特許第5668024号(P5668024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668024
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】吸入器用の篩部分
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   A61M15/00 Z
【請求項の数】14
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-133591(P2012-133591)
(22)【出願日】2012年6月13日
(62)【分割の表示】特願2010-550189(P2010-550189)の分割
【原出願日】2009年3月11日
(65)【公開番号】特開2012-196495(P2012-196495A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2012年6月13日
(31)【優先権主張番号】102008014025.2
(32)【優先日】2008年3月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503137975
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ヘールダー ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ブロイヤー クラウス
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/118801(WO,A1)
【文献】 特許第3960916(JP,B2)
【文献】 特表2000−513246(JP,A)
【文献】 特表2006−510622(JP,A)
【文献】 米国特許第06250301(US,B1)
【文献】 特開平07−068106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引空気チャネル(6)を有する吸入器(1)用の篩部分(9)であって、
該篩部分は、前記吸引空気チャネル(6)の一部を構成するアダプタ部(11)に保持される保持縁部(10)と、該保持縁(10)内で横断面内で延びる篩領域とを備え、
該篩領域は、金属ワイヤで作られており、
さらに、保持縁部が、前記篩部分の最外縁部分によって形成された傾斜曲がり部を有する、
ことを特徴とする篩部分。
【請求項2】
前記篩部分(9)が円形形状であり、
前記篩領域が、前記篩部分(9)に対し凸状に突出する突出領域(12)を備えている、
請求項1に記載の篩部分(9)。
【請求項3】
前記篩部(9)は、金属ワイヤで作られている、
請求項1又は2に記載の篩部分(9)。
【請求項4】
前記篩領域又は篩部(9)は、ワイヤメッシュから成る、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の篩部分(9)。
【請求項5】
前記篩領域は、少なくとも0.4mm、好ましくは0.6mmより大きなメッシュサイズを有する、
請求項4に記載の篩部分(9)。
【請求項6】
前記篩領域は、1mm以下のメッシュサイズを有する、
請求項4又は5に記載の篩部分(9)。
【請求項7】
前記ワイヤの直径は、0.1〜0.5mmである、
請求項3ないし6のいずれか1項に記載の篩部分(9)。
【請求項8】
前記篩部分(9)は、曲げ加工又は深絞り成形によって、平べったいワイヤメッシュ部分から形成され、少なくとも部分的に塑性組成変形部を有している、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の篩部分(9)。
【請求項9】
前記篩部分(9)は、ワイヤメッシュ部分から形成され、
前記保持縁(10)は、純粋に、ワイヤメッシュ部分自身から形成されている、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の篩部分(9)。
【請求項10】
前記篩部分(9)は、ワイヤメッシュ部分から形成され、
前記保持縁(10)は、ワイヤメッシュ上に施された押し出し被膜を有する、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の篩部分(9)。
【請求項11】
前記篩部分は、一方の側に突出した形状の突出領域(12)を備え、
前記曲がり部は、前記突出領域(12)の反対側にある、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の篩部分(9)。
【請求項12】
前記篩部分は、一方の側に突出した形状の突出領域(12)を備え、
前記曲がり部は、前記突出領域(12)の側にある、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の篩部分(9)。
【請求項13】
前記突出領域(12)が、平坦部分(13)を備え、
該平坦部分(13)が、断面視で、前記篩領域の中央にある、
請求項2、11および12のいずれか1項に記載の篩部分(9)。
【請求項14】
粉体用の吸入器であって、
マウスピース(4)に連通する吸引空気チャネル(6)と、受入れチャンバ(7)に可動状態で配置された物質供給容器(8)と、請求項1ないし13にいずれか1項に記載された篩部分(9)とを有し、
前記篩部分(9)が、前記吸引空気チャネル(6)内の前記受入れチャンバ(7)と前記マウスピース(4)との間に配置されている吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一に、粉末状の特に薬用の物質の吸入器であって、マウスピースに通じる吸引空気チャネルを有し、更に、好ましくは受け入れチャンバ内に可動的に配置された物質供給容器及び受け入れチャンバとマウスピースとの間で吸引空気チャネル内に設けられた篩部を有し、篩部が、保持縁部及び保持縁部内の断面領域中に納められた篩領域を有し、篩領域が、一方の側に突出するよう形作られた突出領域を有するような吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の吸入器が知られている。例えば国際公開第2004/062716(A1)号パンフレットを参照されたい。篩部は、マウスピースの方向で一方の側に受け入れチャンバを画定している。しかしながら、受け入れチャンバには極めて正確な寸法が要求され、このような極めて正確な寸法が物質供給容器の所望の移動性と関連しているということを考慮すると、篩部は、その正確な寸法の維持に関して厳格さが要求される。本出願人の社内先行技術に対応した篩部では、ドームの形をした凸部が突出領域として提供されている。凸部は、物質供給容器に向くよう設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/062716(A1)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、製造上の観点から、必要な寸法公差を達成することは極めて困難であるということが判明した。
【0005】
上述の先行技術から始まって、本発明は、篩部が有利な設計のものである吸入器を提供するという課題の解決に関連している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の考えられる一解決策が、請求項1の記載内容によって提供され、第1の本発明の態様によれば、この場合、重要な特徴は、突出領域が平べったい部分を有するということにある。驚くべきことに、寸法安定性を向上させることを目的として、確かに、篩部の篩領域内に突出領域を設けることが可能であることは確かであるが、この突出領域が平べったい部分を有している場合、寸法安定性を実質的に一段と向上させることができるということが判明した。突出領域は、連続的にドームの形をしているわけではない。これとは異なり、突出領域は、周りの篩領域から生じているが、平べったい部分を形成するよういわば断面図で見て角度をなして曲がっている。
【0007】
上述の請求項の技術内容と好ましい関連性を有する場合の多い図面の説明中の特徴を含む本発明の別の特徴について以下に説明する。しかしながら、これら特徴は、請求項1の個々の特徴の1つだけ又は幾つかとも関連している場合があり又は別個独立に若しくは別の全体的な技術的思想において意義のある場合がある。
【0008】
第一に、突出領域は、断面で見て、保持縁部を通る平面に直角に保持縁部の上に突き出ることが好ましい。
【0009】
したがって、縁部は、傾斜した曲がり部を有するのが良い。曲がり部は、突出領域の方向に位置するのが良いが、逆方向に位置しても良い。曲がり部は、篩部の最も外側の縁部によって形成される。篩部は、全体として、曲げ加工又は深絞り成形により平べったいワイヤメッシュ部分から形成されるのが良く、少なくとも部分的に塑性組成変形部を有する。
【0010】
また、平べったい部分は、断面で見て、篩領域の中央に位置することが好ましい。この中央配置は、特に、平面図で見て全体として円形の篩部に関する。しかしながら、斜めの平面図の場合、これは又、提供された中央を包囲した状態で配置されても良い。
【0011】
したがって、平べったい部分は、断面表示に基づいて、保持縁部の互いに反対側の領域相互間の全体的自由間隔の一部に相当する寸法を有する。したがって、円形周囲部の場合、これは、このようにして形成された周囲部の一部に対応している。この部分領域は、好ましくは、保持縁部内にクランプされた篩のうちの5%以上に対応している。これは、特に、保持縁部の互いに反対側の領域を直接互いに連結する線の投影像に関連している長方形の平面図の場合、この測定値は、当初、保持縁部の互いに反対側領域相互間の最も小さな寸法に関連している。また、好ましくは、この寸法は、上述の断面線の全体的寸法の15%未満である。上限及び下限により定められた領域に制限がある場合、この領域に関連した全ての中間値も又、特に1/10%ずつの状態で開示内容に含まれる。上述の寸法は、5〜15mmという検討中の、露出されると共にクランプされた領域中の篩領域の全体的寸法に関連している。この場合も又、全ての関連中間値は又、特に1/10mm刻みで開示内容に含まれる。
【0012】
篩それ自体は、好ましくは、金属ワイヤ(金属線)で作られる。用いられる材料は、特に、好ましくはクロム及び/又はニッケルと合金化されたステンレス鋼材料であるのが良く、他方、より好ましくは、クロム含有量は、ニッケル含有量の2倍以上である。
【0013】
篩は、適切には、特に上述のワイヤのメッシュから成る。篩は、0.4ミリメートル以上のメッシュサイズを有するのが良い。1.5mm以下のメッシュサイズがより好ましい。0.9〜1mmのメッシュサイズが更により好ましい。0.4〜1.5mmの指定された範囲は、全ての中間値、特に下限及び/又は上限から他方の限度まで1/10mm刻みの全ての中間値を更に含む。ここでいう「及び」という用語は、両方の限度がいずれの場合においても、十分の一又は十分の二以上(十分の三等)だけそれぞれの他の限度に向かってずらされ、即ち、ピンポイントで合わされることを意味している。
【0014】
ワイヤそれ自体の直径は、好ましくは、0.1〜0.5mmであるのが良く、他方、特に1/10mm刻みの任意の中間値も開示内容に含まれる。
【0015】
本発明は、更に、吸入器、特に上述の実施形態のうちのいずれか一の吸入器のための篩部であって、篩部が、保持縁部及び断面で見て保持縁部内に延びる篩領域を有し、更に、篩領域は、一方の側に突出するよう形作られた突出領域を有するような篩部に関する。
【0016】
篩部に関し、課題は、吸入器、特に粉末吸入器に用いられるようこれを好適に設計することにある。
【0017】
この問題の考えられる一解決策は、請求項11の内容に示されており、その特徴は、突出領域が平べったい部分を有することにある。このように達成できる利点に関し、特に、粉末吸入器と関連して、吸入器と全体として関連した上述の説明をも参照されたい。同じことは、篩部の従来の態様にも当てはまる。
以下において、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明するが、図面は、実施形態を1つしか示していない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】吸引空気チャネル内に配置された篩を有する吸入器を示す図である。
図2図1の領域IIの拡大図である。
図3図2と同様な図であるが、篩部のための異なる形態の保持縁部を示す図である。
図4】篩部それ自体の断面図である。
図5】上から見た図4の篩部の平面図である。
図6図4に類似した図であるが、異なる形状の保持縁部を示す図である。
図7】上から見た図6の物体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照すると、基本的には上述の国際公開第2004/062716(A1)号パンフレットから知られている粉末吸入器が断面で示されている。これ以上の細部については、この特許文献を参照されたい。なお、この特許文献を参照により引用し、本願の特許請求の範囲に組み込まれたこの特許文献の特徴に関する情報を含むその記載内容を本明細書の一部とする。
【0020】
吸入器1は、カバー部2、受け入れハウジング3、マウスピース4及び作動ボタン5を備えている。
【0021】
マウスピース4の内側に隣接して、吸引空気チャネル6が設けられ、この吸引空気チャネルは、受け入れチャンバ7内に合体し、この受け入れチャンバ内には、物質供給容器8が設けられている。受け入れチャンバ7と吸引空気チャネル6との間には、篩部9が設けられており、この篩部は、保持縁部10によってアダプタ部11内に保持されている。自由篩領域Sが保持縁部10内に配置されている。アダプタ部11は又、吸入空気チャネル6の一部を構成している。特に図2及び図3から明らかなように、篩部9は、平べったい即ちフラットな部分13を備えた突出領域12を有している。
【0022】
突出領域12は、保持縁部10を通って篩領域Sが合体する領域内に延びる平面Eの上方に突出量vだけ持ち上げられている。突出量vは、断面寸法L(真っ直ぐな断面線として見て)のサイズの10〜20%に相当している。より好ましくは、これは、15%に相当している。10〜20%の指定された領域の開示内容は、底端部及び/又は頂端部のところで1/10パーセント以上だけ上述した範囲が狭まっていることをも考慮して、特に1/10%刻みで全ての中間値を更に含む。
【0023】
篩部9は、全体がワイヤメッシュで形成されており、図1図3図4及び図6の断面図は、各々、ワイヤと中央で交差している状態を示している。
【0024】
また、篩部9は、形態が円形である。
【0025】
また、特に図2及び図3から明らかなように、保持縁部10の傾斜曲がり部は、一方において、クランプ領域12とは逆に且つ他方において突出領域12によって提供される篩部9の凸方向に形作られるのが良い。保持縁部10は、ワイヤメッシュに施された押し出し被膜を有するのが良いが、純粋にワイヤメッシュそれ自体で形成されても良い。
【0026】
吸入器の正確な作動を行うためには、距離a(図3を比較参照)は、例えば、開始位置に位置する非取り外し状態の物質供給容器8の上端部とこの段階では最も近くに位置する領域、即ち、篩部9の平べったい部分13との間に極めて正確に定められ、このような距離は又、特に篩部9の製造公差に鑑みて極めて正確に維持できることが必要不可欠である。これは、平べったい部分13によって保証される。その目的は、寸法公差が篩部9内におけるワイヤの厚さの半分以下に相当するということにある。
【0027】
さらに、物質供給容器8と篩部9が接触した場合、結果的に生じる設計の安定性の増大により、寸法安定性に対するマイナスの影響が軽減するようになる。
【0028】
図4及び図6で詳細に示されているように、平べったい部分13に半径方向外方に隣接して実質的に真っ直ぐな移行領域14が設けられ、この移行領域は、篩部9の基本的な円の形に対応するよう円周方向に設けられ、それ故、形状が円錐形である。
【0029】
メッシュサイズMは、図5又は図7を参照して説明されるように、0.8mmであり、篩メッシュに用いられるワイヤの厚さdは、0.25mmである。
【0030】
開示した全ての特徴は、それ自体本発明にとって必要不可欠である。本願の開示内容は、参照により関連の/添付した優先権書類(原出願の写し)を引用し、これらの開示内容全体を、これら優先権書類に記載された特徴を本願の特許請求の範囲に取り込む目的で、更に含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7