【実施例】
【0026】
実施例の角形非水電解質二次電池10においては、負極集電体18
1として中央部にプロジェクションとして作用する突起(高さh=0.8mm、基部の直径W=2mm)18
2が形成されたものを用いた。また、絶縁シール材としては、熱溶着性樹脂製テープ23a(厚さL=0.1mm)に中央部に開口23
1(直径A=6mmの円状)を形成して用いた。なお、ここで使用した熱溶着性樹脂製テープ23aはポリオレフィン系熱溶着性樹脂槽を含む多層フィルムからなるものである。
【0027】
まず、銅製の負極芯体露出部15を束ね、その上下に、それぞれ熱溶着性樹脂製テープ23aに形成された開口23
1の中心が一致するように、熱溶着性樹脂製テープ23aを載置し、その下側から銅製の負極集電体18
1の突起18
2が下側の熱溶着性樹脂製テープ23aの開口23
1の中心に一致するように配置し、同じく上側の熱溶着性樹脂製テープ23aの開口23
1を塞ぐように負極集電体受け部品18
3を配置した。次いで、負極集電体18
1及び負極集電体受け部品18
3を挟むように上下から抵抗溶接装置(図示せず)の銅製の電極棒24
1及び24
2を当接し、両方の電極棒24
1及び24
2を互いに
押圧してわずかに短絡した状態としてから、両電極棒24
1及び24
2の間に短時間予め実験的に定めた最適溶接電流(例えば4kA)を流して抵抗溶接を行った。
【0028】
この上下の銅製の負極集電体18
1及び負極集電体受け部品18
3を引っ張り試験機によって剥離するまでの強度を測定したところ、19.6N(20kgf)であった。また、この剥離面の拡大写真は
図4に示したとおりである。
図4から明らかなように、抵抗溶接によりスパッタされた銅のチリ25が熱溶着性樹脂製テープ23a内に捕獲されていることが認められる。
【0029】
なお、熱溶着性樹脂製テープ23aとしては、熱溶着性樹脂の溶着温度が70〜150℃程度であり、溶解温度は200℃以上のものであれば適宜に選択して使用し得るが、更に非水電解質等に対する耐薬品性を備えているものが望ましい。熱溶着性樹脂としては、ゴム系シール材、酸変性ポリプロピレン、ポリオレフィン系熱溶着性樹脂等を使用し得る。
【0030】
また、熱溶着性樹脂製テープ23aの厚さLは、突起18
2の高さhの0.1〜1倍とであることが好ましい。熱溶着性樹脂製テープ23aの厚さLが突起18
2の高さhの0.1倍未満であると実質的に熱溶着性樹脂製テープ23aがない場合と同様になり、スパッタチリが外部へ飛散するのを抑止することができなくなるために内部短絡が増加する。また、熱溶着性樹脂製テープ23aの厚さLが突起18
2の高さhの1倍を超えると、突起18
2を負極芯体の露出部15と直接接触させるためには、過剰の圧力が必要となるため好ましくない。
【0031】
また、熱溶着性樹脂製テープ23aの中央部の開口23
1の幅Aは前記突起18
2の幅Wの1〜5倍であることが好ましい。熱溶着性樹脂製テープ23aの中央の開口23
1の幅Wが突起18
2の幅Wの1倍未満であると、熱溶着性樹脂製テープ23aが突起18
2の先端部を部分的に覆うことがあるため、抵抗溶接時に溶接部に熱溶着性樹脂製テープ23aが残留しやすくなり、爆発的に燃焼を起こしたり、溶接部の強度の低下及び信頼性の低下が生じる。また、熱溶着性樹脂製テープ23aの中央部の開口23
1の幅Aが突起18
2の幅Wの5倍を超えると、実質的に熱溶着性樹脂製テープ23aがない場合と同様になり、スパッタチリが外部へ飛散するのを抑止することができなくなるために内部短絡が増加する。
【0032】
[変更例1]
実施例で使用した熱溶着性樹脂製テープを使用しない以外は実施例の場合と同様にして抵抗溶接を行った。なお、変更例1の場合の予め実験的に定めた最適溶接電流は5.7kAである。この抵抗溶接後の巻回電極体11側の銅製の負極芯体露出部15の間には僅かにスパッタされた銅のチリの存在が認められた。また、抵抗溶接後の変更例1の上下の集電体を引っ張り試験機によって剥離するまでの強度を測定したところ、19.6N(20kgf)であった。
【0033】
なお、実施例及び変更例1の実験状態及び測定結果を纏めると、下記表1に示したとおりとなる。
【表1】
【0034】
表1の記載から明らかなように、実施例の場合の最適抵抗溶接電流値は変更例1の場合の約70%となっているが、引っ張り試験結果は同等となっている。このような結果が得られた理由は、実施例では抵抗溶接時に電流が流れる範囲が熱溶着性樹脂製テープ23aの開口23
1によって狭い範囲に制限されているのに対し、変更例1では上下の集電体及び集電体受け部品が銅製の負極芯体露出部と接触する面積が広いため、抵抗溶接に直接関連しない無効電流が大きくなったためと推測される。
【0035】
したがって、抵抗溶接する部分の周囲に熱溶着性樹脂製テープ23aが存在する状態で抵抗溶接すると、スパッタされた金属のチリが熱溶着性樹脂製テープ23aの内部に捕獲されるため、スパッタされた金属のチリが外部に飛散することが少なくなることが理解できる。
【0036】
なお、上記実施例では負極芯体露出部15、負極集電体18
1及び負極集電体受け部品18
3ともに銅製の場合について説明したが、銅は電極の芯体として常用されている金属の内、最も熱伝導率が高い金属であるため、他の金属の場合に本発明を適用するとよりスパッタされた金属のチリが外部に飛散することが少なくなる。したがって、本発明によれば、密閉電池の種類によらず、内部短絡の発生が少なく、信頼性の高い密閉電池が得られることが分かる。
【0037】
[変更例2]
実施例の角形非水電解質二次電池10においては、
図2及び
図3に示したように、負極集電体18
1として中央部に突起18
2が形成されたものを用い、熱溶着性樹脂製テープ23aに中央部に開口23
1を形成して用いて抵抗溶接した例を示した。しかしながら、特に連続的に抵抗溶接を続けると、電極棒24
1及び24
2が熱くなっているため、抵抗溶接時に電流を流す前に熱溶着性樹脂製テープ23a自体が軟化することがある。このような状態で抵抗溶接を行うと、抵抗溶接時には負極集電体18
1及び負極集電体受け部品18
3を両側から電極棒24
1及び24
2によって互いに押圧しながら抵抗溶接が行われるため、
図5に示したように熱溶着性樹脂製テープ23a自体が溶接部側へはみ出してしまうことがある。この状態で抵抗溶接用電流を流すと場合によっては熱溶着性樹脂が爆発的に燃焼してしまう。
【0038】
そこで、実施例を変更した変更例2の角形電池の抵抗溶接部として、
図6及び
図7に示したように、負極集電体受け部品18
3の負極集電体18
1の突起18
2に対向する側に、突起18
2に向かって高さHの表面が平坦な凸部18
4を形成し、この表面が平坦な凸部18
4の表面にまで軟化した熱溶着性樹脂製テープ23aがはみ出てこないようにすることによって、抵抗溶接時の熱溶着性樹脂製テープ23aの爆発的な燃焼を抑止するようにした。なお、
図6及び
図7においては
図2及び
図3に示した構成と同一の部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。
【0039】
この場合、熱溶着性樹脂製テープ23aの厚さをLとすると、表面が平坦な凸部18
4の高さHは、L≦H<(3/2)Lとすることが好ましい。すなわち、表面が平坦な凸部18
4の高さHを、熱溶着性樹脂製テープ23aの厚さLと同じかそれよりも高くし、表面が平坦な凸部18
4の表面を熱溶着性樹脂製テープ23aよりも突き出させるようにすると、軟化した熱溶着性樹脂製テープ23aが表面が平坦な凸部18
4の表面にまではみ出るようなことがなくなる。また、表面が平坦な凸部18
4の高さHが熱溶着性樹脂製テープ23aの厚さLの(3/2)未満であると、熱溶着性樹脂製テープ23aによる抵抗溶接時のスパッタされたチリの捕集効果が良好となる。なお、プロジェクションとして作用する突起18
2の高さhと熱溶着性樹脂製テープ23aの厚さLとの間の関係及び突起
18
2の基部の幅Wと熱溶着性樹脂製テープ23aの中央の開口23
1の幅Aとの間の関係は、実施例において示したものと同様に設定すればよい。
【0040】
なお、表面が平坦な凸部18
4の形状は平面視で円形状とすると、作製し易く、また熱溶着性樹脂製テープ23aの開口23
1との間の位置決めを行いやすくなる。この表面が平坦な凸部18
4の径をDとし、突起18
2の基部の径をWとし、熱溶着性樹脂製テープ23aの開口23
1の径をAとした場合、W<D<Aとすることが好ましい。この場合の表面が平坦な凸部18
4、突起18
2及び熱溶着性樹脂製テープ23aの開口23
1の平面視における配置関係は、
図7に示したとおりとなる。
【0041】
このように、変更例2の角形電池の抵抗溶接部の構成を採用すると、抵抗溶接時に熱溶着性樹脂が突起18
2と表面が平坦な凸部18
4との間に入り込むことがなくなるので、熱溶着性樹脂が爆発的に燃焼することを抑止することができる。
【0042】
[変更例3]
実施例及び変更例2では、絶縁シール材として熱溶着性樹脂製テープ23aを用いた例を示したが、糊材付き絶縁テープも使用可能である。絶縁シール材としてこの糊材付き絶縁テープ23bを使用し実施例を変更した変更例3の角形電池の抵抗溶接部の構成を
図8〜
図10を用いて説明する。なお、
図8〜
図10においては
図6及び
図7に示した構成と同一の部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。
【0043】
変更例3の抵抗溶接部が変更例2の抵抗溶接部と構成が相違している点は、変更例2では絶縁シール材として熱溶着性樹脂製テープ23aを用いているのに対し、変更例3では糊材付き絶縁テープ23bを用いた点でのみであり、その他の構成は実質的に同一である。この糊材付き絶縁テープ23bとしては、ポリイミドテープ、ポリプロピレンテープ、ポリフェニレンサルファイドテープ等からなる絶縁テープ23cの一面に糊材23dが塗布されているものを使用し得る。ここでは、この糊材付き絶縁テープ23bの総厚さt=0.1mm、糊材23dの厚さa=0.03mmとし、表面が平らな凸部の高さH=0.10mmのものを使用したが、表面が平らな凸部の高さHをa<H<(3/2)tの関係を満たすように設定することが好ましい。すなわち、糊材23dは軟質であるために変形し易いため、抵抗溶接時に電極棒24
1及び24
2で圧力をかけた際に絶縁テープ23cからはみ出し易い。しかしながら、a<Hの関係にあると、糊材23dの厚さaは表面が平らな凸部18
4の高さHよりも低いため、抵抗溶接時に糊材が表面が平らな凸部を覆うことがなくなる。また、H<(3/2)tの関係にあると、抵抗溶接時のスパッタされたチリの捕集効果が良好となる。
【0044】
なお、プロジェクションとして作用する突起18
2の高さhと糊材付き絶縁テープ23bの総厚さtとの間の関係及び突起18
2の基部の幅Wと糊材付き絶縁テープ23bの中央の開口23
1の幅Aとの間の関係は、実施例において示したものと同様に、糊材付き絶縁テープ23bの総厚さtは、突起18
2の高さhの0.1〜1倍とであることが好ましく、また、糊材付き絶縁テープ23bの中央部の開口23
1の幅Aは前記突起18
2の幅Wの1〜5倍であることが好ましい。
【0045】
また、変更例3の角型電池の抵抗溶接部としては、変更例2の抵抗溶接部の場合と同様に、負極集電体受け部品18
3の負極集電体18
1の突起18
2に対向する側に突起18
2に向かって高さHの表面が平坦な凸部18
4を有するものを用いた例を示したが、この表面が平坦な凸部18
4は必ずしも必要な構成ではない。しかしながら、糊材付き絶縁テープ23bを用いた場合に表面が平坦な凸部18
4が形成されていないと、
図10に示したように、抵抗溶接時に電極棒24
1及び24
2で圧力をかけた際に糊材23dが絶縁テープ23cから抵抗溶接部側にはみ出し易い。そのため、安全性を確保するためには表面
が平坦な凸部18
4を設けた方がよい。
【0046】
上述した実施例及び変更例2、3において、プロジェクションとして設けた負極集電体18
1の突起18
2は先端部の断面積が根本の断面積よりも小さくなった形状であるが、プロジェクションの形状はこれに限定されない。また、上述した変更例2及び変更例3においては、負極集電体受け部品18
3の負極集電体18
1の突起18
2に対向する側に突起18
2に向かって高さHの表面が平坦な凸部18
4を有するものを用いた例を示したが、負極集電体18
1及び負極集電体受け部品18
3の両方に、プロジェクションを設けた場合も変更例2及び変更例3と同様の効果が得られる。
【0047】
上述した実施例及び変更例2、3においては、角形外装缶を用いた例について説明したが、外装缶形状は特に限定されず、円筒形の外装缶を用いても適用可能である。しかしながら、電池を組み込む機器のスペース効率を考慮すると、角形形状の外装缶を用いることが好ましい。また、上述した実施例及び変更例2、3においては、偏平状の巻回電極体を用いる例について説明したが、例えば、平板状の正・負極板をセパレータを介して積層した電極体などを適用できることは明らかである。
【0048】
負極電極体18
1及び負極芯体露出部15の構成の詳細について、さらに説明する。
図2に示したように、負極集電体18
1は、負極芯体露出部15と抵抗溶接により接続される第1領域を備えている。この第1領域の端部のうち偏平状の巻回電極体11の巻回軸方向に対してこの巻回電極体11の中央側(
図2において左側)には折れ曲がり部が形成されている。また、本実施形態においては、第1領域の反対側の端部(
図2において右側)にも折れ曲がり部が形成されている。
【0049】
図1A及び
図1Bに示したように、負極集電体18
1は、第1領域と、第2領域と、第3領域と、第4領域とを有する。
【0050】
第1領域は、この負極集電体18
1の一端側(負極芯体露出部15側)に位置する板状の領域である。
【0051】
第2領域は、第1領域と反対の端部側(負極端子19側)に位置し、偏平状の巻回電極体11の巻回軸方向(
図1Aにおいて左右方向)に延びる領域である。第2領域は、封口板13と平行になるように配置されている。
【0052】
第3領域は、第2領域から偏平状の巻回電極体11の長径方向に延びる領域である。第3領域は、電池外装缶12の側壁のうち偏平状の巻回電極体11の巻回軸と平行なものに対して第1領域よりも近くに位置し、この側壁と平行となるように配置されている。第3領域は、第1領域と第2領域との間で、第1領域と同一平面上とならない位置にある。第4領域は、第1領域と第3領域とを繋ぐ領域である。
【0053】
図1Bに示したように、負極芯体露出部15は、偏平の短径方向(
図1Bにおいて左右方向)の幅が狭くなるように束ねられた幅狭部と、偏平の長径方向(
図1Bにおいて上下方向)に対してこの幅狭部の両側に形成され幅狭部よりも幅が広い幅広部とを有する。負極芯体露出部15は、幅狭部において負極集電体18
1の第1領域と抵抗溶接されている。
【0054】
負極側を用いて説明した上述の構成を正極側にも適用するようにしてもよいし、負極側及び正極側いずれか一方に適用するようにしてもよいことは明らかである。例えば、上述した負極集電体18
1の構成を正極集電体16に適用するようにしてもよいし、いずれか一方に適用するようにしてもよい。また、上述した負極芯体露出部15の構成を正極芯体
露出部14に適用するようにしてもよいし、いずれか一方に適用するようにしてもよい。
【0055】
以下、他の実施形態について説明する。他の実施形態に係る二次電池は、両端にそれぞれ正極芯体及び負極芯体が露出した密閉電池用の電極体と、少なくとも一方の前記芯体の両側に抵抗溶接された集電体を備える密閉電池において、前記抵抗溶接部分の周囲の前記芯体と集電体の間には絶縁シール材が配置されている。
【0056】
他の実施形態に係る二次電池は、両端にそれぞれ複数枚の正極芯体及び負極芯体が露出した密閉電池用の電極体と、少なくとも一方の前記複数枚の芯体の両側に抵抗溶接された集電体及び集電体受け部品を備えている。このような二次電池では、通常、電極体の積層数が多いので、確実に溶接させるためには多大な溶接エネルギーを与える必要があるため、抵抗溶接時にスパッタされたチリの発生が増加する。しかしながら、他の実施形態に係る二次電池においては、抵抗溶接部分の周囲の前記芯体と集電体及び集電体受け部品の間には絶縁シール材が配置されて・BR>「るので、抵抗溶接時に発生したチリは抵抗溶接部の周囲の絶縁シール材中に捕獲されるため、外部に飛散することがない。従って、内部短絡の発生が少なく、信頼性の高い密閉電池が得られる。また、抵抗溶接部分の周囲の芯体と集電体及び集電体受け部品の一方の間に絶縁シール材が配置された場合であっても、抵抗溶接時に発生したチリは抵抗溶接部の周囲の絶縁シール材中に捕獲されるため、電極体の内部ないし外部に飛散するチリを少なくする効果が得られる。
【0057】
なお、他の実施形態に係る二次電池における芯体及び集電体は、両者とも同じ金属からなっていても、それぞれ異なる金属からなる場合であってもよく、また、正極芯体に対しても負極芯体に対しても等しく適用し得る。更に、他の実施形態に係る二次電池は、両端にそれぞれ正極芯体及び負極芯体が露出した密閉電池用の電極体と、少なくとも一方の前記芯体に対して両側から対向配置されているとともに抵抗溶接された集電体及び集電体受け部品を備えているものであれば、電極体が巻回形のものであっても積層形のものであってもよく、更に、非水電解質二次電池であっても水性電解質二次電池であってもよい。
【0058】
また、他の実施形態に係る二次電池においては、前記絶縁シール材は熱溶着性樹脂からなるテープ又は糊材付き絶縁テープであることが好ましい。
【0059】
係る態様の二次電池によれば、抵抗溶接時に発生するスパッタされた高温のチリは、固体の熱溶着性樹脂からなるテープ又は糊材付き絶縁テープを部分的に溶融することによって熱を奪われ、急速に冷却されて温度が下がるので、容易に固体の熱溶着性樹脂からなるテープ又は糊材付き絶縁テープ中に捕獲される。なお、抵抗溶接時には、電流を流す時間は短く、しかも、電流が流れる範囲は狭いので、熱溶着性樹脂からなるテープ又は糊材付き絶縁テープの全てが同時に溶融することは少ない。そのため、抵抗溶接時に発生したスパッタされたチリは熱溶着性樹脂からなるテープ又は糊材付き絶縁テープから飛散して電極体の内部へ入り込むことが少なくなるので、より内部短絡の発生が少なく、信頼性の高い密閉電池が得られる。なお、熱溶着性樹脂は、溶着温度が70〜150℃程度であり、溶解温度は200℃以上のものが望ましく、更には電解液等に対する耐薬品性を備えていることが望ましい。
【0060】
また、他の実施形態に係る二次電池においては、前記集電体及び集電体受け部品は前記抵抗溶接部分の少なくとも一方側に他方側に向かって突出する突起が設けられているものを用いて抵抗溶接されたものであることが好ましい。
【0061】
この突起は、一般には「プロジェクション」とも称されているものであり、先端部の断面積が根本の断面積よりも小さくなっていることが好ましい。抵抗溶接時にこの突起の先端部分に電流が集中するので、抵抗溶接に使用されない無効電流が減少し、芯体、集電体
及び集電体受け部品等の電気抵抗が低くかつ熱伝導率が高くても効率よく強固に抵抗溶接を行うことができる。したがって、係る態様の二次電池によれば、上記効果を奏しながらも、より溶接部の信頼性が高い密閉電池が得られる。
【0062】
また、他の実施形態に係る二次電池においては、前記集電体及び集電体受け部品は、前記抵抗溶接部分の一方側に他方側に向かって突出する前記突起が設けられ、前記集電体及び集電体受け部品の他方側に前記突起と対向する部分に表面が平らな凸部が形成されているものを用いて抵抗溶接されたものであることが好ましい。
【0063】
抵抗溶接時には、集電体及び集電体受け部品を両側から電極棒によって互いに押圧しながら抵抗溶接が行われるため、溶接部周囲に配置された絶縁シール材の熱溶着性樹脂自体ないし糊材が溶接部へはみ出してしまうことがある。このように熱溶着性樹脂自体ないし糊材が抵抗溶接部にはみ出した状態で抵抗溶接を行うと熱溶着性樹脂自体ないし糊材が爆発的に燃焼してしまうことがある。しかしながら、前記集電体及び集電体受け部品の他方側には前記突起と対向する部分に表面が平らな凸部を形成すると、抵抗溶接時に熱溶着性樹脂ないし糊材がはみ出ることがあっても、このはみ出た熱溶着性樹脂ないし糊材が前記突起の表面及び表面が平らな凸部の表面に達することがないため、安全かつ効率よく、強固な抵抗溶接部を有する密閉電池が得られる。
【0064】
また、他の実施形態に係る二次電池においては、前記表面が平らな凸部の形状は平面視で円形状であり、前記表面が平らな凸部の径は前記突起の径よりも大きいものを用いて抵抗溶接されたものであることが好ましい。
【0065】
係る態様の二次電池によれば、集電体及び集電体受け部品の配置位置にずれがあっても、表面が平らな凸部と突起の先端とが対向配置された状態を維持できるため、上記本発明の効果を奏しながらも、より溶接部の信頼性が高い密閉電池が得られる。
【0066】
また、他の実施形態に係る二次電池においては、前記抵抗溶接された芯体、集電体及び集電体受け部品が共に銅又は銅合金からなるものとすることができる。
【0067】
銅又は銅合金は、常用されている導電性金属のうち最も電気抵抗が低くかつ熱伝導率が低いものであるので、抵抗溶接時には大電流を流す必要があるため、スパッタされるチリの発生も多くなる。しかしながら、他の実施形態に係る二次電池によれば、これらの大量に発生したスパッタされたチリも抵抗溶接部の周囲の絶縁シール材中に捕獲することができるので、上記の効果を良好に奏することができる。
【0068】
更に、他の実施形態に係る二次電池の製造方法は以下の(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする。
(1)両端にそれぞれ複数枚の正極芯体及び負極芯体の露出部を有する密閉電池用の電極体を形成する工程、
(2)少なくとも一方の前記芯体の露出部と集電体及び集電体受け部品の少なくとも一方の間に中央部に開口が形成された絶縁シール材が配置されるようにして、前記少なくとも一方の前記芯体の露出部の溶接箇所の両面にそれぞれ前記集電体及び前記集電体受け部品を当接する工程、
(3)前記集電体及び集電体受け部品の間に電流を流して抵抗溶接する工程。
また、係る態様の密閉電池の製造方法においては、前記(2)の工程において、少なくとも一方の前記芯体の露出部の溶接箇所の両面に、中央部に開口が形成された絶縁シール材を介して、それぞれ集電体及び集電体受け部品を当接するようにしてもよい。
【0069】
係る態様の二次電池の製造方法によれば、抵抗溶接時には絶縁シール材の中央部に設け
られた開口を介して電流が流れる。そのため、抵抗溶接時に絶縁性テープに設けられた開口部分に電流が集中するため、溶接に関与しない無効電流が減少し、効率よく強固に抵抗溶接を行うことができる。しかも、抵抗溶接部分の周囲は絶縁性テープで囲まれているから、抵抗溶接時に発生したスパッタチリは抵抗溶接部の周囲の絶縁シール材中に捕獲されるため、外部に飛散することがない。従って、係る態様の二次電池の製造方法によれば、内部短絡の発生が少なく、信頼性の高い密閉電池が得られる。
【0070】
また、他の実施形態に係る二次電池の製造方法においては、前記絶縁シール材は熱溶着性樹脂からなるテープ又は糊材付き絶縁テープであることが好ましい。
【0071】
係る態様の二次電池の製造方法によれば、容易に絶縁シール材を所定の抵抗溶接位置の周囲に配置することができるようになる。加えて、抵抗溶接時に発生するスパッタされた高温のチリは、固体の熱溶着性樹脂ないし絶縁テープを部分的に溶融することによって熱を奪われ、急速に冷却されて温度が下がるので、容易に固体の熱溶着性樹脂ないし絶縁テープ中に捕獲される。なお、抵抗溶接時には、電流を流す時間は短く、しかも、電流が流れる範囲は狭いので、固体の熱溶着性樹脂ないし絶縁テープの全てが同時に溶融することは少ない。そのため、抗溶接時に発生したスパッタされたチリは固体の熱溶着性樹脂ないし絶縁テープを飛び出して電極体の内部へ入り込むことが少なくなるので、より内部短絡の発生が少なく、信頼性の高い密閉電池が得られる。
【0072】
なお、熱溶着性樹脂は、溶着温度が70〜150℃程度であり、溶解温度は200℃以上のものが望ましく、更には電解質等に対する耐薬品性を備えていることが望ましい。熱溶着性樹脂としては、ゴム系シール材、酸変性ポリプロピレン、ポリオレフィン系熱溶着性樹脂等を使用し得る。更に、糊材付き絶縁テープとしては、ポリイミドテープ、ポリプロピレンテープ、ポリフェニレンサルファイドテープ等を使用することができ、また、絶縁性熱溶着製樹脂層を有する複層構造のものであってもよい。
【0073】
また、他の実施形態に係る二次電池の製造方法においては、前記(2)の工程において、前記両側の集電体及び集電体受け部品の前記抵抗溶接部分の少なくとも一方側には他方側に向かって突出する突起が形成されたものを使用し、前記突起が前記絶縁シール材の中央部の開口に位置するように前記芯体の溶接箇所に当接することが好ましい。
【0074】
この突起は、一般には「プロジェクション」とも称されているものであり、先端部の断面積が根本の断面積よりも小さくなっていることが好ましい。抵抗溶接時にこの突起の先端部分に電流が集中するので、抵抗溶接に使用されない無効電流が減少し、芯体、集電体及び集電体受け部品等の電気抵抗が低くかつ熱伝導率が高くても効率よく強固に抵抗溶接を行うことができるようになる。加えて、この突起は絶縁シール材の中央部の開口に位置するように配置されているから、抵抗溶接前の絶縁シール材の位置ずれによる溶接部へのはみ出しを予防することができるため、抵抗溶接時に溶接部へはみ出した絶縁シール材の爆発的な燃焼をなくすことができる。従って、係る態様の二次電池の製造方法によれば、溶接部の信頼性が高い密閉電池を製造することができる。
【0075】
また、他の実施形態に係る二次電池の製造方法においては、前記絶縁シール材の厚さは前記突起の高さの0.1〜1倍であることが好ましい。前記絶縁シール材の厚さは前記突起の高さの2/3〜1倍であることがさらに好ましい。
【0076】
絶縁性テープの厚さが突起の高さの0.1倍未満であると実質的に絶縁シール材がない場合と同様になり、スパッタチリが外部へ飛散するのを抑止することができなくなるために内部短絡が増加するので、好ましくない。絶縁性テープの厚さが突起の高さの2/3倍以上であるとスパッタチリの捕集効果が良好となる。また、絶縁シール材の厚さが突起の
高さの1倍を超えると、突起を芯体と直接接触させるためには、過剰の圧力が必要となるため好ましくない。
【0077】
また、他の実施形態に係る二次電池の製造方法においては、前記絶縁シール材の中央部の開口の幅は前記突起の幅の1〜5倍であることが好ましい。
【0078】
絶縁シール材の中央の開口の幅が突起の幅の1倍未満であると、絶縁シール材が突起の先端部を部分的に覆うことがあるため、抵抗溶接時に溶接部に絶縁シール材が残留しやすくなり、爆発的に燃焼を起こしたり、溶接部の強度の低下及び信頼性の低下が生じるために好ましくない。また、絶縁シール材の中央部の開口の幅が突起の幅の5倍を超えると、実質的に絶縁テープがない場合と同様になり、スパッタチリが外部へ飛散するのを抑止することができなくなるために内部短絡が増加するので好ましくない。なお、本発明における絶縁性テープの中央の開口の幅ないし突起の幅は、これらの形状が円形状であれば直径を表し、これらの形状が方形状であれば最長対角間距離を示す。
【0079】
また、他の実施形態に係る二次電池の製造方法においては、前記(2)の工程において、前記集電体及び集電体受け部品の前記抵抗溶接部分の一方側には他方側に向かって突出する前記突起が設けられ、前記集電体及び集電体受け部品の他方側には前記突起と対向する部分に表面が平らな凸部が形成されたものを使用し、前記表面が平らな凸部及び突起が絶縁シール材の中央部の開口に位置して互いに対向するよう前記芯体の溶接箇所に当接することが好ましい。
【0080】
係る態様の二次電池の製造方法によれば、抵抗溶接時に、絶縁シール材の熱溶着性樹脂ないし糊材がはみ出ても前記表面が平らな凸部及び突起の表面までには達せず、しかも抵抗溶接時の電流は前記突起の先端と表面が平らな凸部の表面の一部に集中して流れるため、この熱溶着性樹脂ないし糊材が爆発的に燃焼することがなくなる。しかも、この表面が平らな凸部が絶縁シール材の位置決めにもなるため、容易に抵抗溶接前の絶縁シール材の位置ずれによる溶接部へのはみ出しを予防することができ、抵抗溶接時に溶接部へはみ出した絶縁シール材の爆発的な燃焼をなくすことができる。従って、係る態様の二次電池の製造方法によれば、安全にかつ強固に抵抗溶接を行うことができるようになると共に、生産性を大きく向上させることができ、効率よく溶接部の信頼性が高い密閉電池を製造することができる。
【0081】
また、他の実施形態に係る二次電池の製造方法においては、前記表面が平らな凸部の形状は平面視で円形状であり、前記表面が平らな凸部の径は前記突起の径よりも大きいことが好ましい。
【0082】
係る態様の二次電池の製造方法によれば、表面が平らの凸部の形成が容易にでき、しかも、集電体及び集電体受け部品の配置位置にずれがあっても表面が平らな凸部と突起の先端とが対向配置された状態を簡単に維持できるため、上記の効果を奏しながらも、より溶接部の信頼性が高い密閉電池を製造することができるようになる。
【0083】
また、他の実施形態に係る二次電池の製造方法においては、前記絶縁シール材の厚さは前突起の高さの0.1〜1倍であることが好ましい。前記絶縁シール材の厚さは前記突起の高さの2/3〜1倍であることがさらに好ましい。
【0084】
絶縁性テープの厚さが突起の高さの0.1倍未満であると実質的に絶縁シール材がない場合と同様になり、スパッタチリが外部へ飛散するのを抑止することができなくなるために内部短絡が増加するので、好ましくない。絶縁性テープの厚さが突起の高さの2/3倍以上であるとスパッタチリの捕集効果が良好となる。また、絶縁シール材の厚さが突起の
高さの1倍を超えると、突起を芯体と直接接触させるためには、過剰の圧力が必要となるため好ましくない。
【0085】
また、他の実施形態に係る二次電池の製造方法においては、前記絶縁シール材の中央部の開口の幅は前記突起の幅の1〜5倍であることが好ましい。
【0086】
絶縁シール材の中央の開口の幅が突起の幅の1倍未満であると、絶縁シール材が突起の先端部を部分的に覆うことがあるため、抵抗溶接時に溶接部に絶縁シール材が残留しやすくなり、爆発的に燃焼を起こしたり、溶接部の強度の低下及び信頼性の低下が生じるために好ましくない。また、絶縁シール材の幅が突起の幅の5倍を超えると、実質的に絶縁テープがない場合と同様になり、スパッタチリが外部へ飛散するのを抑止することができなくなるために内部短絡が増加するので好ましくない。
【0087】
また、他の実施形態に係る二次電池の製造方法においては、前記絶縁シール材は熱溶着性樹脂からなるテープであり、前記熱溶着性樹脂からなるテープの厚さをLとしたとき、前記表面が平らな凸部の高さHは、L<H<(3/2)Lの範囲にあることが好ましい。
【0088】
絶縁シール材が熱溶着性樹脂からなるテープからなる場合、特に連続的に抵抗溶接を続けると抵抗溶接用電極棒が熱くなるため、抵抗溶接の電流を流す前にこれらの熱溶着性樹脂が軟化して溶接部にはみ出す可能性がある。この場合、L≦Hを満たしていれば表面が平坦な凸部の表面が熱溶着性樹脂製テープよりも突き出た状態となるので、軟化した熱溶着性樹脂製テープが表面が平坦な凸部の表面にまではみ出るようなことがなくなる。また、H<(3/2)Lを満たしていれば熱溶着性樹脂製テープによる抵抗溶接時のスパッタされたチリの捕集効果が良好となる。従って、熱溶着性樹脂からなるテープの厚さと表面が平らな凸部の高さが上記条件を満たしていれば、抵抗溶接時に熱溶着性樹脂がはみ出しても、この熱溶着性樹脂が表面が平らな凸部の表面にまで達することがなくなるため、抵抗溶接時にこの糊材が爆発的に燃焼することがなくなり、安全にかつ溶接部の信頼性が高い密閉電池を製造することができるようになる。
【0089】
また、他の実施形態に係る二次電池の製造方法においては、前記絶縁シール材は糊材付き絶縁テープであり、前記糊材付き絶縁テープの総厚さをt、糊材厚さをaとしたとき、前記表面が平らな凸部の高さHは、a<H<(3/2)tの範囲にあることが好ましい。
【0090】
糊材は軟質であるために変形し易いため、抵抗溶接時に電極棒で圧力をかけた際に絶縁テープからはみ出し易い。しかしながら、a<Hの関係にあると、糊材の厚さaは表面が平らな凸部の高さHよりも低いため、抵抗溶接時に糊材が表面が平らな凸部を覆うことがなくなる。また、H<(3/2)tの関係にあると、抵抗溶接時のスパッタされたチリの捕集効果が良好となる。したがって、糊材付き絶縁テープの総厚さと、糊材厚さと、表面が平らな凸部の高さとが上記条件を満たしていれば、安全に、信頼性の高い抵抗溶接部を備えた密閉電池を製造することができるようになる。