(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、上記従来のプラネタリキャリヤの製造に際しては、一方側部材を中央部材に対して上記軸方向一方側から組み付けると共に、上記軸方向他方側から基板部に溶接した上で、他方側部材を中央部材に対して上記軸方向他方側から組み付けると共に、上記軸方向一方側から一方側部材とは径方向において異なる位置で基板部に溶接しなければならない。このため、上記従来のプラネタリキャリヤでは、部材の組み付けや溶接に手間を要すると共に溶接工程数が増加してしまい、製造コストが嵩んでしまう。
【0005】
そこで、本発明は、プラネタリキャリヤを容易に製造可能としつつ製造コストを低下させることを主目的とする。
【0006】
本発明によるプラネタリキャリヤは、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
【0007】
本発明によるプラネタリキャリヤは、
複数のピニオンギヤを回転自在に支持するプラネタリキャリヤにおいて、
それぞれ前記ピニオンギヤに挿通される複数のピニオンシャフトの一端を支持する第1シャフト支持部と、該第1シャフト支持部から延出された複数の第1脚部とを有する第1キャリヤ部材と、
前記複数のピニオンシャフトの他端を支持する第2シャフト支持部と、該第2シャフト支持部から延出された複数の第2脚部とを有する第2キャリヤ部材と、
前記第1キャリヤ部材の前記複数の第1脚部と前記第2キャリヤ部材の前記複数の第2脚部とをそれぞれ当接させる一端面と、前記複数の第1脚部および前記複数の第2脚部が周方向における異なる位置で溶接される溶接部とを有する環状部材と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
このプラネタリキャリヤの製造に際して、第1キャリヤ部材の複数の第1脚部と第2キャリヤ部材の複数の第2脚部とは、それぞれ環状部材の一端面に当接させられると共に、環状部材の溶接部に周方向における異なる位置で溶接される。これにより、環状部材の軸心周りの円周に沿った溶接を行うことで第1および第2脚部すなわち第1および第2キャリヤ部材の双方を容易に環状部材に固定することができる。従って、本発明によれば、プラネタリキャリヤを容易に製造可能としつつ溶接工程数を減らして製造コストを低下させることが可能となる。なお、環状部材の溶接部は、上記一端面であってもよく、当該一端面以外の環状部材の部分であってもよい。
【0009】
また、前記複数の第1脚部および前記複数の第2脚部は、前記環状部材の前記一端面と周方向における異なる位置で当接してもよい。
【0010】
更に、前記環状部材には、軸方向に突出して前記一端面を囲む環状突出部が形成されてもよく、前記溶接部は、前記環状突出部の内周面であってもよい。これにより、環状突出部により第1および第2キャリヤ部材を環状部材に対して調心することができるので、プラネタリキャリヤの組み付け精度を向上させることが可能となる。加えて、環状突出部の内周面を溶接部とすることで、一方向からの溶接により第1および第2キャリヤ部材の双方を容易に環状部材に固定することができる。
【0011】
また、前記第1および第2脚部の遊端部の先端は、円弧状に形成されてもよい。これにより、環状突出部による第1および第2キャリヤ部材の調心精度を向上させると共に、環状突出部の内周面に沿った溶接を行うことで第1および第2脚部を環状部材に対してより強固に溶接することが可能となる。
【0012】
更に、前記複数の第1脚部の遊端部が前記環状部材の前記一端面と当接すると共に前記第1キャリヤ部材の少なくとも一部は該環状部材の内周側に配置されてもよく、前記第2キャリヤ部材は、前記複数の第2脚部が前記環状部材の前記一端面と当接すると共に前記第2シャフト支持部が前記第1キャリヤ部材の前記第1シャフト支持部と対向するように配置されてもよい。これにより、第1キャリヤ部材を環状部材に対して一方側から近づけて第1脚部を一端面に当接させると共に、第2キャリヤ部材を環状部材に対して当該一方側から近づけて第2脚部を一端面に当接させることができるので、第1および第2キャリヤ部材を環状部材に対して容易に組み付けることが可能となる。
【0013】
また、前記第1脚部は、前記第1シャフト支持部から軸方向に延出された基部と、該基部から径方向かつ外方に延出された遊端部とを含むものであってもよい。これにより、複数の第1脚部の遊端部が環状部材の一端面と当接するように少なくとも一部が環状部材内に配置される第1キャリヤ部材を容易に構成することが可能となる。
【0014】
更に、前記第1脚部の前記基部は、直線状の曲げ加工部を介して前記第1シャフト支持部から延出されてもよい。これにより、第1脚部の基部を曲線状(円弧状)の曲げ加工部を介して第1シャフト支持部から延出する場合に比べて応力集中を抑制し、第1脚部の強度を向上させることが可能となる。
【0015】
また、前記プラネタリキャリヤは、前記ピニオンギヤよりも短尺の複数の第2ピニオンギヤと、それぞれ前記第2ピニオンギヤに挿通される複数の第2ピニオンシャフトと、前記第1キャリヤ部材と第2キャリヤ部材とにより支持される前記ピニオンシャフトが挿通される第1ピニオンシャフト挿通部および前記環状部材の前記一端面に当接させられる当接部を有し、前記第1および第2キャリヤ部材の少なくとも何れか一方と共に前記第2ピニオンシャフトを支持するセンタープレートとを更に備えてもよく、前記当接部は、前記複数の第1脚部および前記複数の第2脚部とは周方向における異なる位置で前記溶接部に溶接されてもよい。
【0016】
このプラネタリキャリヤは、長短2種類のピニオンギヤを有するダブルピニオン式あるいはラビニヨ式の遊星歯車機構に適用されるものであり、環状部材の一端面に当接させられると共に当該環状部材に溶接される複数の当接部を有し、第2ピニオンシャフトを支持するセンタープレートを備える。このプラネタリキャリヤの製造に際しては、第1キャリヤ部材の複数の第1脚部と、第2キャリヤ部材の複数の第2脚部と、センタープレートの複数の当接部とが周方向における異なる位置で環状部材の一端面に当接させられると共に、第1および第2脚部ならびにセンタープレートの当接部が環状部材に溶接される。このように、第1および第2脚部の双方とセンタープレートの複数の当接部とを環状部材の一端面すなわち同一の端面に当接させると共に、当該環状部材の一端面に沿った溶接を行えば、第1および第2キャリヤ部材の双方とセンタープレートとを環状部材に容易に環状部材に固定すると共に、第1シャフト支持部、第2シャフト支持部およびセンタープレートのすべてを精度よく平行に配置することが可能となる。これにより、ダブルピニオン式あるいはラビニヨ式の遊星歯車機構に適用されるプラネタリキャリヤを容易かつ精度よく製造可能としつつ溶接工程数を減らして製造コストを低下させることが可能となる。
【0017】
更に、前記複数の第2ピニオンシャフトの両端は、前記第1および第2キャリヤ部材により支持されてもよい。これにより、第2ピニオンシャフトを第1および第2キャリヤ部材ならびにセンタープレートによって強固に支持することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例に係るプラネタリキャリヤ40を有するラビニヨ式遊星歯車機構35を含む自動変速機25を備えた動力伝達装置20の概略構成図である。同図に示す動力伝達装置20は、車両に搭載される図示しないエンジンのクランクシャフトに接続されると共にエンジンからの動力を左右の駆動輪(図示省略)に伝達するものであり、トランスミッションケース22や、当該トランスミッションケース22の内部に収容されるトルクコンバータ23、オイルポンプ24、自動変速機25、差動機構(デファレンシャルギヤ)29等を含む。
【0021】
トルクコンバータ23は、エンジンのクランクシャフトに接続される入力側のポンプインペラ23aと、自動変速機25の入力軸(入力部材)26に接続された出力側のタービンランナ23bと、ロックアップクラッチ23cとを含むものである。オイルポンプ24は、ポンプボディとポンプカバーとからなるポンプアッセンブリと、ハブを介してトルクコンバータ23のポンプインペラ23aに接続された外歯ギヤとを備えるギヤポンプとして構成されている。オイルポンプ24は、エンジンからの動力により駆動され、オイルパン(図示省略)に貯留されている作動油(ATF)を吸引して図示しない油圧制御装置へと圧送する。
【0022】
自動変速機25は、6段変速式の変速機として構成されており、
図1および
図2に示すように、シングルピニオン式遊星歯車機構30と、ラビニヨ式遊星歯車機構35と、入力側から出力側までの動力伝達経路を変更するための3つのクラッチC1,C2およびC3、2つのブレーキB1およびB2並びにワンウェイクラッチF1とを含む。シングルピニオン式遊星歯車機構30は、トランスミッションケース22に固定された外歯歯車であるサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置されると共に入力軸26に接続された内歯歯車であるリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するプラネタリキャリヤ34とを有する。
【0023】
ラビニヨ式遊星歯車機構35は、外歯歯車である2つのサンギヤ36a,36bと、自動変速機25の出力軸(出力部材)27に固定された内歯歯車であるリングギヤ37と、サンギヤ36aに噛合する複数のショートピニオンギヤ38aと、サンギヤ36bおよび複数のショートピニオンギヤ38aに噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のロングピニオンギヤ38bと、複数のショートピニオンギヤ38aおよび複数のロングピニオンギヤ38bを自転自在(回転自在)かつ公転自在に保持すると共にワンウェイクラッチF1を介してトランスミッションケース22に支持されたプラネタリキャリヤ40とを有する。また、自動変速機25の出力軸27は、ギヤ機構28および差動機構29を介して駆動輪DWに接続される。
【0024】
クラッチC1は、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、シングルピニオン式遊星歯車機構30のプラネタリキャリヤ34とラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36aとを締結すると共に当該締結を解除することができる油圧クラッチ(摩擦係合要素)である。クラッチC2は、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、入力軸26とラビニヨ式遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ40とを締結すると共に当該締結を解除することができる油圧クラッチである。クラッチC3は、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、シングルピニオン式遊星歯車機構30のプラネタリキャリヤ34とラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36bとを締結すると共に当該締結を解除することができる油圧クラッチである。
【0025】
ブレーキB1は、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、ラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36bをトランスミッションケース22に固定すると共にサンギヤ36bのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧ブレーキである。ブレーキB2は、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、ラビニヨ式遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ40をトランスミッションケース22に固定すると共にプラネタリキャリヤ40のトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧ブレーキである。これらのクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2は、油圧制御装置による作動油の給排を受けて動作する。
図3に、自動変速機25の各変速段とクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2の作動状態との関係を表した作動表を示す。自動変速機25は、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2を
図3の作動表に示す状態とすることで前進1〜6速の変速段と後進1段の変速段とを提供する。
【0026】
図4は、自動変速機25に含まれるラビニヨ式遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ40を示す斜視図であり、
図5は、プラネタリキャリヤ40の分解斜視図である。また、
図6は、プラネタリキャリヤ40を示す正面図であり、
図7は、プラネタリキャリヤ40を示す背面図である。これらの図面に示すように、複数のショートピニオンギヤ38aと複数のロングピニオンギヤ38bとをそれぞれ回転自在に支持するプラネタリキャリヤ40は、第1キャリヤ部材410と、第2キャリヤ部材420と、センタープレート430と、環状部材440とを含む。
【0027】
第1キャリヤ部材410は、実施例では金属により形成され、
図5や
図8等に示すように、それぞれショートピニオンギヤ38aに挿通される複数(実施例では3個)のショートピニオンシャフト(第2ピニオンシャフト)39a(
図4、
図6および
図7参照)の一端と、それぞれロングピニオンギヤ38bに挿通される複数(実施例では3個)のロングピニオンシャフト(第1ピニオンシャフト)39b(
図4、
図6および
図7参照)の一端とを支持する平板状の第1シャフト支持部411と、当該第1シャフト支持部411から周方向に間隔をおいて延出された複数(実施例では120°間隔で3個)の第1脚部415とを有する。
【0028】
図8等に示すように、第1シャフト支持部411の中央には、自動変速機25の入力軸26やサンギヤ36a,36bが挿通される中心孔(円孔)412が形成されており、中心孔412の周囲には、ショートピニオンシャフト39aが挿入されるシャフト孔413aとロングピニオンシャフト39bが挿入されるシャフト孔413bとが交互にそれぞれ複数(実施例では120°間隔で3個ずつ)形成されている。また、各第1脚部415は、
図5等に示すように、第1シャフト支持部411の外周から直線状の曲げ加工部414を介して第1キャリヤ部材410(中心孔412)の軸方向、すなわち入力軸26やピニオンシャフト39a,39bの軸方向に延出された基部416と、当該基部416から入力軸26やピニオンシャフト39a,39bの径方向かつ外方に延出された遊端部417とを含む。更に、各第1脚部415の遊端部417の先端(外周)は、
図4および
図6等に示すように、予め定められた曲率半径を有する円弧状に形成される。
【0029】
第2キャリヤ部材420は、実施例では金属により形成され、
図5および
図9等に示すように、複数のショートピニオンシャフト39aの他端と、複数のロングピニオンシャフト39bの他端とを支持する第2シャフト支持部421と、当該第2シャフト支持部421から周方向に間隔をおいて延出された複数(実施例では120°間隔で3個)の第2脚部425とを有する。第2シャフト支持部421は、低背の有底筒状に形成されており、
図9等に示すように、平板状のベース部421aと、当該ベース部の外周から延出された円筒状の筒状部421bとを含む。
【0030】
第2シャフト支持部421のベース部421aの中央には、
図9等に示すように、自動変速機25の入力軸26が挿通される中心孔(円孔)422が形成されており、中心孔422の周囲には、ショートピニオンシャフト39aが挿入されるシャフト孔423aとロングピニオンシャフト39bが挿入されるシャフト孔423bとが交互にそれぞれ複数(実施例では120°間隔で3個ずつ)形成されている。また、第2シャフト支持部421は、クラッチC2のクラッチハブとしても機能し、筒状部421bの外周には、クラッチC2を構成する摩擦板FP(
図2参照)が嵌合されるスプライン421sが形成されている。更に、各第2脚部425は、
図5等に示すように、第2シャフト支持部421の外周すなわち筒状部421bから第2キャリヤ部材420(中心孔422)の軸方向に延出された基部426と、当該基部426から径方向かつ外方に延出された遊端部427とを含む。各第2脚部425の遊端部427の外周は、
図4および
図6等に示すように、各第1脚部415の遊端部417の先端(外周)と同一の曲率半径を有する円弧状に形成される。
【0031】
センタープレート430は、実施例では金属板をプレス加工することにより形成される。
図5および
図10等に示すように、センタープレート430は、自動変速機25の入力軸26やサンギヤ36aが挿通される中心孔432と、中心孔432と連続すると共にそれぞれロングピニオンギヤ38bが挿通される切欠状の複数(実施例では120°間隔で3個)のロングピニオンギヤ挿通部(第1ピニオンシャフト挿通部)432bと、それぞれショートピニオンシャフト39aが挿通されるシャフト孔(第2ピニオンシャフト挿通部)433aとを有する。なお、ロングピニオンギヤ挿通部432bは、貫通孔であってもよく、シャフト孔433bの代わりに、センタープレート430に第2ピニオンシャフト挿通部としての切欠を形成してもよい。
【0032】
また、センタープレート430は、周方向に間隔をおいて形成された複数(実施例では120°間隔で3個)の当接部435と、互いに隣り合う当接部435間に形成された複数(実施例では120°間隔で3個)の切り欠き部436とを有する。実施例において、各切り欠き部436の幅は、互いに隣り合う当接部435同士の間に、第1キャリヤ部材410の第1脚部415の遊端部417と第2キャリヤ部材420の第2脚部425の遊端部427とが各1体ずつ好ましくはできるだけ隙間無く収まるように定められる。そして、各当接部435の外周は、
図4および
図6等に示すように、各第1脚部415の遊端部417や各第2脚部425の遊端部427の外周と同一の曲率半径を有する円弧状に形成される。
【0033】
環状部材440は、実施例では鍛造加工により形成され、自動変速機25のワンウェイクラッチF1のインナーレースおよび自動変速機25のブレーキB1のブレーキハブの双方として機能するように構成されている。すなわち、環状部材440は、円筒状のインナーレース部441を一端側に有すると共に、外周にスプラインが形成されたブレーキハブ部442を他端側に有し、ブレーキハブ部442には、ブレーキB1を構成する摩擦板FP(
図2参照)が嵌合される。また、環状部材440のブレーキハブ部442側の端部には、円環状の当接端面(一端面)445と、軸方向に突出して当接端面445を囲む環状突出部446が形成されている。そして、環状突出部446の内周面の曲率半径は、
図4および
図6等に示すように、各第1脚部415の遊端部417、各第2脚部425の遊端部427、およびセンタープレート430の各当接部435の外周の曲率半径よりも僅かに大きく(略同一に)定められる。
【0034】
次に、
図12および
図13を参照しながら、上述のプラネタリキャリヤ40の製造手順について説明する。
【0035】
プラネタリキャリヤ40の製造に際しては、上述の構成を有する第1キャリヤ部材410、第2キャリヤ部材420、センタープレート430および環状部材440を用意する。そして、
図12に示すように、ブレーキハブ部442側の開口から環状部材440の内部に第1キャリヤ部材410の第1シャフト支持部411や各第1脚部415の基部416を挿入すると共に、各第1脚部415の遊端部417を環状部材440の当接端面445に当接させる。この際、環状部材440の当接端面445の外周には、各第1脚部415の遊端部417の先端(外周)と略同一の曲率半径を有する内周面をもった環状突出部446が形成されていることから、第1キャリヤ部材410の各第1脚部415の遊端部417を当接端面445と当接するように環状突出部446内に配置するだけで、第1キャリヤ部材410を環状部材440に対して容易かつ精度よく調心することができる。
【0036】
次いで、各当接部435が各第1脚部415の遊端部417とは周方向における異なる位置で環状部材440の当接端面445と当接するようにセンタープレート430を環状突出部446内に配置する。この際も、センタープレート430の各当接部435の外周が環状突出部446の内周面と略同一の曲率半径を有していることから、センタープレート430を上述のように環状突出部446内に配置するだけで、当該センタープレート430を環状部材440や第1キャリヤ部材410に対して容易かつ精度よく調心することができる。更に、第2キャリヤ部材420の各第2脚部425の遊端部427を第1脚部415とセンタープレート430の当接部435との間で環状部材440の当接端面445と当接するように環状突出部446内に配置する。この際も、各第2脚部425の遊端部427の外周が環状突出部446の内周面と略同一の曲率半径を有していることから、第2脚部425の遊端部427を上述のように環状突出部446内に配置するだけで、第2キャリヤ部材420を環状部材440、第1キャリヤ部材410およびセンタープレート430に対して容易かつ精度よく調心することができる。
【0037】
こうして、
図13に示すように、第1キャリヤ部材410、センタープレート430および第2キャリヤ部材420を環状部材440に組み付けたならば、環状突出部446の内周面(
図13における白抜矢印参照)に沿った溶接(例えば、電子ビーム溶接)を行って各第1脚部415、各第2脚部425、および各当接部435を環状部材440(環状突出部446の内周面)に固定する。これにより、一方向すなわち第2キャリヤ部材420側から(
図13中左側から)の環状部材440等の軸心周りの円周に沿った溶接を実質的に1回行うことで、第1キャリヤ部材410、センタープレート430および第2キャリヤ部材420を環状部材440に一括して溶接し、プラネタリキャリヤ40を完成させることができる。また、各第1脚部415の遊端部417、各第2脚部425の遊端部427,および各当接部435の先端(外周)が円弧状に形成されていることから、環状突出部446の内周面に沿った溶接を行うことで第1および第2脚部415,425ならびに当接部435を環状部材440に対してより強固に溶接することが可能となる。
【0038】
また、上記特許文献1に記載されたプラネタリギヤでは、第2キャリヤプレートの周縁部の端部をセンタープレートの長孔部に挿入すると共に溶接によりセンタープレートに直接固定しているが、このような手法を採用した場合、溶接によって溶融した部材が冷却されて固化した際にセンタープレートが歪んでしまい、センタープレートと第2キャリヤプレートの底板部とを平行に保つことが困難となる。これに対して、第1および第2脚部415,425の双方とセンタープレート430の複数の当接部435とを環状部材440の当接端面445すなわち同一の端面に当接させると共に、当接端面445すなわち環状部材440等の軸心周りの円周に沿った溶接を行えば、第1シャフト支持部411、第2シャフト支持部412およびセンタープレート430のすべてを精度よく平行に配置することが可能となる。
【0039】
上述のようして製造されたプラネタリキャリヤ40の内部には、第1キャリヤ部材410の第1シャフト支持部411に形成された中心孔412あるいは第2キャリヤ部材420の第2シャフト支持部421に形成された中心孔422を介して、ショートピニオンギヤ38aおよびロングピニオンギヤ38bが配置される。また、各ショートピニオンギヤ38aおよび第1シャフト支持部411の各シャフト孔413a、センタープレート430の各シャフト孔433a、および第2シャフト支持部421の各シャフト孔423aには、ショートピニオンシャフト39aが挿通され、各ショートピニオンシャフト39aの両端を例えばカシメることにより、各ショートピニオンギヤ38aがプラネタリキャリヤ40により回転自在に支持される。更に、各ロングピニオンギヤ38bおよび第1シャフト支持部411の各シャフト孔413b、および第2シャフト支持部421の各シャフト孔423bには、ロングピニオンシャフト39bが挿通され、各ロングピニオンシャフト39bの両端を例えばカシメることにより、各ロングピニオンギヤ38bがプラネタリキャリヤ40により回転自在に支持される。
【0040】
ここで、実施例のプラネタリキャリヤ40では、
図2および
図4に示すように、ショートピニオンギヤ38aに挿通されるショートピニオンシャフト39aとして、ロングピニオンギヤ38bに挿通されるロングピニオンシャフト39bと同程度の軸長を有するものが用いられる。そして、各ショートピニオンシャフト39aの両端は、第1および第2キャリヤ部材410,420により支持され、各ショートピニオンシャフト39aの軸方向における中央部付近(一端側)は、センタープレート430により支持される。これにより、各ショートピニオンシャフト39aの両端をセンタープレート430および第2キャリヤ部材420により支持する場合に比べて、各ショートピニオンシャフト39aを第1および第2キャリヤ部材410,420ならびにセンタープレート430によって強固に支持することが可能となる。
【0041】
以上説明したように、自動変速機25のラビニヨ式遊星歯車機構35を構成するプラネタリキャリヤ40は、複数のショートピニオンギヤ38aと、当該ショートピニオンギヤ38aよりも長尺の複数のロングピニオンギヤ38bとを回転自在に支持するものであり、第1キャリヤ部材410、第2キャリヤ部材420、センタープレート430および環状部材440を備える。第1キャリヤ部材410は、それぞれショートピニオンギヤ38aに挿通される複数のショートピニオンシャフト39aの一端と、それぞれロングピニオンギヤ38bに挿通される複数のロングピニオンシャフト39bの一端とを支持する第1シャフト支持部411と、当該第1シャフト支持部411から周方向に間隔をおいて延出された複数の第1脚部415とを有する。また、第2キャリヤ部材420は、複数のショートピニオンシャフト39aの他端と、複数のロングピニオンシャフト39bの他端とを支持する第2シャフト支持部421と、当該第2シャフト支持部421から周方向に間隔をおいて延出された複数の第2脚部425とを有する。更に、センタープレート430は、周方向に間隔をおいて形成された複数の当接部435を有すると共に複数のショートピニオンシャフト39aの中央部付近(一端側)を支持し、環状部材440は、第1キャリヤ部材410の複数の第1脚部415、第2キャリヤ部材420の複数の第2脚部425、およびセンタープレート430の複数の当接部435をそれぞれ当接させる当接端面(一端面)445と、当接端面445を囲むと共に複数の第1脚部415、複数の第2脚部425、および複数の当接部435が溶接される溶接部としての内周面を有する環状突出部446とを有する。
【0042】
そして、プラネタリキャリヤ40の製造に際しては、第1キャリヤ部材410の複数の第1脚部415(遊端部417)と、第2キャリヤ部材420の複数の第2脚部425(遊端部427)と、センタープレート430の複数の当接部435とが、周方向における異なる位置で環状部材440の当接端面445に当接させられると共に、環状部材440すなわち環状突出部446の内周面に周方向における異なる位置で溶接される。このように、第1および第2脚部415,425の双方とセンタープレート430の複数の当接部435とを環状部材440の当接端面445すなわち同一の端面に当接させると共に、当接端面445すなわち環状部材440等の軸心周りの円周に沿った溶接を行えば、第1脚部415および第2脚部425をセンタープレート430に直接溶接することなく第1および第2キャリヤ部材410,420の双方とセンタープレート430とを容易に環状部材440に一括固定することが可能となり、第1シャフト支持部411、第2シャフト支持部412およびセンタープレート430のすべてを精度よく平行に配置することができる。これにより、ラビニヨ式遊星歯車機構35に適用されるプラネタリキャリヤ40を容易かつ精度よく製造可能としつつ溶接工程数を減らして製造コストを低下させることが可能となる。
【0043】
また、上記実施例では、軸方向に突出して当接端面445を囲む環状突出部446が環状部材440に形成される。これにより、環状突出部446によって第1および第2キャリヤ部材410,420ならびにセンタープレート430を環状部材440に対して調心することができるので、プラネタリキャリヤ40の組み付け精度を向上させることが可能となる。そして、環状突出部446の内周面を溶接部とすることで、上述のような一方向からの溶接により第1脚部415、第2脚部425および当接部435を容易に環状部材440に固定することができる。ただし、環状部材440から環状突出部446を省略してもよく、このような場合には、当接端面445を溶接部として、第1脚部415、第2脚部425および当接部435を外周側からの溶接により当接端面445に溶接してもよい。
【0044】
更に、上記実施例では、第1および第2脚部415,425の遊端部417ならびにセンタープレート430の当接部435の先端(外周)が円弧状に形成される。これにより、環状突出部446による第1および第2キャリヤ部材410,420ならびにセンタープレート430の調心精度を向上させると共に、環状突出部446の内周面に沿った溶接を行うことで第1および第2脚部415,425ならびに当接部435を環状部材440に対してより強固に溶接することが可能となる。
【0045】
また、上記実施例では、複数の第1脚部415の遊端部417が環状部材440の当接端面445と当接すると共に第1キャリヤ部材410の少なくとも一部(第1脚部415の基部416)は環状部材440の内周側に配置され、第2キャリヤ部材420は、複数の第2脚部425が環状部材440の当接端面445と当接すると共に第2シャフト支持部421が第1キャリヤ部材410の第1シャフト支持部411と対向するように配置される。これにより、第1キャリヤ部材410を環状部材440に対して一方側(ブレーキハブ部442側)から近づけて第1脚部415を当接端面445に当接させると共に、第2キャリヤ部材420を環状部材440に対して当該一方側から近づけて第2脚部425を当接端面445に当接させることができるので、第1および第2キャリヤ部材410,420を環状部材440に対して容易に組み付けることが可能となる。
【0046】
更に、第1キャリヤ部材410の各第1脚部415は、第1シャフト支持部411から軸方向に延出された基部416と、当該基部416から径方向かつ外方に延出された遊端部417とを含む。これにより、複数の第1脚部415の遊端部417が環状部材440の当接端面445と当接するように少なくとも一部が当該環状部材440内に配置される第1キャリヤ部材410を容易に構成することが可能となる。そして、上記実施例では、第1脚部415の基部416が直線状の曲げ加工部414を介して第1シャフト支持部411から延出される。これにより、第1脚部415の基部416を曲線状(円弧状)の曲げ加工部を介して第1シャフト支持部411から延出する場合に比べて応力集中を抑制し、第1脚部415の強度を向上させることが可能となる。また、第2キャリヤ部材420の各第2脚部425を直線状の曲げ加工部を介して第2シャフト支持部421から延出してもよく、これにより第2脚部425の強度を向上させることが可能となる。
【0047】
加えて、上述のプラネタリキャリヤ40では、複数のショートピニオンシャフト39aの一端が第1キャリヤ部材410の第1シャフト支持部411により支持されると共に、複数のショートピニオンシャフト39aの他端が第2キャリヤ部材420の第2シャフト支持部421により支持され、複数のショートピニオンシャフト39aの中央部付近(一端側)がセンタープレート430により支持される。このように、複数のショートピニオンシャフト39aの両端を第1および第2キャリヤ部材410,420により支持することで、ショートピニオンシャフト39aを第1および第2キャリヤ部材410,420ならびにセンタープレート430によって強固に支持することが可能となる。ただし、短尺のショートピニオンギヤ38aに挿通されるショートピニオンシャフト39aは、ロングピニオンギヤ38bに挿通されるロングピニオンシャフト39bよりも短尺のものであってもよく、このような場合には、センタープレート430と第2キャリヤ部材420(あるいは第1キャリヤ部材410)とによってショートピニオンシャフト39aの両端を支持してもよい。これにより、プラネタリキャリヤ40をよりコンパクト化することが可能となる。
【0048】
なお、上述の第1および第2キャリヤ部材410,420は、鍛造加工により形成されてもよいが、コストダウン化を図るべく金属板をプレス加工することにより形成されてもよい。このように第1および第2キャリヤ部材410,420をプレス加工により形成する場合には、各第1脚部415の遊端部417や各第2脚部425の遊端部427がプレス加工により幅方向に膨らむことがあることから、
図14に示すようなセンタープレート430Bを用いるとよい。
図14に示すセンタープレート430Bは、
図10に示すセンタープレート430の各当接部435の一端(
図14における一点鎖線参照)を各第2脚部425の遊端部427との干渉を抑制すべく削り取ると共に、
図10に示すセンタープレート430の各切り欠き部436の一方のコーナー部(
図14における二点鎖線参照)に各第1脚部415の遊端部417との干渉を抑制すると共に応力集中を抑制するための円弧状の逃がし部436aを形成したものに相当する。このようなセンタープレート430Bを用いることにより、第1および第2キャリヤ部材410,420をプレス加工により形成しても、センタープレート430Bの各当接部435と第1および第2脚部415,425の遊端部417,427との干渉を抑制することができる。また、上記実施例において、プラネタリキャリヤ40は、ラビニヨ式遊星歯車機構35に適用されるものとして説明されたが、プラネタリキャリヤ40の適用対象は、これに限られるものではない。すなわち、上述のプラネタリキャリヤ40は、長短2種類のピニオンギヤを有するダブルピニオン式遊星歯車機構に適用されてもよい。
【0049】
図15は、変形例に係るプラネタリキャリヤ40Bの分解斜視図であり、
図16は、プラネタリキャリヤ40Bを示す断面図である。これらの図面に示すプラネタリキャリヤ40Bは、図示しないシングルピニオン式遊星歯車機構に適用されるものであり、第1キャリヤ部材410Bと、第2キャリヤ部材420Bと、環状部材440とを含む。なお、上述のプラネタリキャリヤ40に関連して説明した要素と同一の要素には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0050】
第1キャリヤ部材410Bは、例えば金属板をプレス加工することにより形成され、ピニオンギヤ38に挿通される複数(実施例では3個)のピニオンシャフト39の一端を支持する平板状の第1シャフト支持部411Bと、当該第1シャフト支持部411Bから周方向に間隔をおいて延出された複数(実施例では120°間隔で3個)の第1脚部415とを有する。第1シャフト支持部411Bの中央には、自動変速機の入力軸等が挿通される中心孔(円孔)412が形成されており、中心孔412の周囲には、ピニオンシャフト39が挿入されるシャフト孔413が複数(実施例では120°間隔で3個ずつ)形成されている。各第1脚部415は、第1シャフト支持部411Bの外周から第1キャリヤ部材410B(中心孔412)の軸方向に延出された基部416と、当該基部416から径方向かつ外方に延出された遊端部417とを含む。更に、各遊端部417の先端(外周)の曲率半径は、環状突出部446の内周面の曲率半径よりも僅かに小さく(略同一に)定められる。
【0051】
第2キャリヤ部材420Bは、例えば金属板をプレス加工することにより形成され、複数のピニオンシャフト39の他端を支持する第2シャフト支持部421Bと、当該第2シャフト支持部421Bから周方向に間隔をおいて延出された複数(実施例では120°間隔で3個)の第2脚部425とを有する。第2シャフト支持部421Bは、低背の有底筒状に形成されており、
図16に示すように、板状のベース部421aと、当該ベース部の外周から延出された円筒状の筒状部421bとを含む。第2シャフト支持部421Bのベース部421aの中央には、自動変速機の入力軸等が挿通される中心孔(円孔)422が形成されており、中心孔422の周囲には、ピニオンシャフト39が挿入されるシャフト孔423が複数(実施例では120°間隔で3個ずつ)形成されている。
【0052】
各第2脚部425は、第2シャフト支持部421Bの外周すなわち筒状部421bから第2キャリヤ部材420B(中心孔422)の軸方向に延出された基部426と、当該基部426から径方向かつ外方に延出された遊端部427とを含む。各遊端部427の外周の曲率半径は、各第1脚部415の遊端部417の先端(外周)と同一、かつ環状突出部446の内周面の曲率半径よりも僅かに小さく(略同一に)定められる。そして、互いに隣り合う第2脚部425同士の間隔(切り欠き部の幅)は、互いに隣り合う遊端部427同士の間に、第1キャリヤ部材410Bの第1脚部415の遊端部417が各1体ずつ好ましくはできるだけ隙間無く収まるように定められる。
【0053】
プラネタリキャリヤ40Bの製造に際しては、
図16に示すように、第1キャリヤ部材410Bの複数の第1脚部415と第2キャリヤ部材420Bの複数の第2脚部425とが周方向における異なる位置で環状部材440の当接端面445に当接させられると共に、第1および第2脚部415,425が環状部材440(環状突出部446)に溶接される。このように、第1および第2脚部415,425の双方を環状部材440の当接端面445に当接させることで、当該環状部材440の当接端面445(環状突出部446の内周面)に沿った溶接(
図16における白抜矢印参照)により第1および第2脚部415,425すなわち第1および第2キャリヤ部材410,420の双方を容易に環状部材440に一括固定することができる。これにより、プラネタリキャリヤ40Bを容易に製造可能としつつ溶接工程数を減らして製造コストを低下させることが可能となる。なお、図
15および
図16に例示したプラネタリキャリヤ40Bは、シングルピニオン式遊星歯車機構に適用されるものであるが、このようなセンタープレートを有さないプラネタリキャリヤ40Bは、ダブルピニオン式遊星歯車機構に適用されてもよい。
【0054】
ここで、上記実施例や変形例の主要な要素と発明の概要の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施例等では、それぞれ複数のショートピニオンギヤ38aおよびロングピニオンギヤ38bを回転自在に支持するプラネタリキャリヤ40や、複数のピニオンギヤ38を回転自在に支持するプラネタリキャリヤ40Bが「プラネタリキャリヤ」に相当し、第1シャフト支持部411または411Bと、当該第1シャフト支持部411または411Bから周方向に間隔をおいて延出された複数の第1脚部415とを有する第1キャリヤ部材410,410Bが「第1キャリヤ部材」に相当し、第2シャフト支持部421または421Bと、当該第2シャフト支持部421または421Bから周方向に間隔をおいて延出された複数の第2脚部425とを有する第2キャリヤ部材420,420Bが「第2キャリヤ部材」に相当し、第1キャリヤ部材410または410Bの複数の第1脚部415および第2キャリヤ部材420または420Bの複数の第2脚部425と当接する当接端面445を有し、第1および第2脚部415,425が溶接される環状部材440が「環状部材」に相当し、それぞれ環状部材440の当接端面445と当接すると共に環状部材440に溶接される複数の当接部435を有するセンタープレート430が「センタープレート」に相当する。
【0055】
ただし、実施例等の主要な要素と発明の概要の欄に記載された発明の主要な要素との対応関係は、実施例等が発明の概要の欄に記載された発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、発明の概要の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例等はあくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一例に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
【0056】
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。