(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5667430
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】壁面体
(51)【国際特許分類】
E04H 17/16 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
E04H17/16 104
E04H17/16 101
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-286330(P2010-286330)
(22)【出願日】2010年12月22日
(65)【公開番号】特開2012-132245(P2012-132245A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2013年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100168228
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 達則
(72)【発明者】
【氏名】畦地 雄作
【審査官】
新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−150873(JP,A)
【文献】
特開2006−214121(JP,A)
【文献】
特開2010−112119(JP,A)
【文献】
実開昭55−135762(JP,U)
【文献】
実開昭60−061351(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 − 17/26
E04F 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル体と、横枠材とを備え、横枠材が、パネル体の上下に取り付けてあって、パネル体の内側面より内側に突出する載置部を有しており、載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする壁面体。
【請求項2】
格子体と、横枠材とを備え、格子体が、複数本の格子材からなるものであり、横枠材が、格子体の上下に取り付けてあって、格子体の内側面より内側に突出する載置部を有しており、載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする壁面体。
【請求項3】
パネル体と、格子体と、横枠材とを備え、格子体が、複数本の格子材からなるものであり、パネル体と格子体が、横枠材を挟んで上下に連設してあり、横枠材が、パネル体の内側面及び格子体の内側面より内側に突出する載置部を有しており、載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする壁面体。
【請求項4】
格子材が、見込方向に離間させて互い違いに配置してあることを特徴とする請求項2又は3記載の壁面体。
【請求項5】
載置部の上面又は下面の少なくとも一方に、光源を埋め込んであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の壁面体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の敷地境界などに設置されるフェンスなどの壁面体に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の敷地境界などに設置される壁面体として、たとえば特許文献1に示すように、矩形のパネル体の四周を枠材で囲み、これを支柱により立設したものがある。このような壁面体は、外部からの視線を遮断し、かつ外部からの侵入者を防ぐためのものであり、特にそれ以上の機能を有するものではない。一方で、壁面体に植木鉢などを飾りたいという要望があり、そのためにたとえば特許文献2に示すようなハンガーがある。これは、壁面体の上端部に引っ掛けて使用するものであり、特許文献1の壁面体に、特許文献2のハンガーを引っ掛けて植木鉢を飾ることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−52312号公報
【特許文献2】実用新案登録第3066452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の壁面体は、上記のようなハンガーを用いなければ植木鉢などを飾ることができなかった点が問題であり、また上記ハンガーを用いる場合、飾りたい物の数だけハンガーが必要となる点が問題である。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、種々の物品を載置して棚のように使用できる壁面体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の発明は、パネル体と、横枠材とを備え、横枠材が、パネル体の上下に取り付けてあって、パネル体の内側面より内側に突出する載置部を有しており、載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項2の発明は、格子体と、横枠材とを備え、格子体が、複数本の格子材からなるものであり、横枠材が、格子体の上下に取り付けてあって、格子体の内側面より内側に突出する載置部を有しており、載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項3の発明は、パネル体と、格子体と、横枠材とを備え、格子体が、複数本の格子材からなるものであり、パネル体と格子体が、横枠材を挟んで上下に連設してあり、横枠材が、パネル体の内側面及び格子体の内側面より内側に突出する載置部を有しており、載置部の上面が水平面となっていることを特徴とする。
【0009】
本発明のうち請求項4の発明は、格子材が、見込方向に離間させて互い違いに配置してあることを特徴とする。
【0010】
本発明のうち請求項5の発明は、載置部の上面又は下面の少なくとも一方に、光源を埋め込んであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のうち請求項1、2及び3の発明によれば、載置部を設けることにより、従来視線遮断及び侵入者防止の機能しかなかった壁面体を、棚として使用することができる。載置部は、壁面体の横幅長さ分だけ利用することができ、何を置いてもよく、たとえば植木鉢やプランターを置いたり、ガーデニングの道具を置いたり、その他の装飾品を置いたりするなど、自由に使用できる。また、特に請求項2及び3の発明によれば、格子体を用いているので、外部からの視線をある程度遮断しつつ、適度に採風することができる。そして格子体の下側の横枠材の載置部上は良好な通風性が確保されるので、植木鉢などを載せた場合に、植物を十分に育成させることができる。
【0012】
本発明のうち請求項4の発明によれば、互い違いに配置した格子材によって、外部からの視線を確実に遮断しつつ、適度に採風することができる。
【0013】
本発明のうち請求項5の発明によれば、載置部の上面に光源を埋め込んだ場合は、当該載置部に載せた物を下側から照らし、載置部の下面に光源を埋め込んだ場合は、当該載置部の下段の載置部に載せた物を上側から照らすことができる。また、載置部に何も載せていない場合に、間接照明として使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】壁面体の第一実施形態の横枠材部分の拡大断面図である。
【
図2】第一実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA1−A1線断面図、(c)はB1−B1線断面図である。
【
図3】第二実施形態の横枠材部分の拡大断面図である。
【
図4】第二実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA2−A2線断面図、(c)はB2−B2線断面図である。
【
図5】第三実施形態の横枠材部分の拡大断面図である。
【
図6】第三実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA3−A3線断面図、(c)はB3−B3線断面図である。
【
図7】第四実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA4−A4線断面図、(c)はB4−B4線断面図である。
【
図8】第五実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA5−A5線断面図、(c)はB5−B5線断面図である。
【
図9】第六実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA6−A6線断面図、(c)はB6−B6線断面図である。
【
図10】第七実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA7−A7線断面図、(c)はB7−B7線断面図である。
【
図11】第八実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA8−A8線断面図、(c)はB8−B8線断面図である。
【
図12】第九実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA9−A9線断面図、(c)はB9−B9線断面図である。
【
図13】第十実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA10−A10線断面図、(c)はB10−B10線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この壁面体の第一実施形態は、
図1及び
図2に示すように、横長矩形の五つの格子体4を上下に連設したものであり、各格子体4同士の間には横枠材2が挟んであり、さらに最上位の格子体4の上端及び最下位の格子体4の下端にも横枠材2が取り付けてある。そして、格子体4の幅方向両端には縦枠材6が取り付けてあり、縦枠材6は設置面に立設してある。
【0016】
格子体4は、水平方向に延びる複数本の格子材41からなり、格子材41は、断面略正方形で、見込方向に離間させて互い違いに配置してある。すなわち、本実施形態においては上下に並ぶ格子材41が内外二列配置してあり、内側列の格子材41aと外側列の格子材41bとで高さ位置が異なっている。ここで、上下に並ぶ格子材41同士の間隔及び内側列の格子材41aと外側列の格子材41bとの間隔は、格子材41の断面の一辺の長さよりも短い。そして、外側列の格子材41bは、横枠材2の外側端部に位置している。
【0017】
横枠材2は、中空型材からなり、格子体4の内側列の格子材41aより内側の部分が内側方向に突出して載置部3を構成している。載置部3の上面は水平面31となっており、植木鉢Pなどを置くための棚として使用できる。なお、横枠材2の上面及び下面の外側端部、すなわち外側列の格子材41bの位置には、断面略コ字形の凹溝21を形成してあるが、これは格子体4の替わりに平板形状のパネル体を嵌め込めるようにして、そのような壁面体と部材を共用できるようにしたものである。さらに、凹溝21より外側、すなわち格子体4の外側列の格子材41bより外側の部分が、外側方向に突出している。この突出部分は、上側面22が外側下方に約45度傾斜しており、下側面23が外側上方に約45度傾斜している。このような形状にすることで、壁面体を外側から見たときに、横枠材2がアクセントになった優れた意匠になるとともに、外側から横枠材2に手足を掛けることが困難で、侵入者を防止する機能にも優れる。
【0018】
このように構成した壁面体の第一実施形態は、格子体を構成する格子材が互い違いに配置してあることによって、外部からの視線を確実に遮断しつつ、適度に採風することができる。そして、載置部を設けることにより、従来視線遮断及び侵入者防止の機能しかなかった壁面体を、棚として使用することができる。載置部は、壁面体の横幅長さ分だけ利用することができ、何を置いてもよく、たとえば植木鉢やプランターを置いたり、ガーデニングの道具を置いたり、その他の装飾品を置いたりするなど、自由に使用できる。さらに、載置部上は良好な通風性が確保されており、植木鉢などを載せた場合に、植物を十分に育成させることができる。
【0019】
次に、
図3及び
図4に基づいて、第二実施形態について説明する。第二実施形態は、第一実施形態とは異なり、格子体の替わりに平板形状のパネル体1を用いており、横枠材2の外側端部に形成した凹溝21に断面略U字形のグレージングチャンネル24が嵌め込んであり、グレージングチャンネル24がパネル体1を挟み込んで保持している。そして、横枠材2は中空型材からなり、載置部3の上面及び下面には長手方向にわたって取付孔32を形成してある。この上下の取付孔32にそれぞれ光源5が埋め込んであり、光源5は、基板51と、基板51上に設けたLED52と、基板51を支持する略コ字形状の受皿53と、受皿53の開口部を覆う透明窓54からなる。上側の光源5の透明窓54の上面と、載置部3の水平面31とは面一であり、光源5の上に物品を載置することができる。なお、配線は図示省略してあるが、中空の横枠材2の内部を通して同じく図示省略した電源に接続してある。さらに、凹溝21より外側、すなわちパネル体1より外側の部分が、外側方向に突出している。この突出部分は、上側面22が外側下方に約45度傾斜しており、下側面23が外側上方に約45度傾斜している。
【0020】
このように構成した壁面体の第二実施形態は、載置部の上面に埋め込んだ光源により当該載置部に載せた物を下側から照らし、載置部の下面に埋め込んだ光源により当該載置部の下段の載置部に載せた物を上側から照らすことができる。また、載置部に何も載せていない場合に、間接照明として使用することもできる。
【0021】
次に、
図5及び
図6に基づいて、第三実施形態について説明する。第三実施形態は、格子体4を用いており、格子体4及び横枠材2の構成は第一実施形態と同様である。すなわち、格子体4は、水平方向に延びる複数本の格子材41からなり、格子材41は、断面略正方形で、見込方向に離間させて互い違いに配置してある。また横枠材2は、中空型材からなり、格子体4の内側列の格子材41aより内側の部分が内側方向に突出して載置部3を構成している。載置部3の上面は水平面31となっており、植木鉢などを置くための棚として使用できる。さらに、格子体4の外側列の格子材41bより外側の部分が、外側方向に突出しており、この突出部分は、上側面22が外側下方に約45度傾斜しており、下側面23が外側上方に約45度傾斜している。そして、横枠材2の載置部3の上面及び下面には長手方向にわたって取付孔32を形成してあって、この上下の取付孔32にそれぞれ第二実施形態と同様の光源5を埋め込んである。
【0022】
このように構成した壁面体の第三実施形態は、格子体により外部からの視線を確実に遮断しつつ、適度に採風することができる。また、載置部を設けることにより、従来視線遮断及び侵入者防止の機能しかなかった壁面体を、棚として使用することができる。さらに、載置部上は良好な通風性が確保されており、植木鉢などを載せた場合に、植物を十分に育成させることができる。そして、載置部に設けた光源により、載置部に載せたものを照らしたり、載置部に何も載せていない場合に間接照明として使用したりすることもできる。
【0023】
さらに、格子体の構成については、種々のものが考えられる。以下に示す第四実施形態〜第十実施形態は、何れも二枚の格子体を上下に連設してあって(第六実施形態を除く)、格子体同士の間には横枠材が挟んであり、さらに上側の格子体の上端及び下側の格子体の下端にも横枠材が取り付けてある。横枠材は、格子体の内側面より内側の部分が内側方向に突出して載置部を構成しており、横枠材の見込方向長さは格子体の厚さによって異なる。そして、格子体の幅方向両端には縦枠材が取り付けてあり、縦枠材は設置面に立設してある。
【0024】
図7に示す第四実施形態及び
図8に示す第五実施形態は、何れも格子体4が平板形状の格子材41からなるものであり、第四実施形態では格子材41が垂直方向に延び、第五実施形態では格子材41が水平方向に延びている。そして、何れにおいても格子材41は見込方向に離間させて互い違いに配置してある。このように構成した場合でも、外部からの視線を確実に遮断しつつ、適度に採風することができる。
【0025】
図9に示す第六実施形態は、上下端及び中央に横枠材2を備え、上端と中央の横枠材2の間に格子体4を備える。本実施形態の格子体4は、複数枚の平板形状の格子材41を外側下方に向けて傾斜して取り付けたルーバー形状のものである。一方、下端と中央の横枠材2の間には格子体4が存在せず、開放状態となっている。このようにルーバー形状の格子体4にした場合も、外部からの視線を遮断しつつ、適度に採風することができる。また、壁面体の下半部が開放されているので、侵入者防止の機能は低いものの、壁面体に囲まれた空間でも開放感を感じられる。なお、格子材41を可動式にして開閉自在にしてもよい。
【0026】
図10に示す第七実施形態及び
図11に示す第八実施形態は、何れも格子体4が断面略正方形の格子材41からなるものであり、第七実施形態では格子材41が垂直方向に延び、第八実施形態では格子材41が水平方向に延びている。そして、何れにおいても格子材41は横枠材2の外側端部に一列に並んでいる。このように構成した場合でも、外部からの視線をある程度遮断しつつ、適度に採風することができる。
【0027】
図12に示す第九実施形態及び
図13に示す第十実施形態は、何れも格子体4が平板形状の格子材41からなるものであり、第九実施形態では格子材41が垂直方向に延び、第十実施形態では格子材41が水平方向に延びている。そして、何れにおいても格子材41は横枠材2の外側端部に一列に並んでいる。このように構成した場合でも、外部からの視線をある程度遮断しつつ、適度に採風することができる。
【0028】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、一つの壁面体がパネル体と格子体の両方を備え、それらが横枠材を挟んで上下に連設してあってもよい。この際、パネル体と格子体のどちらが上であってもよい。また、横枠材は、中空型材ではなく中実部材からなるものであってもよいし、載置部はその上面に物品を載置できるものであればよく、たとえば一枚板形状などでもよい。さらに、一部の横枠材のみが載置部を有していてもよいし、横枠材の長手方向の一部にのみ載置部を形成してあってもよい。また、光源は載置部の上面又は下面の何れか一方のみに設けてあってもよいし、また一部の横枠材のみに設けてあってもよい。さらに、光源は横枠材の長手方向の一部分のみに設けてあってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 パネル体
2 横枠材
3 載置部
4 格子体
5 光源
31 水平面
41 格子材