【実施例1】
【0015】
本実施例は、本発明のタイル表面の平面構成用補助具の基本的な構成を示すものである。
【0016】
図1は、タイル表面の平面構成用補助具の基本的な構成を示す図である。
図(a)に示すクリップ1は、その下方に底板面11が備えられ、底板面11から上方に向けて支柱部13が備えられている。支柱部13には、クリップ切断部14が備えられている。クリップ切断部14について、その詳細は実施例3に示すが、支柱部13を曲げることにより切断される部分である。支柱部13のさらに上方には固定部12が備えられている。固定部12は、くさび2の固定用斜部22と係合し、くさび2を固定する。
図(b)に示すくさび2は、その下面(図では隠れている)が天板面21であり、上方に固定用斜部22が備えられている。
【0017】
図2は、タイル表面の平面構成用補助具の使用状態を示す図である。
図1におけるA−A’方向の断面が示されている。
隣接する2つのタイル3の下方に底板面11が置かれている。その底板面11の上には、接着剤31が塗られ、その上にタイル3が置かれている。支柱部13が目地部分を通ってタイル3の上方に突出している。タイルの上部の固定部12の下にくさび2が挿入される。固定部12と固定用斜部22とが係合し、2つのタイルの表面が天板面に合わせて平面を構成する位置に固定される。この際、プライヤ保持面15と押込用面24とをプライヤで挟んで、くさび2をクリップ1にしっかりと押し込むことで、天板面21をタイル3に圧着し、かつ、固定を強固にする。また、安定用凸部25は、プライヤで押し込む際にくさび2が傾いてくさび2の押込用面24の側が下方にずれることを予防する。
なお、天板面は、タイルを平面に保持することができればよく、必ずしも全体が平面である必要はない。タイルを平面に固定することができる限りにおいて、天板面の形状は任意である。例えば、天板面のタイルに接する部分は、平面全体でなくその一部の格子状、縞状等の部分であってよい。この場合、タイルに接する部分以外の部分を空洞とすることができ、くさびの軽量化、コスト軽減が可能である。
【0018】
図3は、タイル表面の平面構成用補助具の各部分のサイズを示す図である。
支柱部13のくさび2の挿入方向の厚さvは、タイルの目地幅wよりも小さく、クリップ1はタイルの間に容易に設置し得る。ここで、vの値は各種の目地幅に対応するため、0.5mm、1mm、2mm等にすることが考えられる。3mm以下であることが好ましい。
固定用斜部22は平面であり、天板面21と固定用斜部22とが構成する角度θは15度である。θの値が小さいほど固定部からくさび2加わる応力がくさびをタイル面の押し付ける効果が大きくなる。一方、θの値が大きいほど、小さなくさびによってタイル面と固定部との距離の変化に対応することができる。θの値は任意に設計し得るが、これら両者の効果を得るため、10度〜45度であることが好ましい。
【0019】
図4は、タイル工事におけるタイル表面の平面構成用補助具の使用例を示す図である。
多くのタイル3について、全てのタイルの上面を1つの平面に揃えることができる。以下の手順によって工事を行う。
クリップ1を置き、ボンド、モルタル等の接着剤31を塗る。接着剤31は底板面11にも塗られる。接着剤31の上にタイル3が載るようにタイルを置く。
支柱部13をタイルとタイルの間の目地部分に挟むようにする。この際、目地幅は目地ピッチで調整する。支柱部13は、目地ピッチによって定まる目地幅よりも薄いものとする。
くさび2を差し込み、プライヤで強く押し込む。
接着剤が硬化すると、隣接するタイル同士の上面はタイル表面の平面構成用補助具の天板面に合わせて段差の小さな略平面に固定される。
クリップを切断して上部を除去する。くさび2の押込用面24を蹴ることによって支柱部13が
図3の左側方向に曲がりクリップ切断部14において切断されるので、クリップを容易に切断することができる。クリップが切断された結果として、くさび2はクリップ1から外れる。目地部分にクリップを除去した空隙が残るので、そこに目地材を充填する。
タイル上面にクリップが残らずに工事が完成する。なお、くさび2は再利用することができる。
【0020】
タイル表面の平面構成用補助具はプラスチック、ゴム、セラミックス、木等の各種材料によって作成され得る。材料としてプラスチックを用いることにより、金型成型によって小さなコストで大量生産が可能である。固定部12と固定用斜部22とをゴム製とし、摩擦を大きくして固定を確実にすることもできる。その他材料の特性を活用した各種設計が可能である。
【実施例2】
【0021】
本実施例は、固定用斜部のバリエーションを示すものである。
【0022】
図5は、固定用斜部のバリエーションを示す図である。
図(a)に示すように、固定用斜部は、平面でなく曲面であってもよい。図のように上面凹状の曲面のほうが、くさびを挿入しやすいこともある。曲面の形状は、図に示したものに限定されず、図の左下から右上に向けて上昇している形状であればいかなる形状であってもよい。
図(b)に示すように、固定用斜部に挿入方向に略直行する方向に凸条23を多数設けてもよい。
図6は、固定部と凸条との係合を示す図である。このように、固定部12と凸条23との係合によって、外部から力が加わってもくさび2が移動しづらく、移動・脱落を防止できる。
【実施例3】
【0023】
本実施例は、クリップ切断部の構成の例を示すものである。
【0024】
図7は、クリップ切断部の構成を示す図である。
クリップ切断部14は、支柱部13を曲げることにより切断される部分であるが、図(a)に示すように、支柱部13の底板面に接する部分を切り欠く凹条を構成し、クリップ切断部14とすればよい。図(b)は、クリップ切断部を示す断面図である。なお、クリップ切断部は、凹条以外の形状、例えばミシン目状の切断によって構成することもできる。支柱部13の中で他の部分よりも切断されやすく、支柱部を曲げることによりクリップ切断部が切断され他の部分が切断されない限りにおいてクリップ切断部の形状はいかなるものであってもよい。
クリップ切断部によって底板部よりも上の部分が切り離されるので、工事完了後はクリップが目地部分に残らずタイルの下方に埋められる。残存したクリップによって目地部分が脆弱化することがない。
なお、クリップ切断部は、底板面に接するものでなく、接着剤の厚みの範囲で底板面よりも上方の支柱部に設けてもよい。しかし、接着剤を薄く使用する場合に対応するため、底板面に接するものが好ましい。
【実施例4】
【0025】
本実施例は、本発明のタイル表面の平面構成用補助具の別途の構成を示すものである。
【0026】
図8は、タイル表面の平面構成用補助具の例を示す図である。
クリップ1とくさび2とは必ずしも一対である必要はなく、図に示すように幅の広いくさび2を2つのクリップで両側から保持してもよい。クリップを大きくせずにくさびの幅を大きくすることができる。辺が長い大きなタイルに適している。なお、本実施例においては、くさびを押し込むための器具として、一般的なプライヤでなく、2つのプライヤ保持面15と1つの押込用面24に対応した器具を利用することも考えられる。