【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で使用される「流体」という用語は、一般に生物学的および非生物学的(化学)流体を指す。生物学的流体には、血液、血清、尿素、血漿、乳汁、唾液、脳脊髄液、核酸含有液などの体液があり、例えば、医学、薬学研究や診断における1または2以上の分析および評価を行うことができる。非生物学的流体には、薬剤と、試薬などの化学化合物がある。特に、試薬は1または2以上の検体を含有する試料と混合するための溶液であり、その中に含有する検体に対する変化を検出することができる。この用語のさらに厳密な意味として、試薬にはこれらの検体と反応することができる物質を含む。しかし、試薬は緩衝液や希釈液などの非反応液であってもよい。
【0008】
本明細書で使用される「洗浄液」という用語は、自動臨床分析器で、通常使用される流体、例えば界面活性剤、塩、保存液および可溶化剤などの特定の物質が加えられている水溶液を指す。一般に、水または他の極性もしくは非極性溶剤は、添加剤の有無に関わらず、洗浄液として使用することができる。
【0009】
本明細書で使用される「流体マニピュレータ」という用語は、流体の操作で外部もしくはその外面を流体と接触させることを必要とする限り、物理的に流体を操作するのに使用することができる対象物を指す。
【0010】
本発明において、流体を操作するための1つまたは2つ以上の再利用可能な流体マニピュレータを洗浄する新規な洗浄要素が提案される。いくつかの実施形態において、再利用可能な流体マニピュレータとは、流体をピペット操作するための再利用可能なピペットである。いくつかの実施形態において、再利用可能な流体マニピュレータとは、流体を撹拌するための回転可能なパドルなどの再利用可能な撹拌器である。
【0011】
いくつかの実施形態において、本発明の洗浄要素は、ノズルを介して洗浄液を送り込む流体ポンプにつなげた少なくとも1つのノズルを含む。ノズルから放出される流体噴流を生成するためノズルの開口部から洗浄液を強制注入するのに、流体ポンプを使用することができる。いくつかの実施形態において、洗浄要素は、偏向板表面に隣接して位置する「洗浄域」として以下で示される空間領域に向かって、偏向板表面に作用する流体噴流を偏向するようにノズルと動作可能に連結した少なくとも1つの偏向板表面をさらに含む。洗浄域は、洗浄する少なくとも1つの流体マニピュレータの少なくとも一部分が入る大きさである。特に、偏向板表面は、洗浄域にある少なくとも1つの流体マニピュレータの外部を洗浄するように流体噴流を偏向し、広がるよう形成される。
【0012】
一般に、偏向された流体噴流は、例えば、使用者の特定の要望に応じてその寸法、形状および噴出圧から得られる特徴を有することができる。いくつかの実施形態において、偏向された流体噴流は、洗浄する1つまたは2つ以上の流体マニピュレータに特に適合する。いくつかの実施形態において、偏向板の表面は、扇状に流体噴流を広げるように形成される。いくつかの実施形態において、偏向板表面は、円錐状に流体噴流を広げるように形成される。いくつかの実施形態において、偏向板表面は流体噴流を噴霧するように形成される。いくつかの実施形態において、偏向板表面は凹状のくぼみにより形成される。いくつかの実施形態において、偏向板表面は凹状の三角形状のくぼみにより形成される。いくつかの実施形態において、偏向板表面は凸状のキャップにより形成される。いくつかの実施形態において、偏向板表面はラウンドした先端により形成される。
【0013】
それに応じて、本発明の洗浄要素において、ノズルから放出される流体噴流は偏向板表面により偏向されており、少なくとも1つの流体マニピュレータの、つまり洗浄域にある流体マニピュレータの少なくとも一部分の外表面を洗浄する洗浄域を標的とする。それゆえ、流体噴流は間接的に少なくとも1つの流体マニピュレータを標的とする。本発明の洗浄要素は1つまたは2つ以上の流体マニピュレータの外部を簡単に、および確実に洗浄できることが有利となる。
【0014】
いくつかの実施形態において、ノズルは、偏向板表面と一体化させて成形されるため、例えば、射出成形などの従来の成形技術を使用して、洗浄要素を低コストで容易に製造することができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、ノズルおよび/または偏向板表面は、ノズルおよび/または偏向板表面が別のノズルおよび偏向板表面にそれぞれ容易に取り換えることができるように着脱自在なように取り付け台に固定される。いくつかの実施形態において、互いに異なる複数のノズルのそれぞれ1つを着脱自在に固定するように、洗浄要素の取り付け台を適合させる。種々のノズルでは、例えば、生成された流体噴流が偏向板表面に作用する特定の特性に影響を及ぼすようにノズル内部の洗浄液を導くノズルポートの大きさおよびノズルダクトの形状などのノズルパラメータが異なりうる。それに応じて、洗浄要素のノズルは、1つまたは2つ以上の流体マニピュレータを洗浄するための特定のニーズにノズルを適合させるよう、別のノズルに容易に取り換えることができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、複数の種々の偏向板表面のそれぞれ1つを着脱自在に固定するよう洗浄要素の取り付け台を適合させる。種々の偏向板表面は、例えば、偏向された流体噴流の特性に影響するように形状および大きさなどの特定の表面パラメーターを変えることができる。それに応じて、洗浄要素の偏向板表面は、偏向表面が1または2以上の流体マニピュレータを洗浄するための特定のニーズに有利に適合することができるように、別の偏向板表面に容易に取り換えられることができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、互いの様々な距離間でノズルおよび偏向板表面を着脱自在に固定するよう洗浄要素の取り付け台を適合させる。それに応じて、偏向された流体噴流の特性を、1つまたは2つ以上の流体マニピュレータを洗浄するための特定のニーズに有利に適合させることができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、取り付け台に対して様々な位置でノズルおよび/または偏向板表面を着脱自在に固定するよう洗浄要素の取り付け台を適合させる。従って、ノズルおよび/または偏向板表面は、例えば、1または2以上の流体マニピュレータを洗浄するための特定のニーズに対して、偏向された流体噴流の特性を適合させるように取り付け台に対して種々の傾斜を持たせることができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、1または2以上の流体マニピュレータは細長い物体になるよう構成される場合、1または2以上の流体マニピュレータの伸長に対し平行な流体噴流を生成するようノズルを適合させている。いくつかの別の実施形態において、1または2以上の流体マニピュレータが細長い物体である場合、1または2以上の流体マニピュレータの伸長に対して傾斜した偏向板表面に作用する流体噴流を生成させるようノズルを適合させている。
【0020】
本発明において、流体の自動操作用の自動システムの1または2以上の再利用可能な流体マニピュレータを洗浄する新たな洗浄ステーションが提案される。いくつかの実施形態において、洗浄ステーションは、1または2以上の洗浄域を有する1または2以上の流体マニピュレータを挿入するためのキャビティを備え、そのそれぞれが少なくとも1つの流体マニピュレータの少なくとも一部が入る大きさである。それに応じて、少なくとも1つの流体マニピュレータの少なくとも一部分の外部を、キャビティ内で洗浄することができる。いくつかの実施形態において、キャビティは、例えば、カップ様の構造を有する上部が開口したケーシングにより形成される。いくつかの実施形態において、キャビティは、1または2以上の流体マニピュレータを挿入する少なくとも1つの頂部開口部を備える密閉ケーシングにより形成される。
【0021】
いくつかの実施形態において、洗浄域のそれぞれが、流体噴流を生成するためにノズルを介して洗浄液を送り込む第1の流体ポンプにつなげられた少なくとも1つのノズルと、洗浄域に向かって流体噴流を偏向するよう位置付けられた少なくとも1つの偏向板表面を備える少なくとも1つの洗浄要素に動作可能に連結されている。偏向板表面は、洗浄域にある少なくとも1つの流体マニピュレータの外部を洗浄するように流体噴流が広がるよう成形される。本発明の洗浄ステーションの1または2以上の洗浄要素を、上述の実施形態のいずれか1つにおいて構成することができる。繰り返しを避けるため、本発明の洗浄要素に関連した上記の記載を参照する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの洗浄域は連動して1つの洗浄要素に連結される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの洗浄域は、複数の洗浄要素に連結される。
【0022】
いくつかの実施形態において、洗浄ステーションは、1または2以上の流体マニピュレータを洗浄する過程において生成された排液をキャビティから除去するためのキャビティに開口される少なくとも1つの排水口またはポートを備える。
【0023】
それに応じて、本発明の洗浄ステーションにおいて、1または2以上の流体マニピュレータを、少なくともその部分が洗浄域にある位置に取り込むことができる。洗浄ステーションは、1または2以上の流体マニピュレータの外部を洗浄するように、流体試料を分析する既存の自動臨床分析器に容易に一体化させることができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、上記の洗浄域に向かって乾燥用流体の流体噴流を生成するために、少なくとも1つの洗浄要素は上記のノズルを介して乾燥用流体を送り込む第2の流体ポンプに接続される。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記のキャビティは1つまたは2つ以上の乾燥域を含み、このそれぞれが少なくとも1つの流体マニピュレータの少なくとも一部分が入る大きさであり、上記の乾燥域に向かって乾燥用流体の流体噴流を生成するために、乾燥域それぞれが上記のノズルを介して乾燥用流体を送り込む第2の流体ポンプに接続する少なくとも1つのノズルを備える少なくとも1つの乾燥要素に連結される。いくつかの実施形態において、本発明の洗浄ステーションは特に、互いに異なる種々の流体マニピュレータに適合する複数の洗浄要素を備える。従って、洗浄ステーションは、異なる流体マニピュレータを効率よく洗浄できるため有利となる。それに応じて、排液量を有利に減らすことができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、本発明の洗浄ステーションは、その少なくともいくつかが、種々の流体マニピュレータを洗浄および/または乾燥させるための特定のニーズに洗浄要素および/または乾燥要素を適合させるよう互いに同様なまたは異なる複数の洗浄要素および/または乾燥要素を備える。いくつかの実施形態において、1つまたは2つ以上の洗浄要素および/または乾燥要素は、洗浄要素が他の洗浄要素および/または乾燥要素により容易に取り換えることができるようにする取り付け台に着脱自在に固定される。いくつかの実施形態において、ケーシングを形成するキャビティは、1または2以上の洗浄要素および/または乾燥要素を着脱自在に固定するのに使用される。
【0027】
いくつかの実施形態において、互いに異なる複数の洗浄要素および/または乾燥要素のそれぞれ1つを着脱自在に固定するよう、洗浄ステーションの取り付け台を適合させる。種々の洗浄要素および/または乾燥要素は、ノズルおよび/または偏向板表面および/または互いにおよび/または取り付け台に対して相対的な位置が異なっていてよい。特に、乾燥要素は、偏向する表面を備え、または備えていなくてよい。それに応じて、偏向された流体噴流の特性は、種々の流体マニピュレータを洗浄し、および/または乾燥させるための特定のニーズに適合させ得ることが有利となる。いくつかの実施形態において、取り付け台に対する種々の位置にて、互いに異なる複数の洗浄要素および/または乾燥要素のそれぞれ1つを着脱自在に固定させるように、洗浄ステーションの取り付け台を適合させる。それに応じて、種々の流体マニピュレータを洗浄し、および/または乾燥させるための特定のニーズに、偏向された流体噴流の特性を適合させ得るため有利となる。
【0028】
本発明の洗浄ステーションは、互いに同様なまたは異なりうる1または2以上の流体マニピュレータを容易および確実に洗浄することを可能になるため有利となる。偏向された流体噴流は、種々の流体マニピュレータを洗浄する特定のニーズに容易に適合させることができるので、洗浄液の消費を減らすができるため有利となる。
【0029】
本発明において、流体を自動で操作するための新規なシステムが提案される。システムは、使用者の特定の要求に従い、種々な方法で構成されることができる。特に、生物学的流体を分析するのに適しているが、その分析で、流体がそれぞれピペットおよび撹拌器などの1つまたは2つ以上の再利用可能な流体マニピュレータで操作される限り、多種多様の非生物学的流体を用いても有用でもある。本発明のシステムは例えば、免疫化学および臨床化学の分析項目に関連していてよい。いくつかの実施形態において、本発明のシステムは臨床分析器として構成される。いくつかの実施形態において、システムは、流体を操作するためのピペットチップおよび撹拌器などの1または2以上の再利用可能な流体マニピュレータを備える。
【0030】
いくつかの実施形態において、システムは、1つまたは2つ以上の流体マニピュレータを洗浄する1または2以上の洗浄ステーションを備える。
【0031】
いくつかの実施形態において、洗浄ステーションのそれぞれが1または2以上の洗浄域を有する1または2以上の流体マニピュレータを挿入するキャビティを備え、そのそれぞれが少なくとも1つの流体マニピュレータの少なくとも一部分が入る大きさである。いくつかの実施形態において、キャビティは1つの流体マニピュレータの挿入用に構成される。いくつかの実施形態において、キャビティは、互いに同様なまたは異なる種類であってよい複数の流体マニピュレータを挿入するために構成される。
【0032】
いくつかの実施形態において、1または2以上の洗浄域のそれぞれが、流体噴流を生成するため、ノズルを介して洗浄液を送り込む第1の流体ポンプに接続される少なくとも1つのノズルおよび洗浄域に向かって流体噴流を偏向するよう位置付けられた少なくとも1つの偏向板表面を有する少なくとも1つの洗浄要素に動作可能に連結されており、この場合、偏向板表面は洗浄域にある少なくとも1つの流体マニピュレータの外部を洗浄するように流体噴流が広がるよう形成されている。いくつかの実施形態において、洗浄要素のノズルは、上記の洗浄域に向かって乾燥用流体の流体噴流を生成するために上記のノズルを介して乾燥用流体を送り込む第2の流体ポンプに接続させることができる。いくつかの実施形態において、上記のキャビティは、1または2以上の乾燥域を含み、そのそれぞれが少なくとも1つの流体マニピュレータの少なくとも一部分が入る大きさであり、各乾燥域が上記のノズルを介して乾燥用流体を送り込む第2の流体ポンプに接続する少なくとも1つのノズルを備える少なくとも1つの乾燥要素に連結され、上記の乾燥域に向かって乾燥用流体の流体噴流を生成する。洗浄ステーションと、1つまたは2つ以上の洗浄要素および/または乾燥要素は、上述の実施形態のいずれか1つにおいて構成され得る。繰り返しを避けるため、本発明の洗浄要素および洗浄ステーションそれぞれに関連して上記でなされた記載を参照する。いくつかの実施形態において、1または2以上の洗浄ステーションは流体マニピュレータの1種と関連する。いくつかの実施形態において、複数の洗浄ステーションは互いに異なる種々の流体マニピュレータと関連する。特に、1つの洗浄ステーションはピペットなどの流体マニピュレータの1種と関連し、別の洗浄ステーションは撹拌器などの別の種類の流体マニピュレータと関連し得る。特に、いくつかの実施形態において、各洗浄ステーションは互いに同様なまたは異なり得る個々の種類の流体マニピュレータと関連する。いくつかの実施形態において、1つの洗浄ステーションの1または2以上の洗浄域は流体マニピュレータの1種に関連する。いくつかの実施形態において、1つの洗浄ステーションの1または2以上の洗浄域は互いに異なる種々の流体マニピュレータに関連する。本発明のシステムにおいて、第1の流体ポンプは、洗浄域に向かって流体噴流を偏向させるために動作可能に連結された偏向板表面に方向付けられた洗浄液の少なくとも1つの流体噴流を生成するために使用され得る。いくつかの実施形態において、第1の流体ポンプは洗浄液を含有するリザーバーと連通する。基本的に、ノズルを介して洗浄液を送り込むことができる流体ポンプを本発明のシステムに使用することができる。いくつかの実施形態において、第1の流体ポンプはギアホイールポンプなどの回転移送式ポンプ型のポンプである。
【0033】
いくつかの実施形態において、システムはさらに、少なくともその一部が上記の洗浄域にあるように1または2以上の洗浄ステーションと関連し、上記の1または2以上のワークステーションのキャビティと関連して1または2以上の流体マニピュレータを移動する移動機構を備える。本発明において、移動機構は、1または2以上の流体マニピュレータを垂直に移動させるように少なくとも垂直な並進運動の成分を有する運動を行うことができることが重要である。いくつかの実施形態において、移動機構はまた、水平方向に1または2以上の流体マニピュレータを移動させるよう水平な並進運動を行うことができる。いくつかの実施形態において、移動機構は1または2以上の流体マニピュレータを回転するよう回転運動も行うことができる。いくつかの実施形態において、移動機構はそれ自体について1または2以上の流体マニピュレータを遠心分離するよう高速の回転運動も行うことができる。いくつかの実施形態において、移動機構はロボットアームである。いくつかの実施形態において、移動機構は、例えば、梁移動機構(beam-translation mechanism)により実現され得る、水平面内の2方向の移動成分および水平面に対して垂直な第3の方向の移動成分を含む。
【0034】
システムはさらに上記の流体マニピュレータの外部を洗浄するための上記の流体噴流を生成する第1の流体ポンプを備える。
【0035】
いくつかの実施形態において、システムは上記の流体マニピュレータの外部を乾燥させるために乾燥用流体の流体噴流を生成する第2の流体ポンプを備える。いくつかの実施形態において、第2の流体ポンプは乾燥用流体を含有するリザーバーと連通する。基本的に、ノズルを介して気体を送り込むことができる流体ポンプは本発明のシステムで使用され得る。乾燥用流体は、例えば、空気、窒素または他の気体であってよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、システムは、少なくともその一部が洗浄域にあるように流体マニピュレータのそれぞれが1または2以上の洗浄ステーションのキャビティに挿入されるような移動機構の制御と、流体マニピュレータの外部を洗浄するために洗浄液の流体噴流が生成されるような第1の流体ポンプの制御を含む1つまたは2つ以上の流体マニピュレータの洗浄を制御するように設定されたコントローラを備える。
【0037】
いくつかの実施形態において、コントローラは、少なくとも1つの流体マニピュレータが1つの洗浄ステーションの1つの洗浄域から1または2以上の他の洗浄域に移動するように、流体マニピュレータの洗浄の制御を設定する。いくつかの実施形態において、コントローラは、少なくとも1つの流体マニピュレータが複数の洗浄ステーションの1つの洗浄域から1つまたは2つ以上の他の洗浄域に移動するように、流体マニピュレータの洗浄の制御を設定する。いくつかの実施形態において、コントローラは、少なくとも1つの流体マニピュレータが、流体マニピュレータの各側面が効率的に洗浄されることができるように上記の流体噴流を生成すると同時に回転されるように流体マニピュレータの移動の制御を設定する。いくつかの実施形態において、コントローラは、洗浄域の少なくとも1つの流体マニピュレータの第1の部分を洗浄後、第1の部分と異なる流体マニピュレータの1つまたは2つ以上の第2の部分が洗浄液により洗浄されるために洗浄域に移動するように流体マニピュレータの移動の制御を設定する。いくつかの実施形態において、コントローラは、洗浄後、流体マニピュレータを湿潤させる洗浄液を除去するために、流体マニピュレータの周囲を遠心分離するように移動機構の制御を設定する。
【0038】
いくつかの実施形態において、コントローラは、流体マニピュレータの外部を乾燥させるために乾燥用流体の流体噴流が生成されるように第2の流体ポンプを制御し、場合により、少なくとも1つの流体マニピュレータが1つの洗浄域から乾燥用流体の流体噴流が生成される乾燥域に移動するように移動機構を制御するよう設定される。
【0039】
好ましい実施形態において、コントローラは、流体マニピュレータの周囲を遠心分離するように移動機構を制御し、流体マニピュレータの外部を乾燥させるように乾燥用流体の流体噴流が生成されるように第2の流体ポンプを制御するよう設定される。遠心分離と乾燥用流体の流体噴流の組み合わせにより、洗浄後さらにより効果的に乾燥させる。
【0040】
一般的に、洗浄後に流体マニピュレータを乾燥させることが有利であり、それは洗浄後の流体マニピュレータ上の微量の洗浄液が、操作する流体に入ることで生じる汚染および/または希釈の可能性を防ぐことができるためである。
【0041】
上述のように、従来技術の溶液に対し本発明のシステムは、互いに同様なまたは異なりうる1または2以上の流体マニピュレータの単純、確実および効率的な洗浄を可能にする。流体マニピュレータを効率的に洗浄することにより、および特に2つ以上の流体マニピュレータが1つのキャビティで洗浄され得ることに照らし、洗浄液の消費を有利に少なくすることができる。
【0042】
本発明において、流体を自動で操作するための自動システムの1または2以上の再利用可能な流体マニピュレータを洗浄する新たな方法が提案される。いくつかの実施形態において、前記方法は本発明の上記のシステムにより実施される。従って、いくつかの実施形態において、前記方法は上記のシステムを提供するステップを含み、このシステムは上記の実施形態のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせにおいて具体化され得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、前記方法は1または2以上の流体マニピュレータを洗浄するように構成された洗浄域において、少なくとも1つの流体マニピュレータの少なくとも一部を移動するステップを含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、洗浄液の流体噴流を生成し、洗浄域にある流体マニピュレータの外部を洗浄するように洗浄域に流体噴流が広がり、偏向するよう成形された偏向板表面に流体噴流を方向付けるステップを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、前記方法は流体噴流を生成すると同時に少なくとも1つの流体マニピュレータを回転するステップを含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、前記方法は少なくとも1つの流体マニピュレータの第1の部分を洗浄後、洗浄液で洗浄するために第1の部分と異なる流体マニピュレータの1または2以上の第2の部分が洗浄域に移動するステップを含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、前記方法は、洗浄後、流体マニピュレータを湿潤させる洗浄液を除去するために流体マニピュレータの周囲を遠心分離するステップを含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、前記方法は、洗浄後、流体マニピュレータを乾燥させるために乾燥用流体の流体噴流を洗浄域または乾燥域で生成するステップを含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、前記方法は、第1の洗浄域において、少なくとも1つの流体マニピュレータの少なくとも一部を、その外部を洗浄するために移動し、その後、それをその外部を洗浄するために第1の洗浄域と異なる1または2以上の第2の洗浄域に移動させるステップを含む。特に、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの流体マニピュレータの少なくとも一部が、1つの洗浄ステーションによって形成される1つの洗浄域から同じ洗浄ステーションにより、または1つまたは2つ以上の他の洗浄ステーションにより形成される1つまたは2つ以上の他の洗浄域に移動される。
【0050】
いくつかの実施形態において、前記方法は、流体マニピュレータに応じて、洗浄域および/または乾燥域のノズルを前述のノズルと異なる別のノズルと取り換え、および/または洗浄域および/または乾燥域の偏向板表面を前述の偏向板と異なる別の偏向板表面と取り換えるステップを含む。
【0051】
本発明の上記の種々の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、単独でまたはそのいずれかを組み合わせて使用することができる。
【0052】
図を用いて、本発明を実施することができる実施形態の具体例について説明する。この点において、「水平な」「垂直の」「上部」「下部」「上方」および「下方」などの配向および方向に対する専門用語は、記載される図の配向を参照して使用される。記載の構成要素が多くの様々な配向で位置付けされることができるため、この専門用語は図示のみを目的とし、限定されるものではない。