(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
センストランジスタと、第1及び第2のセレクトトランジスタと、データ蓄積キャパシタと、トンネルウィンドウと、コントロールゲート端子と、セレクトゲート端子と、ドレイン端子と、ソース端子とを備え、前記センストランジスタのソース/ドレイン領域は、半導体基板に形成された第1及び第2の不純物拡散領域からなり、前記第1のセレクトトランジスタのソース/ドレイン領域は、第2及び第3の不純物拡散領域からなり、前記第2のセレクトトランジスタのソース/ドレイン領域は、第5及び第4の不純物拡散領域からなり、前記データ蓄積キャパシタは、絶縁膜とこの絶縁膜を挟むフローティングゲート及び前記第4の不純物拡散領域からなる1対の電極とからなり、前記トンネルウィンドウは、前記フローティングゲート及び前記第2の不純物拡散領域からなる1対の電極と当該電極に挟まれたトンネル電流が流れる薄いトンネル絶縁膜から構成され、前記センストランジスタは、ドレインが前記トンネルウィンドウの一方の電極及び前記第1のセレクトトランジスタのソースに接続され、ソースが前記ソース端子に接続され、前記トンネルウィンドウは、他方の電極が前記データ蓄積キャパシタの一方の電極及び前記センストランジスタのゲートに接続され、前記データ蓄積キャパシタは、前記一方の電極が前記センストランジスタのゲートに接続され、他方の電極が前記第2のセレクトトランジスタのドレインに接続され、前記第1のセレクトトランジスタは、ゲートが前記第2のセレクトトランジスタのゲート及び前記セレクトゲート端子に接続され、ドレインが前記ドレイン端子に接続され、前記第2のセレクトトランジスタは、ソースが前記コントロールゲート端子に接続され、ゲートが前記セレクトゲート端子に接続されたEEPROMセルを複数有する不揮発性半導体メモリであって、オペレーション中のバイアス印加条件をデータ読み出し時とデータのアクセスが行われない定常状態とで別個に設定し、前記定常状態のときには、前記第1のセレクトトランジスタのしきい値近傍の電圧をそのゲートに与え前記第1のセレクトトランジスタを負荷抵抗として作用させるよう構成することにより、前記EEPROMセルが前記センストランジスタをオン状態とするデータを保持するときには前記第2の不純物領域の電位は前記ソース端子に印加される電圧に引きずられ、前記EEPROMセルが前記センストランジスタをオフ状態とするデータを保持するときには前記第2の不純物領域の電位は前記ドレイン端子に印加される電圧に引きずられ、前記フローティングゲートと前記トンネルウィンドウ直下領域の電位差を小さくしデータ保持特性を向上させることを特徴とする不揮発性半導体メモリ。
センストランジスタと、第1及び第2のセレクトトランジスタと、データ蓄積キャパシタと、トンネルウィンドウと、補助トランジスタと、第1及び第2のコントロールゲート端子と、セレクトゲート端子と、ドレイン端子と、ソース端子とを備え、前記センストランジスタのソース/ドレイン領域は、半導体基板に形成された第1及び第2の不純物拡散領域からなり、前記第1のセレクトトランジスタのソース/ドレイン領域は、第2及び第3の不純物拡散領域からなり、前記第2のセレクトトランジスタのソース/ドレイン領域は、第5及び第4の不純物拡散領域からなり、前記データ蓄積キャパシタは、絶縁膜とこの絶縁膜を挟むフローティングゲート及び前記第4の不純物拡散領域からなる1対の電極とからなり、前記トンネルウィンドウは、前記フローティングゲート及び前記第2の不純物拡散領域からなる1対の電極と当該電極に挟まれたトンネル電流が流れる薄いトンネル絶縁膜から構成され、前記センストランジスタは、ドレインが前記トンネルウィンドウの一方の電極及び前記第1のセレクトトランジスタのソースに接続され、ソースが前記ソース端子に接続され、前記トンネルウィンドウは、他方の電極が前記データ蓄積キャパシタの一方の電極及び前記センストランジスタのゲートに接続され、前記データ蓄積キャパシタは、前記一方の電極が前記センストランジスタの前記ゲートに接続され、他方の電極が前記第2のセレクトトランジスタのドレインに接続され、前記第1のセレクトトランジスタは、ゲートが前記第2のセレクトトランジスタのゲート及び前記セレクトゲート端子に接続され、ドレインが前記ドレイン端子に接続され、前記第2のセレクトトランジスタは、ソースが前記第1のコントロールゲート端子に接続され、ゲートが前記セレクトゲート端子に接続され、前記補助トランジスタは、ソースが前記第2のセレクトトランジスタのドレイン及び前記データ蓄積キャパシタの他方の電極に接続され、ゲートが前記センストランジスタのゲート、前記データ蓄積キャパシタの一方の電極及び前記トンネルウィンドウの他方の電極に接続され、ドレインが前記第2のコントロールゲート端子に接続されたEEPROMセルを複数有する不揮発性半導体メモリであって、オペレーション中のバイアス印加条件をデータ読み出し時とデータのアクセスが行われない定常状態とで別個に設定し、前記定常状態のときには、前記第1のセレクトトランジスタのしきい値近傍の電圧をそのゲートに与え前記第1のセレクトトランジスタを負荷抵抗として作用させるよう構成することにより、前記EEPROMセルが前記センストランジスタをオン状態とするデータを保持するときには前記第2の不純物領域の電位は前記ソース端子に印加される電圧に引きずられ、前記EEPROMセルが前記センストランジスタをオフ状態とするデータを保持するときには前記第2の不純物領域の電位は前記ドレイン端子に印加される電圧に引きずられ、前記フローティングゲートと前記トンネルウィンドウ直下領域の電位差を小さくしデータ保持特性を向上させることを特徴とする不揮発性半導体メモリ。
補助キャパシタを更に備え、当該補助キャパシタは、一方の電極が前記補助トランジスタのゲート、前記センストランジスタのゲート、前記データ蓄積キャパシタの一方の電極及び前記トンネルウィンドウの他方の電極に接続され、他方の電極が前記補助トランジスタのソース、データ蓄積キャパシタの他方の電極及び前記第2のセレクトトランジスタのドレインに接続されていることを特徴とする請求項2に記載の不揮発性半導体メモリ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された従来のゲート一層型トランジスタを有するEEPROMセルは、複数の集合体として半導体メモリを構成している。EEPROMセルを用いた半導体メモリは、高電位、低電位及び両電位の中間電位を用いて書き込み、読み出し動作を行う。また、半導体メモリのオペレーション(操作)中は、読み出しをしない定常状態の時もバイアス印加しており、読み出し時も定常状態でも同じバイアスを印加している。即ち、オペレーション中は、コントロールゲートのバイアスが低電位、トンネルウィンドウ直下が読み出し電位(中間電位)にバイアスされ続ける。
【0006】
特許文献2に開示された積層ゲート型トランジスタを用いた半導体メモリは、制御ゲートとソース間に高い電圧差を与えることで、データの書込み及び消去を行い、データへのアクセスが行われない待機時(オペレーション中)には、制御ゲートとソースを同電位にして、フローティングゲートに電子の注入も放出も行われないようにしている。
【0007】
このように、従来の半導体メモリを構成するEEPROMセルは、オペレーション中、1書き込みセルでも、0書き込みセルでも同じバイアスで保持される。1書き込みは、フローティングゲートへ電子が注入された状態を言い、この電子注入によりセンストランジスタのしきい値電圧(Vth)は上がる。0書き込みは、フローティングゲートから電子が引き抜かれた状態をいい、この電子引き抜きによりセンストランジスタのしきい値電圧(Vth)は下がる。このような従来の半導体メモリは、一般的な環境下において使用する際には問題視されていなかったが、使用環境が高温になる場合、例えば、車載対応製品などに用いられた場合には、オペレーション中の高温環境によってデータの保持特性が大きく劣化するという問題があった。
本発明は、このような事情によりなされたものであり、高温時でも優れたデータ保持特性が維持されるEEPROMセルを有する不揮発性半導体メモリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の不揮発性半導体メモリの一態様は、センストランジスタと、第1及び第2のセレクトトランジスタと、データ蓄積キャパシタと、トンネルウィンドウと、コントロールゲート端子と、セレクトゲート端子と、ドレイン端子と、ソース端子とを備え、前記センストランジスタのソース/ドレイン領域は、半導体基板に形成された第1及び第2の不純物拡散領域からなり、前記第1のセレクトトランジスタのソース/ドレイン領域は、第2及び第3の不純物拡散領域からなり、前記第2のセレクトトランジスタのソース/ドレイン領域は、第5及び第4の不純物拡散領域からなり、前記データ蓄積キャパシタは、絶縁膜とこの絶縁膜を挟むフローティングゲート及び前記第4の不純物拡散領域からなる1対の電極とからなり、前記トンネルウィンドウは、前記フローティングゲート及び前記第2の不純物拡散領域からなる1対の電極と当該電極に挟まれたトンネル電流が流れる薄いトンネル絶縁膜から構成され、前記センストランジスタは、ドレインが前記トンネルウィンドウの一方の電極及び前記第1のセレクトトランジスタのソースに接続され、ソースが前記ソース端子に接続され、前記トンネルウィンドウは、他方の電極が前記データ蓄積キャパシタの一方の電極及び前記センストランジスタのゲートに接続され、前記データ蓄積キャパシタは、前記一方の電極が前記センストランジスタのゲートに接続され、他方の電極が前記第2のセレクトトランジスタのドレインに接続され、前記第1のセレクトトランジスタは、ゲートが前記第2のセレクトトランジスタのゲート及び前記セレクトゲート端子に接続され、ドレインが前記ドレイン端子に接続され、前記第2のセレクトトランジスタは、ソースが前記コントロールゲート端子に接続され、ゲートが前記セレクトゲート端子に接続され
たEEPROMセルを複数有する不揮発性半導体メモリであって、オペレーション中のバイアス印加条件をデータ読み出し時と
データのアクセスが行われない定常状態とで別個に設定し、前記定常状態のときには、前記第1のセレクトトランジスタのしきい値近傍の電圧をそのゲートに与え前記第1のセレクトトランジスタを負荷抵抗として作用させるよう構成することにより、前記EEPROMセルが前記センストランジスタをオン状態とするデータを保持するときには前記第2の不純物領域の電位は前記ソース端子に印加される電圧に引きずられ、前記EEPROMセルが前記センストランジスタをオフ状態とするデータを保持するときには前記第2の不純物領域の電位は前記ドレイン端子に印加される電圧に引きずられ、前記フローティングゲートと前記トンネルウィンドウ直下領域の電位差を小さくしデータ保持特性を向上させることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の不揮発性半導体メモリの一態様は、センストランジスタと、第1及び第2のセレクトトランジスタと、データ蓄積キャパシタと、トンネルウィンドウと、補助トランジスタと、第1及び第2のコントロールゲート端子と、セレクトゲート端子と、ドレイン端子と、ソース端子とを備え、前記センストランジスタのソース/ドレイン領域は、半導体基板に形成された第1及び第2の不純物拡散領域からなり、前記第1のセレクトトランジスタのソース/ドレイン領域は、第2及び第3の不純物拡散領域からなり、前記第2のセレクトトランジスタのソース/ドレイン領域は、第5及び第4の不純物拡散領域からなり、前記データ蓄積キャパシタは、絶縁膜とこの絶縁膜を挟むフローティングゲート及び前記第4の不純物拡散領域からなる1対の電極とからなり、前記トンネルウィンドウは、前記フローティングゲート及び前記第2の不純物拡散領域からなる1対の電極と当該電極に挟まれたトンネル電流が流れる薄いトンネル絶縁膜から構成され、前記センストランジスタは、ドレインが前記トンネルウィンドウの一方の電極及び前記第1のセレクトトランジスタのソースに接続され、ソースが前記ソース端子に接続され、前記トンネルウィンドウは、他方の電極が前記データ蓄積キャパシタの一方の電極及び前記センストランジスタのゲートに接続され、前記データ蓄積キャパシタは、前記一方の電極が前記センストランジスタの前記ゲートに接続され、他方の電極が前記第2のセレクトトランジスタのドレインに接続され、前記第1のセレクトトランジスタは、ゲートが前記第2のセレクトトランジスタのゲート及び前記セレクトゲート端子に接続され、ドレインが前記ドレイン端子に接続され、前記第2のセレクトトランジスタは、ソースが前記第1のコントロールゲート端子に接続され、ゲートが前記セレクトゲート端子に接続され、前記補助トランジスタは、ソースが前記第2のセレクトトランジスタのドレイン及び前記データ蓄積キャパシタの他方の電極に接続され、ゲートが前記センストランジスタのゲート、前記データ蓄積キャパシタの一方の電極及び前記トンネルウィンドウの他方の電極に接続され、ドレインが前記第2のコントロールゲート端子に接続され
たEEPROMセルを複数有する不揮発性半導体メモリであって、オペレーション中のバイアス印加条件をデータ読み出し時と
データのアクセスが行われない定常状態とで別個に設定し、前記定常状態のときには、前記第1のセレクトトランジスタのしきい値近傍の電圧をそのゲートに与え前記第1のセレクトトランジスタを負荷抵抗として作用させるよう構成することにより、前記EEPROMセルが前記センストランジスタをオン状態とするデータを保持するときには前記第2の不純物領域の電位は前記ソース端子に印加される電圧に引きずられ、前記EEPROMセルが前記センストランジスタをオフ状態とするデータを保持するときには前記第2の不純物領域の電位は前記ドレイン端子に印加される電圧に引きずられ、前記フローティングゲートと前記トンネルウィンドウ直下領域の電位差を小さくしデータ保持特性を向上させることを特徴としている。
【0014】
補助キャパシタを更に備え、当該補助キャパシタは、一方の電極が前記補助トランジスタのゲート、前記センストランジスタのゲート、前記データ蓄積キャパシタの一方の電極及び前記トンネルウィンドウの他方の電極に接続され、他方の電極が前記補助トランジスタのソース、データ蓄積キャパシタの他方の電極及び
前記第2のセレクトトランジスタのドレインに接続されているようにしても良い。読み出し時と定常状態のバイアス状態を切り換えるバイアス切り替え回路を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の不揮発性半導体メモリは、高温時に使用しても優れたデータ保持特性を維持することが可能になる。補助トランジスタは、トンネル絶縁膜にかかる電圧をより縮小し、補助キャパシタは、定常状態での電荷の抜けを少なくする。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施例を参照して発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0018】
図1乃至
図4を参照して実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る不揮発性半導体メモリが形成された半導体基板断面図、
図2は、実施例1に係る半導体メモリが形成された半導体基板平面図(A−A′、B−B′線に沿う部分の断面図が
図1に相当する)、
図3は、実施例1に係る半導体メモリ回路図、
図4は、
図3の半導体メモリの端子にかかる電位を示す特性図である。半導体メモリは、センストランジスタ(Tr)と、第1及び第2のセレクトトランジスタ(Tr1、Tr2)と、データ蓄積キャパシタ(C)と、トンネル絶縁膜9を有するトンネルウィンドウ(TW)と、コントロールゲート端子(CG)と、セレクトゲート端子(SG)と、ドレイン端子(D)と、ソース端子(S)とを有するFLOTOX型のEEPROMセルからなる。
【0019】
半導体メモリは、
図1及び
図2に示す半導体基板10に形成される。半導体基板10には、例えば、P型シリコン基板(P−Sub)を用いる。半導体基板10の表面領域にはソース/ドレイン領域などに用いられる、例えば、N型の第1乃至第5の不純物拡散領域1〜5が形成されている。センストランジスタ(Tr)のソース/ドレイン領域は、第1及び第2の不純物拡散領域1、2から構成され、第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のソース/ドレイン領域は、第2及び第3の不純物拡散領域2、3から構成され、第2のセレクトトランジスタ(Tr2)のソース/ドレイン領域は、第5及び第4の不純物拡散領域5、4から構成されている。データ蓄積キャパシタ(C)は、例えば、シリコン酸化膜などの絶縁膜7とこの絶縁膜7を挟むポリシリコンなどからなるフローティングゲート12及び第4の不純物拡散領域4からなる1対の電極から構成され、トンネルウィンドウ(TW)は、フローティングゲート12及び第2の不純物拡散領域2からなる1対の電極と当該電極に挟まれた、例えば、シリコン酸化膜などの薄いトンネル絶縁膜9から構成されている。トンネル絶縁膜9は、絶縁膜7より薄くトンネル電流(F−N電流)が流れるように構成されている。第1及び第2のセレクトトランジスタ(Tr1、Tr2)は、共通のゲート13を有している。
【0020】
図3に示すように、センストランジスタ(Tr)は、ドレインがトンネルウィンドウ(TW)の一方の電極及び第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のソースに接続され、ソースがソース端子(S)に接続され、トンネルウィンドウ(TW)は、他方の電極がキャパシタ(C)の一方の電極及びセンストランジスタ(Tr)のゲートに接続され、データ蓄積キャパシタ(C)は、一方の電極がセンストランジスタ(Tr1)のゲートに接続され、他方の電極が第2のセレクトトランジスタ(Tr2)のドレインに接続され、第1のセレクトトランジスタ(Tr1)は、ゲートが第2のセレクトトランジスタ(Tr2)のゲート及びセレクトゲート端子(SG)に接続され、ドレインがドレイン端子(D)に接続され、第2のセレクトトランジスタ(Tr2)は、ソースがコントロールゲート端子(CG)に接続され、ゲートがセレクトゲート端子(SG)に接続され、ドレインがデータ蓄積キャパシタ(C)の他方の電極に接続されている。
【0021】
この実施例では、以上説明したEEPROMセルから構成された半導体メモリにおいて、オペレーション中のバイアス印加条件をデータ読み出し時と定常状態とを別個に設定し、定常状態では、半導体メモリのデータ保持状態に合わせて、自己整合的に、フローティングゲートとトンネルウィンドウ直下領域の電位差が小さくなる方向でバイアス変調されるように構成されていることを特徴としている。
【0022】
次に、
図4を参照して、前述のように構成された半導体メモリの書き込み/読み出し動作について説明する。
まず、1書き込みセルの動作を説明する。
フローティングゲート12への電子の注入は、コントロールゲート端子(CG)及びセレクトゲート端子(SG)に、例えば、15Vの高電圧を与え、ドレイン端子(D)を0Vとし、ソース端子(S)をオープン(OPEN)にする。なお、半導体基板10は、0電位に維持されている。この状態において、第1のセレクタトランジスタ(Tr1)がオンし、ドレイン端子(D)の0Vが第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のソース、すなわち、トンネルウィンドウ(TW)の拡散領域部分(第2の不純物拡散領域2)に供給される。コントロールゲート端子(CG)が15Vであるため、フローティングゲート12も高い電位となり、トンネルウィンドウ(TW)のトンネル絶縁膜9には高電界がかかり、フローティングゲート12から拡散領域部分2へF−N電流(Fowler−Nordheim電流)が流れ、フローティングゲート12に電子が注入される。これにより、センストランジスタ(Tr)のしきい値電圧は、正の方向に大きくシフトする。
【0023】
次に、0書き込みセルの動作を説明する。
フローティングゲート12からの電子の放出は、コントロールゲート端子(CG)に0V、セレクトゲート端子(SG)及びドレイン端子(D)に15Vを印加する。ソース端子(S)は、オープン(OPEN)にし、基板電位は、0にする。この状態においては、第1のセレクトトランジスタ(Tr1)がオンとなり、ドレイン端子(D)に印加された15Vに相応する高電圧がトンネルウィンドウ(TW)の拡散領域部分2にかかり、コントロールゲート端子(CG)が0Vであるため、拡散領域部分2からフローティングゲート12へ向かう高電界が生ずる。これにより、F−N電流が拡散領域部分2からフローティングゲート12へ向かって流れ、フローティングゲート12から電子が放出される。この様に、電子が放出されたセルは、デプレッショントランジスタとなる。
【0024】
次に、読み出し動作を説明する。
読み出しモードでは、センストランジスタ(Tr)のソース端子(S)及びコントロールゲート(CG)を0V(接地電位)にする。また、ドレイン端子(D)は、例えば、0.7Vの低い電圧に抑えられて誤書き込みを防ぐ。
フローティングゲート12に電子が注入されたセル(1書き込みセル)においては、コントロールゲート端子(CG)が0Vであるため、センストランジスタ(Tr)はオフ状態にある。したがって、セルが選択されてセレクトゲート端子(SG)にオン電圧を印加されてもドレイン(D)の電位は第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のソースに達するだけであり、センストランジスタ(Tr)に電流は流れない。このためドレイン端子(D)は印加された電位を維持する。これがデータ1に相当する。
【0025】
この状態ではドレイン端子(D)に供給された電位はそのまま第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のソースにかかる。このソースは、トンネルウィンドウ(TW)を構成する拡散領域部分(第2の不純物拡散領域2)と同じ領域なので、このトンネル絶縁膜直下の拡散領域部分2にはドレイン端子(D)の電位がそのままかかる。この電位が高いと、トンネルウィンドウ(TW)を介してF−N電流が流れてフローティングゲート12内の電子が放出されてしまう。これは書き込み動作に相当し、データ消失の原因となる。したがって、ドレイン端子(D)には、最大でも1V程度加えておくことが必要である。
フローティングゲート12から電子が放出されたセル(0書き込みセル)においては、センストランジスタ(Tr)がデプレッショントランジスタになっている。このためコントロールゲート端子(CG)が0Vであってもセンストランジスタ(Tr)はオンしている。この状態でセレクトゲート端子(SG)に5Vを供給すると、第1のセレクトトランジスタ(Tr1)及びセンストランジスタ(Tr)を介してドレイン端子(D)からソース端子(S)に向かって電流が流れてドレイン端子(D)は、低電位となる。これがデータ0に相当する。
【0026】
半導体メモリは、複数のEEPROMセルから構成され、これら複数のセルに対して書き込み/読み出しを行う。この実施例では、オペレーション中は、読み出し時にセレクトゲート端子(SG)に5V、ドレイン端子(D)に0.7V、コントロールゲート端子(CG)及びソース端子(S)に0Vを印加し、読み出しをしない定常状態の時には、ソース端子(S)に5V、セレクトゲート端子(SG)に0.7Vを印加する。前述のように、従来の半導体メモリでは、定常状態の時には、各端子に読み出し時と同じ電圧が印加されるので、オペレーション中は、コントロールゲート端子(CG)のバイアスが低電位、トンネルウィンドウ(TW)直下が読み出し電位(中間電位)にバイアスされ続ける。このような従来の場合、オペレーション時のフローティングゲートとトンネルウィンドウ直下のバイアス差が大きく、メモリのデータ保持特性を低下させるという問題があったが、この実施例では、オペレーション中のバイアス印加条件をデータ読み出し時と定常状態とを別個に設定し、半導体メモリのデータ保持状態に合わせて、自己整合的に、フローティングゲートとトンネルウィンドウ直下領域の電位差が小さくなる方向でバイアス変調するので、トンネルウィンドウのトンネル絶縁膜の劣化が小さくなる。
【0027】
1書き込み時においてフローティングゲート12の電位は、マイナス方向に大きく、センストランジスタ(Tr)のしきい値電圧(Vth)が高い。0書き込み時においてフローティングゲート12の電位は、マイナス方向に小さく、センストランジスタ(Tr)のしきい値電圧(Vth)が低い。
定常状態時にセレクトゲートを電源電圧(5V)より低く接地電位(0V)より高い適当な中間電位(0.7V)とすることで、トンネルウィンドウ直下の電位は、センストランジスタのしきい値電圧が高いセル(1書き込みセル)の場合ドレインの電位に引きずられ、このしきい値電圧が低いセル(0書き込みセル)の場合ソースの電位に引きずられる。
【0028】
即ち、上記中間電位(0.7V)というのは第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のしきい値近傍の電圧であり、この中間電位の印加によって、第1のセレクトトランジスタ(Tr1)は僅かにオンとなり、負荷抵抗と見なすことができる状態となる。この作用により、トンネルウィンドウ直下の電位は、1書き込みセルでは、センストランジスタがオフであるため負荷抵抗を介してドレイン電位が現れ、0書き込みセルでは、センストランジスタがオンして低抵抗化するためソースの電位が現れるようになる。
【0029】
そこで、この実施例は、定常状態において、ドレイン端子(D)に0Vを印加し、ソース端子(S)に読み出し電圧と同じ5Vを印加する。このような電圧印加により、半導体メモリへの書き込み状態がどのようなものでも、自己整合的にフローティングゲート(FG)とトンネルウィンドウ(TW)直下の拡散領域部分の電位差が小さくなる方向でバイアス変調されるので、半導体メモリの保持寿命が向上する。
なお、この実施例では、従来例とは異なり、読み出し時と定常状態でバイアス条件が異なるので、読み出し時と定常状態のバイアス状態を切り換えるバイアス切り替え回路を用いることができる。これは、他の実施例でも同様である。
【実施例2】
【0030】
次に、
図5及び
図6を参照して実施例2を説明する。
図5は、この実施例に係る半導体メモリ回路図、
図6は、半導体メモリの端子にかかる電位を示す特性図である。この実施例では実施例1に係る半導体メモリの回路構成に補助トランジスタが付加されていることに特徴がある。
半導体メモリは、センストランジスタ(Tr)と、第1及び第2のセレクトトランジスタ(Tr1、Tr2)と、データ蓄積キャパシタ(C)と、トンネル絶縁膜9を有するトンネルウィンドウ(TW)と、補助トランジスタ(Tr3)と、第1及び第2のコントロールゲート端子(CG1、CG2)と、セレクトゲート端子(SG)と、ドレイン端子(D)と、ソース端子(S)とを有している。センストランジスタ(Tr)は、ドレインがトンネルウィンドウ(TW)の一方の電極及び第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のソースに接続され、ソースがソース端子(S)に接続されている。トンネルウィンドウ(TW)は、他方の電極がキャパシタ(C)の一方の電極及びセンストランジスタ(Tr)のゲートに接続されている。キャパシタ(C)は、一方の電極がセンストランジスタ(Tr1)のゲートに接続され、他方の電極が第2のセレクトトランジスタ(Tr2)のドレインに接続されている。第1のセレクトトランジスタ(Tr1)は、ゲートが第2のセレクトトランジスタ(Tr2)のゲート及びセレクトゲート端子(SG)に接続され、ドレインがドレイン端子(D)に接続されている。
【0031】
第2のセレクトトランジスタ(Tr2)は、ソースが第1のコントロールゲート端子(CG1)に接続され、ゲートがセレクトゲート端子(SG)及び第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のゲートに接続され、ドレインがデータ蓄積キャパシタ(C)の他方の電極に接続されている。補助トランジスタは、ゲートがセンストランジスタ(Tr)のゲート、データ蓄積キャパシタ(C)の一方の電極及びトンネルウィンドウ(TW)の他方の電極に接続され、ソースが第2のセレクトトランジスタ(Tr2)のドレイン及びデータ蓄積キャパシタ(C)の他方の電極に接続され、ドレインが第2のコントロールゲート端子(CG2)に接続されている。このEEPROMセルから構成された半導体メモリは、オペレーション中のバイアス印加条件をデータ読み出し時と定常状態とを別個に設定し、データ保持状態に合わせて、自己整合的に、フローティングゲートとトンネルウィンドウ直下領域の電位差が小さくなる方向でバイアス変調されるように構成されている。
【0032】
1書き込み時においてフローティングゲートの電位は、マイナス方向に大きく、センストランジスタ(Tr)のしきい値電圧(Vth)が高い。0書き込み時においてフローティングゲートの電位は、マイナス方向に小さく、センストランジスタ(Tr)のしきい値電圧(Vth)が低い。
定常状態時にセレクトゲートを電源電圧(5V)より低く接地電位(0V)より高い適当な中間電位(0.7V)とすることで、トンネルウィンドウ(TW)直下の電位は、センストランジスタのしきい値電圧が高いセル(1書き込みセル)の場合ドレインの電位に引きずられ、このしきい値電圧が低いセル(0書き込みセル)の場合ソースの電位に引きずられる。
【0033】
第1の実施例と同様に、中間電位(0.7V)というのは第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のしきい値近傍の電圧であり、この中間電位の印加によって、第1のセレクトトランジスタ(Tr1)は僅かにオンとなり、負荷抵抗と見なすことができる状態となる。この作用により、トンネルウィンドウ直下の電位は、1書き込みセルでは、センストランジスタがオフであるため負荷抵抗を介してドレイン電位が現れ、0書き込みセルでは、センストランジスタがオンして低抵抗化するためソースの電位が現れるようになる。
【0034】
データ蓄積キャパシタ(C)領域直下の不純物領域電位は、補助トランジスタ(Tr3)のしきい値電圧(Vth)が高い場合には、第1のコントロールゲート端子(CG1)の電位に、補助トランジスタ(Tr3)のしきい値電圧(Vth)が低い場合(デプレッショントランジスタ)には、第2のコントロールゲート端子(CG2)の電位にひきずられる。
【0035】
即ち、第2のセレクトトランジスタ(Tr2)のゲートへの中間電位の印加によって、第2のセレクトトランジスタ(Tr2)は僅かにオンとなり、負荷抵抗と見なすことができる状態となる。この作用により、データ蓄積キャパシタ領域直下の電位は、1書き込みセルでは、補助トランジスタ(Tr3)がオフであるため負荷抵抗を介して第1のコントロールゲート端子(CG1)の電位が現れ、0書き込みセルでは、補助トランジスタ(Tr3)がオンして低抵抗化するため第2のコントロールゲート端子(CG2)の電位が現れるようになる。
【0036】
但し、トンネルウィンドウ(TW)直下と状況が異なるのは、データ蓄積キャパシタ(C)領域直下の電位が、センストランジスタ(Tr)のゲートバイアスに直接的に影響するため、第1のコントロールゲート端子(CG1)の電位は、電源電圧(VDD)とはできずに、適当な中間バイアスでの印加に留める必要がある。具体的には、半導体メモリのしきい値電圧(Vth)以上の印加はできない。半導体メモリのしきい値電圧が電源電圧(VDD)以上となる場合は問題ない。
【0037】
この実施例は、定常状態において、ドレイン端子(D)に0Vを印加し、ソース端子(S)に読み出し電圧と同じ、例えば、5Vを印加し、第1のコントロールゲート端子(CG1)を中間電位にし、第2のコントロールゲート端子(CG2)を0Vとする。中間電位は、1書き込みによる半導体メモリ書き込み時のしきい値電圧(Vth)である。1書き込みで電源電圧(VDD)以上のしきい値電圧(Vth)となる場合は、電源電圧(VDD)である。このような電圧印加により、半導体メモリへの書き込み状態がどのようなものでも、自己整合的にフローティングゲートとトンネルウィンドウ(TW)直下の拡散領域部分の電位差が小さくなる方向でバイアス変調されるので、半導体メモリの保持寿命が向上する。補助トランジスタ(Tr3)は、トンネル絶縁膜に掛かる電圧をより縮小する。
【実施例3】
【0038】
次に、
図7及び
図8を参照して実施例3を説明する。
図7は、この実施例に係る半導体メモリ回路図、
図8は、半導体メモリの端子にかかる電位を示す特性図である。この実施例では実施例2に係る半導体メモリの回路構成に補助キャパシタが付加されていることに特徴がある。
半導体メモリは、センストランジスタ(Tr)と、第1及び第2のセレクトトランジスタ(Tr1、Tr2)と、データ蓄積キャパシタ(C1)と、トンネル絶縁膜9を有するトンネルウィンドウ(TW)と、補助トランジスタ(Tr3)と、補助キャパシタ(C2)と、第1及び第2のコントロールゲート端子(CG1、CG2)と、セレクトゲート端子(SG)と、ドレイン端子(D)と、ソース端子(S)とを有している。
【0039】
センストランジスタ(Tr)は、ゲートがトンネルウィンドウ(TW)の他方の電極、データ蓄積キャパシタ(C1)の一方の電極、補助キャパシタ(C2)の一方の電極、補助トランジスタ(Tr3)のゲートに接続され、ドレインがトンネルウィンドウ(TW)の一方の電極及び第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のソースに接続され、ソースがソース端子(S)に接続されている。トンネルウィンドウ(TW)は、一方の電極が第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のソースに接続され、他方の電極がデータ蓄積キャパシタ(C1)の一方の電極、補助キャパシタ(C2)の一方の電極及び補助トランジスタ(Tr3)のゲートに接続され、データ蓄積キャパシタ(C1)は、一方の電極が補助トランジスタ(Tr3)のゲート及び補助キャパシタ(C2)の一方の電極に接続され、他方の電極が第2のセレクトトランジスタ(Tr2)のドレイン、補助トランジスタ(Tr3)のソース、補助キャパシタ(C2)の他方の電極に接続されている。
【0040】
第1のセレクトトランジスタ(Tr1)は、ゲートが第2のセレクトトランジスタ(Tr2)のゲート及びセレクトゲート端子(SG)に接続され、ドレインがドレイン端子(D)に接続され、第2のセレクトトランジスタ(Tr2)は、ソースが第1のコントロールゲート端子(CG1)に接続され、ゲートがセレクトゲート端子(SG)に接続され、ドレインがデータ蓄積キャパシタ(C1)の他方の電極に接続され、補助トランジスタ(Tr3)は、ドレインが第2のコントロールゲート端子(CG2)に接続されている。このEEPROMセルから構成された半導体メモリは、オペレーション中のバイアス印加条件をデータ読み出し時と定常状態とを別個に設定し、データ保持状態に合わせて、自己整合的に、フローティングゲートとトンネルウィンドウ直下領域の電位差が小さくなる方向でバイアス変調されるように構成されている。
【0041】
この実施例は、実施例2と同様に、定常状態において、ドレイン端子(D)に0Vを印加し、ソース端子(S)に読み出し電圧と同じ、例えば、5Vを印加し、第1のコントロールゲート端子(CG1)を中間電位にし、第2のコントロールゲート端子(CG2)を0Vとする。中間電位は、1書き込みによる半導体メモリ書き込み時のしきい値電圧(Vth)である。1書き込みで電源電圧(VDD)以上のしきい値電圧(Vth)となる場合は、電源電圧(VDD)である。このような電圧印加により、半導体メモリへの書き込み状態がどのようなものでも、自己整合的にフローティングゲート(FG)とトンネルウィンドウ(TW)直下の拡散領域部分の電位差が小さくなる方向でバイアス変調されるので、半導体メモリの保持寿命が向上する。補助トランジスタ(Tr3)を組み込むことにより、トンネル絶縁膜に掛かる電圧をより縮小する。そして、補助キャパシタ(C2)を組み込むことにより、データ蓄積キャパシタ(C1)と補助キャパシタ(C2)とを合せた容量がトンネルウィンドウ(TW)の容量に比べて十分大きく、定常状態での電荷の抜けを少なくする。
【0042】
次に、
図9及び
図10を参照してフローティングゲート(FG)の電位について説明することによって実施例1及び2におけるバイアス変調による電位差縮小の効果を説明する。
図9に示すように、データ蓄積キャパシタ(C)とトンネルウィンドウ(TW)は、直列に接続されている。トンネルウィンドウ(TW)は、トンネル電流による抵抗要素を持っているので、回路的に抵抗Rが並列に接続されたものと等価である。各部分の電位は、データ蓄積キャパシタ(C)とトンネルウィンドウ(TW)との間は、フローティングゲート(FG)電位となっており、データ蓄積キャパシタ(C)直下は、コントロールゲート端子(CG)の電位となっており、トンネルウィンドウ(TW)直下は、ドレイン端子(D)の電位となっている。ここで、データ蓄積キャパシタ(C)の容量を14fFとし、トンネルウィンドウ(TW)の容量を1fFとする。また、1書き込みで電子が75fC分注入され、0書き込みで電子が75fC分引き抜かれるとする。
図10(a)には、1書き込み後(75fCで電子注入)及び0書き込み後(75fCで電子引き抜き)の各場合におけるCGの電位、Dの電位、FGの電位、Cにかかる電位差及びTWにかかる電位差の従来、実施例1、実施例2それぞれの場合についての値が記載されている。
【0043】
図10(b)には、トンネル絶縁膜にかかる電圧の従来との差が記載されている。図に示すように、1書き込みセルのトンネル絶縁膜にかかる電圧の従来との差は、実施例1では−0.653であり(−5.653−(−5))、実施例2では−5.323である(−5.653−(−0.33))。0書き込みセルのトンネル絶縁膜にかかる電圧の従来との差は、実施例1では−4.016であり(4.346−0.33)、実施例2では−4.016(4.346−0.33)である。このように、トンネル絶縁膜にかかる電圧は、従来より小さい。
【0044】
上記実施例におけるEEPROMセルおよび各トランジスタは、全てP型基板に形成されたNチャネルトランジスタとして説明したが、導電型はこれに限らず、N型基板に形成されたPチャネルトランジスタにより構成することもできる。次に、Pチャネルトランジスタにより構成した例を、
図11及び
図12を参照し、実施例4として説明する。
【実施例4】
【0045】
実施例4における半導体メモリの回路図は、トランジスタの導電型がP型となっていること以外は
図1と同じである。そのため、ここでは
図1の各トランジスタの導電型をP型と読み替えることとし、詳細な説明を省略する。
【0046】
そして、
図11は、半導体メモリが形成された半導体基板断面図を示している。
図11に示す通り、半導体メモリは、N型シリコン基板(N−SubまたはN−well)が用いられる。N型シリコン基板30の表面領域には第1乃至第5のP型不純物拡散領域21〜25が形成されている。センストランジスタ(Tr)のソース/ドレイン領域は、第1及び第2のP型不純物拡散領域21、22から構成され、第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のソース/ドレイン領域は、第2及び第3のP型不純物拡散領域22、23から構成され、第2のセレクトトランジスタ(Tr2)のソース/ドレイン領域は、第5及び第4のP型不純物拡散領域25、24から構成されている。データ蓄積キャパシタ(C)は、例えば、シリコン酸化膜などの絶縁膜27とこの絶縁膜27を挟むポリシリコンなどからなるフローティングゲート32及び第4のP型不純物拡散領域24からなる1対の電極から構成され、トンネルウィンドウ(TW)は、フローティングゲート32及び第2のP型不純物拡散領域22からなる1対の電極と当該電極に挟まれた、トンネル絶縁膜29から構成されている。トンネル絶縁膜29は、絶縁膜27より薄くトンネル電流(F−N電流)が流れるように構成されている。第1及び第2のセレクトトランジスタ(Tr1、Tr2)は、共通のゲート33を有している。
【0047】
この実施例においても、上述の実施例同様にEEPROMセルから構成された半導体メモリにおいて、オペレーション中のバイアス印加条件をデータ読み出し時と定常状態とを別々に設定し、定常状態では、半導体メモリのデータ保持状態に合わせて、自己整合的に、フローティングゲートとトンネルウィンドウ直下領域の電位差が小さくなる方向でバイアス変調されるように構成されている。
【0048】
そして、
図12は、このような半導体メモリの各端子にかかる電位を示す特性図である。書き込み動作(1書き込み及び0書き込み)、読み出し動作、定常状態においては、各端子へ図に示された電圧が印加される。
【0049】
1書き込み時においてフローティングゲート32の電位は、プラス側にバイアスされ、センストランジスタ(Tr)のしきい値電圧(Vth)の絶対値が大きい。0書き込み時においてフローティングゲート32の電位は、マイナス側にバイアスされ、センストランジスタ(Tr)のしきい値電圧(Vth)の絶対値が低い。定常状態時にコントロールゲートを電源電圧(5V)より低く接地電位(0V)より高い適当な中間電位(4.3V)とすることで、トンネルウィンドウ直下の電位は、センストランジスタのしきい値電圧が高いセル(1書き込みセル)の場合ドレインの電位に引きずられ、このしきい値電圧が低いセル(0書き込みセル)の場合ソースの電位に引きずられる。
【0050】
上記中間電位(4.3V)というのは、一端に5Vが印加されたP型MOSトランジスタ、即ち第1のセレクトトランジスタ(Tr1)のしきい値近傍の電圧であり、この中間電位の印加によって、第1のセレクトトランジスタ(Tr1)は僅かにオンとなり、負荷抵抗と見なすことができる状態となる。この作用により、トンネルウィンドウ直下の電位は、1書き込みセルでは、センストランジスタがオフであるため負荷抵抗を介してドレイン電位が現れ、0書き込みセルでは、センストランジスタがオンして低抵抗化するためソースの電位が現れるようになる。
【0051】
このような電圧印加により、半導体メモリへの書き込み状態がどのようなものでも、自己整合的にフローティングゲート(FG)とトンネルウィンドウ(TW)直下の拡散領域部分の電位差が小さくなる方向でバイアス変調されるので、半導体メモリの保持特性が向上する。
【0052】
上記実施例においては、ゲート一層型のEEPROMセルを例として説明したが、本発明は実施例の構造に限定されるものではない。すなわち、本発明は、メモリセルへのデータのアクセスが行われない定常状態のときに、メモリセルのデータ保持状態に応じてドレインの電位を決定するバイアス手段を有することが特徴であり、積層ゲート型のEEPROMにおいても適用可能である。