(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5667858
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】足場用幅木
(51)【国際特許分類】
E04G 5/00 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
E04G5/00 301A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-278908(P2010-278908)
(22)【出願日】2010年12月15日
(65)【公開番号】特開2012-127099(P2012-127099A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390019688
【氏名又は名称】株式会社シンニッタン
(74)【代理人】
【識別番号】100102761
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 元也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 諭
(72)【発明者】
【氏名】江原 収
【審査官】
津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−083058(JP,A)
【文献】
特開2005−009126(JP,A)
【文献】
特開2010−216194(JP,A)
【文献】
特開2003−278719(JP,A)
【文献】
特開2006−045829(JP,A)
【文献】
実開昭62−099753(JP,U)
【文献】
特開2003−301603(JP,A)
【文献】
特開2006−161458(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3160446(JP,U)
【文献】
特開2006−169902(JP,A)
【文献】
特開2003−064867(JP,A)
【文献】
カナダ国特許出願公開第02385380(CA,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0189173(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0053486(US,A1)
【文献】
米国特許第03785602(US,A)
【文献】
英国特許出願公開第02226077(GB,A)
【文献】
特開2010−255332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要形態に組まれた建枠(A)に架設されている踏板(B)の側縁寄りに位置させて取り付けるための幅木本体(1)を有し、上記踏板(B)の側縁部と建枠(A)との間に形成される隙間を被うためのふさぎ板(5)を、当該幅木本体(1)と重なるような垂直状態から、踏板(B)側に倒した水平状態とするような転化を可能とするように、当該幅木本体(1)の下端部分に対して、所要数にして所要箇所に設けた枢支部(N)を介して起伏自在に取り付け、
当該枢支部(N)の構成として、幅木本体(1)の下端縁部(M)を、所要幅を具えかつ内方に突出する底板状水平板部(1b)と、これの先端から所要高さ直角に立ち上がる立上がり片(1c)とで形成し、ふさぎ板(5)の下端縁には、幅木本体(1)の前記底板状水平板部(1b)上に載置可能とする折曲げ片部(5a)を、直角に折曲げて形成し、当該直角に折曲げることによって形成される隅角部分には、L型を呈する案内用スリット孔(5b)を開設すると共に、当該スリット孔(5b)に対して遊嵌させるための枢軸(6)を、幅木本体(1)の下端縁部(M)の所要箇所に水平状に架設するようにしたことを特徴とする足場用幅木。
【請求項2】
幅木本体(1)における下端縁部(M)を形成する立上がり片(1c)の高さを、架設踏板(B)の高さとほぼ合致させるような寸法的設定を施し、また、ふさぎ板(5)の下端に形成する折曲げ片部(5a)の寸法的設定を、ふさぎ板(5)を水平状態に回転させた際に、当該ふさぎ板(5)は、その折曲げ片部(5a)の隅角位置部分において上記立上がり片(1c)の上端で受け止められると共に、当該折曲げ片部(5a)の端縁部分は幅木本体(1)がわの底板状水平板部(1b)よりやや浮かされた状態となるような寸法的設定を施すように構成した請求項1に記載の足場用幅木。
【請求項3】
幅木本体(1)における下端縁部(M)を形成する立上がり片(1c)の高さを、上記架設踏板(B)の高さとほぼ合致させるような寸法的設定を施し、幅木本体(1)の内面に重合した垂直状態にあるふさぎ板(5)を、水平状態に転移回転させた際に、当該ふさぎ板(5)は、その折曲げ片部(5a)が幅木本体(1)の内面に接触した状態で上記立上がり片(1c)の上端で受け止められるように構成した請求項1に記載の足場用幅木。
【請求項4】
ふさぎ板(5)の端縁に直角に形成されている折曲げ片部(5a)の両側部に、ふさぎ板(5)を水平状態に転移回転させた際に、先端部分が幅木本体(1)の内面に接触すると共に後端部分が幅木本体(1)に形成の立上がり片(1c)に接触させられた状態に位置させるためのスペーサー用段状折曲げ部5cを形成し、
当該スペーサー用段状折曲げ部5cの存在に基き、ふさぎ板(5)を水平状態に倒した際に、当該ふさぎ板(5)の折曲げ片部(5a)が幅木本体(1)の内面に接触する方向に押しやられるように構成した請求項3に記載の足場用幅木。
【請求項5】
幅木本体(1)の両端に取付け用支柱(2,3)を固設し、当該支柱(2,3)の下端には真円の4分の1の円弧状を呈する弧状縁(2a,3a)を形成し、当該取付け用支柱(2,3)間の寸法を、構築足場として組まれた各建枠(A)が踏板(B)の架設するために設けた対向寸法に合致させることによって、その下端に形成した弧状縁(2a,3a)部分が、当該建枠(A)の円形断面を具えた横桟(a)の半部円形上に載置されるように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の足場用幅木。
【請求項6】
構築足場を構成する建枠(A)に対する取付け手段として、取付け用支柱(2,3)の夫々の上端寄り背面側に、上端には幅木本体(1)の上縁に掛け止めて安定化させるための上端鈎杆部(4a)を形成する共に、下端には建枠(A)の支柱(b)に対して掛止め自在に抱持させるための下端鈎杆部(4b)を折曲げ形成した固定用フック(4)を昇降及び回転自在に取り付け、
当該固定用フック(4)は、これを引上げた状態で自由回転可能とされ、下端鈎杆部(4b)を建枠(A)の支柱(b)に対して抱持させた状態となるように回転させた後に引下げることに依って、上端鈎杆部(4a)を幅木本体(1)の上端縁にはさみ込みながら落とし込むことにより安定化させ、これにより、当該支柱(b)に対する抱持の固定化が図られるように構成した請求項1乃至請求項5の何れかに記載の足場用幅木。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構築された建築用足場に架設する踏板の両側部に対する安全性確保のために用いる足場用幅木に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物等の建築のために足場を形成するに際しては、所要数所定間隔を保って対向させた建枠の夫々の間に、足場用踏板を水平状態で架設することを通例とするものである。 ところで、このように架設した足場用踏板の両側部には、隙間的空間が生じてしまうため、当該空間に作業員の足を滑り込ませて怪我をしてしまうと言うような危険性が存在するばかりでなく、当該踏板上に置いておいた工具、部品等の不測の落下を招いてしまうというような事態が生じることとなる。
【0003】
このような問題を解決するための従来技術としては、踏板の両側部に立ち上がり状態で取り付けるための幅木を採用することが通例とされる。 そして、当該幅木としては、板状の独立部材、すなわち、踏板とは別体に形成された囲い板状の部材を建枠に取付けるように構成したもの(例えば、特許文献1参照。)がある。 そして、これは踏板の側縁に接触させた状態で取り付けるようにしたものと、建枠側に対して固定するように構成したものとが存在する。
【0004】
更に、踏板の側縁に対して幅木を起伏自在に連設するように構成したもの(例えば、特許文献2参照。)が存在する。
【0005】
【特許文献1】特開2006−169902号公報
【特許文献2】特開2003−064867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような板状の独立部材である幅木の場合、その取り付け作業の煩雑性が伴うばかりでなく、構築足場が高くなった場合、その取り付け作業には危険性が伴うことを余儀なくされた。
【0007】
更に、上述したような踏板の側縁に対して幅木を起伏自在に連設するように構成したものであると、幅木の組立ての簡易性、安全性は確保できるが、一般に建枠に踏板を架設した場合、建枠の側面と踏板の側縁との間に空間(隙間)が存在するため、当該幅木を踏板の側縁に連設したものであると、当該空間が無駄なスペースとなってしまい、必然、作業スペースは踏板上だけとされると言うような限定性が生じてしまうこととなる。
【0008】
本発明は、幅木自体は建枠側に取り付けると共に、当該建枠と踏板との間に生じる隙間部分は、当該幅木側に起伏自在に設けたふさぎ板を倒すことによって、踏板と同一平面的な作業用面として利用が図られるように構成し、もって、上述したような従来の問題の解決化を図った新規の幅木を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
削除
【0010】
本発明は
請求項1に記載のように、所要形態に組まれた建枠Aに架設されている踏板Bの側縁寄りに位置させて取り付けるための幅木本体1を有し、上記踏板Bの側縁部と建枠Aとの間に形成される隙間を被うためのふさぎ板5を、当該幅木本体1と重なるような垂直状態から、踏板B側に倒した水平状態とするような転化を可能とするように、当該幅木本体1の下端部分に対して、所要数にして所要箇所に設けた枢支部Nを介して起伏自在に取り付け、当該枢支部Nの構成として、幅木本体1の下端縁部Mを、所要幅を具えかつ内方に突出する底板状水平板部1bと、これの先端から所要高さ直角に立ち上がる立上がり片1c)で形成し、ふさぎ板5の下端縁には、幅木本体1の前記底板状水平板部1b上に載置可能とする折曲げ片部5aを、直角に折曲げて形成し、当該直角に折曲げることによって形成される隅角部分には、L型を呈する案内用スリット孔5bを開設すると共に、当該スリット孔5bに対して遊嵌させるための枢軸6を、幅木本体1の下端縁部Mの所要箇所に水平状に架設するようにしたことを特徴とする足場用幅木に係る。
【0011】
本発明は
請求項2に記載のように、幅木本体1における下端縁部Mを形成する立上がり片1cの高さを、架設踏板Bの高さとほぼ合致させるような寸法的設定を施し、また、ふさぎ板5の下端に形成する折曲げ片部5aの寸法的設定を、ふさぎ板5を水平状態に回転させた際に、当該ふさぎ板5は、その折曲げ片部5aの隅角位置部分において上記立上がり片1cの上端で受け止められると共に、当該折曲げ片部5aの端縁部分は幅木本体1がわの底板状水平板部1bよりやや浮かされた状態となるような寸法的設定を施すように構成した
請求項1に記載の足場用幅木を実施の態様とする。
【0012】
本発明は
請求項3に記載のように、幅木本体1における下端縁部Mを形成する立上がり片1cの高さを、上記架設踏板Bの高さとほぼ合致させるような寸法的設定を施し、幅木本体1の内面に重合した垂直状態にあるふさぎ板5を、水平状態に転移回転させた際に、当該ふさぎ板5は、その折曲げ片部5aが幅木本体1の内面に接触した状態で上記立上がり片1cの上端で受け止められるように構成した
請求項1に記載の足場用幅木を実施の態様とする。
【0013】
本発明は
請求項4に記載のように、ふさぎ板5の端縁に直角に形成されている折曲げ片部5aの両側部に、ふさぎ板5を水平状態に転移回転させた際に、先端部分が幅木本体1の内面に接触すると共に後端部分が幅木本体1に形成の立上がり片1cに接触させられた状態に位置させるためのスペーサー用段状折曲げ部5cを形成し、当該スペーサー用段状折曲げ部5cの存在に基き、ふさぎ板5を水平状態に倒した際に、当該ふさぎ板5の折曲げ片部5aが幅木本体1の内面に接触する方向に押しやられるように構成した
請求項3に記載の足場用幅木を実施の態様とする。
【0014】
本発明は
請求項5に記載のように、幅木本体1の両端に取付け用支柱2,3を固設し、当該支柱2,3の下端には真円の4分の1の円弧状を呈する弧状縁2a,3aを形成し、当該取付け用支柱2,3間の寸法を、構築足場として組まれた各建枠Aが踏板Bの架設するために設けた対向寸法に合致させることによって、その下端に形成した弧状縁2a,3a部分が、当該建枠Aの円形断面を具えた横桟aの半部円形上に載置されるように構成した
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の足場用幅木を実施の態様とする。
【0015】
本発明は
請求項6に記載のように、構築足場を構成する建枠Aに対する取付け手段として、取付け用支柱2,3の夫々の上端寄り背面側に、上端には幅木本体1の上縁に掛け止めて安定化させるための上端鈎杆部4aを形成する共に、下端には建枠Aの支柱bに対して掛止め自在に抱持させるための下端鈎杆部4bを折曲げ形成した固定用フック4を昇降及び回転自在に取り付け、当該固定用フック4は、これを引上げた状態で自由回転可能とされ、下端鈎杆部4bを建枠Aの支柱bに対して抱持させた状態となるように回転させた後に引下げることに依って、上端鈎杆部4aを幅木本体1の上端縁にはさみ込みながら落とし込むことにより安定化させ、これにより、当該支柱bに対する抱持の固定化が図られるように構成した
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の足場用幅木を実施の態様とする。
【発明の効果】
【0016】
削除
【0017】
削除
【0018】
本発明は
請求項1に記載したような構成、すなわち、所要形態に組まれた建枠Aに架設されている踏板Bの側縁寄りに位置させて取り付けるための幅木本体1を有し、上記踏板Bの側縁部と建枠Aとの間に形成される隙間を被うためのふさぎ板5を、当該幅木本体1と重なるような垂直状態から、踏板B側に倒した水平状態とするような転化を可能とするように、当該幅木本体1の下端部分に対して、所要数にして所要箇所に設けた枢支部Nを介して起伏自在に取り付け、当該枢支部Nの構成として、幅木本体1の下端縁部Mを、所要幅を具えかつ内方に突出する底板状水平板部1bと、これの先端から所要高さ直角に立ち上がる立上がり片1c)で形成し、ふさぎ板5の下端縁には、幅木本体1の前記底板状水平板部1b上に載置可能とする折曲げ片部5aを、直角に折曲げて形成し、当該直角に折曲げることによって形成される隅角部分には、L型を呈する案内用スリット孔5bを開設すると共に、当該スリット孔5bに対して遊嵌させるための枢軸6を、幅木本体1の下端縁部Mの所要箇所に水平状に架設するようにしたから、
架設された踏板Bに対する縁状側壁としての役割を果たすための幅木としての使用と同時に、架設に伴い形成される当該踏板Bの側縁と建枠Aとの間の隙間を、ふさぎ板5を介して塞ぐことができる。従って、踏板B上での作業員の安全性確保と、当該踏板上に乗せておいた工具、部品等が隙間から落下して重大事故を招いてしまうと言うような恐れがよく解消されることとなる。 そして、幅木本体1とふさぎ板5とは、折畳み状態にあっては重ねられた状態となるような起伏自在に構成したものであるため、その管理及び輸送に際するスペース的合理性が図られることとなる請求項1の場合と同様な作用効果を奏することとなる。
【0019】
更に、枢支部Nの構成を上記のような形態と成したことにより、ふさぎ板5の起伏作動が極めて安定して行われることとなると共に、下記する
請求項2の構成に基く作用効果を得ることが、このような枢支部Nの採用に基き達成化されることとなる。
【0020】
本発明は
請求項2に記載のような構成、すなわち、幅木本体1における下端縁部Mを形成する立上がり片1cの高さを、架設踏板Bの高さとほぼ合致させるような寸法的設定を施し、また、ふさぎ板5の下端に形成する折曲げ片部5aの寸法的設定を、ふさぎ板5を水平状態に回転させた際に、当該ふさぎ板5は、その折曲げ片部5aの隅角位置部分において上記立上がり片1cの上端で受け止められると共に、当該折曲げ片部5aの端縁部分は幅木本体1がわの底板状水平板部1bよりやや浮かされた状態となるような寸法的設定を施すように構成したから、ふさぎ板5を踏板Bと水平状態とするような倒伏作動が円滑に行われることとなる。
【0021】
同時に、ふさぎ板5はその全長に亙って幅木本体1の下端縁部Mで受け止められることとなる。 従って、例えば両端寄り等のような部分的な支持(架設的な支持)に依存した場合に比して、極めて強度的に優れた支持形態とされ、当該ふさぎ板5上に大きな荷重が加わってもこれが反ってしまう等の変形が生じてしまう恐れを解消することとなる。 換言すれば、当該ふさぎ板5の上も踏板Bと同様な強度性を持たせることが出来るから、当該ふさぎ板5を含めることにより作業員による作業用スペースの拡大化というような作用効果を奏することとなる。
【0022】
本発明は
請求項3に記載のような構成、すなわち、幅木本体1における下端縁部Mを形成する立上がり片1cの高さを、上記架設踏板Bの高さとほぼ合致させるような寸法的設定を施し、幅木本体1の内面に重合した垂直状態にあるふさぎ板5を、水平状態に転移回転させた際に、当該ふさぎ板5は、その折曲げ片部5aが幅木本体1の内面に接触した状態で上記立上がり片1cの上端で受け止められるように構成したから、ふさぎ板5に掛かる荷重は、折曲げ片部5aと幅木本体1の内面との接触部分においても受けられることとなる。 従って、
図8に示すように、ふさぎ板5に掛かる荷重が立上がり片1cだけに掛かることに基き、当該立上がり片1cに連なる底板状水平板部1bに反りが生じてしまうと言う様な問題発生、並びに、当該反り発生に基きふさぎ板5の線端縁と架設踏板Bの重なり部分がずれてしまうことに依る当該ふさぎ板5の撓み発生、そして、これに基く最悪の場合の脱落発生、と言うような問題を未然に防止することとなる。
【0023】
本発明は
請求項4に記載のような構成、すなわち、ふさぎ板5の端縁に直角に形成されている折曲げ片部5aの両側部に、ふさぎ板5を水平状態に転移回転させた際に、先端部分が幅木本体1の内面に接触すると共に後端部分が幅木本体1に形成の立上がり片1cに接触させられた状態に位置させるためのスペーサー用段状折曲げ部5cを形成し、当該スペーサー用段状折曲げ部5cの存在に基き、ふさぎ板5を水平状態に倒した際に、当該ふさぎ板5の折曲げ片部5aが幅木本体1の内面に接触する方向に押しやられるように構成したから、当該ふさぎ板5の幅木本体1の内面に対する接触するようなスライド作用が自動的に達成される。 同時にこのような状態での安定化が図られることと成り、ふさぎ板5が踏板B側に対する不測の摺動、すなわち、
図4に示す状態への摺動発生というような事態を未然に阻止し、ふさぎ板5の安定化が図られる。
【0024】
本発明は
請求項5に記載のような構成、すなわち、幅木本体1の両端に取付け用支柱2,3を固設し、当該支柱2,3の下端には真円の4分の1の円弧状を呈する弧状縁2a,3aを形成し、当該取付け用支柱2,3間の寸法を、構築足場として組まれた各建枠Aが踏板Bの架設するために設けた対向寸法に合致させることによって、その下端に形成した弧状縁2a,3a部分が、当該建枠Aの円形断面を具えた横桟aの半部円形上に載置されるように構成したから、各建枠Aの横桟aに対して連続的(一直線状)に幅木本体1を取付ける場合、一本の横桟a上には対向する幅木のものである二つの取付け用支柱2及び3が位置することとなるが、上記のような、「真円の4分の1の円弧状を呈する弧状縁2a,3aの形成」に基き両支柱は重なることなく、すなわち、一方の幅木本体に対する架設のための支柱の載置が、他方の幅木本体の架設のための支柱の載置を妨げるようなことなく、これを一直線状に取付けることが可能化される。
【0025】
本発明は
請求項6に記載のような構成、すなわち、構築足場を構成する建枠Aに対する取付け手段として、取付け用支柱2,3の夫々の上端寄り背面側に、上端には幅木本体1の上縁に掛け止めて安定化させるための上端鈎杆部4aを形成する共に、下端には建枠Aの支柱bに対して掛止め自在に抱持させるための下端鈎杆部4bを折曲げ形成した固定用フック4を昇降及び回転自在に取り付け、当該固定用フック4は、これを引上げた状態で自由回転可能とされ、下端鈎杆部4bを建枠Aの支柱bに対して抱持させた状態となるように回転させた後に引下げることに依って、上端鈎杆部4aを幅木本体1の上端縁にはさみ込みながら落とし込むことにより安定化させ、これにより、当該支柱に対する抱持の固定化が図られるように構成したから、本発明に係る足場用幅木の建枠に対する取付けは、建枠の横桟a上に支柱2,3を乗せた状態において、固定用フック4の引き上げ、回転、降下と言うような、単なる掛止め操作を行うだけで達成されることとなる。 従って、工具を用いた締め付け作業等を要するようにした場合に比して、極めて簡便に取付け目的が達成されるため、作業の迅速性が図られると同時に、作業上の危険性の排除にも貢献することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1及び
図2は本発明に係る足場用幅木を表したものであって、
図1は折畳み状態にある本発明に係る足場用幅木を表し、
図2はこれをL字状に開いた状態(使用状態)を表したものである。 そして、本発明に係る幅木は
図6に示すように、所要形態に組まれた建枠Aに対して、架設されている踏板Bの側縁寄り部分に立てた状態で取り付けることにより、幅木としての役割を果たすと同時に、当該踏板Bの側縁部と建枠Aとの間に形成される隙間を被うことができるように構成したことを特徴とする。
【0027】
図に於いて、1は幅木本体であって、主として金属板材で形成したものであり、その両端には取付け用支柱2,3が固設してある。 2a,3aは当該支柱2,3の下端に形成した弧状縁(真円の4分の1の円弧状縁)であって、建枠Aの横桟a(丸棒材で形成されている。)に対する載置の安定化を図るためのものである。(
図6参照)
【0028】
ところで、当該弧状縁2a,3aの載置形態であるが、これは断面円形(真円)を呈する横桟aの当該断面形状の上面半分を越えないように構成することが重要である。 何故ならば、当該横桟aは本発明品(幅木本体)を一直線状に連続させて架設するものであるため、すなわち、一本の横桟a上には二つの本発明品の架設が一直線状になされる関係上、一方の幅木本体に対する架設のための支柱の載置が、他方の幅木本体の架設のための支柱の載置を妨げないようにすることが重要とされる。(そのために弧状縁2a,3aを、真円の4分の1の円弧状縁としてある)
【0029】
そして、上記した取付け用支柱2,3間の寸法は、構築足場として組まれた建枠Aの対向寸法に合致させることによって、その下端に形成した弧状縁2a,3a部分が、当該建枠Aの円形断面を具えた横桟aの半部円形上に載置されるように構成してある。 なお、対向する建枠A,Aの当該横桟a,a間には踏板Bが架設されるものであり、 従って、上記取付け用支柱2,3を当該横桟a,aに載置することに依って、幅木本体1は当該踏板Bの側縁部に沿った状態で架設されることとなる。(
図5乃至
図7参照)
【0030】
4は取付け用支柱2,3の夫々の上端寄り背面側に昇降及び回転自在に取り付けた固定用フックであって、上端には、幅木本体1の上縁に掛け止めて安定化させるための上端鈎杆部4aを形成する共に、下端には、建枠Aの支柱bに対して掛止め自在に抱持させるための下端鈎杆部4bが折曲げ形成してある。(
図6参照) そして、当該固定用フック4はこれを引上げた状態では自由回転可能とされると共に、下端鈎杆部4bを建枠Aの支柱bに対して抱持させた状態となるように回動させた後、この状態で引下げることに依って、上端鈎杆部4aを幅木本体1の上端縁にはさみ込みながら落とし込むことにより安定化させる。 これにより、当該抱持の固定化が図られるように構成してある。(
図5および
図6に示す状態)。 4cは当該固定用フック4を昇降かつ回転自在に支持するための支持金具である。
【0031】
ところで、上述した幅木本体1の上端縁1aであるが、これは直角の鈎状に折り返すことにより(水平頂面と、折り返し垂下片縁とを折曲形成することにより)、板材としての強度増加と、上記した上端鈎杆部4aを、当該上端縁1aにはさみ込みながら落とし込むことにより安定化の確保が成されるように構成してある。
【0032】
更に、当該幅木本体1の板面であるが、これは適宜の凹凸をプレス成形することにより(図示の実施例にあっては段状凹凸面が形成してある。)、板材としての強度性向上化が図られるように構成してある。
【0033】
そして、当該幅木本体1の下端縁部Mであるが、これは所要幅を具えかつ内方に突出する底板状水平板部1bと、これの先端から所要高さ直角に立ち上がる立上がり片1cとから成るものである。 そしてこれは、全体として直角の鈎状を呈し、当該下端縁部Mは幅木本体1の下縁部分に対する補強的作用を奏させると同時に、下記するふさぎ板5に対する起伏自在の取り付け用部材として機能するように構成してある。
【0034】
5はふさぎ板であって幅木本体1の下端縁に対して、後述するような形態で起伏自在に取り付けてある。 そして、当該ふさぎ板5は、これを垂直状態(幅木本体1と重ねた状態)において折畳み状態とし、これを水平に倒した際に、その先端寄り部分が建枠Aに架設されている踏板Bの側縁部分に所要幅(
図5に示す重なり幅W)だけ重ね合わせることにより、踏板Bの側縁部と建枠Aとの間に形成される隙間が被われることとなる。 なお、当該ふさぎ板5の表面には板面補強及び滑り止めのための凹凸模様をプレス成形することによって、安全性の向上化が図られている。
【0035】
上記したふさぎ板5の取り付け形態であるが、当該ふさぎ板5の下端縁部分を、幅木本体1の下端縁部Mに対して、所要箇所(図示の実施例にあっては前後両端寄りと中央部分との三箇所)設けた枢支部Nを介して倒伏自在に連結してある。
【0036】
上記した枢支部Nであるが、これは下記のような構成を有するものである。
図3に示すように、ふさぎ板5の下端縁には、幅木本体1の下端縁部Mを構成する底板状水平板部1b上に載置可能とする折曲げ片部5aを直角に折曲げ形成する。 そして、当該形成部分の隅角部分にはL型を呈する案内用スリット孔5bを開設する。 そして、当該スリット孔5bに対して遊嵌(緩めの貫通)させるための枢軸6を、幅木本体1の下端縁部Mの所要箇所に水平状に架設する。
【0037】
上記のように形成された枢支部Nは、
図3に示すようにふさぎ板5を幅木本体1の内面に重ね合わせた状態、すなわち、折畳み状態にあっては、枢軸6はL型を呈する案内用スリット孔5bのふさぎ板5の下端寄り板面に開設されているスリット部分に位置することによって、当該折畳み状態化が許容される。 そして、当該ふさぎ板5を水平状態となるように倒した場合は、当該枢軸6はスリット孔5bの折曲げ片部5aに穿設された部分、すなわち、折畳み状態において遊嵌していた部分から、
図4に示すように直角に位置する部分に相対的移動が成されることとなる。 ふさぎ板5の再度の折りたたみは、上記の逆作動に基き行われる。
【0038】
枢支部Nは上記のような構成を有し、そして、上記のような作動に基き、幅木本体1に対するふさぎ板5の上述したような起伏作動の許容化が図られるようになっている。 そして、当該枢支部Nの形成箇所は、図示のような3箇所以外、適宜な複数箇所に設けても良い。
【0039】
ところで、ふさぎ板5の上記のような倒伏状態にあっては、建枠に架設されている踏板B上に水平状態で重なるようにすることが重要である。 そのためには、幅木本体1における下端縁部Mを形成する立上がり片1cの高さを、上記架設踏板Bの高さと合致させるような寸法的設定を行っておく必要がある。
【0040】
更に、ふさぎ板5の下端に形成する折曲げ片部5aの寸法を、ふさぎ板5を水平状態に回転させた際に、当該折曲げ片部5aの折曲げ隅角部が、幅木本体1がわの立ち上がり片1c上に乗せられた状態となるような寸法的設定を行うことにより、水平状態にあるふさぎ板5は、先端側は踏板B上面に対する重合に基く安定化が図られ、かつ基端側はその折曲げ隅角部が、幅木本体1がわの立ち上がり片1cの端縁上に対する載置(受け止め)に基きその全長に亙っての安定化が図られることと成る。 従って、ふさぎ板5による隙間閉塞は強度的に極めて安定した状態で行われることとなる。
【0041】
換言すると、幅木本体1の立ち上がり片1cの寸法を、ふさぎ板5の折曲げ片部5aの寸法より長くするような寸法的設定を施すことにより、
図2及び
図4に示すように、ふさぎ板5その全長に亙って幅木本体1の下端縁部M(立ち上がり片1cの端縁上)による支持状態におかれるため、これを例えば両端寄り等、部分的な支持(架設的な支持)の場合に比して、極めて強度的に優れた支持形態とされると同時に、上記寸法的設定に基づき、ふさぎ板5の起伏運動の回動性が、幅木本体1の下端縁部M内に引っ掛かったりするような回転性阻害が生じることなく達成される。
【0042】
図7は構築された足場の全体を表したものであって、図示の実施例にあっては、本発明に係る足場用幅木は、2列状に架設されている踏板Bの左右の両方の側縁部分に取り付けることによって、当該踏板上での作業員の安全性確保が図られている。
【0043】
なお、上記したような実施例の場合、
図8に示すように、ふさぎ板5上に加わる荷重は、すべて立上がり片1cの上端で受け止めるため、テコの原理に基き当該立上がり片1cに連なる底板状水平板部1bを反らせてしまう、と言うような事態が生じた場合、当該反り発生に基きふさぎ板5が傾いて踏板Bに対する重なり部分にズレが生じたり、極端な場合は当該ふさぎ板5が撓んで、当該踏板Bから外れてしまうと言うようなことが想定される。 勿論これは通常の使用に於いては起こり得ないと考えられるが、例えば、想定以上の荷重がふさぎ板5に加わった場合、或いは、構成する板材が通常より肉薄のものを用いた場合等に想定されるものである。
【0044】
上記したような想定に基く問題の解決化を図り、より一層の強度的向上化を図ったものが、
図9乃至
図12図に示す第2実施例である。
【0045】
すなわち、第2実施例は、
図9に示すように、幅木本体1の内面に重合した垂直状態にあるふさぎ板5を水平状態に転移回転させた際に、
図10に示すように、当該ふさぎ板5は、その折曲げ片部5aが幅木本体1の内面に接触した状態で上記立上がり片1cの上端で受け止められるように構成したものである。
【0046】
これにより、水平状態にあるふさぎ板5は、その折曲げ片部5aが幅木本体1の内面に接触した状態で上記立上がり片1cの上端で受け止められることとなるため、当該幅木本体1の内面に対する接触に基く安定性が図られ、従って、立上がり片1cに対する過荷重性が緩和されることとなる。同時に、ふさぎ板5が水平方向にズレ動くことが防止されるため、踏板Bに対する重ね部分にズレが生じて、これから離脱してしまうと言うような心配も解消されることとなる。
【0047】
図11及び
図12はふさぎ板5の折曲げ片部5aが幅木本体1の内面に接触した状態で安定させるための構成を示したものである。 すなわち、第2実施例の場合は、
図12に示すように、ふさぎ板5の両端にスペーサー用段状折曲げ部5cをプレス成形等に基き一体的に形成しておき、当該ふさぎ板5を
図11に示すように水平状態に開いた際、当該スペーサー用段状折曲げ部5cが、幅木本体1の内面と立上がり片1cの間に入り込んでスペーサーとしての役割を果たすように構成してある。
【0048】
このような構成の採用に基づき(スペーサー用段状折曲げ部5cの存在に基づき)、ふさぎ板5は水平方向への移動が阻止された状態、換言すれば、当該ふさぎ板5の折曲げ片部5aが幅木本体1の内面に対する接触状態に保たれるように構成してある。
【0049】
なお、上記したスペーサー用段状折曲げ部5cの形成箇所であるが、通常はふさぎ板5の両端部に形成するものであるが、場合によっては、当該ふさぎ板5の中央等所要箇所に複数、又は、全体に設けるように構成しても良い。
【0050】
第2実施例は上記のような構成の採用に基づき、第1実施例において強いて想定される既述したような強度的問題点の解消化が図られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】折畳み状態を表した本発明に係る足場用幅木の第1実施例を表した斜視図である。
【
図2】ふさぎ板を開いた状態にある本発明に係る足場用幅木の第1実施例を表した斜視図である。
【
図3】折畳み状態にある本発明の要部を表したものであって、
図1におけるY−Y線拡大断面図である。
【
図4】開き状態にある本発明の要部を表したものであって、
図2におけるZ−Z線拡大断面図である。
【
図5】構築足場に対する本発明の取付け用部分の正面側を表した斜視図である。
【
図6】構築足場に対する本発明の取付け用部分の背面側を表した斜視図である。
【
図7】構築足場に対する本発明の使用状態の一例を表した斜視図である。
【
図8】本発明における第1実施例において想定される問題点を表した説明用断面図である。
【
図9】前記
図3に該当する部分の第2実施例を表した断面図である。
【
図10】前記
図4に該当する部分の第2実施例を表した断面図である。
【
図12】第2実施例で用いるふさぎ板5に形成したスペーサー用段状折曲げ部5c部分を表した斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 幅木本体
1a 上端縁
M 下端縁部
1b 底板状水平板部
1c 立上がり片
2 取付け用支柱
2a 弧状縁
3 取付け用支柱
3a 弧状縁
A 建枠
a 横桟
b 支柱
B 踏板
4 固定用フック
4a 上端鈎杆部
4b 下端鈎杆部
4c 支持金具
5 ふさぎ板
N 枢支部
5a 折曲げ片部
5b 案内用スリット孔
5c スペーサー用段状折曲げ部
6 枢軸
W 重なり幅