(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668975
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】鉄道用分岐器のレールバウンド形クロッシング
(51)【国際特許分類】
E01B 7/28 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
E01B7/28
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-16628(P2011-16628)
(22)【出願日】2011年1月28日
(65)【公開番号】特開2012-154149(P2012-154149A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】506183085
【氏名又は名称】佐藤 泰生
(74)【代理人】
【識別番号】100073081
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078709
【弁理士】
【氏名又は名称】浅賀 一樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰生
【審査官】
須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06266866(US,B1)
【文献】
特開昭53−073704(JP,A)
【文献】
特開昭61−014301(JP,A)
【文献】
特開平07−102502(JP,A)
【文献】
特公昭26−003553(JP,B1)
【文献】
特開2009−030267(JP,A)
【文献】
実公昭40−001213(JP,Y1)
【文献】
米国特許第05598993(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0006664(US,A1)
【文献】
特開平07−127001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 7/00
E01B 7/10
E01B 7/28
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンガンクロッシング部の内ウィングレール部の各外側にレール鋼製の外ウィングレール部を添接し、前記マンガンクロッシング部と前記各外ウィングレール部を平面から見て複数の間隔をおいてボルト締めする鉄道用分岐器のレールバウンド形クロッシングにおいて、前記各外ウィングレール部の内側添接部分を第1垂直面に形成し、前記マンガンクロッシング部を構成する内ウィングレール部の各外側添接部分のうち前記複数のボルトによる各当接面を第2垂直面にし、前記複数のボルトによる前記当接面の間に凹部を形成して前記第1垂直面との非当接部分にし、前記各第2垂直面を前記外ウィングレール部の前記第1垂直面に接着することを特徴とする鉄道用分岐器のレールバウンド形クロッシング。
【請求項2】
マンガンクロッシング部の内ウィングレール部の各外側にレール鋼製の外ウィングレール部を添接し、前記マンガンクロッシング部と前記各外ウィングレール部を平面から見て複数の間隔をおいてボルト締めし、しかも前記マンガンクロッシング部の後端継目として、ノーズレールの後端部を平面から見て尾状に形成して尾状部と両間隙を形成し、前記各間隙に接続レールの先端部および間隔材を挿入するとともにボルト締めする鉄道用分岐器のレールバウンド形クロッシングにおいて、前記各外ウィングレール部の内側添接部分を第1垂直面に形成し、前記マンガンクロッシング部を構成する内ウィングレール部の各外側添接部分のうち前記複数のボルトによる当接面を第2垂直面にし、前記複数のボルトによる前記当接面の間に凹部を形成して前記第1垂直面との非当接部分にし、前記各第2垂直面を前記外ウィングレール部の第1垂直面に接着し、また前記各接続レールの先端部をレール長手方向に垂直に中央縦断し、前記先端部の両側面を前記尾状部および前記間隔材に接着し、さらに前記尾状部と前記先端部の頭面を車輪の踏面の勾配に一致させることを特徴とする鉄道用分岐器のレールバウンド形クロッシング。
【請求項3】
接着手段が硬化性樹脂接着剤または硬化性樹脂接着剤を含浸したガラスクロスであることを特徴とする請求項1または2の鉄道用分岐器のレールバウンド形クロッシング。
【請求項4】
レール鋼製の接続レールの頭部が、鍛造により盛り上げられ、前記接続レールに接着した尾状部の頭部とともに切削して車輪の踏面の勾配に一致させることを特徴とする請求項2の鉄道用分岐器のレールバウンド形クロッシング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道用分岐器のクロッシングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から鉄道用分岐器におけるクロッシングとしてマンガンクロッシングが知られている。これは高マンガン鋼を鋳造してノーズレールとウィングレールとを一体形成するものである。
【0003】
このマンガンクロッシングは高マンガン鋼鋳製であるためレール鋼製の接続レールとの溶接性が悪い。
【0004】
前記不都合を解消するため、従来からハードセンター形組立(レールバウンド形)クロッシングが知られ、また米国では
図11〜
図17で示すようにレールバウンド形クロッシングが使用されている。
【0005】
これは
図11、14で明示するようにマンガンクロッシング部1の内ウィングレール部10、10に、さらにレール鋼(普通のレールの材質を意味し、その成分は大半が鉄で、残りは微量のマンガン、けい素、燐、硫黄、銅、錫、ニッケル、クロームであり、前記高マンガン鋼を除く意である。本特許請求の範囲、明細書、要約書で用いる「レール鋼」は前記説明を意味する。)製の外ウィングレール部2、2を添接し、マンガンクロッシング部1と両側の外ウィングレール部2、2とを平面から見て複数の間隔をおいてボルト3、3、3・・・締めし、また
図11、16で明示するように突き合わせ継目としてマンガンクロッシング部1の後端部を平面から見て尾状に形成し、尾状部14と前記両側の外ウィングレール部2、2の後端部2b、2bに間隙15を形成し、前記各間隙15に接続レール4を挿入するとともに間隔材5を介在させ、両側の外ウィングレール部2、2の後端部2b、2bと前記マンガンクロッシング部1の尾状部14と前記接続レール4、4とを間隔材5、5を介してボルト3締めし、前記溶接をすることなく、接続レールを連結できるようにしている。
【0006】
なお本明細書、要約書、特許請求の範囲で使用する「内ウィングレール部」と「外ウィングレール部」の用語は、従来のマンガンクロッシングのウィングレールが頭部・腹部・底部からなる一般のレールの形状をしているのに対し、レールバウンド形クロッシングでは、ウィングレールが平面視におけるレール長手方向で内・外に別体だからであり、また「マンガンクロッシング部」という用語を使用したのは、ノーズレールと一体的に鋳造したウィングレールが前述のように内ウィングレール部だけで、外ウィングレール部を有さないからである。
【0007】
なお、従来例図中、後述の本発明と同一の符号は同一部分を示し、その詳細を省略する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】佐藤泰生著、「分岐器の構造と保守」、社団法人日本鉄道施設協会、昭和62年1月30日初版発行(第2版の最新増刷、平成11年4月20日)第106頁および第107頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記従来例は
図11、13〜15で明らかなようにボルト3締めではあるもののマンガンクロッシング部1の内ウィングレール部10と外ウィングレール部2とが各々頭部10c、2d同士、底部10d、2f同士で接触するだけであり、接触面積が小さく、列車の走行により前記個所に大きい摩擦が生じて、摩耗が進行しやすく、その結果、各ボルト3が弛緩してクロッシングが破損するおそれがある。
【0011】
また前記従来例は
図11で示すマンガンクロッシング部1の後端と、接続レール4、4との突き合わせ継目において
図16で示すように尾状部14と接続レール4の頭部に隙間dが生じ、車輪が乗り移る際に衝撃が発生して騒音の原因となり、しかも各ボルト3が弛緩して継目部分が破損するおそれがある。
【0012】
本発明は前記従来例の不都合を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の手段は、マンガンクロッシング部の内ウィングレール部の各外側にレール鋼製の外ウィングレール部を添接し、前記マンガンクロッシング部と前記各外ウィングレール部を平面から見て複数の間隔をおいてボルト締めする鉄道用分岐器のレールバウンド形クロッシングにおいて、前記各外ウィングレール部の内側添接部分を第1垂直面に形成し、前記マンガンクロッシング部を構成する内ウィングレール部の各外側添接部分のうち前記複数のボルトによる各当接面を第2垂直面にし、前記複数のボルトによる前記当接面の間に凹部を形成して前記第1垂直面との非当接部分にし、前記各第2垂直面を前記外ウィングレール部の前記第1垂直面に接着することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第
2の手段は、マンガンクロッシング部の内ウィングレール部の各外側にレール鋼製の外ウィングレール部を添接し、前記マンガンクロッシング部と前記各外ウィングレール部を平面から見て複数の間隔をおいてボルト締めし、しかも前記マンガンクロッシング部の後端継目として、ノーズレールの後端部を平面から見て尾状に形成して尾状部と両間隙を形成し、前記各間隙に接続レールの先端部および間隔材を挿入するとともにボルト締めする鉄道用分岐器のレールバウンド形クロッシングにおいて、前記各外ウィングレール部の内側添接部分を第1垂直面に形成し、前記マンガンクロッシング部を構成する内ウィングレール部の各外側添接部分のうち前記複数のボルトによる当接面を第2垂直面にし、前記複数のボルトによる前記当接面の間に凹部を形成して前記第1垂直面との非当接部分にし、前記各第2垂直面を前記外ウィングレール部の第1垂直面に接着し、また前記各接続レールの先端部をレール長手方向に垂直に中央縦断し、前記先端部の両側面を前記尾状部および前記間隔材に接着し、さらに前記尾状部と前記先端部の頭面を車輪の踏面の勾配に一致させることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第
3の手段は、第
1または
2の手段において、接着手段が硬化性樹脂接着剤または硬化性樹脂接着剤を含浸したガラスクロスであることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第
4の手段は、第
2の手段において、レール鋼製の接続レールの頭部が、鍛造により盛り上げられ、前記接続レールに接着した尾状部の頭部とともに切削して車輪の踏面の勾配に一致させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の手段によれば、外ウィングレール部の第1垂直面と内ウィングレールの第2垂直面とを接着して当接し、さらに加えて当接面間に凹部を形成するとともにボルト締めすることにより、より強固にマンガンクロッシング部と外ウィングレール部とを一体化することができ、また従来のようなレール頭・底部同士の接触に比べてボルト締め部分当りの外ウィングレール部とマンガンクロッシング部との接触面積が大きく、したがって列車走行中における接触摩擦が小さく、摩耗しにくく、ボルトが弛緩してクロッシングが破損するおそれがない。
【0018】
本発明の第2の手段によれば、
前記第1の手段による効果とともにマンガンクロッシング部の突き合わせ継目における接続レールと尾状部および間隔材との接着かつボルト締めにより強固かつ確実に組立てられることは勿論、接続レール・尾状部における頭面と車輪踏面との勾配の一致により、車輪が円滑に乗り移り、衝撃が発生して騒音を生じることがなく、また継目用のボルトが弛緩して突き合わせ継目が破損することを防止できる。
【0019】
本発明の第
3の手段によれば、第
1または
2の手段における接着作業を容易、迅速かつ確実にすることができる。
【0020】
本発明の第
4の手段によれば、第
2の手段における接続レールの頭面と尾状部の頭面とを容易、迅速かつ確実に車輪の踏面の勾配に一致させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図2、5で示すようにノーズレール16の両外側に間隔をおいて内ウィングレール部10を配置し、これらを
図1、2、5、6で示すように高マンガン鋼を鋳造してマンガンクロッシング部1を一体形成し、
図2で示すように各内ウィングレール部10の外側にレール鋼製の外ウィングレール部2を添接する。
【0023】
各外ウィングレール部2は
図1、4〜7で示すように頭部、腹部、底部からなる一般形状のレールを平面視レール長手方向の中央から垂直に縦断、具体的には切削加工してなり、その内側添接部分2aを第1垂直面20とする。なお外ウィングレール部2の前端拡開部2cは
図1〜3で示すように内ウィングレール部10に添接することがなく、頭部2d、腹部2e、底部2fからなる一般形状のレールで形成する。
【0024】
またマンガンクロッシング部1を構成する一対の内ウィングレール部10、10も
図1で示すように平面視レール長手方向に垂直に縦断した形状つまり各外側添接部分10aを第2垂直面11にするとともに後述の凹部13、13、13・・・を鋳造時に形成する。
【0025】
図1で示すように各外ウィングレール部2、マンガンクロッシング部1に平面から見て複数の間隔をおいてボルト3締め可能なようにボルト遊挿孔30、30、30・・・・を穿設し、各外側添接部分10aのうち複数のボルト3、3、3・・・・締めによる当接面12、12、12・・・・を第2垂直面11にし、隣り合うボルト3、3間、つまり当接面12、12、12・・・・間に凹部13、13、13・・・・を形成する。すなわちボルト遊挿孔30を有する当接面12を第1垂直面20への当接部分とし、複数の当接面12、12、12・・・・の間、つまり各凹部13を第1垂直面20に接しない非当接部分にする。さらに
図2で示すように各内ウィングレール部10の後端部10bを各外ウィングレール部2の後端部2bまで延出する。
【0026】
マンガンクロッシング部1の後端継目、具体的にはノーズレール16の後端部を平面から見て尾状にして尾状部14を形成し、ノーズレール16全体を平面から見て矢印状に形成し、両側の内ウィングレール部10、10の各後端部10bと尾状部14との間に間隙15を形成し、すなわちそれぞれ平面から見てL字状に形成した接続レール4、つまり頭部、腹部、底部からなる一般的な形状の接続レールの先端部40を
図1、9で示すようにレール方向に垂直に中央縦断してレール鋼製の接続レール4の先端部40を幅狭にし、この内向面が垂直である先端部40と間隔材5とを挿入する間隙15を形成し、
図2、8で示すように尾状部14のさらに後に一対の接続レール4、4の腹部4a、4a間に介在し、間隔材としての機能を有する延出部6を形成する。この延出部6はマンガンクロッシング部1の鋳造時に尾状部14と一体形成する。
【0027】
図1、2中、符号7は前方の間隔材、8は座金、3′はナットである。なお、尾状部14、延出部材6、間隔材5、7、座金8、接着手段、先端部40を含む接続レール4、4にもボルト遊挿孔30、30、30・・・・を穿孔することは勿論であり、各当接面12と外ウィングレール部2の内側添接部分2a、また尾状部14、延出部6、間隔材5、7、先端部40の内向面と腹部外側、各座金8との各対向する各部材に接着手段9、具体的には硬化性樹脂接着剤または硬化性樹脂接着剤を含浸したガラスクロスを介して接着し、しかも各ボルト3を各ボルト遊挿孔30に貫通し、ナット3′で締着する。
【0028】
これを例えば
図7で説明すれば尾状部14の平らな両側面14a、14aにもそれぞれ前記接着手段9を介して接続レール4の先端部40の垂直面40aを接着し、間隔材5の各側面と先端部40の腹部外側および内ウィングレール10の垂直面を接着し、また外ウィングレール2の内側に内ウィングレール10の外側を、外ウィングレール2の腹部外側に座金8を接着する。
【0029】
さらに加工前の接続レール4の先端部40の頭面41は
図10の破線の位置にあるが、頭部42の鍛造により頭面41を1点鎖線で示す位置へと盛り上げ、その後、頭面41を尾状部14の頭部14bとともに実線位置に切削加工して車輪Wの踏面w1の勾配に一致させるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 マンガンクロッシング部
2 外ウィングレール部
2a 内側添接部分
2b 後端部
3 ボルト
4 接続レール
5 間隔材
9 接着手段
10 内ウィングレール部
10a 外側添接部分
10b 後端部
11 第2垂直面
12 当接面
13 凹部
14 尾状部
14a 側面
14b 頭部
15 間隙
16 ノーズレール
20 第1垂直面
40 先端部
41 頭面
42 頭部
W 車輪
w1 踏面