特許第5667429号(P5667429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5667429
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】壁面体
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   E04H17/16 104
   E04H17/16 101
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-286328(P2010-286328)
(22)【出願日】2010年12月22日
(65)【公開番号】特開2012-132244(P2012-132244A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2013年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100168228
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 達則
(72)【発明者】
【氏名】畦地 雄作
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−321016(JP,A)
【文献】 特開2006−214121(JP,A)
【文献】 実開昭55−135762(JP,U)
【文献】 実開昭60−061351(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 − 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のパネル体と、横桟とを備え、各パネル体が、横桟を挟んで上下に連設してあり、横桟が、パネル体の外側面より外側に突出していて突出部分の上側面が外側下方に向けて傾斜しており、かつパネル体の内側面より内側に突出する載置部を有していて載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする壁面体。
【請求項2】
複数の格子体と、横桟とを備え、各格子体が、複数本の格子材からなるものであって、横桟を挟んで上下に連設してあり、横桟が、格子体の外側面より外側に突出していて突出部分の上側面が外側下方に向けて傾斜しており、かつ格子体の内側面より内側に突出する載置部を有していて載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする壁面体。
【請求項3】
パネル体と、格子体と、横桟とを備え、格子体が、複数本の格子材からなるものであって、パネル体と格子体が、横桟を挟んで上下に連設してあり、横桟が、パネル体の外側面及び格子体の外側面より外側に突出していて突出部分の上側面が外側下方に向けて傾斜しており、かつパネル体の内側面及び格子体の内側面より内側に突出する載置部を有していて載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする壁面体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の敷地境界などに設置されるフェンスなどの壁面体に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の敷地境界などに設置される壁面体として、複数枚のパネルを、枠材を介して上下に連設したものがある。このような壁面体は、外部からの視線を遮断し、かつ外部からの侵入者を防ぐためのものであり、特に侵入者防止の観点からは、よじ上ることができないように、壁面体の外側面に手足を掛けることができるような構造を設けないことが重要である。たとえば、特許文献1の発明においては、パネルの外側面と枠材の外側面とが略面一になっており、枠材に手足を掛けることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−270283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような壁面体は、道路沿いなど人目に付きやすい場所に設置されることが多く、視線遮断、侵入者防止の機能と併せて意匠性に優れていることも求められる。その点、特許文献1の発明は、外側面に凹凸がなく、平面的で物足りない印象を与えるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、意匠性に優れ、かつ侵入者防止機能にも優れる壁面体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の発明は、複数枚のパネル体と、横桟とを備え、各パネル体が、横桟を挟んで上下に連設してあり、横桟が、パネル体の外側面より外側に突出していて突出部分の上側面が外側下方に向けて傾斜しており、かつパネル体の内側面より内側に突出する載置部を有していて載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項の発明は、複数の格子体と、横桟とを備え、各格子体が、複数本の格子材からなるものであって、横桟を挟んで上下に連設してあり、横桟が、格子体の外側面より外側に突出していて突出部分の上側面が外側下方に向けて傾斜しており、かつ格子体の内側面より内側に突出する載置部を有していて載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする。
【0010】
本発明のうち請求項の発明は、パネル体と、格子体と、横桟とを備え、格子体が、複数本の格子材からなるものであって、パネル体と格子体が、横桟を挟んで上下に連設してあり、横桟が、パネル体の外側面及び格子体の外側面より外側に突出していて突出部分の上側面が外側下方に向けて傾斜しており、かつパネル体の内側面及び格子体の内側面より内側に突出する載置部を有していて載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のうち請求項1の発明によれば、横桟がパネル体の外側面より外側に突出しているので、横桟がアクセントになって優れた意匠となる。そして、突出部分の上側面が外側下方に向けて傾斜しているので、横桟に手足を掛けることは困難であり、侵入者を防止する機能にも優れている。また、載置部を設けることにより、従来視線遮断及び侵入者防止の機能しかなかった壁面体を、棚として使用することができる。載置部は、壁面体の横幅長さ分だけ利用することができ、何を置いてもよく、たとえば植木鉢やプランターを置いたり、ガーデニングの道具を置いたり、その他の装飾品を置いたりするなど、自由に使用できる。
【0016】
本発明のうち請求項の発明によれば、横桟が格子体の外側面より外側に突出しているので、横桟がアクセントになって優れた意匠となる。そして、突出部分の上側面が外側下方に向けて傾斜しているので、横桟に手足を掛けることは困難であり、侵入者を防止する機能にも優れている。また、格子体を用いているので、外部からの視線をある程度遮断しつつ、適度に採風することができる。さらに、載置部を設けることにより、従来視線遮断及び侵入者防止の機能しかなかった壁面体を、棚として使用することができる。載置部は、壁面体の横幅長さ分だけ利用することができ、何を置いてもよく、たとえば植木鉢やプランターを置いたり、ガーデニングの道具を置いたり、その他の装飾品を置いたりするなど、自由に使用できる。また、格子体を用いているので、載置部上は良好な通風性が確保され、植木鉢などを載せた場合に、植物を十分に育成させることができる。
【0018】
本発明のうち請求項の発明によれば、横桟がパネル体及び格子体の外側面より外側に突出しているので、横桟がアクセントになって優れた意匠となる。そして、突出部分の上側面が外側下方に向けて傾斜しているので、横桟に手足を掛けることは困難であり、侵入者を防止する機能にも優れている。また、格子体を用いているので、外部からの視線をある程度遮断しつつ、適度に採風することができる。さらに、載置部を設けることにより、従来視線遮断及び侵入者防止の機能しかなかった壁面体を、棚として使用することができる。載置部は、壁面体の横幅長さ分だけ利用することができ、何を置いてもよく、たとえば植木鉢やプランターを置いたり、ガーデニングの道具を置いたり、その他の装飾品を置いたりするなど、自由に使用できる。また、格子体の下側の横桟の載置部上は良好な通風性が確保され、植木鉢などを載せた場合に、植物を十分に育成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】壁面体の第一実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA1−A1線断面図、(c)はB1−B1線断面図、(d)は横桟部分の拡大断面図である。
図2】第二実施形態の横桟部分の拡大断面図である。
図3】第三実施形態の横桟部分の拡大断面図である。
図4】第四実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA2−A2線断面図、(c)はB2−B2線断面図、(d)は横桟部分の拡大断面図である。
図5】第五実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA3−A3線断面図、(c)はB3−B3線断面図である。
図6】第六実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA4−A4線断面図、(c)はB4−B4線断面図である。
図7】第七実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA5−A5線断面図、(c)はB5−B5線断面図である。
図8】第八実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA6−A6線断面図、(c)はB6−B6線断面図である。
図9】第九実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA7−A7線断面図、(c)はB7−B7線断面図である。
図10】第十実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA8−A8線断面図、(c)はB8−B8線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この壁面体の第一実施形態は、図1に示すように、横長矩形平板形状の五枚のパネル体1を上下に連設したものであり、各パネル体1同士の間には横桟2が挟んである。そして、連設したパネル体1を、上枠8、下枠9及び左右の縦枠10が囲んでおり、縦枠10は設置面に立設してある。
【0024】
横桟2は、中空型材からなり、上面及び下面の外側寄りの位置に、断面略コ字形の凹溝21を形成してある。凹溝21には断面略U字形のグレージングチャンネル22が嵌め込んであり、グレージングチャンネル22がパネル体1を挟み込んで保持している。そして、凹溝21より外側、すなわちパネル体1の外側面より外側の部分が、外側方向に突出している。この突出部分3は、上側面4が外側下方に約45度傾斜しており、下側面5が外側上方に約45度傾斜している。さらに、凹溝21より内側の部分が、内側方向に大きく突出して載置部6を構成しており、その上面が水平面61となっていて、植木鉢などを置くための棚として使用できるようになっている。なお、図1において上から三本目の横桟2が太くなっているが、突出部分3及び凹溝21部分が高さ方向に厚くなっているだけで、基本構造は他の横桟2と同様である。
【0025】
このように構成した壁面体の第一実施形態は、横桟がパネル体の外側面より外側に突出しているので、横桟がアクセントになっており、さらに横桟の突出部分の上側面と下側面が共に傾斜していることにより、各パネル体について、上下の横桟がパネル体を縁取る額をイメージさせ、高級感のある優れた意匠となっている。なお、上枠、下枠及び縦枠におけるパネル体との境界部分についても、横桟の突出部分と同様に傾斜させてあり、全体としてより統一感のある意匠となっている。そして、突出部分の上側面が外側下方に向けて傾斜しているので、横桟に手足を掛けることは困難であり、侵入者を防止する機能にも優れている。また、載置部を設けることにより、従来視線遮断及び侵入者防止の機能しかなかった壁面体を、棚として使用することができる。
【0026】
図2に示すのは、壁面体の第二実施形態であり、第一実施形態とは、横桟2の突出部分3の形状が異なる。すなわち、本実施形態においては突出部分3の上側面4が外側下方に約60度傾斜しており、下側面5は水平である。このように、突出部分3は少なくとも上側面4が下方に傾斜していれば、手足を掛けることは困難になり侵入者防止機能に優れるものであり、下側面5は、意匠面からの要請に基づき自由に設定できる。
【0027】
図3に示すのは、壁面体の第三実施形態であり、第一実施形態とは、横桟2の突出部分3の形状が異なる。すなわち、本実施形態においては突出部分3が断面半円形状であり、半円の上側半分が上側面4に、下側半分が下側面5に相当する。このように、突出部分3の上側面4及び下側面5は曲面でもよく、この場合、上枠、下枠及び縦枠におけるパネル体との境界部分についても同様な曲面形状にすることで、全体としてより統一感のある意匠となる。
【0028】
続いて図4に示すのは、壁面体の第四実施形態である。第四実施形態は、第一〜第三実施形態とは異なり、パネル体の替わりに格子体7を用いている。格子体7は、水平方向に延びる複数本の格子材71からなり、格子材71は、断面略正方形で、見込方向に離間させて互い違いに配置してある。すなわち、本実施形態においては上下に並ぶ格子材71が内外二列配置してあり、内側列の格子材71aと外側列の格子材71bとで高さ位置が異なっている。ここで、上下に並ぶ格子材71同士の間隔は、格子材71の断面の一辺の長さよりも短く、手足を掛けることができない程度の隙間となっており、また内側列の格子材71aと外側列の格子材71bとの間隔も、格子材71の断面の一辺の長さよりも短い。そして、外側列の格子材71bは、横桟2の外側端部に位置している。また、横桟2は、中空型材からなり、上面及び下面の外側端部には断面略コ字形の凹溝21を形成してあるが、これはパネル体を用いる壁面体と部材を共用できるようにしたものであり、本実施形態では使用しない。そして、凹溝21より外側、すなわち格子体7の外側列の格子材71bより外側の部分が、外側方向に突出している。この突出部分3は、上側面4が外側下方に約45度傾斜しており、下側面5が外側上方に約45度傾斜している。さらに、格子体7の内側列の格子材71aより内側の部分が内側方向に突出して載置部6を構成している。載置部6の上面は水平面61となっており、植木鉢などを置くための棚として使用できる。
【0029】
このように構成した壁面体の第四実施形態は、第一実施形態と同様に、外側に突出した横桟がアクセントとなって優れた意匠となっており、また突出部分の上側面が外側下方に向けて傾斜しているので横桟に手足を掛けることは困難であって、侵入者を防止する機能にも優れている。そして、互い違いに配置した格子材によって、外部からの視線を遮断しつつ、適度に採風することができる。さらに、載置部を設けることにより、従来視線遮断及び侵入者防止の機能しかなかった壁面体を、棚として使用することができる。なお、載置部上は良好な通風性が確保されており、植木鉢などを載せた場合に、植物を十分に育成させることができる。
【0030】
さらに、格子体の構成については、種々のものが考えられる。以下に示す第五実施形態〜第十実施形態は、何れも二つの格子体を上下に連設してあって、格子体同士の間には横桟が挟んであり、横桟は格子体の内側面より内側の部分が内側方向に突出して載置部を構成しており、横桟の見込方向長さは格子体の厚さによって異なる。そして、連設した格子体の上下にはそれぞれ上枠及び下枠が、幅方向両端には縦枠が取り付けてあり、縦枠は設置面に立設してある。
【0031】
図5に示す第五実施形態及び図6に示す第六実施形態は、何れも格子体7が平板形状の格子材71からなるものであり、第五実施形態では格子材71が垂直方向に延び、第六実施形態では格子材71が水平方向に延びている。そして、何れにおいても格子材71は見込方向に離間させて互い違いに配置してある。このように構成した場合でも、外部からの視線を確実に遮断しつつ、適度に採風することができる。
【0032】
図7に示す第七実施形態及び図8に示す第八実施形態は、何れも格子体7が断面略正方形の格子材71からなるものであり、第七実施形態では格子材71が垂直方向に延び、第八実施形態では格子材71が水平方向に延びている。そして、何れにおいても格子材71は横桟2の外側端部に一列に並んでいる。このように構成した場合でも、外部からの視線をある程度遮断しつつ、適度に採風することができる。
【0033】
図9に示す第九実施形態及び図10に示す第十実施形態は、何れも格子体7が平板形状の格子材71からなるものであり、第九実施形態では格子材71が垂直方向に延び、第十実施形態では格子材71が水平方向に延びている。そして、何れにおいても格子材71は横桟2の外側端部に一列に並んでいる。このように構成した場合でも、外部からの視線をある程度遮断しつつ、適度に採風することができる。
【0034】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、一つの壁面体がパネル体と格子体の両方を備え、それらが横桟を挟んで上下に連設してあってもよい。この際、パネル体と格子体のどちらが上であってもよい。また、横桟は、中空型材ではなく中実部材からなるものであってもよい。さらに、格子体にはルーバー形状のものも含み、さらにこれが可動式で開閉自在のものであってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 パネル体
2 横桟
3 突出部分
4 上側面
5 下側面
6 載置部
7 格子体
61 水平面
71 格子材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10