特許第5667810号(P5667810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5667810
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20150122BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20150122BHJP
   F02N 15/00 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   F02D29/02 321A
   F02D45/00 374C
   F02D45/00 376F
   F02N15/00 E
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2010-179525(P2010-179525)
(22)【出願日】2010年8月10日
(65)【公開番号】特開2012-36869(P2012-36869A)
(43)【公開日】2012年2月23日
【審査請求日】2013年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 智生
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−233917(JP,A)
【文献】 特開2004−251234(JP,A)
【文献】 特開2008−090933(JP,A)
【文献】 特開2001−251783(JP,A)
【文献】 特開平08−123985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/02
F02D 45/00
F02N 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力生成装置の動力生成を制御する制御装置であって、
前記制御装置の電源による充電または放電がされるコンデンサを備える電圧保持部と、
前記コンデンサを充電または放電する充放電部と、
前記動力生成装置の前記動力生成をアイドルストップさせるための条件が満たされている場合、前記充放電部に前記コンデンサを充電させるアイドルストップ状態制御部と、 を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記アイドルストップ状態制御部は、
前記動力生成装置の前記動力生成をアイドルストップさせるための条件が満たされている場合、前記動力生成をアイドルストップさせて前記動力生成を停止させるとともに、前記充放電部に前記コンデンサを充電させることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記アイドルストップ状態制御部は、
前記コンデンサの充電電圧が予め設定された閾値電圧以上の場合、前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている状態であると判定し、
前記コンデンサの前記充電電圧が予め設定された閾値電圧未満の場合、前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしていない状態であると判定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御装置が電源電圧の低下によりリセットされて再起動した場合、
前記アイドルストップ状態制御部は、
前記コンデンサの充電電圧が予め設定された閾値電圧以上であるか否かに基づいて、前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている状態であるか否かを示す情報を記憶する記憶部を備え、
前記アイドルストップ状態制御部は、
前記コンデンサの充電電圧が予め設定された閾値電圧以上の場合、前記動力生成がアイドルストップしている状態であると判定し、前記記憶部に当該判定した結果を示す情報を記憶させ、
前記コンデンサの前記充電電圧が予め設定された閾値電圧未満の場合、前記動力生成がアイドルストップしていない状態であると判定し、前記記憶部に当該判定した結果を示す情報を記憶させる
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御装置が電源電圧の低下によりリセットされて再起動した場合、
前記アイドルストップ状態制御部は、
前記コンデンサの充電電圧が予め設定された閾値電圧以上であるか否かに基づいて、前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている状態であるか否かを判定し、前記記憶部に当該判定した結果を示す情報を記憶させる
ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている場合、
前記アイドルストップ状態制御部は、
前記動力生成のアイドルストップを解除させるための条件が満たされている場合、前記充放電部に前記コンデンサを放電させる
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている場合、
前記アイドルストップ状態制御部は、
前記動力生成のアイドルストップを解除させるための条件が満たされている場合、前記動力生成のアイドルストップを解除させて前記動力生成を開始させるとともに、前記充放電部に前記コンデンサを放電させる
ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記アイドルストップ状態制御部は、
前記動力生成装置の前記動力生成が停止されているか否かを判定し、
前記動力生成装置の前記動力生成が停止されていない場合、前記充放電部に前記コンデンサを放電させる
ことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
動力生成装置の動力生成を制御する制御装置の制御方法であって、
前記制御装置の電源による充電または放電がされるコンデンサを備える電圧保持部と、
前記コンデンサを充電または放電する充放電部と、
を備え、
アイドルストップ状態制御部が、前記動力生成装置の前記動力生成をアイドルストップさせるための条件が満たされている場合、前記充放電部に前記コンデンサを充電させる手順、
を備えることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力生成装置を制御する制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題への配慮や省燃費化の要求により、自動車またはオートバイなどに用いられる気化燃料により駆動されるエンジンの制御として、アイドルストップ(アイドリングストップ)の機能が付加される製品が実用化されている。このアイドルストップは、信号待ち等で車両が停車した場合に、運転者がエンジンを停止させなくても、エンジンの停止条件が満たされると、エンジンのアイドリング動作が一旦停止されるものである。また、アイドルストップによりエンジンが停止されている状態から、エンジンの駆動を再開する操作等によりエンジンの再動作の条件が満たされると、エンジンが自動的に再始動される。よって、信号待ち等の停車時において、エンジンのアイドリング動作が停止されることにより、燃料の節約及び排出ガスの削減がされる。
【0003】
従来、アイドルストップの機能が付加されたエンジンを制御する場合は、エンジンの燃料の点火・噴射を制御するエンジンECU(Engine Control Unit)と、エンジンのアイドルストップ動作を制御するアイドルストップ制御ECUとが、車載されているバッテリーから電圧変更された電源が供給されて、エンジンの制御をしている。
アイドルストップの処理を行う場合、アイドルストップ制御ECUは、エンジンがアイドルストップの条件により停止したのか、またはアイドルストップの条件以外の操作により停止したのかを示すフラグ情報をラッチ等に保持させている。
そして、アイドルストップ制御ECUは、保持されたフラグ情報に基づいて現在のエンジンの停止状態が、アイドルストップによるものか否かを判定し、アイドルストップにより停止している状態からエンジンの駆動が再開される操作がされた場合、エンジンの駆動を再開する制御を実行する(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
ところが、エンジンの駆動を再開した場合、クランキング時(エンジン起動時)における電源電圧の低下によって、一旦、アイドルストップ制御ECU内のCPU(Central Processing Unit)がリセットされることがある。この場合、アイドルストップ制御ECUは、CPUのリセット解除後に、再度アイドルストップしているか否かを判定する。しかし、ラッチ等に保持されたフラグ情報は、電源電圧の低下によりアイドルストップ制御ECUが再起動した際の初期化の過程で消去されてしまう可能性がある。
【0005】
この結果、アイドルストップ制御ECUは、保持されたフラグ情報が消去されたことにより、現在のエンジンの停止が、アイドルストップ状態によるエンジンの停止であるのか、または起動直後やエンスト発生時におけるエンジンの停止であるのかを判定することができない。
したがって、電気的に書き換え可能なEEPROMやフラッシュメモリなど、電源電圧の低下によりCPUが初期化された場合でも、データが書き換えられることがない不揮発性メモリに、フラグ情報を保持させることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−299913号公報
【特許文献2】特開2006−328965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリは、データの書き換え回数に制限があり、信号待ち等によってアイドルストップする頻度が高いと、その書き換え回数の制限を短期間で超えてしまう。そして、不揮発性メモリの書き換え回数の制限を超えると、不揮発性メモリはデータの書き換えが不安定となり、保持されたフラグ情報の信頼性が低下する。
したがって、不揮発性メモリを用いても使用期間が長期間にわたると、フラグ情報が正確に保持されなくなるため、アイドルストップ制御ECUは、エンジンの停止がアイドルストップしている状態であるのか、あるいは起動直後やエンスト発生時のエンジンの停止であるのかを判定することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電源電圧の低下によりCPUが初期化されても、またフラグ情報の書き換え回数が多い使用状況においても、アイドルストップしている状態であるか否かを示すフラグ情報を、高い信頼性で保持しアイドルストップ処理を実行することができる制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、
動力生成装置の動力生成を制御する制御装置であって、前記制御装置の電源による充電または放電がされるコンデンサを備える電圧保持部と、前記コンデンサを充電または放電する充放電部と、前記動力生成装置の前記動力生成をアイドルストップさせるための条件が満たされている場合、前記充放電部に前記コンデンサを充電させるアイドルストップ状態制御部とを備えることを特徴とする制御装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記アイドルストップ状態制御部は、前記動力生成装置の前記動力生成をアイドルストップさせるための条件が満たされている場合、前記動力生成をアイドルストップさせて前記動力生成を停止させるとともに、前記充放電部に前記コンデンサを充電させることを特徴とする請求項1に記載の制御装置である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記アイドルストップ状態制御部は、前記コンデンサの充電電圧が予め設定された閾値電圧以上の場合、前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている状態であると判定し、前記コンデンサの前記充電電圧が予め設定された閾値電圧未満の場合、前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしていない状態であると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制御装置である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記制御装置が電源電圧の低下によりリセットされて再起動した場合、前記アイドルストップ状態制御部は、前記コンデンサの充電電圧が予め設定された閾値電圧以上であるか否かに基づいて、前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御装置である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている状態であるか否かを示す情報を記憶する記憶部を備え、前記アイドルストップ状態制御部は、前記コンデンサの充電電圧が予め設定された閾値電圧以上の場合、前記動力生成がアイドルストップしている状態であると判定し、前記記憶部に当該判定した結果を示す情報を記憶させ、前記コンデンサの前記充電電圧が予め設定された閾値電圧未満の場合、前記動力生成がアイドルストップしていない状態であると判定し、前記記憶部に当該判定した結果を示す情報を記憶させることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の制御装置である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記制御装置が電源電圧の低下によりリセットされて再起動した場合、前記アイドルストップ状態制御部は、前記コンデンサの充電電圧が予め設定された閾値電圧以上であるか否かに基づいて、前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている状態であるか否かを判定し、前記記憶部に当該判定した結果を示す情報を記憶させることを特徴とする請求項5に記載の制御装置である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている場合、前記アイドルストップ状態制御部は、前記動力生成のアイドルストップを解除させるための条件が満たされている場合、前記充放電部に前記コンデンサを放電させることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の制御装置である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記動力生成装置の前記動力生成がアイドルストップしている場合、前記アイドルストップ状態制御部は、前記動力生成のアイドルストップを解除させるための条件が満たされている場合、前記動力生成のアイドルストップを解除させて前記動力生成を開始させるとともに、前記充放電部に前記コンデンサを放電させることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の制御装置である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、前記アイドルストップ状態制御部は、前記動力生成装置の前記動力生成が停止されているか否かの判定をし、前記動力生成装置の前記動力生成が停止されていない場合、前記充放電部に前記コンデンサを放電させることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の制御装置である。
【0018】
請求項10に記載の発明は、動力生成装置の動力生成を制御する制御装置の制御方法であって、前記制御装置の電源による充電または放電がされるコンデンサを備える電圧保持部と、前記コンデンサを充電または放電する充放電部とを備え、アイドルストップ状態制御部が、前記動力生成装置の前記動力生成をアイドルストップさせるための条件が満たされている場合、前記充放電部に前記コンデンサを充電させる手順を備えることを特徴とする制御方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、充電または放電された電荷を保持するコンデンサを備え、アイドルストップしている場合、コンデンサに電荷を充電して電圧を保持させる。これにより、本発明によれば、電源電圧の低下によりCPUが初期化されても、またフラグ情報の書き換え回数が多い使用状況においても、アイドルストップしている状態であるか否かを示すフラグ情報を、高い信頼性で保持しアイドルストップ処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態による動力生成装置200の構成を示す概略ブロック図である。
図2】本実施形態における、電圧保持部2の一形態を示す概略ブロック図である。
図3】本実施形態における、起動時のアイドルストップ制御処理の一例を示すフローチャートである。
図4】本実施形態における、起動後のアイドルストップ制御処理の一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態における、制御装置100の起動後のアイドルストップ制御処理の別の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による、動力システム300における動力生成装置200を制御する制御装置100の構成を示す概略ブロック図である。また、図1は、オートバイにおける動力システム300の一例を示す形態である。
【0022】
動力システム300は、動力生成装置200、制御装置100、エンジン回転数検出部12、及びセンサ部13を備える。動力生成装置200は、スタータ8、スタータモーター9、点火/噴射部10、及びエンジン11を備える。また、制御装置100は、エンジン駆動制御部1、電圧保持部2、充放電部3、電圧検出部4、条件検出部5、アイドルストップ状態制御部6、及び記憶部7を備える。センサ部13は、車速センサ14、水温センサ15、スロットルセンサ16を備える。
【0023】
本実施形態における制御装置100は、動力生成装置200がアイドルストップしていることを示すフラグ情報として、制御装置100が備える電圧保持部2に電荷を充電している。そして制御装置100にリセットが発生した場合、制御装置100は、再起動後に電圧保持部2のフラグ情報を検出することで、アイドルストップしているか否かを判定する。
【0024】
ここで、アイドルストップ(アイドリングストップ)は、信号待ち等の停車中にエンジン11が、通常アイドリングしている状態になるのに対して、そのアイドリングを停止(エンジン11を停止)させた状態とすることである。なお、本実施形態において、アイドルストップしているか否かの状態(以下、アイドルストップの状態)について、アイドルストップしている状態をアイドルストップ中とし、アイドルストップしていない状態を非アイドルストップ中とする。また、アイドルストップの状態が、非アイドルストップ中からアイドルストップ中になることをアイドルストップの開始とし、アイドルストップ中から非アイドルストップ中になることをアイドルストップの解除として記述する。
【0025】
エンジン駆動制御部1は、スタータ8を制御してスタータモーター9を動作させエンジン11を始動させる。そして、エンジン駆動制御部1は点火/噴射部10を制御して、始動させたエンジン11の燃料の点火及び噴射を制御する。また、エンジン駆動制御部1は、エンジン回転数検出部12の検出結果、及びセンサ部13の備える各センサの出力結果が入力され、入力された結果に応じてエンジン11の駆動を制御する。また、エンジン駆動制御部1は、アイドルストップ状態制御部6からアイドルストップの開始、またはアイドルストップの解除を指示する制御信号が入力される。そして、エンジン駆動制御部1は、入力された制御信号に応じて、エンジン11の停止、またはエンジン11の再始動を制御する。
ここで、センサ部13は、車両の走行速度を検出する車速センサ14、エンジン11の冷却水温度を検出する水温センサ15、及びスロットルの開度を検出するスロットルセンサ16を備えている。
【0026】
電圧保持部2は、充電または放電されて電荷を保持するコンデンサを有している。
充放電部3は、アイドルストップ状態制御部6から入力される充電指示、または放電指示に応じて、電圧保持部2の有するコンデンサを充電または放電することで、アイドルストップの状態を示すフラグ情報を書き込む。つまり、電圧保持部2の有するコンデンサに充電または放電された電圧が、フラグ情報である。
【0027】
電圧検出部4は、アイドルストップ状態制御部6から入力される電圧検出を実行するためのサンプリング信号に応じて電圧保持部2の電圧を入力する。また、電圧検出部4は、入力した電圧保持部2の電圧が予め設定された閾値以上であるか否かを検出し、検出した結果をアイドルストップ状態制御部6に出力する。
例えば、電圧検出部4は、入力された電圧保持部2の電圧をA/D変換し、デジタルデータに変換した電圧値と予め設定された閾値電圧とを比較して検出する。
【0028】
ここで、予め設定された閾値は、電圧保持部2が充電または放電されることにより保持されるフラグ情報を検出するための閾値電圧である。そして、このフラグ情報は、電圧保持部2がアイドルストップ中は充電され、また非アイドルストップ中は放電されることにより保持される。例えば、電源電圧5Vで動作している制御装置100において、設定された閾値電圧を3.5Vとした場合、電圧検出部4は、電圧保持部2の電圧が閾値電圧=3.5V以上に充電されているか否かを検出する。そして、電圧検出部4は、電圧保持部2の電圧が、閾値電圧=3.5V以上である場合、アイドルストップ中を示すフラグ情報を検出し、閾値電圧=3.5V未満である場合、非アイドルストップ中を示すフラグ情報を検出する。
【0029】
条件検出部5は、アイドルストップ状態制御部6から入力される条件検出を実行するためのサンプリング信号に応じて、エンジン回転検出部12及びセンサ部13からそれぞれの情報を入力する。次に、条件検出部5は、入力されたエンジン回転数検出部12、車速センサ14、水温センサ15、及びスロットルセンサ16のそれぞれの情報と、それぞれに予め設定された閾値とを比較する。そして、条件検出部5は、比較した結果に基づいて、アイドルストップを開始する条件(以下、アイドルストップ開始条件)、またはアイドルストップを解除する条件(以下、アイドルストップ解除条件)を満たしているか否かを検出し、検出した結果をアイドルストップ状態制御部6に出力する。
【0030】
例えば、アイドルストップ開始条件は、「エンジン回転数<設定された回転数(閾値)」、「車速<設定された車速(閾値)」、「水温>設定された水温(閾値)」、または「スロットル開度<設定された開度(閾値)」である。ここで、それぞれの条件において設定された閾値は、アイドルストップを開始するための条件として予め設定された閾値である。
また、例えば、アイドルストップ解除条件は、「エンジン回転数>設定された回転数(閾値)」、または「スロットル開度>設定された開度(閾値)」である。ここで、それぞれの条件において設定された閾値は、アイドルストップを解除するための条件として予め設定された閾値である。
【0031】
記憶部7には、アイドルストップ状態制御部6の書き込み要求に応じて、アイドルストップの状態を示すフラグ情報が書き込まれて記憶される。
なお、記憶部7は、データをラッチして保持する回路、またはRAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリであり、電源の遮断または電源電圧の低下が発生した場合、記憶されている情報は失われる。
【0032】
アイドルストップ状態制御部6は、条件検出部5に、条件を検出させるためのサンプリング信号を出力する。アイドルストップ状態制御部6は、条件検出部5の検出結果に基づいて、アイドルストップ開始条件、またはアイドルストップ解除条件が検出されたか否かを判定する。そして、その判定結果に基づいて、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン駆動制御部1にエンジン11の動作の開始、または停止を指示する制御信号を出力するとともに、充放電部3に電圧保持部2を充電、または放電させる制御信号を出力する。
【0033】
また、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン回転数検出部12の検出結果が入力されており、その検出結果とエンジン11の動作が停止、または開始されていると判定するために予め設定された閾値と比較することで、エンジン11の動作が停止、または開始されている否かを判定する。よって、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン駆動制御部1にエンジン11の動作の停止、または開始を指示する制御信号を出力した場合、エンジン11の動作が停止、または動作が開始されたことを判定する。
【0034】
また、アイドルストップ状態制御部6は、電圧検出部4に、電圧保持部2の電圧を検出させるためのサンプリング信号を出力する。そして、アイドルストップ状態制御部6は、電圧検出部4による検出結果に基づいて、電圧保持部2の電圧が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する。アイドルストップ状態制御部6は、電圧保持部2の電圧が予め設定された閾値以上である場合、アイドルストップ中であると判定し、電圧保持部2の電圧が予め設定された閾値未満である場合、非アイドルストップ中であると判定する。
【0035】
また、アイドルストップ状態制御部6は、アイドルストップの状態を示すフラグ情報を、記憶部7に記憶させる。
アイドルストップ状態制御部6は、制御装置100が起動してリセットが解除されると、電圧検出部4に検出させた電圧保持部2の電圧に基づいて、アイドルストップ中であるか、または非アイドルストップ中であるかを判定し、判定した結果を記憶部7に記憶させる。また、アイドルストップ状態制御部6は、アイドルストップの状態が変更された場合、記憶部7に記憶されているフラグ情報を、変更されたアイドルストップの状態のフラグ情報に更新する。
【0036】
このように、アイドルストップ状態制御部6は、アイドルストップの開始または解除条件に基づいて、エンジン11の動作停止または開始の指示をエンジン駆動制御部1に出力する。また、アイドルストップの状態を示すフラグ情報を、アイドルストップ状態制御部6は、記憶部7に記憶させるとともに、充放電部3に電圧保持部2を充電または放電させて保持させる。更に、アイドルストップ状態制御部6は、制御装置100が起動してリセットが解除された場合、電圧保持部2に保持された充電電圧に基づいてアイドルストップの状態を判定し、起動後は所定の時間間隔でアイドルストップ状態制御部6の処理が実行される度に、記憶部7に記憶させたフラグ情報に基づいてアイドルストップの状態を判定する。
【0037】
なお、記憶部7を用いずに、アイドルストップ状態制御部6は、所定の時間間隔で処理を実行する度に、電圧検出部4に電圧保持部2の電圧を検出させてアイドルストップ中であるか、または非アイドルストップ中であるかを判定してもよい。
【0038】
次に、図2は本実施形態における電圧保持部2の一形態を示す概略ブロック図である。
この図において、電圧保持部2は、充電または放電されて電荷を保持するコンデンサC1と、その他に、抵抗R1、抵抗R2、及びダイオードD1とを備える。
端子T2は、抵抗R2の一端に接続され、抵抗R2の他端はコンデンサC1の一端に接続される。コンデンサC1の他端はGNDに接続される。また、端子T1は、抵抗R1の一端に接続され、抵抗R1の他端は、コンデンサC1と抵抗R2との接続点に接続される。そして、ダイオードD1のアノード端子は、端子T1と抵抗R1との接続点に接続され、ダイオードD1のカソード端子は、電源VCCに接続される。また、電源VCCは、制御装置100の各部を動作させるための電源でもあり、制御装置100の各部に接続されている。
【0039】
図2において、充放電部3は、端子T2の端子電圧を制御することによりコンデンサC1の充電または放電を制御する。充放電部3により、端子T2に電源VCCの電圧(例えば、5V)が印加された場合、コンデンサC1は、端子T2から抵抗R2を介して充電される。また、充放電部3により、端子T2にGND(0V)の電圧が印加された場合、コンデンサC1は、抵抗R2を介して端子T2に放電される。また、図2において、電圧検出部4は、端子T1の端子電圧を入力して、端子電圧を検出する。例えばコンデンサC1の端子間の電位(電圧)が4.8Vに充電されている場合、端子T1の電圧は4.8Vである。電圧検出部4は、端子T1の端子電圧4.8Vを入力して、予め設定された閾値(例えば、3.5V)以上であることを検出する。
【0040】
また、図2においてダイオードD1は、端子T1及び端子T2に電源VCCの電圧以上の電圧が印加されないようにするための保護ダイオードである。通常の動作において、電源VCCの電圧が印加されているダイオードD1のカソード端子電圧とダイオードD1のアノード端子電圧とは、「カソード端子電圧>アノード端子電圧」の関係である。しかし、電源VCCの電圧低下が発生し、且つコンデンサC1が充電されている場合、「カソード端子電圧<アノード端子電圧」の関係になることがある。この場合、ダイオードD1のカソード端子電圧がダイオードD1のアノード端子電圧より低い電圧になるため、コンデンサC1は、抵抗R1とダイオードD1とを介して電源VCCに放電され始める。
【0041】
つまり、アイドリングストップの解除によりエンジン11の駆動を再開する場合において、クランキング時(エンジン起動時)における電源VCCの電圧低下が一時的に発生した場合、コンデンサC1は、電源VCCに放電され始める。この場合、電源VCCの電圧が復帰するまでの期間、コンデンサC1の電圧が、電圧検出部4の閾値電圧(例えば、3.5V)以上であれば、フラグ情報を保持される。それに対して、主電源をOFFしてから再度ONするまでの期間は、上述の一時的な電圧低下と比較すると長い期間であり、コンデンサC1の電圧が、電圧検出部4の閾値電圧(例えば、3.5V)未満になるまで放電されると、フラグ情報は保持されない。しかし、主電源をOFFしてから再度ONする場合は、運転者が意図して電源をOFFしているため、主電源をOFFする前の状態がアイドルストップ中の状態であったとしても、アイドルストップ中の状態が解除されることが望ましい。
【0042】
よって、コンデンサC1の電源VCCへの放電に対して、一時的な電源電圧の低下による期間においては、フラグ情報が保持されるように、また、意図して電源をOFFしてから再度ONするまでの期間においては、フラグ情報が保持されないように、コンデンサC1の容量、抵抗R1の抵抗値、及び電圧検出部4の閾値電圧は設定されている。
【0043】
なお、抵抗R2は、充放電部3がコンデンサC1を充電または放電するのに長い時間を要さないように、抵抗R1に対して比較的小さい抵抗値に設定されている。そのため、電源電圧の低下が発生して制御装置100がリセットされた場合に、意図せずにコンデンサC1から抵抗R2を介して端子T2に電荷が放電されないように設定されている。例えば、制御装置100がリセット中及びリセット解除後の起動直後において、端子T2に接続される充放電部3の端子は、ハイインピーダンス状態になるように設定されている。
【0044】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図3及び図4は、本実施形態におけるアイドルストップ制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、図3は、制御装置100の起動時のアイドルストップ制御処理の一例を示している。
図3において、制御装置100は、起動してリセットが解除されると、制御装置100のレジスタの初期設定がされる(ステップS101)。
次に、アイドルストップ状態制御部6は、電圧検出部4に電圧保持部2のコンデンサC1の電圧を検出させる(ステップS102)。そして、アイドルストップ状態制御部6は、電圧検出部4の検出結果に基づいて、電圧保持部2の電圧が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0046】
ステップS103において、電圧保持部2の電圧が予め設定された閾値以上であると判定された場合(YES)、アイドルストップ状態制御部6は、アイドルストップの状態がアイドルストップ中であると判定し、記憶部7に判定した結果を示すフラグ情報を記憶させる。そして、ステップS106の処理に進む(ステップS104)。
ステップS103において、電圧保持部2の電圧が予め設定された閾値未満であると判定された場合(NO)、アイドルストップ状態制御部6は、アイドルストップの状態が非アイドルストップ中であると判定し、記憶部7に判定した結果を示すフラグ情報を記憶させる。そして、ステップS106の処理に進む(ステップS105)。
【0047】
ステップS106において、アイドルストップ状態制御部6は、アイドルストップ制御処理を実行する。このアイドルストップ制御処理は、動作中において所定の時間間隔で、繰り返し実行される。
なお、図3に示す処理は、制御装置100が一時的な電源電圧の低下により再起動した場合においても、また、電源OFFの状態から通常の電源ONにより制御装置100が起動した場合においても、同様に実行される。
【0048】
次に、図4は、図3のステップS106に示す、制御装置100の起動後のアイドルストップ制御処理の具体的な動作の一例を示している。
まず、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン回転数検出部12にエンジン11の回転数を検出させて、検出結果を入力する(ステップS201)。
【0049】
次に、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン回転数検出部12の検出結果と、エンジン11の動作が停止されていると判定するために予め設定された閾値とを比較することで、エンジン11の動作が停止されているか否かを判定する(ステップS202)。ステップS202において、予め設定された閾値以下であると判定された場合(YES)、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン11の動作が停止されていると判定し、ステップS203の処理に進む。また、ステップS202において、予め設定された閾値より高いと判定された場合(NO)、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン11の動作が停止されていないと判定し、ステップS213の処理に進む。
【0050】
ステップ203において、アイドルストップ状態制御部6は、記憶部7からアイドルストップの状態を読み出す。この記憶部7に記憶されているアイドルストップの状態は、制御装置100の起動時に電圧保持部2の電圧検出結果に基づいて記憶されたアイドルストップの状態、または、制御装置100の動作中に、アイドルストップ状態制御部6によって記憶部7に記憶されたフラグ情報が更新されたアイドルストップの状態である。
【0051】
次に、ステップS204において、アイドルストップ状態制御部6は、記憶部7から読み出したアイドルストップの状態に基づいて、アイドルストップ中であるか否かを判定する。判定した結果、アイドルストップ中である場合(YES)、ステップS205の処理に進む。また、判定した結果、アイドルストップ中でない非アイドルストップ中である場合(NO)、通常のエンジン停止状態であってアイドルストップ中ではないため、処理を終了する。
【0052】
アイドルストップ中である場合、アイドルストップ状態制御部6は、充放電部3に電圧保持部2を充電させる(ステップS205)。次に、アイドルストップ状態制御部6は、条件検出部5に、アイドルストップ解除条件を検出させる(ステップS206)。そして、アイドルストップ状態制御部6は、条件検出部5の検出結果に基づいて、アイドルストップ解除条件を検出されているか否かを判定する(ステップS207)。
ステップS207において、アイドルストップ解除条件が検出されていると判定された場合(YES)、ステップS208の処理に進む。また、ステップS207において、アイドルストップ解除条件が検出されていないと判定された場合(NO)、アイドルストップ中の状態が継続されるため、処理を終了する。
【0053】
ステップS208において、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン駆動制御部1に、エンジン11の動作の開始を指示する制御信号を出力する。エンジン駆動制御部1は、アイドルストップ状態制御部6から、エンジン11の動作の開始を指示されたことに応じて、エンジン11の動作を開始させる。
【0054】
次に、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン回転数検出部12にエンジン11の回転数を検出させて、検出結果を入力する(ステップS209)。次に、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン回転数検出部12の検出結果と、エンジン11の動作が開始されていると判定するために予め設定された閾値とを比較することで、エンジン11の動作が開始されているか否かを判定する(ステップS210)。
【0055】
ステップS210において、予め設定された閾値以上であると判定された場合(YES)、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン11の動作が開始されていると判定し、ステップS211の処理に進む。また、ステップS210において、予め設定された閾値未満であると判定された場合(NO)、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン11の動作が開始されていないと判定し、ステップS206の処理に戻る。
【0056】
ステップS211において、アイドルストップ状態制御部6は、アイドルストップの状態が解除され、エンジン11の動作が開始されたと判定したため、記憶部7に記憶させているアイドルストップの状態を示す情報を、非アイドル中を示す情報に書き換えて記憶させる。次に、ステップS212において、アイドルストップ状態制御部6は、充放電部3に電圧保持部2を放電させる。
【0057】
ここで、ステップS202で、エンジン11の動作が停止されていると判定された場合の処理フローは、処理を終了する。
続いて、ステップS202で、エンジン11の動作が停止されていないと判定された場合の処理フローについて説明する。
【0058】
ステップS202でエンジン11の動作が停止されていないと判定された場合、アイドルストップ状態制御部6は、充放電部3に電圧保持部2を放電させる(ステップS213)。つまり、エンジン11の動作が停止されていない場合は、非アイドルストップ中であるため、アイドルストップ状態制御部6は、充放電部3に電圧保持部2を放電させる。次に、アイドルストップ状態制御部6は、条件検出部5に、アイドルストップ開始条件を検出させる(ステップS214)。そして、アイドルストップ状態制御部6は、条件検出部5の検出結果に基づいて、アイドルストップ開始条件を満たしているか否かを判定する(ステップS215)。
ステップS215において、アイドルストップ開始条件を満たしていると判定された場合(YES)、ステップS216の処理に進む。また、ステップS215において、アイドルストップ開始条件を満たしていないと判定された場合(NO)、非アイドルストップ中の状態が継続されるため、処理を終了する。
【0059】
ステップS216において、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン駆動制御部1に、エンジン11の動作の停止を指示する制御信号を出力する。エンジン駆動制御部1は、アイドルストップ状態制御部6から、エンジン11の動作の停止を指示されたことに応じて、エンジン11の動作を停止させる。
【0060】
次に、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン回転数検出部12にエンジン11の回転数を検出させて、検出結果を入力する(ステップS217)。次に、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン回転数検出部12の検出結果と、エンジン11の動作が停止されていると判定するために予め設定された閾値とを比較することで、エンジン11の動作が停止されているか否かを判定する(ステップS218)。
【0061】
ステップS218において、予め設定された閾値以下であると判定された場合(YES)、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン11の動作が停止されていると判定し、ステップS219の処理に進む。また、ステップS218において、予め設定された閾値より高いと判定された場合(NO)、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン11の動作が停止されていないと判定し、ステップS214の処理に戻る。
【0062】
ステップS219において、アイドルストップの状態が開始され、エンジン11の動作が停止されたと判定されたため、アイドルストップ状態制御部6は、記憶部7に記憶させているアイドルストップの状態を示す情報を、アイドル中を示す情報に書き換えて記憶させる。次に、ステップS220において、アイドルストップ状態制御部6は、充放電部3に電圧保持部2を放電させる。そして、処理を終了する。
【0063】
なお、上述した、図4に示すアイドルストップ制御処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行されて、動力生成装置200の状態変化に応じて、所定のアイドルストップ制御処理が実行される。
【0064】
次に、図5は、図4に示したアイドルストップ制御処理に対して、記憶部7を用いずに、所定の時間間隔で処理を実行する度に、アイドルストップ状態制御部6が、電圧検出部4に電圧保持部2の電圧を検出させてアイドルストップの状態を判定する場合のアイドルストップ制御処理の一例を示すフローチャートである。図5において、図4との相違点についてのみ説明し、図4と同様の処理フローについての説明は省略する。
【0065】
図5に示す処理フローにおけるステップS303は、図4に示す処理フローにおけるステップS203と対応している。アイドルストップ状態制御部6は、図4のステップS203において、記憶部7からアイドルストップの状態を読み出しているが、図5のステップS303においては、アイドルストップの状態を判定するために、電圧検出部4による電圧保持部2の電圧の検出結果を入力する。
【0066】
また、図5に示す処理フローにおけるステップS310及びステップS317は、図4に示す処理フローにおけるステップS210及びステップS218とそれぞれ対応しており、それぞれ同様の処理が実行される。アイドルストップ状態制御部6は、図4のステップS210及びステップS218における判定結果に基づいて、ステップS211及びステップS219において、それぞれ記憶部7にアイドルストップの状態を記憶させる処理が実行されるが、図5に示す処理フローにおいては、この処理は実行されない。
【0067】
上述した図4に示した処理フローとの相違点により、図5に示した処理フローにおいては、記憶部7を用いなくとも、所定の時間間隔で処理を実行する度に、アイドルストップ状態制御部6は、電圧検出部4に電圧保持部2の電圧を検出させてアイドルストップの状態を判定することで、本発明のアイドルストップの制御が可能である。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、制御装置100において、アイドルストップしている場合は、アイドルストップ状態制御部6が電圧保持部2を充電させて電荷が保持されている。よって、アイドルストップ中にエンジン駆動を再開する場合に、一時的に意図しない電源電圧の低下が発生しても、再度電源が復帰した際に、アイドルストップ状態制御部6は、電圧保持部2の電圧を検出することで、アイドルストップ中であったことが判定できる。また、電圧保持部2において、コンデンサC1が充電または放電されることにより、アイドルストップの状態を示すフラグ情報が保持されるため、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリのように、書き換え回数の制限が無い。このように、電源電圧が変化しても、また書き換え回数が多い使用状況においても、アイドルストップしている状態であるか否かを示すフラグ情報を簡易に、且つ高い信頼性で保持し、アイドルストップ処理を実行することができる。
【0069】
なお、本実施形態によれば、動力生成装置200(エンジン装置)の動力生成を制御する制御装置100は、充電または放電された電荷を保持するコンデンサC1を備える電圧保持部2と、コンデンサC1を充電または放電する充放電部3と、動力生成装置200の動力生成をアイドルストップさせるための条件が満たされている場合、充放電部3にコンデンサC1を充電させるアイドルストップ状態制御部6とを備える。
これにより、制御装置100は、不揮発性のメモリを必要とせずに、電圧保持部2のコンデンサC1の充電電圧に基づいて、アイドルストップ中であるか否かを判定できる。
【0070】
また、アイドルストップ状態制御部6は、動力生成装置200の動力生成をアイドルストップさせるための条件が満たされている場合、動力生成をアイドルストップさせて動力生成を停止させるとともに、充放電部3にコンデンサC1を充電させる。
つまり、アイドルストップ開始条件が満たされた場合、エンジン動作を停止させる制御と、コンデンサC1に電荷を充電させる制御との、両方の制御をアイドルストップ状態制御部6が制御するため、アイドルストップ中である状態が、正しく電圧保持部2のコンデンサC1に保持される。これにより、制御装置100は、不揮発性のメモリを必要とせずに、電圧保持部2のコンデンサC1の充電電圧に基づいて、アイドルストップ中であるか否かを判定できる。
【0071】
また、アイドルストップ状態制御部6は、コンデンサC1の充電電圧が予め設定された閾値電圧以上の場合、動力生成装置200の動力生成がアイドルストップしている状態であると判定し、コンデンサC1の充電電圧が予め設定された閾値電圧未満の場合、動力生成装置200の動力生成がアイドルストップしていない状態であると判定する。
つまり、アイドルストップ状態制御部6は、コンデンサC1の電圧を検出して、コンデンサC1が充電されているか否かに基づいて、アイドルストップ中であるか否かを判定する。これにより、制御装置100は、不揮発性のメモリを必要とせずに、電圧保持部2のコンデンサC1の充電電圧に基づいて、アイドルストップ中であるか否かを判定できる。
【0072】
また、制御装置100が電源電圧の低下によりリセットされて再起動した場合、アイドルストップ状態制御部6は、コンデンサC1の充電電圧が予め設定された閾値電圧以上であるか否かに基づいて、動力生成装置200の動力生成がアイドルストップしている状態であるか否かを判定する。
これにより、電源の一時的な電圧の低下があった場合でも、不揮発性のメモリを必要とせずに、電圧保持部2のコンデンサC1の電圧に基づいて、アイドルストップ中であるか否かを判定できる。
【0073】
また、動力生成装置200の動力生成がアイドルストップしている状態であるか否かを示すフラグ情報を記憶する記憶部7を備え、アイドルストップ状態制御部6は、コンデンサC1の充電電圧が予め設定された閾値電圧以上の場合、動力生成がアイドルストップしている状態であると判定し、記憶部7に判定した結果を示すフラグ情報を記憶させ、コンデンサC1の充電電圧が予め設定された閾値電圧未満の場合、動力生成がアイドルストップしていない状態であると判定し、記憶部7に判定した結果を示すフラグ情報を記憶させる。
つまり、アイドルストップ状態制御部6は、アイドルストップ中であるか否かのフラグ情報を、電圧保持部2のコンデンサC1と記憶部7との両方に保持させる。
これにより、制御装置100は、自装置の状況に応じて、記憶部7、または電圧保持部2のコンデンサC1の充電電圧に基づいて、アイドルストップ中であるか否かを判定できる。
【0074】
また、制御装置100が電源電圧の低下によりリセットされて再起動した場合、アイドルストップ状態制御部6は、コンデンサC1の充電電圧が予め設定された閾値電圧以上であるか否かに基づいて、動力生成装置200の動力生成がアイドルストップしている状態であるか否かを判定し、記憶部7に判定した結果を示すフラグ情報を記憶させる。
これにより、制御装置100は、電源の一時的な電圧の低下があった場合は、電圧保持部2のコンデンサC1の充電電圧に基づいてアイドルストップ中であるか否かを判定し、電源電圧の低下が無く動作している場合は、記憶部7に記憶させたフラグ情報に基づいてアイドルストップ中であるか否かを判定できる。
【0075】
また、動力生成装置200の動力生成がアイドルストップしている場合、アイドルストップ状態制御部6は、動力生成のアイドルストップを解除させるための条件が満たされている場合、充放電部3にコンデンサC1を放電させる。
つまり、アイドルストップ中の状態から非アイドルストップ中の状態に変更された場合、電圧保持部2のコンデンサC1に充電されていた電荷が正しく放電される。これにより、制御装置100は、不揮発性のメモリを必要とせずに、電圧保持部2のコンデンサC1の充電電圧に基づいて、アイドルストップ中であるか否かを判定できる。
【0076】
また、動力生成装置200の動力生成がアイドルストップしている場合、アイドルストップ状態制御部6は、動力生成のアイドルストップを解除させるための条件が満たされている場合、動力生成のアイドルストップを解除させて動力生成を開始させるとともに、充放電部3にコンデンサC1を放電させる。
つまり、アイドルストップ解除条件が満たされた場合、エンジン動作を開始させる制御と、コンデンサC1の電荷を放電させる制御との、両方の制御をアイドルストップ状態制御部6が制御するため、非アイドルストップ中である状態が、正しく電圧保持部2のコンデンサC1に保持される。これにより、制御装置100は、不揮発性のメモリを必要とせずに、電圧保持部2のコンデンサC1の電圧に基づいて、アイドルストップ中であるか否かを判定できる。
【0077】
また、アイドルストップ状態制御部6は、動力生成装置200の動力生成が停止されているか否かの判定をし、動力生成装置200の動力生成が停止されていない場合、充放電部3にコンデンサC1を放電させる。
つまり、エンジン11が動作している場合は、電圧保持部2のコンデンサC1の電荷が必ず放電される。これにより、制御装置100は、不揮発性のメモリを必要とせずに、電圧保持部2のコンデンサC1の電圧に基づいて、アイドルストップ中であるか否かを判定できる。
【0078】
なお、本実施形態において、動力生成装置200は、オートバイのエンジン装置を一例として説明したが、これに限られものではなく、自動車等の車両や船舶等における内燃機関を用いたエンジン装置であってもよい。
【0079】
また、アイドルストップ開始条件及びアイドルストップ解除条件は、上記実施形態においてエンジン11の回転数、車速、水温、及びスロットル開度の条件を例として説明したが、これに限られものではなく、傾斜センサによる斜度、もしくはブレーキ、または、自動車等におけるアクセルもしくはステアリング等のその他の条件を用いてもよい。
【0080】
また、上記実施形態において、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン駆動制御部1にエンジン11の動作の停止、または開始を指示する制御信号を出力した場合、エンジン11の動作が停止、または動作が開始されたことを判定してから、充放電部3に電圧保持部2を充電または放電させる。これに限らず、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン駆動制御部1にエンジン11の動作の停止、または開始を指示する制御信号を出力した場合、実際にエンジン11の動作が停止、または動作が開始されたことを判定する前に、充放電部3に電圧保持部2を充電もしくは放電させてもよい。また、アイドルストップ状態制御部6は、エンジン駆動制御部1にエンジン11の動作の停止、または開始を指示する制御信号を出力した場合、実際にエンジン11の動作が停止、または動作が開始されたことを判定しないで、充放電部3に電圧保持部2を充電もしくは放電させてもよい。
【0081】
また、充放電部3から充電または放電するために電圧保持部2に接続される信号線は、電源電圧の低下により制御装置100にリセットが発生した場合、電圧保持部2に充電された電荷が意図せずに放電されないように設定されている。上記実施形態において、制御装置100がリセット中及びリセット解除後の起動直後において、端子T2に接続される充放電部3の端子が、ハイインピーダンス状態になるように設定されていることを一例として記述した。しかし、電圧保持部2に充電された電荷が意図せずに放電されないようにする方法としては、この一例に限られるものではなく他の方法を用いても良い。
【0082】
なお、上述の実施形態において、制御装置100におけるエンジン駆動制御部1、充放電部3、電圧検出部4、条件検出部5、アイドルストップ状態制御部6、及び記憶部7の各部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、上述の各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0083】
また、上述の制御装置100の各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0084】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0085】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1 エンジン駆動制御部
2 電圧保持部
3 充放電部
4 電圧検出部
5 条件検出部
6 アイドルストップ状態制御部
7 記憶部
8 スタータ
9 スタータモーター
10 点火/噴射部
11 エンジン
12 エンジン回転数検出部
13 センサ部
14 車速センサ
15 水温センサ
16 スロットルセンサ
100 制御装置
200 動力生成装置
300 動力システム
図1
図2
図3
図4
図5