【実施例】
【0010】
[1]屋根緑化構造
<1>基本的構成
本発明の屋根緑化構造は、凸部と凹部とが連続形成された折板屋根の上面を緑化するものである。
本発明の屋根緑化構造は、折板屋根5上に、固定金具1によって複数のレール材2を並列して固定し、レール材2間に緑化基盤3を載置して構成する(
図1)。
緑化基盤3の上面には植物4を植生する。そして、固定金具1に取り付けた押さえ金具5によって、緑化基盤3をレール材2上に固定する(
図2)。
本願の実施例においては、山部61にハゼ部62を有する折板屋根6の上面を緑化するが、折板屋根6の形状はこれに限定するものではない。
また、緑化基盤3の上面にさらに飛散防止ネット(図示しない)を敷設して押さえ金具5によって固定する場合もある。
【0011】
<2>固定金具
固定金具1は、折板屋根6の山部61に取り付ける部材であり、山部61に取り付ける取付部11と、取付部11の上部に固定するボルト部12と、からなる(
図3)。
本願の実施例においては、固定金具1の取付部11でハゼ部62を狭持して、固定家具1を固定する。
固定金具1は、隣り合う山部61にも設ける。また、固定金具1は折板屋根6の流れ方向に所定の間隔で並べて設ける。
【0012】
<3>レール材
レール材2は、折板屋根6上部に並列する長尺状の部材である。
レール材2は、頂部21と、頂部21の両端に垂直に設ける段差部22と、段差部22の下端に水平に突設する鍔部23と、により断面略ハット状に形成する(
図4)。断面を略ハット状とすることにより、レール材2の強度が高くなる。
頂部21にはボルト挿通孔24を形成する。
【0013】
<3−1>レール材の配置
レール材2は、折板屋根6の並列する山部61上に渡設し、折板屋根6の流れ方向に垂直な方向に配列する(
図1)。
レール材2は、頂部21のボルト挿通孔24に固定金具1のボルト部12を挿通し、固定金具1によって支持する。このとき、固定金具1の取付部11が、レール材2の頂部21および両段差部22によって規定される空間に内包される(
図2)。
【0014】
<4>緑化基盤
緑化基盤3は、配列した隣り合うレール材2間に並べて配設する。
緑化基盤3は、多孔質セラミックスからなる矩形の板体である。
多孔質セラミックスは保水性に優れており、表面に植物4を育成することができる。植物4は、芝やセダム、コケ類などが好適である。
多孔質セラミックスは軽量であるため、緑化基盤3は配設が容易である。
【0015】
<4−1>緑化基盤の配設
緑化基盤3は、隣り合うレール材2間に並べて配設するが、緑化基盤3の側面がレール材2の段差部22に対応し、緑化基盤3の両端部をレール材2の鍔部23に載置する。
緑化基盤3の高さをレール材2の段差部22の高さと略同一にすることで、レール材2の頂部21と緑化基盤3の上面が略同一平面となる。
緑化基盤3をレール材2の鍔部23に載置するため、緑化基盤3の重心が隣り合うレール材2間に位置するため、地震や強風時にレール材2や固定金具1および折板屋根にかかる力を低減することができる。
【0016】
<5>押さえ金具
押さえ金具5は、正方形の平板状の部材である(
図5)。
押さえ金具5は、中央にボルト孔51を形成する。
押さえ金具5の一辺の長さはレール材2の頂部21の幅よりも大きくする。
押さえ金具5の四隅は下方に折り返して、凸片52を形成する。
【0017】
<5−1>押さえ金具による固定
押さえ金具5は、緑化基盤3を配置した状態で、ボルト孔51に固定金具1のボルト部12を挿通し、押さえ金具5の上部からボルト部12にナット13を螺着して、ナット13によって押さえ金具5およびその下に位置するレール材2および緑化基盤3を固定する。
また、ナット13によって、押さえ金具5はレール材2や緑化基盤3に押しつけられるが、下方に折り返した凸片52は緑化基盤3に貫入し、風による吹き上げを防止する。
【0018】
[2]屋根緑化構造の構築方法
次に、折板屋根の緑化構造の構築方法について説明する。
【0019】
<1>固定金具の配置
折板屋根6の山部61に固定金具1を並べて取り付ける。同一の山部61に取り付ける固定金具1の間隔は、緑化基盤3の幅と略同一(緑化基盤3の幅とレール材2の頂部21の幅を足した長さと略同一)とする。
固定金具1は山部61に沿って所定の間隔で位置決めできるため、緑化基盤3の幅に合わせた設置が可能であり、さまざまな幅の緑化基盤3を適用することができる。幅の大きい(流れ方向に長い)緑化基盤3を用いることで、レール材2の間隔が大きくなり、レール材2や固定金具1の数量を削減でき、施工期間も短縮できる。
【0020】
<2>レール材の設置
次に、複数のレール材2を折板屋根6の並列する山部61上に渡設し、流れ方向に垂直に配列する。
レール材2は、頂部21のボルト挿通孔24に固定金具1のボルト部12を挿通し、固定金具1によって支持する。
固定金具1が緑化基盤3の幅と略同一の間隔で配置されているため、レール材2も緑化基盤3の幅と略同一の間隔となる。
レール材2は断面が略ハット状であるため強度が高くなり、レール材2を支持する固定金具1の数量を削減でき、施工期間も短縮できる。
【0021】
<3>緑化基盤の設置
複数のレール材2を配列した後、隣り合うレール材2の段差部22間に複数の緑化基盤3を設置する。緑化基盤3は多孔質セラミックスからなるため軽量であり、容易に設置することができる。
レール材2の間隔が緑化基盤3の幅と略同一の幅であるため、矩形の緑化基盤3の側面がレール材2の段差部22に対応し、端部下面が鍔部23に対応する。このため、緑化基盤3の重心が隣り合うレール材2間にあるため、地震や強風時にレール材2や固定金具1および折板屋根にかかる力を低減することができる。
そして、緑化基盤3の上面に植物4を植生する。
【0022】
<4>押さえ金具による固定
押さえ金具5を固定金具1のボルト部12に挿通し、ボルト部12にナット13を螺着して押さえ金具5を押し下げることにより、レール材2および緑化基盤3を固定する。
緑化基盤3の角が押さえ金具の下方に位置するように緑化基盤3の長さを決めることにより、一枚の押さえ金具5で最大4枚の緑化基盤3を固定することができる。
また、一枚の緑化基盤3の四隅ではなく対角のみを押さえる場合には、押さえ金具5の数を減らすことができる。
【0023】
[その他実施例]
<1>保水シートの配置
レール材2の頂部21の上面には保水シート7を敷設してもよい(
図6)。このとき、緑化基盤3の高さは、レール材2の高さではなく、敷設した保水シート7上面の高さと略同一にする。これにより、緑化基盤3の上面と保水シート7の上面とが略同一平面となる。
そして、植物4を緑化基盤3および保水シート7の上面全面に植生する。
緑化基盤3の上面とレール材2の上部に位置する保水シート7の上面の全面に植物4を植生することができるため、屋根構造において緑化面積を大きく確保することができる。
【0024】
<2>緑化トレイ
上記実施例においては緑化基盤3として多孔質セラミックスの板体を用いたが、上面を開口したトレイ31と、トレイ31内に配置する土壌などの基盤材32と、により構成し、トレイ31内の基盤材32に植物4を植生してもよい(
図7)。