(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668880
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット
(51)【国際特許分類】
C09D 11/40 20140101AFI20150122BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20150122BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
C09D11/40
B41J2/01 501
B41M5/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-77403(P2014-77403)
(22)【出願日】2014年4月4日
(62)【分割の表示】特願2012-88541(P2012-88541)の分割
【原出願日】2012年4月9日
(65)【公開番号】特開2014-169445(P2014-169445A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2014年6月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】亀山 雄司
(72)【発明者】
【氏名】城内 一博
【審査官】
桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−518971(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/076703(WO,A1)
【文献】
特開2009−083267(JP,A)
【文献】
特開2010−046945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/40
B41J 2/01
B41M 5/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2色の異なるインキから構成される活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセットであって、
各色のインキ中に配合されるジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン系界面活性剤を含む表面張力調整剤の配合量が当該各色のインキ総量に対して1.0〜5.0重量%であって、かつ印字順に合わせて各色の表面張力調整剤の配合量差が当該各色のインキ総量に対して0.5重量%以内で増量されるものであって、かつ各色の表面張力調整剤の最大の配合量と最小の配合量の差が2重量%以内であることを特徴とする、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセットであって、
さらに、EOまたはPOを主骨格としたモノマーをインキ総量に対して50〜95重量%含有し、
EOまたはPOを主骨格としたモノマーが、少なくともアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット(ただし、全ての色のインク中の表面張力調整剤の配合量差が0重量%である場合を除く)。
【請求項2】
表面張力調整剤が、2種以上からなることを特徴とする1記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット。
【請求項3】
少なくとも2個以上のインクジェットヘッドで吐出された後、それらインキを同時に硬化させる1パスプリンター用であることを特徴とする、請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット。
【請求項4】
コート層を有する紙系基材へ使用することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型着色インクジェットインキセットに関する。特に従来と比較し高品位の画像を得ることができる、特に1パス硬化型のプリンタに適するインキの提供に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキは、その溶剤タイプと比較し、乾燥性の速さや、環境負荷低減面から高速印字型のサイネージプリンタに、または基材密着性に優れる面から、多種基材対応のフラットベット型プリンタに搭載され、用途に応じたインキ処方の開発が進められてきた。
【0003】
しかしながら、その乾燥性の速さから、ドットのレベリング性が悪く、グロス感、色再現性に乏しい印刷物が得られることが多く、印刷品位が市場に受け入れられにくい場合があり、特に高級印刷市場への適用が難しかった。
この課題に対し、ヘッドが基材上をスキャンし、重ねて印字するタイプのプリンタでは、上記課題に対し、ドットの着弾位置やランプタイミングなどを調整することにより高品位画像を得ることができた。しかしながら近年開発されている1パスタイプのプリンタでは、各色のドットを一層で印字するため、着弾位置や硬化タイミングの調整が難しく、高品位の画像を得ることができなかった。
また、コート層を有するコート紙やキャスト紙などに印字した場合、コート層の塗工ムラや表面状態のバラツキにより、インキは不定方向へ滲み、コントロールのできないドットが形成される結果、画質の高い印字物をえることができなかった。
【0004】
以下、本発明以前に開示されたインクジェット印刷による高画質化の取り組みを示す。
文献1では、水性インキにおいて、各色の表面張力をコントロールすることで、混色滲みや浸透を制御し、高画質の印字物を得る取り組みが開示されている。しかしながら、該発明は浸透を制御するが故に、乾燥時にドットのレベリングが十分コントロールされず、小さいドットが形成されている。しかしながら、この方法は重ね合わせ印刷においてはドットとドット間を補完するインキを繰り返し印字できるが、1パスタイプのプリンタで印字した場合、同色の重ねができないため、ドットのレベリングを制御されたインキでは100%印字部分で、筋が著しく発生する。また、ドットのレベリングを抑えるが故、本来、10〜30%印字部で発生するドットとドットが融着するビーディング現象が、50〜80%印字部で見られる結果、極めて低画質の印刷物が得られた。また、使用する界面活性剤量が少ないため、コート紙に印刷した場合、著しいドットの歪みが発生していた。またこの活性剤を本発明の活性エネルギー線硬化型インキに添加したところ、表面張力調整機能が十分得られず、制御できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−9755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明によるインキセットを提供することにより、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷において、極めて高品質の印刷物を得ることができる。スキャンタイプのプリンタだけでなく、特に1パスタイプのプリンタで、コート層を有する基材を用いた場合にも、高品位の画像を得ることができる。また、保管後のインキの品質安定性にも優れるため、実使用上、十分な使用期間を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
すなわち本発明は、少なくとも2色の異なるインキから構成される活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセットであって、
各色のインキ中に配合される
ジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン系界面活性剤を含む表面張力調整剤の配合量が当該各色のインキ総量に対して1.0〜5.0重量%であって、かつ印字順に合わせて各色の表面張力調整剤の配合量差が当該各色のインキ総量に対して0.5重量%以内で
増量されるものであって、かつ各色の表面張力調整剤の
最大の配合量と最小の配合量の差が2重量%以内であることを特徴とする、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット
であって、
さらに、EOまたはPOを主骨格としたモノマーをインキ総量に対して50〜95重量%含有し、
EOまたはPOを主骨格としたモノマーが、少なくともアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット(ただし、全ての色のインク中の表面張力調整剤の配合量差が0重量%である場合を除く)に関する。
また、本発明は
、表面張力調整剤が、2種以上
からなることを特徴とする上記活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセットに関する。
さらに本発明は
、少なくとも2個以上のインクジェットヘッドで吐出された後、それらインキを同時に硬化させる1パスプリンター用
であることを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセットに関する。
さらに本発明は、コート層を有する紙系基材へ使用することを特徴とする上記活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセットに関する。
【0008】
本発明で配合される表面張力調整剤とは、添加により表面張力を低下させる物質を示す。その低下能は、インキの媒体により変化するのが一般的である。例えば水であれば、アセチレンジオールなどの添加剤タイプや、イソプロピルアルコールなどの溶剤タイプが挙げられる。本発明では、主たる構成を反応性モノマーとするため、表面張力調整剤は、シリコーン系の添加剤や、疎水性モノマー、疎水性有機溶剤が該当する。また、実際に使用するモノマーにより効果が異なるため、本発明における表面張力調整剤とは、添加前のインキに対し、1重量%添加した時の静的表面張力を3mN/m以上低下させる能力を有する材料を示す。
【0009】
具体的なシリコーン系添加剤として、ジメチルシロキサン骨格の変性体が挙げられる。一般的な製品として、ビックケミー社より代表品としてBYK(登録商標)-378、BYK-348など、エボニックデグサ社より、TEGO(登録商標) Glide 450、TEOG Glide 432などが販売されており、使用可能である。また、これらシリコーン系添加剤は、使用前にインキに対し1重量%を添加した時の静的表面張力を3mN/m以上下げることが確認できた添加剤である。各種の紙基材に対応するために、より好ましくは静的表面張力を4mN/m以上下げるシリコーン系添加剤を好適に用いることができる。これらシリコーン系の添加剤は、用途や目的に応じて単独または併用して用いることが可能であるが、本発明で使用する量は、従来の常識に対し、多く配合されるため、経時で印字効果が変化する場合がある。これは、シリコーン系の添加剤は、通常相溶性が悪く、多量に添加すると、相分離を起こすからと考えられる。このため、好ましくは、2種類以上のシリコーン系添加剤を併用することにより、インキを経時促進させた場合の画質低下を防ぐことができる。また、相分離の面から、使用するシリコーン系添加剤は、ポリエーテル変性の添加剤を1種類以上用いることが好ましい。これらインキに対する添加量は、特にコート層を有する紙系基材への単色の印刷画質を向上するために効果的である。
【0010】
また、上記表面張力調整剤の配合量の差は、各色インキ間で0.5重量%以内である場合に良好な画像が得られることを見いだした。この印字順に伴う配合量の調整は、プリンタ仕様に応じて変更することができるが、1パス方式で、ヘッド間で異なるインキを印刷する方式では、0.5重量%以内の範囲で添加量を増量させたインキセットであることが特に好ましい。さらに、これらインキセットが3色以上の場合、最大の配合量と、最小の配合量の差が2重量%以下であることが必要である。これより差が大きいインキセットを用いて印刷した場合、ドット間のバランスが崩れ、高品位の画像を得ることができないためである。より高品位の画像を得るためには、1.5重量%以下であることがさらに好ましい。これらのインキ間のバランス調整は、得られる画質に大きく影響し、本発明は、印字順の色や、色の異なるヘッドの数などの条件に限定しない。実際、本発明は、インキの動的表面張力が印刷品位に大きく影響していると推測する。実際に1ヘッド目から吐出し、着弾されたドットが搬送され、次の2ヘッド目から吐出されたドットと接触するときの動的表面張力が近しい値を示す場合に高品位の画像を得ることができるからである。この事実は、いかなるプリンタ仕様にも合わせることが可能であり、本発明の最大の効果を得ることができる。
【0011】
本発明におけるインキセットとは、着色インキのセットを示す。具体的には基本色であるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの着色インキや、コーポレートカラーなどの特色インキとのいずれか組み合わせも可能である。ただし、着色剤を含有しないアンカーコート剤や下塗り要素の強い白インキ、オーバーコートニスなどは本発明の効果を得ることができない場合があるため、発明のインキセットに該当しない。
【0012】
本発明における表面張力とは、一般的に言われる静的表面張力を示す。測定方法は、ウィルヘルミ法による白金プレートの接液で計測できる。標準的な測定機として、DY−700(協和界面科学社製)が挙げられる。
【0013】
本発明は、少なくとも2個以上インクジェットヘッドで吐出された後、それらを同時に硬化させる1パスプリンター用に好適に用いることができる。1パスプリンターとは、一つのインクジェットヘッドが一回印刷を行うタイプのプリンタである。一般的にはヘッドとヘッド間でUV照射しインキを固定するタイプ(ピンキュアタイプ)と、インキを固定せずに同時に硬化させるタイプ(ピンキュアレスタイプ)が存在する。ピンキュアタイプは、例えば4色印刷には最低4つのランプが必要となり、装置コストが高くなる上、装置が大型化するため用途が限定されるケースが多く、普及しにくい。本発明は、ピンキュアタイプだけでなく、特にピンキュアレスタイプのプリンタでも高画質な印刷物を得ることができることが特徴である。
【0014】
本発明で使用されるモノマーは、目的を妨げない限り、自由に選択することができる。本発明で定義するモノマーとは、活性エネルギー線が照射された後、直接、または光重合開始剤を介して、重合反応を起こす化合物を示す。具体的には、単官能アクリルモノマー、2官能アクリルモノマー、3官能以上のアクリルモノマーなどのアクリルモノマー、またはビニルモノマー、ビニルエーテルモノマー、アクリルとビニルを分子内に包含する異種モノマーなどが挙げられる。中でもDPGDA(シ゛フ゜ロヒ゜レンク゛リコールシ゛アクリレート), VEEA(アクリル酸2-(2-ヒト゛ロキシエトキシ)エチル)、DVE-3(トリエチレンク゛リコールシ゛ヒ゛ニルエーテル)から選択される2官能モノマーは、感度が高く、また比較的低粘度であるため好適に用いることができる。また上記モノマーは、シリコーン系添加剤との相性がよく、ハジキを発生しにくいため、50〜95重量%で好適に用いることができる。具体的には、EOまたはPOを主骨格としたモノマーを用いることが好ましい。本発明におけるEOまたはPOを主骨格としたモノマーとは、反応性基である、アクリロイル基や、ビニル基、ビニルエーテル基を除いた部分にEOまたはPO基を含有するモノマーを示す。
【0015】
UVランプで硬化させるためには、光ラジカル重合開始剤を用いることができる。 光ラジカル重合開始剤としては、硬化速度、硬化塗膜物性、着色材料により自由に選択することができる。具体的にはベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィド、1,2−オクタンジオン、1−(4−(フェニルチオ)−2,2−(O−ベンゾイルオキシム))などが好適に用いられる。
また上記光ラジカル重合開始剤に対し、増感剤としてトリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの、前記重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。
【0016】
本発明には、着色剤として顔料や染料を用いることができる。特に耐光性や耐溶剤性に優れる点から、顔料を分散して用いることが好ましい。顔料としては一般的に印刷用途、塗料用途のインク組成物に使用される顔料を用いることができ、発色性、耐光性などの必要用途に応じて選択することができる。顔料成分としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色の顔料または有彩色の有機顔料が使用できる。有機顔料では、PV19、PR122、PR176、PR185、PR202、PR269、PY120、PY139、PY150、PY151、PY155、PY180、PY185、PB15:3、PB15:4、PG7、PG36、PO43、PV23、PB7は、耐光性に優れるため、好適に用いることができる。
【0017】
インキ粘度は25℃で5〜14mPa secが好ましい。5mPa sec未満では、良好に吐出することができず、14mPa secを超えるインキ粘度では、吐出精度が低下するためである。
【0018】
また本発明で用いられるインキには、消泡剤、流動性改質剤、蛍光増白剤、重合禁止剤、酸化防止剤などを所望の品質を満たす限り用いることができる。
高感度を実現できる限り、溶剤を添加して粘度調整を行うことも可能である。溶剤とは、反応性を有さない液体を示す。多量の配合は硬化性が阻害されるため、添加量はインキに対し5重量%以下が好ましい。
【0019】
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は、「重量部」を表す。
【0020】
(顔料分散体の作成)
表1記載の原料を配合量の通りに混合したのち、アイガーミルにて1時間分散し、顔料分散体A〜Gを得た。分散にはZrビーズの1mm径タイプを体積充填率75%にて実施した。
【0021】
(インキの作成)
表2、3記載のモノマーと開始剤の混合液をゆっくりと添加し撹拌し、その後、表面張力調整剤を所望の量添加し他後、シェーカーにて6時間振盪しインキを作成した。得られたインキをポア径0.5ミクロンのPTFEフィルターで濾過を行い、粗大粒子を除去し、評価インキを調整した。
【0022】
(インキの評価)
調整したインキは、(株)トライテック社製One Pass JETにて印字を行った。調整したインキは、シリンジにより京セラ社ヘッドに注入され、ヘッド温度40℃で印字した後、ノードソン社製UVランプ(240W)により硬化を行い、出力した画像を評価した。評価に使用した画像は、ISO標準画像のNo5, 自転車画像を用いた。評価用紙は、OKトップコート+(王子製紙社製)コート紙を適したサイズにカットし、使用した。評価は、標準オフセット印刷見本同等を最高品質とし、オフィス用トナープリンター(Docu-Centre-IVC2270:富士ゼロックス社)にて標準カラーモードで印字した画像を実用品位画像として、目視にて評価を行った。
◎:オフセットレベルの画質
○:トナープリンターと同等の画質
△:トナープリンター以下の画質
×:ビーディングや文字潰れ、発色不良などの悪劣な画質
画質評価にて最も重視した部分は、全体を見渡した場合の既存印刷との品位比較であるが、高印字部分や低印字部分のドットのシャープネス、混色などを光学顕微鏡で観察した結果も勘案した。
【0023】
(経時インキの評価)
上記インキを45℃で1週間保管後、同様の評価を行った。評価手段や評価水準は初期のインキ評価と同様で行った。
【0024】
(評価結果)
評価結果を表2と表3に示した。表中のインキセット番号の若い順から先に印字するようにヘッドにインキを充填し印字を行った。実施例1〜10では、インキ作成直後だけでなく、経時保管後も優れた実用品質を維持した結果が得られた。比較例1では、ドットのレベリングが著しく悪い結果を得た。比較例2では、未だ実用レベルの画像をえることができなかった。比較例3では、初期の画質は実用レベルであったが、経時保管後に画像上に斑点が発生し、インキが劣化していることが分かった。比較例4では、各色の混色が著しく、にじんだ画像が得られた。比較例5では色相の異なるマゼンタを2色特色の様に使い、5色印刷を行った。特に2色のマゼンタ間で強いにじみが発生し、良好な画像を得ることができなかった。