(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から4のいずれかに記載の粉末固形化粧料において、さらに有機変性粘土鉱物を、前記アミド混合物との合計量として1.0〜15質量%含有することを特徴とする粉末固形化粧料。
請求項6に記載の粉末固形化粧料において、前記フッ素化合物が、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシランであることを特徴とする粉末固形化粧料。
請求項8に記載の製造方法において、前記回転翼対向型混合装置における第1回転翼及び第2回転翼を互いに反対方向に回転させて用いることを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
請求項8から10のいずれかに記載の製造方法において、粉末成分として、球状ポリ(メタ)アクリレート粒子を1〜20質量%配合することを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
請求項8から12のいずれかに記載の製造方法において、さらに有機変性粘土鉱物を、前記アミド混合物との合計量として1.0〜15質量%配合することを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
請求項8から13のいずれかに記載の製造方法において、粉末成分として、フッ素化合物処理粉末を5〜97質量%配合することを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
請求項14に記載の製造方法において、前記フッ素化合物が、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシランであることを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
請求項16から19のいずれかに記載の製造方法において、粉末成分として、球状ポリ(メタ)アクリレート粒子を1〜20質量%含有することを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
請求項16から21のいずれかに記載の製造方法において、さらに有機変性粘土鉱物を、前記アミド混合物との合計量として1.0〜15質量%配合することを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
請求項16から22のいずれかに記載の製造方法において、粉末成分として、フッ素化合物処理粉末を5〜97質量%配合することを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
請求項16から22のいずれかに記載の製造方法において、前記スラリー調製工程の際に、さらにフッ素化合物を0.1〜10質量%配合することを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
請求項23又は24に記載の製造方法において、前記フッ素化合物が、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシランであることを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明にかかる好適な実施形態について説明する。
【0020】
アミド混合物
本発明の粉末固形化粧料に用いられるアミド混合物は、ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンとの混合物と水添ヒマシ油脂肪酸とを用い、常法によりアミド化反応を行なって得られる組成物である。前記アミド混合物を処方中に配合することによって、ヨレ・テカリ防止効果に優れた化粧持ちの良好な粉末固形化粧料が得られる。
ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンとの混合比は、特に限定されるものではないが、通常、モル比で1:9〜9:1の範囲である。また、上記アミド混合物を構成するアミドについては、INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)によって、”HEXAMETHYLENE BIS−HYDROXYSTEARAMIDE(ヘキサメチレンジアミンを水添ヒマシ油脂肪酸でアミド化したアミド)”、及び”DIMETHYLENECYCLOHEXANE BIS−HYDROXYSTEARAMIDE(ビスアミノメチルシクロヘキサンを水添ヒマシ油脂肪酸でアミド化したアミド)”の名称として、それぞれ登録されているものである(なお、水添ヒマシ油脂肪酸はその約90%がヒドロキシステアリン酸よりなる)。
【0021】
本発明の粉末固形化粧料において、前記アミド混合物の配合量は、化粧料全量に対して1.0〜15質量%が好適である。前記アミド混合物の配合量が1.0質量%未満であると、ヨレ・テカリの改善効果が十分に得られない場合があり、一方で15質量%を超えると、使用性に劣る傾向にある。より好ましくは、前記アミド混合物の配合量は、化粧料全量に対して2〜10質量%である。
【0022】
粉末成分
本発明に用いられる粉末成分としては、化粧料等において一般的に用いられ得るものであれば特に限定されるものではない。例えば、タルク、カオリン、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、焼成タルク、焼成セリサイト、焼成白雲母、焼成金雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、窒化ホウ素、フォトクロミック性酸化チタン(酸化鉄を焼結した二酸化チタン、)、還元亜鉛華;有機粉末(例えば、シリコーンエラストマー粉末、シリコーン粉末、シリコーンレジン被覆シリコーンエラストマー粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、低次酸化チタン被覆雲母チタン、フォトクロミック性を有する雲母チタン、基板として雲母の代わりタルク、ガラス、合成フッ素金雲母、シリカ、オキシ塩化ビスマスなどを使用したもの、被覆物として酸化チタン以外に、低次性酸化チタン、着色酸化チタン、酸化鉄、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化コバルト、アルミなどを被覆したもの、機能性パール顔料として、パール顔料表面に樹脂粒子を被覆したもの(特開平11−92688)、パール顔料表面に水酸化アルミニウム粒子を被覆したもの(特開2002−146238)、パール顔料表面に酸化亜鉛粒子を被覆したもの(特開2003−261421)、パール顔料表面に硫酸バリウム粒子を被覆したもの(特開2003−61229)等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。
【0023】
球状ポリ(メタ)アクリレート粒子
本発明の粉末固形化粧料においては、前記粉末成分として、球状ポリ(メタ)アクリレート粒子を、化粧料全量に対して1〜20質量%含有することが好ましい。球状ポリ(メタ)アクリレート粒子を配合することで、経時でのテカリの発生をさらに低減することができる。また、球状ポリ(メタ)アクリレート粒子の配合量は、より好ましくは1〜10質量%である。
なお、前記球状ポリ(メタ)アクリレート粒子としては、内部及び表面に空孔を有し、平均粒子径が3〜20μm、比表面積が80〜180m
2/g、最多空孔径が180Å以上である、多孔質の球状ポリ(メタ)アクリレート粒子を使用することが好ましい。
【0024】
本発明に使用される前記球状ポリ(メタ)アクリレート粒子は、例えば、内部及び表面に複数の空孔を有する球状のポリマー粒子から構成され、(メタ)アクリレートエステル系モノマーから選ばれる1種以上を含むモノマー混合物を重合開始剤及び多孔質化剤の存在下においてラジカル重合させることによって得られる。該粒子は、懸濁重合、乳化重合、ソープフリー重合等、一般的な球状ポリマー合成方法により製造することが可能であるが、本発明においては、特に以下に記載する懸濁重合法により製造することが好ましい。
本発明に用いられる球状ポリ(メタ)アクリレート粒子は、公知の懸濁重合法において、アクリレートエステル系モノマー及びメタクリレートエステル系モノマー(以下、総称して「(メタ)アクリレートエステル系モノマー」という)から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含有するモノマー相用混和物と、水とを用いて製造することができる。
【0025】
前記モノマー相用混和物には、内部に水が分散されつつ重合されて内部及び表面に複数の空孔を有するポリマー粒子となる(メタ)アクリレート系モノマーと、該(メタ)アクリレート系モノマーの重合を促進する重合開始剤と、前記(メタ)アクリレートエステル系モノマー中に前記水を分散させる櫛型高分子とが配合される。
【0026】
前記(メタ)アクリレートエステル系モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−クロルエチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチル−α−クロルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−クロルエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、などのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸などが挙げられ、これらを単独または2種以上を混合して用いることができる。本発明においては、特にメチルメタクリレートをモノマーとして用い、球状ポリメチルメタクリレート(PMMA)とすることが好ましい。
【0027】
また、前記(メタ)アクリレートエステル系モノマーの重合を促進させる重合開始剤として、一般に(メタ)アクリレートエステル系モノマーの懸濁重合に用いられる重合開始剤を用いることができ、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートなどが挙げられ、これらを単独または2種以上を混合して用いることができる。
なお、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロにトリル)は、モノマーに溶解し易く取扱いが容易である点において好適である。
また、前記重合開始剤の配合量は、使用するモノマーにもよるが、通常、モノマー100質量部に対して0.01〜1.00質量部である。
【0028】
前記櫛型高分子は、線状側鎖が出ている三叉分岐点を主鎖に数多く有し、通常、2000〜100000の重量平均分子量を備えている。
前記櫛型高分子としては、分子内に親水性部と疎水性部とを有するものであれば特に限定されるものではないが、モノマー中に分散させた水を粒状に安定させやすい点から、親水性部を備えた主鎖に、疎水性部を構成する複数の側鎖がグラフト結合している櫛型高分子が好適であり、例えば、1個以上のポリ(カルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ)鎖を有し、各鎖が3〜80個のカルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ基を有し、且つアミドまたは塩架橋基によってポリ(エチレンイミン)に結合されているポリ(エチレンイミン)、またはその酸塩やポリ(低級アルキレン)イミンと遊離カルボン酸基を有するポリエステルとの反応生成物よりなり、各ポリ(低級アルキレン)イミン鎖に少なくとも2つ以上のポリエステル鎖が結合されたものを用いることができる。このような櫛型高分子としては、例えば、英国LUBRIZOL社から市販されている「SOLSPERSE」シリーズを用いることができる。
【0029】
前記櫛型高分子材料は、酸価20〜80のものが好ましい。酸価が20未満であるとポリマー粒子の内部及び表面に複数の空孔が形成されないことがあり、80を超えると重合が不安定となり、ポリマーが粒子状物として得られないことがある。なお、前記酸価はJIS K 0070に基づき、前記櫛型高分子1gに含まれる遊離カルボン酸を中和するのに要するKOHのmg数として測定することができる。
【0030】
前記櫛型高分子材料の配合量は、モノマー100質量部に対して0.01〜3.00質量部が好適である。前記配合量が0.01質量部未満であると、ポリマー粒子の内部及び表面に複数の空孔が形成されないことがあり、3質量部を超えて配合しても配合量に見合う空孔形成効果(空孔の形成させ易さ)が得られないばかりか、ポリマーの純度を低下させてポリマーの特性を損なう恐れがある。
【0031】
また、前記モノマー相用混和物には、上記以外にも前記モノマーの架橋剤や、他のモノマーあるいはオリゴマーなどを発明の効果を妨げない範囲で加えることができる。
このような架橋剤としては、重合性の二重結合を2個以上有するもの、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンおよびそれらの誘導体などの芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールトリアクリレート、鳥目地ロールプロパントリアクリレートなどのジエチレン性カルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルファイトなどのジビニル化合物ならびにビニル基を3個以上有する化合物などを単独または2種以上混合して用いることができる。
また、他のモノマーあるいはオリゴマーとしては、スチレン及びその誘導体、酪酸ビニルなどのビニルエステル類を用いることができる。
【0032】
前記モノマー相用混和物を分散させる水には、分散安定剤や水系媒体用の界面活性剤を配合することができる。
前記分散安定剤としては、一般にポリマーの懸濁重合に用いられる分散安定剤を用いることができ、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカなどの難水溶性無機塩を用いることができる。特に、重合後のポリマーから容易に除去することができ、ポリマー粒子を狭い粒度分布で重合させ得る点で、常温の水に対する溶解度が3mg以下程度の難水溶性無機塩が好ましく、さらには溶解度2.5mgの第三リン酸カルシウムが好適である。
前記分散安定剤は、通常、得られるポリマー粒子100質量部に対し0.1〜20.0質量部の割合で水に配合される。
【0033】
前記水系媒体用界面活性剤としては、一般にポリマーの懸濁重合に用いられる水系媒体用界面活性剤を用いることができ、ポリマー粒子を狭い粒度分布で重合させ得る点で、特ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ジエチルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤が特に好ましく、通常、水に対し0.005〜0.3質量%の濃度で配合される。
【0034】
次に、球状ポリ(メタ)アクリレート粒子の具体的な製造方法について説明する。
前記モノマー相用混和物と水とをそれぞれ別容器にて所定配合量に調整し混合する。すなわち、一方でモノマー相用混和物として、(メタ)アクリレート系モノマー、櫛型高分子、重合開始剤、架橋剤、その他のモノマー、オリゴマーなどを所定の割合で混合撹拌する。この時用いる混合撹拌手段としては、一般的なミキサー、ホモジナイザーを用いることができるが、全体的に均一となるような混合撹拌手段を採用することが好ましい。また、混合撹拌によりモノマー相用混和物の温度が上昇し、(メタ)アクリレートエステル系モノマーの重合が開始する恐れのある場合には、冷却手段などを用いて温度上昇を抑制しつつ混合撹拌することが好ましい。
【0035】
また、他方で、水相用材料として水に分散安定剤、水系媒体用界面活性剤を所定の割合で加え、混合撹拌する。このときも用いる混合撹拌手段として、一般的なミキサー、ホモジナイザーを用いることができ、全体的に均一となるような混合撹拌手段を採用することが好ましい。
【0036】
その後、上記のごとく調整された水に、前記モノマー相用混和物を注入しホモジナイザーなどで混合撹拌し、懸濁液(水相/モノマー相/水相エマルジョン)とする。このとき、撹拌手段としてホモジナイザーを用いることで撹拌時間、回転数などの撹拌条件を変化させることで、モノマー相の粒子サイズ、すなわち、内部及び表面に複数の空孔を有するポリマー粒子の粒子サイズを容易に調整することができる。
本発明に使用する球状ポリ(メタ)アクリレート粒子の製造においては、前記粒子サイズを平均粒子径が3〜20μmとなるように調整することが望ましい。前記平均粒子径が3μmに満たないと、該粒子を化粧料へ配合した際に十分な皮脂吸収性が発揮されず、優れた化粧もちが得られないことがあり、前記平均粒子径が20μmを超えると、配合化粧料の使用感触が低下する傾向にある。
【0037】
前記懸濁液をオートクレーブなどの加温装置に導入し、撹拌しつつ、加温してモノマー相の重合を行なう。このようにして得られた重合物をろ過し、該ろ過物を水洗の後乾燥して内部及び表面に複数の空孔を有する球状ポリ(メタ)アクリレート粒子を得ることができる。
また、要すれば、水洗前に前記分散安定剤を除去する工程を行うこともできる。
【0038】
このようにして得られる球状ポリ(メタ)アクリレート粒子は、混合によってモノマー相に微分散された櫛型高分子を鋳型とした空孔が、粒子内部及び表面に複数形成されたものとなる。
本発明に使用する球状ポリ(メタ)アクリレート粒子の製造においては、ポリマー粒子の内部及び表面に複数の空孔を形成させる(多孔質化)材料として、上記した櫛型高分子のほか、ポロゲンととして知られる公知の材料を用いることも可能である。ポロゲンとしては、例えば、トルエン、イソオクタン、メチルイソブチルケトン、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、各種直鎖状ポリマーなどが挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。また、当然のことながら、球状ポリ(メタ)アクリレート粒子の製造方法は、前述の方法にかかわらず、使用する多孔質化材料に応じて適宜変更することが可能である。
【0039】
また、球状ポリ(メタ)アクリレート粒子の内部及び表面の空孔の孔径や形状、該粒子の比表面積は、多孔質化材料の種類に応じ公知の手段で調整することができる。すなわち、球状ポリ(メタ)アクリレート粒子の空孔の孔径及び比表面積の調整は、多孔質化材料のポリマー粒子合成工程に対する適用方法(撹拌条件を含む)や適用量などを、使用する材料の特性に応じて適宜選択することによって行ない得る。
本発明においては、特に、粒子の比表面積が80〜180m
2/gとなるように形成された球状ポリ(メタ)アクリレート粒子が好適に用いられる。
前記比表面積が80m
2/gに満たないと、空孔による皮脂吸収効果が十分でなく、優れた化粧もちが得られない場合がある。一方で、比表面積が180m
2/mを超えると、空孔が密になりすぎてポリマー粒子自体の皮脂吸収容量が低下するほか、使用性が悪くなる場合がある。
【0040】
また、本発明に使用する球状ポリ(メタ)アクリレート粒子において、該粒子内部及び表面の空孔の最多空孔径は、180Å以上であることが好ましい。最多空孔径が180Å以上であると、粒子の吸油量(皮脂成分であるオレイン酸)は100〜300ml/100gにも及び、皮脂による化粧崩れを大幅に防ぐことが可能となる。最多空孔径が180Åに満たないと、空孔が小さいため吸油効率及び吸油量が低下し、十分な化粧もち効果が得られないことがある。
なお、前記最多空孔径は、特に上限はないが、粒子の強度や化粧料配合時の使用感触などを考慮するならば、180〜400Å程度とすることが好ましい。
【0041】
本発明において、内部及び表面の空孔を有する球状ポリ(メタ)アクリレート粒子は、上記の粒子径及び比表面積を有するものであれば市販の粉体を使用してもよい。このような粉体として、例えば、積水化成品工業株式会社製の「テクポリマーMBP−8HP」を好適に用いることができる。
【0042】
フッ素化合物処理粉末
本発明に用いられる粉末成分は、表面未処理のものを用いてもよく、あるいはシリコーンやフッ素化合物、脂肪酸セッケン等によって表面処理を施したものを用いてもよいが、特にフッ素化合物によって表面処理した粉末成分を配合することが好ましい。
フッ素化合物処理粉末を粉末固形化粧料中に配合することで、撥水・撥油性が付与され、汗や皮脂によって溶けにくくなる。
【0043】
粉末表面に処理されるフッ素化合物としては、例えば、ペルフルオロアルキルリン酸エステル・ジエタノールアミン塩、ペルフルオロアルキルシラン、ペルフルオロアルキルエチルアクリレート等、ペルフルオロポリエーテルジアルキルリン酸およびその塩、ペルフルオロポリエーテルジアルキル硫酸塩およびその塩、ペルフルオロポリエーテルジアルキルカルボン酸及びその塩等のペルフルオロポリエーテル基を有する化合物が挙げられる。特に、分子中にCF
2−、CF
3−、CF
3CF
2−、CF
2CF
2−のいずれかのパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物であることが好適である。
【0044】
フッ素化合物としては、特に下記一般式(I)で示される1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシランを好適に使用することができる。
CF
3CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CH
2CH
2Si(OEt)
3 (I)
【0045】
また、その他のフッ素化合物として、具体的には、例えば、以下の一般式(II)〜(IV)に示されるフッ素化合物が挙げられる。
【0046】
(一般式(II)中、nは3〜25の整数である。)
【0047】
(一般式(III)中、m,nは5〜20の整数である。)
【0048】
(一般式(IV)中、X=CH
2OH、CO−NH−C
18H
37、CH
2C−(OCH
2CH
2)p−OPO(OH)
2のいずれかであり、p/q比は0.5〜3.0の整数である。)
【0049】
また、フッ素化合物と他の疎水化処理剤とを併用して、粉末成分の表面処理を行ってもよい。他の処理剤としては、具体的には、下記一般式(V)で示されるアクリルシリコーン化合物が挙げられる。
(式中、nは整数で、a,b,c,dは共重合体内のそれぞれのモル比であり、0であることはなく、dは40モル%以上で60モル%以下である。)
【0050】
粉末成分のフッ素化合物による表面処理は、常法に従って行うことができる。
例えば、上記式(I)のフッ素化合物(及び式(V)のアクリルシリコーン化合物)を、適当な溶媒に溶かした溶液の形態で、あるいはフッ素化合物自体の液体の形態で、粉末と接触させた後、100〜150℃、好ましくは120〜140℃で、1〜12時間、好ましくは3〜9時間加熱することにより、表面処理粉末を製造することができる。
なお、加熱雰囲気として、含水分雰囲気下である空気中、または少なくとも空気に含まれる程度の水分を含有する他の気体中で行うことができる。その他、水分を含んでいない雰囲気下に調整後、処理中(加熱中)に水分を添加しながら加熱する方法、あるいは少量の水分に、アルミニウム(III)、錫(II)、錫(IV)、鉄(III)又はチタン(III)の金属塩を1種以上含有する溶液を、表面処理剤{式(I)のフッ素化合物(及び式(V)のアクリルシリコーン化合物)}と同時又は事前に添加して行うこともできる。上述の金属塩の具体例としては、塩化アルミニウム、塩化第二スズ、塩化第二鉄(それらの水和物を含む)等が挙げられる。
【0051】
上記式(I)のフッ素化合物(及び式(V)のアクリルシリコーン化合物)を適当な溶媒に溶かした溶液の形態で粉末と接触させる場合は、例えば、アルコール類、水、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の溶媒中に、0.3〜50質量%を含有する溶液を調製する。そして、その溶液中に、粉末を分散後、加熱して、溶媒を蒸発させると共に、上記式(I)のフッ素化合物(及び式(V)のアクリルシリコーン化合物)を、粉末の表面上で重合させることにより、処理粉末が得られる。この工程は、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー、ニーダー、媒体攪拌ミル(ビーズミル等)等を用いて行うことができる。加熱に用いる装置としては、電気炉、トンネル炉、ローラハースキルン、ロータリーキルン等を用いることができる。
【0052】
上記式(I)のフッ素化合物(及び式(V)のアクリルシリコーン化合物)を、溶媒に溶解せずに直接粉末と接触させる場合には、適切な混合機、例えば、回転ボールミル、振動式ボールミル、遊星型ボールミル、サンドミル、アトライター、バグミル、ポニミキサー、プラネタリーミキサー、らいかい機、ヘンシェルミキサー等により、粉末の接触を行って処理粉末が得られる。
【0053】
なお、本発明の粉末固形化粧料において、フッ素化合物処理粉末の配合量は好ましくは粉末化粧料全量に対して5〜97質量%であり、より好ましくは20〜75質量%である。フッ素化合物処理粉末の配合量が5質量%未満では、フッ素化合物処理粉末の配合による効果が十分に得られず、一方で97質量%を超えると、使用感触に劣る場合がある。
【0054】
また、本発明の粉末固形化粧料においては、予め処理したフッ素化合物処理粉末を他の粉末成分とともに油性成分と混合して製造してもよく、あるいは未処理の粉末成分を、前記フッ素化合物ととも油性成分と混合し、当該混合の際に粉末成分の表面をフッ素化合物によって処理しても構わない。これらは各種成分の種類や製造工程に応じて適宜選択することができるが、通常、乾式系で粉末成分と油性成分とを混合する方法(乾式製法)の場合には前者、湿式系で粉末成分と油性成分を分散、スラリー化した後、該スラリーを乾燥する方法(湿式製法)の場合には後者が適している。なお、製造工程において、フッ素化合物を混合物中に添加して粉末成分を表面処理する場合、当該フッ素化合物の添加量は、好ましくは化粧料全量に対して0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0055】
油性成分
本発明に用いられる油性成分としては、一般に用いられ得るものであれば特に限定されるものではない。具体的には、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール等が挙げられる。
【0056】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0057】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0058】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0059】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0060】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0061】
有機変性粘土鉱物
本発明の粉末固形化粧料においては、さらに有機変性粘土鉱物を含有することが好ましい。前記アミド混合物に加えて、有機変性粘土鉱物をさらに粉末固形化粧料中に配合することで、特に経時でのヨレの発生を低減することができる。また、有機変性粘土鉱物の配合量は、前記アミド混合物と併せた合計量として、化粧料全量に対して1.0〜15質量%が好ましい。
【0062】
本発明に用いられる有機変性粘土鉱物としては、粘土鉱物(例えばモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイトなど)の結晶層間に介在する変換性カチオンを有機極性化合物や有機カチオンで置換したものなどが挙げられる。具体的には、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト(=クオタニウム−18ヘクトライト)、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト(=クオタニウム−18ベントナイト)や、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト等が挙げられる。本発明に用いられる有機変性粘土鉱物は、例えば「ベントン38」(クオタニウム−18ヘクトライト)、「ベントン34」(=クオタニウム−18ベントナイト)(いずれもレオックス社製)、「クレイトーンSO」(いずれもサザン・クレイ社製)、TIXOGELシリーズ(ズードケミー社製)等として市販されており、商業的に入手可能である。有機変性粘土鉱物は1種または2種以上を用いることができる。
【0063】
なお、あらかじめ有機変性された粘土鉱物を用いる以外に、合成スメクタイト(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などの未変性粘土鉱物とカチオン界面活性剤を別々に組成物中に配合し、固形粉末化粧料製造工程中で粘土鉱物を有機変性させてもよい。
【0064】
その他の成分
また、本発明にかかる粉末固形化粧料では、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分、例えば、エステル、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することが出来る。以下に具体的な配合可能成分を列挙するが、上記必須配合成分と、下記成分の任意の一種または二種以上とを配合して粉末固形化粧料を調製できる。
【0065】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE−オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE−ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0066】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE−アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0067】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0068】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0069】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POE−ソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE−ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE−ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE−アルキルアミン;POE−脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0070】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0071】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0072】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0073】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,0000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0074】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0075】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、ジモルホリノピリダジノ;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート;2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−(1,3,5)−トリアジン等が挙げられる。
【0076】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0077】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
【0078】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE−テトラハイドロフルフリルアルコール;POP−ブチルエーテル;POP・POE−ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテルリン酸;POP・POE−ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0079】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D−グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D−エリトロース、D−エリトルロース、D−トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L−アラビノース、D−キシロース、L−リキソース、D−アラビノース、D−リボース、D−リブロース、D−キシルロース、L−キシルロース等);六炭糖(例えば、D−グルコース、D−タロース、D−ブシコース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ガラクトース、L−マンノース、D−タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2−デオキシ−D−リボース、6−デオキシ−L−ガラクトース、6−デオキシ−L−マンノース等);アミノ糖(例えば、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−グルロン酸、D−ガラクツロン酸、L−イズロン酸等)等が挙げられる。
【0080】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0081】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0082】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0083】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0084】
pH調整剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0085】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0086】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0087】
さらに、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リンゴ酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、フルクトース、マンノース、エリスリトール、トレハロース、キシリトール等の糖類等も適宜配合することができる。
【0088】
また、本発明にかかる粉末固形化粧料の製品としての用途は、特に制限されるものではないが、ファンデーション、アイシャドウ、チークカラー、ボディーパウダー、パフュームパウダー、ベビーパウダー、プレスドパウダー、デオドラントパウダー、おしろいなどの固形状の粉末固形化粧料への応用が可能である。
【0089】
粉末固形化粧料の製造方法
本発明の粉末固形化粧料は、以上に説明したアミド混合物と粉末成分及び油性成分を含む各種構成成分を、常法により混合することによって製造することができ、例えば、乾式条件下で混合する方法(乾式製法)、湿式系で分散、スラリー化した後、乾燥して製造する方法(湿式製法)のいずれの方法によっても製造することができる。
【0090】
乾式製法
本発明の粉末固形化粧料を乾式製法により製造する場合、以下に説明する特定構造の回転翼対向型混合装置を使用して、前記アミド混合物と粉末成分及び油性成分とを混合することが特に好ましい。当該回転翼対向型混合装置を使用することによって、粉末成分の凝集を生じることなく、その表面上に均一に油性成分を被覆することが可能となり、これによって得られる粉末固形化粧料は、微粒子感、しっとりさ、なめらかさ,粉っぽさ,均一な仕上がりといった各種使用性に優れるとともに、耐衝撃性が著しく改善される。
【0091】
ここで、本発明において使用される回転翼対向型混合装置とは、複数の翼を設けた第1回転翼及び第2回転翼を、略水平方向の同一軸線上にそれぞれ個別の回転軸を有するように対向した状態で混合室内に配置し、第1回転翼側の投入口から原料を供給するとともに、該第1回転翼及び第2回転翼を互いに同一又は反対方向に回転させることにより原料を混合し、第2回転翼側の排出口から混合された原料を排出する形態の混合装置である。
【0092】
以上のような回転翼対向型混合装置を用いて、前記アミド混合物と粉末成分及び油性成分とを混合することによって、該粉末成分の凝集を生じることなく、粉末粒子の表面上に均一に油性成分を被覆することが可能となる。また、本発明に用いられる回転翼対向型混合装置は、乾式の混合装置であるため、前記アミド混合物と粉末成分及び油性成分を適当な混合用溶媒に溶解させて用いる必要がなく、湿式混合の場合と比較して製造工程が簡易であり、且つ安全面や環境面での問題も少ない。
【0093】
なお、本発明に用いられる回転翼対向型混合装置は、従来、粉砕のための装置として用いられており、粉砕装置として当業者において公知である。例えば、特開2002−79183号公報、特開2003−1127号公報、特開2003−10712号公報、特開2003−71307号公報等に記載されている粉砕装置を、本発明の混合装置として用いることができる。なお、市販の装置としては、例えば、サイクロンミル(フローテック株式会社製)が挙げられる。
【0094】
本発明に用いられる回転翼対向型混合装置の一実施例の概略図を
図1に示す。なお、本発明に用いられる回転翼対向型混合装置は、これに限定されるものではない。
回転翼対向型混合装置10は、混合室11の内部に、モータ12,13によりそれぞれ回転駆動される第1回転翼14及び第2回転翼15が、水平方向の同一軸線上に対向した状態で設けられ、混合室11の第1回転翼14側に原料の投入口16を連通し、混合室11の第2回転翼15側に排出口17を連通して設けられている。また、回転翼対向型混合装置10投入口16の上部には原料供給装置20が設けられ、さらに排出口17の先には捕集装置30(及び回収容器32)と吸引装置40が接続されている。
【0095】
回転翼対向型混合装置10において、水平方向の同一軸線上に対向して配置された第1回転翼14及び第2回転翼15は、それぞれモータ12,13の回転軸と一体に回転する。そして、回転翼対向型混合装置10においては、モータ12,13により第1回転翼14及び第2回転翼15を互いに同一方向あるいは反対方向に高速で回転させた状態で、原料供給装置20によって対象となる混合物原料を原料投入口16から投入する。回転翼対向型混合装置10に投入された混合物原料は、第1回転翼14、第2回転翼15又は混合室11の内壁面に激しく衝突し、さらには当該原料成分同士が衝突しあうことで、均一に混合・分散される。そして、この結果、粉末成分の凝集を生じることなく、粉末粒子の表面上に均一に油性成分が被覆された混合物が得られる。
【0096】
また、対向する第1回転翼14及び第2回転翼15は、互いに同一方向あるいは反対方向に回転する。ここで、本発明の製造方法においては、第1回転翼及び第2回転翼を反対方向に回転させて用いることが好適である。互いに反対方向に回転させて用いることで、同一方向に回転させて用いた場合よりも大きなせん断応力を発生させることができるため、粉末成分の凝集が生じにくく、均一な混合物が得られやすい。なお、第1回転翼14及び第2回転翼15の回転速度は、例えば、1000〜10000rpm、好ましくは3000〜8000rpmの間で、適宜調整することができる。
【0097】
なお、第1回転翼14及び第2回転翼15においては、それぞれ、モータ12,13の回転軸に取り付けられたボスの周囲に複数の翼が放射状に設けられている。1の回転翼に対して、通常、翼は2〜16枚程度である。なお、第1回転翼14及び第2回転翼15において、回転翼の形状、翼の枚数等は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0098】
混合室11内で混合された対象混合物は、排出口17から排出される。なお、排出口17の先には捕集装置30及び吸引装置40が接続されている。吸引装置40の作動により、排出口17から連続的に対象混合物が排出され、排出された対象混合物は捕集装置30において捕集され、回収容器32内部に集められる。なお、吸引装置40の作動条件は、対照混合物の種類や量、回転翼の回転速度等によって、適宜調整することができる。また、吸引装置40及び捕集装置30を作動させた状態で、原料供給装置20によって混合物原料を連続的に投入することによって、混合物を連続的に生産することが可能である。
【0099】
前記アミド混合物、粉末成分及び油性成分は、それぞれ個別あるいは同時に回転翼対向型混合装置10に投入しても構わないが、通常の場合、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等の簡易な攪拌装置によって予備混合を行なっておくことが好ましい。予備混合を行なわずに回転翼対向型混合装置10に投入すると、軽い粉末成分のみが油性成分と十分に混合されることなく先に排出されてしまう等、混合工程の制御が困難になる。
【0100】
また、本発明の粉末固形化粧料を乾式混合法により製造する場合には、通常、上記のようにして得られた前記アミド混合物と粉末成分及び油性成分との乾燥混合物を、例えば、金属あるいは樹脂の中皿容器に充填し、乾式成型による固形化を行なう。なお、固形化の方法としては従来公知の乾式プレス成型等を用いることができる。
【0101】
湿式製法
また、本発明の粉末固形化粧料を湿式製法により製造する場合、例えば、ビーズミルを用いて湿式系で高分散した後、フラッシュドライヤーにて乾燥微細粒子化を行う方法(W&D製法)によって製造することもできる。
【0102】
図2は本発明の実施形態にかかる製造方法で用いる装置構成の一例を示した図である。本実施形態にかかる粉末固形化粧料の製造方法は、例えば、粉末成分と結合剤としての油性成分と前記アミド混合物を揮発性溶媒中で混合しスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程とを備える。
まず、スラリー調製工程では、
図2に示した媒体攪拌ミル110を用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分と前記アミド混合物を混合し、該粉末成分を解砕/粉砕/分散することでスラリーを得る。得られたスラリーは貯蔵タンク112に一旦貯められ、乾燥装置114へ所定の流量で供給される。
【0103】
本実施形態で使用する乾燥装置114は、スラリーを機械的なせん断力、つまり、せん断手段118に設けられたせん断部材(板状部材134a,134b,134c)の回転によるせん断力で微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風して前記スラリーの乾燥を行う。なお、せん断部材の形状は本発明の目的に合致している限り特に限定されるものではなく、例えば、上記のような板状の他、羽根状、円盤状等、どのような形状でもかまない。
このように本実施形態ではスラリーを微細液滴にした状態で乾燥を行う乾燥装置114を用いて乾燥粉末を製造しているため、乾燥時に粉末成分の凝集がほとんど生じていない乾燥粉末を得ることができる。そのため、肌への塗付時における使用感触に優れた粉末固形化粧料を提供することが可能となる。また、乾燥後に再度解砕を行う必要がないため生産性・作業環境性にも優れている。
【0104】
また、得られた乾燥粉末を容器に充填し、乾式プレス成型により固形化する工程をさらに備えることも好適である。得られる固形の粉末固形化粧料は使用感触のみならず、パフへのとれ具合といった使用性にも優れたものとなる。
また、
図2に示したように、スラリー調製工程において、粉末油分と結合剤としての油性成分とを揮発性溶媒中で混合するために媒体攪拌ミル110を用いることが好適である。媒体攪拌ミルを用いることで、油性成分が粉末成分表面にきれいにコートされたスラリーを得ることができ、該スラリーを用いることでより使用感触、使用性がさらに優れた粉末固形化粧料を得ることができる。
【0105】
<スラリー調製工程>
粉末成分と油性成分とを揮発性溶媒中で混合してスラリーとする方法としては次のような方法が挙げられる。
(A)粉末と油分をあらかじめヘンシェルミキサー(登録商標)やパルペライザーなどにより乾式混合/解砕したものを、揮発性溶媒中に添加し、ディスパーミキサー、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、および二軸混練機などにより混合/分散する方法。
(B)粉末と油分を揮発性溶媒中に添加し、必要があればディスパーミキサーなどで予備混合した後に、媒体攪拌ミルにより、解砕/粉砕/分散処理を行う方法。
(C)高分子弾性粉末や微粒子粉末などの凝集性の強い一部特定の粉末成分を揮発性溶媒中に添加し、これを必要があればディスパーミキサーなどで予備混合した後、媒体攪拌ミルを用いて解砕/粉砕/分散させることで分散液を得て、該分散液とそのほかの粉末油分を添加し、さらに湿式混合機や媒体攪拌ミルを用いて処理を行う方法。
なお、スラリー調製工程において媒体攪拌ミルを使用することが好適である(例えば、上記(B)、(C))。媒体攪拌ミルとは、粉末成分(および油性成分)と溶媒からなる分散液をビーズ等の固体分散媒体(メディア)が充填された容器内に収容し、該容器内の液体を攪拌することでメディアによる衝撃力、摩擦力等により粉末成分の解砕/粉砕/分散を行うものである。
【0106】
図3、4はそれぞれ、本発明で好適に用いられる媒体攪拌ミルの例を示した概略構成図である。なお、本発明で好適に使用し得る媒体攪拌ミルとしては、以下のものに特に制限されず、本発明の目的を達成し得る限りどのようなものでもよい。
図3に示した例の媒体攪拌ミル210は、略円筒状の容器212と、容器212内に挿通された駆動軸214と、駆動軸214を回転駆動する駆動モータ216と、駆動軸214に取り付けられた複数枚の攪拌ディスク218a〜fと、を備えている。容器212内は、粉末成分の解砕/粉砕/分散を行う分散室220と、処理後の分散液を抽出する抽出室222とに分かれている。容器212の分散室220側には、処理対象の分散液を供給する供給口224が設けられ、また抽出室222側には処理後の分散液を取り出す抽出口226が設けられている。分散室220と抽出室222との間には開口部228を設けた隔壁230が備えられており、この隔壁230に近接して、駆動軸214に取り付けられた分離ディスク232が隔壁230の開口部128を覆うように配置されている。隔壁230と分離ディスク232との間には隙間が設けられており、この隙間を固体分散媒体と処理対象の分散液とを分離する分離スリット234として使用する。
【0107】
粉末成分と溶媒とを含む分散液は、容器212内の分散室220へ供給口224から順次供給され、分散室内220の分散液は順次抽出室222の方向へ移動する。このとき、駆動モータ216によって駆動軸214が回転駆動され、撹拌ディスク218a〜fが回転している。分散室220内には多数の固体分散媒体236が充填されており、撹拌ディスク218a〜fの回転によって分散液とともに固体分散媒体236が攪拌される。分散液中の凝集粉末成分は固体分散媒体236からの衝撃力やズリ応力などによって解砕/粉砕/分散される。
上記の解砕/粉砕/分散処理された分散液は、分散室220と抽出室222との間にある隔壁230と分離ディスク232との間の分離スリット234を通過して抽出室222に流入し、抽出口226から外部に抽出される。分離スリット234は、固体分散媒体236が分散室220内から抽出室222へ流出しない程度の大きさに取られている。そのため、分散液が分離スリット234を通過する際に、分散液(粉末成分+溶媒)と固体分散媒体136との分離が行われ、抽出室には分散液のみが入ることになる。
【0108】
図4はアニュラー型の媒体攪拌ミルの概略構成図である。
図4の媒体攪拌ミル310は、中心軸Aに関して対称な略W字型の断面を有する容器312と、容器312内に設けられ、中心軸Aを中心として回転可能な略逆U字型のロータ314と、ロータ314を回転駆動する駆動モータ316とを備えている。容器316内面とロータ314外面との間には、環状の空間318が形成されており、この環状空間318は中心軸Aの両側に略V字状の断面を有した形状をとっている。また、容器312には、環状空間318へ処理対象の分散液(粉末成分+溶媒)を送りこむ供給口320と、環状空間318から処理後の分散液を取り出すための抽出口322とが形成されている。環状空間318には固体分散媒体324が充填されており、環状空間218を分散液中の粉末成分の解砕/粉砕/分散を行う分散室として使用する。
【0109】
供給口320から供給された分散液は入口スリット326を通って環状空間318へ送りこまれる。送り込まれた分散液は環状空間318内を移動し、出口スリット328を通って抽出口322から取り出される。このとき、環状空間318内で中心軸Aを中心としてロータ314を回転させることによって、環状空間318内の分散液および固体分散媒体324を攪拌する。すると、分散液中の凝集粉末成分は固体分散媒体324からの衝撃力やズリ応力などによって解砕/粉砕/分散される。その後、分散液は出口スリット328を通過して、抽出口322から取り出される。
出口スリット328は固体分散媒体324が環状空間318内から流出しない程度の大きさに取られており、分散液(粉末成分+溶媒)と固体分散媒体324と分離する分離手段として機能する。また、ロータ314には固体分散媒体324を入口側へ戻すための戻し孔330が設けられており、固体分散媒体324が出口付近に留まらないようにされている。
【0110】
媒体攪拌ミルを用いて揮発性溶媒中で粉末と油分を解砕/粉砕/分散する理由としては、粉末成分と油性成分との混合・分散状態を高めることができ、さらに粉末成分表面に均一に油性成分を被覆させることができるため、使用感触のよい粉末固形化粧料を得ることができるからである。また、凝集性の強い粉末を容易に解砕し、揮発性溶媒中に均一に分散することもできる。
また、媒体攪拌ミルの例としては、上で説明したものの他に、バスケットミルなどのバッチ式ビーズミル、横型・縦型・アニュラー型の連続式のビーズミル、サンドグラインダーミル、ボールミル、マイクロス(登録商標)などが好適なものとして挙げられるが、本発明の目的に合致していれば特に制限無く使用することができる。つまり、凝集状態にある粉末成分を配合した場合、これら粉末成分の凝集を解いて一次粒子に近い状態まで攪拌、分散させ、油性成分を粉末表面に均一に付着させ得るものであれば特に制限なく使用することができる。
【0111】
媒体攪拌ミルに用いるメディアとしては、ビーズが望ましく、ガラス、アルミナ、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたビーズが使用可能であり、特に、ジルコニア製が好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常直径0.5〜10mm程度のものが好ましく用いられるが、本発明では直径2mm〜5mm前後のものが好ましく用いられる。ビーズ径の大きさが小さすぎると、マイカ、タルクなどの体質顔料の解砕が過度に進行し、使用感触に悪影響を及ぼしたり、成型後の硬度が硬くなるため取れが悪くなったり、ケーキングなどを引きおこしやすくなる。一方、ビーズの大きさが大きすぎると粉末成分の凝集を十分に解くことができず、油性成分の均一な被覆が困難となる。
【0112】
本発明で用いる揮発性溶媒としては、特に制限は無いが、精製水、環状シリコーン、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。これらの溶媒を、用いる粉末成分の特性や油性成分の特性に応じて、1種または2種以上を混合して、適宜使い分けて用いることができる。
また、スラリー調製工程において、粉末成分と油性成分の量比(質量比)は、使用する油性成分、粉末成分の種類にもよるが、粉末成分/油性成分=60/40〜99.5/0.5であることが好適である。また、このとき用いる揮発性溶媒の量は、使用する揮発性溶媒の極性、比重などにもよるため、規定はできないが、媒体攪拌ミルのよる処理が可能となる流動性を確保することが重要である。
【0113】
<乾燥工程>
次に
図2を参照して、本発明の実施形態にかかる製造方法の乾燥工程において用いられる乾燥装置の一例について説明を行う。なお、本実施形態にかかる製造方法で用いる乾燥装置は
図2のものに限定されず、スラリーを機械的に微細液滴化するせん断手段を備えているものであればよい。
図2の乾燥装置14は、スラリーの乾燥を行う場となる中空状の筐体16と、前記筐体16内に設けられた回転するせん断部材(板状部材34a,34b,34c)によりスラリーを微小液滴化するせん断手段18と、筐体16内のせん断部材(板状部材34a,34b,34c)へスラリーを供給する供給手段20と、筐体16内に乾燥ガスを送風し、せん断手段18により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給する送風手段22と、スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段24とを備えている。
【0114】
筐体16は縦型で中空の略円柱形状をしており、その上部に乾燥粉末および乾燥ガスを排出する排出口26、下部に送風手段22からの乾燥ガスを筐体16内に供給する送風口28が設けられている。また、スラリーを筐体16内へ供給する供給口30は、筐体16の上部に位置する排出口26と下部に位置する送風口28との間に位置している。
せん断手段18は筐体16底部から垂直方向に設けられた回転軸32と、該回転軸32に直角に設けられたせん断部材(板状部材34a,34b,34c)と、回転軸32を回転するための駆動部36と、を備える。駆動部36は筐体16の外に配置され、回転軸32を介してせん断部材(板状部材34a,34b,34c)に回転力を伝達する。
図1で示したせん断部材は、上下方向に間隔を置いて、回転軸32に直角に設けられた3つの板状部材34a,34b,34cによって構成されている。これらのせん断部材はスラリーの供給口30の下方かつ乾燥ガスの送風口28の上方に位置している。モータ等で構成される駆動部36により回転軸32を回転させることで、板状部材34a,34b,34cが筐体16内で回転軸32を中心に水平方向に回転し、この機械的なせん断力によりスラリーを微小液滴にする。
【0115】
供給手段20は貯蔵タンク12から送られるスラリーを筐体16内に供給する。筐体16内に供給されたスラリーは、板状部材34a,34b,34cへ向って落下し、回転する板状部材34a,34b,34cによって微細液滴とされる。また、送風手段22から送られた乾燥ガスは送風口28より筐体16内に送風される。乾燥ガスは筐体16の水平断面の接線方向に向って供給されており、さらに板状部材34a,34b,34cが回転運動を行っているため、筐体内16に送風された乾燥ガス流は旋回流となる。この乾燥ガス流に微細液滴状のスラリーが接触することにより、スラリーはさらに微細化され、乾燥し乾燥粉末となる。この乾燥粉末は乾燥ガス流とともに筐体16内上部へ吹き上げられ、排出口26から排出される。排出口26から筐体16外に排出された乾燥粉体は捕集手段24によって捕集される。
また、筐体16内の排出口26の部分に分級手段38が設けられている。分級手段38は排出口26に設けられたオリフィスとして構成されており、大きな粒や塊、未乾燥品などが捕集手段24へと入ることを防止している。なお、分級手段の構成としてはこれに限られず、その他の構成でもかまわない。
【0116】
このようにせん断部材(板状部材34a,34b,34c)によりスラリーに機械的なせん断力を与え、スラリーを微細液滴の状態にして乾燥を行うことで、凝集の少ない乾燥粉末を得ることができる。凝集が少ない乾燥粉末となる理由としては、微細液滴としたことで液滴中に存在する粉末成分の量が少ないため乾燥時の凝集が起こりにくいこと、また乾燥過程で起こる粉末成分の凝集がせん断部材もしくは旋回流によるせん断力により解かれること、等が考えられる。
ここではせん断部材として水平方向に回転する板状部材で構成されるものを示したが、この他に垂直方向に回転(回転軸が水平方向)に回転する板状部材で構成されるものも設けてもよい。また、せん断部材の形状としては上記のものに限られず、例えば、羽根状(回転軸に垂直な棒状部材の先端に垂直にカッターを設けたもの等)、円盤状、等が挙げられる。また、せん断部材の個数なども特に限定されない。
【0117】
また、上記の乾燥装置はフラッシュドライヤーと呼ばれるタイプのもので、例えば、APV Nordic Anhyro社製のスピンフラッシュドライヤーや、ホソカワミクロン社製のドライマイスターや、月島機械社製のたて型攪拌乾燥機等が挙げられる。なお、本発明で好適に用いられる乾燥装置はこの限りではなく、システム中にせん断機構を有するものであれば良く、縦型/横型いずれでも良い。
また、乾燥の際に用いる乾燥ガスの温度は、用いる揮発性溶媒の沸点により変化させることが可能である。また、乾燥ガスの温度が高いほど乾燥効率は高くなるため、熱による乾燥粉末構成成分の変性等の悪影響が及ばない範囲で高温に設定することが望ましい。
また、筐体16内へ窒素ガス、Arガスなどの不活性ガスを封入することで対防爆性に優れたものになるため、作業環境性も良くなる。また、コンデンサーなどの溶媒回収機構を取り入れることで、溶剤の回収も可能である。
【0118】
<固形化工程>
本発明の実施形態にかかる粉末固形化粧料の製造方法において、乾燥粉末を容器に充填し、乾式成型により固形化する固形化工程をさらに備えることが好適である。固形化の方法としては従来公知の乾式プレス成型などを用いればよい。このようにして得られた粉末固形化粧料は湿式製法の利点である優れた使用感触を保ちながら、乾式成型の利点である使用性の良さ(パフへのとれ具合)も兼ね備えている。また、射出充填により容器内にスラリーを充填する工程を含む従来の湿式成型の場合はスラリーの充填性を考慮する必要があるため、用いる原料に制限があったが、通常の乾式プレス成型を行う限りにおいては、用いる原料の制限も無いことも利点として挙げられる。
また、粉末固形化粧料を得る際の乾燥粉体の配合量は、化粧料100質量部に対して、0.5〜100質量部が好ましく、さらに好ましくは、30〜100質量部である。
【0119】
さらに、雲母チタンやガラスパールなどに代表されるパール顔料を添加した粉末固形化粧料を作成する場合には、まずパール顔料以外の部分の粉末成分を用いて、上記のスラリー調製工程、乾燥工程を経て乾燥粉末を得る。この乾燥粉末と必要量のパール顔料をヘンシェルミキサーやナウターミキサーなどのせん断力の弱い乾式混合機にて混合して混合粉末とし、該混合粉末を容器に充填、あるいはさらに乾式成型して粉末固形化粧料を得る。この方法で得られた粉末固形化粧料は、使用感触および使用性に優れるだけでなく、パール感にも優れたものとなる。
【実施例】
【0120】
以下に本発明の実施例を挙げてさらに詳しい説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記の処方中の量は質量%で示している。
【0121】
<粉末固形化粧料の使用性評価>
(A)化粧持ち評価(ヨレ・テカリ)
下記表に示す処方でファンデーションを上記のスラリー調製工程と粉末固形化粧料製造工程により調製し、その化粧持ちについて、以下の方法でパネルテストを行った。10名の化粧品専門パネルに、得られたファンデーションを肌に塗布してもらった。そして、3時間後専門評価者3名に「ヨレ評価」、「テカリ評価」の各評価項目について下記の評価基準に基づき10段階評価(化粧持ちが非常に悪い:0点〜化粧持ちが非常に良い:10点)してもらい、更に3名の平均点より、下記判定基準に従って判定した。
【0122】
[判定]
◎:評点の平均点が9点以上、10点未満
○:評点の平均点が6点以上、8点未満
○△:評点の平均点が4点以上、5点未満
△:評点の平均点が2点以上、3点未満
×:評点の平均点が2点未満
【0123】
(B)使用性評価(塗布しやすさ)
10名の化粧品専門パネルに、得られたファンデーションを肌に塗布してもらい、処理前後での違いを各々に対して、「塗布しやすさ」評価項目について、5段階評価(非常に塗布しにくい:0点〜非常に塗布しやすい:5点)してもらった。
【0124】
(C)撥水・撥油性評価
撥水性評価については、水不溶性複合体被膜を被覆した表面上に製造した粉末を塗布し、20mgの水滴を滴下して観察した。また、撥油性評価については、油不溶性複合体を被覆した表面上に製造した粉末を塗布し、20mgのオレイン酸、又はスクワレンを滴下して観察した。観察の結果、5段階評価(非常に濡れる:0点〜非常にはじく:5点)を行った。
【0125】
まず最初に、下記表1に示すように、本願特定のアミド混合物を配合したファンデーションを調製し、その評価を行なった。
【0126】
【表1】
【0127】
(製法)上記表1処方に示す各種成分をパルペライザーにより乾式混合し粉砕した後、プレス成型し、固形状の粉末固形化粧料を得た。
【0128】
上記表1より、ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサン混合物を水添ヒマシ油脂肪酸でアミド化したアミド混合物を、粉末固形化粧料中に1〜20質量%配合した製造例1−2〜1−7では、ヨレ、テカリ及び塗布しやすさの評価において、いずれも比較的良好な結果が得られた。特に、アミド混合物を2〜10質量%配合した製造例1−3〜1−5においては、ヨレ評価の点で優れたものとなった。
これに対して、アミド混合物を全く配合しなかった製造例1−1においては、塗布しやすさ評価は良好であったものの、ヨレ・テカリの評価については非常に劣るものとなった。なお、アミド混合物の配合量を増加するにつれて、塗布しやすさ評価が悪化する傾向にあり、アミド混合物を20質量%配合した製造例1−7では、非常に塗布しにくいものとなった。
【0129】
つづいて、下記表2に示す通り、本願特定のアミド混合物とともに、さらに球状の多孔質ポリメチルメタクリレート樹脂粉末を配合したファンデーションを調製し、その評価を行なった。
【0130】
【表2】
【0131】
(製法)上記表2処方に示す各種成分をパルペライザーにより乾式混合し粉砕した後、プレス成型し、固形状の粉末固形化粧料を得た。
【0132】
上記表2より、一定量のアミド混合物に加え、さらに球状の多孔質ポリメチルメタクリレート粉末を1〜20質量%配合した製造例2−2〜2−7においては、テカリの評価が改善されていることがわかった。特に、球状多孔質PMMA樹脂粉末を2〜15質量%配合した製造例2−3〜2−6では、テカリ評価において非常に優れた結果が得られた。
【0133】
次に、下記処方表3に示す通り、本願特定のアミド混合物とともに、さらに有機変性粘土鉱物を配合したファンデーションを調製し、その評価を行なった。
【0134】
【表3】
【0135】
(製法)上記表3処方に示す各種成分をパルペライザーにより乾式混合し粉砕した後、プレス成型し、固形状の粉末固形化粧料を得た。
【0136】
上記表3より、アミド混合物と有機変性粘土鉱物とを併用することによって、ヨレ・テカリ評価が著しく改善されることが確認され、特に前記アミド混合物と有機変性粘土鉱物とを併せて1〜15質量%配合した実施例3−2〜3−4では、ヨレ・テカリ評価、及び塗布しやすさ評価ともに良好な結果が得られた。これに対して、アミド混合物と有機変性粘土鉱物とを全く配合しなかった製造例3−1では、ヨレ・テカリ評価の点で劣っていた。また、アミド混合物と有機変性粘土鉱物とを併せて20質量%配合した製造例3−5では、塗布しやすさの点で不十分なものとなった。
【0137】
さらに、下記処方表4に示す通り、本願特定のアミド混合物と有機変性粘土鉱物を配合し、さらに球状の多孔質ポリメチルメタクリレート樹脂粉末を配合したファンデーションを調製し、その評価を行なった。
【0138】
【表4】
【0139】
(製法)上記表4処方に示す各種成分をパルペライザーにより乾式混合し粉砕した後、プレス成型し、固形状の粉末固形化粧料を得た。
【0140】
上記表4より、アミド混合物及び有機変性粘土鉱物に加えて、さらに球状の多孔質ポリメチルメタクリレート樹脂粉末を1〜20質量%配合することによって、ヨレ・テカリ評価、及び塗布しやすさの評価がさらに向上することが確認された(製造例4−2〜4−4)。他方、球状多孔質PMMA樹脂粉末を30質量%配合した製造例4−5においては、テカリ評価は優れているものの、塗布しやすさ評価が悪化してしまっていた。
【0141】
つづいて、下記処方表5に示す通り、粉末成分と油性成分との混合時に、さらにフッ素化合物を添加し、粉末成分の表面をフッ素化合物処理したファンデーションを調製し、その評価を行なった。
【0142】
【表5】
【0143】
(製法)
上記処方表5に示す各種成分をディスパーミキサーにてエチルアルコール中に分散混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填した媒体攪拌ミル(サンドグラインダーミル)を用いて、解砕/粉砕/分散を行い、粉末スラリーを得た。前記粉末スラリーを、攪拌乾燥装置ドライマイスター(ホソカワミクロン社製)を用いて微小液滴の状態で乾燥を行い、エチルアルコールを揮発させて乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末を樹脂製の中皿容器に充填し、公知の方法で乾式プレス成型を行い、固形状の粉末固形化粧料を得た。
【0144】
上記表5より、さらにフッ素化合物を0.1〜10質量%添加し、処方中の粉末成分の表面をフッ素化合物によって処理した製造例5−2〜5−5では、撥水・撥油性が改善されることがわかった。他方、フッ素化合物を15質量%添加した場合(製造例5−6)においては、撥水・撥油性は優れているものの、塗布しやすさの点で劣る結果となった。
【0145】
また、下記処方表6に示す通り、粉末成分としてフッ素化合物処理粉末を併用したファンデーションを調製し、その評価を行なった。
【0146】
【表6】
【0147】
(製法)上記表6処方に示す各種成分をパルペライザーにより乾式混合し粉砕した後、プレス成型し、固形状の粉末固形化粧料を得た。
【0148】
上記表6より、予めフッ素化合物により表面処理したフッ素化合物処理粉末を約50質量%配合した製造例6−2及び6−3では、撥水・撥油性が著しく改善されており、また、塗布しやすさの評価も良好であった。
【0149】
つづいて、下記表7〜9に示す通り、回転翼対向型混合装置を用いた乾式混合により製造したファンデーションについて、耐衝撃性及び使用性(微細粒子感,しっとりさ,なめらかさ)について評価した。評価基準は以下のとおりである。結果を下記表7〜9に併せて示す。
【0150】
耐衝撃性
各試験例のファンデーションを樹脂中にプレス成型し、化粧品用のコンパクト容器にセットしサンプルとした。厚さ20mmの鉄板上に高さ30cmからサンプルを水平状態にて落下し、破損するまでの落下回数を耐衝撃性の評価とした。
【0151】
使用性(微細粒子感,しっとりさ,なめらかさ,粉っぽさ,均一な仕上がり)
20名の女性パネラーにより、各試験例のファンデーションを半顔ずつ塗布し、塗布時の微細粒子感、しっとりさ、なめらかさ、粉っぽさ、均一な仕上がりについて、それぞれ比較評価した。
17名以上が良いと回答 ◎
12名〜16名 ○
9名〜11名 ○△
5名〜8名 △
4名以下 ×
【0152】
【表7】
【0153】
(製法)
製造例7−1:処方中の各種成分をヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)にて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置(サイクロンミル:フローテック社製;第1回転翼と第2回転翼を互いに反対方向に回転させて使用)を用いて2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。
製造例7−2:処方中の各種成分をヘンシェルミキサーにて混合した後、ハンマー式粉砕機であるパルペライザー(ホソカワミクロン製)で2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。
【0154】
【表8】
【0155】
(製法)
製造例8−1:処方中の各種成分をヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)にて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置(サイクロンミル:フローテック社製;第1回転翼と第2回転翼を互いに反対方向に回転させて使用)を用いて2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。
製造例8−2:処方中の各種成分をヘンシェルミキサーにて混合した後、ハンマー式粉砕機であるパルペライザー(ホソカワミクロン製)で2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。
【0156】
【表9】
【0157】
(製法)
製造例9−1:処方中の各種成分をヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)にて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置(サイクロンミル:フローテック社製;第1回転翼と第2回転翼を互いに反対方向に回転させて使用)を用いて2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。
製造例9−2:処方中の各種成分をヘンシェルミキサーにて混合した後、ハンマー式粉砕機であるパルペライザー(ホソカワミクロン製)で2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。
【0158】
上記表7〜9に示されるように、回転翼対向型混合装置を用いて製造した製造例7−1,8−1,9−1のファンデーションは、パルペライザー(ハンマー式粉砕機)を用いて製造した製造例7−2,8−2,9−2と比較して、耐衝撃性が著しく改善されていることが確認された。また、微粒子感、しっとりさ、なめらかさ,粉っぽさ,均一な仕上がりといった使用性の点においても優れていることがわかった。
【0159】
上記試験と同様にして、回転翼対向型混合装置を用い、アミド混合物の配合量を0.1〜13質量%の間で変化させて製造したファンデーションについて、同様の評価を行なった。結果を下記表10に示す。
【0160】
【表10】
【0161】
(製法)上記表10処方中の各種成分をヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)にて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置(サイクロンミル:フローテック社製;第1回転翼と第2回転翼を互いに反対方向に回転させて使用)を用いて2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。
【0162】
上記表10に示されるように、アミド混合物を1〜10質量%配合した製造例10−2〜10−7のファンデーションは、耐衝撃性に優れるとともに、微粒子感、しっとりさ、なめらかさ,粉っぽさ,均一な仕上がりといった使用性の点も良好であった。これに対して、アミド混合物を配合していない製造例10−1では、特に粉っぽさ、均一な仕上がりの点で満足のいくものが得られず、耐衝撃性も十分に改善されているものとは言えなかった。また、アミド混合物を13質量%配合した製造例10−7では、特になめらかさ、均一な仕上がりの点で劣ってしまっていた。
これらの結果から、特に回転翼対向型混合装置を用いて本発明の粉末固形化粧料を製造する場合、アミド混合物の配合量は1〜10質量%であることが好適である。
【0163】
以下、本発明にかかる粉末固形化粧料のその他の処方例を以下に示す。なお、下記の処方中の量は質量%で示している。
パウダリーファンデーションI
下記処方に示す各種成分をヘンシェルミキサーにて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置を用いて2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型し、パウダリーファンデーションを得た。得られたパウダリーファンデーションは、化粧もち、使用性、耐衝撃性のいずれも非常に優れたものであった。
【0164】
・処方
(粉末成分)
1H,1H,2H,2H,パーフルオロオクチルトリエトキシラン
5%処理タルク 残余
1H,1H,2H,2H,パーフルオロオクチルトリエトキシラン
5%処理合成マイカ 10
板状硫酸バリウム 5
アルキル処理酸化チタン 10
脂肪酸アルミ処理微粒子酸化チタン 5
1H,1H,2H,2H,パーフルオロオクチルトリエトキシラン
5%処理黒微粒子酸化チタン 2
アルキル処理酸化鉄 4
シリコーンパウダー 10
球状シリカ 5
球状ナイロン 1
活性亜鉛華 5
球状多孔質PMMA樹脂粉末※1 5
(油性成分)
メチルフェニルシリコーンオイル 5
エステルオイル 3
アミド混合物※2 4
(その他)
防腐剤 0.2
紫外線吸収剤 4
酸化防止剤 0.1
活性剤 1
※1:テクポリマーMBP−8HP;積水化成品工業株式会社製(平均粒子径8μm、比表面積150m
2/g、最多空孔径180Å)
※2:ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの混合物と水添ヒマシ油脂肪酸とを用い、常法によりアミド化反応を行なって得られたアミド混合物
【0165】
パウダリーファンデーションII
下記処方に示す各種成分(ただし、パール顔料成分を除く)をヘンシェルミキサーにて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置を用いて2回混合し、パール顔料を添加して軽く粉砕した後、樹脂中皿に乾式プレス成型し、パウダリーファンデーションを得た。得られたパウダリーファンデーションは、化粧もち、使用性、耐衝撃性のほか、パール感の点でも優れたものであった。
【0166】
・処方
(粉末成分)
タルク 残余
合成フッ素金雲母 20
セリサイト 30
チッ化ホウ素 4
ミリスチン酸亜鉛 3
シリコーン処理酸化チタン 15
シリコーン処理酸化鉄赤 1
シリコーン処理酸化鉄黄 3
シリコーン処理酸化鉄黒 0.3
(パール顔料成分)
球状硫酸バリウム被覆赤干渉雲母チタン 3
球状硫酸バリウム被覆黄干渉雲母チタン 2
(油性成分)
トリイソステアリン 2
ワセリン 2
トリオクタノイン 2
ジメチコン 3
ソルビタンセスキイソステアレート 0.8
アミド混合物※1 4
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
※1:ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの混合物と水添ヒマシ油脂肪酸とを用い、常法によりアミド化反応を行なって得られたアミド混合物
【0167】
パウダリーファンデーションIII
下記処方に示す各種成分をディスパーミキサーにてエチルアルコール中に分散混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより得られた粉末スラリーを、スピンフラッシュドライヤーにて乾燥を行い、エチルアルコールを揮発させて乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末を樹脂製中皿容器に充填し、従来の乾式プレス法にて、プレス成型し、パウダリーファンデーションを得た。得られたパウダリーファンデーションは化粧もち、使用性共に非常に優れたものであった。
【0168】
・処方
(粉末成分)
シリコーン処理タルク 残余
焼成マイカ 15
合成マイカ 10
板状硫酸バリウム 5
シリコーン処理酸化チタン 10
シリコーン処理紡錘状酸化チタン 15
疎水化処理酸化鉄 4
球状シリコーンパウダー 3
球状PMMAパウダー 5
球状シリカ 1
活性亜鉛華 5
(油性成分)
シクロメチコン 4
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 2
ワセリン 2
オクチルメトキシシンナメート 7
オクトクリレン 5
シリコーン系被膜剤 4
アミド混合物※1 1
1H,1H,2H,2H,パーフルオロ
オクチルトリエトキシラン 1
(その他)
防腐剤 0.1
活性剤 1
※1:ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの混合物と水添ヒマシ油脂肪酸とを用い、常法によりアミド化反応を行なって得られたアミド混合物
【0169】
パウダリーファンデーションII
下記処方に示す粉末成分(ただし、パール顔料成分を除く)と油性成分と本発明のフッ素化合物を混合し、イソプロピルアルコール中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより得られた粉末スラリーを、スピンフラッシュドライヤーにて乾燥を行い、得られた乾燥粉末とパール顔料部とをヘンシェルミキサーにて混合し得られた粉末を、樹脂製容器に充填し、パウダリーファンデーションを得た。得られたパウダリーファンデーションは使用感触、パール感が非常に優れたものであった。
【0170】
両用ファンデーション
下記処方の各種成分をヘンシェルミキサーにて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置を用いて2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型し、両用ファンデーションを得た。得られた両用ファンデーションは、化粧もち、使用性、耐衝撃性のいずれも非常に優れたものであった。
【0171】
・処方
(粉末成分)
シリコーン処理タルク 残余
シリコーン処理セリサイト 20
シリコーン処理マイカ 10
シリコーン処理酸化チタン 10
酸化亜鉛 5
板状無水ケイ酸 5
シリコーン処理ベンガラ 0.8
シリコーン処理黄酸化鉄 3
シリコーン処理黒酸化鉄 0.2
シリコーンエラストマー球状粉末 5
シリコーンレジン被覆シリコーンエラストマー球状粉末 5
(油性成分)
流動パラフィン 4
ワセリン 4
ソルビタンセスキイソステアレート 0.8
アミド混合物※1 4
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
※1:ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの混合物と水添ヒマシ油脂肪酸とを用い、常法によりアミド化反応を行なって得られたアミド混合物
【0172】
おしろい
下記処方に示す各種成分(ただし、パール顔料成分を除く)をヘンシェルミキサーにて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置を用いて2回混合し、パール顔料を添加して軽く粉砕した後、樹脂中皿に乾式プレス成型し、おしろいを得た。得られたおしろいは、化粧もち、使用性、耐衝撃性のほか、パール感の点でも優れたものであった。
【0173】
・処方
(粉末成分)
マイカ 10
タルク 残余
酸化亜鉛 5
微粒子酸化チタン 3
球状シリコーン粉末 20
(パール顔料)
酸化鉄被覆赤干渉雲母チタン 10
(油性成分)
ワセリン 1
スクワラン 2
リンゴ酸ジイソステアリル 1
アミド混合物※1 3
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
※1:ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの混合物と水添ヒマシ油脂肪酸とを用い、常法によりアミド化反応を行なって得られたアミド混合物
【0174】
アイシャドウ
下記処方に示す各種成分(ただし、パール顔料成分を除く)をヘンシェルミキサーにて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置を用いて2回混合し、パール顔料を添加して軽く粉砕した後、樹脂中皿に乾式プレス成型し、アイシャドウを得た。アイシャドウを得た。得られたアイシャドウは、化粧もち、使用性、耐衝撃性のほか、パール感の点でも優れたものであった。
【0175】
・処方
(粉末成分)
タルク 残余
焼成セリサイト 30
(パール顔料部)
酸化鉄被覆雲母チタン 30
無水ケイ酸被覆アルミベンガラ 10
(油性成分)
ワセリン 5
リンゴ酸ジイソステアリル 5
ソルビタンセスキイソステアレート 0.8
アミド混合物※1 1
(その他)
メチルパラベン 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
※1:ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの混合物と水添ヒマシ油脂肪酸とを用い、常法によりアミド化反応を行なって得られたアミド混合物
【0176】
プレストパウダー
下記処方に示す各種成分をヘンシェルミキサーにて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置を用いて2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型し、プレストパウダーを得た。得られたプレストパウダーは、化粧もち、使用性、耐衝撃性のいずれも非常に優れたものであった。
【0177】
・処方
(粉末成分)
金属石鹸処理タルク 残余
合成フッ素金雲母 10
球状ウレタンパウダー 5
球状多孔質PMMA樹脂粉末※1 5
L−ラウロイルリシン 5
(油性成分)
スクワラン 2
ポリブテン 1
ジメチコン 2
ソルビタンセスキイソステアレート 0.8
アミド混合物※2 1
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
※1:テクポリマーMBP−8HP;積水化成品工業株式会社製(平均粒子径8μm、比表面積150m
2/g、最多空孔径180Å)
※2:ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの混合物と水添ヒマシ油脂肪酸とを用い、常法によりアミド化反応を行なって得られたアミド混合物
【0178】
ボディーパウダー
下記処方に示す各種成分をヘンシェルミキサーにて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置を用いて2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型し、ボディパウダーを得た。得られたボディーパウダーは、使用性に優れたものであった。
【0179】
・処方
(粉末成分)
タルク 残部
マイカ 10
酸化亜鉛 5
球状シリコーン粉末 20
(油性成分)
ワセリン 1
スクワラン 2
リンゴ酸ジイソステアリル 1
アミド混合物※1 1
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
※1:ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの混合物と水添ヒマシ油脂肪酸とを用い、常法によりアミド化反応を行なって得られたアミド混合物
【0180】
パフュームパウダー
下記処方に示す各種成分をヘンシェルミキサーにて一定時間混合した後、
図1の回転翼対向型混合装置を用いて2回混合し、樹脂中皿に乾式プレス成型し、パフュームパウダーを得た。得られたパフュームパウダーは、使用性に優れたものであった。
【0181】
・処方
(粉末成分)
シリコーン処理タルク 残余
合成フッ素金雲母 10
チッ化ホウ素 2
シリコーンエラストマー球状粉末 20
赤色226号 0.1
(油性成分)
ワセリン 2
トリオクタノイン 2
アミド混合物※1 1
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 1
※1:ヘキサメチレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの混合物と水添ヒマシ油脂肪酸とを用い、常法によりアミド化反応を行なって得られたアミド混合物