特許第5668142号(P5668142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲーの特許一覧

<>
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000002
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000003
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000004
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000005
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000006
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000007
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000008
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000009
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000010
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000011
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000012
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000013
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000014
  • 特許5668142-車両シート用縦方向調整装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668142
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】車両シート用縦方向調整装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/08 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   B60N2/08
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-528539(P2013-528539)
(86)(22)【出願日】2011年8月26日
(65)【公表番号】特表2013-537137(P2013-537137A)
(43)【公表日】2013年9月30日
(86)【国際出願番号】EP2011004304
(87)【国際公開番号】WO2012052087
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2013年3月13日
(31)【優先権主張番号】102010049542.5
(32)【優先日】2010年10月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ディル、 トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハンマン、 ハインリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】エンス、 ビクトル
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−181398(JP,A)
【文献】 独国特許発明第10041605(DE,C2)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0181129(US,A1)
【文献】 特開2006−290233(JP,A)
【文献】 特開平09−104264(JP,A)
【文献】 特開平09−104266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シートの縦方向調整装置であって、
車両構造体に連結される少なくとも1つの第1シートレール(5)及び前記車両シートに連結される少なくとも1つの第2シートレール(8)であって、レール外形を形成するように互いの周囲に係合し且つ互いに対して相対的に長手方向に移動可能である第1及び第2シートレール(5,8)を含み
前記シートレール(5,8)を互いに固定するレールロック手段(10)であって、前記シートレール(5,8)によって形成され前記レール外形の内部に少なくとも大部分が配置されるレールロック手段(10)を含み
ロック解除ユニット(30)と、前記ロック解除ユニット(30)を作動させるための作動装置(11)とが設けられ、前記ロック解除ユニット(30)は、前記シートレール(5,8)によって形成された前記レール外形の内部に少なくとも大部分が配置され、
前記作動装置(11)を前記ロック解除ユニット(30)に連結する力伝達要素(35)が設けられ、前記力伝達要素(35)は、一端が前記第2シートレール(8)内に側面から挿入され、前記第2シートレール(8)の前記レール外形内に又は前記第2シートレール(8)を通って延び、前記第2シートレール(8)の内部で前記ロック解除ユニット(30)と協働し、
前記力伝達要素(35)と前記ロック解除ユニット(30)との間にスプライン(37)による結合が設けられ、
前記力伝達要素(35)は、同時に、前記作動装置(11)の旋回可能な取り付けに使用され、
前記ロック解除ユニット(30)は前記レールロック手段(10)を係合状態から抜け出させるためレバーアーム(32)によって下げられることができる少なくとも1つのサイドプレート(31)を有する縦方向調整装置。
【請求項2】
前記力伝達要素(35)は前記シートレール(5,8)の長手方向に対して垂直に延びる作動旋回軸(B)を有するシャフト(36)によって少なくとも部分的に形成され
前記力伝達要素(35)は、少なくとも前記第2のシートレール(8)の内部ま延びる請求項1に記載の縦方向調整装置。
【請求項3】
前記レバーアーム(32)は、前記レール外形の内部に完全に配置され且つ前記力伝達要素(35)に連結される請求項1又は2に記載の縦方向調整装置。
【請求項4】
前記レバーアーム(32)は、前記力伝達要素(35)と同心に延びる作動旋回軸(B)を中心に前記力伝達要素(35)によって旋回可能である請求項3に記載の縦方向調整装置。
【請求項5】
前記力伝達要素(35)は、前記ロック解除ユニット(30)の前記レバーアーム(32)連結される請求項1〜4のいずれか1項に記載の縦方向調整装置。
【請求項6】
前記スプライン(37)は星型に形成される請求項5に記載の縦方向調整装置。
【請求項7】
前記レールロック手段(10)はガイド部分(24)を有し、前記ガイド部分は前記第2シートレール(8)に取り付けられ且つガイドフィンガー(14)のためのガイドスリーブを有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の縦方向調整装置。
【請求項8】
前記レールロック手段(10)はガイド部分(24)を有し、前記ガイド部分は前記第2シートレール(8)に取り付けられ且つロックばね(16)に固定して連結され、前記ロックばねはロック要素12)をロック位置に引き入れる請求項1〜7のいずれか1項に記載の縦方向調整装置。
【請求項9】
前記力伝達要素(35)に位置する2つのレバーアーム(32)が設けられ一端で相互に連結される請求項1〜8のいずれか1項に記載の縦方向調整装置。
【請求項10】
前記力伝達要素(35)はシャフト(36)によって形成され、前記シャフトはその旋回軸と同心に前記作動装置(11)を取り付け、前記力伝達要素(35)と前記作動装置(11)との間の取り付け位置の領域に過負荷安全装置が設けられ、前記過負荷安全装置はロック解除のための通常の作動方向と反対方向の過負荷を防ぐ請求項1〜9のいずれか1項に記載の縦方向調整装置。
【請求項11】
前記過負荷安全装置の一部が、V字型溝(39’)が形成された前記力伝達要素(35)の端部であり、前記溝(39’)内に突出するタブ(44’)を有する伝動パイプ(44)が前記力伝達要素の前記端部に載る請求項10に記載の縦方向調整装置。
【請求項12】
V字型に曲げられた端部領域を有する誤使用過負荷防止ばね(48)が更に設けられ、通常の使用状態において前記溝(39’)内に延びる請求項11に記載の縦方向調整装置。
【請求項13】
通常の使用状態において、V字型に曲げられた前記端部領域は、一方の側で前記溝(39’)の壁に、他方の側で前記伝動パイプ(44)の前記タブ(44’)に支えられる請求項12に記載の縦方向調整装置。
【請求項14】
誤操作が生じた場合に、前記タブ(44’)は、前記溝(39’)の前記壁から離され、V字型に曲げられた前記誤使用過負荷防止ばね(48)の前記端部領域は、前記溝(39’)から部分的に押される請求項12又は13に記載の縦方向調整装置。
【請求項15】
前記力伝達要素(35)は、前記シートレール(5,8)の長手方向に対して垂直に延びる作動旋回軸(B)を有し、前記過負荷安全装置は、前記作動装置(11)の通常の作動方向と反対の前記作動旋回軸(B)の周りの相対回転運動を可能にし、一方、前記力伝達要素(35)は前記作動旋回軸(B)の周りで回転しないか又はわずかな範囲でのみ回転する請求項10〜14のいずれか1項に記載の縦方向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部における特徴を有する、車両シート用、特に自動車シート用の縦方向調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このタイプの縦方向調整装置は、特許文献1から周知である。この場合、車両構造体に連結された第1シートレールとシート構造体に連結された第2シートレールとが設けられ、互いの周囲に係合し、互いに対して相対的に縦方向に移動可能である。主としてレール外形(プロファイル)の内側に配置されたレールロック手段と、レール外形の外側に配置され且つ作動状態でレールロック手段に作用するロック解除フラップとが更に設けられる。ロック解除フラップは、ホルダーによって第2シートレールに旋回可能に取り付けられる。
【0003】
また、レールロック手段の作動装置が、特許文献2から周知であり、回転可能に又は旋回可能にシートレールに取り付けられたレバーを有し、レバーは、シートレールのロック解除手段にシートレールの外側で確実に又は一体的に連結される。旋回可能な配置のため、レバーは、ロック解除手段から距離を置いて、外側からシートレールの開口部に挿入することができる。レバーは、同様にシートレールの外側に配置され且つ同様にロック解除手段に連結されたクリップと協働する。ロック解除手段は、スリットを通って外側に突出し且つクリップ内にクランプされた突起を有する。
【0004】
車両構造体に連結される2つの第1シートレールと車両シートに連結される2つの第2シートレールとを備える車両シート用縦方向調整装置が特許文献3から周知であり、この装置では、第1及び第2のシートレールがレール外形を形成するように互いの周囲に係合し、且つ互いに対して相対的に長手方向に移動可能である。シートレールを互いに固定するレールロック手段が設けられ、レールロック手段は、シートレールによって形成されたレール外形の内部に少なくとも大部分が配置される。また、ロック解除ユニットと、ロック解除ユニットを作動させるための作動装置とが設けられ、ロック解除ユニット(詳細には図示されていない)は、シートレールによって形成されたレール外形の内部に大部分が配置され、第2シートレールから横方向に突出するレバーアームのみが示されている。作動装置をロック解除ユニットに連結する、力伝達要素が更に設けられる。この場合、力伝達要素は、クロスバーと、クロスバーに固定して連結された2つのロッカーレバーとによって形成される。クロスバーは、取り付け位置で第2シートレールに横方向に取り付けられ、この目的のために第2シートレールに単孔が設けられ、これらの単孔にクロスバーの端部が取り付けられる。ロッカーレバーが第2シートレールの外側に少し距離を置いて配置され、レール外形から突出するロック解除ユニットの対応するレバーアームと一端で連携する。2つのロッカーレバーの一方は長く、レバーアームから離れた端部と共に、作動機構のハンドレバーを形成する。
【0005】
力伝達要素と作動装置との間に過負荷安全装置を設けてロック解除のための通常の作動方向と反対方向の過負荷を防ぐ縦方向調整装置が、更に特許文献4から周知である。この過負荷安全装置の変形例によれば、前記過負荷安全装置は、過負荷の場合に作動レバーが曲がるように設けられる。他の変形例では、作動レバーは、シャフトに対して偏心して取り付けられ、ばねにより付勢されたシャフトの偏心部分に寄り掛かる。ロック解除のための通常の作動方向と反対の作動レバーに作用する力によってもたらさトルクが反対に作用する復元力のトルクを超えると、作動レバーはそれによりシャフトから外れるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許発明第102006021884号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102008058518号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19510618号明細書
【特許文献4】独国実用新案第20208719号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、冒頭で述べたタイプの縦方向調整装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する発明によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項に記載される。
【0009】
力伝達要素が、第2シートレール内に又は第2シートレールを通って延び、それと同時に、作動装置の旋回可能な取り付けに使用されるので、シートレール用のロック解除手段を完全にレール外形内で動かすことができ、装置全体が保護される。また、作動プロセスのための空間要件は最小限に抑えられる。
【0010】
力伝達要素は、好ましくは少なくとも部分的にシャフトによって形成され、シャフトはシートレールの長手方向に対して垂直な作動旋回軸を有し、力伝達要素は、少なくとも第2シートレール内まで、詳細には第2シートレールを通って横方向に延びる。力伝達要素が横方向に第2シートレールを通って延びる場合、シートレールの横方向の開口部は、結果として取り付け位置として使用することができる。特に好ましくは、摩擦を低減するために開口部にベアリングが配置され得る。更に、ベアリングの少なくとも1つを、力伝達要素の軸方向の移動可能性を定めるために使用することができる。
【0011】
ロック解除ユニットは、好ましくは少なくとも1つのレバーアームを有し、レバーアームは、第2シートレール内に完全に配置され且つ力伝達要素に連結される。レバーアームは、特に好ましくは、力伝達要素と同心に延びる作動旋回軸の周りで力伝達要素によって旋回可能であり、そのために、レバーアームは、力伝達要素上に、特に好ましくはポジティブ嵌合で取り付けられる。例えば、ポジティブ嵌合は、スプラインによって、詳細には星形スプラインによって行われてもよいが、他のスプライン、詳細には、正方形、六角形、又は弦のように切断した領域を有する円形スプラインもまた可能である。点対称でない外形を使用する場合は、レバーアームと力伝達要素との位置合わせを、結果として容易に定めることができる。
【0012】
レールロック手段は、好ましくはガイド部分を有し、ガイド部分は、第2シートレールに取り付けられ且つガイドフィンガー用のガイドスリーブを有する。ガイドフィンガーはロッキングプレートを導くために使用される。この場合、ガイドフィンガーの長さは、第2シートレールに設ける開口部の数を減らすことができるように、ガイドフィンガーも第2シートレール内にあるそれらの対応する終了位置(ロック位置)で終わるような寸法とすることができる。
【0013】
特に好ましくは、ロックばねがガイド部分に設けられ、ロッキングプレートをロック位置に引き入れる。これらのロックばねは、ガイド部分に直接、一体鋳造することができるだけでなく、他の方法でガイド部分に連結することもできる。
【0014】
対称性の理由で、好ましくは、力伝達要素上にある2つのレバーアームが設けられる。これらは、特に好ましくは、あぶみ状領域によって一端で相互に連結される。このあぶみ状領域は、例えば、誤操作が生じた場合に力伝達要素が望ましくない方向への回転するのを防ぐ、ばねの始点として使用することができる。
【0015】
図面に示された例示的な実施形態に基づいて、以下で本発明を更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ロック位置にある例示的な実施形態の斜視図を示す。
図2図1の開放側面図を示す。
図3図1の斜視露出図を示す。
図4】ロック状態にあるロック領域の開放側面図を示す。
図5】ロック解除状態にある図4に対応する図を示す。
図6】シートレールの長手方向における例示的な実施形態の図を示す。
図7】連結領域を通る断面図を示す。
図8】ロック位置において図6のA−A線に沿って切断した側面図を示す。
図9】追加拡大詳細図を有する図8からの詳細図を示す。
図10】誤操作の位置において図6のA−A線に沿って切断した側面図を示す。
図11】追加拡大詳細図を有する図10からの詳細図を示す。
図12】ロック解除ブロックを含むロックユニットの斜視図を示す。
図13】サイドプレートの図なしで図12に対応する斜視図を示す。
図14】車両シートの概略側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
自動車における車両シート3の縦方向調整装置1は、車両シート3の(手動の)縦方向調整のために、すなわち、縦方向位置の調整のために使用される。縦方向調整装置1は、車両シートのそれぞれの側に、車両構造体に連結された第1シートレール5と、車両シートに連結された第2シートレール8とから成る一対のシートレールを備える。2つのシートレール5及び8は、レール外形を形成するように互いの周りに係合し、且つ互いに対して相対的に長手方向に移動可能であり、2つのシートレール5及び8の間には摩擦を軽減するためにボール(図示せず)が配置される。例示的な実施形態の配置では、第2シートレール8は、第1シートレール5を超えて上方に(垂直方向に)突出し、長手方向と共に、使用方向を画定しているが、原理的には横方向の(水平方向の)突出も可能である。
【0018】
2つのシートレール5及び8は、レール外形の内部に大部分が配置されたレールロック手段10によって互いに固定することができ、この原理は、その開示が明示的に本明細書に組み込まれている、独国特許第10041605号明細書に記載されている。このレールロック手段10は、シートレールの外側に配置された作動装置11によって解除可能であり、車両シート3の前端で前方方向に突出する、持ち上げ用のハンドグリップ又はあぶみ状部材を有する。
【0019】
レールロック手段10は、少なくとも1つのロッキングプレート12を有し、ロッキングプレートは、ガイドフィンガー14によって第2シートレール8に移動可能に取り付けられ、且つロックばね16によって前記ガイドフィンガーに対して付勢される。ロッキングプレート12から突出する歯18が、第2シートレール8のスリット開口部20を通って、第1シートレール5の移動止め21に係合する。ガイドフィンガー14は、この場合はレール外形から突出し、且つ第2シートレール8を僅かに超えて突出する。
【0020】
ガイドフィンガー14は、プラスチックから射出成形されたガイド部分24のスリーブ状延長部分に導かれる。更に、ロックバネ16は、一端がこのガイド部分24に一体的に入れられ、一方、他端はロッキングプレート12に連結される。
【0021】
実質的に継続するロック過程のために及び長手方向のロック強度を高めるために、レールロック手段10は、この場合は長手方向に連続して配置された3つのロッキングプレート12を有する。3つのロッキングプレート12に割り当てられたすべてのガイドフィンガー14が、この場合には3つのスリーブ状延長部分を有する単一のガイド部分24に導かれる。しかしながら、異なる数のロッキングプレート、例えば、レールロック手段ごとに1つのロッキングプレートのみを設けることも可能である。また、各ロッキングプレートはそれ専用のガイド部分に連結することができる。また、ロッキングプレートごとのガイドフィンガー及び/又はロックばねの数はより多くてもよい。
【0022】
3つのロッキングプレート12のための共通のガイド部分24は、図3に見られるように、上からねじ込まれた2つのネジ26によって第2シートレール8の外形内に保持され、ガイドフィンガー14は、ガイド部分24を通って突出し、且つ第2シートレール8の対応する開口部を通って外側に突出する。
【0023】
スリーブ状延長部分を備えた対応するガイド部分を設けた結果、より短いガイドフィンガー長も形成することができるが、その場合、ガイドフィンガーは、第2シートレール8の開口部に突出せず、すなわち、ガイドフィンガーは、スリーブ状延長部分の内部で移動する。
【0024】
レールロック手段10は、ロック解除ユニット30によって部分的に囲まれ、ロック解除ユニットは、この場合完全に第2シートレール8の内部に配置される。ロック解除ユニット30は、2つのサイドプレート31を有し、サイドプレートは、ロッキングプレート12の歯18の上でシートレール5,8の長手方向に延びる。ロック状態で、2つのサイドプレート31は、ガイド部分24の下側に寄り掛かり、且つロッキングプレート12から少なくともわずかに距離を置いているが、場合によりロッキングプレート12に軽く寄り掛かってもよい。これらのサイドプレート31は、この場合はプラスチックで構成されるが、例えば金属などの他の適した材料でも構成され得る。
【0025】
ロック解除ユニット30は、横方向外側に突出するピンでサイドプレート31に旋回可能に連結され且つシートレール5,8の長手方向に対して垂直に配置された作動旋回軸Bの周りを旋回可能な2つのレバーアーム32を更に有し、サイドプレート31は、前記レバーアームによって前後に移動可能である。2つのレバーアーム32は、この場合はサイドプレート31から離れた側のあぶみ状領域33によって相互に堅く連結されているが、別々に形成されてもよい。
【0026】
レバーアーム32は、この場合は打ち抜かれて成形された鋼板で構成される。十分な強度があれば、詳細には特に応力を受ける領域に対応する挿入物及び/又は補強材があれば、レバーアームは、例えばプラスチックで構成してもよい。言うまでもなく、適切な強度特性を有する他の材料もまた可能である。
【0027】
この場合は板ばねによって形成されている戻しばね34が、2つのレバーアーム32の間であぶみ状領域33に配置され、第2シートレール8の内面に対して支持される。
【0028】
板ばねの代わりに、好ましくはレバーアーム32に復元力を与えるように第2シートレールに支持される、他の適切なばねを設けてもよい。ばねは、必ずしもあぶみ状領域33に係合しなくてもよいが、例えばレバーアーム32と、特にこれらを別々に形成した場合に、直接協働してもよい。
【0029】
ロック解除ユニット30の2つのレバーアーム32は、力伝達要素35を介して前記作動装置11に、ボジティブ、非ポジティブ及び/又は一体的な方法で、しかしながら特に好ましくはポジティブな方法で連結される。この場合は、シャフト36が力伝達要素35として働き、力はシャフト36に形成された星形スプライン37によってポジティブ嵌合によって伝達される。星形スプライン37の代わりに、その横断面が円形と異なり且つ最小限の遊びで力の伝達を可能にする、他の任意の中実又は中空の断面形状も考えられる。スプライン37は、互いから離れて対向する2つのレバーアーム32の側面間の距離よりもわずかに大きい長さにわたって延びる。2つのレバーアーム32のスペーサとして使用されるスリーブ40が、この場合はわずかな遊びを有してシャフト36に載っている。スリーブはまた、シャフトに押し付けられてもよいし、かなりの遊びを有してシャフトに軽く載ってもよい。
【0030】
シャフト36は、第2シートレール8の横方向開口部に、ベアリング42を間に配置した状態で取り付けられ、前記ベアリングはスプライン37の両側に配置され、第2シートレール8の対応する領域は第1シートレール5から突出する。シャフト36は複数の段を付けられ、第2シートレール8を越えて突出する第1端部領域38は、端面が面取りされ、且つそこからわずかな距離に環状溝が形成される。こちら側に配置された第1ベアリング42は、その内側の側面に対応する円周方向リブを有し、前記リブは、組み立てられるときに環状溝に配置され、それによりシャフト36を第1ベアリング42内に固定する。一方、第1ベアリング42は、その外側の側面に円周方向環状溝を有し、この円周方向環状溝に第2シートレール8の側壁が配置される。この配置は、シャフト36を第2シートレール8内に保持する。前記スプライン37は、取り付け領域に隣接して配置され、スプライン37の対応する谷径は、この場合は概ね第1ベアリング42が位置するところの外径に相当する。スプライン37自体は、それに対応して輪郭付けられたレバーアーム32の開口部内に配置される。スリーブ40は、前記スプライン上に位置する。第2ベアリング42は、この場合はスプライン37の外径よりもわずかに小さい外径を有する領域で、スプライン37に隣接して配置される。第2ベアリング42は、更なる段部に支持される。
【0031】
シャフト36は、シャフト36の長手方向に延びるV字型溝39’を有する円筒状領域において第2端部領域39で終端し、前記V字型溝はこの場合90°の角度を有する。このシャフト36の第2端部領域39はまた、以下、作動端と称される。全体的に、シャフト36は、このようにビット状に形成されている。ベアリング42の組み立てのために、前記ベアリングは、若干弾性的に広げられてシャフト36上をスライドさせられる。この場合、ベアリング42はまた、開口部を作るように形成されてもよい。
【0032】
また、V字型溝39’の角度は、直角とは異なる場合がある。更に、湾曲した壁も考えられる。
【0033】
作動レバー46に堅く連結された、例えばそれに溶接された伝動パイプ44が、シャフト36の作動端に位置する。また、板ばねの形態の誤使用過負荷防止ばね48が設けられ、作動レバー46に堅く連結される。
【0034】
そのレール側端部において、伝動パイプ44は3/4円形領域を有し、3/4円形領域は、パイプに長手方向の切り込みを入れること、及び、それにより形成された短縮タブ44’をこの場合90°折り曲げることよって形成される。図9から分かるように、タブ44’は、通常状態では溝39’の壁に、すなわち、作動レバー46の移動方向に配置された溝39’の側面に支えられる。或いは、タブ44’の他の曲げ角度もまた可能である。
【0035】
誤使用過負荷防止ばね48の端部領域は、伝動パイプの側で、レールロック手段10のロック状態及びレールロック手段10のロック解除状態での作動レバー46の通常配置の両方で、それがタブ44’とこの場合は平面的な形の溝39’の反対側の壁とに付勢される形で寄り掛かるように曲げられる。この配置が過負荷防止装置50を形成し、その機能を更に以下でより詳細に説明する。
【0036】
装置全体は、第1ステップで、レールロック手段10を含むロック解除ユニット30を第2シートレール8内に配置することによって、及び、ガイド部分24にねじ26をねじ込むことにより前記ユニットをねじ26で上から留めることによって、組み立てられる。第1ベアリング42は、事前に又は直後に第2シートレール8の対応する開口部に挿入されることができ、一方、第2ベアリング42は、第2シートレール8への組み立て前に力伝達要素35上に直接スライドさせられる。次いで、力伝達要素35の第1端部領域38は、第2ベアリング42に割り当てられた第2シートレール8の開口部を通して、且つ、スリーブ40を含む2つのレバーアーム32を通して横方向にスライドさせられ、スプライン37が第1レバーアーム32の対応する開口部に達すると、レバーアーム32に関して決められた形に整列される。第1ベアリング42の内周全体に延びるリブが第1端部領域38に隣接した環状溝にはまり、それにより配置を回転可能に固定するとすぐに、挿入は終わる。次いで、作動装置11の伝動パイプ44が適切な位置合わせで第2端部領域39上にスライドさせられ、誤使用過負荷防止ばね48の曲げられた端部領域が溝39’に入り込む。
【0037】
次いで、第2シートレール8が、レールロック手段10及びロック解除ユニット30と共に、第1シートレール5に挿入される。
【0038】
装置全体は以下のように機能する。
【0039】
ロックされた開始位置では、レールロック手段10が作動させられ、すなわち、ロッキングプレート12のうちの少なくとも1つの歯18が第1シートレール5の移動止め21内にグリップする。
【0040】
グリップをも備え得る作動装置11の作動レバー46が、ロック解除ユニット30を作動させるために持ち上げられ、すなわち、作動旋回軸Bを中心に図9における時計方向に回転させられると、それによりタブ44’が力伝達要素35を駆動し、シャフト36が時計回り方向に回転させられる。この回転運動によって、スプライン37が2つのレバーアーム32を駆動し、それによりレバーアーム32に旋回可能に取り付けられたサイドプレート31が下げられ、ロッキングプレート12をロックばね16の上昇復元力に抗して移動止め21から下方に押す。すべての歯18が移動止め21の外に出るとすぐに、ロックが解除され、車両シート3を含む第2シートレール8を、第1シートレール5に対して相対的に移動させることができる。2つのレバーアーム32の間であぶみ状領域33の上縁部に寄り掛かる戻しばね34が、レバーアーム32の所定の回転角度からの更なる回転運動に対抗し、ロックばね16の動作を支持する。
【0041】
車両シート3の縦方向の移動の後に作動レバー46を解放すると、レバーはこのように戻しばね34の弾性により補助されたロックばね16の復元力により、その下方の開始位置に再び戻る。
【0042】
誤操作の結果、又は誤って、作動装置11の作動レバー46が更に下方に、すなわち図9から反時計方向に押された場合、それにより過負荷安全装置50が作動され、力伝達要素35がその位置に留まるのに対し、伝動パイプ44は、タブ44’が溝39’の壁から遠ざかるように、軸Bを中心に作動レバー46と共同で回転する。誤使用過負荷防止ばね48がそれにより溝39’から部分的に押され、レールロック手段10又はロック解除ユニット30を損傷する恐れがある力が力伝達要素35に伝達されないことがそれにより保証される。
【0043】
溝39’内にあるその開始位置から部分的に押し出された誤使用過負荷防止ばね48の力は、操作レバー46に作用する誤操作力を若干弱め、特に、事実上の誤操作力がなくなるか又はそれに応じて前記力が低くなるとすぐに、作動レバー46がその開始位置に戻ることを確実にし、伝動パイプ側にある誤使用過負荷防止ばね48の屈曲端部領域は、ばねの付勢により溝39’内にあるその開始位置に押し戻される。誤使用過負荷防止ばね48の屈曲端部領域は、この場合、くさびとしての役割を果たす。このくさび効果により、タブ44’と溝39’の反対側の壁との間の自由角度が再び大きくなり、それにより、タブ44’が再び溝39’の他方の壁に寄り掛かるまで、伝動パイプ44が力伝達要素35を中心に逆回転し、作動レバー46が持ち上げられる。
【0044】
シャフト36の延長部分が第2シートレール8を通って横方向に延びることは先に述べたが、シャフト36の第1端部領域38もまた第2シートレール8の内部で終端し得る。この場合、シャフト36は、例えば、第2シートレール8に形成された取り付け位置によって又は第2シートレールの外側の1つ又は複数の追加の取り付け位置によってのみ取り付けることができる。更なる実施形態、特に過負荷安全装置の実施形態は、上記の方法で実現させることができる。
【0045】
また、点対称のスプラインの代わりに、非対称の実施形態も提供されることができ、シャフトの溝に関するレバーアームの所定の位置合わせも可能であるという利点を有する。
【符号の説明】
【0046】
1 縦方向調整装置
3 車両シート
5 第1シートレール
8 第2シートレール
10 レールロック手段
11 作動装置
12 ロッキングプレート
14 ガイドフィンガー
16 ロックばね
18 歯
20 スリット開口部
21 移動止め
24 ガイド部分
26 ねじ
30 ロック解除ユニット
31 サイドプレート
32 レバーアーム
33 あぶみ状領域
34 戻しばね
35 力伝達要素
36 シャフト
37 スプライン
38 第1端部領域
39 第2端部領域
39’ 溝
40 スリーブ
42 ベアリング
44 伝動パイプ
44’ タブ
46 作動レバー
48 誤使用過負荷防止ばね
50 過負荷安全装置
B 作動旋回軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14