(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動壁本体(1A)の上端縁部(1a)に上下移動可能に設けられ該上端縁部(1a)と室内の天井(12)の間を遮蔽するための天井側遮蔽部材(2)と、上記移動壁本体(1A)の下端縁部(1b)に上下移動可能に設けられ該下端縁部(1b)と室内の床(13)の間を遮蔽するための床側遮蔽部材(3)と、上記移動壁本体(1A)の左右一方の側端縁部(1d)に左右移動可能に設けられ該側端縁部(1d)と室内の左右一方の側壁面(15)の間を遮蔽するための側壁面側遮蔽部材(5)と、上記天井側遮蔽部材(2)と上記床側遮蔽部材(3)と上記側壁面側遮蔽部材(5)とを連動連結するラック・ピニオン機構(6)と、上記天井側遮蔽部材(2)と上記床側遮蔽部材(3)と上記側壁面側遮蔽部材(5)とを上記ラック・ピニオン機構(6)を介して上記移動壁本体(1A)の外方へ弾発付勢する作動用弾発付勢部材(60)と、該作動用弾発付勢部材(60)の弾発力による上記ラック・ピニオン機構(6)の作動を阻止するロック手段(9)と、を備え、
上記ラック・ピニオン機構(6)は、上記天井側遮蔽部材(2)に上端部(62a)が連結された天井用ラック部材(62)と、上記床側遮蔽部材(3)に下端部(63b)が連結された床用ラック部材(63)と、上記側壁面側遮蔽部材(5)の上部に左右一端部(64a)が連結された第1側壁面用ラック部材(64)と、上記側壁面側遮蔽部材(5)の下部に左右一端部(65a)が連結された第2側壁面用ラック部材(65)と、上記天井用ラック部材(62)及び上記床用ラック部材(63)と噛合して上記天井用ラック部材(62)と上記床用ラック部材(63)とを互いに異なる上下方向へ移動させるための第1ピニオン(66)と、上記天井用ラック部材(62)及び上記第1側壁面用ラック部材(64)と噛合して上記天井用ラック部材(62)の上昇に伴って上記第1側壁面用ラック部材(64)を左右一方向へ移動させるための第2ピニオン(67)と、上記床用ラック部材(63)及び上記第2側壁面用ラック部材(65)と噛合して上記床用ラック部材(63)の下降に伴って上記第2側壁面用ラック部材(65)を左右一方向へ移動させるための第3ピニオン(68)と、を備え、
上記作動用弾発付勢部材(60)は、上記床用ラック部材(63)の上端部(63a)に連結され該床用ラック部材(63)を常時下方へ弾発付勢するガススプリング(60B)であって、
上記ロック手段(9)は、上記第1ピニオン(66)に噛合するロック用ラック部材(91)の移動阻止の解除にて、上記第1ピニオン(66)を回転可能状態にして、上記天井側遮蔽部材(2)と上記床側遮蔽部材(3)と上記側壁面側遮蔽部材(5)とが上記作動用弾発付勢部材(60)によって上記外方へ移動するように構成したことを特徴とする移動間仕切り壁。
上記側壁面側遮蔽部材(5)の側方移動寸法(S5)よりも上記天井側遮蔽部材(2)の上方移動寸法(S2)を大きく設定し、該上方移動寸法(S2)よりも上記床側遮蔽部材(3)の下方移動寸法(S3)を大きく設定して、
上記側壁面側遮蔽部材(5)が上記一方の側壁面(15)に当接した後に、上記天井側遮蔽部材(2)が上記天井(12)に当接し、その後、上記床側遮蔽部材(3)が上記床(13)に当接するように構成した請求項1記載の移動間仕切り壁。
上記側壁面側遮蔽部材(5)が上記一方の側壁面(15)に当接した後に上記ラック・ピニオン機構(6)の作動による該側壁面側遮蔽部材(5)への移動ストロークを吸収する側方ストローク吸収手段(7)を備え、
上記側方ストローク吸収手段(7)は、左右一方向の作動力を受ける側方吸収用弾発付勢部材(72)を伸縮自在に保持する筒状の側方用ケース部(73a)と、左右方向に走行するための複数の車輪(73b)と、上記側壁面側遮蔽部材(5)に固着する側方用連結部(73c)と、を有する走行車部材(73)を備え、さらに、該走行車部材(73)の上記車輪(73b)をガイドする吸収用レール部(74)を上記移動壁本体(1A)の枠材の一部に設けている請求項1又は2記載の移動間仕切り壁。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明に係る移動間仕切り壁は、
図1に示すように、天井12から吊り下げられる複数枚の正面視長方形状の移動壁本体1,1を備え、吊下部材19によって天井12から吊下支持され、図示省略の天井側ガイドレールに沿って走行し、室内の左右一方の側壁面15から左右他方の側壁面16に向かって、室内を間仕切りするように平面視一直線状に配設される。
【0012】
そして、複数枚の移動壁本体1,1の内、一方の側壁面15に最も近い左右一方の移動壁本体1Aは、
図2及び
図3に示すように、上端縁部1aに上下移動可能に設けられて上端縁部1aと室内の天井12の間を遮蔽するための天井側遮蔽部材2と、下端縁部1bに上下移動可能に設けられ下端縁部1bと室内の床13の間を遮蔽するための床側遮蔽部材3と、左右一方の側端縁部1dに左右移動可能に設けられ側端縁部1dと室内の一方の側壁面15の間を遮蔽するための側壁面側遮蔽部材5と、を備えている。
【0013】
天井側遮蔽部材2及び床側遮蔽部材3は、横断面コの字状の遮蔽本体部20,30を有し、非遮蔽状態で、遮蔽本体部20,30は、移動壁本体1Aの正面壁部材10と背面壁部材11の間に内嵌状に収納されている。
側壁面側遮蔽部材5は、横断面コの字状の遮蔽本体部材50を有し、非遮蔽状態で、遮蔽本体部50は、移動壁本体1Aの側端縁部1dに外嵌状に(正面壁部材10及び背面壁部材11を挟持するように)配設されている。
【0014】
そして、天井側遮蔽部材2と床側遮蔽部材3と側壁面側遮蔽部材5とを、ラック・ピニオン機構6にて連動連結している。
ラック・ピニオン機構6は、天井側遮蔽部材2に上端部62aが連結され上下方向に沿って形成されたラック部を有する角棒状の天井用ラック部材62と、床側遮蔽部材3に下端部63bが連結され上下方向に沿って形成されたラック部を有する角棒状の床用ラック部材63と、側壁面側遮蔽部材5の上部に左右一端部64aが連結され左右方向に沿って形成されたラック部を有する角棒状の第1側壁面用ラック部材64と、側壁面側遮蔽部材5の下部に左右一端部65aが連結され左右方向に沿って形成されたラック部を有する角棒状の第2側壁面用ラック部材65と、を備えている。
【0015】
また、ラック・ピニオン機構6は、天井用ラック部材62及び床用ラック部材63と噛合して、天井用ラック部材62と床用ラック部材63とが互いに異なる上下方向へ移動するように連動させるための第1ピニオン66を備えている。
また、天井用ラック部材62及び第1側壁面用ラック部材64と噛合して、天井用ラック部材62の上昇に伴って第1側壁面用ラック部材64を左右一方向へ移動するように連動させると共に、天井用ラック部材62の下降に伴って第1側壁面用ラック部材64を左右他方向へ移動するように連動させるための第2ピニオン67を備えている。
また、床用ラック部材63及び第2側壁面用ラック部材65と噛合して、床用ラック部材63の下降に伴って第2側壁面用ラック部材65を左右一方向へ移動するように連動させると共に床用ラック部材63の上昇に伴って第2側壁面用ラック部材65を左右他方向へ移動するように連動させるための第3ピニオン68を備えている。
【0016】
また、ラック・ピニオン機構6を介して、天井側遮蔽部材2と床側遮蔽部材3と側壁面側遮蔽部材5とを、移動壁本体1Aの外方へ、つまり、天井側遮蔽部材2を天井側へ、床側遮蔽部材3を床側へ、側壁面側遮蔽部材5を側壁面15側へ、移動するように弾発付勢する作動用弾発付勢部材60を備えている。
【0017】
作動用弾発付勢部材60はガススプリングから成り、各遮蔽部材2,3,5を作動させるための機械的な駆動源である。具体的には、作動用弾発付勢部材60は、天井用ラック部材62の下端部62bに連結され天井用ラック部材62を常時上方へ弾発付勢する1本のガススプリング60Aと、床用ラック部材63の上端部63aに連結され床用ラック部材63を常時下方へ弾発付勢する3本のガススプリング60Bと、である。
【0018】
また、作動用弾発付勢部材60の弾発力によるラック・ピニオン機構6の作動を阻止するロック手段9を設けている。
ロック手段9は、第1ピニオン66に噛合するロック用ラック部材91を備え、そのロック用ラック部材91の移動を阻止することで、第1ピニオン66を回転不可能状態にして、ラック・ピニオン機構6の作動を阻止したロック状態とし、ロック用ラック部材91を移動可能とすることで第1ピニオン66を回転可能状態にして、ロック解除となるように構成している。ロック手段9の具体的な構成及び作用は後述する。
【0019】
各ラック部材62,63,64,65のラックのピッチと、各ピニオン66,67,68の歯部のピッチは同等に形成し、ラック・ピニオン機構6が作動した際に、各ラック部材62,63,64,65の移動ストロークを同等(同じ)としている。
そして、側壁面側遮蔽部材5の側方移動寸法S5よりも天井側遮蔽部材2の上方移動寸法S2を大きくし、上方移動寸法S2よりも床側遮蔽部材3の下方移動寸法S3を大きく設定している。つまり、所定位置に配設された非遮蔽状態で、側壁面側遮蔽部材5と一方の側壁面15の間の側壁面側隙間寸法よりも、天井側遮蔽部材2と天井12の間の天井側隙間寸法が大きく、天井側隙間寸法よりも床側遮蔽部材3と床13の間の床側隙間寸法が大きくなるように、天井側遮蔽部材2と床側遮蔽部材3と側壁面側遮蔽部材5とを、移動壁本体1Aに設けている。
【0020】
さらに、側壁面側遮蔽部材5が側壁面15に当接した後にラック・ピニオン機構6の作動による側壁面側遮蔽部材5への第1・第2側壁面用ラック部材64,65の移動ストロークを吸収する側方ストローク吸収手段7と、天井側遮蔽部材2が天井12に当接した後にラック・ピニオン機構6の作動による天井側遮蔽部材2への天井用ラック部材62の移動ストロークを吸収する上方ストローク吸収手段8と、を設けて、側壁面側遮蔽部材5が側壁面15に当接した後に、天井側遮蔽部材2が天井12に当接し、その後、床側遮蔽部材3が床13に当接するように構成している。
【0021】
側方ストローク吸収手段7は、側壁面側遮蔽部材5と第1側壁面用ラック部材64との間と、側壁面側遮蔽部材5と第2側壁面用ラック部材65との間と、に夫々、介設している。
側方ストローク吸収手段7は、第1・第2側壁面用ラック部材64,65の左右一端部64a,65aに夫々設けられたシリンダロッド状の側方伝達部材71と、側方伝達部材71から左右一方向の作動力(押圧力)を受けて短縮する圧縮コイルバネ等の側方吸収用弾発付勢部材72,72と、備えている。
【0022】
さらに、側方ストローク吸収手段7は、側方伝達部材71を左右方向スライド自在かつ左右他方向へ抜け止めして保持すると共に側方吸収用弾発付勢部材72を伸縮自在に保持する筒状の側方用ケース部73aと、左右方向に走行するための複数の車輪73bと、側壁面側遮蔽部材5に固着される側方用連結部73cと、を有する走行車部材73を備えている。
また、走行車部材73の車輪73bをガイドする吸収用レール部74を備えている。レール部74は、移動壁本体1Aの剛性を高めるための枠材の一部に設けている。
【0023】
側方ストローク吸収手段7は、作動力を受けて、第1・第2側壁面用ラック部材64,65が左右一方へ移動すると、側方伝達部材71と側方吸収用弾発付勢部材72を介して、走行車部材73を左右一方向へ移動させて、側壁面側遮蔽部材5を側壁面15に当接させる。当接後に、側壁面15の反力を受けて走行車部材73が移動不可能となり、第1・第2側壁面用ラック部材64,65から作動力を受けて左右一方向へ移動する側方伝達部材71の移動ストロークを側方吸収用弾発付勢部材72が短縮することで吸収するように構成している。
【0024】
上方ストローク吸収手段8は、天井側遮蔽部材2と天井用ラック部材62との間に介設されている。上方ストローク吸収手段8は、天井用ラック部材62の上端部62aに設けられたシリンダロッド状の天井用伝達部材81と、天井用伝達部材81から上方へ作動力(押圧力)を受ける圧縮コイルバネ等の上方吸収用弾発付勢部材82と、天井用伝達部材81を上下方向スライド自在かつ下方向へ抜け止めして保持する共に上方吸収用弾発付勢部材82を伸縮自在に保持して天井側遮蔽部材2に取着される天井用取付部材83と、を備えている。
【0025】
上方ストローク吸収手段8は、作動力を受けて、天井用ラック部材62が上方へ移動すると、天井用伝達部材81と上方吸収用弾発付勢部材82を介して、天井側遮蔽部材2を移動させて天井12に当接させる。当接後に、天井用ラック部材62から作動力を受けて上方へ移動する天井用伝達部材81の移動ストロークを上方吸収用弾発付勢部材82が短縮することで吸収するように構成している。
【0026】
また、天井用ラック部材62が受けた作動力を天井用伝達部材81へ伝達するのを遅らせるための天井側時差作動手段25と、床用ラック部材63が受けた作動力を床側遮蔽部材3に固着された床用伝達部材39へ伝達するのを遅らせるための床側時差作動手段35と、を備えている。
【0027】
天井側時差作動手段25は、天井用ラック部材62と天井用伝達部材81の間に設けられている。天井用ラック部材62及び天井用伝達部材81の一方に形成される天井用縦長孔部26と、他方に設けられ天井用縦長孔部26にスライド自在に差し込まれる天井用差込ピン部27とから成る。天井用差込ピン部27が天井用縦長孔部26内の上下一端縁部から上下他端縁部へ相対的にスライドすることで、天井用ラック部材62が受けた作動力を天井用伝達部材81へ伝達するのを遅らせるように設けている。
また、天井側遮蔽部材2は、自重で下降しないように、移動壁本体1Aの正面壁部材10と背面壁部材11の内面側に設けた図示省略の天井側摩擦部材にて挟持されている。
【0028】
天井側時差作動手段25は、具体的には、天井用ラック部材62の上端部62aに天井用縦長孔部26を貫設し、天井用伝達部材81の下端部に天井用差込ピン部27を突設して、
図2の非遮蔽状態で、天井用縦長孔部26の上端縁部に天井用差込ピン部27を配設し、天井用ラック部材62の上昇によって天井用縦長孔部26の下端縁部が天井用差込ピン部27に当接するまで、上昇するための作動力を伝達しないように構成して、ラック・ピニオン機構6が作動用弾発付勢部材60によって作動した際に、側壁面側遮蔽部材5よりも天井側遮蔽部材2の動き出しを遅くするように構成している。
【0029】
床側時差作動手段35は、床側遮蔽部材3に固着され床用ラック部材63の下端部63bと連結するための床用伝達部材39と、床用ラック部材63と、の間に設けられている。床用ラック部材63及び床用伝達部材39の一方に形成される床用縦長孔部36と、他方に設けられ床用縦長孔部36にスライド自在に差し込まれる床用差込ピン部37とから成る。
床用差込ピン部37が床用縦長孔部36内の上下一縁端から上下他縁端へ相対的にスライドすることで、床用ラック部材63が受けた作動力を床用伝達部材39へ伝達するのを遅らせるように設けている。
また、床側遮蔽部材3は、自重で下降しないように、移動壁本体1Aの正面壁部材10と背面壁部材11の内面側に設けた図示省略の床側摩擦部材にて挟持(保持)されている。
【0030】
床側時差作動手段35は、具体的には、床用ラック部材63の下端部63bに床用縦長孔部36を貫設し、床用伝達部材39の上端部に床用差込ピン部37を突設して、
図2の非遮蔽状態で、床用縦長孔部36の下端部に床用差込ピン部37を配設し、床用ラック部材63の降下によって床用縦長孔部36の上端縁部が床用差込ピン部37に当接するまで、降下するための作動力を伝達しないように構成している。
【0031】
また、移動壁本体1Aは、天井12と一方の側壁面15が接する上隅部17を遮蔽するための上隅部側遮蔽部材51と、床13と一方の側壁面15が接する下隅部18を遮蔽するための下隅部側遮蔽部材52と、を備えている。
【0032】
上隅部側遮蔽部材51は、天井側遮蔽部材2の左右一端部に左右方向スライド自在に設けられ、かつ、側壁面側遮蔽部材5の上端部に上下方向スライド自在に設けられている。
そして、側壁面側遮蔽部材5と共に左右一方向へ移動し、天井側遮蔽部材2と共に上方向へ移動して、側壁面15の上部に当接すると共に天井12の左右一端部に当接して、上隅部17を遮蔽するように設けている。
【0033】
下隅部側遮蔽部材52は、床側遮蔽部材3の左右一端部に左右方向スライド自在に設けられ、かつ、側壁面側遮蔽部材5の下端部に上下方向スライド自在に向けられている。
そして、側壁面側遮蔽部材5と共に左右一方向へ移動し、床側遮蔽部材3と共に下方向へ移動して、側壁面15の下部に当接すると共に床13の左右一端部に当接して、下隅部18を
遮蔽するように設けている。
【0034】
次に、ロック手段9の構成及び作用について説明する。
図2と
図3及び
図4に於て、ロック手段9は、第1ピニオン66に噛合するように左右方向に沿って形成されるラック部を有する角棒状のロック用ラック部材91を備えている。
ロック用ラック部材91は、作動用弾発付勢部材60の弾発力によって第1ピニオン66が回転しようとする際に、第1ピニオン66から左右一方向への引張力(作動力)Faを受けるように配設されている。
【0035】
図4に於て、ロック手段9は、ロック用ラック部材91と、ロック用ラック部材91の左右他端部91bに枢着された揺動節部材92と、揺動節部材92の左右一端部92aに下端部93bが枢着され中間部93cが(移動壁本体1の固定部に)枢支され上端部93aにロック用切欠部93dを有するL字状の揺動ロック部材93と、ロック状態でロック用切欠部93dに入り込んで揺動ロック部材93の枢支軸心La廻りの揺動を阻止する係合凸部94dを有すると共に左右方向に走行するための車輪94fを有する(左右方向スライド自在な)ロック用スライド部材94と、車輪94fが走行するためのロック用レール部97と、ロック用スライド部材94を常時左右他方向へ弾発付勢する引張コイルバネ等のロック用弾発付勢部材95と、枢支軸心La廻りに揺動自在に設けられたロック操作用レバー96と、を備えている。
【0036】
揺動ロック部材93の切欠部93dは、係合凸部94dが係合した状態(ロック状態)で、左右一方向へ開口するコの字状に形成されている。
また、ロック用弾発付勢部材95は、ロック状態で、係合凸部94dが切欠部93dから離脱しないように左右他方向へ押し込むようにスライド部材94を弾発付勢する。そして、揺動ロック部材93は、切欠部93d内に係合凸部94dが係合されることで、枢支軸心La廻りの揺動が阻止され、下端部93bは、ロック用ラック部材91を引張力Faに抗する方向へ引き込んだ位置に保持する。つまり、ロック状態で、ロック用ラック部材91は、ガススプリング60A,60Bが短縮状態で保持されるように第1ピニオン66の回転を阻止する。
【0037】
ロック手段9は、
図5に示すように、スライド部材94のロック解除用操作部94eを介して、操作者から左右一方向のスライド操作力Feを受けると、スライド部材94がロック用弾発付勢部材95の弾発力に抗して左右一方向へ移動し、係合凸部94dが、切欠部93dから離脱し、揺動ロック部材93が枢支軸心La廻りに揺動自在となって、ロック用ラック部材91が左右一方向へ移動可能となり、第1ピニオン66が回転可能となってガススプリング60A,60Bが伸長して、ラック・ピニオン機構6が作動する(ロック解除状態となる)。
【0038】
ロック手段9は、使用者がスライド部材94の操作を止めると(スライド操作力Feを解除すると)、スライド部材94は、ロック用弾発付勢部材95によって左右他方向へ移動し、係合凸部94dはロック状態のときの位置を通過するように左右他方向へ移動するが、ロック用ラック部材91が、引張力Faを受けて、揺動ロック部材93の下端部93bを左右一方向へ移動させ、上端部93aを枢支軸心La廻りに揺動させるため、切欠部93dはロック状態の位置になく、係合凸部94dと切欠部93dは係合せず、ロック状態とならない。
ロック解除操作後は、
図3に示すように、床側遮蔽部材3が床13に当接して、床用ラック部材63の移動が止まると、第1ピニオン66の回転が阻止され、ロック用ラック部材91の移動が止まって、
図6のロック解除状態となる。
【0039】
また、ロック手段9を、
図6のロック解除状態から、再び
図4のロック状態にするロック操作は、ロック操作用レバー96を枢支軸心La廻りに揺動させ、ロック操作用レバー96に設けられた当り凸部96aを、スライド部材94及び揺動ロック部材93に押し当てて、スライド部材94を左右一方向へ移動させると共に、揺動ロック部材93を枢支軸心La廻りに揺動させ、ロック用ラック部材91を引張力Faに抗して引き込む。
【0040】
このロック操作用レバー96の操作力にて、ロック用ラック部材91を引張力Faに抗して引き込んで、第1ピニオン66を作動用弾発付勢部材60の弾発力に抗する方向に回転(作動開始と反回転)させ、ガススプリング60A,60Bを短縮させると共に、天井側遮蔽部材2を下方へ、床側遮蔽部材3を上方へ、側壁面側遮蔽部材5を左右他方へ(各遮蔽部材2,3,5,51,52を内方へ)移動させる。
【0041】
さらに、
図7に示すように、ロック操作用レバー96を揺動させ、揺動ロック部材93の切欠部93d近傍に設けたガイド勾配面93eに係合凸部94dを摺接させつつ押圧して、スライド部材94を左右一方向へ移動させる。
図8に示すように、切欠部93dが左右一方向に開口するコノ字となるように配設されると、スライド部材94はロック用弾発付勢部材95の引張力を受けて係合凸部94dが切欠部93d内に落ち込むように移動して係合し、係合凸部94dが揺動ロック部材93の揺動を規制したロック状態となる。その後、ロック操作用レバー部材96を、操作前の姿勢に戻して
図4の状態となる。
【0042】
次に、本発明の移動仕切り壁の使用方法(作動)について説明する。
図1に示すように、複数枚の移動壁本体1,1が平面視一直線状に配設された遮蔽準備状態に於て、各移動壁本体1,1と天井12の間には走行のために設けた隙間が形成されると共に、各移動壁本体1と床13との間に走行のために設けた隙間が形成される。他方の側壁面16近傍に配設された左右他方の移動壁本体1Bは、他方の側壁面16に当接されている。隣り合う移動壁本体1,1同士は当接している。
そして、一方の側壁面15に接近して(近傍に)配設された左右一方の移動壁本体1Aは、一方の側壁面15との間に配設のための隙間が形成されている。
【0043】
移動壁本体1Aは、
図2に示す非遮蔽状態から、ロック手段9のロック解除用操作部94eを操作すると、ロック解除状態となってロック用ラック部材91が移動自在となり、第1ピニオン66が回転自在となる。
作動用弾発付勢部材60が伸長し、天井用ラック部材62を押し上げると共に、床用ラック部材63を降下させる。天井用ラック部材62は上昇に伴って第2ピニオン67を回転させ、第1側壁面用ラック部材64を左右一方向へ移動させる。床用ラック部材63は降下に伴って第3ピニオン68を回転させ、第2側壁面用ラック部材65を左右一方向へ移動させる。
【0044】
各ラック部材62,63,64,65のラック歯のピッチと、各ピニオン66,67,68の歯部(ギヤ)のピッチは同等に形成されており、同寸法移動する。
しかし、天井側遮蔽部材2は、天井側時差作動手段25によって、天井用ラック部材62の天井用縦長孔部26の下端縁部が、天井用伝達部材81の天井用差込ピン部27に当接するまで作動力が伝達されず、上昇しない。
また、床側遮蔽手段3は、床側時差作動手段35によって、床用ラック部材63の床用縦長孔部36の上端縁部が、床用伝達部材39の床用差込ピン部36に当接するまで作動力が伝達されず降下しない。
つまり、
図9(a)の非遮蔽状態から、
図9(b)に示すように、先ず、側壁面側遮蔽部材5が左右一方向に移動開始する。
【0045】
さらに、ラック・ピニオン機構6が作動すると、天井用縦長孔部26の下端縁部が、天井用差込ピン部27に当接して、天井側遮蔽部材2の上昇が開始する。
また、床用縦長孔部36の上端縁部が、床用差込ピン部37に当接して、床側遮蔽部材3が降下する。
【0046】
その後、
図9(c)に示すように、先ず、側壁面側遮蔽部材5が一方の側壁面15に当接して遮蔽する。また、側壁面側遮蔽部材5の移動に伴って左右一方向へ引き出された上隅部側遮蔽部材51及び下隅部側遮蔽部材52が一方の側壁面15に当接して遮蔽する。
【0047】
図3に示すように、側壁面側遮蔽部材5が一方の側壁面15に当接後に、ラック・ピニオン機構6の作動によって第1・第2側壁面用ラック部材64,65が左右一方に移動しても、側方ストローク吸収手段7の側方吸収用弾発付勢部材72が短縮され側方への移動ストロークが吸収される。
また、側方吸収用弾発付勢部材72によって、一方の側壁面15に僅かな傾きがあっても、側壁面側遮蔽部材5を側壁面15に沿わせて隙間なく強い密着力で遮蔽することができる。
【0048】
そして、
図9(d)に示すように、天井側遮蔽部材2が天井12に当接して遮蔽する。また、天井側遮蔽部材2の移動に伴って上方へ引き出された上隅部側遮蔽部材51が天井12に当接して遮蔽する。
【0049】
図3に示すように、天井側遮蔽部材2が天井12に当接後に、ラック・ピニオン機構6の作動によって天井用ラック部材62が上方へ移動しても、上方ストローク吸収手段8の上方吸収用弾発付勢部材82が短縮され上方への移動ストロークが吸収される。
【0050】
最後に、
図9(e)に示すように、床側遮蔽部材3が床13に当接して遮蔽する。また、床側遮蔽部材3の移動に伴って下方へ引き出された下隅部側遮蔽部材52が床13に当接して遮蔽する。
図3に示すように、床13の反力を受けて床用ラック部材63が停止し、ラック・ピニオン機構6の作動が作動用弾発付勢部材60に抗して停止し、遮蔽完了状態となる。
【0051】
このように、一方の側壁面15に先に当接させることで、
図1に示す間仕切り遮蔽準備状態に於て、他方の側壁面16近傍に配設された移動壁本体1B及び、中間に配設される複数の移動壁本体1C,1Cを、左右他方側へ寄せて、強い力で密着させ、吊り持ちによる傾きを適正な姿勢にした後に、天井12や床13側を確実かつ適切に遮蔽できる。
【0052】
また、
図1に示す間仕切り遮蔽準備状態(非遮蔽状態)に於て、他方の側壁面16近傍に配設された移動壁本体1B及び、複数枚の中間の移動壁本体1C,1Cは、図示省略するが、ラック・ピニオン機構にて連動連結された天井側遮蔽部材2と床側遮蔽部材3とを有すると共に、ロック手段9を有し、左右側方へ移動自在な遮蔽部材を省略している。
左右一方の移動壁本体1Aの遮蔽完了後に、左右他方の移動壁本体1B及び中間の移動壁本体1C,1Cのロックを解除し、天井側遮蔽部材2と床側遮蔽部材3を作動させて、室内の間仕切り遮蔽を完了する。
【0053】
また、遮蔽を解除する場合は、
図3の遮蔽完了状態からロック手段9のロック操作用レバー96を操作して、ロック用ラック部材91を左右他方向へ移動させる。第1ピニオン66を、作動用弾発付勢部材60の弾発力に抗する方向へ回転させ(遮蔽開始と反対に回転)させ、作動用弾発付勢部材60を短縮させつつ、天井用ラック部材62を降下させ、床用ラック部材63を上昇させて、第2,3ピニオン67,68を遮蔽開始と反回転させ、第1・第2側壁面用ラック部材64,65を左右他方へ引き戻す。そして、遮蔽する際と逆の順序、つまり、先ず、床側遮蔽部材3が上昇し、次に天井側遮蔽部材2が降下し、最後に側壁面側遮蔽部材5が左右他方へ移動して、
図2の非遮蔽状態となる。
【0054】
なお、本発明は、設計変更可能であって、ガススプリング60(60A,60B)の本数は自由である。
また、図示省略したが、天井側遮蔽部材2は遮蔽本体部20の天井側面に、床側遮蔽部材3は遮蔽本体部30の床側面に、側壁面側遮蔽部材5は遮蔽本体部50の左右一方の側壁面側に、シール用パッキン部材を有している。なお、本発明に於て側壁面15,16とは、壁や柱、ロッカーや棚等の家具等の面である。
【0055】
以上のように、本発明の移動仕切り壁は、移動壁本体1Aの上端縁部1aに上下移動可能に設けられ該上端縁部1aと室内の天井12の間を遮蔽するための天井側遮蔽部材2と、移動壁本体1Aの下端縁部1bに上下移動可能に設けられ下端縁部1bと室内の床13の間を遮蔽するための床側遮蔽部材3と、移動壁本体1Aの左右一方の側端縁部1dに左右移動可能に設けられ側端縁部1dと室内の左右一方の側壁面15の間を遮蔽するための側壁面側遮蔽部材5と、を備え、天井側遮蔽部材2と床側遮蔽部材3と側壁面側遮蔽部材5とを、ラック・ピニオン機構6にて連動連結したので、天井側遮蔽部材2と床側遮蔽部材3と側壁面側遮蔽部材5とを機械的に連動連結でき、遮蔽作業を容易かつ迅速に行なえると共に、各遮蔽部材2,3,5に対応するように電動モータやセンサを複数設ける必要がなく、軽量・薄型に容易に製作できる。また、作動力の伝達ロスが少なくスムーズに効率良く強い力で各遮蔽部材2,3,5を移動させることができ、天井12や床13、側壁面15である室内の内面に強い力をもって密着させ、確実に光や音を遮蔽できる。
【0056】
また、側壁面側遮蔽部材5の側方移動寸法S5よりも天井側遮蔽部材2の上方移動寸法S2を大きく設定し、上方移動寸法S2よりも床側遮蔽部材3の下方移動寸法S3を大きく設定して、側壁面側遮蔽部材5が一方の側壁面15に当接した後に、天井側遮蔽部材2が天井12に当接し、その後、床側遮蔽部材3が床13に当接するように構成したので、側壁面15が傾いていても側壁面側遮蔽部材5を沿うように密着させることができる。隣の移動壁本体1の側面に当接してお互いが密着した後、天井12側と床13側を遮蔽でき、移動壁本体同士の間や、各遮蔽部材2,3,5と室内の内面と間に、隙間が形成されるのを確実に防止できる。
【0057】
また、側壁面側遮蔽部材5が一方の側壁面15に当接した後にラック・ピニオン機構6の作動による側壁面側遮蔽部材5への移動ストロークを吸収する側方ストローク吸収手段7と、天井側遮蔽部材2が天井12に当接した後にラック・ピニオン機構6の作動による天井側遮蔽部材2への移動ストロークを吸収する上方ストローク吸収手段8と、を備えたので、高価なセンサや制御機器等を用いず、複雑な配線も不要で、容易に製作できる。電気的な制御に頼らず、機械的な制御が可能で、停電等の災害時にも使用できる。
【0058】
また、天井側遮蔽部材2と床側遮蔽部材3と側壁面側遮蔽部材5とをラック・ピニオン機構6を介して移動壁本体1Aの外方へ弾発付勢する作動用弾発付勢部材60と、作動用弾発付勢部材60の弾発力によるラック・ピニオン機構6の作動を阻止するロック手段9と、を備え、ロック手段9の解除にて、天井側遮蔽部材2と床側遮蔽部材3と側壁面側遮蔽部材5とが作動用弾発付勢部材60によって外方へ移動するように構成したので、作動用の電気モータを設ける必要がなく、電源等の配線も必要なく容易に製作できる。また、モータ等の作動音が無く、静かに作動させることができる。電気的な駆動に頼らず、機械的な駆動が可能で、停電等の災害時にも使用できる。