(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヘッドボックス(12)から吊り下げられ、多数のスラット(16)を整列状態に支持するラダーコード(14)の下端部がホルダ(30)によりボトムレール(24)に連結されるブラインドであって、
ホルダ(30)は、ボトムレール(24)に係止されるホルダ本体(32)と、ホルダ本体(32)に支持される調整部材(34)とを有し、調整部材(34)にはラダーコードの下端部が固定される回転軸部(34a)が設けられており、回転軸部(34a)の回転によりラダーコード(14)の下端部がホルダ本体(32)の一部または回転軸部(34a)に巻き付け可能となっており、回転軸部(34a)は、ホルダ本体(32)に形成される筒部(32a)に回転可能に支持され、筒部(32a)の上面に係止されるように上端が外径方向に突出する係止部(34d)となっており、ラダーコード(14)は筒部(32a)に巻き付き可能となっており、回転軸部(34a)の先端部(34h)は、係止部(34d)の上面に上方に突出するように形成され、筒部(32a)よりも径方向寸法が小径となっていることを特徴とするブラインド。
ホルダ本体(32)における筒部(32a)の外周には筒部(32a)を覆うようにガイドリブ(32f)が形成されており、筒部(32a)とガイドリブ(32f)の間にはラダーコード(14)一巻分の隙間が形成されることを特徴とする請求項1記載のブラインド。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブラインドとしては、特許文献1に記載されたものが知られている。このブラインドにおいては、ラダーコードの下端部をボトムレールに連結するホルダが、ボトムレールに係止されるホルダ本体と、ホルダ本体に支持される調整部材とを有している。ホルダ本体には筒部が回転不能に設けられており、調整部材には、ラダーコードの下端部が固定されて、筒部内に相対回転可能に挿入される回転軸部が設けられている。そして、ブラインドの高さ寸法を調整する場合、回転軸部を回転し、ラダーコードの下端部を回転不能な筒部に巻き付けるようにしている。回転軸部の上端は開放されており、ラダーコードの下端部は回転軸部の上端から回転軸部内に挿入されており、回転軸部の開放された上端の少なくとも一部を塞ぐカバーが設けられる。
【0003】
このブラインドによれば、カバーを設けることにより、ラダーコードが回転軸部の上端から脱落することを防止している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のブラインドでは、カバーを設けているために、カバーの厚みの分だけ筒部の長さが短くなるため、ラダーコードの巻取量を多く確保できないという問題がある。また、ラダーコードを筒部に巻き付け過ぎると、カバーがラダーコードに押し上げられて外れてしまうという問題もある。また、カバーを設けるために、部品点数と組立工数が増加するので、コストアップにつながるという問題がある。
【0006】
一方、カバーを取り付けない構造とすることも考えられるが、ラダーコードの巻き付きが進行していくに従って、下から上へと巻き付きが進行し、既存の巻き付きは新たな巻き付きによって押し上げられ、巻き付きが回転軸部の先端部に差し掛かると、ラダーコードの締め付けによって回転軸部の先端部には内側に押し込まれる力が作用するため、回転軸部の先端部が破損してしまう可能性があるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、ブラインドの高さ寸法を調整するために回転させる回転軸部の破損を防止することができるブラインドを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、
本発明は、ヘッドボックスから吊り下げられ、多数のスラットを整列状態に支持するラダーコードの下端部がホルダによりボトムレールに連結されるブラインドであって、
ホルダは、ボトムレールに係止されるホルダ本体と、ホルダ本体に支持される調整部材とを有し、調整部材にはラダーコードの下端部が固定される回転軸部が設けられており、回転軸部の回転によりラダーコードの下端部がホルダ本体の一部または回転軸部に巻き付
け可能となっており、回転軸部の先端部は、ラダーコードが巻き付く部分よりも径方向寸法が小径となっていることを特徴とする。
【0009】
さらに、回転軸部はホルダ本体に形成される筒部に回転可能に支持され、ラダーコードは筒部に巻き付き可能となっており、回転軸部の先端部は筒部の先端から突出しており、先端部は筒部よりも径方向寸法が小径となっていることを特徴とする。
【0010】
さらに、ホルダ本体における筒部の外周には筒部を覆うようにガイドリブが形成されており、筒部とガイドリブの間にはラダーコード一巻分の隙間が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回転軸部の先端部がラダーコードが巻き付く部分よりも径方向寸法が小径となっていることによって、ラダーコードをホルダに巻き付けていく際に、ラダーコードの巻き付きが先端部に差し掛かると、小径の先端部を乗り越える作用が働いてラダーコードが巻き付き部分から脱出するため、先端部にそれ以上の無理な力が作用せず、回転軸部の破損を防止することができる。
【0012】
また
、ラダーコードをホルダ本体に形成した筒部に巻き付ける構造とし、筒部から突出した回転軸部の先端部の径方向寸法を小径とすることによって、ラダーコードは最初の巻き付きが次の巻き付きによって上方へと押し上げられていき、巻き付きが筒部から回転軸部の先端部に移るときに、ラダーコードの巻き付きが先端部から脱出しやすくなり、ラダーコードの所定量以上の巻き付きを防止し、破損を防止することができる。
【0013】
また
、ホルダ本体にガイドリブを形成し、筒部とガイドリブの間にラダーコード一巻分の隙間を持たせることによって、ガイドリブがラダーコードの巻き付きを押し上げるためのガイドとなり、先に巻き付いているラダーコードに重なって新たな巻き付きが発生せず、ラダーコードが二重に筒部に巻き付くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明の実施形態によるホルダの分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態によるホルダの斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態によるホルダの平面図である。
【
図5】本発明の実施形態によるホルダの断面図である。
【
図6】ボトムレールに取付けられたホルダの正面側から見た部分断面図である。
【
図7】ホルダが係止されている部分のボトムレール近傍の断面図である。
【
図8】回転軸部を半回転させたときの筒部に巻き付けられたラダーコードの状態を示す断面図である。
【
図9】回転軸部を一回転させたときの筒部に巻き付けられたラダーコードの状態を示す断面図である。
【
図10】ボトムレールに取り付けられたホルダの初期状態を示す平面図である。
【
図11】回転軸部を90°回転させたときの筒部に巻き付けられたラダーコードの状態を示す平面図である。
【
図12】回転軸部を一回転させたときの筒部に巻き付けられたラダーコードの状態を示す平面図である。
【
図13】ボトムレールに取付けられたホルダの状態を示す側面図であり、(a)は初期状態、(b)は回転軸部を半回転させたときの状態、(c)は回転軸部を一回転させたときの状態、(d)は回転軸部を更に回転させたときの状態、をそれぞれ示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の第1の実施形態のブラインドの正面図である。
【0016】
ブラインド10は、壁面または天井面にブラケット11を介して取付けられるヘッドボックス12を有しており、ヘッドボックス12内のラダーコード支持装置17から吊下られるラダーコード14によって、多数段のスラット16が傾動可能に支持されている。即ち、ラダーコード14は、
図7に示したように、前後の垂直コード14aと、該前後の垂直コード14aを連結する多数の中段コード14bとを有しており、各中段コード14bにスラット16が載置される。
【0017】
ラダーコード支持装置17は、例えば、ヘッドボックス12内に長手方向に伸びて、回動可能に軸支されるシャフト18と、ラダーコード14の上端が巻取り及び巻解き可能に連結されるドラム20とからなる。シャフト18は図示しない回転伝達機構を介して、ヘッドボックス12から下方に伸びる操作棒22に連結されている。
【0018】
スラット16の下方には、ボトムレール24が配置されており、ボトムレール24には、ラダーコード14の下端部がホルダ30によって連結される。また、
図7に示されるように、ボトムレール24には、その上面に形成された上部貫通孔24aから昇降コード26の一端が挿入されて連結されており、昇降コード26の他端は各スラット16を挿通して、ヘッドボックス12内に導入され、ヘッドボックス12の幅方向一端側へ案内されてヘッドボックス12から導出されて操作つまみ27に連結される。
【0019】
図2ないし
図7及び
図10を参照しながら、ホルダ30の詳細構造について説明する。
【0020】
ホルダ30は、ボトムレール24に係止されるホルダ本体32と、ホルダ本体32に支持される調整部材34とを有する。
【0021】
ホルダ本体32は、ボトムレール24の下面に係止するのに適するように、ボトムレール24の下面の形状に倣った形状をなしており、ホルダ本体32の前後の端部には、ボトムレール24の前後面に形成された突部24c、24cに係止可能な係止部32cが設けられる。また、係止部32cからホルダ本体32の中央部にかけて、ホルダ本体32がボトムレール24に取付けられた状態において、ラダーコード14の通り道となる案内溝32bが形成されている。
【0022】
そして、ホルダ本体32の中央部には、筒部32aが突設される。筒部32aは、ホルダ本体32がボトムレール24に取付けられた状態において、ボトムレール24の下面に形成された下部貫通孔24b内に突出するようになっている。筒部32a内において、その下端部は内径が拡径された拡径部32dとなっており、また、筒部32aの内周面には、周方向に所定角度毎、例えば90度毎に離間して軸方向に延びる複数の溝32eが形成される。更にホルダ本体32には筒部32aの外周を一部覆うようにガイドリブ32fが形成されており、筒部32aとガイドリブ32fとの間には、ラダーコード14が筒部32aに一巻だけ巻き付くことが可能な幅の隙間が設けられている。
【0023】
調整部材34は、筒部32a内に下方から挿入されて筒部32a内で回転可能に支持される。
【0024】
即ち、調整部材34の下端部は、円盤状の拡径部34bとなっており、拡径部34bは筒部32aの拡径部32dに嵌合するようになっている。拡径部34bの下面には操作溝34fが形成されており、操作溝34fは、ドライバー等の汎用工具、専用工具及び/又はコインが挿入できる溝となっている。
【0025】
拡径部34bの上方には回転軸部34aが形成される。回転軸部34aは、拡径部34bから上方に延びる一対の軸片34c、34cから構成され、その上端は開放される。軸片34c、34cの上端は、外径方向に突出する係止部34dとなっており、係止部34dは筒部32aの上面に係止されるようになっている。係止部34dの上面には、ラダーコード挿通用のスリット34eを形成する先端部34hが上方に突出するように形成されている。
図4に示すように、先端部34hの全体の輪郭形状の径方向寸法は、係止部34d及び筒部32aよりも小径となっており、換言すれば、先端部34hは回転軸部34aの中心軸寄りに位置している。より詳細には、先端部34hの全体の輪郭形状の径方向寸法は、筒部32aの径方向寸法との差異が、ラダーコード14の径または厚み寸法の2倍の値以上となるように、設定されているとよい。
【0026】
各軸片34cの外周面には、それぞれリブ34gが形成されており、2つのリブ34gは互いに180度離間されている。リブ34gは、調整部材34の回転に応じて、前記筒部32aに形成された溝32eに係合可能となっており、この溝32eとリブ34gとによって係合手段が構成される。尚、回転軸部34aに溝、筒部32aにリブを形成することによって係合手段を構成することも可能である。
【0027】
以上のように構成されるホルダ30のボトムレール24への組み付けについて説明する。
【0028】
まず、ホルダ本体32の筒部32aの下方から調整部材34の回転軸部34aを挿入する。このとき、回転軸部34aの軸片34cが適宜撓むことで、係止部34dは筒部32a内を通過することができ、通過後、筒部32aの上面に係止し、同時に、調整部材34の拡径部34bが筒部32aの拡径部32dに嵌合することで、回転軸部34aは、筒部32aに相対回転可能に且つ軸方向に移動不能に挿入される。また、回転軸部34aのリブ34gが筒部32aの溝32eのいずれかと係合する。さらには、小径の先端部34hは筒部32aの先端よりも突出する。
【0029】
ラダーコード14の下端部は、その前後の垂直コード14a(または前後の垂直コード14aを連結する中段コード14bであってもよい)が、対応するホルダ本体32の前後の案内溝32bにそれぞれ案内されて、筒部32aの上端を超えて、回転軸部34aのスリット34e内を通過して、クリップ15によって互いに連結されて回転軸部34a内に挿入されて固定される。
【0030】
筒部32aをボトムレール24の下部貫通孔24bからボトムレール24内に挿入させるとともに、ホルダ本体32をボトムレール24の底面に密着させるように、係止部32cをボトムレール24の突部24cに係止させる。これにより、
図7及び
図10に示される状態となる。
【0031】
次に、
図7ないし
図13を参照しながら、ボトムレール24の下限位置を調整することによりブラインドの高さ寸法の調整をする手順について説明する。
【0032】
図7、
図10及び
図13(a)は、ホルダ30をボトムレール24に取付けた初期状態を示し、この状態からボトムレール24の下限位置の調整をする場合、操作溝34fに工具またはコインを挿入し、回転軸部34aを回転させる。これにより、回転軸部34a内に固定されているラダーコード14またはクリップ15が回転軸部34aと一体に回転するため、
図11に示すように、筒部32aの外周に位置するラダーコード14が筒部32aの外周に巻き付いていく。
【0033】
そして、初期状態から回転軸部34aを半回転させると、ラダーコード14が筒部32aに
図8及び
図13(b)に示すように巻き付き、更に半回転、すなわち、初期状態から回転軸部34aを一回転させると、
図9、
図12及び
図13(c)に示すように巻き付く。
【0034】
これにより、垂直コード14aが、案内溝32bに沿ってホルダ30内に順次導入されていくため、ヘッドボックス12からボトムレール24までの垂直コード14aの長さが短くなり、ボトムレール24の下限位置が上昇していく。
【0035】
このとき、ラダーコード14は、筒部32aとガイドリブ32fとの間で巻き付き、筒部32aとガイドリブ32fとの間には一巻分の隙間があるだけであるので、筒部32aに最初に巻き付いたラダーコード14に別の巻き付きが重なることを防ぎ、ラダーコード14の筒部32aへの二重の巻き付きが防止されて、ガイドリブ32fによって先に巻き付いていたラダーコード14が後に巻き付くラダーコード14によって押し上げられるようにガイドされる。
【0036】
この後も、回転軸部34aの回転操作を更に続けていくと、新たに巻き付くラダーコード14は、筒部32aとガイドリブ32fの間の隙間に位置するため、筒部32aの最下部に巻き付いていく。このため、先に筒部32aに巻き付いていたラダーコード14が後で巻き付くラダーコード14によって押し上げられていく。筒部32aの上端に既に巻き付いていたラダーコード14は、先端部34hに差し掛かると、先端部34hが筒部32aよりも小径となっているために、先端部34hを乗り越える作用が働いて、
図13(d)に示すように、先端部34hから脱出する。これにより、先端部34hに無理な力が作用せず、回転軸部34aの破損を防止することができる。
【0037】
回転軸部34aを回転操作する際に、回転軸部34aを90度回転させる毎に回転軸部34aのリブ34gと筒部32aの溝32eとが係合するため、係合する毎に節度感を与えることができるとともに、これらが係合した位置で回転軸部34aの回転操作を停止させると、回転軸部34aの自由な回転が制限され、回転軸部34aに戻り方向の回転力が伝達されても、回転軸部34aが巻き戻り方向へ自由に回転できない状態となる。こうして、ボトムレール24の下限位置を上昇させて、ブラインドの高さ寸法を短くすることができる。
【0038】
回転軸部34aを反対方向に回転させると、筒部32aへの巻き付けが緩むため、ラダーコード14を外側から引っ張ることで、ホルダ30内からラダーコード14を引き出すことができて、ボトムレール24の下端位置を下降させて、ブラインドの高さ寸法を長くすることができる。
【0039】
尚、以上の例では、回転軸部34aの先端部34hの径方向寸法が、係止部34d及び筒部32aの径方向寸法に対してステップ的に変化するように小さくなっていたが、これに限るものではなく、漸次変化するように小さくすることも可能である。
【0040】
また、以上の例では、ラダーコード14をホルダ本体32の一部となる筒部32aに巻き付けるようにしていたが、これに限るものではない。筒部32aを省略して、調整部材34の回転軸部34a自身にラダーコード14を巻き付けるようにすることも可能である。この場合にも、回転軸部34aの先端部34hの径方向寸法を、回転軸部34aの他の部分となるラダーコード14が巻き付く部分の径方向寸法よりも小径とすることで、前述の実施形態と同様に作用させることができる。