特許第5667722号(P5667722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5667722
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】飲料水化装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/04 20060101AFI20150122BHJP
   C02F 1/14 20060101ALI20150122BHJP
   C02F 1/18 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   C02F1/04 A
   C02F1/14 A
   C02F1/18
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-156870(P2014-156870)
(22)【出願日】2014年7月31日
【審査請求日】2014年7月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513237294
【氏名又は名称】鈴木 洋一
(73)【特許権者】
【識別番号】514194912
【氏名又は名称】鈴木 鉄也
(74)【代理人】
【識別番号】100095717
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 博文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 鉄也
【審査官】 金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−010759(JP,A)
【文献】 特開2009−056363(JP,A)
【文献】 特開昭60−193579(JP,A)
【文献】 特開2012−245426(JP,A)
【文献】 特開平10−043740(JP,A)
【文献】 特開平08−215670(JP,A)
【文献】 特開昭58−193783(JP,A)
【文献】 特開2011−240241(JP,A)
【文献】 特開2011−245478(JP,A)
【文献】 特開2011−025175(JP,A)
【文献】 特開2010−279893(JP,A)
【文献】 特開2006−181516(JP,A)
【文献】 特開2000−279944(JP,A)
【文献】 特開平10−244251(JP,A)
【文献】 国際公開第1997/048646(WO,A1)
【文献】 特開平08−252567(JP,A)
【文献】 特開昭55−500800(JP,A)
【文献】 実開昭53−143846(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/02− 1/18
B01B 1/00− 1/08
B01D 1/00− 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体空間からなるタンク領域内を上下2分割し、上部領域を上方に向かって縮小した錐台形に形成すると共に、下部領域を底部から上方へ向かって拡大した錐台形に形成して成り、前記上部領域の上位に設けた蒸気溜り用の一定空間を残して飲料不適合水を貯留したタンクと、
該タンクの上部領域内の貯留水を外周側面から加熱する加熱手段と、
前記上記蒸気溜り用の空間と連通させた取り付けた蒸気管と、
該蒸気管と連通すると共に、前記下部領域内の貯留水内に配設した熱交換手段と、
該熱交換手段で冷却されて復水した水を前記タンク外に供給する給水管と、
から成ることを特徴とする飲料水化装置。
【請求項2】
加熱手段が、
さらに上部領域と下部領域の境界に配置したことを特徴とする請求項1記載の飲料水化装置。
【請求項3】
熱交換手段が、
前記蒸気管と連通して前記下部領域内に導入したコイル状の配管路の構成であることを特徴とする請求項1、又は2記載の飲料水化装置。
【請求項4】
前記蒸気管からの蒸気の一部を、前記加熱手段として利用したことを特徴とする請求項1、2、又は3記載の飲料水化装置。
【請求項5】
タンクの上部領域及び蒸気溜りの外周側面に太陽光を集光させるための反射鏡をタンクの上部領域の外周囲に設置すると共に上部領域、前記蒸気溜り、及び前記反射鏡の全体を透光性断熱材で覆うように配設した覆い体を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、又は4記載の飲料水化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、海水、雨水、河川水、池の水等の飲料不適合水を蒸発法によって飲料水を生成する飲料水化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海水、雨水、河川水、池の水等の飲料不適合水を飲料水化する一般的な方法としては、例えば、海水を加熱して蒸気を発生させ、これを冷却して復水させる蒸発法が知られている。この蒸発法に用いる加熱手段の熱源を電気、ガス、又は重油を使用して海水を飲料水化する処理装置(以下、「海水淡水化装置」)が一般的であった。
【0003】
しかし、これらを熱源とする海水淡水化装置は、給水量と生成効率から大規模化する傾向にあり、その設置コストに加えて維持コストも高額にならざるを得ないと言う課題があった。
【0004】
そこで、自然エネルギーを活用して維持コストの低減を図った海水淡水化装置として、特許文献1が開示されている。当該装置は、公知技術であるヘリオスタットを用いており、かつ蒸発窯の太陽光照射部(特に、底部とその周囲)に蓄熱材を配し、この蓄熱材を介して蒸発窯を加熱して、照射時間の変化が激しい太陽光エネルギーの均質的利用を図ることを発明の目的としたものである。
【0005】
さらに、蒸発窯からの蒸気は、蒸発窯に外部に取り出し、これを蒸発窯に注入する前の海洋の海水で冷却して凝縮水を生成する構成(通常、復水器、当該明細書では「コンデンサ」と称している。)を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−245426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の海水淡水化装置は、次のような問題点があった。
まず、復水器となるコンデンサは、ヘリオスタット構成によって蒸発窯の底部外面を加熱するようにしているため、生成した蒸気を凝縮させるためのコンデンサ設備を外側に付帯させる必要があった。
【0008】
また、ヘリオスタットを必須の構成要素としているため、多数の反射鏡のメンテナンスやそれらの太陽追従装置の制御と管理が必要となり、装置の維持管理も煩雑かつ高額と成らざるを得なかった。
【0009】
さらに、大型設備となるためにその構築に長期間を要し、例えば、比較的短期間の仮設設置や被災地においての飲料水の要請などに対しては、迅速性に乏しく、飲料水を確保する装置の機動性に大きな課題があった。
【0010】
そこで、本願発明は、係る課題に着目してなされたものであり、小型化が図れる簡易な構成とすると共に、状況によっては太陽エネルギーをも利用可能な構成とし、速やかな装置の構築と必要により車両等への搭載による機動性をも備えた飲料水化装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため本願発明に係る飲料水化装置は、以下のように構成している。
【0012】
すなわち、一体空間からなるタンク領域内を上下2分割し、上部領域を上方に向かって縮小した錐台形に形成すると共に、下部領域を底部から上方へ向かって拡大した錐台形に形成して成り、前記上部領域の上位に設けた蒸気溜り用の一定空間を残して飲料不適合水を貯留したタンクと、該タンクの上部領域内の貯留水を外周側面から加熱する加熱手段と、前記上記蒸気溜り用の空間と連通させた取り付けた蒸気管と、該蒸気管と連通すると共に、前記下部領域内の貯留水内に配設した熱交換手段と、該熱交換手段で冷却されて復水した水を前記タンク外に供給する給水管と、から成ることを特徴としている。
【0013】
なお、上記タンク内の領域分けは、物理的に形成した境界である必要はなく、一体空間又は対流を阻害しない程度の空間の連なりであれば良い。
【0014】
また、上記タンクの「錐台形」には円錐台や多角錐台を含むものである。
【0015】
上記加熱手段は、上部領域内に貯留水を外周側面から加熱する他、さらに上部領域と下部領域の境界に配置したことを特徴としている。
【0016】
上記熱交換手段は、蒸気管と連通して前記タンクの下部領域内に導入したコイル状の配管路の構成としたことを特徴としている。
【0017】
さらに、前記蒸気管からの蒸気の一部を、前記加熱手段として利用したことを特徴としている。
【0018】
この蒸気管からの蒸気の一部は、上述した加熱手段だけでなく系外の供給熱源に利用しても良い。
【0019】
かかる構成により、蒸気溜り内の蒸気の圧力や温度の監視の下、適宜に熱交換手段だけでなくタンクの上部領域の外側面からの加熱手段として、又は系外に設備した蓄熱装置(図示省略)にも当該蒸気を利用することができ、熱エネルギーの有効活用に資することになる。
【0020】
さらにまた、タンクの上部領域及び蒸気溜りの外周側面に太陽光を集光させるための反射鏡をタンクの上部領域の外周囲に設置すると共に上部領域、前記蒸気溜り、及び前記反射鏡の全体を透光性断熱材で覆うように配設した覆い体を設けたことも特徴としている。
【0021】
上記のように構成した本願発明に係る飲料水化装置は、次のように作用する。


【0022】
まず、処理対象となる飲料不適合水を、1つの空間として構成したタンク内に外部から注入し、少なくとも上部領域に達するまで貯留する。
【0023】
次に、上部領域内にある貯留水を加熱して水面から蒸気を発生させる。発生した蒸気は、気密構成した水面上部の蒸気溜りから、蒸気管を介してタンク下部領域内の貯留水内に導かれると共に熱交換されて凝縮水となる。この凝縮水を、給水管を介してタンク外に飲料水として提供する。
【0024】
このとき、温度が上昇した上部領域の貯留水は、その領域内で対流するが下部領域までは対流し難いため、上部領域内の貯留水と下部領域内のそれとは、温度差が維持されることとなる。別言すると、下部領域内の貯留水は、外部から注入された飲料不適合水の温度を維持できるため、相対的に下部領域が低温状態となる。
【0025】
また、上部領域のタンク形を上位収縮の錐台形とした場合は、加熱流が上部で収束してより活発な蒸発が起こる。一方、下部領域のタンク形を下位収縮の錐台形とした場合は、析出した塩や沈殿物の排出が容易となる。
【発明の効果】
【0026】
本願発明の上記作用により、飲料不適合水を貯留させる一つのタンク内を上下方向に二区分して、上部領域を蒸気生成領域とし、下部領域を熱交換による復水領域としているため、簡易な構成で省容積、かつ小型の飲料水化装置を構築することができる。
【0027】
この結果、当該飲料水化装置の設置、移動、及び撤収が容易かつ迅速に行うことができると共に、需要量に合わせて当該装置の複数個を連設配置して対応することが可能となり、必要な飲料水の確保に柔軟かつ速やかに対応することができる顕著な効果を奏するものである。
【0028】
また、タンクの上部領域の外周囲、特に日陰側に反射鏡を配設した場合は、自然エネルギーである太陽光エネルギーを効果的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施例の飲料水化装置の概略図である
図2】本実施例の飲料水化装置の反射鏡の作用の説明図である。
図3】本実施例の飲料水化装置の作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本願発明の実施形態例(以下「本実施例」と略称。)に係る飲料水化装置について、図面に基づき詳細に説明する。本実施例の飲料水化装置は、本願発明の処理対象の飲料不適合水を海洋から汲み上げた海水の淡水化装置として利用した場合を例として説明する。
【0031】
なお、本願発明の対象とする飲料不適合水は、海水に限定するものでなく、雨水、河川水、池の水等をも含むことはもちろんである。
【0032】
本実施例の飲料水化装置1に用いるタンク2は、主に金属材などの硬質耐熱材から成り、内部空域を気密構成した殼体状を成している。内部空域を略中間付近から上下方向に下部領域3と上部領域4とに区分けし、それぞれに異なる機能を持たせている。該下部領域3の形状は、下方縮径の円錐台形(言わば、漏斗状)に形成し、上部領域4は上方縮径の円錐台形(言わば、逆漏斗状)に形成している。
【0033】
なお、円錐台は、好ましくは直円錐台であるが、これに限定するものではない。ここで、以下の説明では、下部領域3の形状を「逆円錐台形」、上部領域4の形状を「円錐台形」として説明に用いる。
【0034】
タンク2は、海水取入口(図示省略)に連通した供給管31を介して内部に被処理水となる海水wを貯留させるための殼体状を成している。供給管31は、タンク2の逆円錐台形を成す下部領域3に接続し、管路の途中に開閉バルブ(図示省略)と、フィルタ32を配設している。
【0035】
該フィルタ32は、海水w中の混濁物(砂礫、小生物の死骸や海藻類、等)を取り除くためのものであり、公知のろ過材や脱臭材等を適宜に組み合わせて構成されている。
【0036】
また、タンク2の下部領域3の底部には、析出した塩や凝集沈殿物の排出させるための回転式のホッパ33を配置している。なお、このようにして排出した析出塩や高濃度塩水は、図示は省略するが、別系統で精製塩の製造に利用することも可能である。
【0037】
さらに、上部領域4の下方開口の下端縁部40は、平板状の連結基板5を介して下部領域3の上端縁部30から縮径した状態で連結している。これによりタンク2内の上部領域4と下部領域3とを連通した一体空間を形成している。当該連結基板5は下部領域3の上端縁部30から外側方向に延設した矩形平板状を成し、後述する取付基台及び遮蔽板としても機能するものである。
【0038】
さらにまた、上部領域4及び蒸気溜り6の外側面は、後述する太陽光の吸収を向上させるために黒色塗装を施している。なお、この黒色塗料は、黒クロム若しくは無電解ニッケルメッキ処理、又はマンガン系の黒色塗料など吸熱性の高い塗料を適宜選択して用いている。
【0039】
次に、上部領域4の内部空間、外側面、及び外側面から離隔した周囲には、それぞれ貯留した海水wを加熱するための複数の加熱手段41を配設している。第1の加熱手段としては、下部領域3との境界付近に配置して貯留海水wを直接加熱する電熱ヒータ41aを用いている。また、第2の加熱手段としては、本体系外の熱源によって、又は後述する蒸気溜り6から取り出した高温蒸気を流通させた熱パイプ41bを上部領域4の外周面に接触配管して加熱する構成を採っている。さらに、第3の加熱手段としては、太陽光Lを集光させる反射鏡41cを上部領域4と蒸気溜り6の外周囲(主に、日陰側、又は北面側)に離隔配設して、太陽光で上部領域4と蒸気溜り6の外側表面を直接加熱する構成を採っている。
【0040】
上記したように反射鏡41cは、タンク2の上部領域4と蒸気溜り6の外周囲の北面側を中心とした略半周の位置に配設している。この反射鏡41cの形状と構成は、太陽の移動に従って可能な限り上部領域4と蒸気溜り6の外周面に集光するように曲率を設定した二次曲面体に形成している。本実施例では、この反射鏡41cの2個を立設させ、かつ外側周囲の周方向に連結配置した構成を採っているが、これに限らず上記二次曲面体の多数個を連続させて配置する構成としても良い。
【0041】
さらに、タンク2の上部領域4及び蒸気溜り6の外周囲(天面部を含む。)は、透光性断熱材によって矩形箱状に枠組みした覆い体41dで被っている。また、必要によりこの覆い体41dで区画した空間内を減圧して負圧雰囲気に形成しても良い。この負圧雰囲気とすることにより、加熱された上部領域4及び蒸気溜り6の表面温度の拡散、及び覆い体41dからの熱漏出を抑制することができる。
【0042】
タンク2の下部領域3の上端縁部30と上部領域4の下端縁部40を連結する前記連結基板5は、下部領域3の上端縁部30から外側水平方向に延長させて形成している。この連結基板5の延長部分は、前記覆い体41dを取付けるための基台として、及び下部領域3への太陽光Lの照射を遮断する遮蔽板としての役割も担っている。
【0043】
ここで、下部領域3を太陽光Lから遮蔽する意味は、下部領域3と上部領域4との貯留した海水wの温度差をより大きく維持するためである。なお、前記連結基板5の上面においても、可能な限り光反射手段(例えば、反射鏡)を配設することが好ましい。
【0044】
また、処理する海水wを満たした上部領域4の水面上には、蒸気溜り6としての気密の柱状空間を設けている。これはタンク2で加熱生成された蒸気sを一時的に貯め置きするためのものである。この蒸気溜り6からは、蒸気管7の配管がなされている。
【0045】
なお、この蒸気溜り6には、内部圧力を調整する安全弁61と共に、内部温度を監視する温度計62を取付けている。
【0046】
さらに、蒸気溜り6には、前記第2の加熱手段として用いる熱パイプ41bへの蒸気取り出し口となる蒸気支管63を接続している。これにより、制御弁63aを調整すれば、適宜発生した蒸気の一部を上部領域4の加熱手段として利用することができ、言わば熱エネルギーのリサイクルが可能となっている。
【0047】
蒸気溜り6の天面には、後述する熱交換器8に蒸気sを導入させるための蒸気管7を接続しており、かつその経路には脱臭フィルタ71を介在させている。
【0048】
この脱臭フィルタ71は、蒸気に含まれて臭い成分(例えば、油臭、塩臭さ、又は磯臭さ等)や揮発成分の除去を目的として配置している。なお、海水以外の雨水を処理する場合には省略しても良い場合もある。
【0049】
前記蒸気管7と連通した熱交換器8は、タンク2の下部領域3内の中央部に配置したコイル状の管路で構成している。なお、この熱交換器8は、この構成に限定するものではなく効率的に管路内の蒸気流を冷却することを目的とするものであれば公知の技術を用いても良い。例えば、管路に放熱フィンを多層配置したラジエーター構造などが考えられる。
【0050】
この熱交換器8を通過した蒸気は、下部領域3の貯留海水wによって冷却され凝縮水gとなる。
【0051】
熱交換器8の下流端は、タンク2の下部領域3から外部に延設した給水管9を介してタンク外の給水タンク91に貯留される。
【0052】
次に、本実施例の飲料水化装置1の作用と海水wの飲料水化方法(以下、「本実施例方法」)について、以下に説明する。
【0053】
本実施例の飲料水化装置1の概要は、まず、海洋の海水wを汲み上げて上部領域4に達するまで貯留させた後、該タンク内の上部領域4内の貯留海水wを加熱手段41で加熱して蒸気sを発生させ、これを復水して飲料水とするものである。
【0054】
この復水は、発生した蒸気sを下部領域内に配置した熱交換器8で、汲み上げた海洋水の温度を保ったまま滞留している海水wで冷却して凝縮水gを得るものである。
【0055】
敷衍すると、近隣海岸から汲み上げた海水wをポンプ(図示省略)等の送水手段によりフィルタ32を通過させてタンク2に貯留する。貯留水の液面は、上部領域4の最縮径部に近い部分までとしている。
【0056】
次に、上記した複数の加熱手段41のいずれか又は全てを用いて、上部領域4内の海水wを加熱して蒸気sを生成させる。発生した蒸気sは、蒸気溜り6に一時溜め置かれる。ここで、上部領域4の形を上方縮径の円錐台形としているため、加熱温水の対流が水面付近に集中し、海水wの蒸発をより活発にすることができる。その一方で、上部領域4で発生する対流は上昇流であるため下部領域3までは到達し難く、下部領域3の海水wの温度上昇を抑えることができる。すなわち、上部領域4と下部領域3の熱移動を小さくして大きな温度差を維持することができる。
【0057】
また、タンク2の上部領域4の外側面が、上方縮径の円錐面であるため円筒側面に比べてより広い面積で太陽光を受けることができ、効率良く加熱することができる。この円錐面であることは、容量に対する表面積の比率が大きくなって単位容量当たりの熱量が増して加熱効率の向上が図れることを意味する。
【0058】
生成された蒸気sは、蒸気溜り6の内部に一時的に貯め置かれ、所定温度以上(例えば、80℃)又は所定気圧以上の時点で蒸気管7に供給され、及び制御弁63aを調整によって蒸気支管63を介して加熱手段41の熱パイプ41Bにも供給される。
【0059】
蒸気管7に供給された蒸気sは、脱臭フィルタ71を通過して臭い成分を吸収又は分離した後に、下部領域3の内部に配置された熱交換器8に導入される。
【0060】
熱交換器8に導入された蒸気sは、その周囲にある低温の海水wと熱交換が行われて、徐々に凝縮水g(蒸留水)となる。
【0061】
この熱交換器8での熱交換時において、下部領域3で熱交換して加温された海水wは、対流によりタンク2の下部領域3と上部領域4の境界付近に移動する。この境界付近へは、下部領域3の逆円錐台の形状によって面積が大きくなっているために、対流速度(上昇流)が弱まって境界付近に熱流が停滞することとなる。
【0062】
一方、新たに汲み入れた海水wは、比較的低温であるため対流(下降流)して下部領域3の底面付近に移動するため、より大きな温度差を維持することができる。この低温化した海水wは熱交換器8の冷却資源として使用される。
【0063】
本実施例の飲料水化装置1は、タンク2の下部領域3を逆円錐台の形状とし、上部領域4を円錐台の形状にした独自の形態により、下部領域3での熱エネルギーを上部領域4の液面付近へ移動収束させる一方で、下部領域3の海水wは全域が対流攪拌して均一化されることなく一定の温度差を維持することができる。熱交換器8で熱交換して得られた熱エネルギーは、上昇して上部領域4に移動して蒸発用の熱エネルギーとして利用されることになる。
【0064】
また、上記の熱交換器8で生成された凝縮水gは、温度がまだ高い(例えば、40〜60℃のお湯)場合も想定される。このため、本実施例では熱交換器8を通過した後に、さらに空冷式の冷却機構92を通過させて、蒸気をより凝縮させるようにしている。
【0065】
以上、本願発明は、上記実施例を一例の構成を取ることにより、迅速性、設置性、及び機動性、をバランス良く高めた飲料水化装置を提供するものである。
【符号の説明】
【0066】
1 飲料水化装置
2 タンク
3 下部領域
30 上端縁部
31 供給管
32 フィルタ
33 ホッパ
4 上部領域
40 下端縁部
41 加熱手段
41a 電熱ヒータ
41b 熱パイプ
41c 反射鏡
41d 覆い体
5 連結基板(取付基台、遮蔽板)
6 蒸気溜り
61 安全弁
62 温度計
63 蒸気支管
63a 制御弁
7 蒸気管
71 脱臭フィルタ
8 熱交換器
9 給水管
91 給水タンク
92 冷却機構
w 海水、
s 蒸気
g 凝縮水
L 太陽光
【要約】
【課題】小型化が図れる簡易な構成とし、速やかな設置や車両等への搭載による機動性も備えた飲料不適合水の飲料水化方法、及びこれを用いた飲料水化装置を提供する。
【解決手段】飲料水化方法は、飲料不適合水をタンク内に貯留し、タンク内の上部領域内の貯留水のみを加熱して蒸気を発生させ、発生した蒸気を収集してタンク内の下部領域内の貯留水内に導入し、貯留水と熱交換して復水させる方法である。飲料水化装置は、飲料不適合水を貯留するタンク2と、タンクの上部領域4を加熱する加熱手段41と、上部領域の液面上の蒸気溜り6と連通する蒸気管7と、蒸気管と連通すると共に、タンクの下部領域3の内部に配設した熱交換器8と、該熱交換器により復水した水をタンク外に流出させる給水管9と、から構成する。タンクは中間から下部領域を逆円錐台、上部領域を円錐台の形状に形成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3