の正極性リフレッシュ期間R
P2、奇数行のサンプリング期間Samp
4、奇数行の負極性リフレッシュ期間R
N1において、それぞれ上述と同様の制御をする。そして、以降は、同様の制御を繰り返すことになる。
【0093】
なお、負極性リフレッシュ動作において、画像データリフレッシュ制御信号SETのプリセットは、サンプリング制御信号ENAのアクティブと同時としたが、これに限定されるものではない。正極性リフレッシュ動作終了後から、次の負極性リフレッシュ動作における画像データリフレッシュ制御信号SETがアクティブになる前までの期間であって、かつサンプリング制御信号ENAがインアクティブである期間ならば、適宜プリセット可能である。しかし、画像データリフレッシュ制御信号SETのプリセットは、サンプリング制御信号ENAに同期させる方が周辺回路の簡素化の観点から望ましい。
【0094】
以上説明した各制御信号のタイミング設定および電圧設定によれば、オン画素だけでなく、オフ画素へもオフ電圧を書き込み、それを維持する制御が行なわれる。これにより、特許文献1で懸念されるオフ画素電圧が不定になる問題点が解消できる。
【0095】
また、奇数行が、あるリフレッシュ期間において正極性リフレッシュを行った場合には、偶数行は負極性リフレッシュを行い、次のリフレッシュ期間では奇数行が負極性リフレッシュを行い、偶数行が正極性リフレッシュを行うことにより、液晶印加電圧波形の交流化およびライン反転駆動が実現されている。
【0096】
上記の制御信号による駆動方法によれば、定期的なリフレッシュ動作を行うことにより通常表示期間NDに各画素に書き込まれたデータを保持することが可能となるため、消費電力を削減することができる。例えばVGA(640×480)の電気光学装置をライン反転駆動する場合を考える。ここで、消費電力Pは一般にP=CFV
2で表せる。通常表示においては、各走査線に接続された各画素へのデータ書き込みのためにデータ線に入力されるデータ信号は、1フレームの間に240回振幅する。一方、本発明の駆動方法では、1フレーム(=奇数行/偶数行のサンプリングおよびリフレッシュ動作から次のサンプリングおよびリフレッシュ動作までの間)に入力されるデータ信号の振幅は2回のみとなる。したがって、本発明においては周波数Fが、通常表示よりも1/120となるため、他のC、Vを同じとすれば消費電力Pも1/120となり、大幅に消費電力を削減できる。
【0097】
さらに、通常表示では周辺回路を常に動作させておかなければならないが、本発明では、サンプリング動作、リフレッシュ動作の期間のみ駆動させればよく、それ以外の期間においては周辺回路の動作を停止させることが出来る。このため、周辺回路の消費電流も静止電流レベルとなるため、同様に大幅な消費電力削減ができる。
【0098】
また、各データ線へ入力されるデータ信号も、サンプリング動作、リフレッシュ動作においてはアクティブマトリクスアレイ回路上の全画素において共通信号でよく、この点においても消費電力が削減可能となる。
【0099】
(2)第2実施形態
第2実施形態において回路構成は第1実施形態と同一であるので説明を省略する。
図6は、本発明の第2実施形態による制御信号の第2ACタイミングチャートを示している。
【0100】
図5の第1ACタイミングでは、正極性リフレッシュのための制御信号ENA,G,SETがアクティブとなってから、次の負極性リフレッシュのための制御信号ENA,G,SETがアクティブとなるまでのそれぞれの間隔と、負極性リフレッシュのための制御信号ENA,G,SETがアクティブとなってから、次の正極性リフレッシュのための制御信号ENA,G,SETがアクティブとなるまでのそれぞれの間隔が異なっている。
【0101】
そのため、電気光学素子の端子間電圧が正極性である区間P1、P2と、負極性である区間N1,N2の間隔が異なってしまう。したがって、この間隔の差が長期的には電気光学素子への直流印加となり、液晶寿命に影響する。またこのようなタイミングの制御信号で制御するには、走査線駆動回路の構成が複雑となってしまうため好ましくない。
【0102】
そこで、
図6に示す第2ACタイミングでは対向電極電圧信号V
COM、データ信号DATAの極性反転タイミングを調整することにより、サンプリング制御信号ENA、画像データ取り込み制御信号G、画像データリフレッシュ制御信号SETのアクティブタイミングの間隔を一定に保つようにした。
【0103】
これにより、第1ACタイミングでのアクティブタイミングの間隔のズレに伴い生じていた液晶印加電圧への直流印加を防止でき、液晶の寿命をさらに延ばす効果がある。また、走査線駆動回路の構成を簡便化することも可能となる。
【0104】
具体的な動作は、第1実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは、説明は省く。
【0105】
(3)第3実施形態
第3実施形態において回路構成は第1実施形態と同一であるので説明を省略する。
図7は、本発明の第3実施形態による制御信号の第3ACタイミングチャートを示している。
【0106】
図7の第3ACタイミングではさらに、サンプリング制御信号ENAのアクティブ時間を画像データ取り込み制御信号Gのアクティブ時間と同一になるよう、対向電極電圧信号V
COM、データ信号DATAの極性反転タイミングを調整した。このようにすることにより、走査線駆動回路の構成をさらに簡便化することが可能となり、不要な部品を削減できる。これにより従来よりもさらに消費電力を抑えることができるとともに、製造コストの削減にもつながる。
【0107】
また、
図6の第2ACタイミングにおける制御と同様に、
図5の第1ACタイミングでのアクティブタイミングの間隔のズレに伴い生じていた液晶印加電圧への直流印加を防止でき、液晶の寿命をさらに延ばす効果もある。
【0108】
なお、本発明の電気光学装置を携帯電話といった携帯機器に用いた場合、待ち受け画面表示や時計表示など頻繁な画面書き換えを必要としない表示を行う際に、消費電力を大幅に削減することが可能となる。
【0109】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明の権利範囲はこれらの実施形態に限られるものではない。当業者にとり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変形および改良が可能であり、これらもまた本発明の権利範囲に属することは当然である。