特許第5667598号(P5667598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5667598
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】小判ハトメ及び小判ハトメ取付方法
(51)【国際特許分類】
   A44B 99/00 20100101AFI20150122BHJP
   A44B 1/24 20060101ALI20150122BHJP
   B60N 3/04 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   A44B99/00 611F
   A44B1/24
   B60N3/04 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-118173(P2012-118173)
(22)【出願日】2012年5月24日
(65)【公開番号】特開2013-244084(P2013-244084A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114606
【氏名又は名称】モリト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100070507
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 俊男
(72)【発明者】
【氏名】松居 誠
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−285298(JP,A)
【文献】 特開2007−222220(JP,A)
【文献】 実開平5−46914(JP,U)
【文献】 実開昭62−75775(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 99/00
A44B 1/24
A41H 37/00 〜 37/02
B60N 3/04
A47G 27/04
B21D 39/00
F16B 37/04
B65D 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ハトメ本体の中央に形成した長円筒形突起を布地などの孔の開いた毛足の長い被取付物に挿通し、裏面側から長円筒形突起に長円形リング状の座板を嵌め付け、裏面側より長円筒形突起の先端をカシメ加工することによって前記被取付物を狭持した状態に固定する小判ハトメにおいて、
雄ハトメ本体(A)は、長径環状のフランジ部(1)を設け、前記長径環状のフランジ部(1)の内側には長径内筒部(2)を、その内側に長径周底(3)を設け、該長径周底(3)の先端を縮径して中央に長径孔(4)を有するかしめ脚(5)を形成し、
雌ハトメ受体(B)は、長径外筒部(7)を設け、その内側に長径周底部(8)を形成し、該長径周底部(8)の内側先端には上方に向けて長径段周部(9)を設け、その中央に前記かしめ脚の嵌る長径孔部(10)を形成し、
雌ハトメ受体(B)の長径外筒部(7)の外径が、雄ハトメ本体(A)の長径環状のフランジ部(1)の外径より大径に形成して、
前記段周部(9)に雄ハトメ本体(A)の前記かしめ脚(5)をかしめ止め固定することによって、
雄ハトメ本体(A)の前記フランジ先端部(1A)と前記雌ハトメ受体(B)の長径外筒部(7)の外筒部先端部(7A)で被取付物を挟持し、
かつ、前記雄ハトメ本体(A)の内筒外周壁(2A)と雌ハトメ受体(B)の外筒内周壁(7B)で被取付物を挟持することを特徴とする小判ハトメ。
【請求項2】
前記長径孔は、略小判形孔、長円形孔若しくは長円形角孔を形状としたことを特徴とする請求項1記載の小判ハトメ。
【請求項3】
雄ハトメ本体の長径環状のフランジ部は上向きに膨出状に突出しているとともにフランジ先端部を下向きに曲げていることを特徴とする請求項1又は2記載の小判ハトメ。
【請求項4】
雄ハトメ本体(A)のかしめ脚(5)を、被取付物をはさんで雌ハトメ受体(B)の長径孔部にはめて、該長径孔部の段周部(9)で前記かしめ脚(5)の先端を外側にカールさせて長径孔の段周部(9)前記かしめ脚(5)をカールした部分が収まるようにかしめ止め固定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の小判ハトメ。
【請求項5】
雄ハトメ本体の中央に形成した長円筒形突起を布地などの孔の開いた毛足の長い被取付物に挿通し、裏面側から長円筒形突起に長円形リング状の座板を嵌め付け、裏面側より長円筒形突起の先端をカシメ加工することによって前記被取付物を狭持した状態に固定する小判ハトメの取付方法において、
雄ハトメ本体(A)は、長径環状のフランジ部(1)を設け、前記長径環状のフランジ部(1)の内側には長径内筒部(2)を、その内側に長径周底(3)を設け、該長径周底(3)の先端を縮径して中央に長径孔(4)を有するかしめ脚(5)を形成し、
雌ハトメ受体(B)は、長径外筒部(7)を設け、その内側に長径周底部(8)を形成し、該長径周底部(8)の内側先端には上方に向けて長径段周部(9)を設け、その中央に前記かしめ脚の嵌る長径孔部(10)を形成し、
雌ハトメ受体(B)の長径外筒部の外径が、雄ハトメ本体(A)の長径環状のフランジ部の外径より大径に形成し、
前記段周部(9)に雄ハトメ本体(A)の前記かしめ脚(5)をかしめ止め固定することによって、
雄ハトメ本体(A)の前記フランジ先端部(1A)と前記雌ハトメ受体(B)の長径外筒部(7)の外筒部先端部(7A)で被取付物を挟持し、かつ、前記雄ハトメ本体(A)の内筒外周壁(2A)と雌ハトメ受体(B)の外筒内周壁(7B)で被取付物を挟持して当該小判ハトメを取り付け、
車体の床面に取り付けた嵌合体と雌雄ハトメを取り付けたカーマットを一体とするために、雄ハトメ本体の長径内筒の内側の長径孔の長径底周部に嵌合体の摘みを嵌合体の長さ方向に嵌合体の突出部を揃えて長径孔に嵌め、雄ハトメ本体の長径孔の短径部に摘みを移動させて段周部(9)に摘みを差し渡し係止させ、摘みを長径孔に合わせて摘みを嵌合体の長さ方向に移動させて摘みを外すことを可能とする小判ハトメ取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に毛足の長い厚みのあるカーマット(自動車内の床用マット)等の被取付物に強固に取り付けることができる小判ハトメとその取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のハトメ金具としては、環状の鍔体の中央に筒状の係合脚を備えたハトメ雄体と、該ハトメ雄体の係合脚が挿通される係合孔を有し、且つ、該ハトメ雄体の鍔体と同寸法を有する環状の鍔体を備えたハトメ雌体とからなり、取付生地を介在してハトメ雌体及びハトメ雄体を係合した状態で、床面側に立設したフックに挿通可能とする中央穴を形成するハトメが公知である(例えば、実開平5−046914号公報第3図及び第4図参照。)。
【0003】
また、小判型のハトメが平紐などを挿通するための従来のハトメ金具の場合には、ハトメ本体及びフランジをともに小判形に形成し、ハトメ本体の中央部にはこれと同じ縦横比の長孔円筒状の突起をプレス成形により形成するとともに、その突起の長手方向両側部に折曲げ代を延設し、ハトメ本体に被取付物をはさみ座板に嵌め付けた後、曲げ代部分を外側にカールさせて、被取付物の表裏に狭持状態に固定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−046914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した構造の各ハトメでは、当該ハトメの狭持状態からすると、特に毛足が長く、厚手のカーマットなどの被取付物に対して強固に固着することは困難であった。
また、カーマットは取り外しが出来ることが必要で、車体の床板に配置された嵌合体の突起とカーマットに取り付けたハトメが簡単に取り外し可能なハトメであることが必要であった。
更に、近年合成樹脂製のハトメも使用されているが、毛足の長い厚手のカーマットに対してハトメとカーマットの狭持が十分でなく、特に合成樹脂には弾力性があるため強固に固定することは困難であった。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みなされたものであり、毛足の長いかなり厚みのあるカーマットなどの被取付物を小判ハトメの長径内筒部と長径外筒部の間隙に出来るだけ多く狭持保持させることが出来、強固に小判ハトメをカーマットなどの被取付物に狭持する小判ハトメ取付方法と当該小判ハトメを発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、雄ハトメ本体の中央に形成した長円筒形突起を布地などの孔の開いた毛足の長い被取付物に挿通し、裏面側から長円筒形突起に長円形リング状の座板を嵌め付け、裏面側より長円筒形突起の先端をカシメ加工することによって前記被取付物を狭持した状態に固定する小判ハトメにおいて、雄ハトメ本体(A)は、長径環状のフランジ部(1)を設け、前記長径環状のフランジ部(1)の内側には長径内筒部(2)を、その内側に長径周底(3)を設け、該長径周底(3)の先端を縮径して中央に長径孔(4)を有するかしめ脚(5)を形成し、雌ハトメ受体(B)は、長径外筒部(7)を設け、その内側に長径周底部(8)を形成し、該長径周底部(8)の内側先端には上方に向けて長径段周部(9)を設け、その中央に前記かしめ脚の嵌る長径孔部(10)を形成し、雌ハトメ受体(B)の長径外筒部(7)の外径が、雄ハトメ本体(A)の長径環状のフランジ部(1)の外径より大径に形成して、前記段周部(9)に雄ハトメ本体(A)の前記かしめ脚(5)をかしめ止め固定することによって、雄ハトメ本体(A)の前記フランジ先端部(1A)と前記雌ハトメ受体(B)の長径外筒部(7)の外筒部先端部(7A)で被取付物を挟持し、かつ、前記雄ハトメ本体(A)の内筒外周壁(2A)と雌ハトメ受体(B)の外筒内周壁(7B)で被取付物を挟持することを特徴とする小判ハトメを、上記の課題を解決するための手段とする。
【0008】
また、本発明は、上記の発明において、前記長径孔4、長径孔部10は、ともに略小判形孔、略長円形長孔若しくは長円形角孔であることを特徴とする小判ハトメを、課題を解決するための手段とする。
【0009】
また、本発明は、雄ハトメ本体の長径環状のフランジ部を上向きに膨出状に突出しているとともにフランジ先端部は下向きに曲げられていることを特徴とする小判ハトメを、課題を解決するための手段とする。
【0010】
また、本発明は、雌ハトメ受体の段周部には前記雄ハトメ本体のかしめ脚の先端を外側にカールさせてかしめて、この段周部内にカールさせたかしめ部分が収まる寸法に設計し、周底部から長径周底部側にはみ出さないことを特徴とする小判ハトメを、課題を解決するための手段とする。
【0011】
本発明に係るハトメ金具の取付方法は、雄ハトメ本体の中央に形成した長円筒形突起を布地などの孔の開いた毛足の長い被取付物に挿通し、裏面側から長円筒形突起に長円形リング状の座板を嵌め付け、裏面側より長円筒形突起の先端をカシメ加工することによって前記被取付物を狭持した状態に固定する小判ハトメの取付方法において、雄ハトメ本体(A)は、長径環状のフランジ部(1)を設け、前記長径環状のフランジ部(1)の内側には長径内筒部(2)を、その内側に長径周底(3)を設け、該長径周底(3)の先端を縮径して中央に長径孔(4)を有するかしめ脚(5)を形成し、雌ハトメ受体(B)は、長径外筒部(7)を設け、その内側に長径周底部(8)を形成し、該長径周底部(8)の内側先端には上方に向けて長径段周部(9)を設け、その中央に前記かしめ脚の嵌る長径孔部(10)を形成し、雌ハトメ受体(B)の長径外筒部の外径が、雄ハトメ本体(A)の長径環状のフランジ部の外径より大径に形成し、前記段周部(9)に雄ハトメ本体(A)の前記かしめ脚(5)をかしめ止め固定することによって、雄ハトメ本体(A)の前記フランジ先端部(1A)と前記雌ハトメ受体(B)の長径外筒部(7)の外筒部先端部(7A)で被取付物を挟持し、かつ、前記雄ハトメ本体(A)の内筒外周壁(2A)と雌ハトメ受体(B)の外筒内周壁(7B)で被取付物を挟持して当該小判ハトメを取り付け、車体の床面に取り付けた嵌合体と雌雄ハトメを取り付けたカーマットを一体とするために、雄ハトメ本体の長径内筒の内側の長径孔の長径底周部に嵌合体の摘みを嵌合体の長さ方向に嵌合体の突出部を揃えて長径孔に嵌め、雄ハトメ本体の長径孔の短径部に摘みを移動させて段周部(9)に摘みを差し渡し係止させ、摘みを長径孔に合わせて摘みを嵌合体の長さ方向に移動させて摘みを外すことを可能とする小判ハトメ取付方法を、課題を解決するための手段とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本発明は、雄ハトメ本体の中央に形成した長円筒形突起を布地などの孔の開いた毛足の長い被取付物に挿通し、裏面側から長円筒形突起に長円形リング状の座板を嵌め付け、裏面側より長円筒形突起の先端をカシメ加工することによって前記被取付物を狭持した状態に固定する小判ハトメにおいて、雄ハトメ本体(A)は、長径環状のフランジ部(1)を設け、前記長径環状のフランジ部(1)の内側には長径内筒部(2)を、その内側に長径周底(3)を設け、該長径周底(3)の先端を縮径して中央に長径孔(4)を有するかしめ脚(5)を形成し、雌ハトメ受体(B)は、長径外筒部(7)を設け、その内側に長径周底部(8)を形成し、該長径周底部(8)の内側先端には上方に向けて長径段周部(9)を設け、その中央に前記かしめ脚の嵌る長径孔部(10)を形成し、雌ハトメ受体(B)の長径外筒部(7)の外径が、雄ハトメ本体(A)の長径環状のフランジ部(1)の外径より大径に形成して、前記段周部(9)に雄ハトメ本体(A)の前記かしめ脚(5)をかしめ止め固定することによって、雄ハトメ本体(A)の前記フランジ先端部(1A)と前記雌ハトメ受体(B)の長径外筒部(7)の外筒部先端部(7A)で被取付物を挟持し、かつ、前記雄ハトメ本体(A)の内筒外周壁(2A)と雌ハトメ受体(B)の外筒内周壁(7B)で被取付物を挟持することから、雄ハトメ本体の長径内筒部と雌ハトメ受体の長径外筒の間に深く被取付物が喰い込み、かつ、雄ハトメ本体のフランジ部の断面視が上向き膨出した長径環状のフランジ部のフランジ先端部と雌ハトメ受体の長径外筒部の外筒先端部が毛足の長いカーマットのごとき被取付物を強固に挟み込むように挟持し、かつ、雄ハトメ本体の深い長径内筒部の外周壁と雌ハトメ受体の深い長径外筒の外筒内周壁部分でマットを強く挟んで前記かしめ脚と段周部でハトメを強固に取付けることが出来る。
【0013】
また車体の床面に取り付けた嵌合体と雌雄小判ハトメを取り付けたカーマットなどの被取付物を一体とするために、雄ハトメ本体の長径外筒部の内側の長径孔の長径周底に嵌合体の摘みを嵌めて嵌合体突出部の摘みを矢印の方向に回転させて長径孔の短径部に摘みは段周部に差し渡し係止させ、摘みを長径孔の長さ方向に合わせて嵌合体から、摘みを外すことが出来るので、摘みは、長径外筒部の内側空間が広く摘みは回転操作がしやすく、摘みが雄ハトメ本体の長径外筒部の上面からはみ出さずカーマットの上からの感触について邪魔にならない。
【0014】
本発明の取付方法によれば、雄ハトメ本体の中央に形成した長円筒形突起を布地などの孔の開いた毛足の長い被取付物に挿通し、裏面側から長円筒形突起に長円形リング状の座板を嵌め付け、裏面側より長円筒形突起の先端をカシメ加工することによって前記被取付物を狭持した状態に固定する小判ハトメの取付方法において、雄ハトメ本体(A)は、長径環状のフランジ部(1)を設け、前記長径環状のフランジ部(1)の内側には長径内筒部(2)を、その内側に長径周底(3)を設け、該長径周底(3)の先端を縮径して中央に長径孔(4)を有するかしめ脚(5)を形成し、雌ハトメ受体(B)は、長径外筒部(7)を設け、その内側に長径周底部(8)を形成し、該長径周底部(8)の内側先端には上方に向けて長径段周部(9)を設け、その中央に前記かしめ脚の嵌る長径孔部(10)を形成し、雌ハトメ受体(B)の長径外筒部の外径が、雄ハトメ本体(A)の長径環状のフランジ部の外径より大径に形成し、前記段周部(9)に雄ハトメ本体(A)の前記かしめ脚(5)をかしめ止め固定することによって、雄ハトメ本体(A)の前記フランジ先端部(1A)と前記雌ハトメ受体(B)の長径外筒部(7)の外筒部先端部(7A)で被取付物を挟持し、かつ、前記雄ハトメ本体(A)の内筒外周壁(2A)と雌ハトメ受体(B)の外筒内周壁(7B)で被取付物を挟持して当該小判ハトメを取り付け、車体の床面に取り付けた嵌合体と雌雄ハトメを取り付けたカーマットを一体とするために、雄ハトメ本体の長径内筒の内側の長径孔の長径底周部に嵌合体の摘みを嵌合体の長さ方向に嵌合体の突出部を揃えて長径孔に嵌め、雄ハトメ本体の長径孔の短径部に摘みを移動させて段周部(9)に摘みを差し渡し係止させ、摘みを長径孔に合わせて摘みを嵌合体の長さ方向に移動させて摘みを外すことを可能とする小判ハトメ取付方法としたから、雄ハトメ本体の長径内筒部と雌ハトメ受体の長径外筒部の間に深く被取付物が喰い込み、かつ、雄ハトメ本体のフランジ部の断面視が上向き膨出した長径環状のフランジ部のフランジ先端部と雌ハトメ受体の長径外筒部の外筒先端部が毛足の長いカーマットのごとき被取付物を強固に挟み込むように挟持し、かつ、雄ハトメ本体の深い長径内筒部の外周壁と雌ハトメ受体の深い長径外筒部の外筒内周壁部分でマットを強く挟んで前記かしめ脚と段周部でハトメを強固に取付けることが出来る。また、雄ハトメ本体と雌ハトメ受体を被取付物に予め一体に組付けておくことにより、通常のハトメ金具と同様な取付手順により被取付物に取付できるため、通常のハトメ取付治具を用いて製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(イ)は本発明に係る雄ハトメ本体の正面図、同(ロ)は雄ハトメ本体の平面図、同(ハ)は雄ハトメ本体(ロ)のA−A線における断面図である。
図2】(ニ)本発明に係る雌ハトメ受体の平面図、(ホ)雌ハトメ受体の正面図、同(ヘ)雌ハトメ受体、(ニ)B−B線における断面図である。
図3】(ト)本発明の雄ハトメ本体と雌ハトメ受体を被取付物に取付ける状態を説明する断面説明図、(チ)本発明に係る雄ハトメ本体と雌ハトメ受体のかしめ止め状態の断面説明図である。
図4】(リ)雄ハトメ本体と雌ハトメ受体を被取付物にかしめ止めして車体の床板に取り付けて摘みつき嵌合体を嵌めた状態の断面説明図、(ヌ)摘み付き嵌合体の平面図、(ル)摘み付き嵌合体の底面図である。
図5】本発明の雄ハトメ本体と雌ハトメ受体を他の摘み付き嵌合体に取付けた状態を示す一部断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の雄ハトメ本体は、長径環状のフランジ部は上向きに膨出させて、それに続く内側に長径内筒部を深く絞り長径周底を設け、該長径周底の先端を縮径して中央に長径孔を有するかしめ脚を形成し、
これと嵌合する雌ハトメ受体は長径外筒部を深く絞りその先に長径周底部を形成し、該長径周底部の内側先端には内側に向けて段周部を設け、その中央に前記かしめ脚の嵌る長径孔部を形成し、且つ、雌ハトメ受体の長径外筒部の外径が、雄ハトメ本体の長径環状のフランジ部の外径より大径に形成したことにより毛足の長いかなりの厚みのあるカーマットなどの被取付物に小判ハトメを強固に取り付けることが出来る小判ハトメとその取付方法を実現した。
【実施例】
【0017】
雄ハトメ本体Aおよび雌ハトメ受体Bからなる小判ハトメは、真鍮などの金属薄板をプレス成形したもので、雄ハトメ本体Aおよび雌ハトメ受体の2部品から構成されている。
雄ハトメ本体Aは、長径環状のフランジ1は断面視上向きに膨出部させてその内側に長径内筒部2を長さ約6mm程度に深く絞りその先に長径周底3を設け、該長径周底3の先端を縮径して中央に長径孔4を有する長さ約4mm程度かしめ脚5を形成し、
前記かしめ脚5が嵌合する雌ハトメ受体Bは長径外筒部7を約6mm程度に深く絞り、その先に長径周底部8を形成し、該長径周底部8の内側先端には上方に向けて約2mm程度の段周9を設け、前記かしめ脚5の嵌る長径孔部10の長径が20mm、短径が16mm程度に形成し、且つ、雌ハトメ受体Bの長径外筒部7の外径が、雄ハトメ本体Aの長径環状のフランジ部1の長径外径より大径に形成した構成である。
【0018】
雄ハトメ本体Aの長径孔4と、雌ハトメ受体Bの長径孔部10は、ともに略小判形孔、長円形長孔もしくは長円形角孔としたものである。
【0019】
本実施例に係る小判ハトメは、雄ハトメ本体の長径環状のフランジ部1は上向きに膨出状に突出しているとともにフランジ部1の先端を下向きに曲げられている。
【0020】
また前記小判ハトメは、雄ハトメ本体の長径内筒部のかしめ脚を、被取付物をはさんで雌ハトメ受体の長径孔部にはめて、該長径孔部の段周部で前記かしめ脚の先端を外側にカールさせて長径孔の段周部にかしめ脚をカールした部分が収まるようにかしめ止め固定されている。
【0021】
そして、本実施例に係る小判ハトメ取付方法は、車体の床面に取り付けた嵌合体と雌雄ハトメを取り付けたカーマットを一体とするために、雄ハトメ本体の長径内筒の内側の長径孔の長径底周部に嵌合体の摘みを嵌合体の長さ方向に嵌合体の突出部を揃えて長径孔に嵌め、雄ハトメ本体の長径孔の短径部に摘みを移動させて段周部に摘みを差し渡し係止させ、摘みを長径孔に合わせて摘みを嵌合体の長さ方向に移動させて摘みを外すことが出来るものである。
【0022】
以上において、雄ハトメ本体Aと雌ハトメ受体Bは個別にプレス機で成形した後、通常のハトメ金具と同様な取付手順により被取付物に取り付けて予め一体に組合わされる。
【0023】
すなわち、各別に成形後に図3(ト)に示すように、雄ハトメ本体Aの長径内筒2のかしめ脚5に、予め孔を開けたカーマットなどの被取付物を嵌めておき、かしめ脚5を雌ハトメ受体Bの長径孔部10に嵌めて、かしめ脚取り付け用の冶具を当ててカシメ脚を段周部9の外側にカールさせて段周部9にカシメ付け固定することにより、図3(チ)に示すごとく、雄ハトメ本体Aの長径内筒部2と雌ハトメ受体Bの長径外筒7の間隙に被取付物11を喰い込ませ、かつ、雄ハトメ本体Aの長径環状のフランジ1の断面視上向き膨出したフランジ先端部1Aと雌ハトメ受体Bの長径外筒部7の外筒先端部7Aが毛足の長いカーマット挟み込むように挟持し、かつ、深い長径内筒部2の内筒外周壁2Aと深い長径外筒7の外筒内周壁部分7Bでマットを強く挟んで強固に固定して取付けることができ、カーマットのごとき被取付物11の表裏をハトメで狭持した状態に雌雄ハトメを一体化して、互いに内側に向き合わされ両者間の長径孔が連通する。
【0024】
本発明は雄ハトメ本体Aの長径内筒部2とこれと嵌合する雌ハトメ受体Bの長径外筒部7をともに深く絞って形成し、且つ雌ハトメ受体Bの長径外筒部7の外径が雄ハトメ本体Aの長径環状のフランジ部1の外径より大きく形成し、ともに中央に長径孔を形成し、雄ハトメ本体Aの長径内筒部2のかしめ脚5が、被取付物11をはさんで雌ハトメ受体Bの長径孔部10に嵌り、該長径孔部10の段周部9で前記かしめ脚5の先端を外側にカールさせてかしめることにより、毛足の長い厚みのあるカーマットなどの被取付物11は長径内筒部2が前記長径外筒部7の外径よりも大きくかつ深くして設定されているため、長径内筒部2と長径外筒部7の間隙にカーマットなどの被取付物が深く喰い込み、かつ、雄ハトメ本体Aの長径環状フランジ部1が上向きに膨出させてそのフランジ先端部1Aと雌ハトメ受体Bの長径外筒部7の外筒先端部7Aが毛足の長いカーマットなどの被取付物を深く食い込む様に挟持し強固に固定するものである。
【0025】
一方、また車体の床面に取り付けた嵌合体12と雌雄ハトメを取り付けたカーマット11を一体とするために、雄ハトメ本体Aの長径内筒部2の内側の長径孔4の長径底周部3に嵌合体12の摘み15を嵌合体12の長さ方向に揃えて長径孔4に嵌め(図4(ヌ)の点線摘み位置参照)、次に、雄ハトメ本体Aの長径孔4の短径部に摘み15を移動させて段周部9に摘み15を差し渡し係止する。
【0026】
嵌合体12の突出部13を長径孔4に合わせて摘み15を嵌合体12の長さ方向に移動させて摘み15を外すことが出来るので、摘み15は、長径内筒2の長径周底部8の内側空間が広くなっていて摘みはつかみやすく、摘み15が雄ハトメ本体Aの長径内筒2の上面からはみ出さず邪魔にならない。
【0027】
尚、本実施例に係る雌雄ハトメを他の嵌合体12(摘み付き嵌合体)に取付けた状態を図5に示す。
【0028】
被取付物としては、バッグ、鞄、ベルト、靴などの各種革製品や、厚手の毛皮製品などが掲げられ、これら製品の取り付け位置に小判ハトメ金具を固定しておくことにより、挿通位置の補強と表面の見栄えの向上を図ることができるものとなる。
【符号の説明】
【0029】
A 雄ハトメ本体
B 雌ハトメ受体
1 長径環状のフランジ部
1A フランジ先端部
2 長径内筒部
2A 内筒外周壁
3 長径周底
4 長径孔
L1 長径孔の短径部
L2 長径孔の長径部
5 かしめ脚
6 かしめ先端部
7 長径外筒部
7A 外筒部先端部
7B 外筒内周壁
8 長径周底部
9 段周部
10 長径孔部
11 被取付物
12 嵌合体
13 突出部
14 基板
15 摘み
16 嵌合体の取付部
17 床板
18 軸体
図1
図2
図3
図4
図5