(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
XYZ3次元直交空間のXY基準面と所定角度で交差する参照面または当該参照面の近傍で、XY基準面からZ方向に離隔した位置に設置され、測定光の照射方向とXY基準面とが交差するように測定光を二次元的に走査し、当該測定光が照射された物体からの反射光を検出する少なくとも一つの測距装置と、
測定光及び反射光に基づいて前記物体の位置ベクトルを算出する距離演算部と、
前記位置ベクトルに基づいて生成された位置情報及び/または移動情報を示す信号を出力する信号出力部と、
を備えるとともに、
XYZ3次元空間が少なくともX方向及びY方向に沿って複数領域に分割され、前記位置ベクトルの終点が含まれる分割領域に物体が存在すると判定して、当該分割領域に対応した物体の位置情報を生成する物体判定部を備えている物体検出装置。
前記物体判定部は、XY基準面からZ方向に第1距離離隔した第1境界面と、第1距離より長い第2距離離隔した第2境界面との間の検出空間で、前記位置ベクトルの終点が含まれる分割領域に物体が存在すると判定して、当該分割領域に対応した物体の位置情報を生成する請求項1記載の物体検出装置。
前記物体判定部は、物体が存在すると判定した分割領域が所定数近接して存在する場合に、当該物体が検出対象であると判別して当該分割領域をグループ化し、グループ内で所定条件を満たす分割領域に物体が存在すると判定して、当該分割領域に対応した物体の位置情報を生成する請求項1または2記載の物体検出装置。
前記所定条件を満たす分割領域が、グループ化された分割領域のうち前記参照面に最近接した分割領域、またはグループ化された分割領域の重心位置となる分割領域である請求項3または4記載の物体検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、撮像装置で撮像された画像を、画像処理装置を用いて処理して移動体の位置、移動方向、移動速度等を抽出する構成を採用する場合に、太陽光や照明光により床面等に移動体の影が映ると、当該影を移動体の一部であると誤認識する虞があり、その結果、適切に移動体の位置、移動方向、移動速度等が抽出できず、所期の目的を達成できないという問題があった。
【0007】
また、撮像装置で撮像された画像は、扉体の上壁部に設置された撮像装置で扉体の上方から扉体の前方斜め下方を見下ろすように撮像された二次元画像であるため、同じ視方向で撮像された被写体であっても床面高さが高い位置の移動体と床面高さが低い位置の移動体のそれぞれの床面高さを識別できないため、扉体と移動体との水平距離が精度よく判別できないという問題もあった。
【0008】
このため、ステレオカメラにより撮影された画像から3次元情報を得ようとすれば、コントラストがほとんどない床面等で、原理的に距離計測が困難であり、また、夜間等の暗い条件では物体認識そのものが困難となり距離計測できない場合もある。また、初めにパターン認識を必要とするため、混雑時等多数の人が入り乱れている場合にはパターン認識が困難で、それを分離して計測することが難しいという問題があった。
【0009】
さらに、初めにパターン認識を必要とするため、多くの移動体が重畳して撮影されていると、移動体を個別に認識することが困難であり、また床面近傍で移動する小動物が扉体に近づいた場合にも、扉体が誤って開放される虞もあった。
【0010】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、真に検出する必要がある移動体の位置、移動方向、移動速度等を精度よく検出できる物体検出装置及びそのための測距装置を提供し、適切に開閉制御することができるドア制御装置及び自動ドア装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明による物体検出装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、XYZ3次元直交空間のXY基準面と所定角度で交差する参照面または当該参照面の近傍で、XY基準面からZ方向に離隔した位置に設置され、測定光の照射方向とXY基準面とが交差するように測定光を二次元的に走査し、当該測定光が照射された物体からの反射光を検出する少なくとも一つの測距装置と、測定光及び反射光に基づいて前記物体の位置ベクトルを算出する距離演算部と、前記位置ベクトルに基づいて生成された位置情報及び/または移動情報を示す信号を出力する信号出力部と、を備
えるとともに、XYZ3次元空間が少なくともX方向及びY方向に沿って複数領域に分割され、前記位置ベクトルの終点が含まれる分割領域に物体が存在すると判定して、当該分割領域に対応した物体の位置情報を生成する物体判定部を備えている点にある。
【0012】
測距装置からXY基準面に向けて照射される測定光がその間に存在する物体で反射され、その反射光が測距装置で検知されることにより、測距演算部で測距装置からその物体までの距離及び方向が算出される。その結果、例えば測距装置を始点として物体の三次元的な位置を特定する位置ベクトルが得られる。従って、太陽光や照明光による物体の影の動きを移動体として誤って検知するようなことがない。そして、信号出力部から当該位置ベクトルに基づいて生成された位置情報及び/または移動情報を示す信号が出力される。尚、位置ベクトルの始点は任意に設定可能であり、XYZ3次元直交空間の原点を始点とすることも可能であ
る。
【0013】
XYZ3次元空間がX方向及びY方向に沿って複数領域に分割されているので、各分割領域はZ方向に長く延びた柱状の領域となる。位置ベクトルの終点が含まれる柱状の領域が物体の存在する領域であると物体判定部により判定され、その分割領域に対応した物体の位置情報が生成される。従って、物体のZ方向の位置(高さ)がどのような値であるかにかかわらず、測距装置からXY基準面に沿った二次元領域での物体の有無が判別されるようになる。尚、分割領域に対応した物体の位置情報には、当該分割領域の中心位置のXY座標、当該分割領域の最も参照面に近いXY座標、当該位置ベクトルの終点のXY座標等が含まれる。
【0014】
同第
二の特徴構成は、同請求項
2に記載した通り、上述した第
一の特徴構成に加えて、前記物体判定部は、XY基準面からZ方向に第1距離離隔した第1境界面と、第1距離より長い第2距離離隔した第2境界面との間の検出空間で、前記位置ベクトルの終点が含まれる分割領域に物体が存在すると判定して、当該分割領域に対応した物体の位置情報を生成する点にある。
【0015】
第1境界面と第2境界面の間の検出空間に存在する物体のみが検出対象として相応しい物体であるとして、その位置ベクトルの終点が含まれる分割領域に物体が存在すると判定され、その分割領域を示す位置情報が対応する物体の位置情報として生成される。つまり、第1境界面よりもXY基準面側に位置する物体が検出対象から除外され、第2境界面より測距装置側に位置する物体が検出対象から除外される。第1距離及び第2距離の具体的な値は特に限定される必要はなく、例えば小動物等を検出対象から除外するためには第1距離を数十cmに設定すればよい。第2境界面よりも測距装置側で検出される物体は、現実的に例えば人等の適正な検出対象である可能性が低く、蜂やハエ等の昆虫が飛来した可能性が高いので、そのようなノイズが除去される。尚、第2境界面の最大値はデフォルト設定値、つまり測距装置の設置高さになる。
【0016】
同第
三の特徴構成は、同請求項
3に記載した通り、上述した第
一または第二の特徴構成に加えて、前記物体判定部は、物体が存在すると判定した分割領域が所定数近接して存在する場合に、当該物体が検出対象であると判別して当該分割領域をグループ化し、グループ内で所定条件を満たす分割領域に物体が存在すると判定して、当該分割領域に対応した物体の位置情報を生成する点にある。
【0017】
X方向及びY方向に沿って複数領域に分割された3次元空間の領域のうち、位置ベクトルの終点が存在すると判定される分割領域が複数近接して存在する場合に、埃や微小昆虫等のノイズではなく、ある程度の大きさを持った真に検出すべき物体である可能性が高いと判別される。当該分割領域がZ方向に延びる柱状の領域であれば、XY基準面からの高さに依存すること無く、測距装置からXY基準面に沿った二次元領域で物体の有無が判別される。そして、近接する複数の分割領域で同時に位置ベクトルの終点が存在すると、それらはある程度の大きさの同一物体の位置ベクトル群であると判別されてグループ化され、グループ内で所定条件を満たす分割領域に対応した物体の位置情報が生成される。
【0018】
同第
四の特徴構成は、同請求項
4に記載した通り、上述した第
三の特徴構成に加えて、さらに前記分割領域がZ方向に沿って複数領域に分割され、前記物体判定部は、Z方向に分割された領域のうち物体が存在すると判定した領域がXYの何れかの方向に所定数近接して存在する場合に、当該物体が検出対象であると判別して当該分割領域をグループ化し、グループ内で所定条件を満たす分割領域に物体が存在すると判定して、当該分割領域に対応した物体の位置情報を生成する点にある。
【0019】
X方向、Y方向及びZ方向に沿って複数領域に分割された3次元空間の領域のうち、Z方向に分割された領域群毎に、位置ベクトルの終点が存在すると判定される分割領域がXY方向に複数近接して存在する場合に、上述と同様にノイズではなく、真に検出すべき物体であると判別される。XY基準面からZ方向に沿った物体の位置が異なる場合に、それらに対応した物体の存在の有無が判定される。これにより、例えば、子供の動きと大人の動きを分離し、台車の動きと人の動きを分離して検出することができるようになる。
【0020】
同第
五の特徴構成は、同請求項
5に記載した通り、上述した第
三または第四の特徴構成に加えて、前記所定条件を満たす分割領域が、グループ化された分割領域のうち前記参照面に最近接した分割領域、またはグループ化された分割領域の重心位置となる分割領域である点にある。
【0021】
所定条件を満たす分割領域が、グループ化された分割領域のうち前記参照面に最近接した分割領域であれば、変動の可能性があるものの参照面に最も早く到達する位置ベクトルに対応する値を獲得することができ、グループ化された分割領域の重心位置となる分割領域であれば、参照面に到達するまでの最短時間ではないものの参照面に到達するまでの変動の少ない安定した位置ベクトルに対応する値を獲得することができる。
【0022】
同第
六の特徴構成は、同請求項
6に記載した通り、上述した第一から第
五の何れかの特徴構成に加えて、前記物体が存在すると判定された位置情報を時系列的に取得し、その変化に基づいて物体の移動情報を算出する移動体追跡部を備えている点にある。
【0023】
距離演算部によって算出された位置ベクトルの終点の位置情報の経時変化、または物体判定部によって判定された物体の位置情報の経時変化に基づいて、例えば物体の移動方向や移動速度等の移動情報が移動体追跡部によって算出され、当該移動情報に基づいて、物体の参照面に対する相対位置情報が得られる。
【0024】
本発明による測距装置の特徴構成は、同請求項
7に記載した通り、上述した第一から第
六の何れかの特徴構成を備えた物体検出装置に組み込まれる測距装置であって、発光部と、前記発光部から出力された測定光を偏向走査する複数の偏向面を備えた回転多面鏡と、測定光が物体で反射された反射光を受光する受光部とを備え、前記回転多面鏡の各偏向面が回転軸心に対して相対的に異なる傾斜角を持つように形成され、各偏向面で偏向された測定光の走査面が、前記XY基準面に対してそれぞれ異なる角度で交差するように構成されている点にある。
【0025】
各偏向面が回転多面鏡の回転軸心に対して相対的に異なる傾斜角に形成されているため、回転に伴って各偏向面で偏向走査される測定光により形成される走査面が、XY基準面と異なる角度で繰り返し走査されるようになる。つまり、二次元に走査される測定光を3次元的に走査することができるようになる。可動部が回転多面鏡のみで構成できるので測距装置の小型化を図ることができる。
【0026】
本発明によるドア制御装置の第一の特徴構成は、同請求項
8に記載した通り、上述の第一から第
六の何れかの特徴構成を備えた物体検出装置から出力された物体の位置情報及び/または移動情報を示す信号を受信して前記参照面に備えたドアを開閉制御するドア制御装置であって、前記位置情報及び/または移動情報に基づいて、前記ドアの開閉の要否、及び/または開閉速度を決定する点にある。
【0027】
物体検出装置から出力された位置情報及び/または移動情報によって、例えば、物体の移動方向、移動速度、及び参照面への到達位置、さらにはXY基準面からZ方向への隔離距離が正確に把握できるようになる。ドア制御装置は、その結果に基づいてドアの開閉の要否、及び/または開閉速度を決定できるようになるので、無駄なドアの開閉稼動が回避、及び/または適正なドアの開閉速度が制御され、その結果、例えば、ドア内部の空間の空調状態の不要な変動や、外気の流入を極力低減できるようになる。
【0028】
同第二の特徴構成は、同請求項
9に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記ドアが閉状態にある場合に受信した位置情報及び/または移動情報に基づき得られる物体の高さが所定高さより低い場合には、前記ドアの閉状態を維持する点にある。
【0029】
XY基準面からの移動体の高さが低い場合に、人の接近ではなく小動物の接近と判断してドアの閉状態が維持される。また、人の接近であっても幼児の接近であれば、不用意な事故の発生を回避すべくドアの閉状態が維持される。
【0030】
本発明による自動ドア装置の特徴構成は、同請求項
10に記載した通り、扉体と、前記扉体を開閉駆動する駆動機構とを含む自動ドア装置であって、前記駆動機構を制御する上述の第一または第二の特徴構成を備えたドア制御装置を備えている点にある。
【発明の効果】
【0031】
以上説明した通り、本発明によれば、真に検出する必要がある移動体の位置、移動方向、移動速度等を精度よく検出できる物体検出装置及びそのための測距装置を提供し、適切に開閉制御することができるドア制御装置及び自動ドア装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明が適用された物体検出装置、測距装置、ドア制御装置、及び自動ドア装置を説明する。
【0034】
図1(a)には、自動ドア装置1の側方視の要部説明図が示され、
図1(b)には、自動ドア装置1の正面視の要部説明図が示され、
図1(c)には、自動ドア装置1の斜視の説明図が示されている。
【0035】
自動ドア装置1は、床面Fに垂直な姿勢で開閉可能に支持された一対の扉体10a,10bと、扉体10a,10bを開閉駆動可能に吊下げ支持する支持機構11と、支持機構を介して扉体10a,10bを開閉駆動する電磁モータを含む駆動機構12を備えている。
【0036】
さらに、扉体10a,10bの中央部上壁にTOF方式の測距装置2を含む物体検出装置3が取り付けられ、扉体10a,10bの側方には駆動機構12を制御するドア制御装置6が設置されている。
【0037】
ドア制御装置6は、物体検出装置3及び駆動機構12とそれぞれ信号線(
図1(b)中、二点差線で示されている。)で接続され、物体検出装置3から信号線を介して入力される移動体検出信号に基づいて駆動機構12を制御するマイクロコンピュータ及びメモリを含む周辺回路が組み込まれた電子制御装置である。
【0038】
物体検出装置3は、扉体10a,10bの前方空間で移動する物体(以下、「移動体」とも記す。)の挙動を検出して、その移動体の情報をドア制御装置6に出力する装置であり、少なくとも一つの測距装置2と信号処理装置4を備えている。信号処理装置4は、測距装置2の筐体内部に収容されていてもよいし、測距装置2の筐体外部に設けた別の筐体に収容されていてもよい。
【0039】
図2(a)に示すように、測距装置2は、半導体レーザを備えた発光部20と、発光部20から出力された測定光を偏向走査する複数の偏向面21(本実施形態では5つの偏向面21)を備えた平面視正五角形の回転多面鏡22と、測定光が物体で反射された反射光を受光するアバランシェフォトダイオードを備えた受光部23とを備えている。
【0040】
図2(b)に示すように、回転多面鏡22はアルミニウムが蒸着された5枚の偏向面21(21a〜21e)を備えた樹脂製の角柱で構成され、各偏向面21(21b〜21e)は回転軸心Pに平行な面に形成された基準面21aに対して回転軸心P方向にそれぞれ異なる傾斜角で傾斜するように構成されている。
【0041】
そして、回転方向に沿って基準面21aから次第に傾斜角度が大きくなるように、且つ、隣接する偏向面間の面倒れ角の差分が異なる値となるように構成されている。参照面に近接する走査面の密度が参照面に離隔する走査面の密度よりも大きくなり、参照面への近接側でより正確な計測が可能になる。
【0042】
そのため、
図1(a),(c)に示すように、各偏向面21(21a〜21e)で偏向された測定光は、その照射方向が床面Fに交差し、その走査面S(S1〜S5)が床面Fに対してそれぞれ異なる角度θで交差するようになる。
【0043】
図3には、信号処理装置4の機能ブロックが示されている。信号処理装置4は、モータ制御部40と、位相検知部41と、発光制御部42と、測距演算部43と、物体判定部44と、移動体追跡部45と、信号出力部46とメモリ等を備えている。各機能ブロックはマイクロコンピュータ及びその制御プログラム並びに周辺回路で実現されている。
【0044】
モータ制御部40は回転多面鏡22を回転軸心P周りに所定速度で回転するようにモータを駆動制御し、位相検知部41はモータ制御部40により回転駆動される回転多面鏡22の回転位相つまり基準位置に対する回転角度を検知する。位相検知部41は、例えばモータまたは回転多面鏡22の回転軸に設置されるエンコーダで構成することができる。
【0045】
発光制御部42は所定周期で発光部20をパルス状に点滅駆動し、測距演算部43は発光部20の発光タイミングと受光部23で検知された反射光の受光タイミングとの時間差に基づいて、測距装置2から測定光を反射した物体までの距離を算出する。
【0046】
即ち、測距演算部43は、以下の数式に示すように、測定光と反射光との検出時間差Δtに基づいて、測距装置2から物体までの距離Dsを算出する。尚、数式中、Cは光速である。
Ds=Δt・C/2
【0047】
さらに、測距演算部43は位相検知部41で検知された回転多面鏡22の回転位相、つまり測定光を偏向反射した偏向面とその回転角度に基づいて、このとき検出された物体までの方向Drを算出する。当該距離Dsと方向Drによって測距装置2を始点(基準点)とした位置ベクトルが表される。
【0048】
このような測距装置2として、例えば、光源に波長905nmの半導体レーザを用い、走査幅角度70度(
図1(b)参照)、走査面数5、走査面間の最大角度約40度(各面の傾斜角が0度、7度、14度、24度、39度(
図1(a)参照))、走査分解能0.3度、回転多面鏡22の回転速度1200rpm(50ms/1回転)、床面Fでの検出範囲4.9m×2.8mの測距装置2が例示できる。
【0049】
以下、この測距装置2を用いた場合を例に説明する。尚、本発明による測距装置2の具体構成は、
図2の構成に限定されるものではなく、また走査幅角度等の各部の数値も例示に過ぎず、これらの値に限定されるものではない。
【0050】
図4(a)に示すように、床面FがZ=0とするXY基準面になり、扉体10a,10bが配置される平面が参照面となるXYZ3次元直交空間に対して、測距装置2は、XY基準面と所定角度(ここでは直角である例を示すが、直角に限らない)で交差する参照面または当該参照面の近傍で、XY基準面からZ方向に離隔した位置に設置されている。
【0051】
そして、測距装置2は測定光の照射方向とXY基準面とが交差するように測定光を走査し、当該測定光が照射された物体からの反射光を検出するように構成されている。
【0052】
図4(a)には、測距演算部43で算出された物体の位置ベクトルVijが示されている。
図4(a)に示すように、測距装置2から物体に向けて出射される測定光の走査面と参照面との角度をθiとし、
図4(b)に示すように、走査面上で中央に位置する走査光と任意の走査光との角度をφjとし、物体までの距離をDsijとし、測距装置2を始点(基準点)とする位置ベクトルVijの終点のX,Y,Z座標(
図4(a),(b),(c)中、○印で示された点)を(xij,yij,zij)とすると、その値が以下の数式で求められる。尚、測距装置2の設置高さは、Z=Hに設定されている。
xij=Dsij・sinφj
yij=Dsij・sinθi・cosφj
zij=H−Dsij・cosθi・cosφj
【0053】
即ち、測距演算部43は、測定光及び物体からの反射光に基づいて物体の位置ベクトルを算出する演算部となる。
【0054】
以下に物体検出装置3により検出される物体の検出アルゴリズムの基本を説明する。ここでは、
図3に示した物体判定部44は特に機能せず、測距演算部43からの入力が移動体追跡部45にそのまま出力されるものとして説明する。
【0055】
図5(a)に示すように、時刻tで算出された位置ベクトルをVij(t)、時刻(t+Δt)で算出された位置ベクトルをVij(t+Δt)とする。移動体追跡部45は、時刻tから時刻(t+Δt)の間の物体の移動ベクトルMijを以下の数式で算出する。本実施形態ではΔt=50msec.である。
Mij=Vij(t+Δt)−Vij(t)
【0056】
移動体追跡部45で算出された移動ベクトルMijによって移動体の移動方向及び移動距離が示され、移動距離を時間Δtで除することによって移動体の移動速度が求まる。
【0057】
即ち、移動体追跡部45は、時系列的に測距演算部43で算出された二つの位置ベクトルVij(t+Δt),Vij(t)に基づいて物体の移動ベクトルMijを算出する演算部となる。
【0058】
信号出力部46は、移動体追跡部45で算出された物体の移動ベクトルMijのうち少なくとも所定の向き及び大きさを満たす移動ベクトルMijを示す信号を出力するように構成されている。
【0059】
具体的に、移動体が参照面(扉体10a,10b)に対して近接する方向に移動し、その移動速度が所定速度以上である場合、或いは、移動体が参照面(扉体10a,10b)に対して近接する方向に移動し、参照面までの距離が所定の値以内に近接したときに、当該移動ベクトルを示す信号が出力される。
【0060】
図5(b)に示すように、移動体追跡部45は、上式に基づいて算出した移動ベクトルMijを当該移動ベクトルの始点または終点の何れかを含むXY基準面に平行な平面へ投影して得られる投影ベクトルを当該物体の移動ベクトルとして生成するように構成されていてもよい。投影ベクトルによって、移動体のXY基準面からの高さと、水平方向の移動方向と移動距離または移動速度が把握でき、参照面に到達する時間と到達位置が二次元の簡易な演算処理で精度よく捕捉できるようになる。
【0061】
また、移動体追跡部45は、移動体を時間Δtで追跡しながら、時間Δtよりも長い時間の移動ベクトルを算出してもよい。例えば、同じ物体の時刻t、t+Δt、t+2Δt、t+3Δt(直近)の4回の位置ベクトルに対して、時刻tと時刻(t+3Δt)の間の移動ベクトルを算出すれば、移動方向及び移動速度の平均値が求まり、瞬時的なノイズの影響が排除される結果、精度が良くなる。
【0062】
以上が物体検出装置3により検出される物体の検出アルゴリズムの基本であるが、実際には、測距装置2で検知された物体が自動ドアの開閉を制御するのに必要な人等の真の検出対象ではなく、ハエ等の昆虫であったり、鳥類であったり、雪や雨等の自然現象であたりする場合がある。また、犬や猫等の小動物である可能性もある。そのような場合に扉体10a,10bを開閉するのは好ましくない。
【0063】
そこで、物体検出装置3の距離演算部43や物体判定部44や移動体追跡部45には、このようなノイズ源となる検出対象を除去するための各種のフィルタ処理部が設けられている。以下に説明する。
【0064】
図6に示すように、測距演算部43は、XY基準面からZ方向に第1距離h1離隔した第1境界面F1と、測距装置2からXY基準面に向けて第2距離h2離隔した第2境界面F2との間の検出空間に存在する物体に対して位置ベクトルを算出するように構成されている。
【0065】
このように構成されると、第1距離h1より低い位置での移動体の接近によって扉体10a,10bが開閉されることが回避される。例えば、第1距離h1を350mmに設定することにより、小動物等を検出対象から排除することができる。また、第2距離h2を300mmに設定することにより、通常存在することが無い測距装置2の近傍の移動体を排除することができる。第1距離h1及び第2距離h2の具体的数値は例示に過ぎずこの値に限らない。除去すべき対象に応じて適宜設定すればよい。
【0066】
また、第1境界面F1と第2境界面F2で上下が仕切られる検出空間は一つに限らず複数あってもよい。例えば、XY基準面からZ方向に第1距離h1=300mmの第1境界面F1と、測距装置2からXY基準面に向けて第2距離h2=300mmの第2境界面F2との間で仕切られる第1の検出空間と、XY基準面からZ方向に第1距離h1´=800mmの第1境界面F1´と、XY基準面からZ方向に第2距離h2´=700mmの第2境界面F2´との間で仕切られる第2の検出空間の二つの検出空間に対してそれぞれ位置ベクトルを求めるように構成してもよい。
【0067】
また、第1境界面F1,F1´間の領域と、第1境界面F1´と第2境界面F2との二つの検出空間に対してそれぞれ位置ベクトルを求めるように構成してもよく、第1境界面より上の検出空間全体に対して位置ベクトルを求めるように構成してもよい。
【0068】
第1距離h1,h1´及び第2距離h2,h2´を適切な値に設定することで、検出対象を絞り込むことができる。例えば、床面より上50mmから300mmの範囲に絞り込めば、高さが150mm前後の一般的な手押し台車の動きを検出でき、床面より上300mmから800mmの範囲に絞り込めば、小動物及び身長700mm前後までの幼児の動きを検出できる。また床面50mm以上の範囲全体を検出空間とすれば、床面近傍のゴミや落ち葉等のみを取り除いた物体検知を行うことができる。
【0069】
第1境界面F1または第2境界面F2が平面である必要はなく、凹凸面で構成されていてもよい。この場合には、床面F等に設置された固定物を背景として検出空間から除外することができる。例えば床面Fに設置されたプランター等の植栽物が風で揺れるのを人の動きと誤検出することが回避できる。
【0070】
第1境界面F1または第2境界面F2の値を物体検出装置3に設定するために、信号処理装置4にハンドヘルドコンピュータ等のデータ入力機器を接続して、第1距離h1及び第2距離h2を示す数値を直接入力してもよいし、移動体が存在しない環境下で測距装置2を作動させて、床面Fの近傍で検出された複数の物体の位置ベクトルの包絡面または当該包絡面から所定距離Z方向に離れた面を、背景を表す第1境界面F1として自動設定する境界面設定部を信号処理装置4に備えてもよい。これらの設定値はマイクロコンピュータの内蔵メモリまたは外部メモリに記憶され、演算時に読み出される。尚、当該メモリは不揮発性メモリであることが好ましい。
【0071】
測距装置2から床面までの鉛直距離や走査角等の基本的データは、例えば、物体検出装置3の設置時に上述のデータ入力機器を介して手動入力することにより設定可能であり、物体検出装置3から出射される測定光を光軸チェッカ等の治具を用いてその姿勢を検知し、鉛直方向や走査方向等が所定の方向を向くように、物体検出装置3の取り付け姿勢を調整することが可能である。
【0072】
物体検出装置3の設置時に測距したデータに基づいて床面までの鉛直距離、測定光の走査角を演算してメモリに記憶すればよく、または演算結果を外部に出力し、その値に基づいて設置位置や姿勢を調整することができる。
【0073】
尚、信号出力部46を含めて、信号処理装置4と外部装置(例えば、上述のドア制御装置6やハンドヘルドコンピュータ等)とのインタフェースはUSB等の公知の有線または無線通信インタフェースを用いることができる。
【0074】
測距演算部43で算出された位置ベクトルが蜂やハエ等の昆虫であったり、鳥類であったり、雪や雨等の自然現象であったりする場合の誤検出を防止するための処理手順を説明する。
【0075】
図7(a),(b)に示すように、XYZ3次元空間を少なくともX方向及びY方向に沿って複数領域に分割する(図中の格子は分割された各領域が示されている)。例えば、床面Fの検出範囲が4.9m×2.8mである場合には、70×40の領域に分割することが好ましい。各分割領域は断面が7cm角の柱状領域となる。
【0076】
また、物体検出装置3の設置環境に基づき、測距可能な領域に対して物体を検知する有効領域と物体を検知しない除外領域とを設定できるようにしてもよい。
図7(a)に示すハッチング領域は、プランター等が設置され、物体を検出する必要が無い領域として設定された除外領域である。
【0077】
物体判定部44は、50msec.の走査周期で測距演算部43によって算出された各位置ベクトルについて、その終点が少なくとも2回連続して同じ分割領域に位置するか否かを判断し、連続して同じ分割領域に終点が位置する位置ベクトルであれば、飛来する昆虫や雪等の自然降下物ではないと判別する。つまり、物体判定部44は、時系列的に連続して位置ベクトルの終点が含まれる分割領域に検出対象となる物体が存在する確率が高いと判別する。
【0078】
次に、物体判定部44は、当該物体が存在すると判別した分割領域がXY方向に所定数近接する場合に当該物体が検出対象となる所定の大きさの同一の物体であると判別してそれらの位置ベクトルをグループ化する。
【0079】
所定数とは、人であることの確からしさを示す値で、断面が7cm角の分割領域では少なくとも2領域が近接していれば、人の腕程度の幅であると判定できるので、この例では2に設定している。この値は、分割領域のサイズと検出対象物のサイズに基づいて決定される値で、少なくとも検出対象物のサイズを分割領域のサイズで除した値より小さな値に設定される。
【0080】
また、近接とは、物体が存在すると判別した分割領域がXY平面視で縦、横、斜めに隣接して存在する態様や、数領域だけ隔てて存在する態様を含む。数領域とは、分割領域のサイズと検出対象物のサイズや測距装置の走査密度により適宜設定される領域数であり、測距装置の走査密度を高めることによりゼロにできることが望ましい。
【0081】
図7(a),(b)で、白丸を付した分割領域は位置ベクトルの終点が存在する分割領域が孤立していることを示し、黒丸を付した分割領域は位置ベクトルの終点が存在する分割領域が隣接していることを示している。
【0082】
本実施形態では一走査周期の間に同じ分割領域で複数の位置ベクトルの終点が算出される場合もある。そのような場合も含めて連続する二回の走査周期の間に同じ分割領域で少なくとも一つの位置ベクトルの終点が連続して算出されることが、終点が連続して同じ分割領域に位置するか否かを判断する前提となる。
【0083】
例えば、同じ走査周期で算出される位置ベクトルが同一分割領域で複数存在する場合や、異なる走査面で算出される位置ベクトルが同一分割領域で複数存在する場合でも、それぞれについて個々に判断することはない。
【0084】
尚、同じ走査周期で算出される位置ベクトルが同一分割領域で複数存在する場合、それらがZ方向に所定距離以上離れていればそれぞれに異なる物体が有ると判定することも可能である。特に物体の移動速度に対し走査周期を十分早く設定できない場合は、一回の走査周期で物体検知した方がよい場合もある。
【0085】
そして、物体判定部44は、グループ内で所定条件を満たす位置ベクトルをその物体の代表位置ベクトルVrijとしてメモリに格納し、移動体追跡部45は、メモリから読み出した当該代表位置ベクトルVrijに基づいて上述の移動ベクトルを算出する。
【0086】
所定条件を満たす位置ベクトルは、参照面に最も近接した分割領域に含まれる位置ベクトル、またはグループの重心位置となる分割領域に含まれる位置ベクトルであることが好ましい。重心位置となる分割領域とはグループ内の位置ベクトルの平均位置ベクトルが存在する分割領域をいう。尚、重心位置の算出方法としては、上記以外に様々な簡略化した方法を採用することができる。
図7(a)には、参照面に最近接した分割領域に含まれる位置ベクトルを代表位置ベクトルVrijとする例が示されている。
【0087】
位置ベクトルに替えて、グループの重心位置となる分割領域の中心となるXY座標や当該分割領域の最も参照面に近いXY座標を所定条件を満たす位置ベクトルとして出力してもよい。
【0088】
物体判定部44は、XYZ3次元空間が少なくともX方向及びY方向に沿って複数領域に分割されている場合に、位置ベクトルの終点が含まれる分割領域に物体が存在すると判定して、当該分割領域に対応した物体の位置情報を生成するように構成されていればよく、常にグループ化して表位置ベクトルVrij等の位置情報を出力するものに限らない。
【0089】
この場合、XYZ3次元空間がX方向及びY方向に沿って複数領域に分割されているので、各分割領域はZ方向に長く延びた柱状の領域となる。位置ベクトルの終点が含まれる柱状の領域が物体の存在する領域であると物体判定部により判定され、その分割領域に対応した物体の位置情報が生成される。従って、物体のZ方向の位置(高さ)がどのような値であるかにかかわらず、測距装置からXY基準面に沿った二次元領域での物体の有無が判別されるようになる。
【0090】
以下、検出空間が第1境界面F1と第2境界面F2で上下が仕切られている場合に、測距演算部43、物体判定部44及び移動体追跡部45により実行される演算処理の手順をフローチャートに基づいて説明する。
【0091】
図8に示すように、測距演算部43は、反射光を検出すると(SA1)、その反射位置までの距離を算出するとともに(SA2)、位相検知部41からの出力に基づいて反射位置の方向を位置ベクトルVijの方向として算出し(SA3)、終点のX,Y,Z座標(xij,yij,zij)を算出して当該座標を距離及び時刻とともにメモリに記憶する(SA4)。
【0092】
物体判定部44は、メモリから読み出した位置ベクトルの終点のZ座標が、連続する走査周期で同じ分割領域に存在し、さらに第1境界面F1と第2境界面F2で上下が仕切られる検出空間に含まれているか否かを判断し(SA5)、OKであれば、グループ化処理を行なって(SA6)、その代表位置ベクトルVrij(t)を走査時刻tとともにメモリに格納して移動体追跡部45に引渡し(SA7)、NGであれば(SA5)、当該位置ベクトルを消去する(SA8)。測距演算部43は、以上のステップSA1からSA4までの処理を繰り返し、物体判定部44は、以上のステップSA5からSA8までの処理を繰り返す。
【0093】
図9に示すように、移動体追跡部45は、一走査が終了する度に物体判定部44から引き渡された単一または複数の代表位置ベクトルVrij(t)と、前回走査時の代表位置ベクトルVrij(t−Δt)との差、即ち移動ベクトルMij(t)を算出してメモリに記憶する(SB1)。
【0094】
移動体追跡部45は、メモリに記憶した複数の移動ベクトルのうち、参照面に向かい、所定距離以内、且つ、所定速度以上の移動ベクトルを、信号出力部46からドア制御装置6に出力すべき情報であると判別して(SB2)、当該メモリに記憶された移動ベクトルに出力フラグを設定する(SB3)。移動体追跡部45は、以上のステップSB1からSB3の処理を一走査周期毎に繰り返す。信号出力部46は、当該出力フラグが設定された移動ベクトルを示す信号をドア制御装置6に出力する。
【0095】
尚、既に説明したように、移動体追跡部45は、ステップSB1で自らが算出した移動ベクトルを当該移動ベクトルの始点または終点を含むXY基準面に平行な平面へ投影して得られる投影ベクトルを物体の移動ベクトルとして生成してもよい。
【0096】
また、分割領域のグループ化に際しては、近接領域を同一値でラベル付けするラベリング処理が採用され、所定サイズだけ領域を膨張させる膨張処理により孤立点が吸収され、その後、所定サイズだけ領域を収縮させる収縮処理により、複数に重畳した移動体を分離処理することができる。
【0097】
さらに分割領域がZ方向に沿って複数領域に分割されている場合には、移動体追跡部45は、Z方向への分割領域群毎に、時系列的に連続して位置ベクトルの終点が含まれる分割領域に物体が存在すると判別するとともに、当該物体が存在すると判別した分割領域がXYの何れかの方向に所定数近接する場合に当該物体が検出対象であると判別してそれらの位置ベクトルをグループ化し、グループ内で所定条件を満たす位置ベクトルに基づいて物体の移動ベクトルを算出する処理をZ方向距離が等しい複数の分割領域毎に実行するように構成することも可能である。
【0098】
この場合、分割領域がZ方向にも分割されるので、Z方向に分割された領域毎に各位置ベクトルがグループ化される。XY基準面からZ方向に沿った物体の位置が異なる場合でも、それらに対応した物体の移動ベクトルが算出される。例えば、XY基準面からZ方向に80cm,30cmの高さで各分割領域を設定すれば、子供の動きと大人の動きを分離し、台車の動きと人の動きを分離して検出することができるようになる。
【0099】
以上の説明では、3次元的な位置ベクトル及び移動ベクトルを用いた移動体の判別方法を説明したが、2次元上(XY平面上)で物体判別する場合には、以下のように処理してもよい。
【0100】
測距演算部43によって算出された位置ベクトルを、物体判定部44がXY基準面に投影して、
図7(a)に示すようなXY基準面に区画された複数の領域のうち、その位置ベクトルの終点が含まれる分割領域に物体が存在すると判定して、その分割領域に対応した物体の位置情報を生成することができる。つまり、位置ベクトルの終点のXYZ座標のうち、XY座標に基づいて処理すればよい。
【0101】
この位置情報の時間的な変化に基づいて、移動体追跡部45がXY基準面での移動速度や移動方向等の情報として移動情報を算出すればよい。後に詳述するドアの開閉制御に必要な位置情報及び速度情報は、XY基準面上の位置情報及び移動情報で十分であり、最初に2次元的な情報として取得することで演算処理を大幅に簡素化することができる。
【0102】
2次元の場合も3次元位置ベクトルの場合と同様に、2次元上で複数区画に広がる物体検知に対してグループ化、グループの重心位置の算出、孤立点の排除等の処理が可能である。またZ方向に複数の分割領域を設定した場合は、各Z方向の分割領域毎に位置情報を算出し、それぞれに
図7(a)のような平面状のマップを設定すればよい。
【0103】
このように構成すれば、Z方向に分割された領域毎に位置情報及び移動情報を生成することができるため、子供と大人の動きを分離して検出したり、台車の動きを他と分離して検出することが可能になる。Z方向に分割された複数領域に跨る物体の場合は、各分割領域のマップを合成することで一つの物体として処理することも可能である。
【0104】
図7(a)では、XYZ3次元空間がX方向及びY方向に沿って互いに直交する分割線で格子状に複数領域に分割される例を説明したが、分割される領域の形状やサイズは上述した例に限らない。例えば、
図14に示すように、XYZ3次元空間をXY基準面上でX=0,Y=0の位置を中心として、例えば7cm単位で拡径する複数の円弧と、中心から径方向に向かう所定角度ピッチ、例えば5度ピッチの線分で区画される領域に分割することも可能である。
【0105】
この場合、円弧に沿った領域間を移動する物体はドアには近づかない移動であると判断して、ドアの開閉制御に影響しないように信号出力部から移動体の信号が出力されないように構成することができる。また、径方向に沿った領域間を移動する物体はドア中心部に近づいたり遠ざかる移動であると判断して、径方向に沿った領域間の移動情報のみを使って移動速度の算出を簡易化することも可能になる。このように位置情報または移動情報の算出方法や活用方法に応じて、分割領域の形状を矩形・台形・扇形等に設定することができ、そのサイズも検出対象物のサイズや移動速度に応じて設定することが可能である。
【0106】
ドア制御装置6は、物体検出装置3から出力された移動ベクトルを示す信号を受信して参照面に備えた扉体10a,10bを開閉制御する。ドア制御装置6は、移動ベクトルの向き、大きさ、及び移動ベクトルの終点と参照面(扉体10a,10b)との相対距離に基づいて、扉体10a,10bの開閉の要否、及び/または開閉速度を決定する。
【0107】
具体的に、ドア制御装置6は、移動ベクトルに基づいて移動体が到達する扉体10a,10bの幅方向予測位置と、その位置に到達するまでの予測時間を算出して、当該予測時間後に幅方向予測位置で移動体が扉体10a,10b位置を通過することができる適正な時期に、扉体10a,10bの開放制御を開始する。
【0108】
当該適正な時期は、扉体10a,10bと移動体の距離、移動体の速度、扉体10a,10bの開閉速度に基づいて決定され、扉体10a,10bの開放時間が極力短くなる時期である。
【0109】
また、中央部分に一人だけ近づいてくる場合は半開制御を行い、複数人が近づいてくる場合には全開制御を行うこと等が可能である。
【0110】
既に説明したような複数の検出空間に対して算出された個々の移動ベクトルに基づいて、扉体10a,10bの開閉制御をきめ細かく行うことが可能になる。
【0111】
例えば、移動体が幼児程度の低身長であると判別できる場合であって、近傍に大人と判別できるような移動体が存在しない場合に、扉体10a,10bの開放を禁止することで、幼児の迷い込みや犬や猫の小動物の進入を阻止する。
【0112】
例えば、移動体が幼児程度の低身長であると判別できる場合であって、近傍に大人と判別できるような移動体が存在しない場合に、扉体10a,10bが開放されていれば、閉塞を禁止することで、幼児、犬や猫の小動物が扉体10a,10bに挟まれる事故の発生を阻止する。
【0113】
但し、移動体が幼児程度の低身長であると判別できる場合であって、近傍に大人と判別できるような移動体が存在する場合には、扉体10a,10bを開放制御する。
【0114】
つまり、ドア制御装置6は、扉体10a,10bが閉状態にある場合に受信した移動ベクトルが単一でありその向きが扉体10a,10bに接近する方向であっても、当該移動ベクトルの始点または終点の高さが所定高さより低い場合には、扉体10a,10bの閉状態を維持する。
【0115】
以下、本発明の別実施形態を説明する
上述の実施形態では、TOF方式の測距装置2を例に物体検出装置を説明したが、測定光の強度をAM変調するAM方式の測距装置2を採用することも可能である。また、光源としてレーザダイオードに替えてLEDを用いることも可能である。
【0116】
AM方式とは、測定光の強度が振幅変調され、監視対象領域に向けて出力した測定光と、測定光に対する物体からの反射光との位相差Δφに基づいて、測距装置から物体までの距離Dsを、以下の数式に基づいて算出する方式である。数式中、Cは光速、fは変調周波数である。
D=Δφ・C/(4π・f)
【0117】
さらに、AM方式とTOF方式を組み合わせて、振幅変調された測定光をパルス状に発光させて、測定光に対する反射光の遅延時間及び位相差に基づいて測距する方式であってもよい。尚、この場合、変調波の波長より短い距離が位相差に基づいて算出され、変調波の波長より長い距離が遅延時間に基づいて算出される。
【0118】
先の実施形態では、説明の便宜のため、扉体10a,10bの一方の側にのみ物体検出装置3を設置し、扉体10a,10bの外側から接近する移動体を検出する例を説明したが、
図1(a)の破線で示すように、扉体10a,10bの他方の側にも物体検出装置3(2,4)を設置し、扉体10a,10bの内側から接近する移動体を検出することも可能であることはいうまでもない。
【0119】
図10に示すように、先の実施形態で説明した測距装置2に替えて、各偏向面21が回転軸心P方向に傾斜することなく回転軸心Pに平行な面に形成され、平面視で正多角形の回転多面鏡22を備え、発光部20と受光部23と回転多面鏡22が一体で走査面が軸心S周りに回動するように筐体を揺動させる揺動機構24を備えた測距装置2を採用してもよい。揺動機構24による揺動角度及び揺動速度を調整することにより、
図2(a)と同様の走査面を構成することができる。
【0120】
また、上述した実施形態では、回転方向に沿って基準面21aから次第に傾斜角度が大きくなるように、且つ、隣接する偏向面間の面倒れ角の差分が異なる値となるように構成された例を説明したが、本発明は、このような角度関係に限定される必要はなく、隣接する偏向面間の面倒れ角の差分が等しい値に設定されていてもよい。
【0121】
図11(a),(b),(c)に示すように、偏向ミラー21と、偏向ミラー21を所定軸心P周りに回転または揺動するモータを備えた駆動部24と、回転軸心Pに対してそれぞれ異なる傾斜角度θで偏向ミラー21に入射する複数の光源を備えた発光部20と、測定光に対する反射光を偏向ミラー21を経由して集光する集光光学系25と、集光光学系25で集光された反射光を受光する受光部23とを備え、発光部20の各光源が偏向ミラー21の回転周期または揺動周期に同期して切り替えられ、偏向ミラー21で偏向された測定光の走査面Sが、XY基準面に対してそれぞれ異なる角度で交差するように構成されている測距装置を用いてもよい。
【0122】
当該測距装置は、光源にLEDが採用され、その出力光がAM変調されている。複数の光源が、偏向ミラー21の回転周期または揺動周期に同期して切り替えられることにより、それぞれ異なる周期で発光され、且つ、それらの測定光が偏向ミラー21に異なる角度θで入射するように構成されている。その結果、測定光の走査面がXY基準面に対してそれぞれ異なる角度で交差するように走査され、二次元に走査される測定光が3次元的に走査されるようになる。物体からの反射光は、偏向ミラー21を介して集光光学系25に入射して集光され、受光部23で検出される。符号41は、モータまたは偏向ミラー21の回転軸に設置されるエンコーダで構成される位相検知部41である。
【0123】
図12(a),(b)には、当該測距装置の発光部20と集光光学系(レンズ)25,26と受光部23の典型的な構成が示されている。
図12(a)に示すように、各光軸L1〜L5が平行に配列された複数のLEDで発光部20が構成され、集光光学系26を介して出射される。各測定光は集光光学系26を経由することによってそれぞれ異なる傾斜角度θで偏向ミラー21に入射する。
【0124】
図12(a)では、LED1の光軸と集光光学系26の光軸が一致するようにLED1が配置され、LED2からLED5にかけて次第にその光軸と集光光学系26の光軸が平行姿勢を保持した状態で離隔するように他のLEDが配置された例が示されている。
【0125】
各光軸に沿って出射された測定光が集光光学系26の焦点位置を通過して偏向ミラー21に入射し、回転軸心P周りに回転する偏向ミラー21によって偏向走査される。
【0126】
図12(b)に示すように、偏向ミラー21で偏向走査された測定光の反射光は、集光光学系25を介して光源20の配列方向に対応した細長い受光面を備えた単一のピンフォトダイオード(PIN−PD)(受光部23)で受光される。
【0127】
図13(a)には、
図11の測距装置に採用される発光部20と受光部23の別の態様が示されている。一対の光源LEDと受光素子PDが遮蔽板を介して複数対配列されて、発光部20と受光部23が構成された例が示されている。光源にLEDが用いられ、受光部にフォトダイオードPDが用いられ、単一の集光光学系(レンズ)25が用いられている。
【0128】
集光光学系25に対する各光源の光軸L1〜L5の配置は、
図12(a)で説明した光源と集光光学系26との配置と同じである。各光源から出射された測定光の反射光が集光光学系25を介してその近傍に配置された受光素子で検出されるように構成されている。
【0129】
図13(b)には、さらに別の態様が示され、一対の光源LEDと受光素子PDを複数対備えて発光部20と受光部23が構成されている。一対の光源LEDと受光素子PDに一つの小さな集光光学系(レンズ)25が共用されるように組み込まれている。回転軸心Pに対してそれぞれ異なる傾斜角度θで偏向ミラー21に入射するように、光源LEDと受光素子PDの各対の光軸L1〜L5が予め所定の傾斜角で配置されている。
【0130】
図13(c)に示すように、
図13(b)に示す構成に代えて、光源LEDと受光素子PDにそれぞれ集光光学系25が組み込まれていてもよい。
【0131】
図12(a),
図13(a),(b),(c)に示した光源LEDと受光素子PDの各対で構成される発光部20と受光部23は、少なくとも一つの光源LEDの光軸が回転軸心Pに対して直角に偏向ミラー21に入射し、他の光源LEDの光軸が偏向ミラー21に対して次第に小さな入射角度で入射するように配置されているが、本発明の測距装置は、このような配置に制限されることはない。例えば、
図12(a)を例にすると、光軸L1上に設置された光源LED1を中心に上下に対象に各光源が配列されていてもよい。
【0132】
図11に示す測距装置2で、偏向ミラー21が揺動駆動される場合には、偏向ミラー21として単面ミラーが用いられるのが好ましいが、偏向ミラー21が回転駆動される場合には、両面ミラーや回転多面鏡を用いることもできる。また、偏向ミラーとしてMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で形成された揺動型偏向ミラーを用いてもよい。
【0133】
図15(a),(b),(c)には、さらに別の様態の測距装置の構成が示されている。レーザでなる発光部20とフォトダイオードでなる受光部23を備え、発光部20から出力される測定光の光軸が第1揺動ミラー21zで揺動され、第2揺動ミラー21yに導かれる構成である。第1揺動ミラー21xの回転軸Pzの傾きと第2揺動ミラー21yの回転軸Pyの傾きを異ならせることで、測定光を2次元的に走査することができる。この場合、第1揺動ミラー21zと第2揺動ミラー21yとを所定の揺動周期比で同期して揺動させることで、測定光を
図15(c)に示すようなリサージュ形状となりように走査することができる。揺動ミラーとして、揺動モータで駆動される単面ミラーや上述のMEMSを用いることも可能である。
【0134】
図16(a),(b),(c)には、当該別の様態の測距装置が用いられた自動ドア装置1が示されている。当該測距装置2は、扉体の幅方向の走査幅角度が72度、扉体の遠近方向の走査角度が42度に設定され、走査分解能0.3度、床面Fでの検出範囲4.9m×2.8に設定されている。
【0135】
上述した実施形態では、自動ドア装置に組み込まれる測距装置及び物体検出装置を説明したが、本発明を採用する測距装置及び物体検出装置は、自動ドア装置以外にも応用することが可能であり、例えば、建物や部屋の出入口や駅構内出入口に設置され、入退室する人の数や動きを検出する人体検知装置等に適用することができる。また、凹凸のある地面を走行する移動車両に障害物検出装置として取り付けてもよい。この場合、第1境界面F1の値を地面の凹凸の影響を排除するような高さに設定すれば、精度良く障害物を検出できるようになる。
【0136】
上述した実施形態で説明した各測距装置2の用途は、自動ドア装置や人体検知装置等に限定されず、三次元的に測距して位置ベクトルを求める必要がある様々な用途に用いることができる。
【0137】
上述した様々な実施形態は何れも本発明の一例であり、物体検出装置、測距装置等のサイズや形状等の具体的構造、信号処理装置の具体的な回路構成、信号処理手順を遂行するソフトウェアの具体的な手順等は、本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計できることはいうまでもなく、本発明の技術的範囲が上述の例に限定されるものではない。