(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
図1(A)は、実施形態に係る光電変換素子の構成を示す概略断面図である。
図1(B)は、光電変換素子を受光面とは反対側から平面視したときの、金属ナノ粒子の配置の様子を示す平面図である。
図1(A)は、
図1(B)のA−A線上の断面図に相当する。
図1(B)では誘電体層38の図示を省略している。
【0017】
図1(A)に示すように、光電変換素子10は、光電変換層20、反射防止膜32、複数の金属ナノ粒子36、誘電体層38および透明薄膜50を備える。本実施形態では、光電変換素子10は太陽電池である。
【0018】
光電変換層20は、たとえば、p型半導体とn型半導体とが接合したpn接合を有し、pn接合の光起電力効果により太陽からの光エネルギーが電気エネルギーに変換される。n型半導体、p型半導体にそれぞれ電極(図示せず)を取り付けることにより、直流電流を光電変換素子10の外部に取り出すことができる。光電変換層20は、たとえば、単結晶シリコン基板であり、IV族半導体基板で構成された太陽電池として周知のpn接合を有する。なお、光電変換層20は、多結晶シリコン基板であってもよい。また、光電変換層20は、光電変換が可能な構造であればその構造は特に限定されず、光電変換層20にp−i−n接合が形成されていてもよい。
【0019】
光電変換層20は、互いに対向する第1主表面S1と第2主表面S2とを有する。光電変換層20は、第1主表面S1が光電変換素子10の受光面側(
図1(A)の上面側)に位置し、第2主表面S2が光電変換素子10の受光面とは反対側(
図1(A)の下面側)に位置するように設けられている。
【0020】
反射防止膜32は、光電変換層20の第1主表面S1に設けられている。反射防止膜32は、光電変換素子10が受光する光の波長領域での透明性と、光電変換素子10が受光する光の反射を防止する機能を兼ね備えていれば、形態および材料は特に限定されないが、たとえば、SiO
2、SiN
x、TiO
2、ITOなどが挙げられる。
【0021】
複数の金属ナノ粒子36は、光電変換層20の主表面側に2次元配置されている。本実施形態では、複数の金属ナノ粒子36は、光電変換層20の第2主表面S2側に、2次元配置されている。より詳細には、複数の金属ナノ粒子36は、光電変換層20の第2主表面S2に配置された後述する透明薄膜50の表面上に点在している。
【0022】
金属ナノ粒子36の材料は、金属材料であればよく特に限定されないが、Frohlichモード(Bohren and Huffman, Absorption and Scattering of Light by Small Particles, Wiley, 1983 を参照)の共鳴波長が反射を防止する光の波長と近い物が望ましく、たとえば、Au、Ag、Al、Cuまたはこれらの金属を含む合金が挙げられる。
【0023】
金属ナノ粒子36の3次元形状は特に限定されないが、たとえば、球状、半球状、円柱状、角柱状、ロッド状、円盤状などの形状が挙げられる。また、光電変換層20の主表面に略垂直な方向から見たとき、すなわち光電変換層20を平面視した場合、金属ナノ粒子36の形状は、以下の(1)〜(3)の条件の少なくとも1つを満たす。
【0024】
条件(1):複数の金属ナノ粒子36の1%粒子面積比が0.1以下である。
【0025】
条件(2):複数の金属ナノ粒子36の5%粒子面積比が0.2以下である。
【0026】
条件(3):複数の金属ナノ粒子36の10%粒子面積比が0.3以下である。
【0027】
ここで、「X%粒子面積比」は、複数の金属ナノ粒子36の個数のX%をNとした場合、複数の金属ナノ粒子36を粒子面積の低い順に並べたときのN番目の金属ナノ粒子36の粒子面積比である。前記「粒子面積比」は、以下の式(1)で表される。
粒子面積比=粒子面積/平均粒子面積・・・(1)
【0028】
前記「X%粒子面積比」は、複数の金属ナノ粒子36の面積分布の広さを示す指標である。たとえば1000個の金属ナノ粒子36の10%粒子面積比が1であった場合、100番目の金属ナノ粒子36よりも面積が小さい99個の金属ナノ粒子36が、粒子面積比1未満の範囲に分布する。一方、1000個の金属ナノ粒子36の10%粒子面積比が0.3であった場合、99個の金属ナノ粒子36が粒子面積比0.3未満の範囲に分布する。すなわち、同じXであればX%粒子面積比の値が小さいほど、平均粒子面積からより外れた金属ナノ粒子36が多く存在することになる。したがって、同じXであればX%粒子面積比の値が小さいほど面積分布が広いことを示す。
【0029】
複数の金属ナノ粒子36が上述した(1)〜(3)のいずれかの条件を満たす形状を有する場合、複数の金属ナノ粒子36が幅広い面積分布を持つ。これにより、より幅広い波長領域の光を効率よく光電変換層20に吸収させることができる。その結果、光電変換素子10の光電変換効率が向上する。
【0030】
光電変換層20を平面視した場合に略円形の金属ナノ粒子36については、その直径Dが、たとえば約10nm〜約1000nmの範囲である。光電変換層20と反対側の透明薄膜50の主表面を基準面としたときの金属ナノ粒子36の高さHは、たとえば、約5nm〜約500nmの範囲である。
【0031】
光電変換層20を平面視した場合の単位面積当たりの金属ナノ粒子36の数密度の好ましい範囲は、1.0×10
7個/cm
2〜1.0×10
10個/cm
2であり、より好ましくは1.0×10
8〜5.0×10
9個/cm
2、さらに好ましくは5.0×10
8〜2.0×10
9個/cm
2である。
【0032】
透明薄膜50は、複数の金属ナノ粒子36と光電変換層20との間に設けられている。すなわち、透明薄膜50は、光電変換層20の第2主表面S2に設けられている。透明薄膜50は、光電変換素子10が受光する光に対して透明である。すなわち、透明薄膜50のバンドギャップが、光電変換層20のバンドギャップよりも大きい。また、光電変換層20の第2主表面S2側に電極を形成する場合には、集電性向上の観点から透明薄膜50は導電性を有することが好ましい。
【0033】
透明薄膜50の材料としては、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、シリコンカーバイド、サファイア、アルミナ、水晶、フッ素樹脂、SnO
2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ITO、ZnO、SiO
2、TiO
2、ZrO
2、Mn
3O
4、Y
2O
3、WO
3、Nb
2O
5、La
2O
3、Ga
2O
3、Ag
2O、CuO、a−Si:H、μc−Si:H、SiO
x:H、SiC、SiN
x、AlO
x:H、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、トリアセチルセルロース、ポリウレタン、シクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。
【0034】
透明薄膜50の厚さは、約5nm〜約200nmの範囲が好ましい。また、透明薄膜50中の酸素の含有量を5atm%以上であることが好ましい。この他、透明薄膜50の屈折率n
1は、光電変換層20の屈折率n
2に対して、n
1>0.7n
2という関係であることが好ましい。
【0035】
本実施形態に係る光電変換素子10では、金属ナノ粒子36と光電変換層20の第2主表面S2との間に透明薄膜50が介在している。そのため、金属ナノ粒子36は、光電変換層20の第2主表面S2に接していない。金属ナノ粒子36が光電変換層20と接している構造の場合には、金属ナノ粒子36と光電変換層20の間の金属−半導体界面でキャリアの再結合反応が促進されることや、金属ナノ粒子36を構成する金属原子が光電変換層20の中に拡散して光電変換層20を汚染することで、光電変換素子10の光電変換効率が低下する可能性がある。これに対し、本実施形態では、光電変換層20の第2主表面S2面と金属ナノ粒子36との間に透明薄膜50が介在しているため、金属ナノ粒子36と光電変換層20との間でキャリアの再結合が生じることを抑制することができる。さらに、透明薄膜50中の酸素の含有量を5atm%以上とすることにより、金属ナノ粒子36を構成する金属原子が光電変換層20へ拡散することを効果的に抑制することができる。
【0036】
また、透明薄膜50の屈折率n
1が光電変換層20の屈折率n
2に対してn
1>0.7n
2という関係にあることにより、金属ナノ粒子36からの反射光の散乱角をより大きくすることができ、光電変換層20における光路長をさらに増大させることができる。
【0037】
誘電体層38は、少なくとも金属ナノ粒子36の表面を被覆するように、光電変換層20の第2主表面S2側に設けられている。誘電体層38の屈折率は1.3以上が好ましい。誘電体層38は、光電変換素子10が受光する光に対して透明性を有する。すなわち、誘電体層38のバンドギャップが、光電変換層20のバンドギャップよりも大きい。また、誘電体層38の上に電極を形成する場合には、集電性の向上の観点から誘電体層38は導電性を有することが好ましい。
【0038】
誘電体層38の材料としては、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、シリコンカーバイド、サファイア、アルミナ、水晶、フッ素樹脂、SnO
2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ITO、ZnO、SiO
2、TiO
2、ZrO
2、Mn
3O
4、Y
2O
3、WO
3、Nb
2O
5、La
2O
3、Ga
2O
3、Ag
2O、CuO、a−Si:H、μc−Si:H、SiO
x:H、SiC、SiN
x、AlO
x:H、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、トリアセチルセルロース、ポリウレタン、シクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。誘電体層38の厚さは、特に限定されないが、たとえば、約5nm〜約2000nmである。
【0039】
(光電変換素子の作製方法)
本実施形態に係る光電変換素子10の作製方法を
図2(A)〜
図2(E)を参照して説明する。
図2(A)〜
図2(E)は、実施形態に係る光電変換素子の作製方法を示す工程断面図である。
【0040】
まず、
図2(A)に示すように、受光面となる光電変換層20の第1主表面S1に膜厚50〜200nmの反射防止膜32が積層される。なお、光電変換層20はp型単結晶Si基板を含み、光電変換層20には周知の熱拡散法、イオン注入法、真空成膜法などを用いて予めp−n接合が形成されている。反射防止膜32の積層方法は特に限定されないが、たとえば、真空成膜法によりSiN
xやITOなどの透明材料を光電変換層20に成膜する方法が挙げられる。
【0041】
次に、
図2(B)に示すように、光電変換層20の第2主表面S2に膜厚5〜200nmの透明薄膜50が積層される。透明薄膜50の積層方法は特に限定されないが、反射防止膜32の作製方法と同様に、たとえば、真空成膜法によりμc−Si:H(微結晶Si:H)やITOなどの透明材料を光電変換層20に成膜する方法が挙げられる。
【0042】
次に、
図2(C)に示すように、透明薄膜50の主表面に、たとえば膜厚1〜200nmの金属薄膜35が積層される。金属薄膜35の積層方法は特に限定されないが、たとえば、真空蒸着法によりAg、Al、Au、Cuなどの金属またはこれらの金属を含む合金を透明薄膜50に堆積させて金属薄膜35を形成する方法が挙げられる。
【0043】
次に、
図2(D)に示すように、金属薄膜35が加熱され、これにより金属薄膜35が複数の粒子状に変形する。金属薄膜35の加熱温度は、たとえば100〜500℃である。その結果、透明薄膜50上に、複数の金属ナノ粒子36が2次元配置される。複数の金属ナノ粒子36の上述したX%粒子面積比は、金属薄膜35の膜厚や加熱温度等を変えることで調整することができる。
【0044】
次に、
図2(E)に示すように、金属ナノ粒子36の表面を被覆するように誘電体層38が積層される。誘電体層38の積層方法は特に限定されないが、反射防止膜32の作製方法と同様に、たとえば、真空成膜法によりITOやZnOなどの誘電材料を成膜する方法が挙げられる。
【0045】
以上説明した工程により、本実施形態に係る光電変換素子10を簡便に形成することができ、ひいては光電変換素子10の製造コストを低減することができる。
【0046】
以上説明した実施形態に係る光電変換素子10によれば、複数の金属ナノ粒子36が有する、局在表面プラズモン起因の強い光散乱性によって、光電変換層20で吸収しきれなかった入射光が散乱反射される。そのため、光電変換層20内での入射光の光路長が増大し、入射光を効率的に光吸収することができる。また、複数の金属ナノ粒子36は、幅広い粒子面積分布を持つため、幅広い波長領域の光を効率よく光電変換層20に吸収させることができる。その結果、光電変換素子10の光電変換効率が向上する。
【0047】
また、本実施形態の光電変換素子10では、複数の金属ナノ粒子36が誘電体層38で被覆されている。これにより、金属ナノ粒子36が大気や水に曝されることが抑制されるため、金属ナノ粒子36の安定性を高めることができる。また、光電変換層20において、長波長側の光が透過しやすい場合に、金属ナノ粒子36の活性波長を長波長側にシフトさせつつ、散乱特性を向上させることができる。
【実施例】
【0048】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0049】
(実施例1)
<光電変換層の作製>
厚さ100μmのp型シリコンウェハー(抵抗率0.5〜5Ωcm)の一方の表面にi層として厚さ5nmのa−Si:Hを積層し、さらにi層の上に厚さ7.5nmのn型のa−Si:Hを積層し、光電変換層を作製した。p型シリコンウェハーの屈折率を分光エリプソメーターで測定した結果、600nmで3.9であった。
【0050】
<反射防止膜の作製>
n型のa−Si:Hの上に、反射防止膜として厚さ75nmのITOを成膜した。
【0051】
<透明薄膜の作製>
p型シリコンウェハーの露出面(裏面)に、透明薄膜としてp型の微結晶Si:Hを30nm成膜した。
【0052】
<金属ナノ粒子の作製>
透明薄膜の表面に、蒸着法によって金属薄膜としてAg薄膜を20nm成膜した。このAg薄膜に200℃で加熱処理を施して、複数のAgナノ粒子を透明薄膜上に形成した。
【0053】
<誘電体層の作製>
Agナノ粒子を被覆する誘電体層として、厚さ200nmのZnOを成膜した。
【0054】
<電極の作製>
反射防止膜を構成するITOの上にAgを用いて細線電極を形成した。また、誘電体層を構成するZnOの上(透明薄膜とは反対側のZnOの主表面上)にAgを用いて全面電極を形成した。
【0055】
以上の工程により、実施例1の光電変換素子(太陽電池)を作製した。
【0056】
(実施例2)
実施例2の太陽電池は、金属ナノ粒子の作製方法を除き、実施例1と同様な手順にて作製された。
【0057】
<金属ナノ粒子の作製>
透明薄膜の表面に、蒸着法によって金属薄膜としてAg薄膜を25nm成膜した。このAg薄膜に200℃で加熱処理を施して、複数のAgナノ粒子を透明薄膜上に形成した。
【0058】
(実施例3)
実施例3の太陽電池は、金属ナノ粒子の作製方法を除き、実施例1と同様な手順にて作製された。
【0059】
<金属ナノ粒子の作製>
透明薄膜の表面に、蒸着法によって金属薄膜としてAg薄膜を30nm成膜した。このAg薄膜に200℃で加熱処理を施して、複数のAgナノ粒子を透明薄膜上に形成した。
【0060】
(比較例1)
比較例1の太陽電池は、金属ナノ粒子を作製しなかったことを除き、実施例1と同様の手順にて作製された。
【0061】
(比較例2)
比較例2の太陽電池は、金属ナノ粒子の作製方法を除き、実施例1と同様な手順にて作製された。
【0062】
<金属ナノ粒子の作製>
アルミニウム基板の表面を0.1mol/Lシュウ酸と0.1mol/Lマロン酸の混合水溶液中で80Vで陽極酸化した後に、酸化された表面(バリア層)以外のアルミニウム基板を除去し、バリア層に形成された多数の孔を20倍希釈したリン酸水溶液を用いて貫通させることにより、複数の貫通孔を有するアルミナマスクを得た。このアルミナマスクを通して透明薄膜上にAgを真空蒸着することにより、高さ50nmの複数のAgナノ粒子を形成した。
【0063】
(比較例3)
比較例3の太陽電池は、金属ナノ粒子の作製方法を除き、実施例1と同様な手順にて作製された。
【0064】
<金属ナノ粒子の作製>
湿式混合法によって作製したAgナノ粒子分散液(平均粒子径:150nm)を透明薄膜に塗布して、複数のAgナノ粒子を透明薄膜上に形成した。
【0065】
(比較例4)
比較例4の太陽電池は、金属ナノ粒子の作製方法を除き、実施例1と同様な手順にて作製された。
【0066】
<金属ナノ粒子の作製>
湿式混合法によって作製したAgナノ粒子分散液(平均粒子径:200nm)を透明薄膜に塗布して、複数のAgナノ粒子を透明薄膜上に形成した。
【0067】
<金属ナノ粒子の面積の測定>
実施例1〜3および比較例1〜4の太陽電池について、光電変換層の主表面に略垂直な方向から見たときのAgナノ粒子の面積を測定した。Agナノ粒子の面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)で得られた画像を解析することで測定した。画像解析には、ImageJ version 1.42qを用いた。SEM画像から測定対象となるAgナノ粒子の領域を抽出する手法として、Li法(Li, CH & Tam, PKS (1998),"An Iterative Algorithm for Minimum Cross Entropy Thresholding", Pattern Recognition Letters 18(8):771-776)を用い、SEM画像上で明度の高い領域を抽出した。抽出された領域は、ImageJ付属の粒子検出機能を用いて粒子検出を行い、当該領域中のAgナノ粒子個々の面積を算出した。得られた各Agナノ粒子の面積から、当該領域中のAgナノ粒子について平均粒子面積、1%粒子面積比、5%粒子面積比、10%粒子面積比および50%粒子面積比を算出した。各実施例および各比較例の結果を表1に示す。
【0068】
<太陽電池の性能評価>
実施例1〜3および比較例1〜4の太陽電池について、100mW/cm
2擬似太陽光を照射して電流−電位特性を評価した。Agナノ粒子を形成しなかった比較例1を基準として、実施例1〜3および比較例2〜4について、短絡電流密度の相対値を算出した。その結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
表1に示すように、実施例1〜3では、1%粒子面積比が0.1以下であることが確認された。一方、比較例2〜4では、1%粒子面積比が0.1を上回っていた。
【0071】
また、実施例1〜3では、5%粒子面積比が0.2以下であることが確認された。一方、比較例2〜4では、5%粒子面積比が0.2を上回っていた。
【0072】
また、実施例1〜3では、10%粒子面積比が0.3以下であることが確認された。一方、比較例2〜4では、10%粒子面積比が0.3を上回っていた。
【0073】
また、実施例1〜3の太陽電池では、比較例1〜4の太陽電池に対して短絡電流密度が顕著に増大しており、光吸収が増大する効果が確認された。このことから、実施例1〜3が満たす上述の粒子面積分布が、太陽電池の性能向上に寄与していることが分かる。
【0074】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【0075】
たとえば、上述した実施形態では、光電変換層20の第2主表面S2側に複数の金属ナノ粒子36が形成されているが、複数の金属ナノ粒子36は、光電変換層20の第1主表面S1側に形成されていてもよい。