【実施例1】
【0024】
以下、本発明の好適な実施例を
図2乃至
図5を参照して説明する。なお、
図4及び
図5において、前記
図8の(a)、(b)における構成要素と同一ないし均等のものは、前記と同一符合を以って示し、重複した説明を省略する。
【0025】
図1は本発明に係る真空ポンプの縦断面図である。
図1において、真空ポンプ100は、吸気口110と排気口120とを有する筐体130を備えている。該筐体130内には、上部にターボ分子ポンプ部140と、その下方に円筒形のネジ溝ポンプ部150が設けられているとともに、該ターボ分子ポンプ部140内と該ネジ溝ポンプ部150内を通って前記吸気口110と前記排気口120を連通してなる排気経路240が形成されている。
【0026】
前記排気通路240は、より具体的には、前記ターボ分子ポンプ部140の後述する相対向しているロータ170の外周面と前記筐体130の内周面との間の隙間、及び前記ネジ溝ポンプ部150の後述する円筒ロータ210の外周面とステータ230の内周面との間の隙間を相互に連通させるとともに、前記ターボ分子ポンプ部140側の隙間上端側を前記吸気口110に連通させ、かつ、前記ネジ溝ポンプ部150側の隙間下端側を前記排気口120に連通して形成されている。
【0027】
前記ターボ分子ポンプ部140は、回転軸160に固設されたアルミ合金製のロータ170の外周面に突設された多数の回転翼180,180…と、前記筐体130の内周面に突設された多数の固定翼190,190…との組み合わせからなる。
【0028】
前記ネジ溝ポンプ部150は、前記ターボ分子ポンプ部140におけるロータ170の下端部の円筒ロータ210と、該円筒ロータ210の外周と小隙間を有して対向し、該小隙間と共に前記排気経路240の一部を形成してなるネジ溝220が設置されたステータ230とからなる。該ネジ溝220は、下方へ行くに従って深さが浅くなるようにして形成されている。また、該ステータ230は、前記筐体130の内面に固定されている。そして、前記ネジ溝220の下端は前記排気経路240の最下流側において前記排気口120に連通される。
【0029】
また、前記回転軸160の中間部には、モータ筐体250内に設けられたインダクションモータ等の高周波モータ260のモータロータ260aが固定されている。該回転軸160は、磁気軸受で支承され、上部及び下部に保護軸受270,270が設けられている。
【0030】
次に、
図1に示す真空ポンプの動作について説明する。前記高周波モータ260の駆動によって前記吸気口110から流入した気体は、分子流あるいはそれに近い中間流状態にあり、その気体分子は前記ターボ分子ポンプ部140の回転する前記回転翼180,180…と前記筐体13から突設した前記固定翼190,190・・・との作用より、下方向に運動量が与えられ、該回転翼180,180…の高速回転に伴って下流側へ気体が圧縮移動する。
【0031】
また、圧縮移動された気体は、前記ネジ溝ポンプ部150において、回転する前記円筒ロータ210と、小間隙を有して形成された前記ステータ230に沿って下流に行くにしたがって深さが浅くなる前記ネジ溝220とに導かれるようにして、粘性流状態まで圧縮されながら前記排気通路240内を流れ、前記排気口120から排出される。
【0032】
次に、本実施例に係る真空ポンプ用の保護網の構成を説明する。
図2乃至
図4において、本実施例における保護網12は、1枚の金属板にエッチング処理を施すことにより、周縁部にリム12aを備えた金網部12bと前記リム12aの内側に架け渡された補強用の十字状のリブ部12cとが一体となった単一枚で形成されている。金網部12bには、例えば蜂の巣状に多数の六角孔が穿孔されている。
【0033】
前記リム12aの所々には、後述する止め輪に係止される係止部12dが、
図3の(a)、(b)に示すように、該リム12aに対しほぼ直角に立設されている。係止部12dは、前記エッチング処理の際に、リム12aから外方に突出した突出部を形成し、該突出部をリム12aに対しほぼ直角に折曲げることにより形成されている。
図2に示すように、係止部12dは、保護網12の周縁部に、2個を一組とした四組がそれぞれ等間隔をおいて形成されている。
【0034】
図4は、止め輪8を示している。止め輪8は、一部が切り欠かれ、その切欠部8aに適宜の間隙が形成されている。
【0035】
次に、
図5を用いて上述のように構成された真空ポンプ用の保護網の吸気口の部位への固定及び作用を説明する。リム12aの外縁には、該リム12aに対し、ほぼ直角に係止部12dが立設されている。このようなリム12aを吸気口4の内周部に凹設された固定用溝7に嵌入し、さらに該固定用溝7に止め輪8を押し込む。
【0036】
このとき、止め輪8は、その切欠部8aの部分に形成されている間隙が縮減するように固定用溝7に押し込まれることで拡開傾向が生じ、この拡開傾向が係止部12dを、さらに押し込むように作用して該係止部12dを備えたリム12aが、固定用溝7に強固に止着される。このような係止部12dを備えたリム12a部分の固定用溝7への止着態様により保護網12が吸気口4の部位に固定される。
【0037】
また、保護網12は、金網部12bと補強用のリブ部12cとが一体に形成されていることで保護網12自身も強度が高められている。したがって吸気口4からポンプ内に大気が突入したとき保護網12のポンプ内側へのたわみが十分に抑えられるとともに保護網12の落下が防止される。
【0038】
前述したように、係止部12dは、保護網12の周縁部に、2個を一組とした四組がそれぞれ等間隔をおいて形成され、この四組の部分の係止部12dが止め輪8で押し込まれて固定用溝7に止着されている。また、係止部12d自身を固定用溝7に押込んで該係止部12dを固定用溝7に緊合させて止着しているのではなく、係止部12dを止め輪8で押込んで止着しているので、止め輪8の取付け又は取外しのみで吸気口4の部位への保護網12の取付け及び取外しが容易になる。
【0039】
上述したように、本実施例に係る真空ポンプ用の保護網及びそれを備えた真空ポンプにおいては、保護網12を、別部品として形成された金網と補強プレートとを重ね合わせた複合部品として形成することなく、単一枚で金網部12bと補強用の十字状のリブ部12cとを一体に形成して所要の強度としたことで保護網12のコスト低減を図ることができる。
【0040】
固定用溝7に対する保護網12の止着強度を十分に高めることができる。この結果、吸気口4からポンプ内に大気が突入したときの保護網12のポンプ内側へのたわみを抑えることができて、保護網12が回転翼等のポンプ内機器に接触することによるポンプ故障を防止することができるとともに保護網12の落下を防止することができる。
【0041】
リム12aに対しほぼ直角に立設させた係止部12d自身を固定用溝7に押込んで該係止部12dを固定用溝7に緊合させるのではないので、吸気口4の部位への保護網12の取付けが容易で且つ取外しも容易になる。
【0042】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。