(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
(1)熟練していない者が、感覚にのみたよってトラクタを走行させる際に、直進性が損なわれる場合も想定される。その結果、農薬散布や作付け等の作業も非効率となりがちであり、作業時間の増大や、作物品質の低下などを招く恐れもあった。
【0017】
従来から知られているガイダンスシステムによれば、一応その課題を解決できるが、ガイダンスラインの作成の際、最初の1ルートは人間の運転によって構築する必要があるので、結局、最初のルートが正確に運転されなければ、ガイダンスラインの全体が良好に作成されず、結局は非効率な作業となってしまう可能性もある。
【0018】
(2)一般に、圃場における農作業では、トラクタによる作業幅の分だけ、ルート(作業ライン)を平行移動させていくことによって、未作業部分が無いように、トラクタを走行させている。この幅は、作業の内容によっても変化するし、また、牽引するトレーラーの幅によっても調整する必要がある。また、農薬散布等の場合は、作業に重複部分があると「散布しすぎ」となってしまい、作物の生長に影響が出てしまう場合もある。したがって、各ルート(作業ライン)の作業の幅は、厳密に定められ、かつ、そのルート上で厳密にトラクタを走行させる必要がある。
【0019】
ところで、矩形以外の圃場、例えば多角形の圃場でも、矩形の圃場と同様に圃場内を作業漏れが生じ無いように、各ルートをまんべんなく密接して設定する必要がある。しかし、例えば多角形の圃場においては、各ルートの間隔を厳密に設定するためにトラクタを旋回させる場所・位置等の判断が複雑なものとなりがちであり、判断が困難なものになる傾向にあった。
【0020】
(3)特に、これまでのガイダンスシステムにおいては、ガイダンスラインを構成する直線状の各ルート(作業ライン)は、上述のように自動的に設定してくれるものの、各ルート間の「つなぎ(連結路)」の部分は、ガイダンスが行われず、作業者が自分の判断でトラクタの旋回や切り返し等を行い、次のルート(作業ライン)にトラクタを向かわせていた。すなわち、圃場の内部のルート(作業ライン)はシステムが設定してくれるが、実際のトラクタの運転の際は、圃場の外縁・外周部分である「枕地」において、作業者がトラクタを旋回・切り返しを自己判断で行っていたのである。もちろん、この枕地は、各圃場において、大きさも形状も異なるものであり、一律に処理することは困難である。
【0021】
さらに、枕地でトラクタを旋回させた後、そのトラクタを次に進むべきルート(作業ライン)に対してまっすぐに正対させて、直進性を以て圃場に進入する必要がある。このような動作は熟練者ではない者にとっては、非常に困難なものとなりがちであり、ガイダンスラインからずれてしまうことも想定された。
【0022】
(4)本発明は、以上のような課題に鑑み成されたものであり、下記の事項を目的とする発明である。
【0023】
・多角形の圃場でも効率的にガイダンスラインを作成できる技術を提供する。
・枕地のデータを入力可能に構成し、枕地における旋回のルートを作成することができるガイダンスシステムを提供する。そのため、圃場ポリゴンデータをもとに作業条件ごとに、任意の作業ラインを生成できるシステムである。更に、ガイダンス画面上に、圃場区画、ガイダンスラインの表示の他、道路、畦、水路、建物、施設、障害物などの背景地図を表示し、夜間でも作業が可能なシステムとしている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
圃場データの入力と、ガイダンスラインの作成その他
本発明では、矩形以外の多角形等の圃場にも対応できるように、圃場の形状自体を作業前に定義することができる手段を備えることを特徴とする。
【0025】
さらに、この圃場の形状の定義の際に、合わせて、作業開始位置、ライン間の幅、枕地スペースの有無とその幅等を事前に定義する手段を備えることも特徴とする。なお、ライン(作業ライン)とは、ガイダンスラインを構成する1本1本の単位ルートであって圃場上のルートを言う。ガイダンスラインの詳細は後に説明する。
【0026】
さて、このような構成を採用することによって、多角形等の圃場でも効率的にガイダンスラインの作成を行うことが可能となる。さらに、作業開始位置を入力できるので、ガイダンスシステムの運用に際して、非熟練者が、作業をどこから開示すればよいのか迷うことを防止することが期待される。
【0027】
また、本発明のガイダンスシステムは、圃場の形状をディスプレイに表示することができる手段を採用している。その際、ディスプレイ上には、圃場の端や枕地スペースも表示することができ、利用者はこれを視認することが可能である。
【0028】
また、本発明のガイダンスシステムは、GISに用いられる背景図用のシェープファイルを取り込んで、上記圃場の形状とともに表示することが可能である。この結果、ガイダンスの対象となる圃場の他に、他の圃場、周囲の建物、周囲の道路、各種障害物、等を表示させることが可能である。
【0029】
種々の情報の表示
また、本発明のガイダンスシステムは、トラクタ走行中の多くの行程(枕地を含む)でトラクタが走るべき経路を表示する手段を採用している。この結果、トラクタの走行中も車体進行の直進性の向上を図ることができる。更には枕地でトラクタを旋回する際も、次のラインに直進性を持って進入することが容易となる効果が期待される。
【0030】
また、本発明のガイダンスシステムは、トラクタに設置したGNSS受信機から得られる現在位置と、経路(ガイダンスライン)と、の左右のずれ量・ずれ角をリアルタイムに表示する手段を採用している。これによって、走行結果(農作業結果)の不均一化を防止することができ、その結果、作業効率の向上、ひいては農作業の品質向上に寄与するものである。
【0031】
ここで、トラクタの現在位置と、ガイダンスライン中の作業ラインと、のずれ量・ずれ角を表示するためには、リアルタイムに精度よく位置を求められる計測器が必須であり、本発明はGNSS受信機による位置情報と、ジャイロによる方位・姿勢角のデータを合わせて、相互に補間しながら安定した精度でリアルタイムに位置を推定・算出するフィルタリング手法を組み込んだガイダンスシステムを提供するものである。
【0032】
なお、ガイダンスラインは、一般に、圃場上の作業ラインと、作業ラインを連結する連結路等を含むラインである。また、開始位置が圃場から離れている場合は、開始位置から圃場までは距離と方向によるナビゲーションを行うが、ルート表示はしない場合もある。
【0033】
本発明は、具体的には、下記のような手段を採用する。
【0034】
(1)本発明は、上記課題を解決するために、圃場において、圃場での作業を行うトラクタの作業ラインを含むガイダンスラインを表示し、前記トラクタのナビゲーションを行う圃場ガイダンスシステムであって、前記圃場のデータである圃場データを定義する圃場データ定義パートと、前記定義された圃場データに基づき、ガイダンスラインを作成して操作者に表示するガイダンスパートと、を備え、前記圃場データ定義パートは、操作者が圃場の形状として入力した多角形のデータを入力する手段と、前記入力された多角形のデータを圃場形状として作成する圃場形状作成手段と、を含み、前記圃場形状を含む圃場データを定義することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0035】
(2)また、本発明は、(1)記載のガイダンスシステムにおいて、操作者が任意の方向を作業進行方向として指定する手段と、を含み、前記圃場形状と、前記作業進行方向と、を含む圃場データを定義することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0036】
(3)また、本発明は、(1)記載のガイダンスシステムにおいて、操作者が入力した多角形中のいずれかの辺を、操作者が作業進行方向として指定する手段と、を含み、前記圃場形状と、前記作業進行方向と、を含む圃場データを定義することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0037】
(4)また、本発明は、(1)記載のガイダンスシステムにおいて、操作者が入力した地点を作業開始位置として指定する手段と、を含み、前記圃場形状と、前記作業開始位置と、を含む圃場データを定義することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0038】
(5)また、本発明は、上記課題を解決するために、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記圃場形状作成手段は、地図情報を画面に表示する手段と、操作者が、前記地図情報が表示された前記画面上で入力した多角形のデータ、又は、多角形を構成する辺のデータを取得する手段と、前記多角形を構成する辺のデータを取得した場合は、その取得した辺を結んで前記多角形のデータを作成する手段と、を含むことを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0039】
(6)また、本発明は、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、 前記圃場データ定義パートは、操作者が指定した、枕地を設ける辺を入力する手段と、前記入力された辺を所定量平行移動させて、移動前の辺と、移動後の辺と、の間を枕地として定義する枕地定義手段と、を含み、前記圃場形状と、前記作業進行方向と、前記枕地とを含む圃場データを定義することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0040】
(7)また、本発明は、(6)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記圃場データ定義パートは、前記圃場形状から、前記定義された枕地を除いた領域を、作業エリアとして特定する特定手段、を含み、前記圃場形状と、前記作業進行方向と、前記枕地と、作業エリアとを含む圃場データを定義することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0041】
(8)また、本発明は、(7)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記ガイダンスパートは、前記作業エリア中において、前記指定された作業進行方向と平行な複数の直線経路であって、トラクタによる作業幅の分だけ離間した複数の直線経路群を形成する手段と、前記枕地において、前記直線経路群を接続する接続路を形成する手段と、前記直線経路群と、前記接続路と、を接続してガイダンスラインの全体を作成する手段と、前記ガイダンスラインを前記操作者に対して表示する表示手段と、を含むことを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0042】
(9)また、本発明は、(8)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記接続路を形成する手段は、前記トラクタが最短経路で切り返し、又は、方向転換、又は旋回が可能な接続路を形成し、前記表示手段は、前記接続路を含むガイダンスラインを前記操作者に対して表示することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0043】
(10)また、本発明は、(9)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記接続路を形成する手段は、前記トラクタの旋回半径と、前記枕地の幅と、に基づき、前記トラクタが旋回することができるパターンを判断し、前記パターンで前記接続路を形成することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0044】
(11)また、本発明は、(9)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記接続路を形成する手段は、前記圃場の形状が任意の凸多角形である場合に、前記枕地において、前記直線経路から前記作業エリア中の隣接する次のラインに進入するための接続路を形成し、前記直線経路から前記次のラインまでを前記形成した接続路で接続することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0045】
(12)また、本発明は、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記ガイダンスパートは、現在のトラクタの位置を検出するGNSS受信機と、前記定義パートが定義した圃場データの中から、前記GNSS受信機で検出した現在のトラクタの位置から所定範囲内の圃場を検索する検索手段と、前記検索手段によって見いだされた1個以上の圃場の圃場データを表示する表示手段と、前記表示手段に表示された圃場から、操作者が選択した作業の対象となる圃場を入力する手段と、を含み、前記表示手段は、前記入力した圃場の、作業開始位置、作業方向、作業ラインの本数、を操作者に対して表示することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0046】
(13)また、本発明は、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記ガイダンスパートは、現在のトラクタの位置を検出するGNSS受信機、を含み、前記GNSS受信機は、作業開始時点で、作業の対象である圃場の圃場データ中に予めその位置が登録されている既知点のその位置に基づき、前記GNSS受信機が持つ誤差を0セットし、前記GNSS受信機は、作業中に刻々と変化するGNSS受信機が検出する地図上の座標と、実際の座標との差分を常にクリアして、検出した座標と地図の座標との整合が取れるようにすることを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0047】
(14)また、本発明は、(12)記載の圃場ガイダンスシステムを用いて、圃場における作業を行う際に、前記GNSS受信機の誤差を修正することができるガイダンス方法において、前記圃場データは、既知点とその座標データとを含み、作業を開始する際に、操作者が選択した上記圃場の圃場データ中の前記既知点に前記トラクタを移動させるステップと、移動後に、その既知点において圃場マップと前記GNSS受信機が持つ誤差のオフセット補正を行うステップと、を含み、さらに、前記トラクタの圃場内での走行の際に、前記操作者が指示した開始点Aの座標を入力するステップと、前記トラクタの圃場内での走行の際に、前記操作者が指示した途中点Bの座標を入力するステップと、前記開始点Aと途中点Bを結ぶ線分に基づいて作業ラインを求めるステップと、を備え、前記構成した作業ラインを前記ディスプレイに表示し、前記操作者に、前記作業ラインの方向である進行方向を認識させることを特徴とするガイダンス方法である。
【0048】
(15)また、本発明は、(14)記載のガイダンス方法において、前記途中点Bは、前記開始点Aから10m以上離間していることを特徴とするガイダンス方法である。
【0049】
(16)また、本発明は、(12)記載の圃場ガイダンスシステムを用いて、圃場における作業を行う際に、前記GNSS受信機の誤差を修正することができるガイダンス方法において、前記圃場データは、既知点とその座標データとを含み、作業を開始する際に、操作者が選択した上記圃場の圃場データ中の前記既知点に前記トラクタを移動させるステップと、移動後に、その既知点において圃場マップと前記GNSS受信機が持つ誤差のオフセット補正を行うステップと、を含み、さらに、前記トラクタの圃場内での走行の際に、前記操作者が指示した開始点Aの座標を入力するステップと、前記トラクタの圃場内での走行の際に、前記操作者が指示した終了点Cの座標を入力するステップと、前記開始点Aと終了点Cを結ぶ線分に基づいて作業ラインを求めるステップと、を備え、前記表示手段は構成した作業ラインを前記表示手段ディスプレイに表示して、前記操作者に、前記作業ラインの方向である進行方向を認識させることを特徴とするガイダンス方法である。
【0050】
(17)本発明は、上記課題を解決するために、圃場での作業を行うトラクタの作業ラインを含むガイダンスラインを表示し、前記トラクタのナビゲーションを行う圃場ガイダンスシステムであって、前記圃場のデータである圃場データを定義する圃場データ定義パートと、前記定義された圃場データに基づき、ガイダンスラインを作成して操作者に提示するガイダンスパートと、を備え、前記ガイダンスパートは、前記トラクタの進行方向を矢印で表示する表示手段、を備え、前記表示手段は、前記矢印の表示手法として、現在位置における前記トラクタの進行方向を示す前記矢印を表示する第1の手法と、操作時間遅れを考慮して設定した所定時間後の前記トラクタの予測位置における前記トラクタの進行方向を示す矢印を表示する第2の手法と、の2種類を備え、前記第1の手法と前記第2の手法のいずれか一方または双方の手法で、前記矢印を表示することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0051】
(18)また、本発明は、(17)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記表示手段は、前記トラクタの進行を示す矢印の表示とは別の矢印であって、作業ラインの終点の方向を示す表示をすることを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
作業ラインの終点方向は、特に、作業ラインがカーブの場合に有効である。
【0052】
(19)また、本発明は、(17)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記表示手段は、前記トラクタの進行を示す矢印の表示とは別の矢印であって、作業ラインが長い場合、目標となる前記作業ラインに追従するために、目標車体方向を示す矢印を表示することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
つまり、トラクタの進行方向を示す矢印とは別に、現在の走行ラインにハンドルを切りすぎる事なく、極めて自然にライン上に乗せるための方向(目標車体方向)を示すことで、トラクタ自身がどの方向に向かうのかをオペレーター(操作者)に視認させる方法である。
【0053】
(20)また、本発明は、(17)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記圃場データは、少なくとも地図情報と、圃場形状と、を含み、前記地図情報は、少なくとも、圃場以外の道路を記憶すると道路レイヤと、圃場以外の建物を記憶する建物レイヤと、から構成されており、前記ガイダンスパートは、操作者が選択した表示したいレイヤの選択指示を入力する手段と、前記表示手段は、前記選択されたレイヤの地図を背景図として、前記圃場データ中の前記圃場形状と共に表示することを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0054】
(21)また、本発明は、(17)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記圃場データは、少なくとも地図情報と、圃場形状と、を含み、前記地図情報は、少なくとも、側溝を記憶する側溝レイヤと、障害物を記憶する障害物レイヤと、から構成されており、前記ガイダンスパートは、操作者が選択した表示したいレイヤの選択指示を入力する手段と、前記表示手段は、前記選択されたレイヤの地図を背景図として、前記圃場データ中の前記圃場形状と共に表示し、前記トラクタと、前記側溝又は前記障害物と距離が所定の基準値未満になった場合に、警告を発する警告手段と、を含むことを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0055】
(22)また、本発明は、(17)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記圃場データは、少なくとも地図情報と、圃場形状と、を含み、前記地図情報は、少なくとも、側溝を記憶する側溝レイヤと、障害物を記憶する障害物レイヤと、のいずれかのレイヤを含むように構成されており、前記ガイダンスパートは、操作者が選択した表示したいレイヤの選択指示を入力する手段と、前記表示手段は、前記選択されたレイヤの地図を背景図として、前記圃場データ中の前記圃場形状と共に表示し、前記トラクタと、前記側溝又は前記障害物との距離が所定の基準値未満になった場合に、迂回経路を表示する手段と、を含むことを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0056】
(23)また、本発明は、(17)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記圃場データは、少なくとも地図情報と、圃場形状と、を含み、前記地図情報は、少なくとも、中抜きエリアを記憶する中抜きレイヤを含むように構成されており、前記ガイダンスパートは、操作者が選択した表示したいレイヤの選択指示を入力する手段と、前記表示手段は、前記選択されたレイヤの地図を背景図として、前記圃場データ中の前記圃場形状と共に表示し、前記トラクタと、前記中抜きエリアとの距離が所定の基準値未満になった場合に、迂回経路を表示する手段と、を含むことを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0057】
(24)また、本発明は、(17)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記圃場データは、少なくとも地図情報と、圃場形状と、を含み、前記地図情報は、少なくとも、進入禁止を意味する進入禁止レイヤを含むように構成されており、前記ガイダンスパートは、操作者が選択した表示したいレイヤの選択指示を入力する手段と、前記表示手段は、前記選択されたレイヤの地図を背景図として、前記圃場データ中の前記圃場形状と共に表示し、前記トラクタと、前記進入禁止レイヤとの距離が所定の基準値未満になった場合に、迂回経路を表示する手段と、を含むことを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0058】
(25)本発明は、上記課題を解決するために、圃場において、圃場での作業を行うトラクタの作業ラインを含むガイダンスラインを表示し、前記トラクタのナビゲーションを行う圃場ガイダンスシステムであって、前記圃場のデータである圃場データを定義する圃場データ定義パートと、前記定義された圃場データに基づき、ガイダンスラインを作成して操作者に提示するガイダンスパートと、を備え、前記ガイダンスパートは、前記トラクタの作業の開始位置Aと終了位置Bとの間で得られる走行データを取得する手段と、前記取得した走行データから、近似した経路であるガイダンスラインを作成する手段と、を備えることを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0059】
(26)また、本発明は、上記(25)記載の圃場ガイダンスシステムにおいて、前記近似した経路は、線分と、弧と、を連結させて構成されていることを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0060】
(27)本発明は、上記課題を解決するために、圃場において、圃場での作業を行うトラクタの作業ラインを含むガイダンスラインを表示し、前記トラクタのナビゲーションを行う圃場ガイダンスシステムであって、前記圃場のデータである圃場データを定義する圃場データ定義パートと、前記定義された圃場データに基づき、ガイダンスラインを作成して操作者に表示するガイダンスパートと、を備え、前記圃場データ定義パートは、操作者が変形圃場の形状として自由曲線による自由な形状を入力する手段と、前記入力された自由形状を前記変形圃場形状として作成する圃場形状作成手段と、を含み、前記圃場形状を含む圃場データを定義し、前記ガイダンスパートは、前記変形圃場の圃場データに基づき、前記変形圃場の外周部は、前記変形圃場の形状に合わせた曲線での作業ラインを生成し、順次、前記変形圃場の内周部に向かって、漸近的に平行な直線ラインになるように、作業ラインを生成する手段、を含むことを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0061】
(28)本発明は、上記課題を解決するために、圃場において、圃場での作業を行うトラクタの作業ラインを含むガイダンスラインを表示し、前記トラクタのナビゲーションを行う圃場ガイダンスシステムであって、前記圃場のデータである圃場データを定義する圃場データ定義パートと、前記定義された圃場データに基づき、ガイダンスラインを作成して操作者に表示するガイダンスパートと、前記ガイダンスパートは、位置情報が得られるGNSSセンサーと、方位・姿勢角が得られるジャイロセンサーと、前記GNSSセンサーが出力する位置情報と、前記ジャイロセンサーが出力する方位・姿勢角との両者のデータを補間しながら、前記ジャイロセンサーのドリフトの補正を行うフィルタリング手段と、を含み、前記フィルタリング手段は、前記位置情報の精度が低下した時の前記トラクタの方位と速度とから、前記トラクタの位置を推定していくことを特徴とする圃場ガイダンスシステムである。
【0062】
(29)また、本発明は、圃場のデータである圃場データを定義する圃場データ定義パートと、前記定義された圃場データに基づき、ガイダンスラインを作成して操作者に表示するガイダンスパートと、を備え、前記圃場において、前記圃場での作業を行うトラクタの作業ラインを含むガイダンスラインを表示し、前記トラクタのナビゲーションを行う圃場ガイダンスシステムにおける前記圃場データ定義パートとして、コンピュータを動作させるソフトウェアであって、前記コンピュータに、操作者が圃場の形状として入力した多角形のデータを入力する手順と、前記入力された多角形のデータを圃場形状として作成する圃場形状作成手順と、を実行させ、前記圃場形状を含む圃場データを定義することを特徴とするソフトウェアである。
【0063】
(30)また、本発明は、圃場のデータである圃場データを定義する圃場データ定義パートと、前記定義された圃場データに基づき、ガイダンスラインを作成して操作者に表示するガイダンスパートと、を備え、前記圃場において、前記圃場での作業を行うトラクタの作業ラインを含むガイダンスラインを表示し、前記トラクタのナビゲーションを行う圃場ガイダンスシステムにおける前記圃場データ定義パートとして、コンピュータを動作させるソフトウェアであって、前記コンピュータに、操作者が圃場の形状として入力した多角形のデータを入力する手順と、前記入力された多角形のデータを圃場形状として作成する圃場形状作成手順と、を実行させ、前記圃場形状を含む圃場データを定義することを特徴とするソフトウェアを格納した記憶媒体である。
【0064】
なお、以上述べたトラクタは、その他、耕耘機、コンバイン、田植機等、種々の機械にする場合もある。請求の範囲におけるトラクタは、何らかの作業を行う機械であって、圃場を移動するものであれば、どのようなものでも適用することができる。
【発明の効果】
【0065】
以上述べたように、本発明によれば、ガイダンスシステムにおいて使用されるガイダンスラインを効率的に作成することができる。また、枕地についてもガイダンスラインを構築できるので、トラクタの運転者は、圃場の上だけでなく、その周囲の枕地に関してもガイダンスを受けることができ、熟練していない者でも農作業を効率的に実行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0068】
第1.システム構成と基本的な動作
図1には、本実施の形態のガイダンスシステムの構成の概要を示す説明図が示されている。この図に示すように、本ガイダンスシステムは、
(1)圃場データを定義する定義パート10と、
(2)定義された圃場データを用いて、農作業のガイダンスを行うガイダンスパート20と
の2種のパートから構成される。そして、上記の定義パート10で、圃場データを定義し、定義された圃場データを用いて、ガイダンスパート20が農作業のガイダンスを行うのである。
【0069】
第1−1 定義パート
定義パート10は、圃場データの定義をアシストする所定のマネージャーソフトウェア10aがインストールされたコンピュータ10bである。操作者は、この定義パート10を用いて、圃場データの定義を行う。すなわち、実際の農作業を行う前に、事前に圃場形状を登録し、作業経路、作業に関わる属性情報などを定義しておくのである。
【0070】
なお、このマネージャーソフトウェア10aは、所定の記憶媒体、例えばDVDやUSBメモリなどの記憶媒体で利用者に提供される。また、場合によっては、インターネットなどの通信媒体を介してダウンロードによって利用者に提供される場合もある。このマネージャーソフトウェア10aは、請求の範囲のソフトウェアの一例に相当する。
【0071】
(1)GISのシェープファイル
まず、定義パート10は、操作者の操作によって、地理情報システム(GIS)で用いられるシェープファイルを取り込む。定義パート10は、このシェープファイルを背景図として利用する。このシェープファイルは、種々のレイヤに分割された構造を有しており、圃場のレイヤの他に、道路、建物、側溝、障害物等のレイヤを備えている。このシェープファイルは、操作者が圃場の形状の定義の操作を行う際に、背景として描画面に表示され、操作者は、この背景の画像に基づき、圃場の形状を描画ソフトウェア的な操作によって入力していく。例えば、圃場となる領域を囲むように直線(線分)の辺を複数個入力していくこと等である。この場合、圃場は複数の辺によって囲まれる多角形として定義・入力される。なお、側溝や障害物に関しては、まとめて進入禁止レイヤ(進入禁止となるレイヤ)とする場合もある。
【0072】
また、描画ソフトウェアで知られている種々の線の入力方法を利用可能であり、例えば広く用いられている多角形描画ツールで、圃場の形状を定義することも好ましい。詳細は次節で述べる。
【0073】
(2)圃場の定義
定義パート10では、コンピュータ10aにインストールされている上記マネージャーソフトウェア10aは、描画ソフトウェアや画像処理ソフトウェアの如き描画面(描画ペイン(pane)又は描画ウィンドウ(window))を表示し、操作者はこの描画面上で、圃場を新たに多角形で定義していく。この際、上述した上記シェープファイルが背景図として表示されており、操作者は、この背景図を目安にして、圃場を多角形で描画していく。描画の操作自体は、上述したように、広く知られている描画ソフトウェアや画像処理ソフトウェアと類似のインターフェースが用いられている。
【0074】
図8には、本実施の形態におけるガイダンスシステムの動作の例を示すフローチャートが示されている。上述した圃場の生成は、
図8のステップS8−1に該当する。
【0075】
一般には、マウス等のポインティングデバイスを用いて、辺の始点・終点においてクリック等することによって辺を入力して、圃場となる多角形を入力・定義することも好適であり、いわゆる多角形ツールにおいて、多角形の各頂点でクリックすることによって多角形を定義・入力することも好適である。また、ペン入力タブレットやトラックボール等を用いることも好適である。また、いわゆるタッチパネルを用いて、指やペンで始点や終点、又は多角形の拡張点を指示することも好適である。
【0076】
このように、本実施の形態で特徴的な事項としては、
・操作者が圃場を描画する際に、GISのシェープファイルが背景図として描画された描画面(描画ペイン)上で圃場を描いていくので、目印を参照しながら描くことが可能であり、便利で正確な描画が可能となる。
【0077】
・また、圃場を多角形で定義しているので、従来、圃場を矩形でのみ表現されていたシステムと比べて、より正確に圃場を定義することが可能となった。つまり、操作者は、圃場の輪郭線となる辺を描いていくことによって圃場を定義していく。この結果、その複数の辺による多角形によって圃場が描かれていくことになる。多角形を構成する辺の数を増せば、より複雑な形状の圃場も定義することが可能であり、辺を4個のみ用いれば従来の矩形や、四角形形状で圃場を定義することも可能である。また、辺を3個用いれば三角形形状の圃場も定義することが可能である。
【0078】
なお、障害物や道路、街区などの情報もシェープファイルのレイヤで管理しているので、各レイヤのコントロールを行うことによって、任意の背景図を表示させることが可能である。レイヤとしては、圃場のレイヤの他に、道路、建物、側溝等種々のものを利用することができる。また、はみ出し禁止エリアのレイヤを設けることも好適である。
【0079】
なお、側溝レイヤがあると、雪が積もり、融雪剤散布作業などの際に、側溝をシステムが認識して警告を出せると、認識しづらい環境下で有効となる。また、上述したように、側溝や障害物に関しては、一般に進入禁止とする場合があり、この場合は、これらをまとめて進入禁止レイヤ(進入禁止となるレイヤ)とする場合もある。
【0080】
(3)方向の指定と、枕地の定義
このように、定義パート10ではマネージャーソフトウェア10a(
図1参照)を用いて多角形の圃場を定義していく。この定義した多角形の圃場に対しては、実際の農作業の方向の指定を行う。この方向の指定を行うために、多角形を構成する複数の辺から任意の1つを指定し、その指定した辺に対して垂直方向に枕地となる転回スペースを設定できるよう、他の辺をずらす事が好適である。そのような処理の説明図が
図2〜
図6に示されている。また、方向の指定は、辺を用いて行う方法の他に、任意の方向を指定することもできる。任意の方向の入力はポインティングデバイスを用いて行う場合や、方角を数値で入力する場合などがある。ここでは、主として、辺を用いて方向の指定を行う場合を中心に説明を行うが、任意の方向を作業の方向として指定する場合も、方向の指定方法が異なるだけで他の処理は全く同様である。
【0081】
このような任意の方向を入力するように、マネージャーソフトウェア10aが設定されているので、このマネージャーソフトウェア10aは、請求の範囲の任意の方向を指定する手段の好適な一例に相当する。同様に、このマネージャーソフトウェア10aは、請求の範囲の、多角形のデータを入力する手段や、圃場形状を作成する手段、いずれかの辺を作業方向として指定する手段、等の好適な一例に相当する。そして、マネージャーソフトウェア10aは、種々の機能を用いて、圃場データの定義を行っているのである。
【0082】
また、操作者は、作業の開始位置を任意に指定することもできる。この作業の開始位置もマネージャーソフトウェア10aが入力し、圃場データの一部として利用し、定義を行う。また作業の開始位置は、圃場の頂点を利用して入力することもできる。
【0083】
なお、本実施の形態におけるガイダンスシステムの動作の例が
図8のフローチャートに示されている。上述した作業方向の設定は、
図8のステップS8−2に相当する。
【0084】
(3a)まず、
図2(1)においては、操作者がマネージャーソフトウェア10aを用いて、描画した多角形に対して、作業方向を指定するために、所定の1辺を指定する。例えばマウスでその辺をクリックし、いわゆる「選択」状態にする。その状態から、作業方向設定メニューを選択すると、作業方向として指定・選択した上記辺が緑色の矢印に変化し、作業方向の設定が行われたことが操作者に対して視覚的にフィードバックされる。
【0085】
次に、枕地設定メニューを選択すると、枕地の設定を行うための作業方向を示す緑色の上記辺がハイライト表示される。操作者は、このハイライト表示された矢印とは別の辺を選択することによって枕地を設定したい辺を指定する。
【0086】
図2(2)に示すように、操作者は、枕地を設定したい辺をマウスクリックで選択して、枕地設定ボタン(不図示)をクリックする。すると、
図2(2)に示すように、枕地を設定したい辺群が青色で表示される。例えば、
図2(2)の例では3個の辺が青色に変化する例が示されているが、何個でも構わない。
図2(2)では説明の都合上、誇張して太く描かれているが、実際は辺が選択されたことを操作者に示せれば十分であるので、青色で少々太くなるように表示が変化すれば十分である。
【0087】
(3b)次に、
図3(1)に示すように、青色表示された辺を、マウスでドラッグし作業方向を示す矢印(緑色)と変更に移動させる。所定量移動させた後、マウスを放せば、ダイアログが表示されて、ずれ量を数値的に操作者に表示する。この様子が
図3(2)に示されている。この
図3(2)においては、ずれ量は5.123mである例が示されている。ここで、ダイアログに数値を入力して微調整を行い(
図4(1)参照)、OKボタンをクリックすればその幅の枕地の定義が完了する。
【0088】
図4(1)では、数値として5mが入力された例が示されている。これによって、5mの幅の枕地が定義される。
図4(2)では、定義後の表示の例が示されている。枕地が設定されたもとの辺は点線表示されており、それより5m内側の領域が枕地である。なお、内側に移動した結果、新たに設けられた辺が既存の辺と交差し、はみ出す場合がある。その場合は、その交点の位置を計算し、新しい圃場を構成する(多角形の)頂点の座標が求められる。
【0089】
なお、このようにして定義された枕地や、新しい多角形の頂点の座標等も、圃場データの一部を構成する。
【0090】
(3c)このようにして、作業方向を示す辺の矢印方向に位置する枕地の定義が完了すると、画面上には
図5(1)のような図形が描画されている。
【0091】
この状態から、同様の方法で、作業方向を示す辺の矢印とは逆方向に位置する枕地の定義も行う(
図5(2)参照)。
【0092】
図5(2)では、枕地を設定したい辺をクリックして選択した例が表されており、選択された辺が青色で太く表示される例が示されている。
【0093】
(3d)
図6(1)に示すように、選択された(青色で表示された)辺をドラッグして移動させ、枕地を設定する。途中の操作はこれまで説明したのと同様である。その結果、圃場に対して2方向で枕地を定義することができる。最終的な結果の表示が
図6(2)に示されている。
図6(2)において、点線と実線で囲まれた部分が枕地であり、内部が圃場である。圃場においては、作業ラインが描画されている。トラクタ20aは、各作業ラインを走行した後、枕地において方向転換、旋回を行い、例えば隣接する作業ラインに進入する。
【0094】
本実施の形態では、トラクタ20aを用いた作業の際に、ガイダンスを行うガイダンスシステムについて説明する。トラクタ20aは、請求の範囲の「トラクタ」の好適な一例に相当する。
【0095】
(3e)なお、圃場の中に別の圃場が包含される場合、外側の圃場は、中の圃場を除いた状態にする設定を行うことができる。これを中抜きと呼び、
図23にその説明図が記載されている。
図23(1)に示すように、まず、操作者は画面で外側のポリゴン400を選択する。この外側のポリゴン400の面積は100a(アール:1アールは、100平方メートルである)である(
図23(1)参照)。次に、操作者は内側のポリゴン402を選択する(
図23(2)参照)。この内側のポリゴン402の面積は20a(アール:1アールは、100平方メートルである)である。すると、メッセージボックスが表示され、中抜きをするか否かのメッセージが表示される(
図23(3)参照)。操作者が「はい」をクリックすれば、中抜きが完了し、外側のポリゴンの面積から内側のポリゴン402の面積が引かれて、80aが外側のポリゴン400の面積として登録される。
【0096】
このように、中抜きを行った場合、圃場の面積は、内部のポリゴン402の面積を引いたものとなる。この中抜き設定が必要なのは、外側の圃場の内部に、高圧電線などのトラクタ20aが作業不可となる領域(ポリゴン)がある場合に、その領域の面積を作業対象に含めないための操作である。
【0097】
(4)属性情報の登録
これまで述べてきた操作によって、その圃場に対する作業方向と実際に作業する範囲(圃場そのもの)や枕地に関する定義が完了する。次に、その圃場に付随する作物や作業者などの属性情報を登録する。この処理を説明する画面の説明図が
図7に示されている。
図7では、作付け種別の「いも」「たまねぎ」「にんじん」等が属性情報として登録される例が示されている。これらも圃場データの一部に含まれる。
【0098】
なお、図示されてはいないが、属性情報としては、他の種々の情報を登録可能である。本実施の形態では、その圃場にて農作業を行うトラクタ20aの旋回半径等を登録することが好ましい。このようなトラクタ20aの走行能力に関する情報も登録しておけば、ガイダンスをより正確なものとすることができるからである。
なお、本実施の形態のガイダンスシステムでは、トラクタを複数台登録する機能が備えられており、そこにトラクタ毎に旋回半径も設定できるように構成している。また、本実施の形態では、後述するが、上記旋回半径等に基づき、枕地における連結路を自動的に求めること等を提案している。このような属性情報の登録は、
図8のステップS8−2に相当する。
【0099】
圃場データには、その他種々の情報を含ませておくことも好適である。本実施の形態では、上述したGISから取り込んだ地図情報を含めている。この地図情報はレイヤ毎に種々の情報を含んでいる情報であり、ガイダンスパート20において、ガイダンスラインの背景図、その他の情報を表示する際に有用な情報である。
【0100】
(5)データのエクスポート
このようにして、圃場形状、枕地、作業情報、属性情報、地図情報を含む圃場データが定義されると、この圃場データを、USBメモリなどの媒体にエクスポートする。このUSBメモリを、ガイダンスパート20に提供し、ガイダンスパート20は、このUSBメモリ中の圃場データに基づき、ガイダンスを行う。
【0101】
このようなデータのエクスポートは、
図8のステップS8−3に相当する。
【0102】
第1−2 ガイダンスパート
ガイダンスパート20は、トラクタ20aに設置された専用端末20bと、トラクタ20aに設置されたGNSS受信機20cと、ジャイロセンサー20dと、から構成される(
図1参照)。ここで、専用端末20bには、ガイダンスソフトウェア20eがインストールされており、農作業のガイダンスを行う(
図1参照)。
【0103】
GNSS受信機は、よく知られているように、いわゆるGPSを利用した受信機であって、自分の位置を検出することができる。なお、このGNSSは、以前はもっぱらGPSと呼ばれていたが、現在は米国のGPSの他、ロシアのGLONASSや、EUのGalileoなど複数の全地球航法衛生システムを併用できるようになり、総括してGNSSと呼ばれる。
【0104】
専用端末20bは、いわゆる画面を表示するディスプレイ(不図示)を備えており、トラクタ20aのナビゲーションや各種指示、地図の表示、各種情報の表示等をこのディスプレイにて行う。操作者は、このディスプレイ上の各種表示に基づき、トラクタ20aを運転し、農作業を行う。
【0105】
また、このディスプレイは、いわゆるタッチパネルの仕組みを備えており、操作者は、このタッチパネル機能を用いて専用端末20bの操作を行う。
【0106】
(1)圃場データのインポート
トラクタ20a上の専用端末20bで動作しているガイダンスソフトウェアは、上記USBメモリを介して、圃場データをインポートし内部に取り込む。この動作は、
図8のステップS8−4に相当する。
【0107】
(2)アドバンスモード
次にアドバンスモードを開始する(
図8のステップS8−5)。このアドバンスモードでは、上述した
図7に示すように、複数の圃場が画面に表示される。
アドバンスモードとは、圃場を定義しておいて、全ての作業ラインと経路を生成するモードを言い、「マップベースによるガイダンス」「マップベースガイダンス」とも呼ぶ。このアドバンスモードは、後述する
図12等で説明するように、始点(A)、中間点(B)、終点(C)等から、作業ラインを1本生成するシンプルなモード(シンプルモード)に対する用語として用いている。
図12等で説明するように、始点(A)、途中点(B)、終点(C)等から、作業ラインを1本生成するモードを、シンプルモードと呼ぶ。
【0108】
ところで、操作者が、トラクタ20aを運転して農作業を開始する際、まず専用端末20bの電源を投入する。専用端末20bの電源が投入されると、上述したガイダンスソフトウェア20eが起動する。
【0109】
なお、起動の直後は、まずガイダンスソフトウェア20eは、マップベースガイダンスを開始する。このガイダンスは、上述のように、アドバンスモードで実行されるガイダンスである。この結果、現在、トラクタ20aがいる位置の直近500m範囲がディスプレイに表示される。一般的には、そのディスプレイが表示する画面中には、複数の圃場が含まれる。例えば、
図7には、複数の矩形の圃場が表示されている画面の例が示されている。
【0110】
(3)圃場の選択(ステップS8−6)
操作者は、複数の圃場の中から対象圃場を1つ選択すると、その圃場に対して、上記定義パート10を用いて定義した圃場データの一部である「作業方向」と「枕地」が表示され、操作者はそれを認識することができる。これらも圃場データの一部である。
【0111】
また、選択した圃場の、作業開始位置、作業方向、作業ラインの本数等も、ディスプレイ(専用端末20bの画面)上に表示する。なお、圃場を表示する範囲としては、上記では500mとしたが、500m以外の範囲でもよい。
【0112】
また、ガイダンスソフトウェア20eは、単に予め定義された圃場データを表示するだけでなく、作業方向に基づいて作業ラインのデータを作成し、その作業ラインも画面上に表示する。このラインのデータの作成は、作業を行うガイダンスラインの周囲にトラクタに牽引する作業機の幅でラインを生成する。このラインのデータの作成は、定義パートによるマネージャソフトウェアで指定された作業方向と開始点による最初の作業ラインをベースに、トラクタに牽引する作業機の幅で生成する。この作業ラインのデータは、こうして決定されたガイダンスラインの作業方向に対して、トラクタに牽引する作業機の幅だけ拡張する事によって作成される。このようにして作業ラインが作成された様子を画面の表示の例が
図9に示されており、「てんさい」などの作物名もここで表示される。
【0113】
(4)作業方向の変更(ステップS8−7)
すなわち、ガイダンスパート20におけるディスプレイが表示する画面上では、地図が示されており、その上に、トラクタが走行すべきガイダンスラインが比較的細い「線」として示されている。なお、実際の走行の際には、トラクタ20aが走りながら、その「線」の周囲にはトラクタ20aの作業の幅に相当する「太線」も合わせて表示される。これは、走りながら表示されるトラクタ20aの幅の軌跡であるが、もちろん、圃場を選択した際には太線はまだ表示されていない。
【0114】
このようにして、この細線が、トラクタ20aが走行すべきラインとしてガイダンスが行われる。この様子が
図5に示されている。
図5には、例えば、圃場の番号が「4」であることや、その圃場における運転の走行パターンが往復走行である点、等が地図とともに表示されている。これらは、定義パート10を用いて予め定義された情報であり、圃場データの一部である。
【0115】
このようにして、作業の方向が示されるが、作業方向は、任意に設定することも可能である。上述した例では、多角形の圃場の辺を利用して作業方向を設定する例を説明した。しかし、任意の方角に作業方向を設定したい場合も多いので、作業方向はタッチパネルやポインティングデバイス等で任意の方角に設定することが可能である。
これらの作業は
図8のステップS8−7の作業に該当する。
【0116】
(5)ガイダンススタート(ステップS8−8)
ガイダンスの具体的な流れを以下説明する。この動作は
図8のステップS8−8に相当する。
【0117】
初期化
さて、ガイダンスがスタートすれば、操作者はディスプレイに表示されたガイダンスを参照しながら、作業を開始するが、作業を開始(トラクタ20aを発進)する前に、最初に圃場の座標に対して、その時のGNSS受信機20cが持つ誤差を排除するため、初期化操作を行う(
図10参照)。
【0118】
この初期化は、トラクタ20aがいる位置の近傍で、圃場の外周上の既知点を初期位置として認識し、その既知点までの距離と方向をナビゲーションすることによって実行される。この初期化の際の画面上の様子が
図10に示されている。このナビゲーションにより、圃場外からスタートした場合でも、圃場までたどり着く事ができ、また背景図(定義パート10で取り込まれた背景図)も合わせて表示されるため、自分(のトラクタ20a)がどこにいるのかを容易に把握し、GNSS受信機の位置を補正する事ができる。
【0119】
ここで、初期化の処理とは、具体的には、以下のようにして実行される。すなわち、初期化位置でGNSS受信機20dから得られる位置情報と圃場の既知の位置情報を照らし合わせ、その誤差分をこれ以降の作業で差し引く処理が行われるのである。
【0120】
すなわち、この差し引く処理が、請求の範囲の、0セットの好適な一例に相当し、また、いわゆるオフセット補正の好適な一例に相当するものである。この補正は、トラクタ20aを既知点に移動させることに行うことができるし、また、既知点と現在のトラクタ20aとの位置関係が正確に判明していればその数値分だけ修正してオフセット補正、0セットを行う場合もある。また、GNSS受信機そのものを既知点に移動させる場合もある。
【0121】
ガイダンスで用いられるガイダンスラインの構成
初期化作業後、実際のガイダンスライン上の個々の作業ラインに対して左右のずれ量が表示される。ガイダンスラインは、複数の作業ライン及び枕地における旋回ラインを含む連結路等の集合体である。
【0122】
本実施の形態では、圃場の形状は、多角形で表現しており、複数の直線の「辺」の集合として多角形が定義されている。一方、ガイダンスラインは、後述するように直線の「辺」だけでなく曲線もその構成要素とすることができる。したがって、ガイダンスラインを構成する作業ラインは、直線と曲線の双方の場合がある。また、枕地における連結路は、切り返し等がある場合や単純なUターン型の場合等があり、一般的に曲線が含まれる。ガイダンスラインのデータについては、後に詳述する。
【0123】
(5)圃場における農作業の際のガイダンス
オペレータがトラクタ20aを運転し、圃場に進入した際(及び圃場内で作業を行っている最中)に、ガイダンスラインとのずれが10cm単位で広がった際にガイダンスする。なお、この10cmという距離は任意に設定することができる。例えば、設定によって、10cm、20cm、30cm〜等と変更することができる。また、作業エリア終端に達する20m、10m、5m手前では、作業終端に近づくことを促す距離の警告が音声により発せられる。なお、この距離は、任意に設定することができる。この距離は1mでも良いし、3mでも良いし、50mでも、100m又はそれ以上の場合もある。
なお、ここで、作業エリアとは、圃場から枕地を除いた部分であり、作業の対象となる領域を言う。
【0124】
専用端末20bは、いわゆるタブレット型のコンピュータであり、このタブレット型のコンピュータに上記ガイダンスソフトウェアをインストールして、専用端末20bが構成されている。このタブレット型コンピュータには一般にスピーカが設けられているので、このスピーカから上記音声による警告を発することが好ましい。しかし、農作業中は、騒音が大きい場合も想定されるので、別途大型のスピーカ等を設けることも好適である。
【0125】
上述したように、定義パート10では、使用するトラクタ20aの旋回半径等を予め登録しておく。その結果、ガイダンスパートは、トラクタ20aの旋回半径を把握しているので、圃場の端では、使用するトラクタ20aの最小旋回半径で、かつ次のラインに直線的に進入できるよう、旋回すべき枕地の経路を表示して、スムーズな旋回と次のラインへの進入をガイダンスする(
図11参照)。
【0126】
なお、特に、圃場の形状が凸多角形である場合には、作業ラインと、それに隣接する作業ラインとの間の連結路を形成することが好ましい。圃場形状が凹部を含む場合でも、多くの場合はこのようなアルゴリズムが適用できる場合が多いが、他の手法を適用する場合もある。なお、圃場から枕地を除いた部分は作業エリアという。つまり、圃場は、枕地と作業エリアとから構成される。定義パート10においては、このような圃場の定義、枕地の定義を行うようにソフトウェアが設計されている。
【0127】
ここで、ライン(作業ライン)とは、ガイダンスラインを構成する単位であり、圃場内部の直線部分(又は曲線)部分を言う。農作業は、圃場内部をトラクタ20aで走行することによって行われるが、一般には、
図14に示すように、直線群(すなわちライン)を圃場を埋め尽くすように設定することによって、ガイダンスラインが設定される。なお、それらライン群(作業ライン群)を枕地部分の連結路で結んで、全体のガイダンスラインが構成されている。
【0128】
第2.ガイダンスラインの直接作成
(1)ガイダンスラインの基本的な作成
なお、上述したガイダンスソフトウェアは、
(a)定義パート10で作成した圃場データ中には、ガイダンスラインが含まれず、ガイダンスパート20において、圃場の形状や枕地の形状、スタート地点等からガイダンスラインを構成する場合と、
(b)定義パート10で定義した圃場データ中に、操作者が予めガイダンスラインを設定している場合と、
の2種類があり、いずれの場合も、作業に先立ってガイダンスラインが作成されている。
【0129】
(2)走行した地点に基づくガイダンスラインの生成
しかし、圃場において、トラクタ20aを走行させながら、その現場で(圃場で)実際の走行データからガイダンスライン(さらには圃場データも)を構成することも好適である。その結果、事前に定義パート10で圃場やその他のデータを定義しない場合でも、圃場にて、ガイダンスソフトウェア上でガイダンスラインを設定して、ガイダンスを即座に開始することも可能である。
【0130】
ガイダンスラインを現場(その圃場で)でトラクタ20aを走行させながら作成する動作は、次の通りである。
【0131】
まず、専用端末20b上で、ガイダンスソフトウェアを操作し、シンプルモードに移行させる。このシンプルモードに移行した後、画面上では、Aボタン(始点)、Bボタン(途中点)、Cボタン(終点)が現れる。この状態で、操作者は、トラクタ20aを走行させて、所望の位置に到達した場合に、それぞれの位置でボタンをタッチすることによって、始点−途中点−終点を設定することができる。この動作の様子を示す説明図が
図12に示されている。
【0132】
さて、このようにして、始点(A)、途中点(B)、終点(C)、の位置を設定した後、AB(始点−途中点)もしくはAC(始点−終点)の線分を初期ガイダンスラインとして設定する(
図12)。
図12に示すように、AB(始点−途中点)の場合は、目指すべき方向と異なる場合もあるため、可能であればAC(始点−終点)で設定した方が好ましいが、圃場端が明確ではない場合や圃場の形状、走行する場所の路面状況等により、AC(始点−終点)が採用できない場合も想定されるので、その場合は、AB(始点−途中点)を初期ガイダンスラインとして採用する。
【0133】
なお、ガイダンスラインをより正確に設定するためには、途中点Bは、開始点Aより、10m以上離れていることが望ましい。途中点Bが開始点Aに近い場合は、ガイダンスラインの方向が所望の方向とはならない場合もあるからである。
【0134】
次に、この設定した初期ガイダンスラインを、トラクタの幅に応じて横方向に平行移動させて、ガイダンスラインを構成する他のライン群を複数個生成する。この処理は、
図9で示した動作と実質的には同様である。
【0135】
このような生成は、圃場の内部において行われる。順次所定量だけ線分を平行移動させて、他のラインを生成していくが、生成したラインの全ての部分が圃場からはみ出した場合に生成を終了する。生成したラインの全ての部分が圃場からはみ出した場合、圃場の内部が既に作成したラインで埋め尽くされたことを意味することは直感的に明らかであろう。
【0136】
このようにして、初期ガイダンスラインと、それを平行移動させて生成した複数のラインと、を枕地の経路で接続すれば、全体のガイダンスラインが構成される。
【0137】
第3.ガイダンスの種々の表示
ガイダンスパート20に備えられているディスプレイには種々の表示が現れる。
【0138】
まず、ガイダンス中、トラクタ20aが進もうとしている方向を画面上で矢印で表示されている。また、画面中にはガイダンスラインも同時に示されており、このガイダンスラインと矢印とのずれにより、トラクタ20aがラインに対して斜めに傾いた方向に進もうとしている状態を視認する事ができる。この様子を示す画面の例の説明図が
図11に示されている。この図では、トラクタ20aの位置が大きな三角形で示されているとともに、その向きが矢印で示されている。このようないわゆる「自車位置・向き」の表示は画面のほぼ中央に配置されており、ガイダンスラインも所定の色彩で表示されている。また、
図10に示す例では、枕地における切り返しの様子も示されており、図においてトラクタ20aはまさにその枕地の切り返しに向かって進行していく様子が表示されている。また、この画面の上部にはガイダンスラインとトラクタ20aのずれの量が数値的に示されている。
図10の例では、ガイダンスラインに沿わせるために、左に0.78m移動しなければならないことを表示されている。
図10の「左向き矢印+0.78m」との表示を参照されたい。
【0139】
すなわち、矢印とガイダンスラインとが同一方向になるようにトラクタ20aを運転することによって、他のラインと走行箇所が重複しないのである。
【0140】
(1)予測した進行方向の矢印表示
さて、画面上のこの矢印の表示は、基本的に、現在のトラクタ20aの位置・向きから算出される。また、本実施の形態では、現在のトラクタ20aの位置もしくは過去データと現在のデータから曲線近似を行って、1〜2秒後の予測位置を求めており、その予測位置に基づき、進むであろう方向となる矢印を表示している。これにより、ハンドル操作による時間遅れから生じる蛇行現象を回避するようにしている。このような予測した進行方向を示す矢印の表示の例が
図10に示されている。特に、この予測した進行方向を示す矢印は、特に曲線に沿って運転している場合等に有用な情報を運転者に提供する。この予測した進行方向を示す矢印の表示/非表示は、操作者が選択する事ができる。
【0141】
(2)現在走行中の作業ラインの終点の方向を示す矢印の表示
また、本実施の形態にかかるガイダンスパート20は、現在走行中の作業ラインの終点の方向についても矢印で表示している。このような表示を行うことで、最終的にどの方向へ進むべきかを視認する事ができる。このような表示もガイダンスソフトウェア20eが実行するが、操作者の選択によって現在走行中の作業ラインの終点方向を示す矢印を表示/非表示を切り替えることができる。なお、
図10の矢印表示は、始点・初期化のみで、終点についてはない。
【0142】
(3)目標車体方向の矢印の表示
また、本実施の形態にかかるガイダンスパート20は、目標となる車体の方向の矢印も表示することができる。このような表示を行うことで、車体がどちらに向きを変更すればよいかを視認する事ができる。このような表示もガイダンスソフトウェア20eが実行するが、操作者の選択によって目標車体方向の矢印を表示/非表示を切り替えることができる。
【0143】
目標車体方向の矢印の説明図が
図21に示されている。
図21には、走行ラインに沿うようハンドルを戻す方向304が示されており、この走行ラインに沿うようハンドルを戻す方向304が、目標車体方向の矢印に相当する。
【0144】
図21(1)では、圃場308に直線ガイダンスの直線状の作業ライン(走行ライン)306が設定されており、これに沿ってトラクタ20aが走行する様子が描かれている。そして、この
図21(1)には、走行中の作業ラインの終点方向300が示されている。これは、上記(2)で示した「現在走行中の作業ラインの終点の方向を示す矢印の表示」に相当する。また、この
図21(1)には、現在もしくは予測した進行方向302が示されている。これは、上記(1)の予測した進行方向の矢印の表示に相当する。
【0145】
本実施の形態において特徴的なことの一つは、単にトラクタ20aの進行方向を示すだけでなく、目標車体方向を示す矢印を表示していることである。これによって、走行ラインに戻るためにはどの方向にハンドルを向ければよいのかが判明するので、安定した走行が期待できる。これに対して、単に走行ライン306とトラクタ20aの走行する経路とがずれていること(及びずれ量)のみを表示しただけでは、ハンドルをどの程度操作すれば良いか不明となりがちであり、熟練していない操作者はハンドル操作が過大となりがちになり、いわゆる蛇行運転を招きやすいのである。
【0146】
ここで単に、走行ライン(作業ライン)306に戻すように、矢印を表示したのでは、操作者は、ハンドルを急に走行ライン方向に切りすぎてしまうことが考えられるので、走行ライン(作業ライン)306を挟んで寄せ方が蛇行してしまう可能性がある。したがって、そのような表示ではなく、蛇行が生じないように無理のない緩やかな走行ライン(作業ライン)306へのより方を演算で方向を求めて矢印を表示するのである。
【0147】
特に、このような目標車体方向の矢印の表示は、作業ライン306が曲線である場合に特に有用である。そのような例が
図21(2)に示されている。
図21(2)は、圃場308に、曲線上の作業ライン306が設定されている例を示す説明図であり、
図21(1)と同様に、トラクタ20aに対して、現在もしくは予測した進行方向302が示されている。また、
図21(1)と同様に、走行中の作業ラインの終点方向300も示されている。
【0148】
そして、
図21(1)と同様に、
図21(2)にはトラクタ20aが走行ラインに沿うようハンドルを戻す方向304も示されている。この走行ラインに沿うようハンドルを戻す方向304は、上述した目標車両方向を示す矢印の表示に相当し、特に
図21(2)のような曲線の作業ライン308の場合に有用である。
【0149】
直線の作業ライン308の場合は、現在もしくは予測した進行方向302と、走行中の作業ラインの終点方向300とはほぼ一致するので、両者を一致させるように走行することで、概ね作業ライン308に沿った走行ができると考えられる。これに対して、曲線の作業ライン308の場合は、
図21(2)に示すように、現在もしくは予測した進行方向302と、走行中の作業ラインの終点方向300とは一致しないので、両者を機械的に一致させるように走行するという運転手法を利用することはできない。したがって、このような曲線の作業ライン308の場合にこそ、走行ラインに沿うようハンドルを戻す方向304を示すことは、操作者にとって運転上特に有用となる。
【0150】
図22には、実際の圃場の画像上で上述した3種の矢印の表示がなされている例を示す説明図が示されている。この図では、圃場308中をトラクタ20aが走行している様子が描かれている。この
図21においても、作業ラインの終点方向300と、現在もしくは予測した進行方向302と、ハンドル操作用目標車体方向表示310も示されている。このハンドル操作用目標車体方向表示310は、上述した目標車体方向の表示の好適な一例であり、
図21における走行ラインに沿うようハンドルを戻す方向304と同様の表示である。このような表示において、二つの矢印(作業ラインの終点方向300と現在もしくは予測進行方向302)を合わせるようにハンドルを操作すれば目標ラインにあわせることができる。なお、ハンドル操作用目標車体方向表示は、
図22に記述しているように、操作者が、その表示/非表示を選択することができる。
【0151】
(4)走行結果における重複部分の表示
また、本実施の形態にかかるガイダンスパート20は、走行した箇所(作業した領域)を画面上で表示し、操作者が視認可能にしている。具体的には、そのトラクタ20aに取り付けられているトラクタの幅が、作業の幅であると認定し、トラクタ20aが走行したラインの両側のこの作業幅の領域の部分が、作業をした領域(作業済み領域)であると認定している。そして、この作業済み領域について所定の色彩を付した表示を画面上で行い、操作者に、これまで作業をした作業済み領域を画像的に知らせることが可能である。
【0152】
この際、既に走行した箇所(作業済み領域)と、新たに走行した箇所(新たに作業した領域)とが重複する場合は、別の色彩をその重複した領域に付して表示を行うことが好適である。これは、要するに、走行した領域(作業した領域)が、過去において走行した領域(作業した領域)と重なってしまった部分である。
【0153】
一般に、ガイダンスライン自体は、重複が原則として「0」となるように設定される。これは、例えば農薬散布等において、重複して農薬を散布することが好ましくない場合も想定されるからである。また、肥料等の散布においても、与えすぎが返って好ましくない結果となる場合も想定されるからである。したがって、圃場内のガイダンスラインの間隔は、一般にはトラクタとの幅と一致するように、ガイダンスラインが設定される。
【0154】
本実施の形態におけるガイダンスシステムのガイダンスパート20は、このように、走行した箇所(作業した領域)を画面上で、所定の色彩を付して表示する事で、操作者に、作業済みの領域を視覚的にわかりやすく示すことが可能である。このような画面の例が
図17に示されている。このような色分けの表示によって、作業を施した領域、過去の作業領域に重なって作業した領域等を識別することが可能である。このような各領域の識別は、後述するように作業記録として保存、帳票として保存等することが可能である。この結果、今後の作業の参考に資することが可能である。帳票のより詳細な説明については、後述する「第9.実際の走行データに基づく圃場データの作成」において詳細に説明する。
【0155】
ガイダンスパート20がこのような表示をする結果、操作者は、自分のトラクタ20aが、過去の作業した領域と重複せずに適切に走行しているのか、それとも、蛇行等が生じて重複しているのかを視認する事ができる。
【0156】
第4.他ルートの走行、ガイダンスモードの切り替え
また、ガイダンス途中で、ターゲットとするガイダンスラインとは、異なる他のラインで作業したい場合も生じる。このような場合、本実施の形態のガイダンスシステムは、ラインを切り替える事が可能である。
【0157】
ガイダンスモード
例えば、直線ガイダンスの他、カーブガイダンス、周回ガイダンス、直近の走破済み箇所に沿ったガイダンスの計4種類のガイダンスモードが備えられている。このようなガイダンスモードの説明図が
図13に示されている。
【0158】
図13(1)は、直線ガイダンスの概念を示す説明図であり、上述したように始点(A)、途中点(B)、終点(C)等に基づいて、ガイダンスラインを構成する(圃場内の)個別のラインが形成され、それらを枕地における接続のライン(
図13中で破線で表示されている)とすることによって、全体のガイダンスラインが構成される。
図13(2)は、カーブで構成されたラインを構成要素とするガイダンスラインを用いたカーブガイダンスの説明図である。
図13(3)は、直近の走破済み箇所に沿ったガイダンスラインを用いるガイダンスの原理を示す説明図である。また、
図13(4)は、圃場内を周回するように構成されたガイダンスラインを用いる周回ガイダンスの原理を示す説明図である。
【0159】
直線ガイダンス
さて、直線ガイダンスの場合、5種類の走行パターンから、操作者は、作業に応じて1つを選択することができる(
図14参照)。
【0160】
直線ガイダンスは、
図14(1)に示すように、圃場内の複数のラインを、枕地中の連結路(ライン)で結ぶことによって、全体のガイダンスラインを構成している(
図13(1)中、連結路が破線で示されている)が、結び方によって、種々のガイダンスラインを構成することができる。本実施の形態のガイダンスシステムにおいては、
図14に示すような5種類のガイダンスラインの構成をすることができる。
【0161】
図14(1)では、最初に圃場内のラインを2個のラインを飛ばして前のラインに飛び、1個飛ばした後ろのラインに戻って走行(作業)を行う。次に、3個のラインを飛ばして前のラインに飛び、2個飛ばした後ろのラインに戻って走行(作業)を行う。次に、3個のラインを飛ばして前のラインに飛び、1個飛ばした後ろのラインに戻って走行(作業)を行う。以降、この繰り返しを最後まで続ける。
【0162】
図14(2)では、圃場内のラインを1本走行(処理)を終えた後、枕地で作業の幅分のUターンを行い、隣接するラインにそのまま進行して走行(処理)を続けるのである。
【0163】
図14(3)では、最初に圃場内のラインを1本ずつ飛ばして走行(処理)を行い、端部まで走行をした後、飛ばしたラインを走行(処理)しながら出発点側まで戻る手法である。
【0164】
図14(4)では、圃場の外側のラインを走行(処理)していき、順次内側のラインを走行(処理)していく。最後に中央のラインを走行(処理)して、終了する。
【0165】
図14(5)では、最初に圃場内のラインを3個のラインを飛ばして前のラインに飛び走行(処理)を行った後、2個飛ばした後ろのラインに戻って走行(作業)を行う。次に、再び、3個のラインを飛ばして前のラインに飛んで走行(処理)を行った後、2個飛ばした後ろのラインに戻って走行(作業)を行う。次に、再び、3個のラインを飛ばして前のラインに飛び、2個飛ばした後ろのラインに戻って走行(作業)を行う。次に、3個ラインを飛ばした先のラインに移動して走行(処理)を行う。以降、この繰り返しを最後まで続ける。
【0166】
本実施の形態では、直線ガイダンスの場合、このような5種の走行パターンから選択することができる。
また、後進動作を極力なくすため、旋回半径×2(直径)以上となるよう、自動的に数本ライン飛ばしていく処理があると好適である。このように、ある程度の距離を置くことによって、枕地における連結路(ライン)を、U字型とすることができ、いわゆる後進動作を避けることができる。
【0167】
第5.枕地におけるライン(連結路)
これまで、圃場中の作業ラインを複数個設定し、それらの間を連結する枕地の連結路(ライン)を設定し、これらから全体のガイダンスラインを構成する技術を説明した。本章では、枕地における連結路(連結のためのライン)の求め方を説明する。
【0168】
なお、上述したように、圃場とは、枕地と作業エリアとから構成されている。作業エリアにおけるガイダンスラインが作業ライン(又は、単にラインとも呼ぶ)である。
【0169】
まず、本実施の形態のガイダンスシステムは、枕地においてトラクタ20aが旋回する連結路のパターンを3種類用意し、また圃場中の作業ライン(つまり、連結する対象となるライン)間の距離に応じて自動的に切り返しが必要な場合は、それに適した旋回ラインが求められ、求められたその連結路の形状が画面上に表示される(
図15)。
【0170】
まず、旋回するパターンとしては、本実施の形態のガイダンスシステムは。
図15(1)、
図15(2)、
図15(3)の3パターンを用意している。ライン間が広い場合は、
図15(3)に示すパターンが好ましい(
図15(4)参照)。ライン間が狭くて、切り返しが必要な場合は、
図15(2)のパターンが好ましい。次のラインに進入する際、なるべく直線的に進入する方が好ましいからである。また、枕地の幅が狭く、
図15(2)のパターンが採用できない場合は、
図15(1)のパターンが採用される。このようにして、条件によって適切なパターンが自動的に算出され、ガイダンスラインとして採用される。この算出は、基本的に定義パート10側のコンピュータ10bで算出されるが、一度定義したガイダンスラインを、ガイダンスパート20側の専用端末20bが再計算して求めることも好適である。圃場の現状の状態を見て、切り返しパターンを変更する必要がある場合を考慮したものである。
【0171】
第6.カーブガイダンス
カーブガイダンスの場合、2種類の走行パターンから、作業に応じてどちらかを選択する。この2種の走行パターンは、
図14(2)と、
図14(3)のパターンであり、操作者がいずれかを選択することができる。すなわち、一本ずつ隣のライン(作業ライン)を作業するパターンと、1本飛ばしで作業するパターンの2つである。
【0172】
上述したアドバンスモード(マップベースガイダンス)においては、上述した5種のストレートガイダンスを選択することができる。これに対して、カーブガイダンスは、シンプルモードのガイダンスとなり、上記2種の走行パターンを操作者が適宜選択できるように構成している。
【0173】
カーブガイダンスの場合、ガイダンスラインを構成する各作業ラインは、直線(線分)、又は、曲線(弧)、のいずれかである。すなわち、直線と、曲線とを連結させて、ガイダンスラインの全体が構成されている。このようなガイダンスラインの一例の様子を示す説明図が例えば
図18に示されている。
図18は、トラクタ20aの走行軌跡からガイダンスラインを求める様子を示す説明図でもあるが、その動作については後に詳述する。
【0174】
第7.前回のガイダンスの続行機能(作業継続モード)
本実施の形態にかかるガイダンスシステムは、前回の走行(作業)の続きからガイダンスを続行することも可能である。
【0175】
まず、前回作業した最後の位置までナビゲーションを行い、更にそこから別のガイダンスパターンで作業を継続する事を可能とするものである。例えば、所定のガイダンスがその日の1日で終了しなかった場合は、作業の終了時に本システムの電源をOFFする際に、自動的にガイダンス途中であれば、その途中の圃場データを記憶装置に保存しておくのである。次回(例えば翌日)に作業を再開する際に、本ガイダンスシステムの電源(専用端末20bの電源)を投入すると、前回途中で終了したガイダンスの有無が調べられ、途中のガイダンスのデータが記憶手段中に存在すれば、その旨のメッセージを画面に表示し、操作者に前日(又は前回)のガイダンスの再開に関する情報を提示する。
【0176】
このように、通常の農作業の動作において、作業が1日で終了せず、翌日(又は次回)にその続きを行う場合を「作業継続モード」と呼び、その機能を作業継続モード機能と呼ぶ。この機能によって、前日(前回)の作業データを選択することになる。
【0177】
第8.リカバリー機能(上記の作業継続モードは別の機能)
またハードウェアのトラブルなどで、正常にガイダンスを終了できなかった場合でも、システムの再起動後に自動的に前回の作業を継続できるリカバリー機能を有する。
このリカバリー機能は、ユーザーが誤ってガイダンス中に電源を落としてしまった場合の復旧措置であり、上記作業継続モードとは別の機能である。リカバリー機能が働くまでのフローを
図16に示す。
【0178】
この図に示すように、専用端末20bが起動すると、まず、ガイダンスソフトウェア20eが起動する(ステップS16−1)。
【0179】
起動後、まず、テンポラリファイルが専用端末20b内の記憶手段中に残存しているか否かが確認される(ステップS16−2)。確認の結果、残存していれば、ステップS16−3に処理が移行し、残存していなければ、ステップS16−6に処理が移行する。
【0180】
ステップS16−3においては、テンポラリファイルが残存しているので、このテンポラリファイルを読み込む。
【0181】
ステップS16−4においては、前回の作業を継続するか否かが操作者に質問される。これは、専用端末20bの画面上に「前回の作業を継続しますか(Y/N)」等のメッセージを、Yボタン、Nボタンとともに表示することによって実行される。操作者がYボタン(YESボタン)をタッチした場合は、ステップS16−5に処理が移行し、操作者がNボタン(NOボタン)をタッチした場合は、ステップS16−6に処理が移行する。
【0182】
ステップS16−5においては、前回の軌跡データが無事であればその内容を読み込む。ここで、軌跡データとは、実際にトラクタ20aが走行した軌跡のデータである。
【0183】
ここで説明しているリカバリー機能は、途中で専用端末20bがシャットダウンした場合を想定しているので、必ずしも、軌跡データが無事である保証はない。ここでの軌跡データはいわゆるログファイルの一部である。前回の軌跡データが消失しており、読み込めない場合は、ガイダンスを最初からやり直すことになる。もちろん、その場合は、操作者の記憶に基づき、ガイダンスされているガイダンスラインの途中からトラクタ20aを走行させる等の処理を行うことが妥当であろう。
【0184】
さて、ステップS16−6においては、前回作業を継続しないので、ガイダンスモードの選択画面に移行し、通常の動作通り、操作者がガイダンスモードを選択して、それに基づくガイダンスを行う処理に移行する(ステップS16−7)。
【0185】
ステップS16−7においては、ガイダンスが開始される。このガイダンスの動作はこれまで説明したとおりである。
【0186】
ステップS16−8においては、ガイダンスを行いながら、圃場データをテンポラリファイルに逐次保存する。このテンポラリファイルは、上述したように、ログファイルであり、トラクタ20aの軌跡データを含むファイルである。もし、ハードウェア障害等によって、専用端末20bがシャットダウンした場合は、次回の起動時にテンポラリファイルが保存されているか否か確認し、継続処理を行う場合は、前回の処理の継続が実行される。
【0187】
ステップS16−9においては、ガイダンスが終了し、上記テンポラリファイルが削除される。これによって、起動した後、テンポラリファイルがないことを以て作業の途中ではなかったこと、途中でシャットダウンしたわけではないことを確認することができる。
【0188】
第9.実際の走行データに基づく圃場データの作成
専用端末20b上で起動するソフトウェアであるガイダンスソフトウェア20eは、圃場データを作成する機能をも備えている。
【0189】
上述したように、本実施の形態では、基本的には、圃場データは、定義パート10において、マネージャーソフトウェア10aを用いて、GISの地図データを利用して、圃場データを作成していた。
【0190】
本実施の形態のガイダンスシステムでは、さらに、実際の圃場において、複数点もしくは周回ガイダンスで得られた連続的な曲線データを、USBメモリなどの媒体を通じて、マネージャーソフトウェア10aに取り込むことによって、圃場データを生成する事も可能である。すなわち、周回もしくは点群データを圃場データとして定義し、さらに地図データとなるシェープファイルに保存することができる。また、本実施の形態のガイダンスシステムは、別のシステムなどから持ち込んだ点群データを圃場データとして定義することができる。
【0191】
この場合、上述したガイダンス作業で得られた走行データ(軌跡データとも呼ぶ)は、各ガイダンス毎、各走行(作業)毎に、ファイルに保存されている。そこで、操作者は、適宜、走行データを読み出して、外部のUSBメモリなどの媒体に保存することができる。このUSBメモリを、定義パート10に移行して、そこから圃場データを生成することも好適である。
【0192】
ここで、定義パート10にマネージャーソフトウェア10aは、上記USBメモリから取り込んだ作業データ(走行データ、軌跡データとも呼ぶ)に基づき、作業面積、作業時間を把握でき、それを帳票として作成保存できる。このようにして保存した作業データの一例が
図17に示されている。
【0193】
帳票には、上述した走行軌跡の状態や、作業の重複(の有無)等の他に、圃場自体の面積に対する走行した作業面積を求めて記入することが好ましい。また、作業時間、平均速度、等の情報も含めておくことが好ましい。このような情報を含めることによって、実際の面積に対して、GNSS受信機で得られた走行軌跡から求めた作業面積が妥当な作業であるか否かの判断の基礎となる指標とすることができる。また、この指標は、農業を行っている法人等にとって有効な指標となる。また、帳票は農家向けのデータでもあるが、むしろ、農家から土地を借りて法人経営する組織等にとって有用な情報・機能となると考えられる。
【0194】
第10.走行データからガイダンスラインを求める
本実施の形態にかかるガイダンスシステムは、トラクタ20aの走行データ(軌跡データ)から、ガイダンスラインを求めることも可能である。この場合の動作の説明図が
図18に示されている。
【0195】
図18に示すように、トラクタ20aの走行データ100は、トラクタ20aの一定時間毎の位置データ(座標データ)の集合体である。このデータは、圃場データの作成に用いられることは上述したとおりである。
図18において、この走行データは丸印の連なりとして表示されている。
【0196】
本実施の形態では、この走行データ100に基づき、ガイダンスラインを作成する機能を備えている。このような機能によれば、実際の走行に基づき、ガイダンスラインを作成することができるので、より実践的なガイダンスラインを構成することができると考えられる。
【0197】
実際のガイダンスラインの作成は、
図18に示すように、走行データ100のトラクタ20aの位置情報を単につなげて作成したラインと近似するように、曲線(弧)と、直線(線分)とを連結させて、近似ラインを構成することによって、ガイダンスラインを自動作成している。
【0198】
このようにして作成したガイダンスラインは、請求の範囲の、近似した経路であるガイダンスラインの好適な一例に相当する場合がある。
【0199】
例えば、
図18に示した例では、走行データ100と近似するように求められたガイダンスライン102は、弧104、弧106、弧108、線分110、弧112、弧114、弧118、弧120、弧122、弧124、とから構成される。弧104は、頂点204を頂点とする弧であり、弧106は頂点206を頂点とする弧である。また、弧108は頂点208を頂点とする弧であり、線分110は頂点210を頂点とする弧であり、弧112は頂点212を頂点とする弧であり、弧114は頂点214を頂点とする弧である。また、弧118は頂点218を頂点とする弧であり、弧120は頂点220を頂点とする弧である。また、弧122は頂点222を頂点とする弧であり、弧124は、頂点224を頂点とする弧である。このようにして、走行データ100に対するいわば近似曲線を求めて、ガイドライン102として利用するものである。
【0200】
なお、本実施の形態では、線分と円弧(弧)を連結して近似曲線を求めたが、他の種の曲線(スプライン、ベジェ等)を用いても好適である。
【0201】
このような走行データ100に基づくガイダンスライン102の算出は、ガイダンスパート20が行ってもよいし、また、走行データ100を受け取った定義パート10側が行っても好適である。
【0202】
第11.変形圃場の入力と、その変形圃場の形状に基いてガイダンスラインを求める
本実施の形態において、これまで述べたガイダンスシステムは、複数の辺からなる多角形の形状の圃場を入力することができる仕組みを説明してきた。しかし、本実施の形態のガイダンスシステムは、いわゆる自由形状で圃場の形状を入力することも可能である。
【0203】
このような自由形状の圃場の入力は、定義パート10において行われる。自由形状は、操作者が圃場の形状を、種々の自由曲線を入力することによって行われる。自由曲線としては、従来知られている種々の曲線を利用することができる。例えば、ベジェ曲線や、スプライン曲線等の他、操作者が入力した頂点を順次連結するような弧等の曲線群でもかまわない。そして、このような曲線で囲まれた領域を、圃場として登録するのである。従って、入力した自由曲線が閉じた曲線である必要がある。このようにして入力した自由形状の圃場を圃場データとして定義するのである。
【0204】
一方、ガイダンスパート20は、このような自由形状の圃場データに対するガイダンスラインを生成する。ガイダンスラインは、圃場の形状(輪郭)である自由曲線になるべく沿うような曲線で構成される。具体的には、圃場の外周部では、圃場の形状に合わせた曲線で作業ラインを形成し、圃場の内周部に向かうに従って、漸近的に直線ラインとなるように、作業ラインを形成していくのである。このような作業ラインの集合帯としてガイダンスラインが形成される。
【0205】
なお、外周部とは、圃場の領域の内部の領域であって、圃場の形状の線(輪郭)に近い領域をいう。また、内周部とは、圃場の形状の線から遠い部分、言い換えれば、圃場中心に近い部分の領域をいう。
【0206】
このような作業ラインの生成の様子を示す説明図が
図19に示されている。この図に示すように、自由曲線によって定義された圃場の形状である自由曲線500、502に対して、形状がなるべく合うように作業ライン504、506、がそれぞれ形成される。図に示すように、作業ライン504は、4本位かけて中間で直線に修正されていく。すなわち、外周部から内周部に移行するにつれて、なめらかに直線に移行していくのである。同様に、作業ライン506も、漸近的に徐々に直線に修正されていく。これら作業ライン504、506の修正間隔区間は5〜20cmで設定される。このようにして、漸近的に直線に移行していき、圃場の中央に近い内周部では、直線状の作業ライン508が設定される。このようにして、外周部では、圃場の形状になるべく沿うような曲線で作業ラインを形成し、中央部に移行するにつれて漸近的に直線の作業ラインに移行させる。この結果、より滑らかで走行しやすいガイダンスラインが得られる。
【0207】
第12.本実施の形態にかかるガイダンスシステムのその他の特徴
(1)トラクタ以外の機械
本実施の形態では、農作業を行う機械の例としてトラクタ20aを説明したが、他の種類の機械でも同様に適用することができる。例えば、田植機、耕耘機、コンバイン等でも利用可能である。また、トラクタ20aに各種アタッチメントが取り付けられれば、その都度、作業幅が異なるものとなるが、作業幅を変更した圃場データを作成すればよい。
【0208】
(2)専用端末20b
上述した実施の形態では、タブレット型コンピュータの例を示したが、他の形態の端末を利用することも好適である。簡易的にはいわゆるスマートホン型でもよいし、また、ノートパソコンのような形態も好適である。また、トラクタのダッシュボードに埋め込まれた端末でも好ましい。
【0209】
上述した実施の形態では、操作者の操作方法や入力方法は、タッチパネルを用いる例を示したが、キーボードやマウス等のポインティングデバイスを用いても好適である。
【0210】
また、本発明のガイダンスシステムは、その基本的な機能として、トラクタ20aに設置したGNSS受信機20cから得られる現在位置と、経路(ガイダンスライン)と、の左右のずれ量・ずれ角をリアルタイムに表示する手段を採用している。これによって、走行結果(農作業結果)の不均一化を防止することができ、その結果、作業効率の向上、ひいては農作業の品質向上に寄与するものである。
【0211】
なお、GNSS受信機20cは、請求の範囲のGNSSセンサーの好適な一例に相当する。
【0212】
ここで、トラクタ20aの現在位置と、ガイダンスライン中の作業ラインと、のずれ量・ずれ角を表示するためには、リアルタイムに精度よく位置を求められる計測器が必須であり、本発明はGNSS受信機20cによる位置情報と、ジャイロセンサー20dによる方位・姿勢角のデータを合わせて、相互に補間しながら安定した精度でリアルタイムに位置を推定・算出するフィルタリング手法を組み込んだガイダンスシステムを提供している。
【0213】
このフィルタリング手法は、ガイダンスパート20の専用端末20b上で稼働するソフトウェアによって実現する。ここで採用するフィルタリング手法とは、GNSS受信機20cが得る位置情報と、ジャイロセンサー20dが得る方位・姿勢角と、の両者のデータを相互に補間しながら、ジャイロセンサーのドリフト等を補正をする手法である。なお、このフィルタリング手法を実現するソフトウェアは、請求の範囲のフィルタリング手段の好適な一例に相当する。
【0214】
さらに、本実施の形態では、このフィルタリングのためのソフトウェアは、位置情報の精度が低下した場合には、それまでのトラクタ20aの方位や速度に基づき、ジャイロセンサー20d等の情報や、トラクタ20aのタイヤの回転数(トラクタ20aの速度)、ハンドルの切り角、等から、トラクタ20aの位置や方位を推定していくのである。
【0215】
第13.変形例その他
(1)これまで述べた実施の形態では、定義パート10とガイダンスパート20とが別体に構成されており、USBメモリ等を介してデータの受け渡しをする例を示したが、他の媒体、インターネット等を介してデータの受け渡しを行っても好適である。
【0216】
(2)上述した実施の形態では、定義パート10とガイダンスパート20とが別体に構成されている例を示したが、小規模農場の場合は、小型のタブレット端末で一体に構成することも好適である。その場合は、データの受け渡しは不要となる。
【0217】
ただし、一般的には、定義パート10が1台で構成し、ガイダンスパート20は、複数個備えて、複数の各トラクタ20に備えさせることも好適であろう。
【0218】
(3)上述した実施の形態では、直線(線分)と曲線(弧)とを組み合わせてガイダンスラインを作成する例を示したが、他の曲線、例えばスプライン等でも好適である。
【0219】
(4)上述した実施の形態では、地図情報をレイヤに分けることを示したが、このレイヤは、圃場の形状(シャープファイル)以外に、種々のレイヤを採用することができる。例えば、道路、建物、側溝、障害物、はみ出し禁止エリア等のレイヤが好適である。操作者の選択によって所望のレイヤのみを表示させることが好適である。
【0220】
例えば、道路レイヤを選択すれば、道路レイヤを背景図として圃場データ中の圃場形状を表示する事ができる。また、建物レイヤを選択すれば、建物レイヤと圃場形状とを重ねて表示する事ができる。もちろん、複数のレイヤを選択することも可能であり、道路レイヤと建物レイヤを、圃場形状と重ねて表示する事も可能である。
【0221】
また、トラクタ20aが障害物やはみ出し禁止エリア等(以下、障害物等)に近づいた場合(トラクタと障害物との距離が所定の基準値未満になった場合)に、警告(音声による警告や光やメッセージによる警告等)を発する手段を設けることが好適である。さらに、迂回路を表示する手段を設けることも好適である。
【0222】
なお、側溝などを含み、進入禁止を意味する進入禁止レイヤを設けて、障害物等をまとめて登録する場合もある。そして、トラクタ20aと、進入禁止レイヤに登録された側溝等(障害物等)との距離が所定の基準値未満になった場合に種々の警告を発するのである。また、この場合、迂回路を示す場合もある。
【0223】
(5)中抜きした内側ポリゴンの迂回
また、トラクタ20aが、いわゆる中抜きした内側ポリゴン402に近づいた場合(トラクタと内側ポリゴン402との距離が所定の基準値未満になった場合)に、警告(音声による警告や光やメッセージによる警告等)を発する手段を設ける場合もある。この内側ポリゴン402に関する説明図が、
図23に示されている。
【0224】
この内側ポリゴン402は、圃場の内部に高圧電線等のトラクタ20aが作業不可となる領域がある場合に、その領域を作業対象に含めないために設けたものである。したがって、トラクタ20aがその内側ポリゴン402の領域に近づいた場合に、上記障害物等と同様に、警告を発する場合がある。また、警告とは別に、又は警告とともに、迂回路を操作者に提示する場合もある。これら警告手段や提示手段は、上記(4)で述べた警告手段・提示手段と同様の手段を使用する。具体的には、専用端末20b上で動作するソフトウェアと、スピーカやブザー等から警告手段が構成される。また、専用端末20b上で動作するソフトウェアと、迂回路を表示するディスプレイとから、提示手段が構成される。
【0225】
なお、中抜きした内側ポリゴン402のために、地図データ(圃場データ)に、中抜きレイヤを設けて、この中抜きレイヤに内側ポリゴンを登録する事が好適である。中抜きレイヤには、ポリゴンではないその他一般的な中抜きエリアも合わせて登録することが好ましい。そして、トラクタ20aが、この中抜きレイヤと所定の基準値未満に近づいた場合に、上述したように、所定の警告を発したり、及び/又は、迂回路を表示すること、等を行うことが好ましい。
多角形の圃場でも効率的にガイダンスラインを作成できる技術を提供し、また、枕地のデータを入力可能に構成し、枕地における旋回のルートを作成することができる圃場ガイダンスシステムを提供することを目的とする。そのため、圃場ポリゴンデータをもとに作業条件ごとに、任意の作業ラインを生成できるシステムである。更に、ガイダンス画面上に、圃場区画、ガイダンスラインの表示の他、道路、畦、水路、建物、施設、障害物などの背景地図を表示し、夜間でも作業が可能なシステムとしている。