【実施例】
【0014】
図1〜
図6に、実施例の天井走行車システム2を示し、天井走行車システムに代えて、地上走行の有軌道台車システム、あるいは無人搬送車システムなどでもよい。各図において、4はインターベイルートで、複数のイントラベイルート6,6間を接続し、イントラベイルート6に沿って、
図2に示す処理装置24が複数設けられている。8は天井走行車で、
図2の走行レール20に沿って天井空間を走行し、10は走行経路に沿って設けた充電カプラで、例えばロードポートとその前後の少なくとも一方、物品の仮置き用のバッファに面した位置とその前後の少なくとも一方、及び天井走行車8の待機位置などに設けられている。12はインターベイルート4に設けたショートカットルートで、設けなくても良い。
【0015】
図2に、ロードポート26の直上で充電カプラ10から充電を受けている天井走行車8を示す。20は走行レールで、支柱22によりクリーンルームなどの天井から吊り下げられ、24は半導体処理装置などの処理装置で、フラットパネルディスプレイの処理装置などでも良く、地上側に設けられ、1個〜複数個のロードポート26を備えている。28は充電装置本体で、
図3の整流器36と蓄電器38とから成り、蓄電器38はリチウムイオン電池などの2次電池でも、電気二重層キャパシタなどでもよい。充電装置本体28から直流配線30が走行レール20へ向けて設置され、走行レール20に沿って直流配線31が設けられて、複数個の充電カプラ10へ直流電力を供給する。複数個の充電カプラ10は直流配線30に対して並列に接続され、アース線は例えば走行レール20が兼ねる。そして複数個の充電カプラ10のうち少なくとも1個がロードポート26の直上部に設けられ、天井走行車8が停止し、ロードポート26との間で物品39を移載することと同時に、充電を受ける。充電カプラ10は天井走行車8の車体長程度の間隔を置いて複数個配置されているので、複数台の天井走行車8が近接した充電カプラで同時に充電を受けることができる。例えば1台の天井走行車8に充電する際に、その前後少なくとも一方を走行する他の天井走行車8も同時に充電するように制御すると、天井走行車8が充電のため停止して走行経路を塞ぐ回数を減らすことができる。
【0016】
充電カプラ10は前記のようにロードポート26の直上部などに設けるが、これ以外に図示しないバッファの上部とその前後及び待機位置などに設けても良い。1個の充電装置本体28に接続された複数個の充電カプラ10を充電カプラ群と呼ぶと、例えばイントラベイルート6当たりに2〜数個程度の充電カプラ群を設け、インターベイルート4当たり数個の充電カプラ群を設ける。このようにして例えば数10m〜100m程度走行すると、天井走行車8が最寄りの充電カプラ10に到着できるようにする。
【0017】
図3に充電装置とその周辺とを示す。32は交流電源で、処理装置の電源を共用し、34は交流配線で、整流器36により交流を直流に変換し、蓄電器38に蓄電して、充電カプラ10へ直流電力を供給する。このようにすると、処理装置の交流電源を利用でき、整流器36と蓄電器38を地上側に設置するので、走行レール等で天井空間に支持する必要がない。
【0018】
図4に天井走行車8の構成を示し、41は走行部で、走行モータと走行車輪などから成り、42は移載部で、昇降台の昇降機構と昇降機構を走行方向に対し側方に移動させる横送り部などから成る。位置センサ43は天井走行車8の位置を測定し、通信部44は処理装置24側の通信部51と通信し、物品を移載するための信号と充電を受けるための信号とを交換する。機上コントローラ40は地上側コントローラ52と通信し、天井走行車8の現在位置と速度、状態並びに2次電池46とキャパシタ47の残容量などを報告し、地上側コントローラ52から走行などに関する指令を受ける。
【0019】
インバータ45は2次電池46とキャパシタ47の出力を交流に変換して、走行部41の走行モータと移載部42のモータへ供給し、2次電池46とキャパシタ47は搬送車側カプラ48を介し、充電装置側のカプラ10から直流電力を受け取る。なお天井走行車8の加速時及び昇降台の上昇時にはキャパシタ47と2次電池46の双方から電力を供給し、定速走行時などの消費電力の小さい時期には2次電池46のみから電力を供給する。また天井走行車8の減速と昇降台の下降などにより再生されるエネルギーは、キャパシタ47,2次電池46に充電する。そして天井走行車8の走行開始から移載の完了までの1サイクル毎にキャパシタ47の残容量が所定の値に戻るようにし、1サイクルでの正味の消費電力を2次電池46から賄う。キャパシタ47を設けると、2次電池46から放電させるピーク電流を小さくし、2次電池46からの放電電流を平準化できるので、小容量の2次電池46を用い、あるいは2次電池46の寿命を長くできる。なおキャパシタ47は設けなくても良く、また2次電池46を設けずキャパシタ47のみとしてもよい。
【0020】
図5に地上側コントローラ52の構成を示す。53は通信部で、天井走行車と通信し、通信部54は生産管理システム55と通信して、搬送に関する要求を受け付け、搬送結果を報告する。搬送指令管理部56は、生産管理システム55の要求に応じて搬送指令を作成し、その実行状況を管理する。配車管理部57は、各イントラベイルートに所定の台数の空きの台車が存在するように、空き台車を配車する。充電管理部58は、各天井走行車の2次電池とキャパシタの残容量を管理し、残容量が所定値以下に低下すると、充電カプラの位置を指定して、充電を受けるように指令する。キャパシタの残容量は加速開始時以外は少ないので、2次電池の残容量のみを管理しても良い。充電を受ける位置は、天井走行車が搬送指令も配車指令も割り付けられていない場合、任意の位置の充電カプラで充電を受けることができる。搬送指令あるいは配車指令を割り付けられている場合、指定された走行経路内で充電カプラの位置を決定する。なお充電カプラの位置を指定するためには、走行経路に沿った座標あるいは充電カプラのIDなどを指定すると良い。さらに充電を受けるための2次電池等の残容量への閾値は、例えば搬送指令を実行中には低くそれ以外の場合には高くし、搬送指令を実行する前に充電を受けられるようにする。
【0021】
走行指令作成部59は、搬送指令、配車指令、充電指令などを天井走行車が実行できるように、走行に関する指令を作成する。この指令は、例えば現在から所定時間後の目標位置と目標速度で、例えば所定時間毎に作成する。搬送指令ファイル60は搬送指令とその実行結果とを記憶し、台車状態ファイル61は台車の位置と速度並びに状態と2次電池及びキャパシタの残容量などを記憶する。
【0022】
図6に充電のアルゴリズムを示す。充電管理部は充電が必要な搬送車を検出し、搬送車の走行経路と現在位置並びに2次電池の残容量などに合わせて、充電位置として個々の充電カプラを選択して指定する。充電が必要な搬送車を搬送車Aと呼ぶ。天井走行車が充電を受けると、その間走行経路が塞がれる。そこで充電する天井走行車の前後の天井走行車で、充電が可能なものをサーチする。充電が可能とは、2次電池などが満充電ではなく、かつ優先度の高い搬送指令を実行していないという意味である。そして充電が必要な天井走行車Aと前後の充電が可能な天井走行車とを、近接した充電カプラに対して停止させ、同時に充電する。
【0023】
地上側コントローラの充電管理部は、搬送車Aへの充電量、即ち満充電を100%として何%まで充電するかを、生産管理システムから地上側コントローラへの搬送要求の発生状況、及び充電を行う充電カプラを経由する走行指令の発生状況の双方に応じて決定する。搬送要求の発生状況及び走行指令の発生状況の双方を用いる必要はなく、これらの一方のみに基づいて充電量を決定しても良い。搬送要求が多数発生し、該当する充電カプラを経由する走行指令が多いほど充電量を増し、これらが少ないほど充電量を小さくする。搬送要求の発生頻度が低くかつ該当する充電カプラを経由する走行指令が少ない場合、満充電するように決定しても良い。
【0024】
搬送要求の発生状況は、時間当たりの搬送要求の発生回数の移動平均値、あるいは移動平均値に基づく今後の発生回数の予測値等で定めることができる。搬送要求の発生回数が周期的に変化する傾向がある等の規則性がある場合は、これらの規則性に基づいて定めた予測値を用いても良い。また搬送要求の発生回数として、地上側コントローラが搬送指令を時間当たりに割り付けた回数の移動平均値値、あるいはその予測値等を用いても良い。搬送要求の発生状況は搬送システム全体としての搬送負荷の高低を表し、搬送要求の発生状況の基礎となる搬送要求の発生回数は、例えば荷積み位置と荷下ろし位置等を無視した搬送システム全体での搬送要求の発生回数を用いる。
【0025】
充電を行う充電カプラを通過する走行指令の発生状況は、充電のために走行経路を塞ぐことが他の搬送車を待たせる程度を表す。走行指令とは搬送車への指令で走行を含むもののことであり、搬送指令の他に配車の指令、充電指令、走行経路を空けるための追い出しの指令等を含むが、これらの内で搬送指令のみを考慮しても良い。
【0026】
搬送システム全体での搬送指令の発生回数をα、充電を行う充電カプラを通過する走行指令の発生回数をβとすると、 x=aα+bβ (a,bは正の定数) を充電管理部は求め、xの値が大きいと1回当たりの充電量を小さくし、小さいと1回当たりの充電量を大きくする。搬送システム全体での搬送要求の発生回数αでは、今後発生する搬送要求を速やかに実行できるようにするため、予測値が重要である。充電を行う充電カプラを通過する搬送要求の発生回数βは、他の搬送車の走行を妨げないようにするため、予測値よりも現在の値が重要である。
【0027】
残容量が最も低い搬送車Aが所定の容量まで充電すると、地上側コントローラの充電管理部は近接した充電カプラで充電中の各搬送台車に対し、充電の中止を指令する。複数台の天井走行車が一斉に停止して充電すると、走行経路を塞ぐ時間を短くできる。また充電は蓄電器38の電力により行うので、複数台の天井走行車に対し同時に充電できる。充電カプラはロードポートの直上部などに設けられているので、充電カプラを設けたロードポートに対し天井走行車が物品を移載する場合、満充電でない限り充電を行う。この時も近接した充電カプラに他の天井走行車を停止させて充電する。
【0028】
実施例では以下の効果が得られる。
(1) 蓄電器38から天井走行車8側へ充電するので、大電流で短時間に充電できる。充電のための停止時間は充電電流にほぼ反比例するので、大電流で充電すると天井走行車8の稼働率が向上する。
(2) 蓄電器38への電源には処理装置用の交流電源32を利用できるので、配線が容易である。蓄電器38から天井走行車8へ短時間で充電し、常時は交流電源32から蓄電器38へ充電することにより、充電に必要な地上側配線の容量を小さくできる。
(3) 1台の蓄電器38に複数個の充電カプラ10を並列に接続するので、複数台の天井走行車に一斉に充電できる。このため走行経路を充電のため塞ぐ時間が短い。
(4) 蓄電器38と整流器36とを地上側に配置するので、これらの部材を天井空間に支持する必要がない。
(5) イントラベイルート6毎に2〜数個の充電カプラ群を設け、インターベイルート4にも数個の充電カプラ群を設けると、例えば100m以下の走行で天井走行車は充電を受けることができる。そして充電管理部58で天井走行車の位置と2次電池などの残容量を監視するので、電池切れを起こす天井走行車が生じない。
(6) ロードポート26の直上部に充電カプラ10を設けるので、物品の移載のための停止時間を充電に利用できる。
(7) これらのため全体として、天井走行車が充電のためのみに停止する時間を短くし、天井走行車の稼働率を高くすることができる。
(8) 搬送要求の発生状況と該当する充電カプラを経由する走行指令の発生状況とに応じて、どの残容量まで充電するかを決定する。このため、搬送要求の発生頻度が高いときは1回の充電量を少なくして搬送車の稼働率を高め、充電カプラを経由する走行指令の数が多いときも、1回の充電量を少なくして他の搬送車の走行を妨げないようにできる。そして搬送要求の発生頻度が低いときと充電カプラを経由する走行指令の数が少ないときに、1回の充電量を多くすることにより、他の搬送車の走行を妨げないようにしながら次の繁忙期に備えて充電できる。