(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668900
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】楽音発生装置および動作プログラム
(51)【国際特許分類】
G10H 1/00 20060101AFI20150122BHJP
G10H 7/02 20060101ALI20150122BHJP
G10H 1/18 20060101ALI20150122BHJP
G10H 1/34 20060101ALI20150122BHJP
G10H 3/14 20060101ALN20150122BHJP
【FI】
G10H1/00 A
G10H7/00 521Z
G10H1/18 Z
G10H1/34
!G10H3/14 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-89640(P2009-89640)
(22)【出願日】2009年4月2日
(65)【公開番号】特開2010-243614(P2010-243614A)
(43)【公開日】2010年10月28日
【審査請求日】2012年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130329
【氏名又は名称】株式会社コルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100105810
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 宏
(72)【発明者】
【氏名】青木 秀明
(72)【発明者】
【氏名】本橋 春彦
【審査官】
毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−225579(JP,A)
【文献】
特開2006−163230(JP,A)
【文献】
特開2003−323177(JP,A)
【文献】
特開平11−126080(JP,A)
【文献】
特開平02−000097(JP,A)
【文献】
特開昭60−209793(JP,A)
【文献】
実開昭60−003892(JP,U)
【文献】
特開2006−133696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00− 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器に対する演奏操作における演奏強度を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された演奏強度が予め設定した2種類以上の強度範囲のうちのいずれに属するかを判定する判定手段と、
前記予め設定した2種類以上の強度範囲別に設け、ボイス割り当て指示が与えられるとこれに応答して発音動作を行う音源手段と、
前記判定手段によって前記検出された演奏強度が属すると判定された強度範囲に対応する音源手段にボイス割り当て指示を与える割り当て指示手段と、
前記2種類以上の異なる強度の実際の音のPCM信号を記録するメモリと、を備え、
前記2種類以上の各音源手段は、
前記割り当て指示手段によって前記ボイス割り当て指示が与えられると、前記メモリから、対応する実際の音のPCM信号を読み取って再生し、かつ、複数個のボイス割り当て指示を受け付け可能であることを特徴とする楽音発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記検出手段は、
電子ドラムの打撃面に対する打撃操作による打撃音を振動ピックアップで検出した衝撃波信号のピーク値を検出する手段であり、
前記判定手段は、
前記検出手段によって検出されたピーク値が予め設定した2種類以上の強度範囲のうちのいずれに属するかを判定する手段であることを特徴とする楽音発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
前記音源手段は3種類設けられ、更に、ピーク値の3個の強度範囲のそれぞれに対してPCM方式で録音したPCM信号を記録したメモリを備え、
前記判定手段は、
前記ピーク値が第1の閾値よりも大きなものは強レベル、このピーク値が前記第1の閾値よりも小さな第2の閾値よりも大きく前記第1の閾値以下のものは中レベル、これ以外のピーク値は弱レベルに属すると判定する手段であり、
前記ボイス割り当て指示が与えられた前記音源手段は、前記メモリから対応するPCM信号を読み出し再生することを特徴とする楽音発生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記検出手段は、
鍵盤楽器が備える鍵盤に対する押鍵操作の押鍵速度を検出する手段であり、
前記判定手段は、
前記検出手段によって検出された押鍵速度が予め設定した2種類以上の強度範囲のうちのいずれに属するかを判定する手段であることを特徴とする楽音発生装置。
【請求項5】
予め設定した2種類以上の強度範囲別に設け、ボイス割り当て指示が与えられるとこれに応答して発音動作を行う音源手段と、前記2種類以上の異なる強度の実際の音のPCM信号を記録するメモリとを備え、前記2種類以上の各音源手段は、前記ボイス割り当て指示が与えられると、前記メモリから、対応する実際の音のPCM信号を読み取って再生し、かつ、複数個のボイス割り当て指示を受け付け可能にされた楽音発生装置に、
楽器に対する演奏操作における演奏強度を検出する機能と、
前記検出された演奏強度が前記予め設定した2種類以上の強度範囲のうちのいずれに属するかを判定する機能と、
前記検出された演奏強度が属すると判定した強度範囲に対応する音源手段にボイス割り当て指示を与える機能と、を実現させるためのコンピュータ実行可能な動作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の音源部を備えた楽音発生装置等の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子ドラム等の楽器において、メモリにPCM方式で記録しておいたPCM信号を所要時に読み出してドラム打撃音等をリアルに放音する装置が提案されている。この電子ドラムが、例えば3ボイスまで同時発音可能なPCM方式発音機能を有していると想定し、単純な後発優先方式でのボイス割り当てを行った場合には演奏者が意図した演奏入力と異なる楽音発生が行われる。例えば、電子ドラムの打撃面に対して「強」、「弱」、「弱」、「弱」なる強度で4連打を行った場合、単純な後発優先方式でボイス割り当てを行っているため、4打目の「弱」で1打目の「強」が打ち消されてしまうからである。また、このような欠点を克服するために発音として印象が強い音(「強打信号」)を発音が終了するまでキープしておき、残りの2ボイスで発音制御を行う方式も提案されてきた。しかし、このような方式であっても、電子ドラムの打撃面に対して「強」、「中」、「弱」、「弱」なる強度で4連打を行った場合、4打目の「弱」で2打目の「中」が打ち消されてしまうためやはり発音に違和感があった。したがって何らかの工夫を施して音楽的に不自然さを感じさせない楽音の発音装置を実現する必要がある。この点、同一パート(音色)における同時発音のボイス数が少ない順に高い優先度を各ボイスに設定し、音源LSIの8個のボイスがすべて発音状態である場合において、新たに発音イベントが発生したときに、最も低い優先度のボイスを強制的に消音させ、そのボイスに発生した発音イベントを割り当てる装置が提案されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−44050号公報(第3−5頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに、上述した従来装置によれば、音楽的な要素を考慮して強制的な消音による不自然な発音を低減する効果は認められるものの、構成が複雑で真に効果的に、発音の違和感を低減するには至っていないものであった。例えば、上述したように、電子ドラムの打撃面に対して「強」、「中」、「弱」、「弱」なる強度の打撃を行った場合、4打目の「弱」に対応する処理は行われないことになり依然として発音の不自然さが残るものであった。
【0005】
本発明は、かかる従来の課題を解決するためになされたもので、簡単な構成で発音の違和感を極力生じさせない楽音発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、楽器に対する演奏操作における演奏強度を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された演奏強度が予め設定した2種類以上の強度範囲のうちのいずれに属するかを判定する判定手段と、
前記予め設定した2種類以上の強度範囲別に設け、ボイス割り当て指示が与えられるとこれに応答して発音動作を行う音源手段と、
前記判定手段によって前記検出された演奏強度が属すると判定された強度範囲に対応する音源手段にボイス割り当て指示を与える割り当て指示手段と、
前記2種類以上のPCM信号を記録するメモリと、を備え、
前記2種類以上の各音源手段は、前記割り当て指示手段によって前記ボイス割り当て指示が与えられると、前記メモリから、対応する実際の音のPCM信号を読み取って再生し、かつ、複数個のボイス割り当て指示を受け付け可能であることを特徴とするようにした。
【0007】
この構成によれば、判定手段が、楽器に対する演奏操作における演奏強度を検出する検出手段によって検出された演奏強度が予め設定した2種類以上の強度範囲のうちのいずれに属するかを判定する。そして、割り当て指示手段が、前記検出された演奏強度が属すると判定した強度範囲に対応する音源手段にボイス割り当て指示を与えると対応する音源手段はこれに応答して発音動作を行う。しかも、2種類以上の音源手段の夫々は異なる強さの音の発音動作を行うように構成されている。この結果、強度差、即ち音量レベル差により生じる発音の違和感が解消され音楽的に自然な発音動作を実現することが可能となる。
【0008】
本発明を電子ドラムに適用した場合には、上記装置において、前記検出手段を電子ドラムの打撃面に対する打撃操作による打撃音を振動ピックアップで検出した衝撃波信号のピーク値を検出する手段とし、また、前記判定手段を前記検出手段によって検出されたピーク値が予め設定した2種類以上の強度範囲のうちのいずれに属するかを判定する手段とする構成にすれば良い。より具体的には、前記音源手段を3種類設けると共にピーク値の3個の強度範囲のそれぞれに対してPCM方式で録音したPCM信号を記録したメモリを設け、前記判定手段が、前記ピーク値が第1の閾値よりも大きなものは強レベル、このピーク値が前記第1の閾値よりも小さな第2の閾値よりも大きく前記第1の閾値以下のものは中レベル、これ以外のピーク値は弱レベルに属すると判定する構成とし、また、前記ボイス割り当て指示が与えられた前記音源手段が、前記メモリから対応するPCM信号を読み出し再生する構成とすることができる。また、本発明を鍵盤楽器に適用した場合には、前記検出手段を鍵盤楽器が備える鍵盤に対する押鍵操作の押鍵速度を検出する手段とすると共に、前記判定手段を前記検出手段によって検出された押鍵速度が予め設定した2種類以上の強度範囲のうちのいずれに属するかを判定する手段とすれば良い。また、本発明によれば、予め設定した2種類以上の強度範囲別に設け、ボイス割り当て指示が与えられるとこれに応答して発音動作を行う音源手段と、前記2種類以上の異なる強度の実際の音のPCM信号を記録するメモリとを備え、前記2種類以上の各音源手段は
、前記ボイス割り当て指示が与えられると、前記メモリから、対応する実際の音のPCM信号を読み取って再生し、かつ、複数個のボイス割り当て指示を受け付け可能にされた楽音発生装置に、楽器に対する演奏操作における演奏強度を検出する機能と、前記検出された演奏強度が前記予め設定した2種類以上の強度範囲のうちのいずれに属するかを判定する機能と、前記検出された演奏強度が属すると判定した強度範囲に対応する音源手段にボイス割り当て指示を与える機能と、を実現させるためのコンピュータ実行可能な動作プログラムも提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成で発音の違和感を極力生じさせない楽音発生装置を提供することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施の形態について図面を参照しつつ説明する。以下、楽器の一例として電子ドラムを対象として本発明の実施形態について説明するが、本発明の実施対象は電子ドラムに限られず、弦楽器、鍵盤楽器等の楽器演奏に際して強弱をつけて演奏操作可能なあらゆる楽器に及ぶものである。
【0012】
図4は本発明の実施形態である電子ドラムのドラム本体側の外観を示す模式的説明図であり、
図5はその平面図である。
図4、
図5に示すように、外観視筒状体のシェル200の上面である開放面には、打撃面1(ドラムヘッド)がシエル200に張設されている。また、シエル200の外周面には、その縦方向において適宜の間隔を設けてラグ500が配置されている。更に、テンションボルト100の貫通孔が形成されたリム400が、打撃面1の外縁部を押さえ付けるようにして、テンションボルト100がリム400に形成された貫通孔を介してラグ500にねじ込まれて締結され所定の張設力で打撃面1が張設されている。そして、
図4、
図5では図示はしないが、打撃面1の打撃による振動信号を検出し、衝撃波信号(Su)として出力する振動ピックアップが打撃面1(ドラムヘッド)の裏面又は表面の適宜の位置に設けられている。
図3はこの衝撃波信号(Su)の波形の模式的説明図であり、横軸を時間軸(t)としている。
【0013】
(信号処理系)
図1は本発明の実施形態である電子ドラムの信号処理系の構成図である。この信号処理系は、打撃面1を打撃した際に打撃面1の振動振幅に応じた振幅信号を出力する振動ピックアップ(不図示)が出力する衝撃波信号(Su)をアナログデジタル変換するA/D変換器10と、このアナログデジタル変換されたデジタル信号を入力する共振系信号処理部20と、このアナログデジタル変換されたデジタル信号を入力するPCM系信号処理部30と、共振系信号処理部20からの出力信号を増幅するゲイン60と、PCM系信号処理部30からの出力信号を増幅するゲイン62と、両ゲイン60、62からの出力信号を混合するミキサー65(混合手段)と、混合されたミキシング信号をデジタルアナログ変換するD/A変換器40と、このデジタルアナログ変換されたアナログ信号を電子ドラム音として放音するためのスピーカー50とを備えている。更に、ゲイン60、ゲイン62は不図示の操作子でゲイン量を個別に調整可能になっている。そして、電子ドラムには
図1に示すような信号処理回路が内蔵されている。
【0014】
また、メモリ70には予め実際の打楽器音等をPCM方式で録音した信号(例えば電子ドラム残響音等)が記録されており、PCM系信号処理部30は、所定時にメモリ70から録音信号を読み出して再生出力するように構成されている。
図8は電子ドラムに適用した場合に、このメモリ70に格納されるテーブル800の説明図である。この例では、打撃面1を打撃することによって得られる衝撃波信号(Su)のピーク値の強度範囲を「強」、「中」、「弱」の3種類に分けて、夫々のピーク値がいずれの強度範囲に属するかによって、読み出し再生対象となるPCM信号が別々に記録されている。例えば、打撃面1を打撃することによって得られる衝撃波信号(Su)のピーク値の強度範囲が「強」に属すると判定された場合には、PCM信号「PH」が読み出し再生されるように構成されている。同様に、衝撃波信号(Su)のピーク値の強度範囲が「中」に属すると判定された場合にはPCM信号「PM」が読み出し再生され、更に、衝撃波信号(Su)のピーク値の強度範囲が「弱」に属すると判定された場合にはPCM信号「PL」が読み出し再生される。
【0015】
図6は
図1に示したPCM系信号処理部30の構成図である。
図6に示すように、PCM系信号処理部30は、衝撃波信号(Su)が入力されそのピーク値を検出する信号処理部300と、この出力されたピーク値のレベルを3種類の強度範囲のいずれに属するかを判定する判定部305と、判定部305の判定結果に基づいて所要の音源部(320、322、324)にボイス割り当て指示を与える割り当て指示部310と、この3種類の強度範囲別に設けられた3個の音源部320、音源部322、音源部324と、この3個の音源部320、322、324の夫々に対して設けたゲイン330、ゲイン332、ゲイン334とを有し、3個のゲイン330、332、334の出力線は一つになって、全体出力が
図1のゲイン62へ供給可能となっている。また、3個のゲイン330、ゲイン332、ゲイン334は不図示の操作子でゲイン量を個別に調整可能になっている。なお、音源部の数は2個以上であれば良く特に3個に限定されないが、試聴実験では2個、3個及び4個で十分な効果を確認している。そして、各音源部320、322、324は夫々、ボイス割り当て指示が与えられるとこれに応答して発音動作を行うように構成されていると共に、例えば3音分割り当て可能で同時発音可能に構成されている。つまり、各音源部320、322、324は、3個(所定数個)のボイス割り当て指示を与えることが可能であり、3個(所定数個の範囲)以内で既にボイス割り当て指示が与えられている音に新たにボイス割り当て指示された音を含めて同時発音させる機能を有している。
【0016】
また、
図7に示すように、判定部305は、信号処理部300が検出したピーク値が第1の閾値(A)よりも大きなものは「強レベル」、このピーク値が第1の閾値(A)よりも小さな第2の閾値(B)よりも大きく第1の閾値(A)以下のものは「中レベル」、これ以外のピーク値は「弱レベル」に属すると判定する。そして、割り当て指示部310は、この判定結果に応じて対応する音源部(320、322、324)にボイス割り当て指示を与えるように構成されている。音源部320は「強レベル」用(ハイレベル)のもの、音源部322は「中レベル」用(ミッドレベル)のもの、音源部32
4は「弱レベル」用(ローレベル)のものである。したがって、例えば判定部305によってピーク値が「強レベル」に属すると判定された場合には、割り当て指示部310は音源部320に対してボイス割り当て指示を与え、これに応答して音源部320は、メモリ70からPCM信号「PH」を読み出し再生出力する。
【0017】
(動作)
次に動作を説明する。今、打撃面1がドラムスティック又は手等により打撃され振動ピックアップ(不図示)が衝撃波信号(Su)を検出した場合、この衝撃波信号(Su)はA/D変換器10でアナログデジタル変換されて、両信号処理部20、30に供給される。共振系信号処理部20は、衝撃波信号(Su)に対するノイズ除去処理を行い、例えば共振周波数に合致した周波数の信号及びこの共振周波数の倍音信号を出力する。すると、これがゲイン60によって増幅されてミキサー65に入力される。PCM信号処理部30からの信号もゲイン62によって増幅されミキサー65に入力されると、両者は混合されこの混合信号がD/A変換器40でデジタルアナログ変換され、電子ドラムの楽音信号がスピーカー50から放音されることになる。
【0018】
次に、
図2、
図6を参照して、PCM系信号処理部30が衝撃波信号(Su)を受信してから出力するまでの動作を説明する。
図2におけるステップS200、ステップS210、ステップS220の処理は
図6の信号処理部300が行う。そして、ステップS230が本実施形態の特徴的な処理である。先ず、信号処理部300は、ステップS200において、衝撃波信号(Su)のエンベロープ信号を生成する。次に、信号処理部300は、ステップS210において、生成されたエンベロープ信号が予め設定した或る閾値(th)を超えたか否かを判定する。信号処理部300は、この或る閾値(th)を超えたものが存在すると判定した場合にのみ(ステップS210のYes)、ステップS220に移行して、そのピーク値を検出したか否かを判定する一方、これ以外の場合(ステップS210のNo)には処理を終える。次に、信号処理部300は、ステップS220において、ピーク値を検出した場合(ステップS220のYes)にはステップS230に移行し、これ以外の場合(ステップS220のNo)には処理を終える。
【0019】
そして、ステップS230では、PCM再生を行う。先ず、信号処理部300が出力したピーク値を判定部305が受け付けると、判定部305はこのピーク値が3種類の強度範囲のいずれに属するかを判定する。具体的には、判定部305はピーク値が第1の閾値(A)よりも大きなものは「強レベル」、このピーク値が第1の閾値(A)よりも小さな第2の閾値(B)よりも大きく第1の閾値(A)以下のものは「中レベル」、これ以外のピーク値は「弱レベル」に属すると判定する(
図7参照)。そして、この判定結果を割り当て指示部310に渡す。割り当て指示部310は、ピーク値が「強レベル」に属すると判定された場合には音源部320に対してボイス割り当て指示を与え、これに応答して音源部320は、メモリ70からPCM信号「PH」を読み出し再生出力する。同様に、割り当て指示部310は、ピーク値が「中レベル」に属すると判定された場合には音源部322に対してボイス割り当て指示を与え、これに応答して音源部322は、メモリ70からPCM信号「PM」を読み出し再生出力し、更に、ピーク値が「弱レベル」に属すると判定された場合には音源部324に対してボイス割り当て指示を与え、これに応答して音源部324は、メモリ70からPCM信号「PL」を読み出し再生出力する。そして、各音源部320、322、324からの出力は夫々ゲイン330、332、334で増幅されて、
図1のゲイン62へ出力され、ゲイン62はPCM信号を増幅しミキサー65に供給する。以上のようにPCM方式で録音された残響音を再生出力することができる。
【0020】
例えば、電子ドラムの打撃面に対して「強」、「中」、「弱」、「弱」なる強度の4連打の打撃を行った場合、第1打目の「強」に対しては音源部320が発音動作を行い、次いで第2打目の「中」に対しては音源部322が発音動作を行い、更に、第3打目の「弱」に対しては音源部324が発音動作を行う。そして、第4打目の「弱」に対しては音源部324が発音動作を行うが、これによって第1打目や第2打目の発音(強、中)が打ち消されることはないので発音の違和感が解消される。
【0021】
このように判定部305が、信号処理部300が検出したピーク値が予め設定した3種類の強度範囲のうちのいずれに属するかを判定し、割り当て指示部310が、検出されたピーク値が属すると判定した強度範囲に対応する音源部(320、322、324)にボイス割り当て指示を与えると対応する音源部(320、322、324)はこれに応答して発音動作を行い、しかも、3種類の音源部(320、322、324)の夫々は異なる強さの音の発音動作を行うように構成されているので、強度差、即ち音量レベル差により生じる発音の違和感が解消され音楽的に自然な発音動作を実現することが可能となる。
【0022】
以上は電子ドラムに本発明を適用した実施形態の説明であるが、鍵盤部を備える鍵盤楽器等の他の楽器にも本発明を適用できる。鍵盤楽器に本発明を適用する場合にあっては、鍵盤部の各鍵を押鍵操作するときの速度である押鍵速度を検出する押鍵速度検出手段を備えた構成にする。そして、例えば、判定部30が、押鍵速度検出手段が検出した押鍵速度が第1の閾値(A)よりも大きなものは「強レベル」、このピーク値が第1の閾値(A)よりも小さな第2の閾値(B)よりも大きく第1の閾値(A)以下のものは「中レベル」、これ以外のピーク値は「弱レベル」に属すると判定する構成とする。そして、割り当て指示部310は、この判定結果に応じて対応する音源部(320、322、324)にボイス割り当て指示を与えるように構成し、ボイス割り当て指示が与えられた音源部(320、322、324)はメモリ70から対応するPCM信号を読み出し再生する構成とすれば良く、このような構成によって鍵盤楽器に本発明を適用することができる。もちろん、演奏時の演奏強度を検出できるものであればいかなる楽器にも本発明は適用可能である。
【0023】
また、本発明の機能は、CPUやDSPがROM等の記録媒体に記録された動作プログラムをRAM等をワークエリアとして使用しながら実行することによって実現可能である。
【0024】
以上の説明でも述べてきたが、
図6の音源部の数や判定部305で判定するための強度範囲の数は2個以上であれば良く特に数には制限はない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上説明してきたように、本発明は電子ドラム、鍵盤楽器等の各種の楽器に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 A/D変換器
20 共振系信号処理部
30 PCM系信号処理部
40 D/A変換器
50 スピーカ
60 ゲイン
62 ゲイン
65 ミキサー
300 信号処理部
305 判定部
310 割り当て指示部
320 音源部
322 音源部
324 音源部
330 ゲイン
332 ゲイン
334 ゲイン