(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面に開口する凹部を有する平板状の支持基板に、前記支持基板の外形寸法より小さく前記凹部より大きい外形寸法を有する上板基板を前記凹部が閉塞されるように積層状態に接合する接合工程と、
該接合工程により前記支持基板に接合された前記上板基板の表面における前記凹部に対向する位置に発熱抵抗体を形成する抵抗体形成工程と、
前記上板基板における前記支持基板との接合面とは反対側の平坦な先端面を一対の電極の間から前記支持基板側とは反対側に突出させるように、前記上板基板を間に挟んで前記一対の電極を互いに前記上板基板と間隔を空けて配し、これら一対の電極を前記発熱抵抗体の両端に接続する電極形成工程とを含むサーマルヘッドの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上板基板と支持基板との接合面に空気の閉じ込めや微粒子による接合不良部(ボイド)があると、プリンタに使用した場合に上板基板の厚さが薄いために破壊や剥離が発生し、信頼性が低下するという問題がある。また、ボイドがあると製造時の歩留り低下の原因となる。さらに、サーマルプリンタには駆動電圧の低電圧化や長時間使用のための省電力化が要求され、サーマルヘッドにおける印字効率のさらなる向上が求められている。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、耐久性および信頼性が高く製造時の歩留りが向上するとともに、印字効率の向上を図ることができるサーマルヘッド、プリンタおよびサーマルヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、表面に開口部が形成された凹部を有する支持基板と、該支持基板の外形寸法より小さく前記開口部より若干大きい外形寸法を有し、前記支持基板の表面に積層状態に接合されて前記開口部を閉塞する上板基板と、該上板基板の表面における前記凹部に対向する位置に形成される発熱抵抗体と
、前記上板基板を間に挟んで互いに該上板基板と間隔を空けて配され、前記発熱抵抗体の両端に接続される一対の電極とを備え
、前記上板基板が、前記支持基板との接合面とは反対側に配される平坦な先端面と、前記接合面の外周から前記先端面の外周に向かって前記一対の電極の表面を超えて立ち上がる側面とを有し、前記先端面が前記一対の電極の間から前記支持基板側とは反対側に突出しているサーマル
ヘッドを提供する。
【0007】
本発明によれば、発熱抵抗体が表面に形成された上板基板は蓄熱層として機能する。また、支持基板における凹部の開口部が上板基板により閉塞されることで、上板基板と支持基板との間に空洞部が形成される。この空洞部は発熱抵抗体に対向する位置に配置されているので、発熱抵抗体で発生した熱を断熱する中空断熱層として機能する。したがって、発熱抵抗体において発生した熱のうち上板基板を介して支持基板側へ伝達される熱量を低減し、発熱抵抗体の上方へと伝達され印字等に利用される熱量を増大して熱効率を向上することができる。
【0008】
この場合において、上板基板の外形寸法を支持基板の外形寸法より小さく凹部の開口部より若干大きくすることで、上板基板に蓄積される熱容量を低減することができる。また、上板基板上に形成される発熱抵抗体を支持基板の表面における上板基板に覆われていない領域より積層方向に突出させ、感熱記録媒体に発熱抵抗体を積極的に接触させて接触圧力を高めることができる。これにより、印字効率を向上することができる。
【0009】
また、上板基板と支持基板との接合部分の面積を低減し、上板基板と支持基板とを熱融着等により直接接合した場合であっても空気の閉じ込めや微粒子によるボイドの発生を抑制することができる。これにより、耐久性および信頼性を向上するとともに製造時の歩留りを向上することができる。
【0010】
上記発明においては、前記上板基板
の側面が、
前記先端面の外周から前記支持基板の表面に向かって広がるように傾斜し
ていることとしてもよい。
【0011】
このように構成することで、上板基板の先端面全体でプラテンローラの荷重を受けることができ、上板基板の一部に集中荷重が発生してしまうのを防止することができる。また、上板基板の側面を外周から前記支持基板の表面に向かって広がるように傾斜させることにより、上板基板の先端面から側面に沿って発熱抵抗体を形成し易くすることができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記支持基板が、前記開口部の周囲に沿って積層方向に突出する段差部を有することとしてもよい。
このように構成することで、上板基板上に形成される発熱抵抗体と支持基板の表面における上板基板に覆われていない領域との段差を段差部の高さの分だけ大きくし、感熱記録媒体と発熱抵抗体との接触圧力をより高めることができる。また、上板基板の厚さを薄くし、断熱効果を高めて印字効率の向上を図ることができる。
【0013】
本発明の参考例としての発明においては、前記発熱抵抗体の両端に接続される一対の電極を備え、該一対の電極の間に位置する前記上板基板の表面に前記発熱抵抗体との積層方向に突出する凸部が形成されていることとしてもよい。
【0014】
このように構成することで、一対の電極に電圧を印加すると、発熱抵抗体における電極間の領域(発熱部)が発熱する。この場合において、上板基板の凸部により発熱抵抗体の発熱部が積層方向、すなわち、支持基板の凹部から離れる方向に突出した形状となり、発熱部と電極との段差を小さくすることができる。
【0015】
したがって、発熱部に感熱記録媒体を接触させた場合に、電極との段差により発熱部と感熱記録媒体との間に形成される空気層を低減し、発熱部において発生した熱を感熱記録媒体に効率的に伝達することができる。これにより、印字効率の向上を図ることができる。なお、上板基板の凸部により、発熱抵抗体の発熱部が電極より積層方向に突出していることが好ましい。このようにすることで、発熱部と感熱記録媒体との間の空気層を無くし、サーマルヘッド表面と感熱記録媒体とを密着させることができる。
【0016】
また、
本発明の参考例としての発明においては、前記凸部が、前記凹部に対向する領域内に形成されていることとしてもよい。
このように構成することで、上板基板における凸部が形成されていない厚さが薄い部分を空洞部に対向する領域内に配置し、上板基板に奪われてしまう熱量を低減して熱効率を向上することができる。
【0017】
また、
本発明の参考例としての発明においては、前記凸部が、前記凹部に対向する領域外に拡がることとしてもよい。
このように構成することで、凸部により上板基板における空洞部に対向する領域の厚さを厚くし、上板基板の強度を向上することができる。
【0018】
また、上記発明においては、前記支持基板と前記上板基板との間に配置され、前記支持基板と前記上板基板とを接着する接着層を備えることとしてもよい。
このように構成することで、表面粗さが大きく安価な支持基板および上板基板を用いた場合であっても、接着層により精度よく接合するとともに空気閉じ込めによるボイドを低減することができる。また、上板基板と支持基板とを熱融着等により直接接合する場合と比較して、接合時の加熱温度を低くすることができる。なお、接着層としては、例えば、樹脂等を用いることができる。
【0019】
本発明は、上記本発明のサーマルヘッドと、該サーマルヘッドの前記発熱抵抗体に感熱記録媒体を押し付けながら送り出す加圧機構とを備えるプリンタを提供する。
【0020】
本発明によれば、耐久性および信頼性が高く熱効率に優れるサーマルヘッドにより、上板基板の破損による故障を防止し、装置の信頼性を高めることができる。また、加圧機構により押し付けられる感熱記録媒体に発熱抵抗体で発生した熱を高効率で伝熱し、感熱記録媒体への印字時の消費電力を低減することができる。これにより、バッテリーの持続時間を長期化することができる。
【0021】
本発明は、表面に開口する凹部を有する平板状の支持基板に、前記支持基板の外形寸法より小さく前記凹部より大きい外形寸法を有する上板基板を前記凹部が閉塞されるように積層状態に接合する接合工程と、該接合工程により前記支持基板に接合された前記上板基板の表面における前記凹部に対向する位置に発熱抵抗体を形成する抵抗体形成工程と
、前記上板基板における前記支持基板との接合面とは反対側の平坦な先端面を一対の電極の間から前記支持基板側とは反対側に突出させるように、前記上板基板を間に挟んで前記一対の電極を互いに前記上板基板と間隔を空けて配し、これら一対の電極を前記発熱抵抗体の両端に接続する電極形成工程とを含むサーマルヘッドの製造方法を提供する。
【0022】
本発明によれば、接合工程において支持基板の外形寸法より小さく凹部より若干大きい外形寸法を有する上板基板を支持基板の表面に接合することで、蓄熱層として機能する上板基板の熱容量を低減し熱効率が高いサーマルヘッドを製造することができる。また、発熱抵抗体形成工程において上板基板上に形成する発熱抵抗体を支持基板の表面における上板基板に覆われていない領域より積層方向に突出させ、感熱記録媒体と発熱抵抗体との接触圧力を高めることができる。これにより、印字効率が高いサーマルヘッドを製造することができる。
【0023】
また、熱融着等により上板基板と支持基板とを直接接合した場合であっても、支持基板の表面全域に上板基板を接合する場合と比較して、上板基板と支持基板との接合部分にボイドが発生するのを抑制し、耐久性および信頼性が高く製造時の歩留りが向上するサーマルヘッドを製造することができる。なお、接合工程においては、上板基板と支持基板とを熱融着等により直接接合してもよいし、上板基板と支持基板との間に接着層を設けて接着により接合してもよい。
【0024】
本発明は、表面に開口する凹部を有する平板状の支持基板に前記凹部を閉塞するように平板状の上板基板を積層状態に接合する接合工程と、前記支持基板に接合された前記上板基板を薄板化する
とともに、該上板基板における前記支持基板との接合面とは反対側に平坦な先端面を形成する薄板化工程と、前記支持基板に接合された前記上板基板における前記凹部を閉塞する閉塞部分を残し、該閉塞部分より外側を除去する成形工程と、前記薄板化工程による薄板化および前記成形工程による成形が施された前記上板基板の表面における前記凹部に対向する位置に発熱抵抗体を形成する抵抗体形成工程と
、前記上板基板の前記先端面を一対の電極の間から前記支持基板側とは反対側に突出させるように、前記上板基板を間に挟んで前記一対の電極を互いに前記上板基板と間隔を空けて配し、これら一対の電極を前記発熱抵抗体の両端に接続する電極形成工程とを含むサーマルヘッドの製造方法を提供する。
【0025】
本発明によれば、接合工程において、製造やハンドリングが容易な厚さを有する上板基板を用いることができ、薄板化工程により支持基板の表面に所望の薄さの上板基板を形成することができる。また、成形工程において、上板基板における凹部の閉塞部分より外側を除去することで、支持基板の表面の一部に積層方向に突出する上板基板が形成される。
【0026】
したがって、上板基板の外形寸法を小さくし蓄熱層としての熱容量を低減するとともに、感熱記録媒体と発熱抵抗体との接触圧力を高めることができる。また、上板基板と支持基板との接合部分にボイドが発生していたとしても除去することができる。これにより、耐久性および信頼性が高く、製造時の歩留りが向上するとともに印字効率が高いサーマルヘッドを製造することができる。
【0027】
上記発明においては、前記成形工程が、前記支持基板の表面における前記上板基板に覆われていない領域を所定の厚さまで除去することとしてもよい。
このように構成することで、上板基板上に形成される発熱抵抗体と支持基板の表面における上板基板に覆われていない領域との段差を大きくし、感熱記録媒体と発熱抵抗体との接触圧力を高めることができるサーマルヘッドを製造することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、耐久性および信頼性が高く製造時の歩留りが向上するとともに、印字効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係るサーマルヘッド、プリンタおよびサーマルヘッドの製造方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るサーマルプリンタ(プリンタ)10は、
図1に示すように、本体フレーム2と、水平配置されるプラテンローラ4と、プラテンローラ4の外周面に対向配置されるサーマルヘッド1と、プラテンローラ4とサーマルヘッド1との間に感熱紙(感熱記録媒体)3等の印刷対象物を送り出す紙送り機構6と、感熱紙3に対してサーマルヘッド1を所定の押圧力で押し付ける加圧機構8とを備えている。
【0031】
プラテンローラ4には、加圧機構8の作動により、サーマルヘッド1および感熱紙3が押し付けられるようになっている。これにより、プラテンローラ4の荷重が感熱紙3を介してサーマルヘッド1に加えられるようになっている。
【0032】
サーマルヘッド1は、
図2および
図3に示すように、基板本体13と、基板本体13上に設けられた複数の発熱抵抗体15と、基板本体13上の各発熱抵抗体15の両端に接続された一対の電極部17A,17Bと、基板本体13の表面の一部、発熱抵抗体15および電極部17A,17Bを覆う保護膜19とを備えている。なお、矢印Yは、プラテンローラ4による感熱紙3の送り方向を示している。
【0033】
基板本体13は、アルミ等の金属、樹脂、セラミックスまたはガラス等からなる板状部材の放熱板21に固定されており、放熱板21を介して放熱することができるようになっている。この基板本体13は、放熱板21に固定される平板状の支持基板12と、支持基板12の表面に積層状態に接合される略平板状の上板基板14とにより構成されている。
【0034】
支持基板12は、例えば、300μm〜1mm程度の厚さを有する絶縁性のガラス基板またはセラミックス基板等である。支持基板12には、上板基板14との接合面に開口部23aを有する凹部23が形成されている。凹部23は、支持基板12の長手方向に沿って延びる矩形状に形成されている。
【0035】
上板基板14は、10〜100μm程度の厚さを有する略矩形状のガラス基板である。上板基板14と支持基板12は、互いに同じ材料からなるガラス基板かあるいは性質が近い基板を用いることが望ましい。この上板基板14は、支持基板12の幅寸法より小さく凹部13の幅寸法(Lc)より若干大きい幅寸法を有し、凹部23の開口部23aを閉塞するように配置されている。
【0036】
具体的には、上板基板14は、支持基板12との接合面が開口部23aの幅寸法(Lc)より若干大きい幅寸法(Lm1)を有している。上板基板14の接合面のうち開口部23aの幅方向の外側にはみ出る領域(接合領域)の幅寸法(Lb)は、それぞれ凹部23の幅寸法(Lc)以下であることが望ましい。
【0037】
また、上板基板14は、支持基板12との接合面とは反対側に平坦な先端面14aを有している。また、上板基板14の側面14bは、先端面14aの外周から支持基板12の表面に向かって広がるように傾斜している。すなわち、上板基板14は、先端面14aの幅寸法(Lm2)が接合面の幅寸法(Lm1)より小さい形状を有している。また、上板基板14は、電極部17A,17Bの高さより高く形成されている。
【0038】
上板基板14の先端面14aおよび両側面14bには、複数の発熱抵抗体15が幅方向に覆うように形成されている。この上板基板14は、表面に発熱抵抗体15が設けられることにより、発熱抵抗体15において発生した熱の一部を蓄える蓄熱層として機能する。
【0039】
発熱抵抗体15は、支持基板12の表面から上板基板14の両側面14bおよび先端面14aに沿って形成され、支持基板12の凹部23を幅方向に跨ぐように配置されている。また、発熱抵抗体15は、上板基板14の長手方向(支持基板12の凹部23の長手方向)に沿って所定の間隔をあけて複数配列されている。
【0040】
発熱抵抗体15には、支持基板12の表面上に位置する両端部に電極部17A,17Bがそれぞれ接続されている。この発熱抵抗体15は、電極部17A,17B間に位置する部分、すなわち、凹部23のほぼ真上に位置する部分が発熱領域となる。以下、発熱抵抗体15の発熱領域を発熱部15aという。
【0041】
電極部17A,17Bは、発熱抵抗体15に電力を供給し発熱部15aを発熱させるようになっている。この電極部17A,17Bは、各発熱抵抗体15の長手方向の一端に接続される共通電極17Aと、各発熱抵抗体15の他端に接続される複数の個別電極17Bとにより構成されている。共通電極17Aは全ての発熱抵抗体15に一体的に接続され、各個別電極17Bは発熱抵抗体15ごとに個別に接続されている。
【0042】
保護膜19は、発熱抵抗体15および電極部17A,17Bを磨耗や腐食から保護する。この保護膜19は、上板基板14や電極部17A,17Bの段差に沿って凹凸を有する表面形状を有している。保護膜19の表面は、発熱抵抗体15の発熱部15aを覆う部分(この部分が印字部分となる。)が支持基板12の表面や電極部17A,17Bを覆う他の部分より積層方向に突出した凸形状を有している。
【0043】
このように構成されたサーマルヘッド1は、支持基板12の凹部23の開口部23aが上板基板14により閉塞されることで、上板基板14の直下、すなわち、発熱抵抗体15の発熱部15aの真下に空洞部27が形成される。空洞部27は、全ての発熱抵抗体15に対向する連通構造を有し、発熱部15aにおいて発生した熱が上板基板14から支持基板12側へ伝達されるのを抑制する中空断熱層として機能するようになっている。
【0044】
次に、このように構成されたサーマルヘッド1の製造方法について説明する。
本実施形態に係るサーマルヘッド1の製造方法は、基板本体13を形成する工程および基板本体13に発熱抵抗体15等を形成する工程を有している。基板本体13を形成する工程は、支持基板12に凹部23を形成する凹部形成工程SA1と、支持基板12と上板基板14とを接合する接合工程SA2と、上板基板14を薄板化する薄板化工程SA3と、上板基板14を成形する成形工程SA4とを含んでいる。また、発熱抵抗体15等を形成する工程は、基板本体13に発熱抵抗体15を形成する抵抗体形成工程SA5と、電極部17A,17Bを形成する電極部形成工程SA6と、保護膜19を形成する保護膜形成工程SA7とを含んでいる。
【0045】
以下、各工程について
図4のフローチャートを参照して具体的に説明する。
まず、凹部形成工程SA1においては、
図5(a)に示すように、平板状の支持基板12の表面において、抵抗体形成工程SA4により形成される発熱抵抗体15が対向することとなる位置に凹部23を形成する。凹部23は、例えば、支持基板12の一面にサンドブラスト、ドライエッチング、ウェットエッチング、レーザー加工等を施すことにより形成する。
【0046】
続いて、接合工程SA2においては、
図5(b)に示すように、支持基板12の開口部23aを有する表面に、例えば、100μm以上の厚さを有する平板状の薄板ガラス(上板基板)14を接合する。上板基板14により凹部23の開口部23aが覆われることで支持基板12と上板基板14との間に空洞部27が形成される。凹部23の深さにより空洞部27の厚さが決定されるので、空洞部27による中空断熱層としての厚さを容易に制御することができる。
【0047】
接合方法としては、例えば、熱融着による支持基板12と上板基板14との直接接合が挙げられる。例えば、室温で支持基板12と上板基板14を張り合わせた後、高温で熱融着する。これにより、十分な強度で接合することができる。なお、上板基板14の変形を防ぐために軟化点以下で接合することが望ましい。
【0048】
ここで、空気閉じ込めにより凹部23周辺にボイドが発生したとしても、支持基板12と上板基板14との接合部分に閉じ込められた空気を凹部23に移動させてボイドを消滅させることができる。したがって、凹部23の開口部23a周辺の接合領域におけるボイドを低減することができる。
【0049】
続いて、薄板化工程SA3においては、
図5(c)に示すように、上板基板14をエッチングや研磨等によって所望の薄さとなるように薄板化する。また、上板基板14の先端面14aを平坦な形状にする。上板基板14の薄板化には、凹部形成工程SA2において凹部23の形成に採用される各種エッチングを用いることができる。また、上板基板14の研磨には、例えば、半導体ウェーハ等の高精度研磨に用いられるCMP(ケミカルメカニカルポリッシング)等を用いることができる。
【0050】
ここで、上板基板14として100μm以下の厚さのものは、製造やハンドリングが困難であり、また、高価である。そこで、接合工程SA2において当初から厚さが薄い上板基板14を支持基板12に接合する代わりに、製造やハンドリングが容易な厚さの上板基板14を支持基板3に接合し、その後、薄板化工程SA3により上板基板14を薄板化することで、支持基板12の表面に容易かつ安価に、ごく薄い上板基板14を形成することができる。
【0051】
続いて、成形工程SA4においては、
図5(d)に示すように、上板基板14における支持基板12の開口部23aを閉塞する閉塞部分を残し、閉塞部分より外側を除去する。この場合において、上板基板14の側面14bを先端面14aの外周から支持基板12の表面に向かって広がるように傾斜する形状に形成する。上板基板14の成形は、例えば、上板基板14の表面にドライエッチングまたはウェットエッチング等を施すことにより行う。
【0052】
ここで、上板基板14を支持基板12の外形寸法より小さく凹部23より若干大きい外形寸法にすることで、支持基板12と上板基板14との接合部分の面積を低減し、ボイドを減少することができる。また、支持基板12と上板基板14との接合領域の幅寸法(Lb)を凹部23の幅寸法(Lc)以下にすることで、ボイドを極力減少することができる。
【0053】
上記の各工程により、支持基板12の表面の一部に、すなわち、支持基板12の表面における空洞部27の直上に凸形状の上板基板14が積層状態に配置された基板本体13が形成される。
【0054】
次に、抵抗体形成工程SA5においては、
図5(e)に示すように、支持基板12の表面の一部と上板基板14の先端面14aおよび側面14bを部分的に覆うように複数の発熱抵抗体15を形成する。また、電極部形成工程SA6においては、
図5(f)に示すように、発熱抵抗体15の両端に共通電極17Aおよび個別電極17Bをそれぞれ接続する。そして、保護膜形成工程SA7においては、
図5(g)に示すように、支持基板12の表面に配置された上板基板14、発熱抵抗体15および電極部17A,17Bを覆うように保護膜19を形成する。
【0055】
これら抵抗体形成工程SA5、電極部形成工程SA6、および、保護膜形成工程SA7においては、従来のサーマルヘッドの製造方法と同様の方法により、それぞれ発熱抵抗体15、電極部17A,17Bおよび保護膜19を形成することができる。
【0056】
以上の各工程により、発熱抵抗体15の発熱部15aを覆う保護膜19の表面の印字部分が、支持基板12の表面や電極部17A,17Bを覆う保護膜19の他の部分の表面より積層方向に突出したサーマルヘッド1が完成する。
【0057】
次に、このように製造されたサーマルヘッド1およびサーマルプリンタ10の作用について説明する。
本実施形態に係るサーマルプリンタ10を用いて感熱紙3に印画するには、まず、サーマルヘッド1の個別電極17Bに選択的に電圧を印加する。これにより、選択された個別電極17Bとこれに対向する共通電極17Aとが接続されている発熱抵抗体15に電流が流れ、発熱抵抗体15の発熱部15aが発熱する。
【0058】
この場合において、サーマルヘッド1は、空洞部23が中空断熱層として機能することにより、発熱部15aにおいて発生した熱のうち上板基板14を介して支持基板12側へ伝達される熱量を低減し、発熱抵抗体15の上方へと伝達され印字等に利用される熱量を増大して熱効率の向上を図ることができる。また、上板基板14が凹部23の開口部23aより若干大きい程度の大きさなので、上板基板14に蓄積される熱容量を低減することができる。
【0059】
続いて、加圧機構8を作動し、プラテンローラ4により送り出される感熱紙3に向けてサーマルヘッド1を押し付ける。プラテンローラ4は発熱抵抗体15の配列方向に平行な軸回りに回転し、発熱抵抗体15の配列方向に直交するY方向に向かって感熱紙3を送り出す。この感熱紙3に対して、発熱抵抗体15の発熱部15aを覆う保護膜19の表面の印字部分を押し付けることにより、感熱紙3が発色して印字される。
【0060】
この場合において、発熱部15aを覆う保護膜19の表面の印字部分が保護膜の19の他の部分の表面より積層方向に突出した凸形状に形成されているので、保護膜19表面の印字部分を感熱紙3に積極的に接触させて接触圧力を高めることができる。これにより、印字効率を向上することができる。
【0061】
また、支持基板12と上板基板14との接合部分の面積が小さいので、ボイド等による欠陥が少なくサーマルヘッド1の耐久性および信頼性が高い。したがって、上板基板14の破損による故障を防止することができ、サーマルプリンタ10の信頼性を高めることができる。また、発熱部15aにおいて発生した熱を感熱紙3に高効率で伝熱することができ、印字時の消費電力を低減しバッテリーの持続時間を長期化することができる。
【0062】
なお、本実施形態においては、上板基板14が平坦な先端面14aを有することとしたが、
本発明の参考例としての発明の第1参考実施例としては、例えば、
図6に示すように、上板基板15の接合面とは反対側の面を蒲鉾型の形状としてもよいし、または、お椀型の形状としてもよい。この場合、上板基板14の形状と同様に、発熱抵抗体15および保護膜19を蒲鉾型またはお椀型の形状に形成することとすればよい。このような形状にしても熱効率を向上することができる。
【0063】
また、本実施形態においては、薄板化工程SA3および成形工程SA4により上板基板14を薄板化および成形することとしたが、これに代えて、あらかじめ所望の薄さの上板基板14を採用したり、所望の厚さおよび形状に形成された上板基板14を採用したりし、薄板化工程SA3や成形工程SA4を省くこととしてもよい。
【0064】
なお、本実施形態は、以下のように変形することができる。
例えば、本実施形態においては、薄板化工程SA3により薄板化した上板基板14を成形工程SA4により成形することとしたが、第1の変形例としては、薄板化工程SA3と成形工程SA4の順序を入れ替えてもよい。
【0065】
具体的には、
図7(a)に示すように、薄板化する前の上板基板14に対して、成形工程により支持基板12の開口部23aを閉塞する閉塞部分を残し、閉塞部分より外側を所定の厚さまで除去し、その後、
図7(b)に示すように、薄板化工程により上板基板14をウェットエッチングで所望の薄さまで薄板化することとしてもよい。このようにすることで、成形工程において上板基板14の厚さが加工し易い状態で成形することができる。また、ウェットエッチングにより薄板化することで、成形工程により成形された上板基板14の凸形状をそのまま残すことができる。
【0066】
また、本実施形態においては、支持基板12の表面上に位置する発熱抵抗体15の両端部に電極部17A,17Bを接続することとしたが、
本発明の参考例としての発明の第2参考実施例としては、例えば
、図8および
図9に示すように、上板基板14の先端面14a上に配置される発熱抵抗体15の表面まで電極部17A,17Bを延ばすこととしてもよい。この場合、発熱部17A,17Bを上板基板14の側面14bに沿って配置することとすればよい。
【0067】
このようにすることで、電極部17A,17B間の幅寸法(Lr)を小さくして発熱部15aを凹部23に対向する領域内に配置し、上板基板14の先端面14a上に発熱部15aを設けることができる。したがって、発熱部15aにおいて発生した熱のうち支持基板12に直接奪われてしまう熱量を低減することができ、熱効率を向上することができる。
【0068】
また、
本発明の参考例としての発明の第3参考実施例としては、例えば、
図10および
図11に示すように、上板基板14が、先端面14aに発熱抵抗体15との積層方向に突出する凸部33を有することとしてもよい。以下、上板基板14の下層を第1の凸部31、上板基板14の上層を第2の凸部33という。
【0069】
この場合、第2の凸部33は、第1の凸部31との境界部分が先端面14aの幅寸法(Lm2)および電極部17A,17B間の幅寸法(Lr)より小さい幅寸法(Lm3)を有し、先端部分がさらに小さい幅寸法(Lm4)を有することとすればよい。また、発熱抵抗体15は第1の凸部31および第2の凸部33の形状に沿って形成し、電極部17A,17Bを第1の凸部31の先端面14aまで延ばすこととすればよい。また、保護膜19は、第1の凸部31および第2の凸部33の形状に沿って凹凸を有する形状とすればよい。
【0070】
このようにすることで、第2の凸部33により発熱抵抗体15の発熱部15aが積層方向、すなわち、空洞部27から離れる方向に突出した凸形状となり、発熱部15aと電極部17A,17Bとの段差を小さくすることができる。したがって、発熱部15aに感熱紙3を接触させた場合に、電極部17A,17Bとの段差により発熱部15aと感熱紙3との間に形成される空気層を低減し、発熱部15aにおいて発生した熱を感熱紙3に効率的に伝達することができる。これにより、印字効率の向上を図ることができる。
【0071】
なお、第2の凸部33により、発熱抵抗体15の発熱部15aが電極部17A,17Bより積層方向に突出していることが好ましい。このようにすることで、発熱部15aと感熱紙3との間の空気層を無くし、保護膜19表面の印字部分と感熱紙3とを密着させることができる。また、第2の凸部33を空洞部27に対向する領域内に配置することが好ましい。このようにすることで、上板基板14における第2の凸部33が形成されていない部分、すなわち、第1の凸部31のみからなる厚さが薄い部分を空洞部27に対向する領域内に配置し、上板基板14に奪われてしまう熱量を低減して熱効率を向上することができる。
【0072】
本参考実施例に係るサーマルヘッド1の製造方法は、成形工程が、第2の凸部33を形成する第1成形工程および第1の凸部31を形成する第2成形工程を有することとすればよい。具体的には、第1成形工程においては、
図12(a)に示すように、薄板化工程SA3により薄板化された薄板ガラス(上板基板14)の表面にドライエッチング、ウェットエッチング等を施し、空洞部27の直上に位置する領域に第2の凸部33を形成することとすればよい。第2の凸部33の高さは、電極部形成工程SA6により形成される電極部17A,17Bの厚さによって決定し、例えば、0.5〜3μmとする。
【0073】
また、第2成形工程においては、
図12(b)に示すように、上板基板14にドライエッチング、ウェットエッチング等を施し、凹部23を閉塞する第1の凸部31の閉塞部分を残し、閉塞部分より外側を除去することとすればよい。
なお、
本参考実施例においては、第2の凸部33を空洞部27に対向する領域内に配置することとしたが、例えば、
図13に示すように、第2の凸部33を空洞部27に対向する領域より外側に拡がるように形成することとしてもよい。このようにすることで、第2の凸部33により上板基板14における空洞部27に対向する領域の厚さを厚くし、上板基板14の強度を向上することができる。
【0074】
また、
本実施形態の第2の変形例としては、例えば
、支持基板12が、開口部23aの周囲に沿って積層方向に突出する段差部35を有することとしてもよい。すわなち、支持基板12における上板基板14との接合部分より外側の厚さを薄くすることとしてもよい。このようにすることで、上板基板14上に形成される発熱抵抗体15と支持基板12の表面における上板基板14に覆われていない領域との段差を段差部35の高さの分だけ大きくし、発熱部15aと感熱紙3との接触圧力を高めることができる。また、上板基板14の厚さをより薄くし、断熱効果を高めて印字効率の向上を図ることができる。
図14は、本変形例に対応する参考例としての発明の第4参考実施例に係るサーマルヘッドの縦断面図である。
【0075】
本変形例に係るサーマルヘッド1の製造方法は、
図15に示すように、成形工程SA4において、支持基板12の凹部23を閉塞する上板基板14の閉塞部分より外側を除去するとともに、支持基板12の表面における上板基板14に覆われていない領域も部分的に除去し厚さを薄くすることとすればよい。
【0076】
この場合、支持基板12の段差部35の側面と上板基板14の側面14bとをほぼ面一にすることが好ましい。このようにすることで、段差部35の側面および上板基板14の側面14bに沿って発熱抵抗体15を容易に形成することができる。また、支持基板12および上板基板14に同じ材質のガラス基板を採用し、接合工程において接着層を用いずに直接接合することが望ましい。このようにすることで、この構造を容易に実現することができる。
【0077】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係るサーマルヘッド、プリンタおよびサーマルヘッドの製造方法について説明する。
本実施形態に係るサーマルヘッド101は、
図16に示すように、支持基板12と上板基板14との間に配置され、支持基板12と上板基板14とを接着する接着層103を備える点で第1の実施形態と異なる。
以下、第1の実施形態に係るサーマルヘッド1、サーマルプリンタ10およびサーマルヘッドの製造方法と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
接着層103は、支持基板12と上板基板14の接合領域、すなわち、支持基板12の開口部23周辺に配置されている。サーマルヘッド101は動作時に発熱抵抗体15の発熱部15aの温度が200℃〜300℃程度まで上昇するため、接着層103を構成する接着剤として発熱部15aの温度に耐えられる高耐熱性材料を用いることが望ましい。具体的には、接着層103として、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等の高分子樹脂材料からなるものを用いる。
【0079】
ここで、一般的に、サーマルヘッドの保護膜に使用される材料は内部応力が非常に大きい。例えば、スパッタ法で成膜されたSiAlONは−500〜−2000MPaの内部応力(圧縮応力)を有する。そのため、保護膜により上板基板には強い引っ張り応力が加わる。その結果、剛性が低い樹脂等の接着層で接合された上板基板は保護膜の応力に耐えられず、上板基板に亀裂が発生することがある。また、発生した亀裂が上板基板全体に拡大することがある。例えば、参考例として、接着層を挟んで支持基板の表面全域に上板基板が接合されて構成されるサーマルヘッドは、外力により上板基板に亀裂が発生する確率が高くなり、上板基板の大部分の領域に亀裂が拡大することがある。
【0080】
本実施形態に係るサーマルヘッド101は、支持基板12と上板基板14との接合領域を支持基板12の開口部23aの周囲に限定することで、上板基板14への亀裂の発生を抑制することができる。したがって、支持基板の表面全域に上板基板を接合して構成される参考例に係るサーマルヘッドと比較して、高い信頼性および耐久性を両立することができる。
なお、本実施形態に係るサーマルヘッド101は、サーマルプリンタ10に用いることができる。
【0081】
次に、このように構成されたサーマルヘッド101の製造方法について説明する。
本実施形態に係るサーマルヘッド101の製造方法は、
図17のフローチャートに示されるように、凹部形成工程SA1と接合工程SA2との間に接着層形成工程SB1を有するとともに、成形工程SA4が終了した後に余分な接着層103を除去する接着層除去工程SB2とを含んでいる。以下、各工程について具体的に説明する。
【0082】
接着層形成工程SB1においては、
図18(a)に示すように、支持基板12と薄板ガラス(上板基板14)との間に所定パターンの接着層103を形成する。例えば、支持基板12の表面に接着剤を塗布し、スクリーン印刷もしくはフォトリソグラフィを用いたパターニングによって接着層103を形成する。
【0083】
接合工程SA2においては、直接接合に代えて、
図18(b)に示すように、支持基板12と上板基板14とを積層方向に接着層103を挟んで張り合わせて接着により接合する。
成形工程SA4においては、
図18(c)に示すように、上板基板14における閉塞部分より外側を除去する際に接着層103がエッチングストップ層として機能する。
【0084】
次に、接着層除去工程SB2においては、
図18(d)に示すように、支持基板12の表面に露出している接着層103を除去する。なお、樹脂は電気的に絶縁材料であるから残してもよいが、保護膜19による応力に弱いため、本実施形態においては余分な接着層103を除去する。
【0085】
ここで、参考例として、支持基板と上板基板とを直接接合する場合、ボイドの発生は支持基板および上板基板の表面粗さに影響され、表面粗さが大きいほどボイド数は増加し、また、ボイドが大きくなる。ボイドの発生を防ぐには、支持基板および上板基板の表面粗さを1nm以下に抑えることが好ましい。
【0086】
本実施形態に係るサーマルヘッド101の製造方法は、接合工程SA2において支持基板12と上板基板14とを樹脂等の接着層103を用いて接合することで、空気閉じ込めによるボイドを防ぐことができる。また、表面粗さが大きく安価な支持基板12および上板基板14を使用したり、接合時の加熱温度を低くしたりすることができる。
【0087】
また、他の参考例として、接着層を挟んで支持基板の表面全域に上板基板が接合されて構成されるサーマルヘッドは、ダイサーやスクライバーなどによる素子分割時に上板基板の端面に多くのクラックが発生することがある。
【0088】
本実施形態に係るサーマルヘッド101の製造方法は、成形工程SA4において、ウェットエッチングまたはドライエッチングを用いて上板基板14を支持基板12の外形寸法より小さくすることにより、上板基板14の端面にクラックが発生するのを防ぐことができる。したがって、保護膜19の応力による上板基板14の亀裂の発生を防止し、信頼性および耐久性が高いサーマルヘッド101を製造することができる。また、成形工程SA4において、接着層103がエッチングストップ層として機能することにより上板基板14の厚さを容易に制御することができる。
【0089】
なお、本実施形態においては、薄板化工程SA3後に成形工程SA4を行う方法を例示して説明したが、例えば、成形工程後に薄板化工程を行うこととしてもよく、その場合には薄板化工程後に接着層除去工程SB2を行うこととすればよい。
【0090】
また、本実施形態は以下のように変形することができる。
例えば、本実施形態においては上板基板14の接合面における凹部23に対向する領域に接着層103を形成しないが、
図19に示すように、上板基板14の接合面全域に接着層103を形成することとしてもよい。このようにすることで、接着層形成工程SB1において所定のパターニングを行う必要がなく、工程を簡略化することができる。なお、一般的に、樹脂材料の熱伝導率はガラス材料の1/3程度であり、樹脂からなる接着層103の厚さを上板基板14の厚さの1/3以下に抑えれば、上板基板14の接合面における凹部23に対向する領域に接着層103がない場合と比較して蓄熱層の熱コンダクタンスの上昇を10%程度に抑えることができ、断熱特性を大きく損なうことはない。