(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668079
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】エラストマー性ナノ複合体、ナノ複合体組成物、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 23/28 20060101AFI20150122BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20150122BHJP
C08L 9/04 20060101ALI20150122BHJP
C08J 3/205 20060101ALI20150122BHJP
C08K 9/04 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
C08L23/28
C08L101/00
C08L9/04
C08J3/205CES
C08K9/04
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-544574(P2012-544574)
(86)(22)【出願日】2010年11月30日
(65)【公表番号】特表2013-513713(P2013-513713A)
(43)【公表日】2013年4月22日
(86)【国際出願番号】US2010058405
(87)【国際公開番号】WO2011084271
(87)【国際公開日】20110714
【審査請求日】2012年6月14日
(31)【優先権主張番号】61/287,622
(32)【優先日】2009年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599134676
【氏名又は名称】エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138438
【弁理士】
【氏名又は名称】尾首 亘聰
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100161539
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 美子
(74)【代理人】
【識別番号】100166637
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100177356
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘昭
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ、マイケル・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、ウェイチン
(72)【発明者】
【氏名】ソアソン、ジョン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ウェブ、ロバート・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ、サニー
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン、モリー・ダブリュー
【審査官】
久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−119332(JP,A)
【文献】
特開2001−019854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 9/00−9/12
C08J 3/00−3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコポリマー及び少なくとも1つのナノフィラーを含むナノ複合体であって、前記コポリマーがマルチオレフィンを含むイソブチレンベースエラストマー誘導単位を含み、
前記ナノフィラーが界面活性剤を含み、前記界面活性剤が構造(R1R2R3R4)N+を有し、式中R1はベンジル誘導単位であり、置換されていてもいなくてもよく、R2はC1乃至C26アルキル、C2乃至C26アルケン、及びC3乃至C26アリールから選択され、R3及びR4は同じかまたは違っていてよく、独立してC9乃至C26アルキル、C9乃至C26アルケン、及びC9乃至C26アリールから選択される、ナノ複合体。
【請求項2】
前記コポリマーが実質的に均一な組成分布を有し、8乃至12重量%のアルキルスチレン部分と1.1乃至1.5重量%のハロゲンを含み、前記コポリマーが6未満のMw/Mn比を有する、請求項1のナノ複合体。
【請求項3】
前記アルキルスチレンがパラ−メチルスチレンである、請求項2に記載のナノ複合体。
【請求項4】
前記アルキルスチレンの25モル%までがハロゲンで官能化されている、請求項2又は3に記載のナノ複合体。
【請求項5】
前記ナノ複合体が第二ポリマーとブレンドされて化合物を形成し、この化合物が5乃至90phrのナノ複合体を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のナノ複合体。
【請求項6】
前記ナノ複合体が熱可塑性ポリマーと混合され、前記ナノ複合体と熱可塑性ポリマーが高剪断条件下で一緒に動的加硫され、ナノ複合体が熱可塑性ポリマー中に微細な分子として分散される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のナノ複合体。
【請求項7】
前記4級アンモニウム界面活性剤がベンジルトリアルキルアンモニウム、メチルベンジルジアルキルアンモニウム、メチルベンジルジ−水素化タローアンモニウム、ジメチルベンジル水素化タローアンモニウム、及びジベンジルジアルキルアンモニウムからなる群より選択される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のナノ複合体。
【請求項8】
ナノ複合体を製造する方法であって、前記ナノ複合体が少なくとも1つのコポリマーと少なくとも1つのナノフィラーを含み、前記方法が
a)溶液中でコポリマーを溶解する工程であって、前記コポリマーがマルチオレフィンを含むイソブチレンベースエラストマー誘導単位を含み、
を含み、前記溶液が溶媒、溶媒の混合物、又は水性相と不溶性の非水性相とからなる乳液からなる群より選択される、工程
b)前記ナノフィラーを溶液に添加する工程であって、前記ナノフィラーは界面活性剤を含み、
前記界面活性剤は(R1R2R3R4)N+の構造を有し、R1はベンジル誘導単位であって、置換されていてもいなくてもよく、R2はC1乃至C26アルキル、C2乃至C26アルケン、及びC3乃至C26アリールから選択され、R3及びR4は同じか又は違っていてもよく、独立してC9乃至C26アルキル、C9乃至C26アルケン、及びC9乃至C26アリールから選択される、工程
c)溶液からナノ複合体を回収する工程、からなる方法。
【請求項9】
ナノフィラーを溶液に添加する工程の前に、前記ナノフィラーを第二溶液に添加する工程を更に含み、前記第二溶液が溶媒、溶媒の混合物、水性相と不溶性の非水性相とからなる乳液からなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2009年12月17日に出願されたUSSN 61/287,622に対して優先権を主張する。該文献を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明はエラストマー性ナノ複合体、このナノ複合体を含む組成物、ナノ複合体を製造する方法、及び製品中へのナノ複合体の使用に関する。より具体的には、本発明は改善された性質及びブレンド特性を有するハロゲン化された、C
4乃至C
7イソオレフィンベースナノ複合体に関する。
【背景技術】
【0003】
イソブチレン単位を主に含むゴムコポリマーは、それらの低気体透過性、独特の防振性、及び低い表面エネルギーで知られている。これらの性質は、インナーライナーのような製品において特に好まれている。最終製品における他のエラストマー組成物とのより良い相溶性又は共架橋性を実現するために、不飽和コノモマー及び/又は反応的な官能性を有するコモノマーがイソブチレンゴムポリマーに導入される。既に知られているコノモマーはイソプレン及びスチレンを含む。このコポリマーは部分的に臭素化(臭素付加)されてより良い相溶性を得る。
【0004】
タイヤ工業は常にタイヤのバリア性質を高めることに関心を抱いている。バリア性質を改善する1つの方法は層状クレイとそれらを混合してエラストマー性ナノ複合体を形成することである。この層状クレイはベースポリマーにおける5つの異なる状態に適合することができる。
【0005】
第一の状態は、「粒子分散」である。ここではクレイ粒子サイズはミクロン単位であるが、ベースポリマー中に均一に分散されている。凝集体及び凝集粒子の語がこの段階を説明するために用いられる。
【0006】
第二の状態は「層間挿入ナノ複合体」である。ここではポリマー鎖が層状クレイ構造へ挿入される。これは、クレイ対ポリマーの比に関わらず結晶学的規則性に従って行われる。層間挿入されたナノ複合体は有機クレイプレートの間に幾つかのポリマーの層を通常含んでいる。約0.3乃至0.7nmの初めの状態から約2.0乃至6.0nmの、ナノクレイがゴムにより膨張してギャラリースペースが増加することが層間挿入状態であると考えられている。
【0007】
第三の状態は「凝結したナノ複合体」である。これは概念的には層間挿入ナノ複合体と同じであるが、クレイ層のヒドロキシル化されたエッジトゥーエッジ(edge-to-edge)作用により個々のクレイ層が時々凝結又は凝集する。
【0008】
第四の状態は、「層間挿入された−凝結されたナノ複合体」である。ナノ複合体中のこのクレイプレートは分離することができるが、タクトイド(tactoid)又は凝集粒子が100乃至500nmの範囲の厚みをに形成されている。
【0009】
第5段階は、「剥離されたナノ複合体」である。剥離されたナノ複合体において、クレイの濃度又はポリマーの付加量に応じた平均距離により、連続ポリマー内に、個々のクレイ層は分離される。
【0010】
しかしながら、エラストマー性ナノ複合体の製造において、疎水性ポリオレフィンエラストマーと親水性無機クレイの間の不相溶性がエラストマー内のクレイの好適な分散又は剥離を達成するのを困難にしている。2つの成分がより相溶性を得るようにクレイ又はエラストマーを修飾することに努力が費やされてきた。ポリマーとクレイの表面の上の間の官能性のよりよい相互作用が高度なクレイ分散及び剥離を導くことが知られている。このことは、同様に、高いバリア性質を有するエラストマーナノ複合体を生産することにもなるだろう。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、タイヤインナーライナー、タイヤインナーチューブ、タイヤ硬化ブラダー、ホース、医療器具、不透過性シート、及び他の同様のアイテム等の、不透過性を必要とする製品に用いることができる改善されたナノ複合体に関する。
【0012】
本明細書に開示されているのは、少なくとも1つのコポリマー及び少なくとも1つのナノ充填剤を含むナノ複合体である。このコポリマーは4乃至7炭素原子を有するイソオレフィン誘導単位とマルチオレフィンとからなる。ナノ充填剤は界面活性剤を含み、この界面活性剤は構造(R
1R
2R
3R
4)N
+を有する。ここにおいて、R
1はベンジル誘導単位であり、置換されていてもいなくてもよい。R
2はC
1乃至C
26アルキル、C
2乃至C
26アルケン、及びC
3乃至C
26アリールから選択される。R
3及びR
4は同じか又は異なっていてもよく、独立して、C
9乃至C
29アルキル、C
9乃至C
26アルケン、及びC
9乃至C
26アリールから選択される。
【0013】
本発明の1つの側面において、このコポリマーは塩素又は臭素のいずれかでハロゲン化されている。
【0014】
本発明の他の態様において、ナノ複合体を形成するコポリマーは実質的に均一な組成分布を有している。このコポリマーは約8乃至約12重量%のアルキルスチレン部分と約1.1乃至約1.5重量%のハロゲンを含み、ここにおいて、このコポリマーは約6未満のMw/Mnの比を有する。好適な態様において、このアルキルスチレンはパラ−メチルスチレンであり、イソオレフィンはイソブチレンである。
【0015】
本発明の他の側面において、このコポリマーがアルキルスチレン誘導単位を含む場合、このアルキルスチレンはハロゲンで官能化されており、アルキルスチレンの25モル%までが、そのように官能化されており、好ましい態様において、10乃至25モル%のアルキルスチレンがハロゲンで官能化される。
【0016】
本発明の他の側面において、このナノ複合体は化合物を形成するときに、第二のポリマーとブレンドされる。そのような化合物において、この化合物は5乃至90phrのナノ複合体を含む。
【0017】
本発明の他の側面において、ナノ複合体を用いて化合物を形成する場合、このナノ複合体は更に充填剤、プロセスオイル、及び硬化パッケージから選択される少なくとも1つの成分とブレンドされる。
【0018】
更なる開示発明において、このナノ複合体は熱可塑性ポリマーとブレンドされる。この熱可塑性ポリマーはポリアミド、ポリイミド、ポリカルボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリラクトン、ポリアセタール、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリルポリマー、スチレン無水マレイン酸ポリマー、芳香族ポリケトン、ポリ(フェニレンエーテル)及びこれらの混合物からなる群より選択される。好適な態様において、このナノ複合体及び熱可塑性ポリマーは高剪断条件下で一緒に動的に加硫され、このナノ複合体は熱可塑性ポリマー内に微細な粒子として分散する。
【0019】
本発明の他の側面において、ナノ充填剤が少なくとも1つのケイ酸塩である。このケイ酸塩はモントモリロナイト、ノントロナイト、ベイデライト、ベントナイト、フォルコンスコイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガタイト、ケニエイト、スチベンサイト、バーミキュライト、ハロサイト、酸化アルミニウム塩、及びハイドロタルサイトからなる群より選択される。
【0020】
更に開示されているものは、ナノ複合体を製造する方法である。このナノ複合体は少なくとも1つのコポリマーと少なくとも1つのナノ充填剤を含む。この方法はa)コポリマーを溶液に溶解する工程、b)この溶液にナノ充填剤を添加する工程、及びc)ナノ複合体を回収する工程を含む。このコポリマーは4乃至7炭素原子を有するイソオレフィン誘導単位とマルチオレフィンとからなる。ナノ充填剤は界面活性剤を含み、この界面活性剤は構造(R
1R
2R
3R
4)N
+の構造を有する。ここにおいて、R
1はベンジル単位であり、置換されていてもいなくてもよい。R
2はC
1乃至C
26アルキル、C
1乃至C
26アルケン、及びC
3乃至C
26アリールから選択される。ここにおいて、R
3及びR
4は同じか、又は異なっていてもよく、独立して、C
9乃至C
29アルキル、C
9乃至C
26アルケン、及びC
9乃至C
26アリールから選択される。この溶液は溶媒、溶媒の混合物、又は水性相及び不溶性非水溶性相とからなる乳液、からなる群より選択される。
【0021】
開示された方法の他の側面において、このナノ充填剤はコポリマーが含まれる溶液にナノ充填剤を添加する前に第二の溶液に添加される。
【0022】
好適な態様及び特許請求の範囲の発明を理解するために本発明の明細書で適用される定義を含む本発明の各種特定の態様、バージョン、及び実施例を説明する。例示的な態様が特に開示されているけれども、各種他の修飾も当業者には明らかであり、当業者は本発明の精神及び範囲内で他の変更を行うことができる。侵害の判断について、発明の範囲は、添付の請求項の1つ又はそれ以上、それらの均等物及び引用されているものに等しい要素又は限定のいずれかを参照する。
定義
【0023】
本開示発明に適用される定義を以下で説明する。
【0024】
ゴムはASTM D1566で定義されている任意のポリマー又はポリマーの組成物を意味する。この定義は、「大きな変形から回復することができる物質であって、沸騰溶媒中に決して溶解しない(しかし膨張することができる)状態に修飾することができる、あるいはそのように既に修飾された物質」である。エラストマーはゴムの語と互換的に使用される語である。エラストマー組成物は前述のように定義された少なくとも1つのエラストマーを含む組成物を意味する。
【0025】
ASTM D1566定義による加硫されたゴム成分とは、「エラストマーからの化合物である、架橋されたエラストマー性物質であって、小さな力によって大きく変形しやすく、変形に係る力を除去すると、おおよそ元の寸法及び形状に素早く力強く回復することができる物質」である。硬化されたエラストマー組成物は、硬化工程を経た任意のエラストマー組成物、及び/又は硬化剤又は硬化剤パッケージの効果的な量を含む又は効果的な量を用いて製造された任意のエラストマー組成物であり、エラストマー組成物の語は架橋されたゴム化合物の語と互換的に用いられる。
【0026】
「phr」の語はゴム100部に対する部数であり、「parts」とも言い、組成物の成分がエラストマー組成物の総量に対して測定された組成物の成分である。全てのゴムに対して総phr又はpartは、1つ、2つ、3つ、又はそれ以の異なるゴム成分が所与の配合割合で存在し、100phrと定義される。他の全ての非ゴム成分はゴム100partsに対して割合が付され、phrで表される。この方法は例えば、1つだけ又はそれ以上の成分のレベルを調節した後に、それぞれの成分についてパーセンテージを再計算することなしに、ゴムの同じ相対割合に基づいて、付加された硬化剤又は充填剤等の異なる成分間を容易に比較可能である。
【0027】
アルキルは、例えば、メチル基(CH
3)、又はエチル基(CH
3CH
2)等の式から1つ以上の水素が脱離することによりアルケン由来のパラフィン系炭化水素を意味する。
【0028】
アリールは、例えば、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等の芳香族化合物の環構造を形成する炭化水素基)を意味し、その構造の中に互い違いの二重結合(不飽和)を通常有している。アリール基は従って、フェニル、又はC
6H
5等の式から1つ以上の水素が脱離することにより、芳香族化合物由来の基である。
【0029】
「置換された」は少なくとも1つの水素原子が少なくとも1つの置換基、例えば、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素、又はヨウ素)、アミノ、ニトロ、スルホキシ(スルホネート又はアルキルスルホネート)、チオール、アルキルチオール、及びヒドロキシ;アルキル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、二級ブチル、三級ブチル等を含む1乃至20炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖;アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、二級ブトキシ、三級ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトイルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、及びデクイルオキシを含む、1乃至20炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖;ハロアルキル、少なくとも1つのハロゲンで置換された1乃至20炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖であり、例えば、クロロメチル、ブロモメチル、フルオロメチル、ヨードメチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2−フルオロエチル、3−クロロプロピル、3−ブロモプロピル、3−フルオロプロピル、4−クロロブチル、4−フルオロブチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、ジフルオロメチル、ジヨードメチル、2,2−ジクロロエチル、2,2−ジブロモエチル、2,2−ジフルオロエチル、3,3−ジクロロプロピル、3,3−ジフルオロプロピル、4,4−ジクロロブチル、4,4−ジブロモブチル、4,4−ジフルオロブチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,3,3−トリフルオロプロピル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、及び2,2,3,3−テトラフルオロプロピルを含む。従って、例えば、「置換されたスチレン単位」はp−メチルスチレン、p−エチルスチレン等を含む。
エラストマー
【0030】
本発明の実施に有用な好適なエラストマーはa)少なくとも1つのC
4乃至C
7イソオレフィンモノマー由来単位とマルチオレフィンモノマーとのコポリマー及びb)C
4乃至C
7イソオレフィンモノマーのホモポリマーを含む。そのようなコポリマーの幾つかはブチルゴムと通常言われている。このコポリマーについて、コポリマー中のイソオレフィン由来単位は1つの態様において総モノマー由来単位の重量により70乃至99.5重量%、及び他の態様において、85乃至99.5重量%の範囲である。このコポリマー中のマルチオレフィン由来単位は1つの態様において30乃至0.5重量%の(混合物)の範囲であり、他の態様において、15乃至0.5重量%の範囲である。更なる態様において、8乃至0.5重量%のコポリマーはマルチオレフィン由来単位である。
【0031】
C
4乃至C
7イソオレフィンは、イソブチレン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ブテン、2−ブテン、メチルビニルエーテル、インデン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサン、及び4−メチル−1−ペンテン等の化合物から選択される。このマルチオレフィンは、イソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ミルセン、6,6−ジメチル−フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、及びピペリレン等のC
4乃至C
14マルチオレフィン、及び米国特許No.5,506,316及び米国特許No.5,162,425に開示されている他のモノマーである。スチレン及びジクロロスチレン等の他の重合可能なモノマーもブチルゴムにおけるホモ重合又は共重合にも好適である。
【0032】
イソオレフィンがイソブチレンの場合、このエラストマーは「イソブチレンベースエラストマー」と言われ、少なくとも、70モル%のイソブチレン由来単位を含むエラストマー又はポリマーを意味する。本発明に有用なイソブチレンベースブチルゴムポリマーの1つの態様は、92乃至99.5重量%のイソブチレンと0.5乃至8重量%のイソプレンとを反応させることにより、又は他の態様では95乃至99.5w重量%のイソブチレンを0.5乃至5.0重量%のイソプレンと反応させることにより、得られる。
【0033】
本発明の好ましい態様におけるエラストマーはハロゲン化されている。ハロゲン化されたブチルゴムは前述の任意のブチルコポリマーのハロゲン化により製造される。ハロゲン化は任意の手段により実施することができ、本発明においてハロゲン化工程を限定しない。ハロゲンの重量%は1つの態様においてハロゲン化されたブチルゴムに基づいて0.1乃至10重量%であり、他の態様において、0.5乃至5重量%である。更なる他の態様において、ハロゲン化されたブチルゴムのハロゲン重量%は1.0乃至2.5重量%である。
【0034】
本発明の他の態様に従って、このコポリマーはC
4乃至C
7イソオレフィン由来単位と、アルキルスチレン由来単位を含むランダムコポリマーであり、このコポリマーは重量により少なくとも85%、又は少なくとも86.5%イソオレフィン単位、約8乃至約12%のアルキルスチレン単位、約1.1乃至約1.5重量%のハロゲンを含む。1つの態様において、このポリマーはC
4乃至C
7α−オレフィンと重量により8乃至12%のメチルスチレンを含むメチルスチレンとのランダムエラストマー性コポリマーである。例示的な物質はポリマー鎖にそってランダムな空間を有する以下のモノマー単位を含むポリマーとして特徴付けされる。
【化1】
ここにおいて、R及びR
1は独立して、ハロゲン、C
1乃至C
7アルキル等の低級アルキル、及び1級又は2級アルキルハライドであり、Xはハロゲンである。1つの態様において、R及びR
1はそれぞれ水素である。
【0035】
ランダムポリマー構造中に存在する総アルキル置換されたスチレン[構造(1)及び(2)の合計]の25モル%までが、1つの態様においてハロゲン化されたアルキル置換構造(2)である。他の態様において、10乃至25モル%である。更なる態様において、ランダムコポリマー自体の官能化された構造(2)の量は約0.8乃至約1.10モル%である。
【0036】
1つの態様において、このエラストマーはイソブチレンとパラメチルスチレン(PMS)を約5乃至約10モル%含むパラ−メチルスチレン(PMS)とのランダムポリマーを含む。ここにおいて、ベンジル環上に存在するメチル置換基の25モル%までが、臭素原子(パラ−(ブロモメチルスチレン))のような臭素又は塩素原子、並びにそれらの酸又はエステル官能化バーションを含む。
【0037】
他の態様において、官能性は基質ポリマー中に存在する官能基と反応し又は極性結合を形成するように選択され、例えば、ポリマー成分が高温で混合される場合、酸、アミノ又はヒドロキシ官能基である。
【0038】
特定の態様において、このランダムコポリマーは、重量により少なくとも95%のポリマーがポリマーの平均パラ−アルキルスチレン含量の10%以内のパラルキル含量を有するポリマーになるような、均一な組成分布を有している。例示的なポリマーは4.0未満、あるいは2.5未満の狭い分子量分布(Mn/Mw)により特徴付けられる。このコポリマーは、ゲルろ過クロマトクグラフィーにより決定される、400,000乃至2,000,000の範囲の例示的な粘度平均分子量及び100,000乃至750,000の範囲の提示的な数平均分子量を有している。
【0039】
上で議論したランダムコポリマーは、通常、ルイス酸触媒および任意で触媒開始剤を用いて、塩化炭化水素及び/又はフッ化炭化水素等のハロゲン化炭化水素を含む希釈剤中で、スラリー重合を介して調製され(米国特許第7,232,872号参照、次いで、ハロゲンと熱、及び/又は光、及び/又は化学開始剤等ラジカル開始剤とが存在する溶液中でハロゲン化、好ましくは臭素化を行い、任意で、次いで、ハロゲンを別の官能化部分に求電子置換する。
【0040】
他の態様において、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−p−メチルスチレン)ポリマーは通常、コポリマー中のモノマー誘導単位の総量によりハロメチルスチレン基を約0.8乃至約1.1モル%含む。他の態様において、このハロメチルスチレン基の量は0.08乃至1.10モル%であり、更なる態様において、0.08乃至1.00モル%であり、更なる態様において0.85乃至1.1モル%であり、更なる態様において、0.85乃至1.0モル%である。ここにおいて、好ましい範囲は任意の上限の値と任意の下限の値の組み合わせである。他の方法で表現すれば、本発明のコポリマーはポリマーの重量に基づいて約1.1乃至約1.5重量%のハロゲンを含み、他の態様においては、1.1乃至1.5重量%のハロゲンを含み、他の態様では1.15乃至1.45重量%のハロゲンを含む。好適な態様において、このハロゲンは臭素又は塩素のいずれかであり、最も好ましい態様において、ハロゲンは臭素である。
【0041】
他の態様において、コポリマーはポリマー主鎖中にハロゲン環又はハロゲンを実質的に含まない。1つの態様において、このランダムポリマーはC
4乃至C
7イソオレフィン誘導単位(又はイソオレフィン)、パラ−メチルスチレン誘導単位、及びパラ−(ハロメチルスチレン)単位のコポリマーであり、前記パラ−(ハロメチルスチレン)単位はパラ−メチルスチレンの総量に基づいて約10乃至約22モル%、ポリマー中に存在し、前記パラメチルスチレン誘導単位は1つの態様においてポリマーの総重量に基づいて8乃至12重量%であり、他の態様において9乃至10.5重量%モルである。他の態様において、このパラ−(ハロメチルスチレン)はパラ−(ブロモメチルスチレン)である。
層状クレイ
【0042】
所望のナノ複合体を形成するために、層状クレイをエラストマーポリマーに取り込む。この層状クレイはときにはそのクレイのサイズによりナノクレイとも言われる。ナノクレイは約0.0001μm乃至約100μmの範囲の最大寸法を有する。ナノクレイの他の特徴は表面面積対容量の高い比である。このことは、非常に小さい最大距離を有するがグラム当りの表面面積と容量との比が非常に小さい微粒子カーボンブラックとは異なる。この高い表面面積と容量との比はシート状構造を有するナノクレイを提供する。そのような物質は通常凝集して、層状クレイになる。
【0043】
この層状クレイは好ましくは、「スメクティック」又は「スメクティックタイプクレイ」と言われている結晶格子を拡張しているクレイ物質の一般的なクラスに属する。例として、このことはモントモリロナイト、ベイデライト、及びノントロナイトからなるジオクタヘドラル(二八面体)(dioctahedral)スメクティックス、サポナイト、ヘクトライト、及びソーコナイトを含むトリオクタヘドラル(三八面体)(trioctahedral)スメクティクスを含む。合成されたスメクティククレイも含まれる。
【0044】
他の態様において、この層状クレイはモントモリロナイト、ノントロナイト、ベリデライト、ベントナイト、フォルコンスコイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニヤイト、スチベンサイト等、並びにバーミキュライト、ハロサイト、酸化アルミニウム、ハオドロタルサイト等の天然又は合成フィロシリケートを含む。
【0045】
前述の層状クレイは層状フィラーの内部層表面に存在するアニオンをイオン交換反応をすることができる少なくとも1つの試薬、添加剤、又は界面活性剤によるインターカレーション又は層剥離により修飾して、クレイをより疎水性にする。この試薬、添加剤、又は界面活性剤は、層状充填剤の層間表面に存在するアニオンとイオン交換反応をすることができる能力について選択される。好適な化合物はカチオン界面活性剤、好ましくは少なくとも2つの高分子量基と2つまでの低分子量基が窒素に結合している4級アンモニウムである。
【0046】
本願発明者らは、ポリマー中のクレイ層の分離においてベンジル官能基を含む層状クレイが予期しない改善を提供し、それゆえ、エラストマー組成物の不透過性を改善することを発見した。4級アンモニウムに結合された低分子量基の1つはベンジル誘導単位である。このアンモニウムは以下の式で表される:
(R
1R
2R
3R
4)N
+
式中R
1はベンジル誘導単位であり、置換されていてもいなくても良い。R
2はC
1乃至C
26アルキル、C
2乃至C
26アルケン、及びC
3乃至C
26アリールから選択される、R
3及びR
4は同じまたは異なっていてもよく、独立してC
9乃至C
26アルキル、C
9乃至C
26アルケン、及びC
9乃至C
26アリールから選択される。
【0047】
好適な4級アンモニウムは、ベンジルトリアルキルアンモニウム、メチルベンジルジアルキルアンモニウム、メチルベンジルジ−ヒドロ化タローアンモニウム、ジメチルベンジル水素化タローアンモニウム、及びジベンジルジアルキルアンモニウムを含むがこれらに限定されない。
【0048】
ナノ複合体は乳化ブレンド、溶液ブレンド、及び溶融ブレンド等の各種プロセスを用いて形成することができる。しかしながら、これらの方法は決して、ナノ複合体の製造のみに用いられるものではない。
溶融ブレンド
【0049】
本発明のナノ複合体はポリマー溶融ブレンド法で形成することができる。成分のブレンドはポリマー成分と層間物質状態のクレイとをBanbury(商標)ミキサー、Brabender(商標)ミキサー、又は好ましくはミキサー/押出成形器等の好適な混合装置においての結合し、および剪断条件下の120℃乃至300℃の範囲の温度で混合して、クレイ層間物質を剥離させてポリマー中に均一に分散させて、ナノ複合体を形成することより行うことができる。
乳化方法
【0050】
乳化法において、無機クレイの水性溶液が溶媒(セメント)中に溶解されているポリマーと混合される。この混合を激しく行って、乳液又はミクロ乳液を形成する。幾つかの態様において、この乳液は有機溶媒中の水性溶液又は懸濁液として形成される。バッチ又は連続方法を含むラボスケール及び工業スケールの両方の標準的な方法及び装置が本発明のポリマー性ナノ複合体を製造するために用いることができる。
【0051】
特定の態様において、ナノ複合体は水と少なくとも1つの層状クレイとを含む溶液Aを溶媒及び少なくとも1つのエラストマー含む溶液Bと接触させる工程、溶媒及び水を溶液A及び溶液Bの接触生成物から除去してナノ複合体を回収する工程を含む方法により製造される。特定の態様において、この乳液は混合物を高剪断混合を用いて撹拌して形成される。
【0052】
幾つかの態様において、ナノ複合体は水と少なくとも1つのクレイを含む溶液Aと溶媒と少なくとも1つのエラストマーを含む溶液Bを接触させる工程を含む方法で製造される。ここにおいて、この接触は乳化剤又は界面活性剤の存在下で行われる。
【0053】
乳液を炭化水素、水及び用いる場合は界面活性剤の混合物を、商業的に用いられているブレンダー又はその均等物中で乳液を形成するのに十分な時間、例えば、少なくとも2秒のような、十分な剪断力に曝すことにより形成される。この乳液は、連続的又は断続的な撹拌をしてもよいし、しなくてもよく、他の温度制御をして加熱してもよいし、しなくてもよいが、クレイの剥離を高めるために十分な時間、例えば、1つの態様では0.1乃至100時間、他の態様では1乃至50時間、及び他の態様では2乃至20時間、乳化のままにしておくことができる。
【0054】
界面活性剤を用いる場合は、その濃度は相対的に安定な乳液を形成するのに十分な濃度である。好ましくは、用いる界面活性剤の量は乳液の総量の少なくとも0.001重量パーセント、より好ましくは約0.001乃至約3重量パーゼント、及び最も好ましくは0.01乃至2重量%未満である。
【0055】
本発明の乳液の調製に有用なカチオン界面活性剤は3級アミン、ジアミン、ポリアミン、アミン、並びに4級アンモニウム化合物を含む。本発明の乳液の調製に有用な非イオン界面活性剤はアルキルエトキシレート、直鎖アルコールエトキシレート、アルキルグルコシド、アミドエトキシレート、アミンエトキシレート(例えば、ココ(coco)−、タロー(tallow)−、及びオレイル−アミンエトキシレート)、フェノールエトキシレート、及びノニルヘノールエトキシレートを含む。
溶液ブレンド
【0056】
溶液工程において、ナノ複合体は炭化水素溶媒及び少なくとも1つの層状ナノフィラー又はクレイを含む溶液Aを溶媒及び少なくとも1つのエラストマーを含む溶液Bと接触させる工程と、溶液A及び溶液Bの接触生成物から溶媒を除去して、ナノ複合体を形成する工程とを含む。
【0057】
層状ナノフィラーは前述のように有機分子で処理された層状クレイでよい。更なる態様において、ナノ複合体は少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの層状フィラーとを溶媒中で接触させる工程、及び接触生成物から溶媒を除去してナノ複合体を形成する工程を含む方法により生成される。
【0058】
他の態様において、ナノ複合体は少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの層状フィラーとを溶媒混合物中で接触させる工程、及び接触生成物から溶媒混合物を除去してナノ複合体を形成する工程を含む方法により生成される。
【0059】
更なる他の態様において、ナノ複合体は少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの層状フィラーを少なくとも2つ以上の溶媒を含む溶媒混合物中で接触させる工程、及び接触生成物からこの溶媒混合物を除去してナノ複合体を形成する工程とを含む方法により生成される。
【0060】
他の態様において、ナノ複合体は少なくとも1つのエラストマーを溶解する工程とその後少なくとも1つの層状フィラーを溶媒又は少なくとも、2つの溶媒を含む溶媒混合物中に分散する工程、及び接触生成物から溶媒混合物を除去してナノ複合体を形成する工程を含む接触生成物を形成する方法により生成される。
【0061】
更なる態様において、ナノ複合体は少なくとも1つの層状フィラーを分散させる工程及び少なくとも1つのエラストマーを溶媒又は少なくとも2つの溶媒を含む溶媒混合物中に溶解する工程を含む接触生成物を形成する方法、並びに接触生成物から溶媒混合物を除去してナノ複合体を形成する工程により生成される。
【0062】
前述の態様において、ナノ複合体組成物の生成において、溶媒は組成物の重量にもとづいて、30乃至99重量%、または40乃至99重量%、又は50乃至99重量%、又は60乃至99重量%、又は70乃至99重量%、又は80乃至99重量%、又は90乃至99重量%、又は95乃至99重量%存在する。
【0063】
代替的に、特定の態様において、2つ以上の溶媒がナノ複合体組成物の生成において調製される場合、それぞれの溶媒は、存在する全ての溶媒の総容量に基づいて、0.1乃至99.9容量%、1乃至99容量%、5乃至95容量%、及び代替的に10乃至90容量%含まれる。
【0064】
ナノ複合体中に取り込まれるナノクレイの量は、クレイの取込に用いる方法にかかわらず、ナノ複合体の機械的性質又はバリア機能、例えば、引っ張り強度又は酸素透過性、において改善が見られるのに十分な量であるべきである。一般的な量は、ナノ複合体のポリマー成分に基づいて、1つの態様において0.5乃至10重量%、他の態様において1乃至5重量%である。ゴム100重量部(phr)で表すと、ナノクレイは1つの態様において1乃至50phr、他の態様において5乃至20phr、他の態様において5乃至10phr、及び更なる態様において5乃至10phrである。
【0065】
好適な溶媒は、C
4乃至C
22直鎖、環状、分岐のアルカン、アルケン、芳香族及びこれらの混合物を含むアルカン等の炭化水素を含む。例としては、プロパン、イソブタン、ペンタン、メチルシクロペンタン、イソヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2−メチルブタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2−メチルヘプタン、3−エチルヘキサン、2,5−ジメチルへキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、オクタン、ヘプタン、ブタン、エタン、メタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサン、メチルシクロへキサン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、1,1−ジメチルシクロペンタン、シス1,2―ジメチルシクロペンタン、トランス−1,2−ジメチルシクロペンタン、トランス−1,3−ジメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロへキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、オルト−キシレン、パラ−キシレン、メタ−キシレン、及びこれらの混合物を含む。
【0066】
他の態様において、好適な溶媒はC
2乃至C
22チッ化、直鎖、環状、及び分岐アルカンを含む1つ以上のチッ化アルカンを含む。チッ化アルカンはニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロペンタン、ニトロヘキサン、ニトロヘプタン、ニトロオクタン、ニトロデカン、ニトロノナン、ニトロドデカン、ニトロウンデカン、ニトロシクロメタン、ニトロシクロエタン、ニトロシクロプロパン、ニトロシクロブタン、ニトロシクロペンタン、ニトロシクロへキサン、ニトロシクロヘプタン、ニトロシクロオクタン、ニトロシクロデカン、ニトロシクロノナン、ニトロシクロデカン、ニトロシクロウンデカン、ニトロベンゼン、並びに前述の化合物のジ−及びトリ−ニトロバージョン、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0067】
他の態様において、好適な溶媒はC
1乃至C
22アルコール、ケトン、エーテル、カルボン酸、エステル並びにこれらの混合物の少なくとも1つの酸化物を含む。他の好適な溶媒は、WO2006/085957に更に記載されている。
【0068】
前述の化合物の更にハロゲン化されたバージョンも用いられ、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、クロロホルム、及びこれらの混合物を含む、塩化炭化水素として用いられる。
【0069】
充分に製剤化された化合物において、乳液又は溶液工程を用いてコポリマー又はナノクレイを混合して、予備混合されたナノ複合体エラストマーを生成する場合、ベースエラストマー、ナノ複合体の量は100重量部(phr)で表す。このナノ複合体は所定のクレイ添加量を有するように調製される。
添加剤の配合
【0070】
エラストマー性ナノ組成物は十分に配合されたエラストマーになるように追加的な成分とブレンドされる。用いてよい添加剤は従来の充填剤、ナノフィラー、加工助剤及びオイル、並びに硬化パッケージを含む。
【0071】
従来のエラストマー性充填剤は、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、非有機クレイ、タルク、二酸化チタン、及びカーボンブラックである。1つ以上のフィラーを用いることができる。本明細書において、シリカは、溶液、発熱性等の方法により処理され、未処理、沈殿シリカ、結晶性シリカ、コロイドシリカ、アルミニウム又はカルシウムシリケート、等を含む表面面積を有する、任意のタイプ又は粒子サイズのシリカ又は他のシリカ酸誘導体、又はケイ酸を含む。
【0072】
1つの態様において、この充填剤はカーボンブラック又は修飾されたカーボンブラック、及びこれらの任意の組み合わせである。他の態様において、この充填剤はカーボンブラックとシリカとの混合物である。タイヤトレッド及びサイドウォールについての従来の充填剤の量は、強化クレードのカーボンブラックでは、ブレンドの10乃至100phrのレベルで存在し、より好ましくは他の態様では30乃至80phrdあり、更なる態様において50乃至80phrである。
架橋剤、硬化剤、硬化パッケージ、及び硬化工程
【0073】
一般的に、例えば、タイヤの製造に用いられる、ポリマーブレンドは架橋されて、ポリマーの機械的性質を改善する。加硫されたゴム化合物の物理的性質、性質性能、及び耐休性は硬化反応の間に形成される架橋の数(架橋密度)及びタイプに直接関係することが知られている。
【0074】
本発明の特定の態様において、エラストマー組成物及びそれらの組成物から製造された製品は少なくとも1つの硬化剤又は架橋際を含み、エラストマー組成物を硬化する工程に供することが可能となる。本明細書において、少なくとも1つの硬化剤パッケージは、従来工業的に行われているゴムに硬化性質を付与することができる任意の物質又は方法を意味する。少なくとも1つの硬化剤パッケージは任意の及び少なくとも以下を含む。
【0075】
1つ以上の硬化剤は、特に、シリカが主な充填剤である場合、又はシリカが他のフィラーと共に存在している場合、好ましくは本発明のエラストマー組成物に用いられる。好適な硬化剤成分は、硫黄、金属酸化物、有機金属化合物、及びラジカル開始剤を含む。
【0076】
過酸化硬化剤システム又はレジン硬化システムも用いることができる。しかしながら、もしエラストマーが熱可塑性物と組み合わされてDVAを形成する場合(熱可塑性物は非架橋であることが好ましい。)、熱可塑性樹脂は過酸化物の存在下で熱可塑性樹脂を架橋するので、過酸化硬化物の使用を避ける。
【0077】
硫黄はジエン含有エラストマーについて最も一般的な化学架橋剤である。これは斜方晶形(ひし形)の8員環又はアモルファスポリマー形態で存在する。典型的な硫黄化流システムは促進剤からなり、硫黄、活性化剤、及び遅延剤を活性化して、加硫の速度を制御する。この加速剤は加硫の開始及び速度、形成される硫黄架橋の数とタイプを制御するために提供される。活性剤は硬化剤及び促進剤と組合わせて用いることもできる。この活性剤は初めに促進剤と反応してゴム−溶液(可溶化)複合体を形成し、その後硫黄と反応して硫化剤を形成する。活性剤の一般的なレベルは、アミン、ジアミン、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、スルフェンイミド、チオカルバメート、キサンタン等を含む。遅延剤は硬化の開始を遅らせるために用い、未加硫ゴムがプロセス中に十分滞留できるようにする。
【0078】
本発明のハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−p−メチルスチレン)等のハロゲン含有エラストマーは金属酸化物との反応により架橋される。この金属酸化物はポリマー中のハロゲン基と反応して、活性中間体を形成し、その後反応して炭素−炭素結合を形成する。金属ハライドは副生成物として放出され、この反応についての自触媒として提供される。一般的な硬化剤は、ZnO、CaO、MgO、Al
2O
3、CrO
3、FeO、Fe
2O
3、及びNiOを含む。これらの金属酸化物は単独又は対応する金属脂肪酸複合体(例えば、Zn、Ca、Mg、及びAlのステアリン酸塩)と一緒に用いられる。より好ましくは、カップリング剤は二官能性有機シラン架橋剤である。「有機シラン架橋剤」任意のシラン結合フィラー及び/又は架橋活性剤及び/又はシラン強化剤であり、当業者に知られている。例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(ベータ−メトキシ)シラン、メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノ−プロピルトリエトキシシラン(Witoco社からA110として販売されている)、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Witoco社からA189として販売されている)等、並びにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。1つの態様において、ビス−(3−トリエトキシプロピル)テツラスルフィド(Si69として販売されている)も用いられる。
【0079】
エラストマーの促進された加硫についてのメカニズムは硬化剤、促進剤、活性剤、及びポリマーの間の複雑な相互作用を含む。理想的には、全ての利用可能な硬化剤が消費されて、効果的な架橋を形成し、2つのポリマー鎖を結合しポリマー基質の全体の強度を向上する。多くの促進剤が知られており、例としては、ステアリン酸、ジフェニルグアニジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、4,4’−ジチオジモルフォリン、テトラブチルチウラムジスルフィド、ベンゾチオアジルジスルフィド、ヘキサメチレン−1,6−ビスチオスルフィド塩二水和物(Flexsys社よりDURALINK(商標) HTSとして入手可能)、2−モルフォリノチオベンゾチアゾール(MBS又はMOR)、90%MORと10%MBSTとのブレンド(MOR90)、及びN−オキシジエチレンチオカルバミル−N−オキシジエチレンスルホアミド、ジンク2−エチルヘキサノエート、及びチオウレアを含むがこれらに限定されない。
【0080】
エラストマー組成物は、有効量の非変色性の及び非変色加工助剤、プロセスオイル、顔料、抗酸化剤、及び/又はオゾン化防止剤等のゴム混合物に用いられている他の化合物及び添加剤を含む。
第二エラストマー
【0081】
1つの態様において、これまで議論されたエラストマー性ナノ複合体は化合物の唯一のエラストマー成分であり、それゆえ前述の利点の全てをもたらす。代替的に、他の態様において、本発明のコポリマーは別の/第二のエラストマー性ポリマーとブレンドして他の所望の性質又は性能を有する化合物を得る。
【0082】
他のエラストマー、又は一般的な目的のゴムの例としては、天然ゴム(NR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)ゴム(SBR)、ポリ(イソプレン−co−ブタジエン)ゴム(IBR)、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)及びこれらの混合物を含む。
【0083】
化合物中にブレンドされたとき、本願開示のエラストマーは、単独又は他のエラストマーとのブレンドとして(即ち、反応ブレンド、溶融混合のような物理的ブレンド)、組成物中に1つの態様において10phr乃至90phr、他の態様において10phr乃至80phr、他の態様において30phr乃至70phr、他の態様において40pr乃至60phr、他の態様において5乃至50phr、他の態様において5乃至40phr、他の態様において20乃至60phr、他の態様において20乃至50phr存在し、組成物から得られる製品の所望の最終用途に応じて選択される。
工業的製品
【0084】
本発明により製造されたエラストマー性ナノ複合体は、本明細書で開示されるような硬化されたナノ複合体組成物又は製品において、40℃以下で測定される酸素透過性が125mm.cc/[m
2.日]、以下である。あるいは、本明細書に記載のように、硬化されたナノ複合体化合物で測定される、酸素透過性は、40℃以下で、120mm.cc/[m
2.日]、110mm.cc/[m
2.日]、100mm.cc/[m
2.日]、90mm.cc/[m
2.日]、又は80mm.cc/[m
2.日]である。
【0085】
気体の透過率又はタイヤインナーライナー等の膜の透過性は3つの別々の工程からなる。第一に気体分子が膜の片側に分散しなければならない、その後、膜又はライナーを通過して、低い気体濃度の膜の反対側へ拡散する、速度は拡散勾配のサイズに依存している、その後隣接するタイヤ成分又は他の媒体へ蒸発又は分散する。酸素及び窒素分子のサイズはそれぞれ2.9及び3.1Åである。拡散の活性エネルギーは酸素及び窒素についてそれぞれ49.5及び50.6KJ/molであると報告されている。これらの値は明らかに、酸素拡散は窒素の拡散より容易であり、酸素の透過性の値は窒素のものよりも高いことを示唆している。
【0086】
酸素透過性はMOCON OxTran Model2/61を用いて測定された。側定値の単位はcc−m
2−日−mmHgである。一般的に、この方法は以下の様である:平らなフィルム又はゴムサンプルを分散セルに固定する。分散セルは無酸素キャリアガスを用いて、残存酸素を除去してある。このキャリアガスはセンサーユニットのほうへ値がゼロになるまで転送される。精製酸素又は空気がその後分散セルのチャンバーの外に導入される。内部チャンバーへのフィルムを通過する酸素拡散が酸素拡散速度を測定するセンサーに伝わる。
【0087】
透過性は以下の方法により測定された。サンプル組成物からの薄い、加硫された試験片を拡散セル中にマウントして65℃のオイル中に浸した。所与の試験片を通じて透過する空気に必要な時間を記録して空気透過性を決定する。試験片は円形プレートであり、12.7cmの直径、及び0.38mmの厚みである。測定している空気透過性におけるエラー(2σ)は±0.245(x10
8)単位である。
【実施例】
【0088】
本開示発明に従って調製されたナノ複合体の性質を決定するために実施を行った。
【0089】
ナノ複合体1:
メチルベンジルジアルキルアンモニウム界面活性剤を含む層状クレイの10.2gを150gの臭素化イソブチレン−co−p−メチルスチレンコポリマー(BISM)セメント(ヘキサン中20.4重量%)に添加した。このコポリマーは10重量%のパラ−メチルスチレン(PMS)と0.85モル%の臭素化パラ−メチルスチレン(BrPMS)とを有する。ポリマーセメント中のクレイスラリーを室温で10分間撹拌し、他の340gのコポリマーセメント(ヘキサン中20.4重量%)を添加した。混合を室温で50分続けた。このポリマーセメントにイソプロピルアルコールを2,000ml添加して生成物を沈殿させた。蒸気ストリッピングで溶媒を除去し、80℃のバキュームオーブン中で16時間乾燥して、生成物を得た。
【0090】
ナノ複合体2:
メチルベンジルジアルキルアンモニウム界面活性剤を含む層状クレイ10.2gを490gのBISMセメント(コポリマー:10重量%のPSMと0.85モル%のBrPMS/ヘキサン中20.4重量%)に添加した。このポリマーセメント中のクレイスラリーを室温で60分間撹拌した。このポリマーセメントに2,000mlのイソプロピルアルコールを添加して生成物を沈殿させた。蒸気ストリッピングで溶媒を除去し、80℃のバキュームオーブンで16時間乾燥させて、生成物を得た。
【0091】
ナノ複合体3:9.3gのメチルベンジルジアルキルアンモニウム界面活性剤を含む層状クレイを150mlのヘキサンに添加した。このクレイスラリーを室温で10分間撹拌して、490gのBISMセメント(コポリマー:10重量%PMS及び0.85モル%のBrPMS/ヘキサン中20.4重量%の溶液)及び500mlのイソヘキサンに添加した。混合を室温で50分間行った。このポリマーセメントに2,000mlのイソプロピルアルコールを添加して沈殿物を生成した。溶媒を蒸気ストリッピングで除去して、80℃のバキュームオーブンで16時間乾燥させて、生成物を得た。
【0092】
ナノ複合体4:378.5リットルのガスライナー反応器に149.2kgのBIMSセメント(コポリマー:10重量%PMS及び0.85%モル%BrPMS/ヘキサン中21重量%の溶液)及び90.8リットルのイソヘキサンを装填した。
メチルベンジルジアルキルアンモニウム界面活性剤を含む層状クレイ3325gを添加して、反応器に10psigの窒素を装填して、50℃に加熱した。反応器の内容物を循環させて、約7分の反応器の内容物がひっくりかえるように(反転するように)、50℃で3.5時間混合した。3時間後、この反応器を室温まで冷却した。このポリマーセメントを蒸気ストリッパーに移して、蒸気ストリッピングにより溶媒を除去した。得られた生成物を脱水エクスペラー及び乾燥押出成形器を用いて乾燥させた。
【0093】
ナノ複合体5:2839ガラスライナー反応器に833kgのBIMSセメント(コポリマー:10重量%PMS及び0.85モル%のBrPMS/ヘキサン中21重量%溶液)及び253.6リットルのイソヘキサンを添加した。378.5リットルのガラスライナー反応器に18,915gのメチルベンジルジアルキルアンモニウム界面活性剤を含む層状クレイ及び253.6リットルのイソヘキサンを添加した。378.5リットルの反応器に10psigの窒素を挿入して、50℃に加熱した。反応器の内容物が約7分で反転するように、50℃で5時間回転させて撹拌した。5時間後、クレイスラリーを750ガロン反応器に移した。反応器の内容物を室温で12時間回転させて通気した。12時間後、ポリマーセメントを蒸気スロリッパーに移して、蒸気ストリッピングにより溶媒を除去した。得られた生成物を脱水エクスペラー及び乾燥押出成形器を用いて乾燥させた。
【0094】
比較ナノ複合体6:9.8gのジメチルベンジルアルキルアンモニウム界面活性剤を含む有機クレイ(Southern Clay Products、ゴンザレス、テキサス、USAからのCloisite 10A(商標))を200gのBIMSセメント(コポリマー:10重量%PMSと0.85モル%のBrPMS/ヘキサン中20.4重量%溶液)に添加した。ポリマーセメント中のクレイスラリーを高剪断ミキサーを用いて室温で10分間撹拌し、他の290gのBIMSセメント(ヘキサン中20.4重量%溶液)を添加した。混合を室温で50分間続けた。セメント混合物に2,000mlのイソプレンアルコールを添加して沈殿物を生成した。蒸気ストリッピングにより溶媒を除去し、80℃のバキュームオーブン中で16時間乾燥させて、生成物を得た。
【0095】
比較ナノ複合体7:9.7gのジメチルジタローアンモニウム界面活性剤を含む有機クレイ(Southern Clay Products、ゴンザレス、テキサス、USAからのCloisite 20A(商標))を200gのBIMSセメント(コポリマー:10重量%PMSと0.85モル%のBrPMS/ヘキサン中20.4重量%溶液)に添加した。ポリマーセメント中のクレイスラリーを高剪断ミキサーを用いて室温で10分間撹拌し、他の290gのBIMSセメント(ヘキサン中20.4重量%溶液)を添加した。混合を室温で50分間続けた。セメント混合物に2,000mlのイソプレンアルコールを添加して沈殿物を生成した。蒸気ストリッピングにより溶媒を除去し、80℃のバキュームオーブン中で16時間乾燥させて、生成物を得た。
【0096】
比較ナノ複合体8:100gのBIMS(コポリマー:10重量%PMSと0.85モル%BrPMS)を2リットル反応器中のシクロへキサン1200mlに添加した。このポリマーセメントを75℃に加熱した。3.0gのビス(2−ヒドロキシエチル)ココアルキルアミン及び5.0gのジメチルジタローアンモニウム界面活性剤を含む有機クレイ(Southern Clay Products、ゴンザレス、テキサス、USAからのCloisite 6A(商標))をシクロへキサンと混合して、反応器に添加した。反応を75℃で3時間維持した。ポリマーセメントに2,000mlのイソプロピルアルコールを添加して沈殿物を生成させた。60℃のバキュームオーブンで24時間乾燥させて生成物を得た。
【0097】
比較ナノ複合体9:2リットルの反応器に1200mlのトルエン及びジメチルジタローアンモニウム界面活性剤を有する有機クレイ(Southern Clay Products、ゴンザレス、テキサス、USAからのCloisite 20A(商標))12gを添加した。クレイが十分溶媒中に分散したときに、150gのBIMS(コポリマー:10重量%PMS及び0.85モル%BrPMS)を反応器に添加して撹拌した。ポリマーが分散した後、セメントを70℃に加熱して、70℃で2時間維持した。生成物を大きなパンの中に収集して、(排気)フードの下で蒸発させた。得られた生成物を70℃で24時間、バキュームオーブン中で乾燥させた。
【0098】
比較ナノ複合体10:378.5リットルのガラスライナー反応器に15.87kgのBIMS(コポリマー:10重量%PMS及び0.85モル%のBrPMS)及び127kgのシクロヘキサンを添加した。反応器の内容物をポリマーが溶解するまで、室温で24時間撹拌した。160gのビス(2−ヒドロキシエチル)ココアルキルアミンと635gのジメチルジタローアンモニウム界面活性剤を有する有機クレイ(Southern Clay Products、ゴンザレス、テキサス、USAからのCloisite 6A(商標))を2000mlのシクロヘキサンと混合して、その後反応器に添加した。温度を75℃に上げ、反応器を75℃で2時間維持した。2時間後、反応器を室温まで冷却した。このポリマーセメントを蒸気ストリッパーに添加して、溶媒を蒸気ストリッピングで除去した。得られたポリマーを脱水エクスペラー及び乾燥押出成形器を用いて乾燥させた。
【0099】
化合物サンプルを本発明のナノ複合体と比較例のナノ複合体を用いて製造した。各サンプルを以下の成分処方で製造した:106phrのナノ複合体、60.0phrのN600カーボンブラック、1.0phrのステアリン酸、1.0phrの酸化亜鉛、及び1.0phrのMBTS硬化剤。106phrのナノ複合体は100phrのエラストマーと6phrのクレイとからなる。サンプルを135℃、で60rpmのBrabender(商標)ミキサー中の36gのナノ複合体と20gのカーボンブラックを7分間混合してサンプルを調製した。硬化剤、33gステアリン酸、0.33g酸化亜鉛、及び0.33gのMBTSを添加して、混合を45℃、40rpmで4分間行った。ナノ複合体のサンプルを170℃で硬化させた。試験片は、Mocon透過性測定用に切断された。透過速度は40℃でMocon OXTRAN2/61装置で測定した。以下の表1に透過速度を提供する。
【表1】
【0100】
上記のデータより、本発明のサンプルの透過性は比較サンプルよりも有意に低い。理論に拘束されることは意図しないけれども、4級アミン上の1つのベンジル誘導単位と少なくとも2つの長鎖誘導単位の特定の組み合わせが炭化水素溶媒中で高い分散を提供したと信じられる。この高められた分散は溶解されたコポリマー溶液中でクレイのより硬度な剥離及び分散を提供する。
【0101】
バリア製品に、ナノ複合体を用いたときの性質を決定するために、実施例4のナノ複合体をタイヤインナーライナーとして評価して、ブロモブチルベースインナーライナー、BIMSベースインナーライナー化合物、及び別のBISMナノ複合体を用いたインナーライナーと比較した。処方及び重要な性質を以下の表2で提供する。
【表2】
【0102】
表2における平均透過速度は各化合物のいくつかについて測定される平均透過速度の平均である。
【0103】
実施例4のナノ複合体を用いて調製した化合物は、比較例の組成物−その中に相当量のナノクレイを含む(10phr)とBISMベースポリマーを含むC4のものを含む−よりも大幅に低い透過速度を示した。このことは更に、ベンジルと長い置換基の両方を有する特定のクレイがナノ複合体組成物において低い透過性を提供することを証明している。
【0104】
本発明は従って以下の態様を提供する:
A.少なくとも1つのポリマー及び少なくとも1つのフィラーを含むナノ複合体であって、前記ナノ複合体は4乃至7炭素原子を有するイソオレフィン誘導単位及びマルイチオレフィンからの誘導単位を有し、及びナノフィラーが界面活性剤をふくみ、該界面活性剤が(R
1R
2R
3R
4)N
+の構造を有し、式中、R
1はベンジル誘導単位であって、置換されていてもいなくてもよく、R
2はC
1乃至C
26アルキル、C
2乃至C
26アルケン、及びC
3乃至C
26アリールから選択され、R
3及びR
4は同じかまたは異なり、独立してC
9乃至C
26アリキル、C
9乃至C
26アルケン、及びC
9乃至C
26アリールから選択される。
B.態様Aのナノ複合体であって、コポリマーが塩素又は臭素でハロゲン化されている、ナノ複合体。
C.態様A又はBのナノ複合体であって、前記コポリマーが実質的に均一な組成分布を有し、約8乃至約12重量%のアルキルスチレン部分と約1.1乃至約1.5重量%のハロゲンとを含み、前記コポリマーが6未満のMw/Mnを有する、ナノ複合体。
D.態様Cのナノ複合体であって、前記アルキルエチレンがパラ−メチルスチレンであり、イソオレフィンがイソブチレンを含む、ナノ複合体。
E.態様C又はDのナノ複合体であって、前記アルキルスチレンがハロゲンで官能化されており、アルキルスチレンの25モル%までが、そのように官能化されている、ナノ複合体。
F.態様Eのナノ複合体であって、10乃至25モル%のアルキルスチレンがハロゲンで官能化されている、ナノ複合体。
G.態様A乃至Fのいずれか1つの態様に記載のナノ複合体であって、ナノ複合体が第二のポリマーとブレンドされ、化合物を形成し、この化合物が5乃至99phrのナノ複合体を含む、ナノ複合体。
H.態様Gのナノ複合体であって、前記第二ポリマーが、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)ゴム、ポリ(イソプレン−co−ブタジエン)ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、及びこれらの混合物からなる群より選択される、ナノ複合体。
I.態様A乃至Hのいずれ1つの態様に記載のナノ複合体であって、ナノ複合体がフィラー、プロセスオイル、及び硬化パッケージからなる群より選択される少なくとも1つの成分とブレンドされる、ナノ複合体。
J.態様A乃至Iのいずれか1つの態様に記載のナノ複合体であって、前記ナノ複合体が、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアクトン、ポリアセタール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンフルフィド、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリルポリマー,スチレン無水マレイン酸ポリマー,芳香族ポリケトン、ポリ(フェニレンエーテル)及びこれらの混合物からなる群より選択される、ナノ複合体。
K.態様Iのナノ複合体であって、前記ナノ複合体及び熱可塑性ポリマーが高剪断条件下で一緒に動的に加硫され、前記ナノ複合体が熱可塑性ポリマー中に微細な粒子として分散する、ナノ複合体。
L.態様A乃至Kのいずれか1つの態様におけるナノ複合体であって、前記ナノフィラーが少なくとも1つのシリケートであり、モントモリロナイト、ノントロナイト、ベオイデライト、ベントナイト、フォルコンスコイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガタイト、ケニヤライト、スチベンライト、バーミキュライト、ハロサイト、酸化アルミニウム、及びハイドロタルクからなる群より選択される、ナノ複合体。
M.態様A乃至Lのいずれか1つの態様に記載のナノ複合体であって、前記4級アンモニウム界面活性剤がベンジルトリアルキルアンモニウム、メチルベンジルジアルキルアンモニウム、メチルベンジル二水素化タローアンモニウム、ジメチルベンジル水素化タローアンモニウム、及びベンジルジアルキルアンモニウムからなる群より選択される、ナノ複合体。
N.ナノ複合体を製造する方法であって、前記ナノ複合体が少なくとも1つのコポリマー及び少なくとも1つのナノフィラーを含み、前記方法が、
a)ポリマーを溶媒に溶解する工程であって、前記コポリマーが4乃至7炭素原子のイソオレフィン誘導単位とマルチオレフィンとを含み、前記溶液が溶媒、溶媒の混合物、又は水性相と相溶性のない非水性相とからなる乳液である、工程、
b)溶液にナノフィラーを添加する工程であって、前記ナノフィラーは界面活性剤を含み、前記界面活性剤は(R
1R
2R
3R
4)N
+の構造を有し、R
1はベンジル誘導単位であって、置換されていてもいなくてもよく、R
2はC
1乃至C
26アルキル、C
2乃至C
26アルケン、及びC
3乃至C
26アリールから選択され、R
3及びR
4は同じか又は違っていてもよく、独立してC
9乃至C
26アルキル、C
9乃至C
26アルケン、及びC
9乃至C
26アリールから選択される、工程
c)溶液からナノ複合体を回収する工程、からなる方法。
O.態様Nの方法であって、前記ナノフィラーがナノフィラーを溶液を含むコポリマーに添加する前に第二容器に添加し、前記第二溶液が溶媒、溶媒の混合物、及び水性相と不溶性の非水性相とからなる乳液からなる群より選択される、方法。
【0105】
本発明のナノ複合体を含む組成物は押出成型、圧縮成型、ブロー成型、射出成型され、繊維、フィルム、積層体、層、自動車部品、ハウジング製品、消費製品、パッケージ等の工業部品等に成型される。
【0106】
前記ナノ複合体組成物は前述のようにインナーライナー、インナーチューブ、トレッド、ブラダー、及びタイヤの製造に用いる同種のもののような、空気不透過性製品の製造に用いられる。インナラーナー及びタイヤの製造に用いる方法及び装置は当業者に知られている。本発明はインナーライナー又はタイヤ等の特定の製品の製造に限定することを意図しない。特に、このナノ複合体はトラックタイヤ、バスタイヤ、自動車タイヤ、モーターサイクルタイヤ、オフロードタイヤ、エアクラフトタイヤ等の各種タイヤ製品に用いられる組成物に有用である。
【0107】
他の適用において、このナノ複合体を含むエラストマー組成物は、空気クッション、空気スプリング、空気空壕、ハウス、積層バッグ、及びコンベアベルト又は自動車ベルト等のベルトに用いられる。それらは、成型ゴム製品に有用であり、自動車サスペンションバンパー、自動排気ハンガー、及びボディーマウント等の幅広い製品に用いられる。
【0108】
即ち、ナノ複合体を含むエラストマー組成物は接着、コーキング、シーリング、グレイジング化合物としても用いられる。延伸ラップフィルムとして製造される組成物の成分として、潤滑剤の分散剤として、及び注入封入及び電気ケーブル充填物質として、それらはゴム製品における可塑剤としても有用である。
【0109】
全ての優先権書類、特許、刊行物、及び特許出願、試験プロトコル(AMTS法等)及び本明細書で引用する他のドキュメントは記載が本発明に矛盾せず、そのような援用が法律で認められている場合には、参照により本明細書に援用する。数値の下限値及び上限値が本明細書に列挙されている場合、任意の下限値と任意の上限値の範囲も意図される。