【文献】
Todd RUFF,Evaluation of a radar-based proximity warning system for off-highway dump trucks,Accident Analysis and Prevention,Elsevier Ltd.,2006年 1月,Volume 38, Issue 1,pp. 92-98
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後方照射側方レーダの水平検出範囲は80度以上であり、水平方向の照射中心軸と前記車両中心面との角度は45度以下であることを特徴とする請求項1に記載の障害物検出機構付きダンプトラック。
前記後方照射側方レーダおよび前記側方照射側方レーダは、ベッセルの下方に設置されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の障害物検出機構付きダンプトラック。
前記後方照射側方レーダおよび前記側方照射側方レーダは、前記車両中心面を基準としてキャブの対向する側へ設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の障害物検出機構付きダンプトラック。
前記後方照射側方レーダによるレーダ検出データに対し、前記レーダ検出データが所定の大きさを示す有効検出範囲を有し、かつ、所定反射信号強度を有する場合に、前記レーダ検出データを有効データとし、さらに前記有効データの中に、前記車両領域の情報がある場合、前記車両領域の情報を障害物検出情報から除外することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の障害物検出機構付きダンプトラック。
車両前部のロアデッキからアッパデッキに向けて延伸するフロントフェンダーから側方に張り出した位置で後方に向けて取り付けられ車両側方の障害物を検出することができる障害物検出機構付きダンプトラックの障害物検出方法であって、
照射ビームが前輪に交差する俯角をもち、照射領域が車両中心側の水平後方検出限界線と前記ダンプトラックの前輪および後輪の各外側側面を結ぶ面とで挟まれた車両内部を示す予め設定された車両領域を含む後方照射側方レーダが障害物情報を検出する工程と、
前記車両領域内の障害物情報を除外する工程と、
を含むことを特徴とする障害物検出機構付きダンプトラックの障害物検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」とは、キャブの正面に向かった方向を基準とする方向の「前」と定義し、対向する方向を「後」とする。「左」、「右」は後述する車両中心面Cを基準とし、「前」方向に向かった時を基準とする各方向を意味する。
【0017】
[全体構成]
図1は、この発明の実施の形態であるダンプトラックの概要構成を示す斜視図である。
図1に示すように、ダンプトラック1は、鉱山作業などに用いられる作業用の超大型車両であって、9mを超える車幅を有する。このダンプトラック1の大きさは、
図1に示したピックアップトラック300と比較することによって理解しやすい。ダンプトラック1は、主として、車体フレーム2、キャブ3、左右一対の前輪5および左右各々が2輪1組となり左右一対をなす後輪6、給電用のパンタグラフを設置するベース7、および周辺監視装置10(
図3参照)を有する。
【0018】
車体フレーム2は、ディーゼルエンジンやトランスミッション等の動力機構や、その他の補機類を支持する。また、車体フレーム2は、前部で左右一対の前輪5を支持し、車両後部で左右一対の後輪6を支持する。車体フレーム2は、前部で、地面に近い側に設けられたロアデッキ2Aと、ロアデッキ2Aの上方に設けられたアッパデッキ2Bを有する。
【0019】
ロアデッキ2Aと地面との間には、乗降用の可動式のラダー2Cが側方に一対設けられている。ロアデッキ2Aとアッパデッキ2Bとの間には、ロアデッキ2Aとアッパデッキ2Bとの間を行き来するための斜めのラダー2Dが設けられている。また、前輪5近傍には、ロアデッキ2Aからアッパデッキ2Bに延伸するフロントフェンダー2Eが配置される。
【0020】
キャブ3は、アッパデッキ2B上の左側に配置される。
図2に示すように、キャブ3は、4本の支柱3a,3b,3c,3dによって転倒時保護構造を形成している。キャブ3内には、運転席31、ダッシュカバー33、無線装置34、ラジオ受信機35、リターダ36、シフトレバー37、コントローラ100(
図3参照)、モニタ50、アクセルペダル、ブレーキペダル等が設けられる。
【0021】
ベッセル4は、砕石等の重量物を積載するための荷台であり、後方底部で回動軸を介して車体フレーム2の後端部に回動自在に連結される。油圧シリンダ等のアクチュエータによって、回動軸を基準としてベッセル4を回動しベッセル4前部を上昇して積載物を排出する起立姿勢と、
図1に示したように、前部がキャブ3の上部に位置する積載姿勢との範囲で回動させることができる。
【0022】
[周辺監視装置の構成]
図3に示すように、周辺監視装置10は、ダンプトラック1の周囲に配置された6台のカメラ11〜16、ダンプトラック1の周囲に配置された8台のレーダ21〜28、モニタ50と、コントローラ100を有する。
【0023】
コントローラ100は、カメラ11〜16を用いて、ダンプトラック1周囲に存在する自動車等の大きさの障害物の有無を俯瞰画像によって表示して運転者が監視可能とし、レーダ21〜28を用いて障害物の存在を運転者に警告可能とする。
図3に示すように、コントローラ100は、俯瞰画像合成部110、カメラ画像切替・視点変換部120、表示制御部130、モニタ画像生成部140、障害物情報収集部210、障害物処理部220を有する。
【0024】
俯瞰画像合成部110は、カメラ11〜16に接続され、各カメラ11〜16が取得した画像データを受信する。俯瞰画像合成部110は、受信した複数の画像データに対応した画像を合成し、ダンプトラック1の全周囲を含む俯瞰画像を生成する。具体的には、俯瞰画像合成部110は、複数の画像データをそれぞれ座標変換することによって、複数の画像を所定の投影面上に投影させた俯瞰画像を示す俯瞰画像データを生成する。
【0025】
カメラ画像切替・視点変換部120は、カメラ11〜16に接続され、レーダ21〜28による障害物の検出結果等から、俯瞰画像とともにモニタ50の画面上に表示される各カメラ11〜16による撮像画像を切り替える。また、カメラ画像切替・視点変換部120は、各カメラ11〜16によって取得された撮像画像を、ダンプトラック上方位置の無限遠からの視点の画像に変換する。
【0026】
表示制御部130は、カメラ画像切替・視点変換部120、モニタ画像生成部140、および障害物処理部220に接続される。表示制御部130は、各カメラ11〜16によって取得された画像を合成する。俯瞰画像合成部110で形成される俯瞰画像中にレーダ21〜28によって取得した障害物の位置情報を合成して表示させるための障害物位置データを、カメラ画像切替・視点変換部120、およびモニタ画像生成部140に送出する。
【0027】
モニタ画像生成部140は、俯瞰画像合成部110、カメラ画像切替・視点変換部120、および表示制御部130に接続される。モニタ画像生成部140は、カメラ11〜16およびレーダ21〜28によって取得されたダンプトラックの全周囲の画像データと障害物位置データとをもとに、俯瞰画像上に障害物の位置を含む画像を生成し、モニタ50に送出する。モニタ50は障害物を表示領域に表示する事により、運転者が障害物の存在を認識する事が可能となる。
【0028】
障害物情報収集部210は、レーダ21〜28と障害物処理部220とに接続される。障害物情報収集部210は、レーダ21〜28がそれぞれ検出した障害物検出結果を受信し、障害物処理部220に送る。
【0029】
障害物処理部220は、障害物情報収集部210と表示制御部130とに接続される。障害物処理部220は、障害物情報収集部210から受信した障害物の位置情報を、設定に応じて位置情報を除外する処理を行い、除外した処理後の位置情報を表示制御部130に送る。
【0030】
[カメラの構成と配置]
各カメラ11〜16は、
図4に示すように、ダンプトラック1の周囲360度の範囲の画像を取得するために、ダンプトラック1の外周部分にそれぞれ取り付けられる。各カメラ11〜16は、左右(水平)方向に120度、高さ(垂直)方向に96度の視野範囲を有する。
【0031】
カメラ11は、車両の前方を撮像するカメラであり、
図4に示すように、斜めのラダー2Dの最上段の踊り場部分の下部に配置される。カメラ11は、アッパデッキ2Bに取り付けられたブラケットを介して車両前方に向かって固定される。カメラ11の撮像範囲は、
図5に示す地面基準の撮像エリアでは、車両の前方に広がる撮像範囲11Cである。
【0032】
カメラ12は、車両の右斜め側方前方を撮像するカメラであり、
図4に示すように、アッパデッキ2Bの前側面右端部付近に配置される。カメラ12は、アッパデッキ2Bに取り付けられたブラケットを介して車両右斜め前方に向かって固定される。カメラ12の撮像範囲は、
図5に示す地面基準の撮像エリアでは、車両の右斜め前方に広がる撮像範囲12Cである。
【0033】
カメラ13は、車両の左斜め側方前方を撮像するカメラであり、
図4に示すように、カメラ12と左右対称位置、すなわち、アッパデッキ2Bに取り付けられたブラケットを介して車両の左斜め前方に向かって固定される。カメラ13の撮像範囲は、
図5に示す地面基準の撮像エリアでは、車両の左斜め前方に広がる撮像範囲13Cである。
【0034】
カメラ14は、車両の右斜め側方後方を撮像するカメラであり、
図4に示すように、アッパデッキ2Bの右側面前端部付近に配置される。カメラ14は、アッパデッキ2Bに取り付けられたブラケットを介して車両右斜め後方に向かって固定される。カメラ14の撮像範囲は、
図5に示す地面基準の撮像エリアでは、車両の右斜め後方に広がる撮像範囲14Cである。
【0035】
カメラ15は、車両の左斜め側方後方を撮像するカメラであり、
図4に示すように、カメラ14を車両中心面Cを基準に左右対称位置に配置される。カメラ15は、アッパデッキ2Bに取り付けられたブラケットを介して車両左斜め後方に向かって配置される。カメラ15の撮像範囲は、
図5に示す地面基準の撮像エリアでは、車両の左斜め後方に広がる撮像範囲15Cである。
【0036】
カメラ16は、車両の後方を撮像するカメラであり、
図4に示すように、車体フレーム2の後端であって、2つの後輪6を連結するリアアクスルの上方、かつ、ベッセル4の回動軸近傍に配置されており、クロスメンバーに取り付けられたブラケットを介して車両後方に向かって固定される。カメラ16の撮像範囲は、
図5に示す地面基準の撮像エリアでは、車両の後方に広がる撮像範囲16Cである。
【0037】
これらカメラ11〜16を用いることによって、
図5の中央図に示すように、ダンプトラック1の全周囲の画像を取得することができる。なお、各カメラ11〜16は、それぞれ撮像した画像をコントローラ100に送る。
【0038】
また、カメラ11〜16は、車体フレームの高い位置にあるアッパデッキ2Bおよびクロスメンバーに設けている。このため、各カメラ11〜16によって上方から地面を見下ろすような撮像画像を得ることができ、地面に存在する障害物を広範囲に撮像することができる。また、俯瞰画像を形成する際に視点変換を行った場合でも、上方から撮像した画像を用いているため、立体物の変形の度合を抑制することができる。
【0039】
[レーダの構成と配置]
レーダ21〜28は、方位(水平)方向80度(±40度)、上下(垂直)方向16度(±8度)の検出角度を有し、検出距離が最大15m以上のUWB(Ultra Wide Band:超広帯域)レーダである。設置されるレーダ21〜28により、ダンプトラック1の全周囲に存在する障害物の相対位置を検出する。各レーダ21〜28は、ダンプトラック1の外周部分に配置される。なお、各レーダ21〜28の方位(水平)方向の検出角度は、80度(±40度)としているが、これ以上の検出角度を有していてもよい。
【0040】
レーダ21,22は、
図6およびダンプトラック1の前方視の
図8を参照して説明する。レーダ21,22は、主に車両の前方を撮像するカメラ11が備えられるアッパデッキ2Bの下方に位置する地上から1m程度の高さになるロアデッキ2A上及びラダー2Dの下方に設けられる。レーダ21,22は、それぞれブラケットB21,B22を介して車両中心面Cに対して左右対称に取り付けられる。レーダ21は、前方斜め左方向に向けられて配置され、レーダ22は、前方斜め右方向に向けられて配置される。具体的には、
図7に示すように、レーダ21の水平方向の照射中心軸C21は、車両中心面Cの進行方向の軸に対して車両の左側に45度傾けられ、レーダ22の水平方向の照射中心軸C22は、車両中心面Cの進行方向の軸に対して車両の右側に45度傾けられ、各照射中心軸C21,C22は交差する。また、レーダ21,22の垂直方向の各照射中心軸は、約5度の俯角をもつ。これによって、車両の前端部から前方の領域の障害物を全て検出することができる。
【0041】
レーダ28および車両中心面Cの対称の位置にあるレーダ23を、
図6、ダンプトラック1の左側から側方視となる
図9、およびダンプトラック1の右側からの側方視となる
図10を参照して説明する。レーダ28は、主に車両の左側側方を撮像するカメラ13,15が備えられるアッパデッキ2Bの下方に位置するロアデッキ2Aの左側端部、ラダー2C上端部近傍に設けられる。レーダ28は、ロアデッキ2BにブラケットB28を介し取り付けられ、車両左側側方外側に向けて配置される。
【0042】
レーダ23は、ダンプトラック1の左側からの側方視において設置されレーダ28とは車両中心面Cを基準に左右対称位置にある。レーダ23は、主に車両の右側側方を撮像するカメラ12,14が備えられるアッパデッキ2Bの下方に位置するロアデッキ2Aの右側端部、車両右側方に設けられたラダー2Cに設けられる。レーダ23は、ロアデッキ2BにブラケットB28と車両中心面Cに対し左右対称に設けられるブラケットB23を介し取り付けられ、車両右側側方外側に向けて配置される。
【0043】
レーダ23、28の具体的な取付を
図7に示す。レーダ23の水平方向の照射中心軸C23は、車両中心面Cの後退方向の軸に対して車両の右側に70度傾けられ、レーダ28の水平方向の照射中心軸C28は、車両中心面Cの後退方向の軸に対して車両の左側に70度傾けられる。また、レーダ23,28の垂直方向の各照射中心軸は、約5度の俯角をもつ。
【0044】
レーダ23,28により、ダンプトラック1の側方、特に前輪5,後輪6の前方側の障害物の検出を可能とする。また、レーダ23,28は、ベッセル4及びアッパデッキ2Bの下方に位置し、積載時にベッセル4から飛び出す飛石等の影響を受けない。
【0045】
レーダ27および車両中心面Cの対称の位置にあるレーダ24を、
図6、ダンプトラック1の左側から側方視となる
図9、およびダンプトラック1の右側からの側方視となる
図10を参照して説明する。レーダ27は、主に車両の左側側方を撮像するカメラ13,15が備えられるアッパデッキ2Bより下方に位置するロアデッキ2Aに向けて延伸する車両左側のフロントフェンダー2Eから側方に張り出した位置に設けられたエアークリーナ62の側端部に配置される。レーダ27は、フロントフェンダー2EにブラケットB27を介し、後方に向けて取り付けられる。レーダ27の高さは、地上から2.5m程度である。
【0046】
レーダ24は、ダンプトラック1の左側からの側方視において設置されレーダ27とは車両中心面Cを基準に左右対称位置にある。レーダ24は、主に車両の右側側方を撮像するカメラ12,14が備えられるアッパデッキ2Bの下方に位置するロアデッキ2Aに向けて延伸する車両右側のフロントフェンダー2Eから右側側方に張り出した位置に設けられたエアークリーナ62の側端部に配置させる。レーダ24は、フロントフェンダー2EにブラケットB24を介し、後方に向けて取り付けられる。
【0047】
レーダ24、27の具体的な取付を
図7に示す。レーダ24の水平方向の照射中心軸C24は、車両中心面Cの後退方向の軸に対して車両の右側に30度傾けられ、レーダ27の水平方向の照射中心軸C27は、車両中心面Cの後退方向の軸に対して車両の左側に30度傾けられる。なお、これらの角度は、30度に限らず、45度以下であればよい。すなわち、水平検出範囲の後方側限界線L24,L27が車両中心面C側に向けられ、照射領域には前輪5および後輪6を含めた車両領域E1を形成する角度になればよい。この照射中心軸C24,C27は、前輪5に交差し、後輪6の接地部分に指向されることが好ましい。また、レーダ24,27の垂直方向の各照射中心軸は、約15度の俯角をもつ。
【0048】
レーダ24,27により、ダンプトラック1の側方で前輪5及び後輪6の中心軸線の後方に該当し、特にベッセル側方全域に該当する側方後方領域の障害物の検出を可能とする。また、各レーダ24,27は、ベッセル4及びアッパデッキ2Bの下方に位置し、積載時にベッセル4から飛び出す飛石等の影響を受けない。
【0049】
図7に示すように、レーダ23,24の水平方向の側方検出範囲およびレーダ27,28の水平方向の側方検出範囲はそれぞれ重複部分を有し、レーダ23,24,27,28によって、車両前端から後端までの間の両側方の領域の障害物を検出することができる。また、キャブ3が設置される車両左側の対称位置となる車両右側に配置されるレーダ23、24により、キャブ3からの視認の困難になる車両右側方向の障害物を検出することが可能になる。
【0050】
レーダ25,26を、
図6およびダンプトラック1の後方視となる
図11を参照して説明する。レーダ25,26は、地上から2m程度の高さになり、ベッセル4のカメラ16が設置されたクロスメンバー70よりも下方に位置する後輪6の駆動軸のリアアクスル71のケース後方側に配置される。レーダ25,26は、それぞれブラケットB25,B26を介して車両中心面Cに対して左右対称に取り付けられる。また、レーダ25,26は、リアサスペンションシリンダ72の接合部73間に設けられる。レーダ25は、後方斜め右方向に向けられて配置され、レーダ26は、後方斜め左方向に向けられて配置される。
【0051】
図7に示すように、レーダ25の水平方向の照射中心軸C25は、車両中心面Cの後退方向の軸に対して車両の右側に45度傾けられ、レーダ26の水平方向の照射中心軸C26は、車両中心面Cの後退方向の軸に対して車両の左側に45度傾けられ、各照射中心軸C25,C26はベッセル4の下方にて車両中心面C上で交差する。また、レーダ25,26の垂直方向の各照射中心軸は、俯角方向に0〜10度、この実施の形態では約5度の俯角をもつ。
【0052】
各レーダ25,26は、車両中心面Cに対し左右対称に取り付けられ各照射中心軸が交差する様に設置されているため、車両の後端部から後方の領域の障害物を全て検出することができる。特に、レーダ25,26は、クロスメンバー70より低い位置となるリアアクスル71のケースに小さい俯角をもって配置される。
図12および
図13に示すように、車両の低い位置に小さい俯角をもって設置されたレーダ25,26により車両の遠方およびベッセル4の後方に隠れた障害物を同時に検出することができる。なお、レーダ25の水平方向の照射中心軸C25とレーダ26の水平方向の照射中心軸C26とは、車両中心面Cに対して45度としたが、45度以下であればよく、例えば30度であってもよい。この値は、レーダ25,26の車輪6後端に対する後方への張り出し具合によって決定すればよい。
【0053】
車両の各々の方向の障害物を検出するレーダ21〜28は、俯瞰画像を生成するため車両各々の方向を撮像する各カメラ11〜16より低い位置の部材に取り付けられる。垂直方向に小さい角度を有するレーダを用いても、カメラより低い位置にレーダを設置する事によりカメラが撮像し生成した俯瞰画像においても、レーダで検出した障害物情報を俯瞰画像中へ表示する事が可能になる。
【0054】
[レーダ21〜28の検出データに基づく障害物検出処理]
ここで、
図14に示したフローチャートを参照して、レーダ21〜28の検出データに基づいた障害物検出処理手順について説明する。まず、障害物処理部220は、各レーダ21〜28ごとの所定走査数のレーダ検出データを障害物情報収集部210から入力する(ステップS101)。その後、このレーダ検出データに対して、基本フィルタを用いて有効データがあるか否かを判断する(ステップS102)。この基本フィルタ(前処理フィルタ)は、例えばレーダ検出範囲(有効走査角および有効距離)内で、自動車程度の大きさを示す有効検出範囲を有し、かつ、最低限の所定反射信号強度を有するものを有効データとして出力する。
【0055】
基本フィルタによる有効データがある場合(ステップS102,Yes)には、さらに、この有効データの中から、センサ別フィルタが有効とする有効データがあるか否かを判断する(ステップS103)。このセンサ別フィルタは、各レーダ21〜28の仕様に基づいたフィルタ処理を行うものであり、レーダ検出範囲をレーダ検出能力に対応していくつかの領域に区分し、各領域ごとの条件を満足するデータを有効データとして出力する。反射信号は、遠い領域では強度が小さくなり、近い領域では、時間分解能が悪くなり、走査角によっても検出能力が異なる場合があるからである。
【0056】
センサ別フィルタが有効とする有効データがある場合(ステップS103,Yes)には、さらに、この有効データの中から、領域フィルタが有効とする有効データがあるか否かを判断する(ステップS104)。領域フィルタは、センサ別フィルタが有効と判断した有効データの中に、車両内部を示す予め設定された車両領域がある場合に、この車両領域内の有効データを削除する。
【0057】
領域フィルタが有効とする有効データがある場合(ステップS104,Yes)には、この有効データを位置情報として表示制御部130に出力する(ステップS105)。その後、コントローラ100内で本処理の終了指示があるか否かを判断し(ステップS106)、終了指示があった場合(ステップS106,Yes)には、本処理を終了する。なお、基本フィルタによる有効データがない場合(ステップS102,No)、センサ別フィルタが有効とする有効データがない場合(ステップS103,No)、領域フィルタが有効とする有効データがない場合(ステップS104,No)、および終了指示がない場合(ステップS106,No)には、ステップS101に移行し、上述した処理を繰り返す。
【0058】
上述したように、障害物処理部220は、領域フィルタによって車両領域内の有効データを削除するようにしている。例えば、レーダ24,27で検出された障害物情報のうち、
図7に示した車両領域E1の障害物情報は有効データでないとして領域フィルタによって削除される。この結果、車両領域E1の障害物情報は、表示制御部130およびモニタ画像生成部140を介してモニタ50に送出されないため、この車両領域E1の障害物情報は、モニタ50の表示画面上に表示されない。
【0059】
また、各レーダ25,26は、車両中心面Cに交差する様に角度を設けて設置するが、角度によってはリアサスペンションシリンダ72を検出してしまう。このリアサスペンションシリンダ72を車両領域として予め設定しておくことによって、障害物処理部220の領域フィルタは、この車両領域の障害物情報を削除するため、このリアサスペンションシリンダ72は、モニタ50の表示画面上に表示されない。
【0060】
なお、レーダ21〜28で取得されたレーダ検出データは、地面の情報を含む場合がある。そこで、障害物処理部220は、車両の設置面以下の領域を車両領域と同様の削除領域として予め設定し、領域フィルタによって、わだち等を考慮した所定高さ以下となる地面のレーダ検出データを削除することが好ましい。
【0061】
このようなレーダ21〜28を用いることによって、車両の全周囲の障害物を検出することができる。特に、従来検出することができなかった、ベッセル側方領域の障害物を検出することができるとともに、ベッセル後端部より後方の領域の障害物を検出することができる。
【0062】
なお、各レーダ21〜28は、
図15および
図16に示したレーダ25のように、レーダ本体81の周囲を囲むフードである保護部材83を設けている。この保護部材83は、ケーブル82を引き出す部分が切り欠きとなっている。この保護部材83を設けることによって、レーダの照射部への泥除けを行うことができ、レーダの検出機能を維持できる。また、保護部材83によって、石跳ねなどによるレーダの破損防止を図ることができる。
【0063】
さらに、保護部材83によって囲まれた空間の開口部、すなわち照射側の開口部を覆う保護部材84を設けるようにしてもよい。この保護部材84は、前面保護を行うものであり、強度を有することはもちろんであるが、レーダ信号が透過する部材であることが必要である。また、透明部材であることが好ましい。透明であると、レーダ本体81表面での結露などを目視確認できるからである。この保護部材84は、たとえば、ポリカーボネートによって形成される。
【0064】
なお、後方の障害物を検出する一対のレーダ25,26を配置したが、これに限らず、たとえば、180度に近い、水平方向に広角なレーダ80を用いる場合、
図17に示すように、リアアクスル71の中央であって、リアサスペンションシリンダの接合部間に1つ設置するようにしてもよい。この場合垂直方向に小さい角度を有するレーダを用いても、車両の低い位置にレーダを設置する事により車両遠方の障害物を検出する事が可能になる。また、この実施の形態では左右一対のレーダを記載しているが、障害物検出を可能とするための配置とすれば、レーダの配置は左右一対でなくてもよい。
【0065】
また、上述したダンプトラックは、無線管理される無人ダンプトラック運行システムにおけるダンプトラックにも適用される。この場合、レーダ21〜28によって障害物を検出した場合、緊急停止などによって衝突防止の制御を行う。