(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
拡散しない光(LX)を照射する照射装置(2)と、当該拡散しない光(LX)を受光する受光装置(6)とを複数の油種を取り扱う給油系統(5、27、23)に設けた給油装置の検出装置において、前記受光装置(6)が前記拡散しない光(LX)を受光した位置から油種を決定する制御ユニット(8)を設け、当該制御ユニット(8)は照射装置(2)から照射された前記拡散しない光(LX)を受光装置(6)が受光すると(S1)、受光位置決定ブロック(12)により受光装置(6)において前記拡散しない光(LX)が受光された位置を決定し(S2)、その受光位置と記憶ブロック(11)からのデータに基づいて給油系統(5、27、23)を流れる油の屈折率を決定し(S3)、屈折率決定ブロック(13)から伝達された屈折率と記憶ブロック(1)から伝達されたデータに基づいて油種決定ブロック(14)が油種を決定し(S4)、警報判定ブロック(15)により油種決定ブロック(14)に決定された油種と油種発信手段(16)から伝達された油種とを比較し(S5)、油種が異なっている場合は、給油停止手段(18)が給油作業を停止する(S6)機能を有し、さらに前記受光装置(6)が拡散しない光(LX)を受光した受光量から給油系統(5、27、23)の油中に混入した異物の混入率を決定する機能を有する制御ユニット(8A)を設け、当該制御ユニット(8A)は照射装置(2)から照射された拡散しない光(LX)が受光装置(6)に入力して当該受光装置(6)から受光信号が入力されると(S11)、受光量演算ブロック(42)で受光量を演算し(S12)、前記受光量演算ブロック(42)で演算された受光量と、受光量と混入率の関係を示す記憶ブロック(41)からのデータとに基づいて混入率演算ブロック(43)により異物混入率を演算し(S13)、変動量演算ブロック(44)でタイマ(45)の計時信号と前記受光量演算ブロック(42)で求められた受光量により変動量を演算し(S14)、前記変動量と前記記憶ブロック(41)からの変動量のしきい値を比較し(S15)、前記変動量がしきい値より大きい場合は異物が空気であると判定し(S16)、小さい場合は異物は水であると判断し(S17)、警報判定ブロック(47)において前記異物混入率と記憶ブロック(41)から伝達された異物混入警報のしきい値および給油停止のしきい値とを比較し(S18)、異物混入率が警報のしきい値より小さい場合は問題がないと判断し、大きい場合は異物混入率と給油停止のしきい値と比較し(S19)、異物混入率が給油のしきい値より小さい場合は警報を発し(S21)、大きい場合は給油作業を停止する(S20)機能を有することを特徴とする検出装置。
【背景技術】
【0002】
給油所で取り扱っている油としては、例えば、自動車の燃料としてのガソリン、軽油、暖房用の燃料としての灯油がある。これらの油は、給油所の地下に設けられた貯油タンクにそれぞれ貯溜され、給油装置により顧客に販売される。
ここで、軽油用の自動車へ間違えてガソリンを給油した場合や、ガソリン用の自動車へ間違えて軽油を給油してしまった場合には(誤給油をした場合)、エンジントラブルを招き、交通事故の原因になる恐れがある。
また、灯油を買いに来た顧客のタンクにガソリンを間違えて給油し、この油を暖房機へ補給してしまうと、火災事故を起こす可能性が存在する。
【0003】
このような誤給油が行われてしまった場合には、購入した顧客が判明している場合は顧客へ連絡し、不明の場合は監督官庁へ連絡して協力を仰ぎ、広報活動により購入者を見つけて連絡し、事故を未然に防ぐ必要がある。
何れの場合においても多大な労力が必要である。そして、何らかの事故が生じる以前の段階で処置出来れば良いが、購入者への連絡が遅延してしまうと上述した様な事故の原因となってしまう恐れが存在する。
また、給油所の貯油タンクへ油の補給するに際しては、タンクローリにより行なわれる。この際に、タンクローリから地下タンクへ荷卸しする油種を間違えてしまうと、地下タンク内で複数種類の油が混合されてしまう。そして、誤って荷降しされたことに気付かずに油を販売してしまうと、上述した様な事故の原因となってしまう恐れがある。
【0004】
従来技術として、例えば、燃焼式ガスセンサーや半導体式ガスセンサーでベーパ濃度を検出し、濃度差を利用して油種を判別する技術が存在する(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)では判定不能な場合が存在する。また、水抜き剤を使用している場合には、水抜き剤の蒸気圧が高くなりベーパ濃度が高くなると、誤作動して、油種を誤って判断してしまう恐れが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、給油装置で用いられる検出装置であって、取り扱われている油の種類を判別して、誤った油種が取り扱われた場合に速やかに対処することが出来る検出装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、拡散しない光(LX)を照射する照射装置(2)と、当該拡散しない光(LX)を受光する受光装置(6)とを複数の油種を取り扱う給油系統(5、27、23)に設けた給油装置の検出装置において、前記受光装置(6)が前記拡散しない光(LX)を受光した位置から油種を決定する制御ユニット(8)を設け、当該制御ユニット(8)は照射装置(2)から照射された前記拡散しない光(LX)を受光装置(6)が受光すると(S1)、受光位置決定ブロック(12)により受光装置(6)において前記拡散しない光(LX)が受光された位置を決定し(S2)、その受光位置と記憶ブロック(11)からのデータに基づいて給油系統(5、27、23)を流れる油の屈折率を決定し(S3)、屈折率決定ブロック(13)から伝達された屈折率と記憶ブロック(1)から伝達されたデータに基づいて油種決定ブロック(14)が油種を決定し(S4)、警報判定ブロック(15)により油種決定ブロック(14)に決定された油種と油種発信手段(16)から伝達された油種とを比較し(S5)、油種が異なっている場合は、給油停止手段(18)が給油作業を停止する(S6)機能を有し、さらに前記受光装置(6)が拡散しない光(LX)を受光した受光量から給油系統(5、27、23)の油中に混入した異物の混入率を決定する機能を有する制御ユニット(8A)を設け、当該制御ユニット(8A)は照射装置(2)から照射された拡散しない光(LX)が受光装置(6)に入力して当該受光装置(6)から受光信号が入力されると(S11)、受光量演算ブロック(42)で受光量を演算し(S12)、前記受光量演算ブロック(42)で演算された受光量と、受光量と混入率の関係を示す記憶ブロック(41)からのデータとに基づいて混入率演算ブロック(43)により異物混入率を演算し(S13)、変動量演算ブロック(44)でタイマ(45)の計時信号と前記受光量演算ブロック(42)で求められた受光量により変動量を演算し(S14)、前記変動量と前記記憶ブロック(41)からの変動量のしきい値を比較し(S15)、前記変動量がしきい値より大きい場合は異物が空気であると判定し(S16)、小さい場合は異物は水であると判断し(S17)、警報判定ブロック(47)において前記異物混入率と記憶ブロック(41)から伝達された異物混入警報のしきい値および給油停止のしきい値とを比較し(S18)、異物混入率が警報のしきい値より小さい場合は問題がないと判断し、大きい場合は異物混入率と給油停止のしきい値と比較し(S19)、異物混入率が給油のしきい値より小さい場合は警報を発し(S21)、大きい場合は給油作業を停止する(S20)機能を有している。
【発明の効果】
【0011】
上述する構成を具備する本発明によれば、前記拡散しない光(LX:例えばレーザ光)は、給油系内の油の屈折率により油内を透過する経路が変化し、前記受光装置(6)が拡散しない光(LX)を受光する位置(ピンポイントな位置、点状の位置)は、給油系内の油の屈折率により変動する。
そのため、受光装置(6)において前記拡散しない光(LX)を受光した位置から、給油系内の油の屈折率を求めることが出来る。そして、給油系内の油の屈折率が求まれば、その油種も決定される。
これにより本発明によれば、給油系内の油を監視して、その油種を判別することが出来る。
【0012】
本発明において、受光装置(6)が拡散しない光(LX)を受光した位置から油種を決定する機能を有する制御ユニット(8)を設け、受光装置(6)の検出信号を制御ユニット(8)に伝えるように構成すれば、受光装置(6)の受光位置から直ちに油種を識別することが出来る。
異なる種類の油が混合してしまった場合でも、その混合率により屈折率は変動する。そして、前記給油系内の油の屈折率の履歴を保存して、屈折率の変動を過去の履歴と比較することにより、異なる種類の油が混合している状態であるのか否かを判断することが出来る。
【0013】
そして本発明の検出装置において、前記給油系が給油所(21:ガソリンスタンド等)の貯油タンク(25)に連通する注油管であれば、例えばタンクローリ(31)から貯油タンク(22)に荷卸しする際に誤った油種が貯油タンク(22)に供給されてしまった場合(いわゆる「コンタミ」が生じた場合)においても、注油管(23)に入った油の屈折率から直ちに誤った油種が供給されていることを検知して、荷卸し停止等の必要な処理を実行することが出来る。
【0014】
ここで、給油所(21)において、豪雨の影響で多量の水が地下に設けられた貯油タンク(22)に流入してしまう場合がある。また、配管工事や腐食に起因して配管(例えば注油管23)中にクラックや穴が出来てしまい、そこから水が浸入してしまう場合もある。
この様な各種原因により水が混入してしまうと、水を含んだ燃料油を車両に給油し、その(水を含んだ)燃料油がエンジンの燃焼室に流入した場合、燃焼不良によるノッキングやエンジン停止、場合によってはエンジン破損という最悪の事態に至る恐れがある。
【0015】
そして、燃料油に水が混入したことを検知できないまま、当該燃料油(水が混入した燃料油)を販売してしまうと、販売顧客データを調べて顧客一人一人へ連絡する必要があり、また、監督官庁へ通報する等、その処理あるいは対応に多大な労力を費やさなければならない。
【0016】
一方、燃料油に空気が混入してしまった場合には、流量計で計測された燃料供給量(計測値:表示値)よりも、実際に車両等に給油された量(実給油量)が少なくなってしまうので、計量精度の問題が生じてしまう。
この様に、地下の貯油タンク、地下配管系のトラブル、特に燃料に水や空気が混入してしまうと深刻な問題を生じる恐れがあるため、特に車両給油前に監視して、速やかに対処することが望まれている。
【0017】
本発明において、前記制御ユニット(8)が、受光装置(6)が拡散しない光を受光した受光量から、給油系内の油中に混入している異物(水、空気)の混入率を決定する機能を有していれば、流路内の油に異物が混入している場合には、異物は油中を微細な粒子として混在して、油中に照射されたレーザ光が異物に照射されるとレーザ光を反射する。その結果、受光装置に到達するレーザ光の光量が減少する。
従って、受光装置に到達するレーザ光の光量を求めれば、油中に異物が存在する割合、すなわち水や空気等(いわゆる「異物」)の混入率を決定することが出来る。
【0018】
ここで、異物による反射光量は、例えば異物が水である場合には変動量が小さいが、異物が空気である場合には変動量が大きいことが知られている。
本発明において、前記制御ユニットが、受光装置が受光した単位時間当たりの変動量から、異物の種類を判定する(異物が水であるか空気であるかを判定する)機能を有していれば、異物(水/空気)の混入率を求める際に、異物による反射光量の変動量から、異物の種類(水か空気か)を判断することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜
図6は本発明の第1実施形態を示しており、油種、例えばガソリン、軽油、灯油等を識別するための検出装置を示している。
図1において、全体を符号1で示す検出装置は、給油装置25(
図5参照)の給油系統、例えば管路6に組み込まれている。
検出装置1は照射装置2を有しており、照射装置2は光ファイバ4を備えており、光ファイバ4を介して光源3から拡散しない光(極めて指向性が良い光、例えばレーザ光、以下「レーザ光」と記す)が伝達され、光ファイバ4の端部(
図1では右端部)から管路5内に照射される。
図1では明示していないが、光源3は、給油装置から離隔した位置(防爆構造を必要としない領域)に設けられている。
【0021】
管路5において、照射装置2とは反対側には、受光装置6が設けられている。受光装置6は複数の受光素子(例えばフォトダイオード、フォトトランジスタ、イメージセンサー等)7a、7b・・・から構成されている。受光装置6が発生する検出信号は、信号ラインSL1を介して制御ユニット8へ送られ、制御ユニット8により油種判別が行なわれる。
制御ユニット8には、管路5に存在するべき油種(取り扱う油種)を示す信号が、信号ラインSL2を介して給油装置全体の制御装置9から入力される。一方、制御ユニット8からは、信号ラインSL3を介して、油種判別の結果を示す信号が、給油装置全体の制御装置9へ送られる。そして、後述する警報や作動停止等の安全対策が実行される様に構成されている。
後述する第2実施形態では、制御ユニット8は、水及び空気等の異物の混入率を判定する機能も有する様に構成されている。
【0022】
図1において、管路5において、照射装置2及び受光装置6が設置される領域は、透光性を有する部材で形成されており、レーザ光が透過するようになっている。
照射装置2の光ファイバ4から照射されたレーザ光LXは、光ファイバ4と管路5との境界、管路5と管路5内の油10との境界、油10と管路5との境界で屈折し、受光装置6に照射される。受光装置6において、レーザ光が照射された受光素子7a、7b・・・は検出信号を発生し、受光装置6からの検出信号は信号ラインSL1を介して制御ユニット8へ送られる。
【0023】
ここで、レーザ光LXの照射手段として、レーザ光源3に接続された光ファイバ4を用いているのは、レーザ光源3から離隔した箇所に確実にレーザ光LXを伝達することができ、しかも、増幅装置を必要としないので、レーザ光LXの照射手段として給油装置に組み込まれても、防爆構造とする必要が無いからである。
上述した通り、レーザ光源3は、防爆構造とする必要としない領域に設けられている。
【0024】
受光装置6において、レーザ光LXが照射される位置は、管路5内の油の屈折率により変動する。
そのため、レーザ光LXが受光装置6に照射される位置から管路5内の油の屈折率が求まり、当該屈折率から管路5内の油の油種を判別することが出来る。
【0025】
図2は、冬用軽油、夏用軽油、灯油、冬用ガソリン、夏用ガソリンの屈折率を示すグラフである。このグラフにおいて、「冬用軽油」、「夏用軽油」、「灯油」、「冬用ガソリン」、「夏用ガソリン」と表示されている棒状の部分は、それぞれ、混入率0%の場合における屈折率の範囲を示している。
図2において、直線Lは、夏用軽油に灯油が混合した場合における屈折率と灯油混合率の特性を示しており、直線Lの左端は夏用軽油100%の場合の屈折率を示し、直線Lの右端は灯油100%の場合の屈折率を示す。この直線Lで示すように、異なる種類の油の混合率により、屈折率は変化する。
【0026】
図1において、レーザ光LXが受光装置6に照射される位置から管路5内の油の屈折率を決定し、
図2のような特性図を用いて当該屈折率から管路内に在る油種を決定することが出来る。
なお、受光装置6の受光範囲からは、異なる種類の油の混合率を求めることは出来ないが、管路内の油の屈折率の履歴を保存し、屈折率の変動を過去の履歴と比較することにより、異なる種類の油が混合している状態であるのか否かを判断することができる。
【0027】
次に、
図3を参照して、油種判別のための制御ユニット8について説明する。
図3において、制御ユニット8は、記憶ブロック11、受光位置決定ブロック12、屈折率決定ブロック13、油種決定ブロック14、警報判定ブロック15を有している。
そして制御ユニット8は、給油装置25(
図5参照)全体の制御装置9に、信号伝達ラインSL2、SL3を介して、信号あるいは情報が授受可能に接続されている。
【0028】
制御ユニット8の記憶ブロック11は、受光位置と屈折率との関係、屈折率と油種との関係等を記憶している。そして、受光位置と屈折率との関係を示すデータ(特性図のデータ、図表のデータ等)は信号ラインSL4を介して屈折率決定ブロック13へ伝達され、屈折率と油種との関係を示すデータ(特性図のデータ、図表のデータ等)は信号ラインSL5を介して油種決定ブロック14へ伝達される。
受光位置決定ブロック12は、信号ラインSL1を介して受光装置6から伝達された検出信号(受光信号)から受光装置におけるレーザ光LXの受光位置を決定し、決定された受光位置を屈折率決定ブロック13へ伝達する機能を有している。
屈折率決定ブロック13は、受光位置決定ブロック12から伝達される受光位置(受光装置におけるレーザ光LXの受光位置)と、記憶ブロック11から伝達された受光位置と屈折率の関係を示すデータに基づいて、管路5内の油の屈折率を決定し、(屈折率決定ブロック13で)決定した屈折率を油種決定ブロック14へ伝達する機能を有している。
【0029】
油種決定ブロック14は、屈折率決定ブロック13で決定された屈折率と、記憶ブロック11から伝達された屈折率と油種の関係を示すデータに基づいて、管路5内の油の種類(油種)を決定し、(油種決定ブロック14で)決定した油種を警報判定ブロック15へ伝達する機能を有している。
警報判定ブロック15は、信号ラインSL2を介して、給油装置全体の制御装置9から、管路5内に在るべき油種を示す情報あるいは信号が受信可能に構成されている。そして警報判定ブロック15は、油種決定ブロック14から伝達された油種(管路5内の油の種類)と、給油装置全体の制御装置9から伝達された管路5内に在るべき油種とを比較し、その結果を信号ラインSL3を介して制御装置9に伝達する機能を有している。
より詳細には、油種が一致していれば、警報判定ブロック15から正常である旨の信号が信号ラインSL3により制御装置9に伝達される。一方、油種が異なっている場合には、警報判定ブロック15は、信号ラインSL3を介してに対して、制御装置9の警報手段17及び停止手段18へ誤った種類の油が供給される旨の信号(誤油種信号)を送出し、警報を発令し、給油作業を停止させる。
【0030】
次に、
図4のフローチャートに基づいて、第1実施形態における制御の態様を説明する。
図4のステップS1では、照射装置2から照射されたレーザ光LXを受光装置6が受光したか否かを判断する。照射装置2から照射されたレーザ光LXが受光装置6に入力し、受光装置6から受光信号が信号ラインSL1を介して制御ユニット8に入力すると(ステップS1が「YES」)、ステップS2に進む。
ステップS2では、制御ユニット8の受光位置決定ブロック12により、受光装置6においてレーザ光LXが受光された位置を決定し、決定した受光位置(受光装置6においてレーザ光LXが受光された位置)を屈折率決定ブロック13へ伝達して、ステップS3に進む。
【0031】
ステップS3では、受光位置決定ブロック12で決定された受光位置と、記憶ブロック11から伝達された受光位置と屈折率の関係を示すデータに基づいて、屈折率決定ブロック13により、管路5内の油の屈折率を決定する。そして、決定した屈折率を油種決定ブロック14へ伝達して、ステップS4に進む。
ステップS4では、屈折率決定ブロック13から伝達された屈折率と、記憶ブロック11から伝達された屈折率と油種の関係を示すデータに基づいて、油種決定ブロック14が油種(管路5内の油の種類)を決定し、決定した油種を警報判定ブロック15へ伝える。そして、ステップS5に進む。
【0032】
ステップS5では、警報判定ブロック15により、油種決定ブロック14で決定された油種と、信号ラインSL2を介して制御装置9の油種発信手段16から伝達された油種(管路5内に本来在るべき油の種類)を比較する。
油種が一致した場合には(ステップS5が「YES」)、管路5内に在る油種は正しい(正常である)と判断して、ステップS7に進む。
油種が異なっている場合には(ステップS5が「NO」)、給油するべき油の種類が誤っていると判断して、ステップS6に進む。ステップS6では、信号ラインSL3を介して制御装置9の警報手段17及び停止手段18へ、「油種が異なっている」旨の信号を伝達し、警報を発令して、給油作業を停止し、安全を確保する。これにより、誤注油、誤給油を防止することができる。
ステップS7(ステップS5が「YES」の場合)には、油種の正誤判断を行う制御を続行するか終了するかを判断する。当該制御を終了する場合には(ステップS7が「YES」)、そのまま終了する。当該制御を継続する場合は(ステップS7が「NO」)、ステップS1以下を繰り返す。
【0033】
次に、第1実施形態に係る検出装置1の設置例について説明する。
図5は、タンクローリ90から貯油タンク22への荷卸しの際に、油種の異なる油を荷卸してしまう事故(いわゆる「コンタミ」)を防止するための設置例を示している。
全体を符号21で示す給油所において、貯油タンク22への油の補給は、タンクローリ31の荷降管32を注油管23に接続して行なう。この荷降管32と注油管23との接続を間違えると、間違った油種を貯油タンク22へ注油することになってしまう。
【0034】
図5において、各注油管23に検出装置1(
図1〜
図4参照)を設ければ、各々の貯油タンク22に注油されるべき油種とは異なる油が注油管23に入った段階で、その旨が図示しない給油装置の制御装置9(
図1参照)に伝わって報知され、当該注油作業を停止して安全を確保することができる。
これにより、給油所21における貯油タンク22に油種の異なる油を荷卸してしまう事故(いわゆる「コンタミ」)を防止することが出来る。
【0035】
本発明の検出装置は、給油所21の給油装置25内の機器、例えばポンプユニット27や流量計(図示せず)に組み込んでも良い。
図6は検出装置1をポンプユニット27に組み込んだ例を示しており、検出装置1を組み込んだ位置を符号P1、P2で示している。
図6において、符号P1は気液分離用サイクロン100の入口部分近傍の位置であり、
図6の紙面に垂直な方向であって、看者から離隔する側の位置である。
また、位置P2はポンプ吐出口51近傍の位置であり、ポンプ吐出口51に対して、
図6の紙面に垂直な方向であって看者側の位置である。
【0036】
図6において、ポンプユニット27の位置P1、P2の何れかに検出器1が設けられ、給油ノズル30から給油されるべき油種と異なる油が流れると、給油用の制御装置9に報知される。
その結果、上述した態様で警報が発生し、給油作業が停止されるので、間違った油を給油してしまうことによる事故が、未然に防止される。
【0037】
次に、
図7〜
図9に基づいて、本発明の第2実施形態を説明する。
上述した第1実施形態では、管路5内の油種の判別を行っているが、この第2実施形態では、油種の判別に加えて、水や空気等(いわゆる「異物」)の混入率を判定することができるようになっている。
図7に記載されている検出装置1Aは、
図1で説明した検出装置1と同様な構成を具備しており、
図7において
図1の機器と同様な機器には
図1と同様な符号を付している。そのため、
図1と重複した構成の説明は省略する。
第2実施形態でも、油種判別を行うことが出来る。油種判別のための構成及び作用効果については、
図1〜
図4で説明したのと同様であるため、重複説明を省略する。
【0038】
図7において、照射装置2の光ファイバ4から照射されたレーザ光LXは、光ファイバ4と管路5との境界、管路5と管路5内の油10との境界、油10と受光装置6が設置され管路5との境界で屈折し、受光装置6に照射される。
管路5内の油に水や空気等(いわゆる「異物」)が混入している場合には、当該異物は管路5内の油中で微細な粒子Pとして混在する。そして、油中に照射されたレーザ光LXが粒子Pに当たると、レーザ光LXが反射して、受光装置6に到達するレーザ光LXの光量が減少する。
受光装置6に到達するレーザ光LXの光量と油中の粒子Pの個数とは相関関係が存在するので、受光装置6に到達するレーザ光LXの光量を求めれば、油中に異物が存在する割合、すなわち水や空気等の混入率を決定することが出来る。
この様な機序による異物(水や空気等)混入率の決定が、
図7、
図8において符号8Aで示す制御ユニットで行われる。
【0039】
ここで、異物が水の場合にはレーザ光LXの反射光量は一定であるが、異物が空気の場合には反射光量が変動することが知られている。従って、受光装置6に到達するレーザ光LXの受光量の単位時間当たりの変動量が少なければ油中の異物は水であり、受光量の単位時間当たりの変動量が大きければ油中の異物は空気である、と判断することが出来る。
【0040】
次に、
図8を参照して、第2実施形態における制御ユニット8Aを説明する。
図8において、制御ユニット8Aは、記憶ブロック41、受光量演算ブロック42、混入率演算ブロック43、変動量演算ブロック44、タイマ45、比較ブロック46、警報判定ブロック47を有している。
そして制御ユニット8Aは、給油装置全体の制御装置9と、信号あるいは情報が授受可能に構成されている。
【0041】
制御ユニット8
Aの記憶ブロック41は、受光量と異物(水、空気)混入率との関係、受光量の単位時間当たりの変動量のしきい値(異物が水である場合の受光量の単位時間当たりの変動量と、異物が空気である場合の受光量の単位時間当たりの変動量を区分するしきい値)、異物混入警報のしきい値、給油停止のしきい値等が記憶されている。
受光量と異物混入率との関係のデータ(図表、数式等のデータ)は、信号ラインSL6を介して混入率演算ブロック43へ伝達される。
受光量の単位時間当たりの変動量のしきい値のデータは、信号ラインSL7を介して比較ブロック46へ伝達される。
異物混入警報のしきい値及び給油停止のしきい値のデータは、信号ラインSL8を介して警報判定ブロック47へ伝達される。
【0042】
受光量演算ブロック42は、信号ラインSL1を介して受ける受光装置6の検出信号(受光信号)から受光量(受光装置6が受光したレーザ光LXの光量)を演算し、演算した受光量を混入率演算ブロック43及び受光量の単位時間当たりの変動量演算ブロック44へ伝達する機能を有している。
混入率演算ブロック43は、受光量演算ブロック42から伝達された受光量と、記憶ブロック41から伝達された受光量と混入率の関係を示すデータに基づいて、異物(水、空気)の混入率を演算し、演算した混入率を警報判定ブロック47へ伝達する機能を伝える。
【0043】
受光量の単位時間当たりの変動量演算ブロック44は、タイマ45の計時信号と、受光量演算ブロック42から伝達された受光装置6の受光量から、受光量の単位時間当たりの変動量(以下、「変動量」と記載する)を演算し、演算した変動量を比較ブロック46へ伝達する機能を有している。
比較ブロック46は、変動量演算ブロック44から伝達された変動量と、記憶ブロック41から伝達された受光量の単位時間当たりの変動量のしきい値に基づいて、異物が水であるか空気であるかを判断し、その判断結果を警報判定ブロック47へ伝達する機能を有している。
【0044】
警報判定ブロック47は、比較ブロック46の比較結果と、混入率演算ブロック43から伝達された異物混入率と、記憶ブロック41から伝達された異物混入警報のしきい値及び給油停止のしきい値に基づいて、異物混入率が警報を要するべきレベルであるか否か、異物混入率が給油停止を必要とするレベルであるか否かを判断する機能を有している。
それと共に、警報判定ブロック47は、異物混入率が警報を要するべきレベルである場合には信号ラインSL3を介して制御装置9の警報手段17へ警報をするべき旨の信号を伝達し、給油停止を必要とするレベルである場合には信号ラインSL3を介して制御装置9の停止手段18へ給油を停止するべき旨の信号を伝達する機能を有している。
【0045】
次に、
図9に基づいて、第2実施形態における異物混入率に関する制御を説明する。
図9のステップS11では、照射装置2から照射されたレーザ光LXが受光装置6に入力し、受光装置6から受光信号が信号ラインSL1を介して制御ユニット8に入力して読み込まれたか否かを判断する。受光装置6がレーザ光LXを受光し、受光信号が制御ユニット8に入力されたのであれば(ステップS11が「YES」)、ステップS12に進む。
ステップS1
2では、受光量演算ブロック42で受光量を演算し、演算した受光量を混入率演算ブロック43へ伝達する。
【0046】
次のステップS13では、受光量演算ブロック42で演算された受光量と、受光量と混入率の関係を示すデータ(記憶ブロック41から伝達されるデータ)に基づいて、混入率演算ブロック43により、異物混入率を演算し、演算された異物混入率を警報判定ブロック47に伝達する。そして、ステップS14に進む。
ステップS14では、受光量の単位時間当たりの変動量演算ブロック44において、タイマ45の計時信号と、受光量演算ブロックで求められた受光量により、(受光量の単位時間当たりの)変動量を演算し、演算した変動量を比較ブロック46へ伝達する。
【0047】
次のステップS15では、比較ブロック46において、受光量の短時間当たりの変動量演算ブロック44で求めた変動量と、記憶ブロック41から伝達された変動量のしきい値(異物が水である場合の受光量の単位時間当たりの変動量と、異物が空気である場合の受光量の単位時間当たりの変動量を区分するしきい値)を比較する。
変動量がしきい値以上である場合は(ステップS15が「YES」)、異物は空気と判断し(ステップS16)、ステップS13で演算した異物混入率は空気の混入率として判断する。そして、ステップS18に進む。
一方、変動量がしきい値より小さい場合は(ステップS15が「NO」)、異物は水と判断し、ステップS13で演算した異物混入率は水の混入率として判断する。そして、ステップS18に進む。
【0048】
ステップS18では、警報判定ブロック47において、混入率演算ブロック43から伝達された異物混入率と、記憶ブロック41から伝達された異物混入警報のしきい値及び給油停止のしきい値を比較する。
異物混入率が警報のしきい値より小さい場合は(ステップ18が「NO」)、水や空気の混入率が、燃焼不良によるノッキングやエンジン故障の恐れがなく、計量精度の問題が生じてしまう恐れもないレベルであり、問題はないと判断する。そしてステップS22に進み、制御を継続する場合(ステップS22が「NO」)にはステップS11以下の処理を繰り返す。制御を継続しないのであれば、終了する(ステップS22が「YES」)。
【0049】
ステップS18で異物混入率が警報のしきい値以上の場合は(ステップS18が「YES」)、「警報」あるいは「給油停止」の何れかが必要であると判断して、ステップS19に進む。
そしてステップS19で、警報判定ブロック47により、異物混入率と給油停止のしきい値を比較する。異物混入率が給油停止のしきい値より小さい場合は(ステップS19が「NO」)、異物混入率は給油を停止するほどのレベルには達しておらず、警報の発令で足りると判断して、警報手段17へ警報信号を伝達する(ステップS21)。
異物混入率が給油停止のしきい値以上の場合には(ステップS19が「YES」)、異物混入率は警報の発令程度で済むレベルではなく、給油を停止しなければならないレベルであると判断して、給油停止手段18へ給油停止信号を送る(ステップS20)。
【0050】
この第2実施形態に係る検出装置1も管路5のみならず、
図5で示す位置P1、P2に設けることが出来る。ただし、位置P2では気液分離用サイクロン100により油から空気が分離されているので、異物が水であるか空気であるかを判別する必要がない。
従って、位置P2に検出装置1Aを設ける場合には、制御ユニット8Aには、受光量の単位時間当たりの変動量演算ブロック44とタイマ45と比較ブロック46が不要であり、ステップS14〜S17も不要である。
【0051】
第2実施形態における上述した以外の構成及び作用効果は、第1実施形態と同様である。
そして、第2実施形態を第1実施形態と組み合わせることが出来る。
【0052】
図示の実施の形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。