【0014】
本発明の台紙レスラベル用紙は、
図2に示すように、紙製テープからなる基材1の一方の面1aに粘着層2が、他方の面1bにバーコードを含む商品情報Aが発色印字される感熱発色層3(印字面)と、その感熱発色層3の上に、商品情報A以外の付加情報B、例えば小売店名やロゴマーク、キャラクタ、模様等の付加情報Bを事前印刷4し、更に前記感熱発色層3及び事前印刷4部分をシリコーンコーティング等の剥離層5で被覆した連続用紙で、前記粘着層2を内側にしてロール状に巻かれている。
感熱発色層3に発色印字する商品情報Aとしては、バーコード、商品名、値段、原材料、添加物情報、加工年月日、消費期限等、今日一般的にラベルに表示される内容である。
そして、このロール状に巻かれた台紙レスラベル用紙は、主にスーパーマーケットや小売店などで販売される商品に貼付されるもので、サーマルヘッドを備えたラベルプリンタに装着され、ラベル用紙を引き出しながらサーマルヘッドの発生熱で感熱発色層3に商品情報Aが発色印字され、印字完了後、カッタによって印字済み用紙(ラベル)が切り離され、フィルム包装された商品に貼付される。
従って印字作成されたラベルの前記感熱発色層3に発色印字される商品情報Aのうち、少なくともバーコードA1の部分は、購入商品の精算時、読取器(バーコードリーダー)によって確実に読み取られる必要がある。その為に、ラベル用紙に事前印刷される付加情報Bは、少なくとも後に印字されるバーコードの読み取りを阻害しない状態になければならない。
以下、バーコードの読み取りを阻害しない事前印刷(付加情報B)の読取阻害防止処理を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1及び
図3に示す付加情報Bの読取阻害防止処理は、台紙レスラベル用紙の製造時点で感熱発色層3の上に印刷する事前印刷4(情報B)の印刷領域を、感熱発色層3に発色印字される商品情報Aのうち少なくともバーコードA1が発色印字される領域と重ならないように区分けする方法である。
具体的には、
図3(a)に示すように基材1の幅方向を略中央で左右二分し、その一半部(図面では右半部)の感熱発色層3の上面を付加情報Bの事前印刷4の印刷領域6とし、他半部(図面では左半部)の感熱発色層3を少なくともバーコードA1が発色印字される印字領域7とする。
【0016】
前記印刷領域6に事前印刷4によって表示する付加情報Bは、図示例では「小売店名」と「ロゴマーク」を示し、その「小売店名」と「ロゴマーク」の情報Bはラベル用紙の長手方向に所定間隔(例えば、2cm間隔)で感熱発色層3上に印刷されている。尚、付加情報Bの印刷間隔は、商品情報Aの発色印字後、用紙を切断してラベルが作製されるが、その作製される最小サイズのラベルにおいても、該ラベル内に、完全な情報Bが少なくとも1個以上含まれるようする。
【0017】
今、精肉等の生鮮食品をトレイに載せてフィルム包装した商品の大きさが例えば一辺が30cm程あり、その商品に貼付するラベル用紙の横幅が6cmであった場合、前記商品に設けるバーコードは一般的にJANコードの「JAN13(13桁)」(標準タイプ)と、「JAN8(8桁)」(短縮タイプ)が使用される。そして、この「JAN13(13桁)」のバーコードの横幅は通常23mm程度である為、前記ラベル用紙の事前印刷4が施されていない他半部(左半部)の感熱発色層3部分(約30mm幅)に完全に収めて発色印字することができる。尚、バーコードA1以外の商品情報Aは感熱発色層3の横幅全幅に発色印字される。
従って、事前印刷4によって感熱発色層3上に印刷される付加情報Bと、感熱発色層3に発色印字される商品情報AのバーコードA1が重なることはなく、読取器による読み取り時、事前印刷の付加情報Bによってバーコードが読み取れなくなるという問題は解消される。又、事前印刷の付加情報Bは、バーコードA1と重ならない為、印刷濃度を濃くでき、見易くすることが可能となる。
【実施例3】
【0020】
本実施例は、
図5(a)に示すように、前記実施例2で示した情報Bの事前印刷を一半部(右半部)だけでなく、他半部(左半部)にも施したもので、他半部に事前印刷される付加情報B’は一半部に事前印刷される付加情報Bと長さ方向に略半ピッチずらして印刷されている。
それにより、このラベル用紙の感熱発色層3に、バーコードA1を含む商品情報Aを発色印字し、用紙を切断してラベルを製作発行した場合、他半部(左半部)に事前印刷した付加情報B’と、感熱発色層3の他半部領域に発色印字されるバーコードA1が重なってしまうのを避けることはできない。
【0021】
バーコードA1と事前印刷の付加情報B’とが重なることで、読取器によるバーコードA1の読み取りが悪化する最大の要因は、バーコードA1を構成する4種類の太さのバー(黒バー)とスペース(白バー)の反射光の強さの違いが小さくなることである。
そのため、国際自動認識工業会では、バーコードA1を構成する黒バーと白バーについて、白バー部分の最小反射率から黒バー部分の最大反射率を差し引いた値が37.5%以上と下限値を規定している。尚、JIS規格では、バーコードシンボルの光学的特性として、バーコードシンボルの印刷表示に必要な反射率、反射濃度、PCS(Print Contrast Signal)値が規定されている。
【0022】
そこで、他半部(左半部)に事前印刷される付加情報B’が感熱発色層3に発色印字されるバーコードA1と重なっても、読取器によるバーコードの読み取りが問題なく行われるようにするために、少なくともバーコードA1の印字領域に事前印刷する前記付加情報B’の濃度、即ち光(読取器の赤色の光線)の透過率を規定すればよいことが分かった。
この透過率の規定値は以下の方法によって求めた。
先ず、一般の小売店におけるラベル用紙の仕入れは、ロール状に巻かれたものが数十個入った箱単位で行われるが、ラベルの消費量が少ない時期もあるため、仕入れから半年ほど経過したラベル用紙を使用する場合もある。そのため、1年以上倉庫に保管し、若干色あせた感熱ラベル用紙(事前印刷のないもの)を用いて試験した。
試験装置として、印字されたバーコードの光学的特性を各種の規定に則って測定するバーコード測定装置を用いた。因みに、光源は白色で、試験片(ラベル)に対する入射光と反射光は
図2に示す態様とした。
また、前記試験用のラベル用紙にバーコードプリンタによって感熱発色層に黒色でバーコード(JAN13)を多数発色印字して試験片を作成した。
【0023】
上記方法によって作成した試験片をバーコード測定装置で測定した。その結果、白バー部分の最小反射率は62〜63%、黒バー部分の最大反射率は16%であった。
これにより、前記試験片の反射率の差は少なくとも46%あり、前記した国際自動認識工業会の反射率の規定値(下限値)37.5%に対して8.5%の余裕があることになる。
故に、前記反射率の差が8.5%を超えるほど悪化させなければよいので、前記試験片の感熱発色層の上に付加情報B’の事前印刷4を施す場合、入射光が事前印刷4のインク層を透過して下地で反射し、その反射光が再び事前印刷4のインク層を透過した時の透過率の下限値は91.5%以上であればよいことが分かる。
しかし、透過率が100%に近づくに従い事前印刷4で施される付加情報B,B’は目視できなくなるが、事前印刷4で付加情報B,B’を感熱発色層3の上に施す目的からすれば、付加情報B,B’は目視できることが必要で、その為透過率の上限は目視できることが限界である。
以上により、感熱発色層3の上に施す事前印刷4は、前記透過率の条件(下限値:91.5%以上、上限値:目視できる限界)を満たせばインクの色はどのような色でもよく、事前印刷の付加情報B’と重なって発色印字されるバーコードA1は、読取器によって確実に読み取られる。
【0024】
また、事前印刷4の濃度を規定する前記透過率は、光が事前印刷部分を透過して下地で反射し、その反射光が再び事前印刷部分を透過した場合の値で、入射時と反射時の2度、事前印刷部分を透過した場合の値であるが、測定を簡素化するために、
図6に示すように、入射光が事前印刷部分及び下地(感熱発色層、基材、粘着層)を透過した透過光の透過率で規定するようにしてもよい。
この場合は、入射光が事前印刷部分を透過するのは1度だけであるため、100−(8.5/2)=95.75(%)となる。尚、試験片の下地(感熱発色層、基材、粘着層)部分は、透明なものにして透過率に影響しないものとみなし、計算上無視する。
従って、事前印刷部分を透過し下地を通り抜ける光の透過率が95.75%以上で、且つ目視できる範囲であれば、事前印刷の情報B’とバーコードA1が重なっても、該バーコードA1の読み取りは可能となる。
【0025】
又、読取器の光線は一般に赤色であり、事前印刷4のインクを赤系色にした場合は光の透過率が良くなるので、前記透過率(光源:白色光)の下限値は91.5%より低くても(例えば、80%程度)、付加情報B’の下に発色印字されるバーコードA1は読取器によって十分に読み取ることができる。
【0026】
前記台紙レスラベル用紙を構成する基材1は、感熱発色層3に発色印字されるバーコードの読み取りを考慮した場合、白地が好ましいが、カラーであってもよい。尚、読取器は赤色の光線であるため、バーコードの背景色が青い場合、背景からの光の反射量が少なくなるため、赤色の光でバーコードを読み取ることは不可能となる。
【0027】
本発明は図示の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、感熱発色層の上に事前印刷により印刷する付加情報として小売店名(文字)とロゴマークの例を示したがこれに限らず、模様、絵、キャラクタ等であってもよい。
(2)実施の形態では、感熱発色層に発色印字するバーコードとして1次元バーコードの例を示したがこれに限らず、2次元バーコード(例えば、QRコード等)であってもよい。特に、実施例1、2の形態においては全く問題なく使用することができる。
(3)実施の形態では、ラベル用紙の横幅サイズを60mmのものを例に挙げ説明したがこれに限らず、対象商品によって短縮タイプのバーコードを印字する場合、ラベル用紙は横幅が40mmのものでもよく、横幅サイズは特定されない。
(4)実施の形態では、バーコード以外の商品情報として商品名、調味料、原材料、消費期限、加工年月日、値段が印字された例を示したがこれに限らず、商品に応じて適宜変更してもよい。
(5)実施の形態では、事前印刷の印刷領域がバーコードの印字領域を避ける例として基材の幅方向を二分する右半部(一半部)に印刷し、左半部(他半部)にバーコードを印字する例を示したがこれに限らず、この逆の形態でもよいものである。また、一半部への事前印刷は、他半部との境界付近に及ぶ印刷でもよい。
(6)読取阻害防止処理は上述したように複数の方法があるが、これらはそれぞれ単独で用いるのに限らず適宜組み合わせてもよい。例えば、バーコード印字エリアには事前印刷の透過率を制限するか、又は、赤系色で印刷し、他のエリアは実施例1、実施例2のように事前印刷の制限をしないようにしてもよい。
(7)台紙レスラベル用紙は、ラベル発行時に加熱、又は加圧することにより粘着力が発現されるものでもよい。