特許第5668370号(P5668370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668370
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】セラミック電子部品、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20150122BHJP
   H01G 4/12 20060101ALI20150122BHJP
   H01G 4/232 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   H01G4/30 311E
   H01G4/12 364
   H01G4/12 352
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-190916(P2010-190916)
(22)【出願日】2010年8月27日
(65)【公開番号】特開2012-49371(P2012-49371A)
(43)【公開日】2012年3月8日
【審査請求日】2013年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北上 雅敬
(72)【発明者】
【氏名】柳田 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】阿部 寿之
【審査官】 小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−046061(JP,A)
【文献】 特開平07−050488(JP,A)
【文献】 特開2007−165477(JP,A)
【文献】 特開2001−274280(JP,A)
【文献】 特開2000−049178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/12
H01G 4/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミック層と、隣接する前記セラミック層の間に埋設された内部電極と、を有するセラミック素体と、該セラミック素体の主面上に前記内部電極と電気的に接続された端子電極と、を備えるセラミック電子部品であって、
前記セラミック素体は、前記主面及び前記主面に垂直な側面の間に前記主面に対して傾斜した斜面を有しており、
前記端子電極は、前記主面の一部とともに、前記側面の延長線を越えないように前記斜面の前記主面側の部分を覆うセラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック電子部品、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を搭載する電子デバイスの高性能化及び小型化に伴って、電子部品を小型化するのみならず、実装面積を小さくすることが求められている。このような要請に伴って、電子部品の実装には、端子電極をLGA(Land Grid Array)タイプにする手法が採用されている。LGAタイプを採用する場合、隣接する端子電極間にブリッジが発生しないように留意する必要がある。また、はんだのボイドによるチップ立ちや接合信頼性の低下が発生しないように留意する必要がある。
【0003】
LGAタイプの端子電極を有するチップ状のセラミック電子部品は、次のような手順で製造することができる。まず、複数のセラミック層と複数の内部電極とを積層したマザー基板の主面に切り込みを入れて溝を形成する。そして、マザー基板の主面の上に、溝を横断するようにして端子電極を形成する。その後、ダイシング等によって溝に沿ってマザー基板を分割することによって、チップ状のセラミック電子部品を得ることができる。このように、分割する前に端子電極を形成することによって、特性測定を行う前にセラミック電子部品を配列させる工程を省くことが可能となり、製造プロセスの簡素化を図ることができる。
【0004】
このようなセラミック電子部品に設けられる端子電極は、電極ペースト等を印刷して焼付けを行ったり、マスクスパッタ法を行ったりして電極層を形成し、その後、電極層の上にめっき層を形成することによって得られる。例えば、特許文献1では、マスクスパッタ法によって電極を形成した後、バレルめっきによって、ニッケルめっき皮膜を形成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−165477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、マザー基板の上において溝を横断するようにして端子電極を形成した場合、溝に沿ってダイシングを行ってマザー基板を切断すると、めっき延びが発生してバリが生じる場合がある。このようなバリがあると、実装時にブリッジ等の不具合が発生する可能性があるため、バリを除去する工程を別途行う必要があり、生産性低下の要因となっていた。また、LGAタイプでは、はんだのボイド抜け性が悪いために、実装時にチップ立ちや接合信頼性が低下するといった不具合が発生する。このため、セラミック電子部品の実装面積を小さくするとともに信頼性を向上することが可能な技術を確立することが求められている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、実装面積が小さいセラミック電子部品を容易に製造することが可能なセラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。また、実装面積を小さくすることが可能であり、優れた信頼性を有するセラミック電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、第1の側面において、複数のセラミック層と、隣接するセラミック層の間に埋設された内部電極と、を有するセラミック素体と、該セラミック素体の主面上に内部電極と電気的に接続された端子電極と、を備えるセラミック電子部品の製造方法であって、
複数のセラミックグリーンシートと、隣接するセラミックグリーンシートの間に埋設された導体と、を有するグリーン積層体の一方の主面に切り込みを入れて、主面に対して傾斜した斜面を有する溝を形成する工程と、
溝の斜面の主面側の部分と主面の一部とを連続して覆うように、グリーン積層体上に電極パターンを形成する工程と、
グリーン積層体及び電極パターンを焼成して、セラミック素体と該セラミック素体の上に電極層と、を有するマザー基板を得る工程と、
電極層の上にめっき層を設けて、電極層とめっき層とを有する端子電極を形成する工程と、
マザー基板を、溝に沿って切断して、セラミック素体と、該セラミック素体の主面の一部とともに、該主面に垂直なセラミック素体の側面の延長線を越えないように斜面の主面側の部分を覆う端子電極と、を備える、セラミック電子部品を得る工程と、を有する、セラミック電子部品の製造方法を提供する。
【0009】
上述のセラミック電子部品の製造方法では、電極パターンを、溝の斜面のうち、主面側の部分のみを覆うようにして形成している。このため、溝の底部に端子電極が形成されないことから、マザー基板を切断する際に、端子電極を切断することなくマザー基板を切り離すことができる。したがって、切断に伴うめっき延びによるバリの発生が抑制され、バリを除去する工程を省略することが可能となり、優れた信頼性を有するセラミック電子部品を容易に製造することができる。また、バリの発生が抑制されていることから、実装時においてブリッジの発生を抑制することができる。斜面にはんだが形成されているためはんだのボイド抜けが良好となり、チップ立ちの発生が抑制でき、接合信頼性も向上することができる。さらに、セラミック素体上に設けられた端子電極が、セラミック素体の主面に垂直な側面の延長線を越えないように形成されていることから、セラミック電子部品の実装面積を小さくすることができる。
【0010】
また、上述のセラミック電子部品の製造方法では、グリーン積層体と電極パターンとを同時に焼成してマザー基板と電極層とを形成している。したがって、グリーン積層体と電極パターンとを別々に焼成する場合に比べて、製造プロセスを簡素化することができる。
【0011】
本発明では、第2の側面において、複数のセラミック層と、隣接するセラミック層の間に埋設された内部電極と、を有するセラミック素体と、セラミック素体の主面上に内部電極と電気的に接続された端子電極と、を備えるセラミック電子部品の製造方法であって、
複数のセラミックグリーンシートと、隣接するセラミックグリーンシートの間に埋設された導体と、を有するグリーン積層体の一方の主面に切り込みを入れて、主面に対して傾斜した斜面を有する溝を形成する工程と、
グリーン積層体を焼成して、セラミック素体を有するマザー基板を得る工程と、
溝の斜面の主面側の部分と主面の一部とを連続して覆うように、マザー基板上に電極層を形成する工程と、
電極層の上にめっき層を設けて、電極層とめっき層とを有する端子電極を形成する工程と、
マザー基板を、溝に沿って切断して、セラミック素体と、該セラミック素体の主面の一部とともに、該主面に垂直なセラミック素体の側面の延長線を越えないように斜面の主面側の部分を覆う端子電極と、を備える、セラミック電子部品を得る工程と、を有する、セラミック電子部品の製造方法を提供する。
【0012】
このセラミック電子部品の製造方法では、電極パターンを、溝の斜面のうち、主面側の部分のみを覆うようにして形成している。このため、溝の底部に端子電極が形成されないことから、マザー基板を切断する際に、端子電極を切断することなくマザー基板を切り離すことができる。したがって、切断に伴うめっき延びによるバリの発生が抑制され、バリを除去する工程を省略することが可能となり、優れた信頼性を有するセラミック電子部品を容易に製造することができる。また、バリの発生が抑制されていることから、実装時においてブリッジの発生を抑制することができる。斜面にはんだが形成されているためはんだのボイド抜けが良好となり、チップ立ちの発生が抑制でき、接合信頼性も向上することができる。さらに、セラミック素体上に設けられた端子電極が、セラミック素体の主面に垂直な側面の延長線を越えないように形成されていることから、セラミック電子部品の実装面積を小さくすることができる。
【0013】
本発明では、第3の側面において、複数のセラミック層と、隣接するセラミック層の間に埋設された内部電極と、を有するセラミック素体と、セラミック素体の主面上に内部電極と電気的に接続された端子電極と、を備えるセラミック電子部品であって、セラミック素体は、主面及び主面に垂直な側面の間に主面に対して傾斜した斜面を有しており、端子電極は、主面の一部とともに側面の延長線を越えないように斜面の主面側の部分、を覆うセラミック電子部品を提供する。
【0014】
このセラミック電子部品は、端子電極がセラミック素体の側面の延長線を越えないように、セラミック素体の斜面の主面側の部分を覆うように形成されているため、実装面積を小さくしつつチップ立ちおよびブリッジの発生を抑制することができる。また、斜面の側面側の部分にまで端子電極が形成されたセラミック電子部品に比べて、切断時にめっき延びが発生せずバリの発生を抑制することができる。これによって、バリを除去する工程を省略することが可能となり、生産性が向上する。また、通常のLGA端子に比べて、はんだのボイド抜けが向上する。これによって、信頼性の高いセラミック電子部品を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、実装面積が小さいセラミック電子部品を容易に製造することが可能なセラミック電子部品の製造方法を提供することができる。また、実装面積を小さくすることが可能であり、信頼性の高いセラミック電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のセラミック電子部品の好適な実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示すセラミック電子部品のII−II線に沿った断面の一部を示す拡大断面図である。
図3】本発明のセラミック電子部品の製造方法の一実施形態に用いられるグリーン積層体の模式図である。
図4】本発明のセラミック電子部品の製造方法の一工程を説明するための側面図である。
図5】本発明のセラミック電子部品の別の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。また、特に断らない限り、上下左右等の位置関係は、図面の位置関係に基づくものとする。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、本発明のセラミック電子部品の第1実施形態を模式的に示す斜視図である。セラミック電子部品100は、セラミック素体10と、セラミック素体10の主面12上に帯状の端子電極21,25,29と、を備える。本明細書において、端子電極を備えるセラミック素体10の面、及び当該面に対向する面を「主面」といい、主面に垂直な面を「側面」という。セラミック素体10の主面12上に配置された端子電極21,25,29は、互いに平行で且つ隔てられており、この順に配置されている。
【0019】
セラミック素体10は、主面12と主面12に垂直な側面13との間に、主面12及び側面13に対して傾斜した斜面16を有する。また、セラミック素体10は、主面12と主面12に垂直な側面14との間に、主面12及び側面14に対して傾斜した斜面18を有する。すなわち、セラミック素体10は、直方体の一面における周囲の稜部が削り取られたような形状を有している。
【0020】
帯状の端子電極29は、主面12の斜面16側の端部に設けられており、斜面16から主面12を通って、主面12によって斜面16と隔てられた別の斜面、すなわち、側面13と対向する側面の側に設けられた斜面(図示せず)に向けて延在している。帯状の端子電極29の一端は、斜面16の主面12側の部分を覆っており、端子電極29の他端は上記別の斜面の主面12側の部分を覆っている。さらに、端子電極29の側部は、斜面18の主面12側の部分を覆っている。
【0021】
帯状の端子電極21は、主面12の端子電極29とは反対側の端部に設けられており、端子電極29と同様に、斜面16から主面12を通って、主面12によって斜面16と隔てられた別の斜面、すなわち、側面13と対向する側面の側に設けられた斜面(図示せず)に向けて延在している。帯状の端子電極21の一端は、斜面16の主面12側の部分を覆っており、端子電極21の他端は上記別の斜面の主面12側の部分を覆っている。さらに、端子電極21の側部は、主面12を挟んで斜面18とは逆側にある斜面(図示せず)の主面12側の部分を覆っている。図1では、端子電極25を1個設けているが、複数個設けてもよい。
【0022】
帯状の端子電極25は、端子電極21,29の間に配置しており、斜面16から主面12の中央部を横断し、主面12によって斜面16と隔てられた別の斜面、すなわち、側面13と対向する側面の側に設けられた斜面(図示せず)に向けて延在している。帯状の端子電極25の一端は、斜面16の主面12側の部分を覆っており、端子電極25の他端は上記別の斜面の主面12側の部分を覆っている。
【0023】
図2は、図1のセラミック電子部品100のII−II線に沿った断面の一部を模式的に示す拡大断面図である。セラミック素体10は、積層体であり、複数のセラミック層40と、隣接するセラミック層40の間に埋設された内部電極42と、を備える。すなわち、セラミック素体10は、複数のセラミック層40と複数の内部電極42とが交互に積層されて構成されている。
【0024】
図2では、セラミック層40及び内部電極42の積層数を図面上で容易に視認できる程度の数としているが、所望の電気特性に応じて、セラミック層40及び内部電極42の積層数を適宜変更してもよい。積層数は、例えば、セラミック層40及び内部電極42を、それぞれ数十層としてもよく、100〜500層程度としてもよい。また、セラミック層40は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されていてもよい。
【0025】
端子電極29は、図2に示すように、斜面18の主面12側の部分を覆っている。一方、斜面18の側面14側の部分には、端子電極29は設けられていない。端子電極29は、図2に示すようなセラミック素体10の主面12及び側面14に垂直な断面において、側面14の延長線L1を越えないように、すなわち、側面14の延長線L1からセラミック素体10とは反対側にはみ出さないように設けられている。
【0026】
端子電極29は、セラミック素体10の主面12及び側面13に垂直な断面において、側面13の延長線からセラミック素体10とは反対側にはみ出さないように設けられている。他の端子電極21,25も、端子電極29と同様に、主面12及び側面に垂直な断面において、当該側面の延長線からセラミック素体10とは反対側にはみ出さないように設けられている。端子電極21,25,29(以下、場合により、纏めて「端子電極20」という。)が、斜面の主面側の部分のみを覆うとともに、側面の延長線を越えない構造とすることによって、セラミック電子部品100の実装面積(=セラミック素体10それ自身の投影面積と等しい)を小さくするとともに信頼性を向上することができる。
【0027】
上述の形状を有する端子電極は、セラミック電子部品100を実装のためにはんだ接続する際、はんだ中のボイドを円滑に排除できるため、セラミック電子部品100の信頼性を向上することができる。また、セラミック電子部品100に個品化する際に、端子電極20を切断する必要がなくなり、めっき延びの発生を抑制することができる。したがって、ブリッジの発生が抑制され、セラミック電子部品100の信頼性を向上することができる。
【0028】
端子電極20は、内部電極42とスルーホール電極41を介して電気的に接続されている。スルーホール電極41は、主面12に露出するように形成されており、端子電極20は、スルーホール電極41と直接接触することによって、内部電極20と導通している。
【0029】
図2に示す断面において、主面12の延長線L3と斜面18とがなす角度θは、好ましくは10〜80°であり、より好ましくは30〜60°である。角度θが10°未満又は80°を超えると、セラミック電子部品100をはんだ接続する際に、はんだ中のボイドの排除が円滑に進み難くなる傾向にある。また、角度θが10°未満であると、マザー基板の切断が困難になる傾向にあり、角度θが80°を超えると、セラミック素体10の側面14の延長線L1を越えないように端子電極29を形成することが困難となる。
【0030】
図2に示す断面において、セラミック素体10の斜面18の長さL4に対する、端子電極20の斜面18上における長さL2の比(L2/L4)は、好ましくは0.1〜0.8であり、より好ましくは0.2〜0.7である。上記比が0.1未満であると、端子電極20やセラミック素体10の組成によって、端子電極20とセラミック素体10との固着力が損なわれたり、はんだのボイド抜けが低下したりする傾向にある。上記比が0.8を超えると、延長線L1を越えないような構造とするために端子電極20の厚みを小さくする必要があり、製造が困難となる傾向にある。端子電極20の厚みは、例えば10〜50μmである。
【0031】
端子電極20は、セラミック素体10側から、金属成分を含有する導電ペーストを焼付けて形成する電極層と、めっき処理によって形成されるめっき層と、が順次積層された積層構造を有することが好ましい。電極層は、金属成分として、Cu,Ag,Pd,Au,Pt,Fe,Zn,Al、Sn及びNiから選ばれる少なくとも一種を含有する金属又は合金を含有することが好ましい。また、電極層は、金属成分の他に、ガラス成分を含有することが好ましい。これによって、一層信頼性の高いセラミック電子部品とすることができる。
【0032】
上記電極層の上に設けられるめっき層は、例えば、Pd,Au,Ni及びSnから選ばれる少なくとも一種を含む金属又は合金を含有する。めっき層としては、Ni層(ニッケル層)及びSn層(スズ層)が順次積層したものが好適である。めっき層は、通常のめっき液を用いて形成することができる。
【0033】
内部電極42は、金属成分として、Cu,Ag,Pd,Au,Pt,Fe,Zn,Al、Sn及びNiから選ばれる少なくとも一種を含有する金属又は合金を含有することが好ましい。内部電極42は、ガラス成分を含有していてもよい。
【0034】
セラミック電子部品100は、例えば、チップ状の積層型セラミックコンデンサである。この場合、セラミック素体10は、セラミック層40として誘電体層を有する。誘電体層は、例えば、主成分としてチタン酸バリウムを含有する。セラミック電子部品100は、チップ状のバリスタであってもよい。この場合、セラミック素体10は、セラミック層40としてバリスタ層を有する。バリスタ層は、例えば、主成分として酸化亜鉛を含有する。
【0035】
次に、本発明のセラミック電子部品の製造方法の好適な実施形態を説明する。本実施形態のセラミック電子部品の製造方法(第1の製造方法)は、
(i)複数のセラミックグリーンシートと、隣接するセラミックグリーンシートの間に埋設された導体と、を有するグリーン積層体を形成する第1工程、
(ii)グリーン積層体の主面に切り込みを入れて、主面に対して傾斜した斜面を有する溝を形成する第2工程、
(iii)溝の斜面の主面側の部分と主面の一部とを連続して覆うように、グリーン積層体上に電極パターンを形成する第3工程、
(iv)グリーン積層体及び電極パターンを焼成して、セラミック素体とセラミック素体の上に電極層と、を有するマザー基板を得る第4工程、
(v)電極層の上にめっき層を設けて、電極層とめっき層とを有する端子電極を形成する第5工程、及び
(vi)マザー基板を、溝に沿って切断して、セラミック素体と、該セラミック素体の主面の一部とともに、当該主面に垂直な側面の延長線を越えないように斜面の主面側の部分を覆う端子電極と、を備える、セラミック電子部品を得る第6工程、を有する。以下、各工程の詳細を説明する。
【0036】
第1工程は、グリーン積層体を形成する工程である。バリスタを作製する場合、例えば、酸化亜鉛、希土類金属の酸化物、カルシウム酸化物、ケイ素酸化物、及びその他の成分を各々秤量した後、各成分を混合してバリスタ原料を調製する。このバリスタ原料と、有機ビヒクルとを混練して、バリスタ層形成用のスラリーを得る。有機ビヒクルとは、有機バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機バインダとしては、エチルセルロース及びポリビニルブチラール等が挙げられる。有機溶剤としては、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、及びトルエン等が挙げられる。
【0037】
上述のスラリーを、ドクターブレード法等の公知の方法により、例えばポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μm程度の膜を形成する。こうして得られた膜をフィルムから剥離してセラミックグリーンシートを得る。得られたセラミックグリーンシートの所定の位置に、レーザー加工等によってスルーホールを形成する。
【0038】
次に、セラミックグリーンシートに、セラミック素体10(バリスタ素体)内に埋設される内部電極42に対応する電極パターン(導体)を形成する。この電極パターンは、例えば、各種金属粉末、ガラスフリット、酸化物粉末、有機バインダ及び有機溶剤を混合した導電ペーストをスクリーン印刷法によって塗布し、乾燥させることにより形成する。有機バインダとしては、エチルセルロース及びポリビニルブチラール等が挙げられる。有機溶剤としては、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、及びトルエン等が挙げられる。
【0039】
次に、所望の各種電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを所定の順序で重ねる。また、電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを適宜挿入して重ねてもよい。このようにして、複数のセラミックグリーンシートと、隣接するセラミックグリーンシートの間に埋設された導体と、を有するグリーン積層体を得ることができる。
【0040】
第2工程は、切断刃等を用いて、グリーン積層体の主面に切り込みを入れて、主面に対して傾斜した斜面を有する溝を形成する工程である。なお、ここでいう「主面」とは、セラミックグリーンシートの積層方向に直交するグリーン積層体の面である。
【0041】
図3は、対向する一対の主面に溝が形成されたグリーン積層体の模式図である。図3では、グリーン積層体50の内部構造を説明するために、グリーン積層体50を厚さ方向に切断したときの側面の断面構造が示されている。グリーン積層体50は、セラミック層となるセラミックグリーンシート55と内部電極となる導体54とが交互に積層された積層体である。グリーン積層体50の主面50aには、格子状に縦断面形状がV字型である溝52が形成されている。図3では、溝52は、グリーン積層体50の一方の主面50a側にのみ形成したが、グリーン積層体50の両方の主面50a,50bに形成してもよい。これによって、マザー基板の反りを抑制することができる。
【0042】
溝52の深さは、得られるマザー基板の高い剛性を維持する観点から、好ましくはグリーン積層体50の厚みの半分以下である。溝52の縦断面形状はV字型に限定されるものではなく、例えば、台形型であってもよい。
【0043】
第3工程は、溝52の斜面の主面50a側の部分と主面50aの部分とを連続して覆うように、グリーン積層体50の上に電極パターンを形成する工程である。
【0044】
電極パターンは、例えば、導電ペーストをスクリーン印刷法で塗布した後、乾燥して形成することができる。導電ペーストは、金属粉末、ガラスフリット、酸化物粉末、有機バインダ及び有機溶剤を混合して調製することができる。有機溶剤及び有機バインダは、内部電極形成用の導電ペーストの調製に用いたものと同様のものを用いることができる。
【0045】
導電ペーストは、グリーン積層体50の主面50a上に形成された互いに平行で、且つ、所定間隔を隔てて帯状に塗布する。このとき、溝52の底部には、導電ペーストを塗布せず、溝52の斜面16の上部のみに導電ペーストを塗布する。このようにして塗布した電極ペーストを乾燥することによって電極パターンを形成することができる。
【0046】
図4は、電極パターンが形成されたグリーン積層体50の一部を拡大して示す側面図である。電極パターン56はグリーン積層体50の主面50aの溝52側の部分と、斜面16の溝52の上縁側の部分とを覆うように形成される。また、電極パターン56は、溝52の底部17を通る主面50aに垂直な延長線L1を越えないように形成される。電極パターンをこのような形状とすることによって、後の工程で溝52に沿ってマザー基板を切断する際に、めっき延びの発生を抑制することができる。電極パターン58は、主面50aの一部と、図示しない斜面の溝の上縁側の部分とを覆うように形成される。
【0047】
第4工程は、グリーン積層体50及び電極パターンを焼成して、セラミック素体とセラミック素体の上に電極層と、を有するマザー基板を得る工程である。焼成条件は、例えば、焼成温度を850〜1300℃、焼成時間を0.5〜24時間とする。電極パターンが主成分として銅等の卑金属を含む場合、窒素雰囲気中で焼成することが好ましい。一方、電極パターンが主成分としてパラジウム又は銀等の貴金属を含む場合、大気中で焼成することが好ましい。なお、焼成の前に、180〜400℃で0.5〜24時間加熱する、脱バインダを行うことが好ましい。
【0048】
マザー基板は、図4に示すグリーン積層体50及び電極パターン56,58と同様の形状を有する。マザー基板は、両主面に、溝を有することから、反りの発生が十分に抑制されている。マザー基板は、複数のセラミック素体10を一体的に有する。また、それぞれのセラミック素体10の主面上には、電極層が形成されている。
【0049】
第5工程は、セラミック素体10の上に形成された電極層の上にめっき層を設けて、電極層とめっき層とを有する端子電極を形成する工程である。めっき層は、電解めっき法、無電解めっき法等によって形成することができる。
【0050】
第6工程は、マザー基板を、溝52に沿って切断して、セラミック素体10と、該セラミック素体10の主面12上に帯状の端子電極20と、を備える、セラミック電子部品100を得る工程である。具体的には、切断刃(ブレード)を用いて、マザー基板を、マザー基板の主面上に形成された溝52にて切断する。これによって、個品化された複数のセラミック電子部品100を得ることができる。切断時には、切断刃が図4に示す延長線L1に沿って、溝52に挿入されて、マザー基板が切断される。本実施形態のマザー基板では、端子電極20が、延長線L1から越えないように設けられているため、切断刃で端子電極20を切断することなく、マザー基板を切断することができる。したがって、めっき延びの発生を回避することが可能となる。その結果、めっき延びに伴って発生するバリを排除する工程を行う必要がなくなるため、製造プロセスを簡素化することができる。また、セラミック電子部品100の信頼性も向上することができる。
【0051】
次に、本発明のセラミック電子部品の製造方法の別の実施形態を説明する。本実施形態のセラミック電子部品の製造方法(第2の製造方法)は、
(i)複数のセラミックグリーンシートと、隣接するセラミックグリーンシートの間に埋設された導体と、を有するグリーン積層体を形成する第1工程、
(ii)グリーン積層体の主面に切り込みを入れて、主面に対して傾斜した斜面を有する溝を形成する第2工程、
(iii)グリーン積層体を焼成して、セラミック素体を有するマザー基板を得る第3工程、
(iv)溝の斜面の主面側の部分と主面の一部とを連続して覆うように、マザー基板上に電極層を形成する第4工程、
(v)電極層の上にめっき層を設けて、電極層とめっき層とを有する端子電極を形成する第5工程、及び
(vi)マザー基板を、溝に沿って切断して、セラミック素体と、該セラミック素体の主面の一部とともに、該主面に垂直な側面の延長線を越えないように斜面の主面側の部分を覆う端子電極と、を備える、セラミック電子部品を得る第6工程、を有する。
【0052】
上述の第2の製造方法のうち、第1工程、第2工程、第5工程及び第6工程は、上述の第1の製造方法と同様である。したがって、ここでは、第2の製造方法の第3工程及び第4工程について説明する。
【0053】
第3工程は、第2工程で得られたグリーン積層体50を焼成して、複数のセラミック素体を有するマザー基板を得る工程である。図3に示すグリーン積層体50の焼成条件は、例えば、焼成温度を850〜1300℃、焼成時間を0.5〜24時間とする。焼成は、グリーン積層体50に埋設された導体54が主成分としてパラジウム又は銀等の貴金属を含む場合、大気中で行うことが好ましい。一方、導体54が主成分としてニッケル又は銅等の卑金属を含む場合、不活性雰囲気中で行うことが好ましい。焼成の前に、グリーン積層体50を180〜400℃で0.5〜24時間加熱する、脱バインダを行うことが好ましい。
【0054】
第4工程は、マザー基板に設けられた溝の斜面の主面側の部分と主面の一部とを連続して覆うように、マザー基板上に電極層を形成する工程である。電極層の形成は以下の手順で行うことができる。まず、導電ペーストを調製する。導電ペーストは、金属粉末、ガラスフリット、酸化物粉末、有機バインダ及び有機溶剤を混合して調製することができる。有機溶剤及び有機バインダは、内部電極形成用の導電ペーストの調製に用いたものと同様のものを用いることができる。
【0055】
導電ペーストは、マザー基板の主面上に形成された溝52の斜面に掛かるように塗布する。このとき、溝52の底部17には、導電ペーストを塗布せず、溝52の斜面16の上部のみに導電ペーストを塗布する。導電ペーストの塗布は、スクリーン印刷法によって行うことができる。このようにして塗布した電極ペーストを乾燥することによって電極パターンを形成することができる。
【0056】
図4は、電極パターンが形成されたマザー基板60の一部を拡大して示す側面図である。電極パターン56はマザー基板60の主面60aの溝52側の部分と、斜面16の溝52の上縁側の部分とを覆うように形成される。また、電極パターン56は、溝52の底部17を通って主面60aに垂直な延長線L1を越えないように形成される。電極パターンをこのような形状とすることによって、後の工程で溝52に沿ってマザー基板60を切断する際に、めっき延びの発生を抑制することができる。電極パターン58は、主面60aの一部と、図示しない斜面の溝の上縁側の部分とを覆うように形成される。
【0057】
このようにして形成した電極パターン56,58を500〜1300℃で焼き付けて、マザー基板60の主面60a上に、互いに平行に配列した帯状の電極層を形成する。
【0058】
電極層の形成方法は、上述の方法に限定されず、例えば、マスクスパッタ法によって形成してもよい。この場合、所定形状のスリットを有するマスクを用いて電極層を形成することができる。ここで用いるマスクは、溝52の底部17に電極層が形成されないような形状のスリットを有する。
【0059】
第5工程では、電極層の上にめっき層を設けて、電極層とめっき層とを有する端子電極を形成する。また、第6工程では、マザー基板60を、溝52に沿って切断して、セラミック素体10と、セラミック素体10の主面12に垂直な側面13、14の延長線を越えないように斜面の主面側の部分を覆う端子電極20と、を備える、セラミック電子部品を得る。第5工程及び第6工程は、上述の実施形態と同様である。
【0060】
本実施形態の製造方法では、グリーン積層体50を焼成してマザー基板60を得た後に、電極層を形成している。このため、端子電極の材料選択の自由度が向上する。また、低温焼成可能な導電材や樹脂電極等を使用することも可能となる。
【0061】
なお、上述の第1及び第2の製造方法は、バリスタの製造方法に限定されるものではなく、積層型セラミックコンデンサの製造方法にも適用可能である。積層型セラミックコンデンサを作製する場合は、バリスタ層形成用のスラリーに変えて、誘電体層形成用のスラリーを用いる。誘電体層形成用のスラリーは、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体材料に、有機溶剤及び可塑剤を加え、混合することによって調製することができる。
【0062】
<第2実施形態>
図5は、本発明のセラミック電子部品の第2実施形態を模式的に示す斜視図である。セラミック電子部品110は、セラミック素体10と、セラミック素体10の主面12上に6個の端子電極20と、を備える。本実施形態のセラミック電子部品110は、セラミック素体10の主面12上に、6個の端子電極22,23,24,26,27,28を備える点で、第1実施形態のセラミック電子部品100と異なっている。
【0063】
6個の端子電極のうち、端子電極22,24,26,28は、主面12の4隅に設けられている。端子電極22,26は、主面12の一端部(側面14に対向する側面側)に、側面13に垂直な方向に対向配置されている。端子電極24,28は、主面12の他端部(側面14側)に、側面13に垂直な方向に対向配置されている。また、端子電極23,27は、主面12の側面14に垂直な方向における中央部に、側面13に垂直な方向に対向配置されている。
【0064】
端子電極24は、主面12の一部とともに、主面12と側面13との間にある斜面16の主面12側の部分、及び主面12と側面14との間にある斜面18の主面12側の部分を覆うように設けられている。主面12の隅に設けられる端子電極22,26,28は、端子電極24と同様に、隣り合う2つの斜面の主面12側の部分を覆うように設けられている。
【0065】
端子電極23は、主面12の一部とともに、主面12と側面13との間にある斜面16の主面12側の部分を覆うように設けられている。端子電極27は、端子電極23と同様に、主面12と主面12を挟んで斜面16とは反対側にある斜面(図示せず)の主面12側の部分を覆うように設けられている。
【0066】
セラミック電子部品110におけるセラミック素体10は、第1実施形態におけるセラミック電子部品100と同様の構成を有する。また、セラミック電子部品110は、第1実施形態におけるセラミック電子部品100と同様にして製造することができる。
【0067】
上記第1及び第2実施形態のセラミック電子部品100,110は、端子電極20がセラミック素体10の側面14(側面13)の延長線L1を越えないように、セラミック素体10の斜面18(斜面16)の主面12側の部分を覆うように形成されているため、実装面積を小さくすることができる。また、切断時におけるめっき延びが発生せず、バリの発生を抑制することができる。これによって、バリを除去する工程を省略することが可能となり生産性が向上する。また、通常のLGA端子に比べて、はんだのボイド抜けが向上する。したがって、セラミック電子部品100,110は、優れた信頼性を有する。
【0068】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。本発明のセラミック電子部品は、セラミック素体10の主面12の反対側の面上に抵抗体やガラス層を有していてもよい。また、上記実施形態では、セラミック電子部品100をバリスタ又は積層型セラミックコンデンサとして説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明のセラミック電子部品は、インダクタ、又はLCR(インダクタ、コンデンサ、抵抗の複合電子部品)であってもよい。また、セラミック素体10は、セラミック層としてバリスタ層又は誘電体層の代わりに磁性体層を有するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、実装面積が小さいセラミック電子部品を容易に製造することが可能なセラミック電子部品の製造方法を提供することができる。また、実装面積を小さくすることが可能であり、信頼性の高いセラミック電子部品を提供することができる。
【符号の説明】
【0070】
10…セラミック素体、12…面(主面)、13,14…側面、16,18…斜面、17…底部、20,21,22,23,24,25,26,27,28,29…端子電極、40セラミック層、41…スルーホール電極、42…内部電極、50…グリーン積層体、50a,50b…主面、52…溝、54…導体、55…セラミックグリーンシート、56,58…電極パターン、60…マザー基板、60a,60b…主面、100,110…セラミック電子部品。
図1
図2
図3
図4
図5