(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5667729
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】光学結像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/22 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
G02B27/22
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-519921(P2014-519921)
(86)(22)【出願日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】JP2013064372
(87)【国際公開番号】WO2013183454
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2014年7月15日
(31)【優先権主張番号】特願2012-130184(P2012-130184)
(32)【優先日】2012年6月7日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598033848
【氏名又は名称】株式会社アスカネット
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】大坪 誠
【審査官】
吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−073204(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/131128(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/131622(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明シートの内部に、一方の面に対して垂直で、かつそれぞれが平行配置された多数の帯状の反射部を有する第1、第2の光制御部材を、それぞれの前記帯状の反射部を交差させた状態で向かい合わせた光制御パネルを用いる光学結像装置であって、
前記光制御パネルと、前記光制御パネルの一端側にのみ隙間を設けて、かつ前記光制御パネルの裏側に向けて折り曲げ傾斜して配置されて、対象画像を表示する表示部と、前記光制御パネルの裏側に一定の隙間を有して該光制御パネルと平行に配置された第1の鏡部材と、前記表示部と前記光制御パネルとの隙間に前記第1の鏡部材に平行して配置された第2の鏡部材とを有し、
前記表示部に表示される対象画像からの光を、前記第1、第2の鏡部材で反射させて、前記光制御パネルにて、該光制御パネルの前側に前記対象画像を結像させることを特徴とする光学結像装置。
【請求項2】
透明シートの内部に、一方の面に対して垂直で、かつそれぞれが平行配置された多数の帯状の反射部を有する第1、第2の光制御部材を、それぞれの前記帯状の反射部を交差させた状態で向かい合わせた光制御パネルを用いる光学結像装置であって、
前記光制御パネルと、前記光制御パネルの一端側にのみ接して又は近接して配置され、かつ前記光制御パネルの裏側に向けて折り曲げ傾斜して配置されて、対象画像を表示する表示部と、前記光制御パネルの裏側に一定の隙間を有し前記光制御パネルに平行に配置された第1の鏡部材とを有し、前記表示部に表示される対象画像からの光を、前記第1の鏡部材で反射させて、前記光制御パネルにて、該光制御パネルの前側に前記対象画像を結像させることを特徴とする光学結像装置。
【請求項3】
請求項1記載の光学結像装置において、前記第1の鏡部材及び前記第2の鏡部材は、透明板の両面に形成されていることを特徴とする光学結像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の光学結像装置において、前記表示部は発光式の表示器であることを特徴とする光学結像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明シートの内部にそれぞれが平行配置された多数の帯状の反射部を有する第1、第2の光制御部材の片面同士を、それぞれの帯状の反射部を交差させた状態で向かい合わせた光制御パネルを用いる光学結像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、立体像を表示させる場合は、ディスプレイ(光制御パネル)の裏側に形成されるので、これを人が掴むように動作することは不可能である。そこで、物体の画像を光制御パネルの前側に結像させる技術が、例えば、特許文献1等で提案されている。
【0003】
ところが、特許文献1記載の技術では、それぞれ反射面を直交させた光結像素子を、多数しかも規則的に並べて配置する必要があり、装置の製造が極めて困難であるという問題があった。
そこで、本発明者は、これらの問題を解決するために、特許文献2記載の光学結像装置を提案した。この装置は透明シートの内部に、該透明シートの一方の面に対して垂直で、かつそれぞれが平行配置された多数の帯状の反射部を有する第1、第2の光制御部材を、それぞれの帯状の反射部を交差させた状態で向かい合わせた光制御パネルを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−21702号公報(第8図)
【特許文献2】特許第4865088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この光制御パネルによって、装置自身の製造が極めて容易になり、多数の素子を有する広い面積の光制御パネルの製造が可能となった。ところが、この装置においては、光制御パネルの前側に結像される実像と光制御パネルとの距離L1が、光制御パネルの裏側に配置された物体と光制御パネルとの距離L2に一致し、光制御パネルの前側に光制御パネルから離して結像させようとする場合、物体も光制御パネルから離して配置する必要があった。このため、光制御パネルから離して実像を形成する場合、装置が大型化するという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、実像を光制御パネルから離して形成でき、しかも、光学結像装置の小型化、薄型化が可能な光学結像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る光学結像装置は、透明シートの内部に、一方の面に対して垂直で、かつそれぞれが平行配置された多数の帯状の反射部を有する第1、第2の光制御部材を、それぞれの前記帯状の反射部を交差させた状態で向かい合わせた光制御パネルを用いる光学結像装置であって、
前記光制御パネルと、前記光制御パネル
の一端側にのみ隙間を設けて
、かつ前記光制御パネルの裏側に向けて折り曲げ傾斜して配置されて、対象画像を表示する表示部と、前記光制御パネルの裏側に一定の隙間を有して該光制御パネルと平行に配置された第1の鏡部材と、前記表示部と前記光制御パネルとの隙間に前記第1の鏡部材に平行して配置された第2の鏡部材とを有し、
前記表示部に表示される対象画像からの光を、前記第1、第2の鏡部材で反射させて、前記光制御パネルにて、該光制御パネルの前側に前記対象画像を結像させる。
【0008】
また、第2の発明に係る光学結像装置は、透明シートの内部に、一方の面に対して垂直で、かつそれぞれが平行配置された多数の帯状の反射部を有する第1、第2の光制御部材を、それぞれの前記帯状の反射部を交差させた状態で向かい合わせた光制御パネルを用いる光学結像装置であって、
前記光制御パネルと、前記光制御パネルの一端
側にのみ接して又は近接して配置され
、かつ前記光制御パネルの裏側に向けて折り曲げ傾斜して配置されて、対象画像を表示する表示部と、前記光制御パネルの裏側に一定の隙間を有し前記光制御パネルに平行に配置された第1の鏡部材とを有し、前記表示部に表示される対象画像からの光を、前記第1の鏡部材で反射させて、前記光制御パネルにて、該光制御パネルの前側に前記対象画像を結像させる。
【0009】
なお、第1の発明に係る光学結像装置において、前記第1の鏡部材及び前記第2の鏡部材は、透明板の両面に形成されている場合もあり、単に鏡(金属反射面を含む)のみの場合もある。
【0010】
また、第1、第2の発明に係る光学結像装置において、前記表示部は発光式の表示器であるのが好ましい。
【0011】
参考例に係る光学結像方法は、透明シートの内部に一方の面に対して垂直かつ多数、平行配置された帯状の反射部を有する第1、第2の光制御部材を、それぞれの前記帯状の反射部を交差させた状態で向かい合わせて配置した光制御パネルを用い、表示部に表示された対象画像を、対向配置された内側面が鏡面となった第1、第2の鏡部材に反射させ、前記光制御パネルを通して、前記光制御パネルの前側に結像させる。
【0012】
参考例に係る光学結像方法は、前記表示部の発光面、前記第2の鏡部材の反射面、及び前記光制御パネルの入光面は、それぞれが僅少の範囲で角度及び高さが異なる平面又は同一平面上に配置されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光学結像装置においては、表示部に表示される対象画像(以下、単に「物体」と称する場合もある)から光制御パネルに向かう光が鏡部材によって折り曲げられるので、光制御パネルと物体(又は表示部)との距離が短くて済み、これによって装置の小型化が可能となり、実像の位置を光制御パネルから離して表示させることができる。
【0014】
特に、物体からの光を第1、第2の鏡部材で複数(n)回反射させた場合は、光制御パネルの前側に結像される実像の位置は、物体と光制御パネルとの距離に対して、従来の一対一の距離に形成される場合の(n+1)倍の距離に結像される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る光学結像装置の説明図である。
【
図2】同光学結像装置に使用する光制御パネルの説明図である。
【
図3】(A)、(B)はそれぞれ本発明の第2、第3の実施例に係る光学結像装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施例について説明する。
図1に示すように、本発明の第1の実施例に係る光学結像装置10は、光制御パネル11と、光制御パネル11と同一高さ位置又は僅少の範囲で異なる高さ位置に隙間を設けて配置されて対象画像を表示する表示部12と、光制御パネル11の裏側に一定の隙間を有して光制御パネル11と平行に配置された第1の鏡部材13と、表示部12と光制御パネル11との間(隙間)で第1の鏡部材13に平行に配置された第2の鏡部材14とを有している。なお、この実施例においては、表示部12として、液晶ディスプレイ(発光式の表示器の一例)等の平面画面を用いて説明するが、この表示部12は平面又は立体の物体であっても本発明は適用される。また、第1、第2の鏡部材13、14の対向する内側面は鏡面となっている。
なお、この実施例においては、表示部12の発光面12d、第2の鏡部材14の反射面14a、及び光制御パネル11の入光面11aは同一平面上にあるが、それぞれ僅少の範囲で角度又は高さが異なる平面上に配置されていてもよい。
【0017】
光制御パネル11は、
図2に示すように、特許文献2(特許第4865088号公報)に記載のものと同一であり、ガラス又は透明プラスチックからなる透明シート16、17の内部に、一方の面に対して垂直で、かつそれぞれが平行配置された多数の帯状の反射部18、19を有する第1、第2の光制御部材20、21を、それぞれの帯状の反射部18、19を交差させた状態で向かい合わせている。
そして、物体23のA、Bから出た光は、反射部19、18を介して、A’、B’の位置に実像24として結像している。
【0018】
図1に示すように、第2の鏡部材14は、光制御パネル11の入光面11aの延長面(以下、基準面という)上に配置されている。第2の鏡部材14の幅(又は広さ)は任意であるが、表示部12の幅(又は広さ)の1〜4倍程度とするのが好ましい。
【0019】
また、第1の鏡部材13は、第2の鏡部材14及び光制御パネル11と平行かつ一定の距離Dを有して配置されている。第1の鏡部材13は、光制御パネル11、第2の鏡部材14及び表示部12を加えた面積、及び形状を有することが好ましいが、光制御パネル11及び第2の鏡部材14を加えた面積及び形状であっても動作可能である。即ち、第1の鏡部材13の広さは、以上に説明した広さに限定されない。
【0020】
続いて、本実施例に係る光学結像装置10の動作(即ち、光学結像方法)について説明する。
表示部12が例えば、液晶ディスプレイ等である場合、対象画像となる表示部12の全面から光を発することになるが、この実施例では、表示部12の表面の点(例えば、一端)Pから発する光について説明する。
Pから発した放射状となっている光a、b、cは、第1の鏡部材13に照射されて反射し、光制御パネル11に入射し、光制御パネル11の反射部18、19で反射して光a’、b’、c’となってP’の位置に集光し、(表示部12の)他端Qから発した光についても同様にQ’の位置に集光するので、結果として、表示部12の実像26を光制御パネル11の前側に結像する。
【0021】
この場合、第1の鏡部材13で一回の反射である(n=1)ので、実像26の位置は、光制御パネル11の前側で、基準面から(n+1)×Dの位置に形成される。
これによって、表示部12の位置が、第1の鏡部材13に対して虚像位置12aとなり、光学結像装置10全体の厚みを減らすことができる。即ち、この実施例ではDだけ薄くすることができる。
【0022】
次に、第2の鏡部材14の反射も考慮すると、以下のようになる。即ち、表示部12のQから発した光e、fは、第1の鏡部材13で反射し、更に第2の鏡部材14で反射する。
この光をe’、f’とする。更に、第1の鏡部材13の内面(反射面13a)で反射し、その反射光が光制御パネル11に入射し、光制御パネル11の反射部18、19を介して、光制御パネル11から出た光e”、f”がQ”に集光して、かつPについても同様にP”に集光して、光制御パネル11の前側に実像27が形成される。
【0023】
この実像27の位置は、3回反射である(n=3)であるので、基準面から(n+1)×D(即ち、4D)の位置に形成される。12bは第1の鏡部材13に対する表示部12の虚像位置を示す。
従って、1回反射の場合に比較して、実像27の位置を基準面から更に遠ざけて形成できる。
なお、
図1に示す構成を装置化すると、2つの実像26、27が形成されることになるので、2倍位置(基準面から2Dの位置)に実像26のみを形成する場合は、第2の鏡部材14を省略することになる。即ち、光制御パネル11の一端に接して又は近接して表示部12を配置し、表示部12に表示される対象画像からの光を、第1の鏡部材13で反射させて、光制御パネル11にて、光制御パネル11の前側に対象画像を結像させることになる。
【0024】
また、4倍位置(基準面から4Dの位置)のみに実像27を形成する場合は、第1の鏡部材13で二回反射され第2の鏡部材14で一回反射される光のみが必要となり、その他の光を遮断するように、非透光材からなる遮光材又はフードを配置する。この場合、第1、第2の鏡部材13、14の中央に遮光材を配置してもよいし、実像26の手前側(即ち、光制御パネル11の前側)に遮光材を配置することもできる。
【0025】
なお、第1、第2の鏡部材13、14による反射回数nを更に増やすと基準面から(n+1)×Dの位置に実像を形成できるので、基準面からの実像の形成位置を更に拡大することもできる。
【0026】
図1において、表示部30を光制御パネル11の入光面11aに対して、表示部30と第2の鏡部材14との境界部で折り曲げ、平面状の表示部30を傾斜して配置することもできる。この場合、この光学結像装置10の前方に、斜め傾斜した実像31、32が形成されることになる。なお、当然のことながら、第2の鏡部材14は省略可能である。
【0027】
続いて、
図3(A)、(B)を参照しながら、本発明の第2、第3の実施例に係る光学結像装置35、36について説明する。これらの実施例においては、光制御パネル11、第2の鏡部材14及び表示部12と、第1の鏡部材13との間の空間部が透明物質(透明板)38、41に置き換わっている。即ち、板状の透明物質38、41の一方の面(例えば、下面)に、第1の鏡部材13が、透明物質38、41の他方の面(例えば、上面)の一部に第2の鏡部材14が形成されている。この第1の鏡部材13、第2の鏡部材14の形成は透明物質38、41の表面(両面)に、銀又はアルミ等の金属の蒸着によって形成されている。
【0028】
図3(A)に示す第2の実施例に係る光学結像装置35において、光制御パネル11と表示部12は透明物質38の他方の面に接着又は密着して配置されており、その構成、動作は第1の実施例に係る光学結像装置10と同一である。
なお、ここで、透明物質38(41も同じ)はガラス(板)、透明プラスチック板からなる。
【0029】
図3(B)には第3の実施例に係る光学結像装置36を示す。第2の実施例に係る光学結像装置35と相違する点は、表示部40が光制御パネル11の入光面11aに対して折り曲げ傾斜して配置されていることである。即ち、板状の透明物質41の一側に傾斜面が設けられ、この傾斜面に沿って表示部40が配置されている。なお、折り曲げ傾斜とは、折り曲げ線(境界部)に対して直交する面での傾斜角が等しい傾斜をいい、平面を直線状の折り曲げ線を基準に折り曲げた角度になる。
【0030】
第2、第3の実施例に係る光学結像装置35、36においては、光制御パネル11及び第2の鏡部材14(省略もある)と第1の鏡部材13との隙間が透明物質38、41によって充填されるので、装置の製造が容易となり、かつ強度的にも向上する。
【0031】
本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で、光制御パネルの構造、光制御パネルと表示部の位置、第1、第2の鏡部材の位置を変えることもできる。なお、鏡部材は板状の透明板の一方に鏡面がある。従って、反射面は原則として鏡部材の鏡面を基準として考える。また、物質の全反射を用いる場合は、全反射面が鏡面となる。
そして、光制御パネルの前側に鏡をおいて、実像の形成位置を変えることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
実像を光学結像装置から離して形成できるので光学結像装置の小型化、薄型化が可能となる。従って、通常のパッド型のディスプレイに応用できる他、更に小型の携帯電話等のディスプレイにも適用できる。
【符号の説明】
【0033】
10:光学結像装置、11:光制御パネル、11a:入光面、12:表示部、12a、12b:虚像位置、12d:発光面、13:第1の鏡部材、13a:反射面、14:第2の鏡部材、14a:反射面、16、17:透明シート、18、19:反射部、20:第1の光制御部材、21:第2の光制御部材、23:物体、24、26、27:実像、30:表示部、31、32:実像、35、36:光学結像装置、38:透明物質、40:表示部、41:透明物質