(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明に係る揚送研磨装置は、遊技島のパチンコ機1台ごとに取付けて使用することも、複数台のパチンコ機に共用することも、また、遊技島に設置することもできる。
図1は、2台のパチンコ機を横並びに設置して形成された小規模な遊技島に設置した場合の一例を示している。なお、パチンコ機からの落下球の収集機能、揚送研磨機能及びパチンコ機への球供給機能がこの2台のパチンコ機(小規模島)において完結している。
図2は、単一のパチンコ機に揚送研磨装置を設置した例を示している。
【0017】
図1に示す遊技装置Aは、隣接する2台のパチンコ機1A,1Bから構成されている。各パチンコ機1A,1Bは、従来と同様に、一側において本体に開閉可能に軸支されたガラス扉2と前面板3とを有し、ガラス扉2の背面側に遊技盤4が設けられている。前面板3には、既知の発射装置(図示省略)への球発射指令入力と球発射速度調節を行なう操作ハンドル6が設けられている。
【0018】
図1において、16は上皿、17は下皿、18はロート、19は受け皿である。20は、遊技盤11に設けられた残存球数と賞球獲得数を表示するための表示部である。上皿16と下皿17は、その中に収容されている球を外側から透視できる。
【0019】
本発明に係る揚送研磨装置Bは、
図1に示すように、2台のパチンコ機1A,1Bからなる小規模な遊技島においては、
図1に例示するように、パチンコ機1A,1Bの一方の下部又は双方の下部に設置され、単一のパチンコ機においては、
図2に例示するように、パチンコ機Aの内部に取付けられる。
【0020】
そして、揚送研磨装置Bは、
図4及び
図5に示すように、球揚送ユニット100と研磨材カセット200とから成っている。
球揚送ユニット100は、背面側のみに開口する箱状に形成されたユニット本体101の中に、ほぼ中央において揚送手段が設けられ、その揚送手段の両側及び背面側に、後述される研磨材カセットを嵌合することができる研磨材カセット収容空間101Rが設けられている。揚送手段は、背面側が全長にわたって、又は上下端部を除く全長にわたって開放された、水平断面形状がコ字形又は円弧状の縦長の揚送ガイド102と、ユニット本体101の内面に固着された上下の支持部材103により揚送ガイド102の中心に回転軸104aを合致させて回転可能に取付けられたスクリューコンベア(以下、単にコンベアという。)104と、そのコンベアを回転駆動するモータ105と、コンベア104の回転を検知するための回転検知センサ106と、ユニット本体101の上部に設けられたモータ107とからなっている。
【0021】
コンベア104は、その外周面が揚送ガイド102の内面に近接する外径を有し、コンベア104の回転軸104aの外周面と揚送ガイド102の内面との間は遊技球Cの直径よりも僅かに大きく離間され、スクリューのピッチは遊技球の径より僅かに大きく設定されている。
【0022】
揚送ガイド102の開放面の下側部分には、
図7に示すように、下側の球通路形成部材が取り付けられている。その球通路形成部材の一例を説明すると、横断面形状が遊技球Cの半径よりも大きい曲率半径を有する円弧状の球通路形成部108aを有する下側カバー108が固着されて、その下側カバー108はコンベア104の下部の外周面の一部を遮蔽している。そして、コンベア104と下側カバー108との間に上下方向に連続する球揚送路p1が形成されている。下側カバー108の下端部の
図6の例においては左側の側面に、湾曲された球導入路110の一端が接続され、球導入路110は球揚送路p1の下端部に連通されている。また、球導入路110の他端は、球揚送ユニット100のユニット本体101の正面下側に形成されている球流入口111に接続されている。球流入口111には、パチンコ機の回収球排出路が結合される。球導入路110は、遊技球が転動しやすいように、球流入口111から球揚送路p1の下端まで僅かに下り傾斜されている。
【0023】
揚送ガイド102の開放面の上側部分にも、球通路形成部材として下側カバー108と同様な上側カバー112が固着されて、その上側カバー112はコンベア104の上部の外周面の一部を遮蔽している。そして、コンベア104と上側カバー112との間に上下方向に連続する、球揚送路p1と同様の球揚送路p3(図示省略)が形成されている。上側カバー112の上端部の
図6の例においては右側の側面に、湾曲された球導出路113の一端が接続され、その球導出路113の他端は、球揚送ユニット100のユニット本体101の正面上側に形成されている球排出口114に接続されている。球導出路113は球揚送路p3の上端から球排出口114まで、遊技球が転動しやすいように、僅かに下り傾斜されている。
【0024】
コンベア104の回転軸104aの下端部に固着されたギア115と、モータ105の回転軸に固着されたギア116とが噛み合わされている。モータ105と、ギア115,116とで、揚送手段を駆動する第1駆動手段が構成されている。
【0025】
回転検知センサ106は、一例として、ユニット本体101に取付けられた既知の光電センサ106aと、コンベア104の回転軸104aの上方延長部に固着されたエンコーダ106bとで構成されている。この回転検知センサ106は、コンベア104の回転角度に基づいて球排出口114から排出される遊技球数を計数するために用いられるものである。遊技球数を計数するためのセンサは、他の構成のものでよいし、別の位置に設けても良い。
【0026】
そして、上記球揚送ユニット100は、ユニット本体101の開放面を
図2に示すようにパチンコ機の背後方向に向けた状態でパチンコ機内に収容され、ユニット本体101に一体に設けた取付片101a〜101eにおいてねじ止め等の固着手段により着脱可能に取付けられる。従って、本発明に係る揚送研磨装置Aは、パチンコ機に対して容易に取付けることができる。
【0027】
一方、研磨材カセット200は、
図5,9,10に示すように、概略横長箱状に形成され、中に研磨材収容空間202を有するカセット本体201と、研磨材収容空間201に収容され、一部がカセット本体201の外側に露出されている無端ベルト状の、例えば研磨布その他の研磨材203と、研磨材収容空間202の一部に設けられ、研磨材を所定方向に送る研磨材送り手段204とを有している。
図10,11には、研磨材の一部が省略されている。
【0028】
カセット本体201には、幅方向ほぼ中央において正面側及び上下方向に開口する孔205が形成され、その孔の内側に正面側に開口して、背後方向に窪む凹部206が設けてある。また、カセット本体201の上面板2011と下面板2012には、凹部206及び上下方向に連通する孔207が形成されている。凹部206と上下の孔207とで、正面方向及び上下方向に開放した凹溝が構成されている。そして、その凹溝内に上下方向に連続し、凹部206の互いに反対側に配置された左右一対のフラッパ208,208が設けられている。凹部206を形成する内壁209は、カセット本体201の正面壁の内側の至近位置を左右両側まで延長され、その両端部はカセット本体201の正面壁210又は側面壁211と協働して後述される研磨材の入口212と出口213を形成している。そして、研磨材収容空間201の入口212に近い位置に互いに噛み合う一対のギヤ204a,204bが設けられ、一方のギヤ204aは弾性を有する押圧部材204cにより他方のギヤ204bに付勢されている。これらの一対のギヤ204a,204bと押圧部材204cにより研磨材送り手段204が構成されている。
【0029】
フラッパ208,208は、前記球揚送ユニット100の上下のカバー108の球通路形成部108aの延長上にハ字形に配置されている。すなわち、一対のフラッパ208,208は、上下のカバー108、112と同様に球通路を形成する部材でもある。また、フラッパ208,208は、その上下端部の互いに接近している側の基端部に上下方向に突出する支軸208aをカセット本体201の上面板2011と下面板2012に固着したコ字形の取付板214に設けた孔(図示省略)に挿入して、その支軸208aを中心として揺動可能に支持されている。
【0030】
そして、一対のフラッパ208,208の上下両端部近傍において、薄鋼板を平面形状が浅い壺状になるように屈曲して形成された板バネ等の付勢部材215を取付板214の側辺の外側に通し、かつ、一対のフラッパ208,208の自由側に係止して装着し、その一対のフラッパ208,208の自由端を互いに接近する方向に付勢している。それらの一対のフラッパ208,208の自由端は、カセット本体201の正面側中央の孔205の付近に存在している。
【0031】
前記カセット本体201の正面壁210と内壁209の間に研磨材通路216が形成してあり、研磨材通路216内のフラッパ208,208の自由端を結ぶ直線の外側延長上であって、入口212と出口213に近い位置にガイドローラ217,218が設けられている。
また、凹部206内のフラップ208,208よりも背面側の中央に遊技球BCの直径よりもわずかに小さい直径を有するガイドローラ219が、上下の取付板214に固着された軸に回転自在に支持されている。
【0032】
そして、カセット本体201の出口213から研磨材通路216の中に引き出される研磨材203は、一方側のガイドローラ218に半回された後、一方のフラッパ208の自由端を経てガイドローラ219に掛け回され、続いて、他方のフラッパ208の自由端を経て再び研磨材通路216の中を通って他方側のガイドローラ217に半回された後、研磨材通路216から入口212に引き込まれている。これにより、一対のフラッパ208,208の対向面の間に研磨材203の一部により、孔205に向かって末広がり状に互いに対面する研磨領域が形成される。その研磨領域の間隔は、フラッパ208,208の自由端の開閉に伴って変化し、最大開時には遊技球Cの径よりも大きく、最小閉時には遊技球Cの径よりも小さくなることができるように設定されている。
【0033】
研磨材送り手段204のギヤ204bに固着されている駆動軸(図示省略)は、カセット本体201の上面板2011に設けた孔を貫通してその上側まで延長され、その上端部に伝動歯車220が固着されている(
図5参照)。
【0034】
カセット本体201は、高さ方向のほぼ中間位置で上下の箱体201a,201bに二分割して構成され、上下の箱体の周縁を突き合わせ、ねじ221により結合して、
図9に示すような単一体にすることができる。そして、二分割した状態で、研磨材203の交換が可能になる。従って、研磨材の交換が容易にできる。
【0035】
上記の形状及び構成を有する研磨材カセット200は、前記球揚送ユニット100のユニット本体101の中間位置に形成されている、研磨材カセット200のカセット本体201の背面形状とほぼ同一の背面形状を有する研磨材カセット収容空間101Rに緊密に嵌合して収容することができる。
【0036】
研磨材カセット200を研磨材カセット収容空間101Rに嵌合する場合、球揚送ユニット100の揚送ガイド102及びコンベア104は、研磨材カセット200のカセット本体201の凹部206内に進入し、コンベア104の上下のカバー108,112の間において揚送ガイド102の開放面から突出している部分が研磨材カセット200のカセット本体201の底壁の孔207の中に進入するとともに、その孔207の中に進入したコンベア104の部分と一対のフラッパ208,208との間に、球揚送ユニット100の上下のカバー108、112とコンベア104との間に形成されている上下の球揚送路p1,p3と連通する球揚送路p2が形成される。
【0037】
球揚送ユニット100の中の所定の位置に収容された研磨材カセット200は、そのカセット本体201の正面側に設けられた複数の突起222が球揚送ユニット100のユニット本体101の正面板の対応する位置に形成されている複数の孔117に嵌合し、かつ、研磨材カセット200のカセット本体201の外周面が球揚送ユニット100のユニット本体101の収容空間101Rの内周面に当接して安定した状態で固定される。
【0038】
その時、研磨材カセット200の伝動歯車220が球揚送ユニット100の布送り駆動モータ107の伝動手段と動力的に結合される。伝動手段には、これに限定されないが、例えば、モータ107の回転軸に固着される傘歯車(図示省略)と、その傘歯車及び伝動歯車220 と噛み合う平歯車118などで構成することができる。
【0039】
こうして、上記揚送研磨装置Aをパチンコ機の中に設置すると、球流入口111が当該パチンコ機のアウト球通路10及び入賞球通路11に結合されている合流通路12の終端に設けられた受け皿13に結合され、球排出口114が球発射位置に連なる発射球通路14の始端に結合される。
【0040】
続いて、上記構成による作用を説明する。図示されていない管理装置から特定のパチンコ機の制御装置(図示省略)に発射球通路14に遊技球を供給すべき命令が与えられると、制御装置は駆動モータ105を所定方向に回転させる。これにより、伝動手段であるギア116、115を介してコンベア104が所定方向(
図12においては反時計方向)に回転されるため、
図3に示されている球流入口111から
図12に示されている、下り傾斜している球導入路110に進入した遊技球C1は下側カバー108の球揚送路p1内に転動し、その球揚送路p1内に転動した遊技球C2は、コンベア104により揚送される。その揚送される遊技球C3は、続いて、
図11に示すように、下側カバー108の上側に存在する一対のフラッパ208,208の間に形成されている、球揚送路p1と連続している球揚送路p2をコンベア104により揚送される。
図13(a)に示すように、その球揚送路p2を揚送される遊技球C4は、フラッパ208,208に支持され、かつ付勢部材215により互いに接近する方向に付勢されている研磨材203により研磨される。
【0041】
この場合、一対のフラッパ208,208は、好ましい実施の形態として、
図13(b)に示すように、表裏両面が一定周期の波形に形成された同一形状の一対のフラッパの一方を他方に対して上下反転対称的に配置することにより、蛇行する球揚送路p2が形成されている。これにより、遊技球Cが球揚送路p2を揚送される間に蛇行するので、遊技球Cが研磨材203により満遍なく効率的に研磨される効果が得られる。
【0042】
なお、
図11、13における208bは、フラッパ208,208の自由端に設けられた突起である。この突起208bが設けられていないと、付勢部材215の付勢力により一対のフラッパ208,208の自由端が過大に接近されて、球揚送路p2が狭隘化し、遊技球Cが球揚送路p2への進入が妨げられたり、研磨材203に過大な負荷をかける虞があるが、この突起208bが設けられていると、その突起が研磨材カセット200の孔207の端縁に当って止められるので、球揚送路p2の狭隘化と、研磨材への過大負荷が防止される。
【0043】
そして、研磨材カセット200の球揚送路p2において研磨され揚送される遊技球は、さらにコンベア104により上側カバー112の球揚送路p3を揚送され、その球揚送路p3の上端部から球導出路113を経て球排出口114から排出される。球排出口114から発射球通路14へ供給される遊技球の数は、回転検知センサ106から制御装置に与えられる検知信号に基づいて計数される。その計数値が所定値になったとき、制御装置は駆動モータ105の回転を停止する。
【0044】
発射された遊技球が入賞した場合の獲得数、入賞球獲得数の積算及び表示部7への表示処理は、従来技術と同様に行なわれる。
【0045】
上記実施の形態において、揚送ガイド102、コンベア104、上下のカバー108、112により球流入口から導入された遊技球を所定の球通路に沿って球排出口まで揚送する揚送手段が構成され、駆動モータ105及び伝動歯車115,116により揚送手段を駆動する第1駆動手段が構成され、研磨材送り駆動モータ107及び伝動歯車220研磨材送り手段を駆動させる第2駆動手段が構成されている。また、カセット本体201内の研磨材203を挟持するギヤ204a,204b、ギヤ204bの回転軸に固着された伝動歯車220により研磨材を所定方向に移送させる研磨材送り手段が構成されている。
【0046】
なお、研磨材送り手段による研磨材の移送タイミングについては、非開放型パチンコ機内の遊技球の汚れの頻度及び程度は比較的少ないので、研磨材を頻繁に移送する必要はない。従って、第2駆動手段(布駆動モータ107)の回転速度を減速手段により減速して、少量ずつ連続的に移送しても良いし、第2駆動手段を一定周期ごとに駆動して間欠的に移送するようにしてもよい。
【0047】
カセット本体201の研磨材送り手段を構成するギヤ204a,204bには、研磨材の腰の強さなどを考慮してピッチと溝の深さが適宜設定された例えばインボリュートギヤなどを用い、また、付勢部材204cの弾性を適宜設定することにより、ギヤ204a,204bの間に噛まれる研磨材に永久変形(歯形)が生じず、しかも、確実な送り力が加えられるようにしてある。
【0048】
ギヤ204a,204bの間に噛まれた研磨材203に永久変形(噛み跡)が生じる場合は、ギヤ204a,204b間から研磨材収容空間202に送り込まれる研磨材203が歯形に沿って短い距離で蛇行することになるので、研磨材収容空間202内に整然と収容されることが困難になり、その蛇行した研磨材が研磨材収容空間202内で倒れたり、出口213から引き出されるときに詰まりやすく、研磨材移送負荷が大きくなるので、好ましくない。
【0049】
これに対して、研磨材に永久変形(歯形)を生じない程度の力で噛み合うギヤ204a,204bを用いる場合は、研磨材を滑らせることなく確実に研磨材収容空間202内に引き込むことができるとともに、入口212から引き込まれる研磨材が正確に交互に左右に蛇行しながら出口213方向に移動するので、研磨材が整然と収容される。従って、収容された研磨材が出口213から円滑に引き出される。また、一対のギヤによる噛み合いにより、研磨材が緊張状態で確実にカセット本体内に引き込まれるので、研磨領域での研磨材のメクレが防止される。
【0050】
そして、本発明においては、研磨材の長さを適当に設定することにより、研磨材収容空間202の出口213に近い位置に研磨材が詰め込まれることのない遊び空間を設けてある。そのため、出口213から引き出される研磨材は出口で負荷が掛ることなく、一層円滑に研磨領域に移動されることができる。
【0051】
さらに、遊技球Cが揚送手段により上方に揚送され、研磨材203は揚送方向と直角な方向、すなわち、水平方向に微速で又は間欠的に移動されるので、高い研磨性能が発揮される。また、研磨材203は球揚送ガイドの上下のカバー108、112で遮蔽された範囲を除いた部分の高さと等しい幅を有するので、研磨材は高い効率で使用される。
【0052】
揚送研磨装置Bのパチンコ機1に対する設置位置は、上述の例のようにパチンコ機の背面側(
図2参照)に限られるものではなく、パチンコ機の上部もしくは下部、又はパチンコ機の上側もしくは下側(
図1参照)など任意である。
【0053】
揚送研磨装置Aをパチンコ機内の背面側、上部又は下部に設置する場合の研磨材カセット200の装着、取出し及び研磨材の交換は、球揚送ユニット100の背面側をパチンコ機の正面(接客面)側に向けて取付けたときはパチンコ機の正面(接客面)の扉を開放して行うことができ、球揚送ユニット100の背面側をパチンコ機の背面側に向けて取付けたときはパチンコ機全体を引き出して行うことができる。