特許第5668105号(P5668105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5668105画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668105
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/07 20060101AFI20150122BHJP
   G06T 5/20 20060101ALI20150122BHJP
   G06T 3/00 20060101ALI20150122BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20150122BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   H04N9/07 C
   G06T5/20 C
   G06T3/00 300
   G06T1/00 510
   H04N5/232 Z
【請求項の数】11
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2013-132987(P2013-132987)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-8414(P2015-8414A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2014年5月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501324524
【氏名又は名称】アキュートロジック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 勲
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−130112(JP,A)
【文献】 特開2011−239231(JP,A)
【文献】 特開2013−088680(JP,A)
【文献】 特開2008−242696(JP,A)
【文献】 特開2014−090359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 9/04 〜 9/11
H04N 5/222 〜 5/257
G06T 1/00 〜 1/40
G06T 3/00 〜 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得手段と、
前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する第1の周波数分解手段と、
前記第1の周波数分解手段が生成した前記成分画像のそれぞれに対して、縦方向及び横方向の各方向について1階層又は複数階層の周波数分解処理を施すことにより、当該成分画像のそれぞれをさらに複数の周波数帯域の成分画像に分解する第2の周波数分解手段と、
前記第の周波数分解手段による周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理手段と、
前記第1及び第2の周波数分解手段が生成し且つ前記画像処理手段が処理を実行した後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する第1及び第2の分解画像合成手段とを備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の周波数分解手段と前記第2の周波数分解手段とが、同一の周波数特性であると共に、
前記第1の分解画像合成手段と前記第2の分解画像合成手段とが、同一の周波数特性であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の周波数分解手段が、いずれも、前記ベイヤー画像を離散ウェーブレット変換により成分画像に分解することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得手段と、
前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する周波数分解手段と、
前記周波数分解手段による周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理手段と、
前記画像処理手段が処理を実行した後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する分解画像合成手段と、
を備えており、
前記画像処理手段が、
前記画像処理を施す前の画像を構成する各画素の画素値に乗算するフィルタ係数を複数含む第1及び第2の係数群を取得するフィルタ取得手段と、
前記フィルタ取得手段が取得した前記第1の係数群を使用して前記低周波成分にフィルタを掛けると共に、前記フィルタ取得手段が取得した前記第2の係数群を使用して前記高周波成分にフィルタを掛けるフィルタ処理手段とを有しており、
前記第1の係数群が、注目画素からの距離に関して単調に減少する第1の重みに基づいて取得され、
前記第2の係数群が、注目画素からの距離に関して前記第1の重みより小さい減少率で単調に減少する、又は、注目画素からの距離に関して変化しない第2の重みに基づいて取得されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の係数群における各フィルタ係数が、当該係数に対応する位置の画素と注目画素との間の画素値の差分Df1に関する下記の数式1によって表される関数wR1と前記第1の重みとの積であり、
前記第2の係数群における各フィルタ係数が、当該係数に対応する位置の画素と注目画素との間の画素値の差分Df2に関する下記の数式2によって表される関数wR2と前記第2の重みとの積であり、
一様な明るさに対する画素値のばらつきを示す基準値を、前記低周波成分に関してσN1とし前記高周波成分に関してσN2とするとき、数式1、2のσR1、σR2が、係数kN1及びkN2(kN1<kN2)を用いて、σR1=kN1*σN1、σR2=kN2*σN2と表されることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【数1】
【数2】
【請求項6】
R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得手段と、
前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する第1の周波数分解手段と、
前記第1の周波数分解手段が生成した前記成分画像のそれぞれに対して、縦方向及び横方向の各方向について1階層又は複数階層の周波数分解処理を施すことにより、当該成分画像のそれぞれをさらに複数の周波数帯域の成分画像に分解する第2の周波数分解手段と、
前記第2の周波数分解手段による周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、及び、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理手段と、
前記画像処理手段が前記画像処理を実行した後の前記成分画像及び前記特徴量の少なくともいずれかを出力する出力手段とを備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得手段と、
前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する周波数分解手段と、
前記周波数分解手段による周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、及び、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理手段と、
前記画像処理手段が前記画像処理を実行した後の前記成分画像及び前記特徴量の少なくともいずれかを出力する出力手段と、
を備えており、
前記画像処理手段が、
前記画像処理を施す前の画像を構成する各画素の画素値に乗算するフィルタ係数を複数含む第1及び第2の係数群を取得するフィルタ取得手段と、
前記フィルタ取得手段が取得した前記第1の係数群を使用して前記低周波成分にフィルタを掛けると共に、前記フィルタ取得手段が取得した前記第2の係数群を使用して前記高周波成分にフィルタを掛けるフィルタ処理手段とを有しており、
前記第1の係数群が、注目画素からの距離に関して単調に減少する第1の重みに基づいて取得され、
前記第2の係数群が、注目画素からの距離に関して前記第1の重みより小さい減少率で単調に減少する、又は、注目画素からの距離に関して変化しない第2の重みに基づいて取得されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得ステップと、
前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する第1の周波数分解ステップと、
前記第1の周波数分解ステップにおいて生成された前記成分画像のそれぞれに対して、縦方向及び横方向の各方向について1階層又は複数階層の周波数分解処理を施すことにより、当該成分画像のそれぞれをさらに複数の周波数帯域の成分画像に分解する第2の周波数分解ステップと、
前記第2の周波数分解ステップにおける周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理ステップと、
前記第1及び第2の周波数分解ステップ並びに前記画像処理ステップ後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する第1及び第2の分解画像合成ステップとを備えていることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得ステップと、
前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する周波数分解ステップと、
前記周波数分解ステップにおける周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理ステップと、
前記画像処理ステップ後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する分解画像合成ステップと、
を備えており、
前記画像処理ステップが、
前記画像処理を施す前の画像を構成する各画素の画素値に乗算するフィルタ係数を複数含む第1及び第2の係数群を取得するフィルタ取得ステップと、
前記フィルタ取得ステップにおいて取得された前記第1の係数群を使用して前記低周波成分にフィルタを掛けると共に、前記フィルタ取得ステップにおいて取得された前記第2の係数群を使用して前記高周波成分にフィルタを掛けるフィルタ処理ステップとを含んでおり、
前記第1の係数群が、注目画素からの距離に関して単調に減少する第1の重みに基づいて取得され、
前記第2の係数群が、注目画素からの距離に関して前記第1の重みより小さい減少率で単調に減少する、又は、注目画素からの距離に関して変化しない第2の重みに基づいて取得されることを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得ステップと、
前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する第1の周波数分解ステップと、
前記第1の周波数分解ステップにおいて生成された前記成分画像のそれぞれに対して、縦方向及び横方向の各方向について1階層又は複数階層の周波数分解処理を施すことにより、当該成分画像のそれぞれをさらに複数の周波数帯域の成分画像に分解する第2の周波数分解ステップと、
前記第2の周波数分解ステップにおける周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理ステップと、
前記第1及び第2の周波数分解ステップ並びに前記画像処理ステップ後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する第1及び第2の分解画像合成ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項11】
R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得ステップと、
前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する周波数分解ステップと、
前記周波数分解ステップにおける周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理ステップと、
前記画像処理ステップ後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する分解画像合成ステップと、
を備えており、
前記画像処理ステップが、
前記画像処理を施す前の画像を構成する各画素の画素値に乗算するフィルタ係数を複数含む第1及び第2の係数群を取得するフィルタ取得ステップと、
前記フィルタ取得ステップにおいて取得された前記第1の係数群を使用して前記低周波成分にフィルタを掛けると共に、前記フィルタ取得ステップにおいて取得された前記第2の係数群を使用して前記高周波成分にフィルタを掛けるフィルタ処理ステップとを含んでおり、
前記第1の係数群が、注目画素からの距離に関して単調に減少する第1の重みに基づいて取得され、
前記第2の係数群が、注目画素からの距離に関して前記第1の重みより小さい減少率で単調に減少する、又は、注目画素からの距離に関して変化しない第2の重みに基づいて取得されることを特徴とする画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、特に、ベイヤー画像に画像処理を施す画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、R(赤)の画素、G(緑)の画素及びB(青)の画素からなる画像に種々の処理を施した後に目的の画像処理を実行する画像処理装置が存在する。例えば、特許文献1は、まず、Rの画素、Gの画素及びBの画素からなるベイヤー画像に補間処理を施し、各画素においてR、G及びBのすべての成分を有するRGB画像を生成する。そして、そのRGB画像から輝度成分及び色差成分を生成してから、各成分において異なる画像処理を行う。このように、輝度成分か色成分かに応じて異なる画像処理を行うのは、例えば、成分ごとにノイズ特性が異なるので、適切なノイズの除去処理のためには成分に応じて処理を施した方がよいからである。
【0003】
また、特許文献1では、輝度成分及び色成分のそれぞれにウェーブレット変換を施し、互いに異なる複数の周波数帯域の成分を生成した上で、各周波数帯域の成分にノイズの除去処理を施す。これにより、低周波成分と高周波成分の間のノイズ特性の違いを考慮しつつノイズの除去処理を適切に施すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/106919号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来技術によれば、画像における色成分と輝度成分の特性の違いに着目して画像処理を行うためには、各画素成分を補間するほかなかった。この場合、画像処理の際に、元のベイヤー画像よりも大きいデータ量のデータを処理しなければならない。処理するデータ量が多くなると、データを格納するメモリの容量が大きくなったり、処理に時間がかかったりする。
【0006】
本発明の目的は、画像における色成分と輝度成分の違いに応じた画像処理を行いながら、処理するデータ量が比較的小さい画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点における画像処理装置は、R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得手段と、前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する第1の周波数分解手段と、前記第1の周波数分解手段が生成した前記成分画像のそれぞれに対して、縦方向及び横方向の各方向について1階層又は複数階層の周波数分解処理を施すことにより、当該成分画像のそれぞれをさらに複数の周波数帯域の成分画像に分解する第2の周波数分解手段と、前記第の周波数分解手段による周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理手段と、前記第1及び第2の周波数分解手段が生成し且つ前記画像処理手段が処理を実行した後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する第1及び第2の分解画像合成手段とを備えている。また、第1の観点に係る別の画像処理装置は、R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得手段と、前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する周波数分解手段と、前記周波数分解手段による周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理手段と、前記画像処理手段が処理を実行した後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する分解画像合成手段と、を備えており、前記画像処理手段が、前記画像処理を施す前の画像を構成する各画素の画素値に乗算するフィルタ係数を複数含む第1及び第2の係数群を取得するフィルタ取得手段と、前記フィルタ取得手段が取得した前記第1の係数群を使用して前記低周波成分にフィルタを掛けると共に、前記フィルタ取得手段が取得した前記第2の係数群を使用して前記高周波成分にフィルタを掛けるフィルタ処理手段とを有しており、前記第1の係数群が、注目画素からの距離に関して単調に減少する第1の重みに基づいて取得され、前記第2の係数群が、注目画素からの距離に関して前記第1の重みより小さい減少率で単調に減少する、又は、注目画素からの距離に関して変化しない第2の重みに基づいて取得される。
【0008】
本発明は、ベイヤー画像に周波数分解を施すことにより取得される複数の周波数帯域の成分のうち、低周波成分が輝度情報を示し、高周波成分が色情報を示すとの知見に基づく。本発明は、かかる知見に基づき、ベイヤー画像に周波数分解を施すことで、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離した後、それぞれに異なる画像処理を施すことにより、画像における色成分と輝度成分のそれぞれに応じた画像処理を施すものである。これにより、成分に応じた適切な画像処理を実行することが可能になると共に、周波数分解を直接ベイヤー画像に施して各成分を取得するので、補間による場合と比べて、画像処理の際に処理するデータ量を抑えることができる。第1の観点による画像処理装置は、画像処理を行った後に各成分画像を合成することにより、元の画像を再生成する。
【0009】
以上のように、第1の観点における第1の周波数分解手段による周波数分解は、ベイヤー画像に直接施すことで画像データが色成分と輝度成分とに分解されることに着目したものである。一方、従来の周波数分解は、ベイヤー画像の画素を補間してから周波数分解を施すという点においても本発明と異なるし、低周波成分か高周波成分かという点にのみ着目して画像処理を行うに過ぎない点においても本発明と異なる。
【0010】
また、第1の観点においては、前記第1の周波数分解手段が生成した前記成分画像のそれぞれに対して、縦方向及び横方向の各方向について1階層又は複数階層の周波数分解処理を施すことにより、当該成分画像のそれぞれをさらに複数の周波数帯域の成分画像に分解する第2の周波数分解手段と、前記第2の周波数分解手段が生成した前記成分画像を合成する第2の分解画像合成手段とをさらに備えており、前記画像処理手段が、前記第2の周波数分解手段が生成した前記成分画像に関して前記画像処理を実行し、前記第1及び第2の分解画像合成手段が、前記画像処理手段が前記画像処理を実行した後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成することが好ましい。これによると、第2の周波数分解手段によって取得される複数の周波数帯域の成分に画像処理を施すため、低周波成分と高周波成分の間の特性の違いに応じた適切な画像処理を施すことができる。
【0011】
また、第1の観点においては、前記第1の周波数分解手段と前記第2の周波数分解手段とが、同一の周波数特性であると共に、前記第1の分解画像合成手段と前記第2の分解画像合成手段とが、同一の周波数特性であることが好ましい。第1の周波数分解手段と第2の周波数分解手段とで同一の周波数特性を有するため、ハードウェアで実現する場合には同じ構成の回路を、ソフトウェアで実現する場合には同じアルゴリズムを利用できる。
【0012】
また、第1の観点においては、前記第1及び第2の周波数分解手段が、いずれも、前記ベイヤー画像を離散ウェーブレット変換により成分画像に分解することが好ましい。これによると、離散ウェーブレット変換により色情報を示す成分と輝度情報を示す成分とに画像を分解できると共に、第1及び第2の周波数分解手段における周波数分解を同じ方法で実現できる。
【0013】
また、第1の観点においては、前記画像処理手段が、前記画像処理を施す前の画像を構成する各画素の画素値に乗算するフィルタ係数を複数含む第1及び第2の係数群を取得するフィルタ取得手段と、前記フィルタ取得手段が取得した前記第1の係数群を使用して前記低周波数成分にフィルタを掛けると共に、前記フィルタ取得手段が取得した前記第2の係数群を使用して前記高周波数成分にフィルタを掛けるフィルタ処理手段とを有しており、
前記第1の係数群が、注目画素からの距離に関して単調に減少する第1の重みに基づいて取得され、前記第2の係数群が、注目画素からの距離に関して前記第1の重みより小さい減少率で単調に減少する、又は、注目画素からの距離に関して変化しない第2の重みに基づいて取得されることが好ましい。これによると、色情報を示す成分には輝度成分を示す成分に比べて強めのフィルタが施される。一方、一般的に人の視覚は、色の解像度の変化に対して敏感でない。したがって、フィルタ処理による解像度の低下を相対的に抑えつつ、効果の高いフィルタを色成分に施すことができる。
【0014】
また、第1の観点においては、前記第1の係数群における各フィルタ係数が、当該係数に対応する位置の画素と注目画素との間の画素値の差分Df1に関する下記の数式1によって表される関数wR1と前記第1の重みとの積であり、前記第2の係数群における各フィルタ係数が、当該係数に対応する位置の画素と注目画素との間の画素値の差分Df2に関する下記の数式2によって表される関数wR2と前記第2の重みとの積であり、一様な明るさに対する画素値のばらつきを示す基準値を、前記低周波数成分の成分に関してσN1とし前記高周波数成分に関してσN2とするとき、数式1、2のσR1、σR2が、係数kN1及びkN2(kN1<kN2)を用いて、σR1=kN1*σN1、σR2=kN2*σN2と表されることが好ましい。これによると、バイラテラルフィルタにより、画像のエッジを保存しながらノイズを低減できる。
【0015】
【数1】
【数2】
【0016】
本発明の第2の観点における画像処理装置は、R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得手段と、前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する第1の周波数分解手段と、前記第1の周波数分解手段が生成した前記成分画像のそれぞれに対して、縦方向及び横方向の各方向について1階層又は複数階層の周波数分解処理を施すことにより、当該成分画像のそれぞれをさらに複数の周波数帯域の成分画像に分解する第2の周波数分解手段と、前記第2の周波数分解手段による周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、及び、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理手段と、前記画像処理手段が前記画像処理を実行した後の前記成分画像及び前記特徴量の少なくともいずれかを出力する出力手段とを備えている。また、本発明の第2の観点に係る別の画像処理装置は、R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得手段と、前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する周波数分解手段と、前記周波数分解手段による周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、及び、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理手段と、前記画像処理手段が前記画像処理を実行した後の前記成分画像及び前記特徴量の少なくともいずれかを出力する出力手段と、を備えており、前記画像処理手段が、前記画像処理を施す前の画像を構成する各画素の画素値に乗算するフィルタ係数を複数含む第1及び第2の係数群を取得するフィルタ取得手段と、前記フィルタ取得手段が取得した前記第1の係数群を使用して前記低周波成分にフィルタを掛けると共に、前記フィルタ取得手段が取得した前記第2の係数群を使用して前記高周波成分にフィルタを掛けるフィルタ処理手段とを有しており、前記第1の係数群が、注目画素からの距離に関して単調に減少する第1の重みに基づいて取得され、前記第2の係数群が、注目画素からの距離に関して前記第1の重みより小さい減少率で単調に減少する、又は、注目画素からの距離に関して変化しない第2の重みに基づいて取得される。
【0017】
第2の観点によれば、第1の観点と同様に、成分に応じた適切な画像処理を実行することが可能になると共に、周波数分解を直接ベイヤー画像に施して各成分を取得するので、補間による場合と比べて、画像処理の際に処理するデータ量を抑えることができる。第2の観点による画像処理装置は、画像処理を行った後に、成分画像を合成せずそのまま出力したり、演算した特徴量を出力したりする。
【0018】
また、第2の観点においては、前記第1の周波数分解手段が生成した前記成分画像のそれぞれに対して、縦方向及び横方向の各方向について1階層又は複数階層の周波数分解処理を施すことにより、当該成分画像のそれぞれをさらに複数の周波数帯域の成分画像に分解する第2の周波数分解手段をさらに備えており、前記画像処理手段が、前記第2の周波数分解手段が生成した前記成分画像に関して前記画像処理を実行することが好ましい。これによると、第2の周波数分解手段によって取得される複数の周波数帯域の成分に画像処理を施すため、周波数帯域別の特性に応じた適切な画像処理を施すことができる。
【0019】
第1の観点における画像処理方法は、R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得ステップと、前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する第1の周波数分解ステップと、前記第1の周波数分解ステップにおいて生成された前記成分画像のそれぞれに対して、縦方向及び横方向の各方向について1階層又は複数階層の周波数分解処理を施すことにより、当該成分画像のそれぞれをさらに複数の周波数帯域の成分画像に分解する第2の周波数分解ステップと、前記第2の周波数分解ステップにおける周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理ステップと、前記第1及び第2の周波数分解ステップ並びに前記画像処理ステップ後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する第1及び第2の分解画像合成ステップとを備えている。また、第1の観点における別の画像処理方法は、R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得ステップと、前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する周波数分解ステップと、前記周波数分解ステップにおける周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理ステップと、前記画像処理ステップ後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する分解画像合成ステップと、を備えており、前記画像処理ステップが、前記画像処理を施す前の画像を構成する各画素の画素値に乗算するフィルタ係数を複数含む第1及び第2の係数群を取得するフィルタ取得ステップと、前記フィルタ取得ステップにおいて取得された前記第1の係数群を使用して前記低周波成分にフィルタを掛けると共に、前記フィルタ取得ステップにおいて取得された前記第2の係数群を使用して前記高周波成分にフィルタを掛けるフィルタ処理ステップとを含んでおり、前記第1の係数群が、注目画素からの距離に関して単調に減少する第1の重みに基づいて取得され、前記第2の係数群が、注目画素からの距離に関して前記第1の重みより小さい減少率で単調に減少する、又は、注目画素からの距離に関して変化しない第2の重みに基づいて取得される。
【0020】
第1の観点におけるプログラムは、R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得ステップと、前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する第1の周波数分解ステップと、前記第1の周波数分解ステップにおいて生成された前記成分画像のそれぞれに対して、縦方向及び横方向の各方向について1階層又は複数階層の周波数分解処理を施すことにより、当該成分画像のそれぞれをさらに複数の周波数帯域の成分画像に分解する第2の周波数分解ステップと、前記第2の周波数分解ステップにおける周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理ステップと、前記第1及び第2の周波数分解ステップ並びに前記画像処理ステップ後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する第1及び第2の分解画像合成ステップとをコンピュータに実行させる。また、第1の観点における別のプログラムは、R(赤)の画素及びG(緑)の画素が横方向に交互に並んだ行とG(緑)の画素及びB(青)の画素が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだベイヤー配列に従ったベイヤー画像を取得する画像取得ステップと、前記ベイヤー画像を縦方向及び横方向の各方向について、輝度情報を示す低周波成分と色情報を示す高周波成分とに分離して、複数の成分画像を生成する周波数分解ステップと、前記周波数分解ステップにおける周波数分解後の成分画像に基づいてその画像に関する特徴量を演算する特徴量演算処理、前記周波数分解後の成分画像に対する補正処理、並びに、前記周波数分解後の成分画像に対する情報圧縮処理及び情報伸長処理からなる一対の処理の少なくともいずれかの画像処理を、前記高周波成分と前記低周波成分とで異なる処理となるように実行する画像処理ステップと、前記画像処理ステップ後の前記成分画像を合成して、1つのベイヤー画像を再生成する分解画像合成ステップと、を備えており、前記画像処理ステップが、前記画像処理を施す前の画像を構成する各画素の画素値に乗算するフィルタ係数を複数含む第1及び第2の係数群を取得するフィルタ取得ステップと、前記フィルタ取得ステップにおいて取得された前記第1の係数群を使用して前記低周波成分にフィルタを掛けると共に、前記フィルタ取得ステップにおいて取得された前記第2の係数群を使用して前記高周波成分にフィルタを掛けるフィルタ処理ステップとを含んでおり、前記第1の係数群が、注目画素からの距離に関して単調に減少する第1の重みに基づいて取得され、前記第2の係数群が、注目画素からの距離に関して前記第1の重みより小さい減少率で単調に減少する、又は、注目画素からの距離に関して変化しない第2の重みに基づいて取得される。
【0021】
本発明におけるプログラムは、フロッピーディスクなどの磁気記録媒体、DVD−ROMなどの光学記録媒体、ハードディスクやUSBメモリなどのコンピュータ読み取りが可能な記録装置等に記録して配布可能なほか、インターネットを介したダウンロード等により配布可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施の形態である第1の実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
図2図1の撮像素子におけるカラーフィルタのベイヤー配列を示す概念図である。
図3】本実施形態で用いられる離散ウェーブレット変換において採用されるフィルタ係数とベイヤー配列の画素との関係を示す概念図である。
図4図4(a)は、撮像素子においてサンプリングされる前の被写体像における色成分及び輝度成分の周波数分布を概念的に示すグラフである。図4(b)は、撮像素子においてサンプリングされた後の被写体像における色成分及び輝度成分の周波数分布を概念的に示すグラフである。図4(c)は、1レベルの離散ウェーブレット変換によって生成された成分画像の周波数分布を概念的に示すグラフである。図4(d)は、図4(c)の各成分画像にさらに2レベルの離散ウェーブレット変換が施されることによって生成された成分画像の周波数分布を概念的に示すグラフである。
図5図5(a)は、各成分画像における横方向及び縦方向に関する周波数分布を概念的に示すグラフである。図5(b)は、各成分画像に含まれる色成分及び輝度成分の周波数分布を概念的に示すグラフである。
図6】1レベルの離散ウェーブレット変換によって生成された各成分画像と、そこにさらに2レベルの離散ウェーブレット変換が施されることによって生成された各成分画像との関係を示す概念図である。
図7】本実施形態の補正処理において用いられるフィルタ係数を示す概念図である。
図8】本実施形態の画像処理部の一実施例に係る回路構成を示すブロック図である。
図9図8の周波数分解部のうち、W画像及びU画像を周波数分解する回路構成と、周波数分解によって生成されたWHH1,UHH2等の成分画像にフィルタ処理を施す補正処理部の回路構成とを示すブロック図である。
図10図8の周波数分解部のうち、V画像及びY画像を周波数分解する回路構成と、周波数分解によって生成されたVHH1,YHH2等の成分画像にフィルタ処理を施す補正処理部の回路構成とを示すブロック図である。
図11図8の分解画像合成部のうち、補正処理が施されたWHH1´、ULH2´等の成分画像を合成してW´画像及びU´画像を生成する回路構成を示すブロック図である。
図12図8の分解画像合成部のうち、補正処理が施されたVHH1´、YLH2´等の成分画像を合成してV´画像及びY´画像を生成する回路構成を示すブロック図である。
図13】本発明の別の一実施の形態に係る第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施形態]
本発明の一実施の形態である第1の実施形態に係る撮像装置1について、図面を参照しつつ説明する。撮像装置1は、図1に示すように、撮像光学系2、撮像素子3(画像取得手段)及び画像処理部100(画像処理手段)を有している。撮像光学系2は、各種のレンズを有し、被写体からの光を撮像素子3へと導いて、撮像素子3において結像させる。撮像素子3は、結像された被写体の像を光電変換により電気信号に変換すると共に、その電気信号をデジタル画像信号に変換して出力する。画像処理部100は、撮像素子3から出力されたデジタル画像信号に所定の信号処理を施すことにより、被写体像に対応する画像データを生成する。画像処理部100が生成した画像データは、画像を表示するディスプレイに、表示すべき画像に係る画像信号として出力されたり、コンピュータ読み取り可能な記録媒体へと出力されたりする。以下、撮像素子3及び画像処理部100についてより詳細に説明する。
【0024】
撮像素子3は、ベイヤー(Bayer)配列で配列されたカラーフィルタと、各カラーフィルタを通じて受光した光の強度に応じたアナログ信号を出力する光電変換素子と、光電変換素子からのアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部とを備えている。ベイヤー配列は、図2に示すように、R(赤)及びG(緑)が横方向に交互に並んだ行とG(緑)及びB(青)が横方向に交互に並んだ行とが縦方向に交互に並んだ配列である。図2では、Rと同じ行に属するGをGr、Bと同じ行に属するGをGbと表記している。撮像素子3は、このベイヤー配列に従って各画素が並んだ画像(以下、ベイヤー画像と称する)を示す画像信号を出力する。
【0025】
画像処理部100は、撮像素子3からの画像信号を高周波成分と低周波成分に分解する2つの周波数分解部を有している。これらの周波数分解部110及び120(第1及び第2の周波数分解手段)は、いずれも離散ウェーブレット変換に従って画像信号を分解する。
【0026】
離散ウェーブレット変換に用いるフィルタには様々なものが採用され得るが、本実施形態においては、CDF 5/3 waveletが採用される。これは、低周波成分をタップ数5(1次元につき5画素)のローパスフィルタで生成し、高周波成分をタップ数3(1次元につき3画素)のハイパスフィルタで生成する方法である。なお、CDF 9/7等が採用されてもよい。また、Haar Waveletなど、可逆性の多重解像度変換であれば、どのようなものであってもよい。CDF 5/3 waveletにおける1次元の場合のフィルタ係数は以下のとおりである。
ローパスフィルタ:[−1/8,2/8,6/8,−1/8]
ハイパスフィルタ:[−1/2,1,−1/2]
【0027】
これを2次元に拡張すると、図3に示すフィルタとなる。図3(a)のフィルタは、画像の横方向及び縦方向の両方向に関してローパスフィルタである。図3(a)において、横方向及び縦方向にマトリクス状に配列された数値は、横方向及び縦方向の各画素位置における重みである。また、「/64」は、各画素位置の重みを64で除算したものが各位置におけるフィルタ係数であることを示す。なお、図3(b)〜図3(d)においても同様である。以下、図3(a)のフィルタをLLと表記する。
【0028】
図3(b)のフィルタは、画像の横方向に関してはハイパスフィルタ、縦方向に関してはローパスフィルタである。以下、このフィルタをHLと表記する。図3(c)のフィルタは、画像の横方向に関してはローパスフィルタ、縦方向に関してはハイパスフィルタである。以下、このフィルタをLHと表記する。図3(d)のフィルタは、画像の横方向及び縦方向の両方向に関してハイパスフィルタである。以下、このフィルタをHHと表記する。
【0029】
これらのフィルタを画像に施す際には、フィルタに含まれる各フィルタ係数をその位置に対応する画素に乗算すると共に、全ての乗算結果の和をフィルタ処理後の画素値とする。図3(a)〜図3(d)は、これらのフィルタ処理をベイヤー画像に施す場合の一例を示している。各図においては、ベイヤー画像に含まれる各画素に対し、その画素の位置に対応するフィルタ係数が乗算されることになる。このようなフィルタ演算を、LLフィルタ、HLフィルタ、LHフィルタ及びHHフィルタのそれぞれについて、画像における横方向及び縦方向のそれぞれ2画素ごとに行う。これにより、フィルタ処理結果として、フィルタ処理後の画素値からなる4種類の成分画像を得る。以下、LLフィルタを用いたフィルタ処理によって得られる成分画像をLL画像とする。同様に、HLフィルタ、LHフィルタ及びHHフィルタを用いたフィルタ処理によって得られる成分画像をHL画像、LH画像及びHH画像とする。
【0030】
LL画像は、横方向及び縦方向の両方向について、元の画像の低周波成分に相当する成分画像である。HL画像は、横方向については元の画像の高周波成分に相当し、縦方向については元の画像の低周波成分に相当する画像である。LH画像は、横方向については元の画像の低周波成分に相当し、縦方向については元の画像の高周波成分に相当する画像である。HH画像は、横方向及び縦方向の両方向について、元の画像の高周波成分に相当する成分画像である。
【0031】
ところで、多色のカラーフィルタが配列された撮像素子でなく、単色の撮像素子であれば、その撮像素子から得られた画像信号を周波数分解した結果は、単純に画像の輝度成分を周波数分解した結果に過ぎない。しかしながら、本実施形態のように、多色のカラーフィルタが配列された撮像素子3から得られたベイヤー画像に上記のような周波数分解を施す場合、それによって得られる成分画像は、単なる輝度成分の分解結果とは異なる性質を示すことになる。以下、これについて説明する。
【0032】
まず、簡単のため、画像の横方向のみについて考える。被写体像は、輝度成分と色成分の合成で表される。図4(a)は、撮像素子3に入射する前の被写体像における輝度成分と色成分の周波数分布の一例である。図4(b)は、撮像素子3においてサンプリングされた後の画像信号における輝度成分と色成分の周波数分布の一例である。なお、fsはサンプリング周波数である。このように、撮像素子3に入射する前の被写体像における輝度成分と色成分が、撮像素子3において、ベイヤー配列に従って配列されたカラーフィルタにより直交変調される。これにより、低周波側に輝度成分が、高周波側に色成分が配置される。
【0033】
本実施形態の周波数分解は、まず、図4(b)のように輝度成分及び色成分が配置された画像に施されることになる。例えば、LLフィルタ及びHLフィルタを用いたフィルタ処理により、図4(b)に示すベイヤー画像が、図4(c)に示すように、横方向に関して高周波成分及び低周波成分に分解される。したがって、LL画像は輝度成分を多く含み、HL画像は色成分を多く含むこととなる。このように、ベイヤー画像に周波数分解を施すことは、ベイヤー配列のカラーフィルタによって直交変調された輝度成分及び色成分を復調することに相当する。
【0034】
以上の議論を2次元に拡張すると、以下の通りとなる。図5(a)は、LL画像、HL画像、LH画像及びHH画像のそれぞれの周波数分布を横方向及び縦方向に関して示している。一方、図5(b)は、LL画像、HL画像、LH画像及びHH画像中の輝度成分と色成分の分布を、図5(a)と同様に、横方向の周波数及び縦方向の周波数に関して示す。図5(a)と図5(b)を比較すると分かるように、LL画像は主に輝度成分を含み、HL、LH及びHHの各画像は主に色成分を含む。つまり、LL画像は元の画像における輝度情報を示し、HL、LH及びHHの各画像は元の画像における色情報を示すことになる。
【0035】
本実施形態の周波数分解部110は、撮像素子3から出力されたベイヤー画像に係る画像信号に、図3に示すフィルタ係数を用いて1レベル(1階層)の離散ウェーブレット変換を施す。つまり、周波数分解部110は、ベイヤー画像信号から、LL,HL、LH及びHHの4つの成分画像を生成する。以下、周波数分解部110が生成した4つの成分画像を、Y(=LL)画像、U(=HL)画像,V(=LH)画像及びW(HH)画像と称する。
【0036】
図3に示すフィルタ係数を用いたフィルタ処理により、Y、U、V及びWの各画素は元の画像におけるR画素、B画素及びG画素の要素を下記式に示すように取り込むことになる。Y画像は、主に画像の輝度成分を表す。被写体が高周波の色成分を多く含む場合、それらの成分がY画像において混合することになる。U画像は、主に画像の色成分を表す。被写体が横方向に関して高周波の輝度成分を多く含む場合、それらの成分がU画像において混合することになる。V画像は、主に画像の色成分を表す。被写体が縦方向に関して高周波の輝度成分を多く含む場合、それらの成分がV画像において混合することになる。W画像は、主に画像の色成分を表す。被写体が高周波の色成分を多く含む場合、それらの成分がW画像において混合することになる。
Y=(2G+R+B)/4
U=(R−B)/2
V=(B−R)/2
W=2G−(R+B)
【0037】
次に、周波数分解部120は、周波数分解部110が生成したY,U、V及びWの各成分画像に、2レベル(2階層)の離散ウェーブレット変換を施す。つまり、周波数分解部120は、図6に示すように、Y,U,V及びWの各成分画像をLL、HL、LH及びHHの各成分画像に分解すると共に、そうして生成したLL画像をさらにLL、HL、LH及びHHの各成分画像に分解する。以下、周波数分解部120による1回目の分解で生成された成分画像をYHL1、YLH1及びYHH1などと表記する。また、周波数分解部120による2回目の分解で生成された成分画像をYLL2、YHL2、YLH2及びYHH2などと表記する。これらの表記において、1文字目のY,U,V及びWは、各成分画像が由来するのがY,U,V及びWの成分画像のいずれであるかを示す。
【0038】
周波数分解部120が生成したYLL2、YHL2、YHL1、UHL1、UHL2、ULL2などの成分画像においては、周波数分解部110が生成したY,U、V及びWの各成分画像よりも、輝度成分と色成分への分離度が向上している。図4(d)は、周波数分解部120により生成された各成分画像の横方向に関する周波数分布を示している。上述の図4(c)に示すY画像及びU画像は、それぞれ輝度成分及び色成分を主に含んでいるが、図4(b)と比較すれば分かるように、元の被写体像における高周波成分を混合して含んでいる場合がある。一方、図4(d)によれば、ULL2画像は、高周波の輝度成分を含まず、元の被写体像における低周波の色成分そのものを示すこととなる。また、YLL2画像は、高周波の色成分を含まず、元の被写体における低周波の輝度成分そのものを示すこととなる。
【0039】
また、画像処理部100は、図1に示すように、周波数分解部120が生成した各成分画像に補正処理を施す補正処理部130を有している。補正処理部130の補正処理では、各成分画像にフィルタ処理が施されることにより、ノイズ成分が低減される。本実施形態では、エッジ保存フィルタとして、バイラテラルフィルタが用いられる。
【0040】
まず、バイラテラルフィルタについて説明する。注目画素を中心とした、横:2N+1ピクセル(N:自然数)、縦:2N+1ピクセルの正方形の領域に含まれる画素の集合Ωを 以下のように表す。例えば、フィルタカーネルのサイズを横3×縦3とするときはN=1であり、フィルタカーネルのサイズを横5×縦5とするときはN=2である。
Ω=Ωp(N)
【0041】
バイラテラルフィルタの演算は、Ωに属する全ての画素q∈Ωの重み付き加重平均を算出することにより行われる。各画素に割り当てられる重みは、距離による重みと、注目画素との画素値の差分による重みの2つの項により決定される。注目画素をp、Ωに属する各画素をqとする。Δ(p,q)を画素p及び画素q同士の距離とすると、距離による重みは、以下のように表される。
【0042】
【数3】
【0043】
また、Df(p,q)を画素p及び画素q間の画素値の差分とすると、注目画素との画素値の差分による重みは、以下のように表される。
【0044】
【数4】
【0045】
そして、各画素の重みは、距離による重み及び画素値の差分による重みの積として、以下のように表される。
【0046】
【数5】
【0047】
画素pの画素値をu、画素qの画素値をuとするとき、バイラテラルフィルタは、以下の演算により施される。なお、u´は、フィルタ処理後の画素値である。
【0048】
【数6】
【0049】
本実施形態の補正処理部130は、バイラテラルフィルタによるフィルタ処理のためのフィルタ係数を取得するフィルタ係数取得部131(フィルタ取得手段)と、フィルタ係数取得部131が取得したフィルタ係数に基づいてフィルタ処理を施すフィルタ処理部132(フィルタ処理手段)とを有している。フィルタ係数取得部131は、フィルタ係数を以下のように取得する。
【0050】
本実施形態は、主に、低周波成分(YLL2等)におけるノイズ低減を目的とする。したがって、フィルタの参照範囲(フィルタカーネルのサイズ)は、横3×縦3〜横5×縦5程度に設定できる。YLL2画像等は、周波数分解を経ることで、ダウンサンプリングされているため、カーネルサイズが小さくても、低い周波数までフィルタリングすることが可能である。
【0051】
フィルタ係数取得部131は、距離による重みwに関し、図7(a)及び図7(b)に示す横3×縦3の重みws1及びws2、あるいは、図7(c)及び図7(d)に示す横5×縦5の重みws1及びws2を保持している。図7(a)〜図7(d)は、図3と同様に、各画素位置に対応するフィルタ係数を示している。このように、ws1及びws2の各重みを整数とすることにより、演算量が低減される。なお、ws1に基づいて得られるフィルタ係数群が本発明における第1の係数群に対応する。また、ws2に基づいて得られるフィルタ係数群が本発明における第2の係数群に対応する。
【0052】
s1(第1の重み)は、画素同士の距離が大きくなるほど小さい(つまり、距離に対して単調減少の)値を有し、輝度情報を示すYLL2画像等にフィルタ処理を施す際に用いられる。一方、色情報を示すULL2、VLL2及びWLL2の各成分画像に対しては、ws2(第2の重み)が用いられる。ws2は、画素位置に関わらずいずれも1であり、距離に応じたものとなっていない。このように、画素同士の距離に応じて変化しない重みを用いたり、画素同士の距離に応じた減少率が比較的小さい重みを用いたりする場合には、フィルタにおけるノイズを低減する能力が高くなる反面、フィルタ処理後の画像における解像度が低下する。しかしながら、人の視覚は、輝度の解像度の変化に対する場合と比較すると、色の解像度の変化(色のにじみ等)に対して敏感ではない。このため、ws2を色情報を示す成分であるULL2、VLL2及びWLL2の各画像に用いることで、人の視覚特性に応じて画像の劣化を相対的に抑制しつつ、色成分の若干のにじみと引き換えに、色ノイズを低減することが可能である。
【0053】
フィルタ係数取得部131は、画素値の差分による重みwに関し、σの値を保持している。σは、例えば、撮像装置1の撮像光学系2及び撮像素子3の特性に応じてあらかじめ設定される。設定値の取得方法は以下のとおりである。撮像光学系2及び撮像素子3により、被写体として一様な明るさを持つ物体に係るベイヤー画像信号を生成する。次に、そのベイヤー画像信号に対して、周波数分解部110及び120に上述の周波数分解を施させる。これにより、YLL1、YHL2、YLH2、YHH2、ULL1…の各成分画像を得る。次に、この成分画像ごとに、画素値の標準偏差σを算出する。そして、σに適切な係数kを乗算することにより、下記のように、σを得る。
【0054】
【数7】
【0055】
ここで、kの大きさは、処理後の画像劣化とノイズ抑制の能力とのバランスを考慮して調整される。例えば、kが小さいほどノイズ抑制の能力が低くなる一方で処理後の画像が劣化度しにくくなる。この逆に、kが小さいほどノイズ抑制の能力が高くなる一方で処理後の画像が劣化しにくくなる。画像の劣化とは、例えば、輝度情報に関しては解像度の劣化を示し、色情報に関しては色にじみが強くなることを示す。本実施形態では、上記と同様、輝度の解像度の変化に対する場合と比較すると、人の視覚が色の解像度の変化(色のにじみ等)に対して敏感ではないことを利用してkNを設定する。例えば、高周波の輝度成分を示すYHL1画像等についてはkNを小さくし、低周波の色成分を示すULL2,VLL2の成分画像等についてはkNを大きくする。
【0056】
フィルタ係数取得部131は、以上のように、YLL2、YHL1などの各画像成分についてあらかじめ設定されたσを、各画像成分に関連付けて保持している。以上をまとめると、フィルタ係数取得部131は、輝度情報を示すYLL2画像等に用いる重みとしてws1を、色情報を示すULL2画像等に用いる重みとしてws2を、各画像成分についてσをそれぞれ保持している。フィルタ係数取得部131は、上記の数式6に示すフィルタ演算に用いる下記のフィルタ係数c(p,q)を、数式4〜6に基づき、σ、ws1及びws2を使用して、成分画像ごとに算出する。
【0057】
【数8】
【0058】
そして、フィルタ処理部132は、フィルタ係数取得部131が取得したフィルタ係数を用いて、上記数式6に基づき、各画像成分にフィルタ処理を施す。
【0059】
さらに、画像処理部100は、図1に示すように、補正処理部130が補正処理を施した各成分画像をすべて合成し、ベイヤー画像を再生成する分解画像合成部140及び150(第1及び第2の分解画像合成手段)を有している。分解画像合成部140は、周波数分解部120が施した離散ウェーブレット変換の逆変換をYLL2、YHL1などの各成分画像に施すことにより、Y,U,V及びWの各成分画像を再生する。そして、分解画像合成部150は、周波数分解部110が施した離散ウェーブレット変換の逆変換を分解画像合成部140が生成したY,U,V及びWの各成分画像に施すことにより、ベイヤー画像を再生成する。
【0060】
(実施例)
次に、周波数分解部110及び120、並びに、分解画像合成部140及び150の一実施例に係る回路構成について、図8図12を参照しつつ説明する。本実施例において、周波数分解部110等は、ラインバッファを用いて画像を処理する回路として構築される。周波数分解部110及び120を構成する回路には、図8図10に示すように、入力画像を横方向に関して高周波成分と低周波成分に分解する水平DWT部11と、入力画像を縦方向に関して高周波成分と低周波成分に分解する垂直DWT部12とが含まれる。1レベルの離散ウェーブレット変換につき、1つの水平DWT部11と2つの垂直DWT部12とからなる回路構成が設けられる。周波数分解部110は、上記の通り1レベルの離散ウェーブレット変換を施す。したがって、周波数分解部110として、図8に示すように、1段分の回路構成が設けられる。
【0061】
水平DWT部11は、入力画像において横方向に関して並ぶ0個目〜2N+1個目の画素に対し、下記の数式9に対応する演算を施すことにより、ハイパス成分H(n)(n=0,1,2…N)を取り出す。また、水平DWT部11は、入力画像において横方向に関して並ぶ0個目〜2N+1個目の画素に対し、数式10に対応する演算を施すことにより、ローパス成分L(n)(n=0,1,2…N)を取り出す。なお、数式8及び9において、s(m)は、横方向にm個目の画素の画素値である。垂直DWT部12は、入力画像に対し、数式9及び10を用いた水平DWT部11と同様の演算を縦方向に行う。この場合、s(m)は、縦方向にm個目の画素の画素値である。
【0062】
【数9】
【0063】
【数10】
【0064】
周波数分解部110における水平DWT部11は、ベイヤー画像を横方向に関してH成分及びL成分に分解する。垂直DWT部12は、水平DWT部12からのH成分を、縦方向に関して高周波成分及び低周波成分に分解する。これにより、W(HH)画像及びU(HL)画像が生成される。他方の垂直DWT部12は、水平DWT部12からのL成分を、縦方向に関して高周波成分及び低周波成分に分解する。これにより、V(LH)画像及びY(LL)画像が生成される。なお、上記の数式9及び10に基づきベイヤー画像に施される離散ウェーブレット変換は、図3に示す離散ウェーブレット変換と等価である。
【0065】
一方、周波数分解部120は、上記の通り、2レベルの離散ウェーブレット変換を画像に施す。このため、周波数分解部120には、図9及び図10に示すように、水平DWT部11と2つの垂直DWT部12とからなる回路構成が、Y、U,V及びWの各成分画像につき、2段にわたって設けられている。例えば、W画像に関しては、図9に示すように、1段目の水平DWT部11がW画像を横方向にH成分とL成分に分解する。そして、2つの垂直DWT部12が、H成分及びL成分を、それぞれ縦方向に高周波成分及び低周波成分に分解する。これにより、WHH1、WHL1、WLH1及びWLL1の各成分画像が生成される。このうち、前三者が補正処理部130へと出力され、残りのWLL1画像のみが2段目の水平DWT部11へと出力される。WLL1画像は、2段目の水平DWT部11及び垂直DWT部12により、WHH2、WHL2,WLH2及びWLL2の各成分画像に分解される。これらの成分画像は、補正処理部130に出力される。その他のY、U及びVの各成分画像についても同様である。
【0066】
各成分画像は、補正処理部130として設けられた各フィルタ部13に入力される。フィルタ部13は、成分画像ごとに設けられ、フィルタ係数取得部131及びフィルタ処理部132の両方の機能をそれぞれが有している。フィルタ部13は、各成分画像に応じた重みws1又はws2及びσを保持している。フィルタ部13は、入力されてきた成分画像に基づいてフィルタ係数を取得すると共に、成分画像にフィルタ処理を施す。フィルタ処理(補正処理)が施された成分画像は、分解画像合成部140へと出力される。図9及び図10において、補正処理後の各成分画像は、WHH1´、ULL2´などと表記されている。
【0067】
分解画像合成部140及び150を構成する回路には、図8図11及び図12に示すように、横方向に関する高周波成分及び低周波成分からなる2つの成分画像を合成する水平IDWT部21と、縦方向に関する高周波成分及び低周波成分からなる2つの成分画像を合成する垂直IDWT部22とが含まれる。水平IDWT部21は、水平DWT部11が行う変換の逆変換を成分画像に施すことにより、成分画像を合成する。垂直IDWT部22は、垂直DWT部12が行う変換の逆変換を成分画像に施すことにより、成分画像を合成する。1レベルの離散ウェーブレット逆変換につき、1つの水平IDWT部21と2つの垂直IDWT部22とからなる回路構成が設けられる。分解画像合成部140は、WHH1´、UHL2´等の成分画像を合成し、Y´、U´,V´及びW´の各成分画像を生成する。このため、分解画像合成部140として、図11及び図12に示すように、周波数分解部120に対応した2段の回路構成が設けられる。なお、Y´等の表記は、補正処理後の成分画像であることを示す。
【0068】
例えば、W´画像を生成する回路構成は以下のとおりである。図11に示すように、WHH2´画像及びWHL2´画像が入力された1段目の一方の垂直IDWT部22は、これらを合成してH成分を生成する。一方、WLH2´画像及びWLL2´画像が入力された1段目の他方の垂直IDWT部22は、これらを合成してL成分を生成する。そして、1段目の垂直IDWT部22によって生成されたH成分及びL成分は、1段目の水平IDWT部21に入力される。この水平IDWT部21は、これらを合成してWLL1´画像を生成する。WHH1´画像及びWHL1´画像が入力された2段目の一方の垂直IDWT部22は、これらを合成してH成分を生成する。WLH1´画像及びWLL1´画像が入力された2段目の他方の垂直IDWT部22は、これらを合成してL成分を生成する。そして、2段目の垂直IDWT部22によって生成されたH成分及びL成分は、2段目の水平IDWT部21に入力される。この水平IDWT部21は、これらを合成してW´画像を生成する。その他のY´、U´及びV´の各成分画像についても同様に生成される。
【0069】
分解画像合成部150は、Y´画像、U´画像、V´画像及びW´画像を合成し、1つのベイヤー画像を再生成する。このため、分解画像合成部150として、図8に示すように、周波数分解部110に対応した1段分の回路構成が設けられる。一方の垂直IDWT部22は、W´画像及びU´画像を合成し、H成分を生成する。他方の垂直IDWT部22は、V´画像及びY´画像を合成し、L成分を生成する。水平IDWT部21は、垂直IDWT部22が生成したH成分及びL成分を合成し、ベイヤー画像を再生成する。
【0070】
以上説明した第1の実施形態によると、補正処理部130は、補正処理としてフィルタ処理を画像に施すに当たり、成分画像のうち、色情報を示す高周波成分と輝度情報を示す低周波成分とで異なるフィルタ係数を使用する。例えば、画素同士の距離による重みとして、輝度情報を示すYLL2画像等にはws1が、色情報を示すULL2画像等にはws2が用いられる。また、画素値の差分による重みとして、輝度情報を示す成分画像と色情報を示す成分画像に互いに異なるσが用いられる。このように、色情報を示す成分画像と輝度情報を示す成分画像とのそれぞれに異なるフィルタ係数を使用することで、色情報と輝度情報に対して人の視覚特性が異なることに応じた適切なフィルタ処理が成分画像に施される。
【0071】
また、第1の実施形態によると、周波数分解部110及び120が、離散ウェーブレット変換による周波数分解を直接ベイヤー画像に施す。したがって、例えば、色補間を経た後の画像に施す場合と比べて、処理するデータ量を抑えることができる。
【0072】
また、第1の実施形態においては、周波数分解部110と周波数分解部120とで、各レベルの離散ウェーブレット変換を同じフィルタ係数を用いて行っている。つまり、周波数分解部110及び120同士は、同じ周波数特性である。また、これに伴い、分解画像合成部140及び150同士も同じ周波数特性である。その結果、図8図12に示すように、周波数分解部110及び120の各段が互いに同じ回路構成で構築可能であると共に、分解画像合成部140及び150も各段が互いに同じ回路構成で構築可能である。
【0073】
なお、周波数分解部110及び120の少なくとも一部又は全部、並びに、分解画像合成部140及び150の少なくとも一部又は全部を、ハードウェアのみで実現するのではなくハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより実現することも可能である。この場合には、例えば、離散ウェーブレット変換の所定のアルゴリズムに従ったプログラムをCPUに実行させることになる。このとき、周波数分解部110及び120同士や分解画像合成部140及び150同士が同じ周波数特性であることにより、離散ウェーブレット変換の各レベルの演算を行うプログラムを同じアルゴリズムに従って構築することができる。
【0074】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る別の一実施の形態である第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と共通する構成には同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。第2の実施形態に係る撮像装置201は、図13に示すように、撮像光学系2、撮像素子3、周波数分解部110、周波数分解部120及び画像処理部240を有している。撮像光学系2、撮像素子3、周波数分解部110及び周波数分解部120による信号処理又は画像処理は、第1の実施形態と同様である。画像処理部240は、補正処理部130及び圧縮処理部210を有している。補正処理部130の補正処理は第1の実施形態と同様である。圧縮処理部210は、補正処理部130が補正処理を施した後の各成分画像に圧縮処理を施す。圧縮処理は、デジタルデータに関する各種の圧縮方式に従って行われる。圧縮処理部210は、成分画像のうち、高周波成分と低周波成分とで異なる圧縮処理を行うことが好ましい。例えば、YLL2画像には可逆性の圧縮方式が用いられるが、色の解像度の劣化には敏感でない人の視覚特性を考慮に入れ、ULL2画像等には圧縮率の高い不可逆性の圧縮方式が用いられてもよい。
【0075】
そして、撮像装置201は、第1の実施形態と異なり、圧縮処理部210によって圧縮された圧縮データをそのまま出力する。圧縮データは、インターネットなどのネットワーク203を介して、画像表示装置202へと送信される。画像表示装置202は、伸長処理部221、分解画像合成部140、分解画像合成部150、色補間部222及びディスプレイ223を有している。伸長処理部221は、撮像装置201から送信された圧縮データに伸長処理を施す。伸長処理は、圧縮処理において用いられた圧縮方式とは対となる伸長方式に従い、圧縮データを圧縮前のデータに復元する処理である。伸長処理部221が復元したデータは、YHH1´画像などの成分画像に係るデータである。これらのデータが示す成分画像は、分解画像合成部140及び150によって合成され、ベイヤー画像が再生成される。色補間部222は、このベイヤー画像の画素値を補間することにより、各画素についてR成分、G成分及びB成分の画素値を有する画像を生成する。ディスプレイ223は、色補間部222が生成した画像を表示する。
【0076】
本実施形態によると、撮像装置201が撮像した画像が、画像表示装置202へと、成分画像のまま送信される。このため、データの送信量が少なくて済む。また、成分画像が圧縮されて送信されるので、データの送信量がより少なくて済む。
【0077】
なお、画像処理部240に補正処理部130が設けられず、圧縮処理部210のみが設けられてもよい。この場合、画像表示装置202に補正処理部130が設けられ、伸長処理部221が復元したデータに補正処理部130が補正処理を施すとよい。また、圧縮データがネットワーク203ではなく、何らかの他の有線/無線インタフェースを介して別の装置に出力されてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に出力されてもよい。
【0078】
[その他の変形例]
以下、上述の実施形態に係る変形例について説明する。上述の実施形態では、画像処理部100又は240に、補正処理部130や圧縮処理部210が設けられている。これらに加え、又は、代えて、以下に説明する特徴量演算部が画像処理部に設けられてもよい。
【0079】
特徴量演算部は、YHH1´、VLL2´などの成分画像に基づいて、画像の特徴量を演算する。画像の特徴量とは、例えば、各種の画像処理に用いられるパラメータである。かかるパラメータには、補正処理や画像のエッジを強調するためのフィルタ処理などに用いられるパラメータが含まれる。また、画像の特徴量は、成分画像に基づいて各種の統計演算を行うことで得られる統計値であってもよい。上述の実施形態におけるσは、かかる統計値の一例である。特徴量演算部は、成分画像のうち、高周波成分と低周波成分とで異なる処理となるように特徴量を演算することが好ましい。例えば、色情報に係る補正処理のための特徴量を演算するため、ULL2画像等に基づいて演算するが、YLL2画像に関しては演算しない。逆に、輝度情報に係る補正処理のための特徴量を演算するため、YLL2画像に基づいて演算するが、その他の成分画像に関しては演算しない。特徴量演算部による演算結果は、撮像装置自身における画像処理に用いられてもよいし、他の装置に向けて、又は、記録媒体に向けて出力されてもよい。
【0080】
また、上述の実施形態では、周波数分解部110及び120の2つが設けられているが、周波数分解部110のみが設けられていてもよい。この場合、周波数分解部110が生成した成分画像に画像処理部100が画像処理を施す。このとき、成分画像のうち、高周波成分(U画像等)と低周波成分(Y画像)とで、色情報及び輝度情報の違いに応じて異なる画像処理が施されればよい。
【0081】
また、上述の実施形態では、周波数分解部120が2レベル(2階層)の離散ウェーブレット変換を施す。しかし、周波数分解部120が1レベルや3レベル以上の離散ウェーブレット変換を施してもよい。また、周波数分解部110及び120同士で同一の周波数特性であったが、これらが互いに異なる周波数特性であってもよい。
【0082】
上述の実施形態では、成分画像が低周波成分であるか高周波成分であるかに応じて補正処理におけるフィルタ係数に用いる重みが異なっている。例えば、YLL2画像にはws1が、ULL2画像等にはws2が用いられている。これら2種類の重みを所定の割合で足し合わせたものが使用されてもよい。この場合にも、高周波側の成分に対しては、低周波側の成分に比べて、距離に応じた減少率が小さくなるような重みが使用されるとよい。上記の通り、人の視覚特性は、比較的、色情報(高周波成分)の劣化に敏感でないからである。
【0083】
また、上述の実施形態では、補正処理部130(フィルタ係数取得部131)は、あらかじめ設定されたws1、ws2、σに基づいてフィルタ係数を取得している。しかし、さらに撮影条件等に基づいてフィルタ係数が調整されてもよい。例えば、ISO感度や撮影時の温度等の撮影条件によっても画像に含まれるノイズの量が変化する場合には、補正処理部130が撮影条件に応じてフィルタ係数を調整してもよい。この場合、ISO感度などの撮影条件は、撮像装置の外部から入力されてもよいし、撮像装置内に撮像光学系2や撮像素子3を制御する制御手段が設けられている場合には、かかる制御手段から補正処理部130へと撮影条件が出力されてもよい。
【0084】
また、上述の実施形態では、補正処理部130がフィルタ処理を1回、成分画像に施すことが想定されている。しかし、フィルタ処理が成分画像に複数回、施されてもよい。また、バイラテラルフィルタが採用されているが、トリラテラルフィルタなど、その他のフィルタが採用されてもよい。
【0085】
また、上述の実施形態では、撮像光学系2や撮像素子3を備えた撮像装置として本発明が実施されることが想定されている。しかし、撮像光学系や撮像素子等を備えた他の撮像装置において生成されたベイヤー画像に画像処理を施す画像処理装置として本発明が実施されてもよい。この場合、画像処理装置には撮像光学系2や撮像素子3が設けられていなくてもよい。また、他の装置からのベイヤー画像は、ネットワークや各種の有線/無線インタフェースを介して撮像装置から画像処理装置に入力されてもよいし、記録媒体を介して入力されてもよい。かかる画像処理装置においては、外部からベイヤー画像を取得するためのインタフェースや記録媒体からのデータ読み取り部が、本発明の画像取得手段に対応する。
【0086】
また、上述の第2の実施形態における圧縮処理部210及び伸長処理部221が、第1の実施形態における画像処理部100に設けられていてもよい。データを圧縮及び伸長する機能部を有していることにより、例えば、一時的にデータを圧縮して保存することができるため、データを一時的に記憶する記憶部の容量を削減できる。
【0087】
上述の実施形態や変形例は、画像処理として、補正処理、情報の圧縮伸長処理及び特徴量演算処理の少なくともいずれかを含んでいる形態となっている。そのうちの少なくともいずれかの処理において、高周波成分と低周波成分とで異なる画像処理となっていれば、本発明の範囲である。
【0088】
本発明のその他の応用例としては、3次元ノイズリダクションへの適用が考えられる。3次元ノイズリダクションは、複数フレームの連続する撮像画像からなる動画の場合に、フレーム同士の比較に基づいてノイズを除去する処理である。本発明のように、成分画像に3次元ノイズリダクションを施すことで、必要なバッファ量やバンド幅を大幅に低減できる。例えば、RGB4:4:4やYCbCr4:4:4と比較すると1/3に、YCbCr4:2:0と比較すると2/3に低減できる。
【0089】
また、画像処理として、輝度情報を示す成分画像(YLL2画像)のみに輝度シェーディングを打ち消すゲインで補正を施してもよい。これにより、画像全体に対して効率的に輝度シェーディングの補正効果を確保できる。また、YLL2画像のみに補正を施すため、回路規模を抑制できる。さらに、画像処理として、色情報を示す成分画像のうち、低周波成分(ULL2画像,VLL2画像,WLL2画像)のみに、色シェーディングを打ち消すゲインで補正を施してもよい。これにより、画像全体に対して効率的に輝度シェーディングの補正効果を確保できる。また、成分画像の一部のみに補正を施すため、回路規模を抑制できる。
【符号の説明】
【0090】
1…撮像装置,100…画像処理部,110…周波数分解部,120…周波数分解部,130…補正処理部,140…分解画像合成部,150…分解画像合成部,201…撮像装置,202…画像表示装置,210…圧縮処理部,240…画像処理部
図1
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図13