【実施例1】
【0017】
図1は、本実施例のブースタ圧縮機が採用される工場などにおける空気系統図である。図において、1は加圧空気の供給源(加圧気体供給源)で、例えば大形の空気圧縮機である。この加圧空気供給源1からの加圧空気(一般に0.3〜0.6MPa程度)の一部は、吸込配管2を介してブースタ圧縮機3に吸入され、ブースタ圧縮機3で昇圧(一般に0.7〜1.0MPa程度まで昇圧)された後、この圧縮空気は吐出配管4を介して空気タンクなどに導かれ、ここから高圧の空気圧機器(高圧設備)Hに供給されて該空気圧機器Hを駆動する。
【0018】
また、加圧空気供給源1からの加圧空気の残りは、配管2Aを介して低圧の空気圧機器(低圧設備)Lに導かれ、当該空気圧機器Lを駆動するのに使用される。
図2は
図1に示す1つのブースタ圧縮機における空気系と電気系に相当する参考系統図、
図3は
図1に示す1つのブースタ圧縮機における空気系と電気系を示す系統図である。これらの図において同一符号を付した部分は同一又は相当する部分を示す。
【0019】
図2に示す参考例のものにおいて、6はブースタ圧縮機3と空気タンク5とを接続する吐出配管4または空気タンク5に設けられ、吐出配管内または空気タンク内の圧力で作動する吐出側圧力開閉器、7は前記ブースタ圧縮機3のモータ8とこのモータ8を駆動するための電源9との間の電気回路中に配置されたマグネットスイッチ(ON/OFFする手段)である。前記空気タンク5の圧力は圧縮機の吐出量と顧客使用量の差によって圧力が変化するが、ブースタ圧縮機3からの吐出量が上回ると空気タンク5内の圧力が上昇し、吐出側に設けられた圧力開閉器6の設定圧力に達すると、この圧力開閉器6を介してマグネットスイッチ7の接点が開き、モータ8が停止するように構成されている。なお、マグネットスイッチ7の接点は図においては閉状態を示し、モータに通電されて運転されている状態を示している。
【0020】
加圧空気の供給源1から吸込配管2を介してブースタ圧縮機3に空気が吸込まれ、ブースタ圧縮機で圧縮された空気は吐出配管4を介して空気タンク5へ供給される。
この構成においては、工場の操業時間終了などの理由で、前記加圧空気供給源1となる空気圧縮機などが停止すると、加圧空気供給源の圧力が低下する。しかし、
図2の構成のものでは、加圧空気供給源の圧力が低下してもブースタ圧縮機3は運転を継続し、エネルギー消費量が増大する。
【0021】
前記
図1に示すシステム構成のものは、より省エネ化を実現するために考え出されたものである。即ち、従来は加圧空気供給源1で0.7〜0.8MPaの加圧空気を製造し、この加圧空気で工場内のほぼ全ての空気圧機器を駆動させていた。しかし、空気圧機器の中では0.7〜0.8MPaの加圧空気を必要とするものは必ずしも多くなく、0.4〜0.5MPa程度の加圧空気で十分な空気圧機器も多い。そこで、
図1に示すように、加圧空気供給源1の圧力を従来よりも低い0.4〜0.5MPa程度とし、空気圧機器の多くを占める低圧で駆動可能な機器(低圧設備L)をこの加圧空気供給源からの加圧空気で駆動し、より高圧で駆動しなければならない空気圧機器(高圧設備H)に対してはブースタ圧縮機3を介在させて駆動することで、全体として省エネ化を図れるようにしたものである。加圧空気供給源1の圧力を0.2MPa下げると約18%の省エネ化を達成できる。
【0022】
しかし、当初考えた
図2に示す構成のものでは、前述したように加圧空気供給源1の圧力が低下すると、ブースタ圧縮機3のエネルギー消費量が増大し、省エネにならない課題があることがわかった。
【0023】
そこで
、図3に示すように、加圧空気供給源1とブースタ圧縮機3とを接続する吸込配管2または吸込側圧力が検知できる場所に、この吸込配管内の圧力で作動する吸込側圧力開閉器9を設け、更に前記ブースタ圧縮機3のモータ8とこのモータ8を駆動するための電源9との間の電気回路中にはマグネットスイッチ(ON/OFFする手段)10を配置した構成としている。前記加圧空気供給源1の圧力が変化し、予め設定された圧力まで低下すると、前記吸込側圧力開閉器9が作動して、この圧力開閉器9を介してマグネットスイッチ10の接点が開き、モータ8が停止するように構成されている。なおこの
図3は、マグネットスイッチ7及び10の何れの接点も閉じていて、モータ8に通電されている状態を示している。
【0024】
なお、ブースタ圧縮機3の停止後に、工場の操業開始などにより、加圧空気供給源1の圧力が所定の設定圧力まで回復すると、前記吸込側圧力開閉器が作動して前記マグネットスイッチ10の接点は閉じられ、ブースタ圧縮機3は運転が再び開始される。
【0025】
このように図3に示す構成とすることにより、加圧空気供給源1の圧力が設定値まで低下すると、ブースタ圧縮機3は、手動で停止させることなく、自動的に停止される。このため、ブースタ圧縮機は設定圧力まで低下すると直ちに停止されるから、無駄な圧縮を回避でき、省エネ化および圧縮機本体やモータ等の可動部品の寿命延長を実現できる。また、
図3で説明したブースタ圧縮機では、吸込側圧力開閉器9及び吐出側圧力開閉器6を用いてマグネットスイッチ10,7を自動的に作動させる構成としているので、吸込圧力を検出してマイクロコンピュータなどで制御する必要がなく、安価で信頼性の高いブースタ圧縮機が得られる。
ここで、従来技術の特許文献1や特許文献2に記載のブースタ圧縮機には、ブースタ圧縮機の吸込圧力を検知して、吸込圧力が低下した場合には、ブースタ圧縮機の回転数を増大させるなどして運転制御をするものが開示されているが、
図3で説明したブースタ圧縮機のように、安価で信頼性の高いブースタ圧縮機を得ることに関しては何らの配慮もされていない。
【0026】
図4は、前記加圧空気供給源1と前記ブースタ圧縮機3とを接続している吸込配管2内の圧力(吸込圧力)、前記圧力開閉器9が作動する設定値(ON/OFF圧力の設定値)及びモータ8の運転/停止との関係の一例を説明する線図である。
【0027】
図において、縦軸はブースタ圧縮機3への吸込圧力、横軸は時間である。太線Pは吸込圧力の変化を示し、太線Mはブースタ圧縮機モータ8の運転/停止の状態を示している。また、縦軸のAは通常運転時の吸込圧力値である吸込圧力仕様点(加圧空気供給源1の圧力仕様点)、Cは吸込圧力が低下してブースタ圧縮機3を停止させるときの設定値(吸込圧力OFF設定値(第1の設定値))、Bは加圧空気供給源1の圧力が回復して、ブースタ圧縮機3を再び運転開始するときの吸込圧力値(吸込圧力ON設定値(第2の設定値))である。これら圧力値の関係は、次の関係になるように設定される。
【0028】
A>B>C ……(1)
即ち、吸込圧力ON設定値Bに関しては、加圧空気供給源1の圧力仕様点Aに達する前にブースタ圧縮機3の運転を開始する必要があるため、A>Bとする。また、吸込圧力が低下して吸込圧力OFF設定値Cになり、ブースタ圧縮機3が停止した後、吸込圧力が回復して吸込圧力ON設定値Bまで上昇したらブースタ圧縮機が運転開始される必要があるため、B>Cとする。
【0029】
ブースタ圧縮機3の運転開始後の時間T1(太線PのIの位置)からT2(太線PのIIの位置)にかけて、吸込側圧力開閉器9の位置での吸込圧力が低下し、吸込圧力OFF設定値Cまで達すると、
図3に示す吸込側圧力開閉器9が作動してマグネットスイッチ10を開き、モータ8への通電が遮断されるので、
図4の太線Mで示すように、モータは停止される。その後、加圧空気供給源1の圧力が回復して、時間の経過と共に吸込圧力が上昇し、時間T3で吸込圧力ON設定値Bまで達すると(太線PのIIIの位置)、前記吸込側圧力開閉器9が作動してマグネットスイッチ10を閉じ、モータ8に通電されるので、
図4の太線Mで示すように、ブースタ圧縮機3のモータ8は運転を再開する。その後、時間T4となったとき吸込圧力は仕様点圧力A(太線PのIVの位置)まで回復すると通常の運転に戻り、空気圧機器が通常の使用可能状態となる。
【0030】
以上
が基本的な動作であるが、前記圧力開閉器は常に設定値で動作するというものではなく、設定圧力値と実際に作動する圧力値との間には若干のばらつきが発生する。
図4において、吸込圧力ON設定値Bに対して圧力開閉器は、図に示すB′からB″の範囲でばらついて作動する。吸込圧力OFF設定値Cに対しても圧力開閉器は、図に示すC′からC″の範囲でばらついて作動する。従って、圧力開閉器におけるOFF設定値とON設定値との間隔はある程度あける必要があり、通常の圧力開閉器を使用した場合0.15〜0.2MPa、高価で高精度の圧力開閉器を使用した場合でも0.1MPa程度の間隔をあける必要がある。
【0031】
また、圧力開閉器の作動のばらつきを考慮し、上記設定値B及びCは設定されている。即ち、圧力開閉器の作動のばらつきを考慮しても、ブースタ圧縮機がOFFとなる圧力値とONとなる圧力値が重ならないように次式の関係に吸込圧力ON設定値Bと吸込圧力OFF設定値Cは設定されている。
【0032】
B−B′>C+C″ ……(2)
更に、吸込圧力ON設定値Bについても、圧力開閉器の作動のばらつきを考慮しても、吸込圧力仕様点Aを越える前にブースタ圧縮機3がONとなるように、次式の関係に設定される。
【0033】
A>B+B″ ……(3)
次に、吸込圧力ON設定値Bと吸込圧力OFF設定値Cの更に好ましい設定方法について説明する。上記(2)式によれば、圧力開閉器の作動のばらつきを考慮しても、ブースタ圧縮機がOFFとなる圧力値とONとなる圧力値が重ならないように設定されているが、吸込圧力は、加圧空気供給源1となる空気圧縮機の圧縮方式、流れる流量と配管系との関係、空気圧機器の使用状況などにより、脈動を生じることがある。(B-B′)と(C+C″)との圧力値の差圧をδとしたとき、脈動がδより大きい場合には吸込圧力ON設定値と吸込圧力OFF設定値の間で圧力が変動するため、ブースタ圧縮機がOFFになった直後にONになるなど、ON/OFFを繰返すという不具合を生じ、その結果モータ8の過熱などを引き起こす。これを解決するため、
本例では、前記差圧δを次式のように設定することにより、安定した動作を得ることができるようにしている。
【0034】
δ=(B-B′)−(C+C″)>脈動幅 ……(5)
なお、より省エネ化のためには、吸込圧力仕様点Aよりも吸込圧力が少しでも低下したら、ブースタ圧縮機3の運転を停止することが好ましい。そのためには、上記式(1)〜(5)の式の少なくとも何れかの条件を満足しつつ、更に吸込圧力ON設定値B及び吸込圧力OFF設定値Cの値をできるだけ吸込圧力仕様点Aに近づけた値に設定すると良い。即ち、前記吸込圧力ON設定値B及び吸込圧力OFF設定値Cの値は、少なくとも何れかの上記条件を満たしつつ前記吸込圧力仕様点Aとの圧力値の差異が最小値又は最小値に近い値に設定することで、ブースタ圧縮機の不要な運転をできるだけ回避可能となり、より省エネ化および圧縮機本体やモータ等の信頼性向上を達成できる。
【0035】
図5は上述した
ブースタ圧縮機を実現するための電気回路図の一例である。
図5において
図3と同一符号を付した部分は同一又は相当する部分を示している。またこの図において、11はブースタ圧縮機のON-OFFスイッチ、12は電磁接触器(
図3のマグネットスイッチ10や7に相当)、13は過電流保護のためのサーマルリレー、14は冷却ファン、15は運転ランプである。
図5は、吸込圧力が吸込圧力OFF設定値Cまで低下し、その結果吸込側圧力開閉器9が開き(OFF状態)、これによって電磁接触器(マグネットスイッチ)12が開かれ(OFF状態)、電源9からモータ8への通電が遮断され、モータが停止している状態を示している。
【0036】
なお、
上記例では、往復動式の圧縮機を一例として説明したが、それに限らず、スクロール式、スクリュー式等の圧縮形式によらず、圧縮機全般に適用可能な技術である。
【0037】
以上説明した
ブースタ圧縮機によれば、圧力開閉器の作動のばらつきを考慮して、吸込圧力ON設定値B及び吸込圧力OFF設定値Cの値を設定しているので、ブースタ圧縮機の作動不良を引き起こすことを確実に防止でき、しかも停止/起動を頻繁に繰り返す所謂ハンチングの発生も防止できる効果が得られる。
【0038】
次に、上述したブースタ圧縮機(
図3に示すブースタ圧縮機3に相当)の好ましい実施例を、
図6〜
図13を用いて説明する。これらの図において同一符号を付した部分は同一部分を示している。
【0039】
図6はブースタ圧縮機の外観斜視図、
図7は
図6における圧縮機のカバー20を外した状態を示す斜視図、
図8は
図6において正面側のカバーを外して示す正面図、
図9は
図8の平面図、
図10は
図6の側断面図、
図11は
図8に示す状態のブースタ圧縮機を背面側から見た斜視図である。更に、
図12は
図6〜
図11に示すブースタ圧縮機の圧縮機本体とモータのみを拡大して示す正面図(a)と側面図(b)、
図13は
図12に示す圧縮機本体とモータの縦断面図(a)と側断面図(b)である。
【0040】
図7に示すように、ブースタ圧縮機3を構成する圧縮機本体3aとモータ8は空気タンク5の上に、取付架台21を介して設置されている。圧縮機本体3a及びモータ8は、
図6に示すように、カバー20で覆われている。カバー20は前記取付架台21にボルト22を介して取付けられ、このカバー20のモータ側の側面カバー20aには前記圧縮機本体3a及びモータ8などを冷却するための冷却ファン14が取付けられている。また、前記側面カバー20aの前面側には吐出側圧力計23、タイマーの表示部24及びブースタ圧縮機3のON‐OFFスイッチ11などが設けられている。なお、25は止め弁、26は安全弁である。
【0041】
図8〜
図11に示す27は、前記冷却ファン14と圧縮機本体3aとの間の前記モータ8上部に位置するように、前記カバー20に設置された分流板で、この分流板27はカバー20を構成する前面カバーと背面カバーに跨って取付けられ、該分流板27の上部には水平方向に長い矩形状の穴27aが形成されている。冷却ファン14によりカバー20の外部からカバー内に導入された冷却空気(冷却風)は、図面中に矢印で示すように、前記分流板27により、その一部が下方に流れて、モータ8などを冷却し、前記カバー20の前面カバー及び背面カバーとモータ8との間の隙間28を通って前記空気タンク5側に吹き出され、空気タンク5も冷却する。一方、前記冷却ファン14によりカバー内に導入された冷却空気のうち、前記分流板27に形成された前記穴27aを通過した冷却空気は、圧縮機本体3aの特にシリンダヘッド部3bを冷却し、前記カバー20の前面カバー、背面カバー及び前記冷却ファン14とは反対側の側面カバー20bと、前記圧縮機本体3aとの間の隙間28aを通って、圧縮機本体3aの下部側面も冷却しながら前記空気タンク5側に吹き出され、空気タンク5も冷却する構成とされている。
【0042】
本実施例において、カバー20のうち前記冷却ファン14が設置されていない側面カバー20b及び中央カバー(前面カバー及び背面カバー)20cには、カバー内に導入された冷却空気が排出されるような開口が形成されていないので、冷却ファン14からカバー内に導入された空気は、前記分流板27とカバー20に沿って、前記モータ8及び圧縮機本体3aを冷却した後、下方に吹き出されて空気タンク5も効率良く冷却できる構成としている。
【0043】
前記圧縮機本体3aの上部の前記シリンダヘッド部3bにはフィン3cが形成されている。前記分流板27の穴27aはこのシリンダヘッド部3bに対向する位置に設けるようにすると良い。また、この分流板27の設置位置や、前記穴27aの大きさを調整する、更には前記隙間28,28aを調整することで、冷却ファン14からの冷却風が、前記シリンダヘッド部3b側と前記モータ8側に適切に分配されるようにすることができる。
【0044】
図7〜
図9に示す4は
図3に示す吐出配管であり、この吐出配管4はモータ8に沿うように配置されて空気タンク5に接続されている。従って、
図9に示すように、吐出配管4はモータ8と前面のカバー20(二点鎖線で示す)との間の狭い隙間28に配置されるが、この隙間28を通って冷却空気が流れるので、ブースタ圧縮機3で圧縮されて高温となった吐出空気を冷却ファン4からの冷却空気で効率良く冷却することが可能となる。即ち、本実施例では前記吐出配管4を、圧縮されて高温となった加圧空気を冷却するアフタークーラとしても機能させるようにしたものである。
【0045】
また、
図7〜
図9及び
図11において、9は
図3に示す吸込側圧力開閉器であり、また
図9〜
図11に示す6は
図3に示す吐出側圧力開閉器である。更に、
図9及び
図10において、42はカバー20よりも外部に設けられた吸込フィルタで、加圧空気供給源から吸込配管2を介して導入された空気から塵埃を除去して圧縮機内に供給するものである。
【0046】
なお、本実施例のブースタ圧縮機3は、圧縮時のモータ負荷軽減のため、圧縮機本体3aのクランク室やモータ8の内部に加圧空気が導入される密閉圧縮機構造となっている。この構造について、
図12及び
図13を用いて説明する。これらの図において、
図6〜
図11と同一符号を付した部分は同一又は相当する部分を示す。図において、3dは圧縮機本体3aのシリンダ部で、このシリンダ部3d内にはピストン30が往復動自在に設けられている。ピストン30は、連接棒31、ベアリング32及びクランク部材33を介して、モータ8の駆動軸34により往復動される。35はクランクケース36内に形成されたクランク室、37はバランスウェイト、38,39は前記駆動軸を回転自在に支持するベアリングである。ここで、クランクケース36には吸込側圧力開閉器
9が直接取付られている。このことで、吸込配管に取付けた場合に比べて、強度面で有利であって、更に省スペース化も実現できる。前記シリンダヘッド部3bには吸込口40及び吐出口41が設けられており、吸込口40は
図3に示す吸込配管2に、吐出口は吐出配管4に接続される。
図3に示す加圧空気供給源1からの加圧空気は、吸込配管2からブースタ圧縮機3の吸込フィルタ42に流入して塵埃を除去された後、分配器43に入り、大部分の空気は分配口43aから前記吸込口40に導かれる。残りの一部の空気は分配口43bから前記クランク室35及びモータ8の内部に導入され、加圧空気供給源1からの加圧空気の圧力が前記ピストン30の圧縮室側とは反対側に作用するようにして、前記連接棒31、ベアリング32等に加わる荷重を軽減し、更にモータ8に掛かる負荷を軽減する構成としている。
【0047】
このように、本実施例のブースタ圧縮機3は、圧縮機本体3aのクランク室35やモータ8の内部に加圧空気供給源1からの加圧空気が導入される密閉圧縮機構造となっているため、モータまたは駆動軸に直接一体型の冷却用のファンを設けることができず、圧縮機本体3およびモータ8から独立した冷却ファン14を別に用意して前記カバー20などに設置し、前記モータ8や圧縮機本体3aを冷却する必要があるものである。このようなブースタ圧縮機において、前記冷却ファン14を前記カバー20の上部に設けると、このカバー20上に物が置かれるなどして冷却ファンの吸込側が塞がれてしまった場合、冷却風の導入が困難になる。このため、本実施例では、上述したように、前記冷却ファン14を側面カバー20aの側方端部に設けている。しかし、側面カバーに冷却ファン14を設置した場合、冷却ファン14の設置側に配置されたモータ8は冷却できるものの、冷却ファンから離れて配置されている圧縮機本体3aについては十分に冷却できないため、上述したように分流板27を設けて圧縮機本体3aも十分に冷却できるようにしているものである。特に、本実施例の発明を、圧縮機本体の可動部の潤滑に油を用いないオイルフリーブースタ圧縮機に用いた場合、圧縮機本体の発熱を効果的に冷却できる。
【0048】
更に、従来のものでは、前記冷却ファンを前記カバーの一方の面に設け、前記カバーの他方の面には導入した空気の排出口を設けるようにしており、前記空気タンクの冷却についての配慮は全く為されていなかった。これに対し本実施例は、前記カバー20には空気の排出口を設けず、導入した冷却空気をカバー側面などから外部に排出する構成とはしていない。即ち、上述した通り、冷却ファン14から前記カバー20内に導入した冷却空気は、前記カバー20の下部から空気タンク5側に吹き出される構成として、空気タンク5の冷却まで効率良く行えるようにしている。
【0049】
なお、上記
実施例の説明では、密閉圧縮機構造を前提に説明をしたが、これに限られるものではなく、駆動軸に一体的に冷却ファンを備える圧縮機であって、冷却効率を更に向上させるために、上記冷却ファン14を追加した構成であっても、本実施例における上記効果と同様の効果を得ることが可能であり、本発明の範囲に含まれるものである。