特許第5668941号(P5668941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668941
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】歯科用インプラントのための連結ねじ
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   A61C8/00 Z
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-258531(P2012-258531)
(22)【出願日】2012年11月27日
(65)【公開番号】特開2013-132553(P2013-132553A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2012年12月17日
(31)【優先権主張番号】11010107.8
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506415207
【氏名又は名称】ストラウマン ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】ストレフ パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ズッター エドムント
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−030914(JP,U)
【文献】 特表平11−506688(JP,A)
【文献】 特表2010−524606(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0233538(US,A1)
【文献】 特表2001−500768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
F16B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用インプラント(18)のための連結ねじ(22)であって、
下部ねじ端(44)を有するシャフト部分(32)と、前記下部ねじ端(44)の反対側に配置される上部ねじ端(46)を有するヘッド部分(34)とを含み、前記2つの部分は、連結ねじ(22)の中央長手軸線Cに沿って配置されており、
前記シャフト部分(32)は、歯科用インプラント(18)に接続するための外ねじ(48)を有し、前記ヘッド部分(34)は、前記上部ねじ端(46)に向かって開口し、かつ、回転ツール(24)用の係合手段(50)が一体に形成された盲穴形状の凹部(36)を有し、
前記盲穴形状の凹部(36)は、前記係合手段(50)の下側に下部ねじ端(44)に向かって半径方向に広がるアンダーカット(58)を形成し、
前記係合手段(50)は、半径方向内向きにかつ周回りに均等に配分され、各々が内側頂点(62)備える複数の係合突起(60)を有し、かつ、2つの隣接した前記係合突起(60)間の中央に、半径方向外向きに配置されて、それぞれ外側頂点(66)を備える係合くぼみ(64)を有しており、
直径方向に互いに対向した2つの外側頂点(66)が、互いから第1距離A離れて配置され、かつ、直径方向に互いに対向した2つの内側頂点(62)が、互いから第2距離B離れて配置され、
少なくとも1つの駆動表面(68)が、下部ねじ端(44)の方向に半径方向内向きに降下する上部端面(70)によって形成され、かつ、前記アンダーカット(58)から上部ねじ端(46)に半径方向内向きに上昇する下部アンダーカット面(72)によって形成され、前記係合突起(60)及び係合くぼみ(64)上に伸び、さらに、上部境界線(74)が、前記上部端面(70)と前記駆動表面(68)の間に走り、下部境界線(76)が、前記下部アンダーカット面(72)と前記駆動表面(68)の間に走り、前記上部境界線(74)と前記下部境界線(76)が、外側距離Daによって互いから離れて前記係合くぼみ(64)の外側頂点(66)の領域内にあり、
前記係合突起(60)の内側頂点(62)の領域における前記上部境界線(74)と前記下部境界線(76)の間の内側距離Diと外側距離Daとの比率Di:Daが、0.5より小さいことを特徴とする連結ねじ。
【請求項2】
前記比率Di:Daは、0.3より小さいことを特徴とする請求項1に記載の連結ねじ。
【請求項3】
前記下部境界線(76)及び前記上部境界線(74)は、互いに、前記係合突起(60)の内側頂点(62)の領域において接触することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の連結ねじ。
【請求項4】
前記内側距離Diは、0.1mmより小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項5】
前記外側距離Daは、0.3mm〜0.8mmの間であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項6】
上部境界線(74)と下部境界線(76)との間の結合線(77)は、前記連結ねじ(22)の中央長手軸線Cに向けて内側頂点(62)で湾曲していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項7】
比率A:Bは、1.4以上であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項8】
前記第1距離Aは、1.8mm〜2.0mmであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項9】
前記第2距離Bは、1.2mm〜1.4mmであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項10】
前記係合手段(50)は、6つの係合突起(60)と6つの係合くぼみ(64)を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項11】
前記盲穴形状の凹部(36)は、内側六角形で、前記係合手段(50)の下側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項12】
前記連結ねじ(22)は、金属またはセラミックからなることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項13】
前記連結ねじ(22)は、一部品で形成されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項14】
前記アンダーカット面(72)の面法線Eが、連結ねじ(22)の長手軸線Cに対して、20°〜60°の角度αを有することを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項15】
ISO10664を採用した欧州規格及びドイツ規格に従うヘックスローブ形のねじのドライバーが、連結ねじ(22)の長手方向軸線Cに対して、20°までの角度γで、前記係合手段(50)の中に挿入できることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の連結ねじ。
【請求項16】
前記ヘッド部分(34)は、外形状が略円筒で、その外径が前記シャフト部分(32)よりも大きく、環状肩部の表面(80)が前記ヘッド部分(34)と前記シャフト部分(32)との間に設けられ、この表面(80)の面法線Fが、連結ねじ(22)の長手方向軸線Cに対して角度βをなすことを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の連結ねじ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用インプラントのための連結ねじに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用義歯は、あご内に挿入される歯科用インプラント(または、固定部分と呼ばれる)と、インプラントに固定される歯科支台(または、本体部分あるいは二次部分と呼ばれる)とを含み、広く義歯として知られている。これら2つの部品は、また、ユニットとして形成することができる(即ち、一方の部品と一体となる)。この歯科支台は、好ましくは金属またはセラミックで製造され、さらに、プラスチックまたは高分子化合物で作ることも可能であり、ねじにより歯科用インプラントに確実に固着または非固着で連結される。このねじは、好ましくは、チタンから製造されるが、鋼で作られる実施形態も可能である。
【0003】
歯の形状に合わせた義歯は、一般的に、患者の骨に挿入されたインプラントが修復されると、できるだけ早く挿入される。この挿入工程は、治療する医者によって実行される。歯科用工房は、このために必要な義歯用部品を供給しており、義歯は、そこで、個々に製造された歯冠またはブリッジ、及び(連結用)ねじを備える歯科支台を構成している。歯科支台を歯科用インプラントに固定するために、歯科支台は、インプラント上に連結ねじ(connecting screw)で固定され、このねじは、歯科支台の骨内に導かれ、そして、歯科用インプラントの内ねじにねじ込まれる。この結果、歯科支台と歯科用インプラントは、確実な固定で相互接続される。
【0004】
このねじは、一般的に30Nmよりも大きいトルク、一般的には、概略35Nmのトルクでしっかり締結される。
口の中に閉じ込められた空間条件による義歯の寸法の結果として、このような連結ねじは、義歯が歯冠内に適合するように比較的小さくする必要がある。
【0005】
本発明の範囲内の連結ねじは、歯科支台を歯科用インプラントに固定するために使用されるばかりではなく、歯冠を歯科支台、中間歯科支台、または(一部品の)歯科用インプラントに固定するためにも使用される。
【0006】
この形式の連結ねじは、例えば、特許文献1において知られている。この連結ねじは、例えば、特許文献2に開示されているように、2つの部品で形成することができる。
【0007】
このような連結ねじは、一般的に、シャフト部分とヘッド部分とを有する。シャフト部分は、通常、ヘッド部分よりも小さい径を有し、かつ外ねじを有し、このねじは、歯科用インプラント又は歯科支台の内ねじ内に螺合される。一方、ヘッド部分は、連結されると、歯科支台または歯冠内のボア内の内側肩部に着座する。さらに、回転工具の係合手段は、通常、ヘッド部分上に一体に形成され、その結果、十分なトルクが回転工具の助けによりねじに伝達される。
【0008】
この係合手段は、例えば、外側または内側が六角形、あるいは、ヘックスローブ形(hexalobular)の外側または内側のドライバー形状と称される外側または内側のトルクス形状(torx)として形成され得る。ISO規格10664を採用した欧州規格及びドイツ規格が、ねじ用の対応する内側トルクスを記載しており、参考としてここに包含される。
【0009】
回転工具は、ねじの係合手段に対応するカウンター手段を含む。内側トルクスを有するねじにトルクを伝達するのに適した回転工具は、同様に、例えば、ISO規格10664を採用した欧州規格及びドイツ規格に特定されており、参考としてここに包含される。
ねじの頭及び回転工具の他の実施形態は、例えば、特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ国実用新案登録明細書第202008003187号
【特許文献2】欧州特許出願公開明細書第1972297号
【特許文献3】ドイツ特許出願公開明細書第102004026769号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
連結ねじを歯科用インプラントに固定するときの1つの困難性は、歯科支台または歯冠におけるボアの長手軸線が、内ねじまたは歯科用インプラントの長手軸線の延長上に正確に位置しないことである。その代わりに、これらの長手軸線は、互いに対してある角度で配置される。歯科支台又は歯冠内のボアが角度付けられていると、同様の状態が起こる。ボアのこのような実施形態の結果として、ボアの放出開口は、外側からは通常見えないように歯冠内に配置される。すなわち、放出開口は、歯冠の舌側または口蓋側に配置することができる。しかし、この放出開口は、特別の患者の以前の解剖学的状態により、角度付けられたボアまたは歯冠内のボア、および互いに対してある角度で配置されるインプラントのキャビティ内のボアに対して必要となるであろう。
【0012】
両方の場合、歯科支台または歯冠のボアを通って、歯科インプラントの内ねじの中に連結ねじを挿入することが難しいばかりでなく、回転工具の助けにより連結ねじを固着させることが特に難しい。このような回転工具は、ボアを通り連結ねじ上の係合手段との係合を生じさせるばかりでなく、連結ねじと協働して、信頼性のある固定を与える十分なトルクが伝達されるようにしなければならない。
【0013】
この目的のために、ねじ上の係合手段、及び回転工具上のカウンター手段は、できるだけ正確に互いに合致しなければならない。その結果、回転工具は、ほとんど遊びがなく、係合手段が損傷されない。
【0014】
それゆえ、本発明の目的は、回転工具を挿入可能とし、また、たとえ、歯科支台又は歯冠のボア内の長手軸線と歯科インプラントの内側ねじの長手軸線がある角度を形成して配置されていようとも、特に、互いに対して鋭角で、またはボアが角度付けられている場合、すなわち、回転工具がねじの中央長手軸線の延長線上の連結ねじの中に挿入することができない場合でも、連結ねじを締結させることである。
【0015】
同様の目的は、例えば、国際特許出願公開明細書第2008/024062号によって達成され、この明細書では、歯冠が角度付けられたキャビティを有している。
特定のドライバーは、屈曲性のシャフトを有し、歯冠をインプラントに安全に螺合するのに用いられる。このシャフトは、例えば、相互連結された複数のワイヤ、または、例えば、複数のワイヤにより取り囲まれたプラスチック又はポリマーで作られるフレキシブルコアによって形成される。国際特許出願公開明細書第2008/024062号に開示されているこのドライバーは、シャフトの領域内で屈曲でき、また、歯冠内の角度付けられたキャビティに適合することができる。
【0016】
また、国際特許出願公開明細書第2008/116834号は、角度付けられたキャビティ内にねじを締結することを可能にする特定のドライバーを開示する。このドライバーは、軸方向断面に見て丸くなり、半径方向断面に見て多角形のチップを有する。さらに、この多角形は、連結ねじへのトルク伝達を改善するように、少なくとも2つの異なる長さの側面を有する。そして、この連結ねじは、対応する形状の係合くぼみを有しており、国際特許出願公開明細書第2008/116834号に従って、ドライバーが、このくぼみに導かれる。
【0017】
従来技術では、上記目的は、特定の形状をしたドライバーを用いることによって達成されるので、したがって、このねじは、適合されることが必要であろう。
【0018】
本発明は、さらに、回転工具の長手軸線が連結ねじの長手軸線に一致しないとき、トルクを歯科インプラントのための連結ねじに伝達可能にする、より単純な解法を提供するものである。特に、商業的に利用可能な回転工具の使用が可能になるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的は、請求項1に従う連結ねじの構成によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0020】
本発明に従う歯科用インプラントのための連結ねじは、下部ねじ端を有するシャフト部分と、前記下部ねじ端の反対側に位置する上部ねじ端を有するヘッド部分を含む。前記2つの部分は、連結ねじの中央長手軸線Cに沿って配置されている。シャフト部分は、一般的に円筒形状または円錐形状で、歯科用インプラントに連結するための外ねじを有する。ヘッド部分は、一般的に、同様に円筒形状または円錐形状で、上部ねじ端に向けて開口する盲穴形状の凹部を有し、かつ、この凹部内に回転工具のための係合手段が一体に形成されている。回転工具は、この係合手段に着脱可能に連結することができ、その結果、回転工具から係合手段に、それゆえ、連結ねじにトルクを伝達することができる。
【0021】
盲穴形状の凹部は、係合手段の下方に下部ねじ端に向けて半径方向に広がっており、そのためアンダーカットを形成する。
【0022】
係合手段は、半径方向内向きに向かいかつ周回りに均一に分配され、それぞれ内側頂点を備える複数の係合突起と、それぞれ2つの隣接する係合突起の間の中央にあって半径方向外向きに向かいかつ各々外側頂点を備える係合くぼみとを有する。
【0023】
直径方向に対向する2つの外側頂点は、それぞれ、互いから第1距離Aに配置され、かつ、直径方向に対向する2つの内側頂点は、それぞれ、互いから第2距離Bに配置される。第1距離Aの第2距離Bに対する比率A:Bは、好ましくは、1.4以上である。
【0024】
少なくとも1つの駆動表面は、下部ねじ端の方向に半径方向内向きに降下する上部端面によって形成され、かつ、アンダーカットから上部ねじ端に半径方向内向きに上昇する下部アンダーカット面によって形成されており、複数の係合突起及び係合くぼみ上に伸びている。上部境界線は、上記上部端面と少なくとも1つの駆動表面との間を通り、かつ、下部境界線は、アンダーカット面と少なくとも1つの駆動表面との間を通っている。
【0025】
上部境界線及び下部境界線は、係合くぼみの外側頂点の領域において、互いから外側距離Daだけ距離を置いて配置される。
【0026】
本発明に従う連結ねじは、係合突起の内側頂点における上部境界線及び下部境界線の間の内側距離Diと外側距離Daとの比率Di:Daが、0.5より小さい。
【0027】
係合手段の本発明に従う実施形態による、回転工具は、ある角度、即ち、連結ねじの長手軸線Cと回転工具の回転軸線Dが、互いに対して角度γで配置されているときの角度で、ねじの係合手段に挿入することができる。この角度を定義付けるための図1(a)(b)の記述を参照すると、これらの記述が以下に与えられており、すべての応用に適合することができる。
【0028】
この角度γは、一般的に鋭角であり、20°まで、好ましくは、30°までとすることができる。しかしながら、同時に、回転工具から連結ねじへのトルクの伝達は、正常に機能する。その結果、十分なトルクを伝達することができ、これにより、連結ねじの確実な固定が行われる。特に、35Nmまでのトルクは、困難なく、連結ねじが損傷されることなく、あるいはその反対に、正常に機能して伝達することができる。インプラント、歯科支台、歯冠及びねじの形状及び形式に従って、概略15〜35Nmのトルクが、一般的に伝達される。
【0029】
本発明に従う連結ねじの重要な利点は、商業的に利用可能な回転工具が、連結ねじをねじ込むのに使用することができることにある。その結果、特に設計されまたは修正された回転工具を用いる必要がない。
【0030】
係合くぼみの外側頂点は、例えば、標準の内側トルクスまたは標準の内側六角形を有しているような頂点ラインである。この頂点ラインは、連結ねじの中央長手軸線Cに、少なくともほぼ平行に走り、かつそれぞれ同一高さで、半径方向に測定して、中央長手軸線Cから同一の距離に配置されている。
【0031】
上部境界線および下部境界線は、係合突起の内側頂点の領域において互いにより密接して配置されている。内側頂点の領域における内側距離Diは、外側頂点の領域における外側距離Daよりも小さく、2つの境界線は、互いに外側頂点から内側頂点に向かって進む。
【0032】
盲穴形状の凹部が係合手段の下側に広がり、アンダーカットを形成するので、回転工具のチップは、盲穴形状の凹部の下部領域内で外向きに突出することができる。即ち、連結ねじの中央長手軸線Cから遠くに離れる。上述の特定した比率Di:Daとともに、回転工具の長手軸線Dが連結ねじの長手軸線Cに対して角度を有することを可能にし、その過程において、トルクの伝達を損なうことがない。特に、回転工具と連結ねじは、実質的に放射状に配列される十分に大きな接触面積を有する。
【0033】
好ましい実施形態では、比率Di:Daは、0.3より小さく、好ましくは、0.2よりも小さく、さらに好ましくは0.1よりも小さい。その結果、比率Di:Daは、内側距離Diがより小さい場合、即ち、上部境界線及び下部境界線が、内側頂点の領域において互いにより密接に配置される場合、本質的により小さくなる。
上部境界線及び下部境界線が、内側頂点の領域において互いに向かう方向に進むことによって、即ち、内側距離Diを減少させることによって、回転工具が係合手段に挿入され、そして、所望のトルクを伝達できる角度γがより大きくなる。
【0034】
好ましい実施形態に従って、上部境界線及び下部境界線は、互いに少なくともほぼ接触するが、係合突起の内側頂点の領域において、実際に互いに接触していないことが好ましい。このことは、上部境界線及び下部境界線が、周回り方向に走り、これらの境界線が周方向における内側頂点に接近し、好ましくは互いに接触するときに、互いに向かい合うように進むことを意味する。即ち、この内側頂点では、両境界線が一致し、そうすることにより、最高点が形成される。その結果、係合突起は、ピラミッド型のチップ形状を有する。
【0035】
それゆえ、複数の係合突起の各内側頂点は、少なくともほぼ尖頭となり、各尖頭は、好ましくは、最高点となる。これらの最高点は全て、連結ねじの中央長手軸線Cに垂直な平面にあり、かつ、この平面から測定するとき、連結ねじの中央長手軸線Cから等距離にある。すべての最高点は、連結ねじの中央長手軸線に垂直な平面にある円形上に位置し、その中間点は、連結ねじの中央長手軸線C上にある。
【0036】
代わりに、上部境界線及び下部境界線が、内側頂点の領域において互いにほぼ接触状態であることは可能である。即ち、比率Di:Daは、実際小さくなるが、ゼロよりは大きい(>0. )この場合、2つの境界線の間の距離は、両境界線が円周方向における内側頂点に接近する場合、次第に減少する。しかし、上部境界線及び下部境界線は、実際、互いに接触することはない。
【0037】
上部境界線及び下部境界線の間の内側距離Diは、好ましくは、0.1mmより小さく、さらに好ましくは、0.05mmよりも小さい。
外側距離Daは、一般的に0.3mm〜0.8mmの間であり、好ましくは、0.3mm〜0.6mmの間、そして特別には、0.4mmである。
【0038】
好ましい実施形態において、上部境界線及び下部境界線の間の連結ラインは、湾曲しており、即ち、連結ねじの中央長手軸線Cに向かう内側頂点で丸くなっている。これは、ある角度での回転工具の挿入を単純化する。境界線の湾曲は完全に等しくなり、その結果、境界線は、円形部分を形成するか、あるいは曲率が下部境界線の方向に増加または減少する。ここでは、好ましくは減少する。このような湾曲した連結ラインの半径は、例えば、ほぼ0.1mmである。
【0039】
好ましい実施形態において、比率A:Bは、1.4よりも大きく、特別には、1.45より大きいが、1.55よりも大きくならないことが望ましい。そして、より好ましくは、概略1.5である。この場合、また、より大きなA:Bの比率は、より大きな角度γとなり、連結ねじの係合手段と回転工具との間の接触面積が十分大きいことになる。
【0040】
第1距離Aは、好ましくは1.8mm〜2.0mm、特別には、1.9mmである。第2距離Bは、好ましくは1.2mm〜1.4mm、特別には、1.3mmである。本発明に従う連結ねじの係合手段は、好ましくは、複数の係合突起と係合くぼみがそれぞれ、3〜8個を有している。
【0041】
好ましい実施形態において、係合手段は6個の係合突起と、6個の係合くぼみを有する。これらは、周回りに配置され、好ましくは、丸くなっている。本発明に従う連結ねじは、それゆえ、特に好ましくは、ヘックスローブ形の内側駆動形状と呼ばれる、修正された内側トルクスの形状の係合手段を有する。本発明に従う連結ねじは、対応する商業的に利用可能な回転工具を用いて、ねじ止めすることができることが重要である。これに関して、基準は、上述したISO規格10664を採用した欧州規格及びドイツ規格で作られる。6個の係合突起と6個の係合くぼみに関して、各2つの隣接する外側頂点の各々の間の角度は、60°であり、それゆえ、外側頂点は、等辺六角形を形成する。同時に、2つの隣接する内側頂点の間の角度にも適用され、ここで、内側頂点は、同様に等辺六角形を形成する。
【0042】
好ましい実施形態において、盲穴形状の凹部は、付加的に内ねじを有する。このような内ねじは、歯科支台又は他の義歯要素に連結するのに用いられる。この内ねじは、好ましくは、係合手段及びアンダーカットの下側に、即ち、下部ねじ端により接近して配置される。
【0043】
好ましい実施形態において、盲穴形状の凹部は、付加的に内側六角形、特に、上述した係合手段の下側に配置される、ISO規格10664を採用した欧州規格及びドイツ規格に従う内側六角形を有する。このような連結ねじを用いて、回転工具は、前記連結ねじの中央長手軸線Cの延長部分と角度γで、連結ねじに着脱可能に結合することができる。その結果、トルクを伝達することができる。回転工具は、直線上に挿入されるべきであり、即ち、中央長手軸線Cの延長線上で挿入され、下部内側六角形に結合される。対照的に、回転工具が、角度γで挿入されると、上部係合手段と協働することになる。本発明に従う連結ねじは、こうして、多目的に使用することができる。
【0044】
好ましい実施形態では、シャフト部分は、1.0mm〜2.2mm、特別には、1.6mmの外径を有する。好ましい実施形態では、ヘッド部分は、1.5mm〜3.5mm、特別には、2.5mmの外径を有する。
【0045】
好ましい実施形態では、このシャフト部分は、5.0mm〜10.0mmの長さ、特別には、7.0mmの長さを有する。好ましい実施形態では、このヘッド部分は、0.8mm〜1.6mmの長さ、特別には、1.2mmの長さを有する。
【0046】
ねじ部分の外径及び長さの上記寸法は、一般的に歯科用インプラントシステムと知られ、現在用いられている、連結ねじの外径及び長さに対応する。この連結ねじの利用に従い、もちろん、より大きいまたはより小さい外径及び長さを選択することが可能である。
【0047】
好ましい実施形態において、連結ねじは、金属またはセラミック、特に、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、または、酸化ジルコニウムから成っている。これらの材料は、特に適しており、かつ、歯科用インプラントの分野の利用に対して十分安定性を示しているので、困難なく所望の形状を生じさせることができる。さらに、これらの材料で作られる連結ねじは、容易に洗浄かつ殺菌することができ、感染及び他の望ましくない影響を防止するために、インプラント学における応用にとって重要である。
【0048】
本発明に従う連結ねじは、好ましくは、一部品で形成される。これは、ねじの洗浄及び殺菌を容易にする。
【0049】
好ましい実施形態において、アンダーカット面の面法線は、連結ねじの長手方向Cに対して、20°〜60°、好ましくは、30°〜50°の角度αを有する。この角度αを定める図4及び図5の記述について申し述べると、以下にさらなる記載が与えられており、全体の利用に対して適合可能である。アンダーカット面が比較的急こう配な実施形態であるために、回転工具を連結ねじの中に挿入することが容易である。
【0050】
好ましい実施形態において、たとえ、連結ねじの長手軸線とドライバーの長手軸線が互いに鋭角で配置されていても、商業的に利用可能なドライバーは、本発明に従う連結ねじの係合手段に挿入することができる。特に、このドライバーは、連結ねじの長手軸線に対して、15°までの角度γ、好ましくは、20°までの角度γ、好ましくは、30°までの角度γで、係合手段に挿入することができる。これは、難しい場合でも、トラブルなく挿入を可能にする。
【0051】
好ましい実施形態において、ヘッド部分は、少なくとも実質的に円形の外形状を有し、この外径は、シャフト部分よりも大きく、環状の肩部表面は、ヘッド部分の間を走っている。この実施形態の結果として、連結ねじは、定められた深さまで歯科用インプラントを挿入することができる。特に、肩部表面が歯科支台の対応するカウンター表面に置かれるまで、そして、歯科用インプラントと歯科支台を確実に相互連結することができる。
【0052】
環状の肩部表面の面法線が、連結ねじの長手軸線Cに対して、0°〜45°、特に、概略30°の角度βを有する場合、特に好ましい。この角度βを定める図4及び図5の記述について申し述べると、以下にさらなる記載が与えられており、全体の利用に対して適合可能である。
【0053】
本発明に従う連結ねじは、個別にまたは、さらに同様の連結ねじおよび/または適当な回転工具を含むセットの一部として購入することができる。代わりに、連結ねじを、歯科用インプラントおよび/または歯科支台と組み合わせることが可能である。さらに、このセット内の多数の個別構成部品は、もちろん所望であれば、変更することができる。
【0054】
本発明に従う連結ねじの好ましい3つの実施形態は、以下の図面に基づいて、より詳細に単に概略的に記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1において、(a)は、商業的に利用可能な回転工具によって、本発明に従う連結ねじのねじ込みを示し、(b)は、図(a)のねじ頭と回転工具を拡大して示す図である。
図2図2は、本発明に従う連結ねじの好ましい第1実施形態を示す斜視図である。
図3図3において、(a)は、商業的に利用可能な回転工具の斜視図であり、(b)は、図(a)の回転工具のチップを拡大して示す図である。
図4図4は、本発明に従う連結ねじの好ましい第1実施形態のヘッド部分の断面図である。
図5図5は、本発明に従う連結ねじの好ましい第2実施形態のヘッド部分の断面図である。
図6図6は、従来例に従う標準内側トルクスを有する連結ねじのヘッド部分の断面図である。
図7図7は、図4の連結ねじの上部端を示す平面図である。
図8図8は、図4の連結ねじの係合手段の拡大図である。
図9図9において、(a)〜(d)は、回転工具に接続される、本発明に従う連結ねじのヘッド部分の各断面図である。
図10図10は、本発明に従う連結ねじの好ましい第3実施形態のヘッド部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1(a)は、患者の上顎10の部分を示し、この部分には、顎骨12、この顎骨12の周りの柔らかい組織14、残っている本来の歯16、及び、歯科用インプラント18と歯冠20からなる人工の義歯を有している。歯冠20は、本発明に従う連結ねじ22によって歯科用インプラント18に接続される。この目的のため、商業的に利用可能な回転工具24を用いて、トルクMが連結ねじ22に伝達される。この連結ねじは歯科用インプラント18にねじ込まれる。また、以下に続く記述は、下顎にも同様に適用される。
【0057】
図示された歯科用インプラント18は、一部品の「骨レベルのインプラント」であり、患者の顎骨12に完全に実際的に埋め込まれる。歯科用インプラント18は、略円筒形状で一般的に、金属、例えば、チタン、チタン合金、またはセラミック、例えば、酸化ジルコニウムからなり、顎骨12内に固定するための外ねじを有する。
【0058】
さらに、歯科用インプラント18は、内ねじを有する、略円筒形状のキャビティ26を有し、これは、歯科用インプラント18の中央長手軸線に平行に配置され、キャビティ内に連結ねじ22がねじ込まれる。歯科用インプラント18、そして、また、中央長手軸線の整合または傾きは、ほぼ顎骨22及び本来の(または人工の)歯16によって決定される。
【0059】
一般的に、セラミックから成る歯冠20は、柔らかい組織14から患者の口腔内に突出している。代わりに、歯科用インプラント18を歯科支台(図示略)に接続することが可能である。歯科支台上に歯冠20が適合する。歯冠20は、放出開口30を有する連続する円筒ボア28を有し、この開口を介して連結ねじ22が挿入される。放出開口30は、歯冠20の内側に、すなわち、舌または口蓋の側に配置される。その結果、口腔の外側からは見ることができない。
【0060】
図1(a)に図示した義歯の場合、歯科用インプラント18内のキャビティ26及び歯冠20内のボア28は、互いに対して鋭角γに配置される。これは、同様に、回転工具24の中央長手軸線Dが、歯科用インプラント18の中央長手軸線に対して角度γだけ傾いていることを意味する。一方、回転工具24は、トルクMの伝達のため連結ねじ22内に挿入または係合する。この角度γは、20°まで、好ましくは30°までとすることができる。
【0061】
本発明に従う連結ねじ22は、シャフト部分32とヘッド部分34を含む。シャフト部分32は、歯科用インプラント18に接続するため外ねじを有する。ヘッド部分34は、盲穴形状の凹部36を有し、連結ねじ22に対して着脱可能に接続するため、この凹部内に、回転工具24を挿入することができる。連結ねじ22は、連結ねじの中央長手軸線Cが、歯科用インプラントの中央長手軸線に一致するように、歯科用インプラント18内のキャビティ26内に挿入される。
【0062】
図1(a)に示された回転工具24は、商業的に利用可能な外側トルクスで構成されるドライバーである。回転工具24は、使用者の指によって保持できるグリップ部分38と、この部分に連結された作動部分40と、さらに、チップ42とを含む。チップ42は、連結ねじ22に一時的に係合するのに用いられ、この連結ねじにトルクMを伝達する。この目的のために、チップ42は、連結ねじ22に設けた盲穴形状の凹部36内に挿入される。
【0063】
図1(b)は、図1(a)からの拡大図を示し、連結ねじ22と回転工具24の間の着脱可能な連結を図示している。また、この場合、歯科用インプラント18の中央長手軸線と連結ねじ22は、回転工具の中央長手軸線Dに対して角度γだけ傾斜していることを見ることができる。連結ねじ22の発明に従う実施形態によると、トルクMがこの傾斜にも関わらず困難なく伝達されることを確実にする。
【0064】
図2は、本発明に従う連結ねじ22の好ましい第1実施形態を示す斜視図である。この連結ねじは、下部ねじ端44を有するシャフト部分32と、上部ねじ端46を有するヘッド部分34を含む。これらの部分は、好ましくは金属またはセラミックからなり、特に、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、又は酸化ジルコニウムからなる。
【0065】
連結ねじ22は、一部品から形成される場合が、特に好ましい。シャフト部分32は、歯科用インプラント18に接続するための外ねじ48を有する(ここでは図示略)。ヘッド部分34は、盲穴形状の凹部36を含み、この凹部は、上部ねじ端46に向かって開口し、かつ、回転工具24(ここでは図示略)のための係合手段50が一体的に形成される。
【0066】
図2に示された連結ねじ22の場合、シャフト部分32とヘッド部分34の両方が、略円筒形状である。シャフト部分32は、ヘッド部分34よりも、より狭く、しかしより長くなっている。シャフト部分32は、外ねじ48の上部に円周溝52を有する。
【0067】
図3(a)(b)は、連結ねじ(ここでは、図示略)を歯科用インプラント18(ここでは、図示略)にねじ込むのに一般的に使用されるような、商業的に利用可能な回転工具を示す。この回転工具24は、グリップ部分38、これに接続される作動部分40を含み、さらに、チップ42を含む。拡大図で図3(b)に図示されるチップ42は、連結ねじ22に一時的に係合し、そこにトルクを伝達するのに用いられる。この目的のために、図示したチップ42は、6つの突起54を有し、これらの突起は、周回り方向に均等に分配され、外周方向に丸くなっている。そして、同様に、外周方向に丸くなった半径方向内向きのくぼみ56を有し、このくぼみは、上記突起のそれぞれの間に配置される。これらの突起54とくぼみ56は、連結ねじ22(ここでは、図示略)の係合手段50と協働するようになっている。
【0068】
図3(a)(b)に図示された回転工具24は、外側トルクス又はヘックスローブ形状の外側駆動部を有する。代わりに、連結ねじ22の係合手段50の実施形態によっては、連結ねじの上記係合手段に適合した異なる商業的に利用可能な回転工具を用いることが可能である。
【0069】
図4及び図5は、各々、本発明に従う連結ねじ22のヘッド部分34の断面図を示している。一方、図6は、標準内側トルクスを有するねじのヘッド部分134の断面図を示す。比較すると、標準内側トルクスを有する構成部品は、以後、参照番号100番台でそれぞれ与えられる。一方、上記に用いた参照番号は、本発明に従う連結ねじ22の場合に続いて使用される。
【0070】
3つのすべてのヘッド部分34,134は、盲穴形状の凹部36,136を有し、これらの凹部は、上部ねじ端46,146に向かって開口し、回転工具のために一体に形成された係合手段50,150を含む。この盲穴形状の凹部36,136は、係合手段50,150の下側に広がり、アンダーカッ58,158を形成する。
【0071】
係合手段50,150の各々は、半径方向内向きに複数の丸い係合突起60,160(図示された場合では、それぞれ6つ)を含む。これらの係合突起60,160の各々は、内側頂点62,162を有する。図6に従う標準内側トルクス及び図5に従う実施形態の場合において、この内側頂点62,162は、頂点ラインまたは頂点表面として設計される。一方、図4に従う実施形態における内側頂点60は、点、または少なくともほぼ点のようである。半径方向外向きの丸い係合くぼみ64,164は、外側頂点66、166を有しており、それぞれ、各係合突起60,160の間の周回りに配置されている。外側頂点66,166は、3つの全ての場合に頂点ラインとして形成されている。
【0072】
標準内側トルクス及び図5に従う実施形態の場合、さらに異なるラインがあり、それは、周回りのねじの長手軸線Cにほぼ平行に走る個別に連続する駆動表面68,168が、係合突起60,160及び係合くぼみ64,164上に伸び、一方、図4に従って図示された実施形態における駆動表面68が、複数の(図の場合では6つ)分離した部分に分割され、この分離した部分は、内側頂点62で互いに接触する。しかし、図5に従う本発明の実施形態において、駆動表面68は、図6に従う商業的に利用可能なねじの駆動表面168を有する場合よりも内側頂点62の領域内でより以上に狭くなっている。
【0073】
駆動表面68,168は、軸方向の一面側が、上部の半径方向内向きに降下する端面70,170で形成され、軸方向の他面側が、アンダーカット58,158から半径方向内向きに上昇する下部アンダーカット面72,172によって形成される。上部境界線74,174は、端面70,170と少なくとも1つの駆動表面68,168の間に走り、かつ下部境界線76,176は、アンダーカット面72,172と少なくとも1つの駆動表面68,168との間を走る。
【0074】
図6に従う標準内側トルクス及び図5に従う実施形態の場合、上部境界線74,174及び下部境界線76,176は、周方向全体にわたり互いに距離を置いて離れている。それに反して、図4に従う特に好ましい実施形態では、上部境界線74,174及び下部境界線76,176は、外側頂点66の領域において互いに距離を置いており、一方、内側頂点62の領域において、接触している。
【0075】
図4に従う実施形態において、上部境界線74と下部境界線76は、互いに、係合突起60上に最高点を形成している。これらの点では、端面70、アンダーカット面72、及び駆動表面68の2つの隣接部分の各々は、互いに接触し、そして、連結ねじ22の中央長手軸線に向かうピラミッド型チップの突起を形成する。
【0076】
図5及び図6の各々において、連結ライン77,177は、上部境界線74,174及び下部境界線76,176の間の係合手段50,150の表面上に見ることができ、これらのラインの両方とも直線を形成する。対照的に、これらの図に図示されていない好ましい実施形態では、この連結ライン77は、湾曲し、即ち、連結ねじ22の中央長手軸線Cに向かう内側頂点62で上部境界線74と下部境界線76の間が丸くなっている。
【0077】
外側頂点66,166の領域において、上部境界線74,174及び下部境界線76,176は、互いに外側距離Daだけ距離を置いている。内側頂点62,162の領域において、上部境界線74,174及び下部境界線76,176は、互いに内側距離Diだけ距離を置いている。ここで、本発明に従うDiは、また、0(図4に示すように)であるかもしれない。
【0078】
図4及び図5に従う本発明の2つの実施形態において、比率Di:Daは、せいぜい0.5である。対照的に、図6に図示した従来技術からの連結ねじの場合、比率Di:Daは、より大きい。
【0079】
本発明に従う連結ねじ22の実施形態の結果として、図3(a)(b)に示す商業的に利用可能な回転工具24は、係合手段50に着脱可能に連結され、かつ、連結ねじ22の長手軸線Cが回転工具24の長手軸線Dに対して鋭角γに配置されているときでさえ、トルクを伝達するのに用いることができる。回転工具24のチップ42は、連結ねじ22のヘッド部分34における盲穴形状の凹部36に挿入され、かつ、係合手段55と協働する。そうする場合、回転工具24上の突起54は、連結ねじ22内の係合くぼみ64内に係合する。一方、連結ねじ22の係合突起60は、回転工具24内の係合くぼみ56に係合する。この結果、回転工具24から連結ねじ22へのトルクの有効な伝達が可能になる。
【0080】
回転工具24のチップ42と本発明に従う連結ねじ22の係合手段50との間の作動連結は、図1(a)(b)に図示するように、回転工具24の長手軸線Dは、連結ねじ22の長手軸線Cに比較して、20°まで、好ましくは30°までの鋭角γに配置されるときでさえ、可能である。さらに、係合手段50の特定の実施形態のおかげで、本発明に従う連結ねじ22は、回転工具24と連結ねじ22の2つの長手軸線D,Cの間で、20°まで、好ましくは30°までの鋭角であっても、係合手段50から回転工具24のチップ42の挿入、取り外しを可能にする。
【0081】
盲穴形状の凹部は、係合手段50,150の下側を広げて、アンダーカット58,158を形成する。このアンダーカットは、全て3つの場合に略円筒形状であり、このアンダーカット面72,172によって上方に形成されている。上述したように、アンダーカット面72,172は、アンダーカット58,158から内向きに上昇し、この結果、連結ねじ22の長手軸線Cに対して傾斜している。アンダーカット面72,172に対する面法線Eは、長手軸線Cに対して、20°〜60°、好ましくは、30°〜50°の角度αを有する。
【0082】
歯科支台または歯冠の固定のための固定領域(図示略)に最終的な変位する円錐形状のテーパー変位領域78,178が、下部ねじ端(ここでは見られない)の方向にアンダーカット58,158に隣接する。
【0083】
図4,5、及び6に図示された連結ねじにおけるヘッド部分34,134は、略円筒形状を有する。ヘッド部分34,134の外径は、隣接するシャフト部分32,132の外径よりも大きく、ここで、環状肩部表面80,180が、ヘッド部分34,134とシャフト部分32,132の間に走っている。
【0084】
図4に図示した実施形態において、環状肩部表面80に対する面法線Fは、連結ねじ22の長手軸線Cに略平行に配置され、そこに0°の角度βを有する。図5に図示する実施形態では、環状肩部表面80に対する面法線Fは、連結ねじ22の長手軸線Cに対してほぼ30°の鋭角βを有する。
【0085】
図4及び図5に図示した肩部表面80に加えて、複数の肩部表面のすべての組み合わせが、同一のまたは異なる傾斜を有しており、この肩部表面は、より太いヘッド部分からより細いシャフト部分32に変位できることが考えられる。この肩部表面80は、歯科支台または歯冠(図示略)における対応する対向表面に対して定置するように組み立てられることを意図している。その結果、連結を安定化させ、同時に連結ねじ22をあまりに深く挿入させることを防止する。
【0086】
図7は、図4からの連結ねじ22の平面図を示す。盲穴形状の凹部36内に統合して形成される係合手段50は、半径方向内向きにかつ周回りに均等に分配されてそれぞれ内側頂点62を備える6つの丸い係合突起60と、半径方向外向きにかつ各係合突起間の中央に配置された外側頂点66を備える丸い係合くぼみ64とを有する。直径方向に対向する2つの外側頂点66間の距離は、Aによって示され、一方、直径方向に対向する2つの内側頂点62間の距離は、Bとして示されている。比率A:Bは、本発明に従う連結ねじ22の場合、好ましくは少なくとも1.4である。
【0087】
図8は、図4の本発明に従う連結ねじ22に設けた盲穴形状の凹部36内の係合手段50の詳細を示す拡大斜視図を示す。この場合において、係合突起60のいくつかが、それぞれ内側頂点62を有し、係合くぼみ64のいくつかが、それぞれ外側頂点66を有することを見ることができる。端面70から上部境界線74によって上方に分離し、かつ、アンダーカット面72から下部境界線76によって下方に分離している係合表面68は、複数の係合突起および係合くぼみ上に伸びている。
【0088】
外側頂点66の領域において、上部境界線74と下部境界線76は、互いにほぼ平行に伸び、かつ、互いから外側距離Daだけ離れて配置され、一方、上部境界線74と下部境界線76は、内側頂点62の方向により近づくように進み、そして、最終的に内側頂点62で互いに接する。
【0089】
図9(a)〜図9(d)は、それぞれ、本発明に従う連結ねじ22のヘッド部分34の上部部分の断面を示している。この場合、商業的に利用可能な回転工具24のチップ42は、盲穴形状のくぼみ36内に挿入され、係合手段50と協働する。図9(a)〜図9(d)では、それぞれ連結ねじ22の中央長手軸線Cと回転工具24の長手軸線Dの間の角度γが異なる。即ち、回転工具24は、それぞれの場合、異なる鋭角γで連結ねじ22に挿入される。図9(a)は、角度γが20°、図9(b)は、角度γが15°、図9(c)は、角度γが10°、図9(d)は、角度γが5°である。すべての4つの場合において、回転工具24から連結ねじ22へのトルクの伝達のために、係合手段50とチップ42の間で、着脱可能、また回転的に、固定、連結が形成される。
【0090】
図10は、本発明に従う連結ねじ22の好ましい第3実施形態のヘッド部分34の断面を示す。このヘッド部分34は、同様に、盲穴形状の凹部36を有し、この凹部は、上部ねじ端46に向けて開口している。上部ねじ端46に向けて対面する上部領域において、第1の係合手段50は、盲穴形状の凹部36に一体形成され、かつ、図4に図示された実施形態に対応している。代わりに、第1の係合手段50は、また、図5に図示された実施形態に対応させることが可能である。一方、連結ライン77は、直線(図5に示すように)、または中央長手軸線Cに向けて湾曲した曲線とすることができる。係合手段50の下側に、盲穴形状の凹部36は、第1のアンダーカット58を形成するように広がっている。
【0091】
さらに、内部六角形、特に、ISO規格10664を採用した欧州規格及びドイツ規格に従う内部六角形の形式の第2の係合手段150は、盲穴形状の凹部36の下部ねじ端44(見えない)に向けて対面する下部領域に一体的に形成される。また、同様の係合手段150は、図6に図示されており、上記図面を参照して詳細に記載されている。この盲穴形状の凹部36は、同様に、第2の係合手段150の下側に広がり第2のアンダーカット158を形成する。
【0092】
この実施形態の結果として、回転工具24は、連結ねじ22の中央長手軸線Cの延長上及び連結ねじに着脱可能に結合されるいずれかで挿入することができる。ここで、回転工具24は、トルクMを伝達するために第2の係合手段150と協働するか、または角度γで挿入することができる。この回転工具24は、第1の係合手段50と協働する。
【符号の説明】
【0093】
18 歯科用インプラント、22 連結ねじ、24 回転工具、32 シャフト部分、34 ヘッド部分、36 盲穴形状の凹部、44 下部ねじ端46 上部ねじ端、50 係合手段、58 アンダーカット、60 係合突起、62 上側頂点、64 内側頂点、66 外側頂点、68 駆動表面、70 上部端面、72 下部アンダーカット表面、74 上部境界線、76 下部境界線、80 環状肩部表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10