特許第5668770号(P5668770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5668770ロボットシステム、及び、ロボットシステムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668770
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】ロボットシステム、及び、ロボットシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   B25J19/06
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-52805(P2013-52805)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-176932(P2014-176932A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2013年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(72)【発明者】
【氏名】西邑 考史
(72)【発明者】
【氏名】中村 民男
(72)【発明者】
【氏名】河野 大
(72)【発明者】
【氏名】巣山 崇
(72)【発明者】
【氏名】松尾 智弘
(72)【発明者】
【氏名】石川 伸一
(72)【発明者】
【氏名】河野 智樹
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−052114(JP,A)
【文献】 特開2012−236244(JP,A)
【文献】 特開2006−043861(JP,A)
【文献】 特開平03−080331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作可能な作業用アームを有し、動作プログラムをプログラミングされることにより複数種の作業内容を実行可能なロボットと、
前記作業用アームの動作速度を検知する動作速度検知手段と、
前記ロボットの周囲に所定の範囲の領域を設定する領域設定手段と、
前記ロボット以外の移動体の位置を検知する移動体検知手段と、
前記移動体の位置が前記領域内であることが検知された場合に異常判定する異常判定手段と、を備え、
前記領域設定手段が、前記作業用アームの動作速度に応じて、前記領域の範囲を変化させ、
前記動作プログラムは前記作業用アームの動作速度を規定する情報を含み、
前記異常判定手段は、前記移動体の位置が前記領域内であることが検知された時に前記ロボットが実行中の作業内容の前記移動体に対する安全性に応じて、異なる異常判定を行う、ロボットシステム。
【請求項2】
前記ロボットは、前記作業用アームを支持する基台と、前記基台を移動させる移動機構とを有している、請求項1記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記移動体検知手段が、前記移動体の位置及び移動速度を検知するものであり、
前記領域設定手段が、前記作業用アームの動作速度と前記移動体の移動速度とに基づく両者の相対速度に応じて、前記領域の範囲を設定する、請求項1又は2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記異常判定手段による前記異常判定に伴う処理が、前記ロボットの動作停止、警報の発信、及び、前記作業用アームの動作速度の低減のうち少なくともいずれか一の制御を含む、請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記動作速度検知手段が、前記作業用アームの動作速度のXYZ座標系におけるX方向成分、Y方向成分、及び、Z方向成分のうち少なくともいずれか一の成分を検知するものであり、
前記領域設定手段が、前記動作速度検知手段によって検知された前記X方向成分、前記Y方向成分、及び、前記Z方向成分のうち少なくともいずれか一の成分に応じて前記領域の範囲を設定する、請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記移動体検知手段が、レーザ測距装置、撮像装置、又は、前記移動体に配設されたICタグからデータを読み取るデータ受信装置である、請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記領域設定手段は、前記ロボットの周囲に複数の異なる領域を設定し、
前記異常判定手段は、それぞれの前記領域ごとに異なる異常判定を行う、請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記異常判定手段は、前記移動体の位置が前記領域内にないことが検知された場合に、前記異常判定を解除する、請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項9】
動作可能な作業用アームを有し、動作プログラムをプログラミングされることにより複数種の作業内容を実行可能なロボットの前記作業用アームの動作速度を検知する動作速度検知ステップと、
前記ロボットの周囲に所定の範囲の領域を設定する領域設定ステップと、
前記ロボット以外の移動体の位置を検知する移動体検知ステップと、
前記移動体の位置が前記領域内であることが検知された場合に異常判定する異常判定ステップと、を有し、
前記動作プログラムは前記作業用アームの動作速度を規定する情報を含み、
前記領域設定ステップにおいて、前記作業用アームの動作速度に応じて、前記領域の範囲を変化させ
前記異常判定ステップにおいて、前記移動体の位置が前記領域内であることが検知された時に前記ロボットが実行中の作業内容の前記移動体に対する安全性に応じて、異なる異常判定を行う、
ロボットシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ロボットシステム、及び、ロボットシステムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動作可能な作業用アームを有するロボットが提案されている。通常、作業用アームの周囲には安全柵を設けて作業用アームの動作領域と人とを仕切るようにしているが、作業対象物の補充などのために人が安全柵内に入る場合がある。また近年、作業用アームと人とが仕切られていない空間で両者が作業するケースも増えている。このようなロボットにおいては、作業用アームの動作領域に人などが侵入して、ロボットと人とが干渉してしまうリスクを回避するために、安全対策が図られている。例えば、人に取り付けた発信機と、この発信機に対応し装置に取り付けた受信機と、この受信機の出力信号を演算処理して装置に対する人の位置を検出する位置検出手段を備えたマン・マシン作業システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
特許文献1に記載されたマン・マシン作業システムにおいては、位置検出手段によって、装置に対する人の位置関係が検出され、当該位置関係により人の動作領域が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4219870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロボット本体の動作速度や作業用アームの動作速度は常時一定ではなく、ロボット本体の作業中に刻々と変化する。そして、ロボット本体の動作速度や作業用アームの動作速度によって、人に対する危険性(リスク)が変化する。したがって、装置に対する位置関係によって人の動作領域を画一的に設定するだけでは、十分な安全対策とはいえない場合がある。逆に、ロボット本体の動作速度によっては、安全対策が過剰となり、ロボット本体の作業効率が低下してしまう場合がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、安全性と作業性とを高レベルで実現することができるようにしたロボットシステム、及び、ロボットシステムの制御方法を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的側面としてのロボットシステムは、動作可能な作業用アームを有するロボットと、作業用アームの動作速度を検知する動作速度検知手段と、ロボットの周囲に所定の範囲の領域を設定する領域設定手段と、ロボット以外の移動体の位置を検知する移動体検知手段と、移動体の位置が領域内であることが検知された場合に異常判定する異常判定手段と、を備え、領域設定手段が、作業用アームの動作速度に応じて、領域の範囲を変化させる。
【0008】
ロボットは、作業用アームを支持する基台と、基台を移動させる移動機構とを有していてもよい。
【0009】
移動体検知手段が、移動体の位置及び移動速度を検知するものであり、領域設定手段が、作業用アームの動作速度と移動体の移動速度とに基づく両者の相対速度に応じて、領域の範囲を設定してもよい。
【0010】
異常判定手段による前記異常判定に伴う処理が、ロボットの動作停止、警報の発信、及び、作業用アームの動作速度の低減のうち少なくともいずれか一の制御を含んでもよい。
【0011】
ロボットは、動作プログラミングされることにより複数種の作業内容を実行可能であり、動作プログラムは作業用アームの動作速度を規定する情報を含んでいてもよい。
【0012】
動作プログラムは作業用アームの動作速度を規定する情報を含んでおり、異常判定手段は、移動体の位置が領域内であることが検知された時にロボットが実行中の作業内容に応じて、異なる異常判定を行ってもよい。
【0013】
動作速度検知手段が、作業用アームの動作速度のXYZ座標系におけるX方向成分、Y方向成分、及び、Z方向成分のうち少なくともいずれか一の成分を検知するものであり、領域設定手段が、動作速度検知手段によって検知されたX方向成分、Y方向成分、及び、Z方向成分のうち少なくともいずれか一の成分に応じて領域の範囲を設定してもよい。
【0014】
移動体検知手段が、レーザ測距装置、撮像装置、又は、移動体に配設されたICタグからデータを読み取るデータ受信装置であってもよい。
【0015】
領域設定手段は、ロボットの周囲に複数の異なる領域を設定し、異常判定手段は、それぞれの領域ごとに異なる異常判定を行ってもよい。
【0016】
異常判定手段は、移動体の位置が領域内にないことが検知された場合に、異常判定を解除してもよい。
【0017】
他の例示的側面としてのロボットシステムの制御方法は、動作可能な作業用アームを有するロボットの作業用アームの動作速度を検知する動作速度検知ステップと、ロボットの周囲に所定の範囲の領域を設定する領域設定ステップと、ロボット以外の移動体の位置を検知する移動体検知ステップと、移動体の位置が領域内であることが検知された場合に異常判定する異常判定ステップと、を有し、領域設定ステップが、作業用アームの動作速度に応じて、領域の範囲を変化させる。
【0018】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0019】
安全性と作業性とを高レベルで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1に係るロボットシステムの動作を説明するための模式図である。
図2】作業用アームの動作速度が、図1に示す状態に比して速い場合の例を示す模式図である。
図3】作業用アームの動作速度が、図1に示す状態に比して遅い場合の例を示す模式図である。
図4】実施の形態1に係るロボットシステムにおける、領域の範囲を変化させる手順、及び異常判定の手順を説明するフローチャートである。
図5】変形例1に係るロボットシステムの動作を説明するための模式図である。
図6】変形例2に係るロボットシステムにおける、領域の範囲を変化させる手順、及び異常判定の手順を説明するためのフローチャートである。
図7】変形例3に係るロボットシステムにおける、領域の範囲を変化させる手順、及び異常判定の手順を説明するためのフローチャートである。
図8】変形例4に係るロボットシステムにおける、領域の範囲を変化させる手順、及び異常判定の手順を説明するためのフローチャートである。
【実施するための形態】
【0021】
[実施の形態1]
以下、実施の形態1に係るロボットシステムについて、図面を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係るロボットシステムの動作を説明するための模式図である。図2は、作業用アームの動作速度が、図1に示す状態に比して速い場合の例を示す模式図である。図3は、作業用アームの動作速度が、図1に示す状態に比して遅い場合の例を示す模式図である。図1図2図3において、作業用アームの動作速度の絶対値の大きさを、作業用アーム4の上部に付した矢印の長さで表す。
【0022】
なお作業用アームの動作速度とは、一般に作業用アーム先端部の動作速度を指す。
【0023】
図1に示すように、ロボットシステム2は、ロボット3と、動作速度検知手段5と、領域設定手段6と、移動体検知手段7と、異常判定手段8と、動作制御手段11と、を備える。ロボット3は、動作可能な作業用アーム4を有する。動作可能とは、エネルギーを物理的運動に変換するアクチュエータなどの機械要素によって、作業用アーム4が、伸縮、屈伸、旋回などの動作を実行できることをいう。ロボット3は、このような作業用アーム4を1台以上有している。動作速度検知手段5は、作業用アーム4の動作速度を検知するものである。即ち、作業用アーム4が伸縮、屈伸、旋回などの動作を行った際に、この作業用アーム4の動作速度を検知する。領域設定手段6は、ロボット3の周囲に所定の範囲の領域10を設定する。領域10は、ロボットシステム2を中心とした所定半径の円領域であってもよい。移動体検知手段7は、ロボット3以外の移動体9の位置を検知する。ロボット3以外の移動体9とは、例えば、人間、ハンドリフト、搬送台車の他、ロボット3以外の自走可能なロボットなどを挙げることができる。異常判定手段8は、移動体9の位置が領域10内であることが検知された場合に異常判定する。
【0024】
動作制御手段11は、ロボット3や作業用アーム4の動作を制御するものである。後述する動作プログラムに従って作業用アーム4のアクチュエータへ動作指令を出力する一方、アクチュエータの位置情報などを監視し、作業用アーム4が動作指令に沿った動作をするよう制御する。また異常定手段8の異常判定に伴って、作業用アーム4の動作速度を変更したり、停止させたりする。
【0025】
その他にも、ロボットシステム2は動作プログラムや制御に必要なパラメータを記憶する記憶手段を有するが図では省略している。
【0026】
そして、ロボットシステム2では、領域設定手段6が、作業用アーム4の動作速度に応じて、領域10の範囲を変化させる。このようなロボットシステム2は、安全性と作業性とを高レベルで実現することができる。即ち、図2に示すように、作業用アーム4の動作速度が速い場合には、異常判定される領域10の範囲が、図2に示す領域10aのように広くなり、図3に示すように、作業用アーム4の動作速度が遅い場合には、異常判定される領域10の範囲が、図3に示す領域10bのように狭くなる。このように、ロボットシステム2は、移動体9が侵入することにより異常判定する領域10を可変的に設定することができる。したがって、ロボット3の作業に応じて、移動体9が、最小の安全距離を確保することができ、ロボット3が占有するスペースを縮小できる。また、ロボット3の作業に応じて許容される最大速度で動作することで、タクトタイムが短縮でき、ロボット3の生産性及び稼働率が向上する。
【0027】
図1に示すロボットシステム2においては、床面、天井、壁面などに設置された、多関節の作業用アーム4を有するロボット3を備えた場合の例を示す。ロボット3は、動作可能な作業用アーム4を有するものであれば、このようなロボット3に限定されることはない。例えば、図示は省略するが、ロボットは、作業用アームを支持する基台と、この基台を移動させる移動機構とを有するものであってもよい。
【0028】
図1に示すロボットシステム2において、動作速度検知手段5は、作業用アーム4に配設されている。このような動作速度検知手段5としては、例えば、作業用アーム4の動作時の加速度を計測し、計測した加速度を積分することによって動作速度を検知する計測装置を挙げることができる。また、図示は省略するが、動作速度検知手段は、ロボット3の外部から作業用アームの動作速度を検知するものであってもよい。
【0029】
移動体検知手段7は、ロボット3の周囲の、ロボット3以外の移動体9の位置を検知する。検知対象の移動体9が、床面上を移動するものの場合には、図1に示すように、レーザ測距装置などの移動体検知手段7を、床面から所定の高さに設置し、当該所定の高さにおける移動体9の位置を検知してもよい。移動体検知手段7は、レーザ測距装置に限定されることはなく、例えば、撮像装置であったり、移動体9に配設されたICタグからデータを読み取るデータ受信装置であったりしてもよい。
【0030】
領域設定手段6は、予め、作業用アーム4の動作速度と、領域10の範囲とを対応付けたデータである相関データが格納された記憶部を有していてもよい。領域設定手段6は、このような記憶部から上記のような相関データを読み出し、この相関データから、動作速度検知手段によって検知された動作速度に適合した領域10の範囲を設定することができる。
【0031】
異常判定手段8は、領域設定手段6によって設定された領域10の範囲と、移動体検知手段7によって検知された移動体9の位置とに基づき、異常状態であるか否かを判定する。即ち、移動体9の位置が領域10内であることが検知された場合には、異常判定がされる。例えば、異常判定がされると、移動体9と作業用アーム4との間に、適切な距離が確保されていないことがある。異常判定がされた場合、動作制御手段11は、所定の処理を行う。この所定の処理には、作業用アーム4の動作停止、警報の発信、及び、作業用アーム4の動作速度の低減のうち少なくともいずれか一の制御を含んでいてもよい。作業用アーム4の動作停止により、移動体9側から作業用アーム4へ干渉することがなければ、移動体9と作業用アーム4との接触が生じず、移動体9の安全性を確保することができる。警報の発信により、移動体9、及び移動体9の周囲の他の作業者に、作業用アーム4に対して移動体9が近づきすぎていることを警告することができる。これにより、移動体9と作業用アーム4との干渉を防ぐことができる。また、作業用アーム4の動作速度の低減により、移動体9と作業用アーム4とが干渉した場合でも、その干渉が移動体9に与える影響を低減することができる。また、作業用アーム4の動作速度の低減により、移動体9の退避行動も行い易くなる。
【0032】
上記のようなロボットシステム2による、領域の範囲を変化させる手順、及び異常判定の手順を、フローチャートに示した。図4は、実施の形態1に係るロボットシステムにおける、領域の範囲を変化させる手順、及び異常判定の手順を説明するフローチャートである。ロボットシステムは、まず、ステップS1において、作業用アームの動作速度を検知する。この動作速度の検知は、ロボットの周囲に最初に設定される領域を設定するためのものである。動作速度の検知は、動作速度検知手段によって行われる。動作速度検知手段としては、例えば、加速度センサーなどを挙げることができる。また、ロボット3の外部から作業用アームの動作速度を測定する動作速度検知手段としては、例えば、マイクロ波やレーザ光のドップラーシフトを計測することにより動作速度を検知する計測器を挙げることができる。また、ロボットが予め動作プログラミングされることにより作業内容を実行するものである場合には、動作プログラムに示された設定速度に基づいて、作業用アームの動作速度を検知することもできる。
【0033】
また、加速度センサーやロボット3の外部に設けた計測器を用いずに作業用アーム4の動作速度を検知する方法として、作業用アーム4を動作させる各アクチュエータに取り付けられた位置情報検出手段の検出値を用いてもよい。具体例を挙げると、作業用アーム4が複数の関節を備え、各々の関節がエンコーダ付きサーボモータにより駆動されている場合、各関節間を繋ぐアーム形状が既知であれば、各エンコーダから得た各関節の位置を用いたキネマティクス演算により作業用アーム先端部の位置を求めることができる。この作業用アームの先端部の位置を所定の時間間隔で求め、時間微分することで、作業用アームの動作速度を求めることができる。
【0034】
次に、ステップS2において、検知した作業用アームの動作速度に基づき、ロボットの周囲に領域を設定する。領域の設定は、領域設定手段によって行われる。この領域は、作業用アームの動作速度に変更があった場合には、後述する、ステップS7、S8において、適宜、作業用アームの動作速度に応じて変化する。領域の範囲は、作業用アームの動作速度が速い場合はより広く、作業用アームの動作速度が遅い場合はより狭く、設定される。領域設定手段が、作業用アームの動作速度と、領域の範囲とを対応付けた相関データが格納された記憶部を有している場合には、記憶部から上記相関データを読み出し、動作速度検知手段によって検知された動作速度に適合した領域の範囲を設定することが好ましい。
【0035】
次に、ステップS3において、移動体の位置を検知する。移動体の位置の検知は、移動体検知手段によって行われる。移動体検知手段としては、レーザ測距装置、撮像装置、移動体に配設されたICタグからデータを読み取るデータ受信装置などを挙げることができる。
【0036】
次に、ステップS4において、移動体の位置が、領域内であるか否かの判定を行う。移動体の位置が領域内である場合には、ステップS5に進み、異常判定がされる。即ち、移動体の位置が、領域内である場合には、作業用アームの動作速度に対して、移動体が十分な距離を確保できていないものとして、異常判定がされる。異常判定がされた場合には、ロボット、及び移動体のうちの少なくとも一方に、適切な指示が与えられ、ロボット及び移動体の安全性を確保することが好ましい。移動体の位置が、領域内でない場合には、異常判定がされず、この時点では、ロボットの作業用アームの動作、及び移動体の作業に制限は課せられない。
【0037】
上記のように、移動体の位置が、領域内でない場合には、ステップS6に進み、作業用アームの動作速度を再度検知する。即ち、作業用アームの動作速度は常時一定ではなく、ロボットの作業中に刻々と変化することがあるため、ステップS4にて、異常判定がされない場合には、再度、作業用アームの動作速度を検知する。次に、ステップS7において、作業用アームの動作速度に変化があるか否かを確認する。そして、作業用アームの動作速度に変化がある場合には、ステップS8に進み、作業用アームの動作速度に応じて、領域の範囲を変化させる。また、作業用アームの動作速度を継続的に検知し、リアルタイムの作業用アームの動作速度に応じて、領域の範囲を変化させてもよい。即ち、説明の便宜上、ステップS3の移動体の位置の検知、及び、ステップS4の移動体の位置が、領域内であるか否かの判定が終了した後に、ステップS6の作業用アームの動作速度を再度検知することについて説明したが、ステップS3の移動体の位置の検知、及び、ステップS4の移動体の位置が、領域内であるか否かの判定と並行して、作業用アームの動作速度を継続的に検知してもよい。そして、適宜、作業用アームの動作速度の変化に合わせて、領域の範囲を変化させてもよい。
【0038】
また、ステップS7にて、作業用アームの動作速度に変化がない場合には、ステップS3に戻り、移動体の位置を再度検知する。即ち、先に説明したステップS4にて異常判定がされなかった場合でも、移動体が更に移動し、その位置が変化することがある。このため、ステップS7において、動作速度の変化がない場合でも、移動体の位置を再度検知する。また、ステップS8にて、領域の範囲を変化させた場合も同様に、ステップS3に戻り、移動体の位置を再度検知する。そして、その検知結果に基づき、ステップS4において、移動体の位置が、領域内であるか否かの判定を再度行う。また、作業用アームの動作速度の検知と同様に、移動体の位置についても継続的に検知してもよい。即ち、リアルタイムの移動体の位置を把握し、リアルタイムの移動体の位置が、リアルタイムの作業用アームの動作速度に応じて変更された領域内であるか否かの判定を行ってもよい。
【0039】
例えば、従来のロボットシステムにおいては、ロボットに対する位置関係によって人の動作領域を画一的に設定しているため、作業用アームの動作速度に応じた危険性(リスク)が考慮されていなかった。これまでに説明したロボットシステムは、作業用アームの動作速度に応じて領域の範囲を変化させることができる。このため、例えば、移動体が同じ位置に常時存在していたとしても、作業用アームの動作速度に対して、十分な安全距離が確保されなくなった場合には、異常判定がされることがある。したがって、ロボットの作業に応じて、移動体が、最小の安全距離を確保することができ、ロボットが占有するスペースを縮小できる。また、ロボットの作業に応じて許容される最大速度で動作することで、タクトタイムが短縮でき、ロボットの生産性及び稼働率が向上する。
【0040】
[変形例1]
図5は、変形例1に係るロボットシステムの動作を説明するための模式図である。図5に示すように、ロボットシステム2aは、ロボット3と、動作速度検知手段5と、領域設定手段6と、移動体検知手段7aと、異常判定手段8と、動作制御手段11と、を備える。ロボットシステム2aにおいては、移動体検知手段7aが、ロボット3の周囲の天井に設置された移動体感知センサーである。この移動体感知センサーは、ロボット3からの距離が異なる位置に、所定間隔で複数個設置されている。このような複数個の移動体感知センサーによって、ロボット3以外の移動体9の位置を検知することができる。図5においては、移動体感知センサーが、ロボット3の周囲の天井に、等間隔で3個設置された場合の例を示す。移動体感知センサーとしては、外線、超音波、可視光などを利用した公知のセンサーを用いることができる。変形例1に係るロボットシステム2aのその他の構成については、実施の形態1に係るロボットシステムと同様であるので、説明を省略する。
【0041】
[変形例2]
図6は、変形例2に係るロボットシステムにおける、領域の範囲を変化させる手順、及び異常判定の手順を説明するフローチャートである。図6に示すように、変形例2に係るロボットシステムにおいては、まず、ステップS9において、作業用アームの動作速度を検知する。次に、ステップS10において、検知した作業用アームの動作速度に基づき、ロボットの周囲に領域を設定する。次に、ステップS11において、移動体の位置を検知する。次に、ステップS12において、移動体の位置が、領域内であるか否かの判定を行う。移動体の位置が領域内である場合には、ステップS16に進み、異常判定がされる。変形例2に係るロボットシステムにおいては、ステップS16において、異常判定がされた後、再度、ステップS17において、移動体の位置を検知し、ステップS18において、移動体の位置が、領域内であるか否かの判定を行う。そして、移動体の位置が領域内であることが検知された場合には、ステップS16に戻り、異常判定が維持される。また、移動体の位置が領域内ないことが検知された場合には、ステップS19に進み、異常判定を解除する。このように、ステップS16において異常判定がされた後も、移動体の位置を検知し、移動体の退避行動等により、領域内に移動体が確認されない場合には、移動体の安全性が確保されたものとし、異常判定を解除する。これにより、ロボットの生産性及び稼働率が向上する。「異常判定を解除する」とは、異常判定後の作業用アームの動作速度よりも高い動作速度で動作することをいう。異常判定を解除する際には、作業用アームが動作プログラムで示された設定速度で動作するよう再設定することが望ましい。また、ステップS12において、移動体の位置が、領域内でないと判定された場合には、実施の形態1に係るロボットシステムと同様の手順で、これ以降のステップが進行する。即ち、ステップS13において、作業用アームの動作速度を再度検知し、ステップS14において、作業用アームの動作速度に変化があるか否かの判定を行う。作業用アームの動作速度に変化がある場合には、ステップS15に進み、作業用アームの動作速度に応じて、領域の範囲を変化させる。そして、ステップS11に戻り、移動体の位置を再度検知する。また、ステップS14にて、作業用アームの動作速度に変化がない場合には、ステップS11に戻り、移動体の位置を再度検知する。
【0042】
[変形例3]
図7は、変形例3に係るロボットシステムにおける、領域の範囲を変化させる手順、及び異常判定の手順を説明するフローチャートである。図7においては、移動体の位置が、領域内であるか否かの判定が行われた後であって、異常判定ステップ(ステップS20)以降のフローチャートを示す。ステップS20までのフローチャートは、実施の形態1に係るロボットシステムの場合と同様であり、図7では記載を省略している。図7に示すように、変形例3に係るロボットシステムにおいては、ステップS20において異常判定がされた場合、作業用アームの動作停止、及び作業用アームの動作速度の低減のうち少なくともいずれか一の制御が実行される。即ち、ステップS20において異常判定がされた後、ステップS21において、作業用アームの動作停止、又は、ステップS22において、作業用アームの動作速度の低減の制御が実行される。変形例3に係るロボットシステムでは、ステップS21及びステップS22の後、再度、ステップS23において、作業用アームの動作速度を検知する。次に、ステップS24において、検知された作業用アームの動作速度に応じて、領域の範囲を変化させる。領域の範囲を変化させた後、ステップS25において、再度、移動体の位置を検知し、ステップS26において、移動体の位置が、領域内であるか否かの判定を行う。作業用アームの動作速度の低減などの制御により、変化後の領域の範囲は、異常判定がされた時点の範囲よりも狭くなっている。移動体の位置が、変化後の領域の範囲内にないことが検知された場合には、ステップS27に進み、異常判定を解除する。また、移動体の位置が、変化後の領域内であることが検知された場合には、ステップS20に戻り、異常判定が維持される。これにより、ロボットの生産性及び稼働率が向上する。特に、変形例3に係るロボットシステムにおいては、安全対策が過剰となり、ロボットの作業効率が低下することを防ぐことができる。
【0043】
[変形例4]
図8は、変形例4に係るロボットシステムにおける、領域の範囲を変化させる手順、及び異常判定の手順を説明するフローチャートである。変形例4に係るロボットシステムにおいては、移動体検知手段が、移動体の位置及び移動速度を検知するものである。即ち、まず、ステップS28において、作業用アームの動作速度を検知する。また、ステップS29において、移動体の移動速度を検知する。そして、ステップS30において、領域設定手段が、作業用アームの動作速度と移動体の移動速度とに基づく両者の相対速度に応じて、領域の範囲を設定する。次に、ステップS31において、移動体の位置を検知する。次に、ステップS32において、移動体の位置が、領域内であるか否かの判定を行う。移動体の位置が領域内であることが検知された場合には、ステップ33に進み、異常判定がされる。移動体の位置が、領域内であるか否かの判定、及び異常判定については、実施の形態1に係るロボットシステムと同様である。移動体の位置が、領域内でない場合には、ステップ34、35に進む。即ち、ステップ34において、作業用アームの動作速度を再度検知する。また、ステップ35において、移動体の移動速度を再度検知する。次に、ステップ36において、作業用アームの動作速度と移動体の移動速度とに基づく両者の相対速度に応じて、領域の範囲を再度設定する。即ち、このステップ36において、領域の範囲を変更する。その後、ステップ31に戻り、移動体の位置を再度検知し、以降は、変更した領域の範囲にて、ステップ32において、移動体の位置が、領域内であるか否かの判定を行う。このように、変形例4に係るロボットシステムでは、作業用アームの動作速度と移動体の移動速度とに基づく両者の相対速度に応じて、領域の範囲を設定するため、安全性をより高いレベルで実現することができる。移動体検知手段としては、移動体の位置及び移動速度を検知することができるものであれば、特に制限はない。例えば、移動体の位置の時間変化が速度となるため、継時的に移動体の位置を検知可能な移動体検知手段であれば、移動体の移動速度を検知することができる。
【0044】
[その他の変形例]
ロボットは、予め動作プログラミングされることにより複数種の作業内容を実行可能であり、動作プログラムは作業用アームの動作速度を規定する情報を含んでいてもよい。このような作業用アームの動作速度を規定する情報を含むことにより、柔軟性に富む作業用アームの動作を実現することができる。即ち、移動体の位置に応じて、作業用アームの動作速度を規定することが可能となり、安全性と作業性とをより高レベルで実現することができる。
【0045】
また、動作プログラムは作業用アームの動作速度を規定する情報を含んでおり、異常判定手段は、移動体の位置が領域内であることが検知された時にロボットが実行中の作業内容に応じて、異なる異常判定を行い、異常判定の種類により、異常判定後の処理が異なるようにしてもよい。例えば、ロボットが実行中の作業内容が、移動体に対する安全性が高いものである場合には、異常判定の際に作業用アームの動作を一部継続するものとし、ロボットが実行中の作業内容が、移動体に対する安全性が低いものである場合には、異常判定の際に作業用アームの動作を完全に停止するものとしてもよい。作業用アームの動作を一部継続するものとしては、警報の発信や、作業用アームの動作速度の低減などの制御を含む処理を挙げることができる。作業用アームの動作を完全に停止する非常停止などは、状態を復帰して、動作を再開するまでに時間を要することがある。このため、実行中の作業内容に応じて、異常判定後に、適宜、十分な安全性が確保可能な異なる処理を行うことで、安全性と作業性とをより高レベルで実現することができる。
【0046】
動作速度検知手段が、作業用アームの動作速度のXYZ座標系におけるX方向成分、Y方向成分、及び、Z方向成分のうち少なくともいずれか一の成分を検知するものであり、領域設定手段が、動作速度検知手段によって検知されたX方向成分、Y方向成分、及び、Z方向成分のうち少なくともいずれか一の成分に応じて領域の範囲を設定してもよい。作業用アームの動作による危険性は、動作速度の絶対値が同じであっても、動作の方向によって異なることがある。例えば作業用アームが移動体から遠ざかる方向に動作している場合は、作業用アームが移動体に向かって動作している場合に比べて、危険性は小さくなる。上記のように、作業用アームの動作速度を、XYZ座標系に成分分解し、領域の範囲を設定することにより、作業用アームの動作内容に応じた適切な安全対策を行うことができる。勿論、領域設定手段が、作業用アームの動作速度の絶対値に応じて領域の範囲を設定してもよい。作業用アームの動作速度の絶対値に応じて領域の範囲を設定することにより、領域の範囲の設定が簡便なものとなる。
【0047】
領域設定手段は、ロボットの周囲に複数の異なる領域を設定し、異常判定手段は、それぞれの領域ごとに異なる異常判定を行ってもよい。例えば、ロボットの周囲において、移動体の出入りが頻繁にある領域と、移動体の出入りがあまりない領域とで、異なる異常判定を行ってもよい。また、領域の境界からロボットまでの距離が相互に異なる複数の領域(例えば、複数の入れ子状の領域)を設定し、ロボットまでの距離が近づくにつれて、作業用アームの動作により厳しい制限が課せられるような異常判定を行ってもよい。これにより、ロボットの周囲の状況に適した安全対策を個別に行うことができる。
【0048】
[実施の形態2]
以下、実施の形態2に係るロボットシステムの制御方法について説明する。実施の形態2に係るロボットシステムの制御方法は、図1に示す実施の形態1に係るロボットシステム2を制御する方法である。ロボットシステムの制御方法は、動作速度検知ステップと、領域設定ステップと、移動体検知ステップと、異常判定ステップとを有する。動作速度検知ステップは、図1に示すような、動作可能な作業用アーム4を有するロボット3の作業用アーム4の動作速度を検知するステップである。領域設定ステップは、ロボット3の周囲に所定の範囲の領域10を設定するステップである。移動体検知ステップは、ロボット3以外の移動体9の位置を検知するステップである。異常判定ステップは、移動体9の位置が領域10内であることが検知された場合に異常判定するステップである。そして、領域設定ステップが、作業用アーム4の動作速度に応じて、領域10の範囲を変化させる。
【0049】
ここで、図4に示すフローチャートに基づいて、実施の形態2に係るロボットシステムの制御方法における制御の流れを、ステップ順に説明する。まず、ステップS1において、作業用アームの動作速度を検知する。次に、ステップS2において、ロボットの周囲に領域を設定する。次に、ステップS3において、ロボット以外の移動体の位置を検知する。次に、ステップS4において、移動体の位置が、領域内であるか否かの判定を行う。移動体の位置が領域内である場合には、ステップS5に進み、異常判定がされる。また、移動体の位置が、領域内でない場合には、ステップS6に進み、作業用アームの動作速度を再度検知する。次に、ステップS7において、作業用アームの動作速度に変化があるか否かの判定を行う。作業用アームの動作速度に変化がある場合には、ステップS8に進み、作業用アームの動作速度に応じて、領域の範囲を変化させる。また、作業用アームの動作速度の変化がない場合には、ステップS3に戻り、移動体の位置を再度検知する。また、ステップS8において、領域の範囲を変化させた場合も、ステップS3に戻り、移動体の位置を再度検知する。但し、ステップS8を経由した場合には、ステップS3の次に行われるステップS4において、ステップS8で変更された領域の範囲を元に、移動体の位置が、領域内であるか否かの判定を行う。このようなロボットシステムの制御方法によれば、安全性と作業性とを高レベルで実現することができる。また、ロボットの作業に応じて、移動体が、最小の安全距離を確保することができ、ロボットが占有するスペースを縮小できる。更に、ロボットの作業に応じて許容される最大速度で動作することで、タクトタイムが短縮でき、ロボットの生産性及び稼働率が向上する。
【0050】
また、ロボットシステムの制御方法は、変形例1から変形例4に係るロボットシステム、及びその他の変形例に係るロボットシステムにて説明したロボットシステムを制御する方法であってもよい。即ち、これまでに説明した各変形例のロボットシステムの構成に合わせて、動作速度検知ステップ、領域設定ステップ、移動体検知ステップ、及び異常判定ステップを適宜変形してもよい。
【0051】
以上、実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である
【符号の説明】
【0052】
2,2a:ロボットシステム
3:ロボット
4:作業用アーム
5:動作速度検知手段
6:領域設定手段
7,7a:移動体検知手段
8:異常判定手段
9:移動体
10,10a,10b:領域
11:動作制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8