特許第5668991号(P5668991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668991
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】生産設備
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20150122BHJP
   B62D 65/00 20060101ALI20150122BHJP
   B62D 65/14 20060101ALI20150122BHJP
   B60P 1/44 20060101ALI20150122BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   B23P19/00 303Z
   B62D65/00 Z
   B62D65/14 Z
   B60P1/44 D
   B23P21/00 303B
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-131129(P2012-131129)
(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2013-252599(P2013-252599A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2014年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149331
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 昌人
(72)【発明者】
【氏名】清水 清
(72)【発明者】
【氏名】小松 安雄
(72)【発明者】
【氏名】西濱 淳盛
【審査官】 川東 孝至
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−246549(JP,A)
【文献】 特開2003−063492(JP,A)
【文献】 特開2002−114075(JP,A)
【文献】 特開2005−304767(JP,A)
【文献】 国際公開第92/010422(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00
B23P 21/00
B60P 1/44
B62D 65/00
B62D 65/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の組立作業を行う組立箇所と、前記組立箇所にて組み立てられた装置の検査を行う検査箇所と、が設定され、
前記組立箇所及び前記検査箇所を通る状態で設定された移動ラインに沿って移動台を移動させる移動装置が設けられ、
前記移動台が、前記組立箇所において前記移動ラインに沿って移動しながら前記移動台上に装置を組立自在に構成されている生産設備であって、
前記装置が、物品を支持する支持体を昇降操作機構により下降位置と前記下降位置より高い上昇位置とに昇降移動させ且つ前記昇降操作機構が前記下降位置より高い設置高さに設置される昇降装置であり、
前記検査箇所に、前記支持体を前記上昇位置と前記下降位置とに昇降移動させる昇降検査を行うための検査台が設けられ、
前記検査台が、前記移動台と同じ高さで前記昇降装置を支持自在に構成され、前記下降位置の前記支持体が前記検査台の横側方で且つ前記検査台の上面より下方に位置する状態で前記昇降装置を支持自在に構成されている生産設備。
【請求項2】
前記移動装置が、前記移動ラインに沿って複数台の前記移動台を設定間隔で並べた台列を形成する状態で前記移動台を移動させるように構成され、
前記移動台が、前記下降位置に下降した前記支持体が前記移動台に対して移動方向と直交する横幅方向の一方側に位置し且つ前記移動台の上面より下方に位置する状態で、前記昇降装置を支持自在に構成されている請求項1記載の生産設備。
【請求項3】
前記検査台が、前記下降位置に下降した前記支持体が前記検査台に対して前記横幅方向の一方側に位置する状態で前記昇降装置を支持自在に構成されている請求項2記載の生産設備。
【請求項4】
前記昇降操作機構を前記設置高さに連結するための基枠を固定状態で支持自在な板状の装置支持板が設けられ、
前記移動台が、前記装置支持板を水平方向に移動自在に載置支持する組立用支持部を備え、
前記検査台が、前記移動台の前記組立用支持部と同高さで前記装置支持板を水平方向に移動自在に載置支持する検査用支持部を備え、且つ、前記移動台を隣接させた状態で前記組立用支持部に支持された前記装置支持板を水平方向に移動させることで前記装置支持板を前記検査用支持部上に受取自在に構成され、
前記検査用支持部が、前記支持体が前記下降位置に下降したときに前記支持体が前記検査台の横側方に位置する状態で、前記装置支持板を支持自在に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の生産設備。
【請求項5】
前記移動台及び前記検査台の前記昇降装置を支持する高さが、前記昇降装置が前記設置高さと同じ又は高くなる高さに設定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の生産設備。
【請求項6】
前記移動装置が、前記組立箇所において前記移動ラインに沿って複数台の前記移動台を設定間隔で並べた台列を形成する状態で前記移動台を移動させるように構成され、
複数台の前記移動台の夫々が、前記台列から離脱させて作業者の押引操作により前記組立箇所から前記検査箇所の前記検査台と隣接する位置に前記移動ラインに沿って移動自在に構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の生産設備。
【請求項7】
前記昇降装置が、車両に装備されて物品を載置支持する前記支持体としての平板状の載置体を前記昇降操作機構により車両の床面近くの前記上昇位置と地面近くの前記下降位置とに昇降移動させる車両用昇降装置である請求項1〜6のいずれか1項に記載の生産設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の組立作業を行う組立箇所と、前記組立箇所にて組み立てられた装置の検査を行う検査箇所と、が設定され、前記組立箇所及び前記検査箇所を通る状態で設定された移動ラインに沿って移動台を移動させる移動装置が設けられ、前記移動台が、前記組立箇所において前記移動ラインに沿って移動しながら前記移動台上に装置を組立自在に構成されている生産設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる生産設備は、移動台を移動ラインに沿って移動させ、その移動する移動台上に装置を組み立てて、装置を流れ作業で組み立てることにより効率よく装置を組み立てるようになっている。そして、このように装置を組み立てた後、移動台を検査箇所に移動させて、組み立てられた装置の検査を行うようになっている。
組立箇所において移動する移動台上に装置を組み立て、その組立箇所で組み立てられた装置を検査箇所で検査する生産設備の従来例としては、船外機の生産設備がある(例えば、特許文献1参照。)。
また、上述のような生産設備で生産される装置として、物品を支持する支持体を昇降操作機構により下降位置とその下降位置より高い上昇位置とに昇降移動させ且つ昇降操作機構が下降位置より高い設置高さに設置される昇降装置がある(例えば、特許文献2参照。)。
ちなみに、特許文献2の昇降装置は、支持体を地面近くの下降位置と車両の床面近くの上昇位置とに昇降移動させ且つ昇降操作機構が下降位置より高い車両の床面に設置される車両用昇降装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−063492号公報
【特許文献2】特開2009−202658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の生産設備では、船外機の下端が上下に移動するように船外機が水平軸心周りに揺動自在に移動台に支持されている。また、検査箇所では、移動台を検査台として、その検査台の上面より上方に船外機を位置させた状態で船外機の検査を行っている。
このような引用文献1に記載の生産設備で昇降装置を生産する場合、検査箇所において検査台上で支持体を上昇位置や下降位置に昇降移動させる昇降検査を行うことができるように昇降装置を組み立てることが考えられる。具体的には、例えば、昇降装置として車両用昇降装置を生産する場合では、検査台の上面を地面と想定して、支持体が検査台の上面近くの下降位置とその下降位置より高い上昇位置との間で昇降移動できるように、昇降装置を検査台上に支持させることが考えられる。
【0005】
しかし、上述の如く検査台上で昇降検査を行うことができるように検査台に昇降装置を支持すると、昇降装置の高さは、検査台の上面の高さに支持体の昇降距離を加えた高さ以上になる。そのため、検査台に支持される昇降装置の高さが高くなりすぎ、昇降装置に対する昇降検査等の検査作業が行い難くなる場合がある。特に、検査台の上面の高さを作業者が部品や工具等を置き易いように作業者の腰の高さに設定した場合では、検査台に支持される昇降装置の高さが更に高くなり、昇降装置に対する昇降検査等の検査作業が行い難くなる可能性が高い。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、昇降装置の検査作業が行い易い生産設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる生産設備は、装置の組立作業を行う組立箇所と、前記組立箇所にて組み立てられた装置の検査を行う検査箇所と、が設定され、前記組立箇所及び前記検査箇所を通る状態で設定された移動ラインに沿って移動台を移動させる移動装置が設けられ、前記移動台が、前記組立箇所において前記移動ラインに沿って移動しながら前記移動台上に装置を組立自在に構成されている生産設備であって、その第1特徴構成は、
前記装置が、物品を支持する支持体を昇降操作機構により下降位置と前記下降位置より高い上昇位置とに昇降移動させ且つ前記昇降操作機構が前記下降位置より高い設置高さに設置される昇降装置であり、前記検査箇所に、前記支持体を前記上昇位置と前記下降位置とに昇降移動させる昇降検査を行うための検査台が設けられ、前記検査台が、前記移動台と同じ高さで前記昇降装置を支持自在に構成され、前記下降位置の前記支持体が前記検査台の横側方で且つ前記検査台の上面より下方に位置する状態で前記昇降装置を支持自在に構成されている点にある。
【0008】
すなわち、検査台に支持されている昇降装置は、下降位置に下降した支持体が検査台に対して横側方に位置し且つ検査台の上面より下方に位置する状態で支持されており、検査台上で支持体の昇降検査を行う場合、下降位置に下降した支持体が検査台の上面より下方に位置するように、検査台の上面より下方のスペースを有効利用して支持体を下降させることができる。
そのため、下降位置に下降した支持体が検査台の上面より上方に位置するように昇降装置を検査台に支持させる場合に比べて、昇降装置の高さを低くすることができ、昇降装置の昇降検査等の検査作業が行い易くなる。
【0009】
本発明にかかる生産設備の第2特徴構成は、前記移動装置が、前記移動ラインに沿って複数台の前記移動台を設定間隔で並べた台列を形成する状態で前記移動台を移動させるように構成され、前記移動台が、前記下降位置に下降した前記支持体が前記移動台に対して移動方向と直交する横幅方向の一方側に位置し且つ前記移動台の上面より下方に位置する状態で、前記昇降装置を支持自在に構成されている点にある。
【0010】
すなわち、移動ラインに沿って複数台の移動台を設定間隔で並べた台列を形成する状態で移動台を移動させ、その移動台上に昇降装置を組み立てることで、流れ作業で効率よく昇降装置を組み立てることができる。
また、組立箇所において昇降装置を組み立てるときに、支持体の下降位置の高さで昇降装置に部材を取り付けることができ、部材を高く持ち上げる必要がなくなるため、昇降装置を組み立てる作業者の負担を軽減できる。
そして、下降位置に下降した支持体は、移動台に対して横幅方向の一方側に位置しているため、台列を形成する移動台同士の間に支持体を下降できるスペースを形成する必要がない。そのため、移動台同士の間隔を狭くできるため台列の長さを短くでき、これに伴って移動ラインの長さを短くできるので、移動ラインに沿う方向での生産設備の省スペース化を図ることができる。
【0011】
本発明にかかる生産設備の第3特徴構成は、前記検査台が、前記下降位置に下降した前記支持体が前記検査台に対して前記横幅方向の一方側に位置する状態で前記昇降装置を支持自在に構成されている点にある。
【0012】
すなわち、検査台が、下方位置に下降した支持体が検査台に対して横幅方向の一方側に位置する状態で昇降装置を支持するため、移動台上に昇降装置を組み立てるときの昇降装置の向きと、検査台上で昇降装置の検査を行うときの昇降装置の向きとが同じ向きとなり、組立箇所において組み立てた後、検査箇所において昇降装置の検査を行うときに、昇降装置の向きを変更する必要がないため、組立作業から検査作業に移行し易い。
【0013】
本発明にかかる生産設備の第4特徴構成は、前記昇降操作機構を前記設置高さに連結するための基枠を固定状態で支持自在な板状の装置支持板が設けられ、前記移動台が、前記装置支持板を水平方向に移動自在に載置支持する組立用支持部を備え、前記検査台が、前記移動台の前記組立用支持部と同高さで前記装置支持板を水平方向に移動自在に載置支持する検査用支持部を備え、且つ、前記移動台を隣接させた状態で前記組立用支持部に支持された前記装置支持板を水平方向に移動させることで前記装置支持板を前記検査用支持部上に受取自在に構成され、前記検査用支持部が、前記支持体が前記下降位置に下降したときに前記支持体が前記検査台の横側方に位置する状態で、前記装置支持板を支持自在に構成されている点にある。
【0014】
すなわち、組立箇所で昇降装置を組み立てるときは、基枠を固定状態で支持自在な板状の装置支持板を利用して、移動台の組立用支持部に装置支持板を載置支持させた状態で、その装置支持板上に昇降装置を組み立てるようになっている。
そして、組立箇所にて昇降装置を組み立てるときや組立箇所から検査箇所に移動台が移動するときは、移動規制機構により装置支持板の水平方向への移動が規制されているため、装置支持板が移動台上で水平方向に移動して移動台から落下することを防止することができる。
【0015】
また、移動台を検査箇所に移動させて検査台に隣接させた状態で移動規制機構を規制状態から規制解除状態に切り換え、装置支持板を検査台側に水平方向に移動させることで、装置支持板及びその上に組み立てられた昇降装置を一体的に検査台上に移動させることができ、このように検査台上に昇降装置を支持した状態で昇降装置の検査が行われる。
よって、移動台上で昇降装置の検査を行わないため、移動台に昇降装置の検査に耐え得る強度を備える必要がなく、移動台の強度を抑えることができる。
また、移動規制機構を規制状態から規制解除状態に切り換えて水平方向への移動規制を解除した状態で、装置支持板と一体的に水平方向に移動させるだけで昇降装置を移動台から検査台に移動させることができるので、昇降装置の移動が煩わしくなく昇降装置の検査を行い易いものとなる。
【0016】
本発明にかかる生産設備の第5特徴構成は、前記移動台及び前記検査台の前記昇降装置を支持する高さが、前記昇降装置が前記設置高さと同じ又は高くなる高さに設定されている点にある。
【0017】
すなわち、移動台及び検査台の昇降装置を支持する高さが、昇降装置が設置される設置高さと同じ高さ又はその高さより高い高さに設定されているため、昇降装置を実際に設置高さに設置させた状態を想定して支持体を下降位置に下降移動させる昇降検査を行った場合でも、生産設備の床面にピットを形成することなく、昇降装置の昇降検査を行うことができる。
【0018】
本発明にかかる生産設備の第6特徴構成は、前記移動装置が、前記組立箇所において前記移動ラインに沿って複数台の前記移動台を設定間隔で並べた台列を形成する状態で前記移動台を移動させるように構成され、複数台の前記移動台の夫々が、前記台列から離脱させて作業者の押引操作により前記組立箇所から前記検査箇所の前記検査台と隣接する位置に前記移動ラインに沿って移動自在に構成されている点にある。
【0019】
すなわち、組立箇所では、複数台の移動台が台列を形成する状態で移動しており、その移動する移動台上に昇降装置を組み立てるため、流れ作業で効率よく昇降装置を組み立てることができる。そして、検査箇所では、台列から離脱させた移動台を作業者の押引操作により検査台と隣接する位置に移動させた状態で、昇降装置を移動台から検査台に移載し、その検査台上で昇降装置の検査を行うため、昇降装置の検査を行うときに検査台を台車移動方向に移動させることなく一箇所に留まった状態で昇降装置の検査を行うことができる。そのため、昇降装置の検査を行うときに検査台を移動させるスペースを確保する必要がなく、検査箇所の省スペース化を図れる。
【0020】
本発明にかかる生産設備の第7特徴構成は、前記昇降装置が、車両に装備されて物品を載置支持する前記支持体としての平板状の載置体を前記昇降操作機構により車両の床面近くの前記上昇位置と地面近くの前記下降位置とに昇降移動させる車両用昇降装置である点にある。
【0021】
すなわち、検査台に支持されている車両用昇降装置は、下降位置に下降した載置体が検査台に横側方に位置し且つ検査台の上面より下方に位置する状態で支持されているため、下降位置に下降した載置体が検査台の上面より上方に位置するように車両用昇降装置を検査台に支持させた場合に比べて、車両用昇降装置の高さを低くすることができ、車両用昇降装置の昇降検査等の検査作業が行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】車両用昇降装置の斜視図
図2】車両用昇降装置の作用図
図3】車両用昇降装置の生産設備の平面図
図4】移動台車の右側斜視図
図5】移動台車の左側斜視図
図6】移動台車の右側側面図
図7】移動台車の左側側面図
図8】移動台車の正面図
図9】検査箇所の側面図
図10】検査台の側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の生産設備を車椅子用の車両用昇降装置の生産設備に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、車両用昇降装置Lの生産設備において生産される車両用昇降装置Lは、後部の開口部Oを開閉する開閉扉Dを備えたワゴン車のような車両Vにおいて、その後部に搭載して用いられるものである。
そして、車両用昇降装置Lは、ボルトナット等の締結部材を用いて車両用昇降装置Lを車両Vの床面上に固定するための基枠1と、車椅子Cを載置する平板状の載置体2と、載置体2を車両内外方向にスライド移動自在に支持する昇降枠3と、昇降枠3を平行又は略平行姿勢で昇降案内して載置体2を地面近くの下降位置(図1及び図2(a)参照)と床面近くの上昇位置(図2(b)(c)参照)とに平行姿勢で昇降自在に支持する昇降操作機構4と、昇降操作機構4を操作する油圧シリンダ5と、その油圧シリンダ5に作動油を供給する油圧ポンプ(図示せず)とを備えて構成されている。
【0024】
詳細な説明は省略するが、図2に示すように、昇降操作機構4は、カバー体6内に収納された平行四連リンク機構4aや昇降アーム4b等で構成されており、カバー体6内には油圧シリンダ5も備えられている。そして、平行四連リンク機構4aの基端部が基枠1に連結されており、昇降操作機構4は、車両Vの床面高さを設置高さとして車両Vの床面上に連結されている。このように、基枠1は、昇降操作機構4を設置高さに連結するために用いられている。
【0025】
そして、昇降操作機構4は、油圧シリンダ5の伸縮作動により、図1及び図2(a)に示すような上昇姿勢と図2(b)(c)に示すような下降姿勢とに姿勢変更自在に構成されている。そして、昇降操作機構4は、油圧シリンダ5が伸長作動して下降姿勢から上昇姿勢に姿勢変更することで、載置体2を下降位置(図2(a)参照)から車両内方側(図2における左側)に移動させながら上昇移動させて載置体2を上昇位置(図2(b)参照)まで移動させるように構成されている。また、昇降操作機構4は、油圧シリンダ5が短縮作動して上昇姿勢から下降姿勢に姿勢変更することで、載置体2を上昇位置から車両外方側(図2における右側)に移動させながら下降移動させて載置体2を下降位置まで移動させるように構成されている。
また、載置体2は、上昇位置に位置する状態で昇降枠3に対して車両内外方向にスライド移動することで、外方位置(図2(b)参照)と内方位置(図2(c)参照)との移動自在に構成されている。
【0026】
このように、車両用昇降装置Lは、車椅子Cを載置支持する平板状の載置体2を昇降操作機構4により上昇位置と下降位置とに昇降移動させるように構成されている。そして、車椅子Cを載置する平板状の載置体2が、物品を支持する支持体に相当し、車両用昇降装置Lが、支持体を昇降操作機構4により下降位置と下降位置より高い上昇位置とに昇降移動させ且つ昇降操作機構4が下降位置より高い設置高さに設置される昇降装置に相当する。
【0027】
次に、上述した車両用昇降装置Lの生産設備について説明する。
図3に示すように、生産設備には、車両用昇降装置Lを流れ作業で組み立てる組立作業を行う組立箇所E1と、組立箇所E1にて組み立てられた車両用昇降装置Lの検査を行う検査箇所E2と、が設定されている。
また、組立箇所E1及び検査箇所E2を通る状態で移動ラインL0が設定されており、移動ラインL0のうち、組立箇所E1に設定されている部分については組立ラインL1と称し、検査箇所E2に設定されている部分については検査ラインL2と称する。
【0028】
組立箇所E1では、組立ラインL1に沿って移動する移動台としての移動台車8上に基枠1を支持させた状態で基枠1に部品を取り付けて車両用昇降装置Lを組み立てられる。つまり、移動台車8は、組立箇所E1において移動ラインL0に沿って移動しながら移動台車8上に車両用昇降装置Lを組立自在に構成されている。
検査箇所E2では、移動台車8を検査台9に隣接するように移動させ、組立箇所E1で組み立てられた車両用昇降装置Lを移動台車8から検査台9に乗り移らせて、検査台9上で車両用昇降装置Lの検査を行うようになっている。ちなみに、検査箇所E2には、載置体2のスライド移動の検査をするスライド検査や載置体2の昇降移動の検査をする昇降検査が行われる。
尚、移動ラインL0に沿う方向を台車移動方向と称し、その台車移動方向と直交する方向を台車横幅方向と称して説明する。また、移動ラインL0に沿って移動する移動台車8の台車移動方向視で右側を台車横幅方向の一方側、左側を台車横幅方向の他方側と称して説明する。
【0029】
図4に示すように、生産設備には、基枠1を固定状態で支持自在な装置支持板10が設けられている。
この装置支持板10は、移動台車8や検査台9に載置自在に構成されており、組立箇所E1では、装置支持板10を移動台車8に載置させた状態で、その装置支持板10上に車両用昇降装置Lを組み立て、検査箇所E2では、装置支持板10を検査台9に載置させた状態でその装置支持板10上で車両用昇降装置Lの検査を行うようになっている。
このように、移動台車8は、載置した装置支持板10上に車両用昇降装置Lを組み立てることで、装置支持板10を介する状態で間接的に車両用昇降装置Lを支持するように構成されている。また、検査台9も同様に、載置した装置支持板10上で車両用昇降装置Lの検査を行うことで、装置支持板10を介する状態で間接的に車両用昇降装置Lを支持するように構成されている。
【0030】
図4に示すように、装置支持板10には、基枠1をボルトナット等の締結機構にて装置支持板10に締結するための被締結部11が備えられている。この被締結部11は、基枠1を車両Vの床面に締結するときと同様の締結機構にて締結するように構成されている。
【0031】
装置支持板10には、位置決めピンPを挿通させる挿通孔12が備えられている。装置支持板10を移動台車8に載置させた状態で位置決めピンPを挿通孔12に挿通し、位置決めピンPの先端部を移動台車8に差し込むことで、装置支持板10が移動台車8で載置位置から水平方向への移動を規制できるように構成されている。尚、組立用支持ローラ13aとの摩擦により装置支持板10の台車移動方向の移動が適切に規制されている場合等では、位置決めピンPを設けなくてもよい。
【0032】
次に、移動台車8について説明する。
図4に示すように、移動台車8には、装置支持板10を水平方向に移動自在に載置支持する組立用支持部13と、組立用支持部13に支持された装置支持板10の水平方向への移動を規制した規制状態及び当該規制を解除した規制解除状態に切換自在な移動規制機構14と、が備えられている。
【0033】
組立用支持部13は、台車移動方向に沿う軸心周りに回転自在な組立用支持ローラ13aを台車移動方向及び台車横幅方向に複数並べて備え、この複数の組立用支持ローラ13aにて装置支持板10を載置支持自在に構成されている。そして、組立用支持部13は、台車横幅方向については組立用支持ローラ13aの回転により移動自在な状態で、台車移動方向については組立用支持ローラ13aとの摩擦により移動を規制した状態で載置支持している。
【0034】
移動規制機構14は、組立用支持部13にて組立用載置位置に載置された装置支持板10の台車横幅方向の他方側に固定状態で設けられた固定規制部材15と、組立用支持部13にて組立用載置位置に載置された装置支持板10の台車横幅方向の一方側に台車横幅方向に沿う軸心周りに揺動自在な状態で設けられた揺動規制部材16と、を備えて構成されている。
そして、移動規制機構14は、組立用載置位置に位置する装置支持板10の台車横幅方向の他方側への移動を装置支持板10が固定規制部材15に接触することで規制し、組立用載置位置に位置する装置支持板10の台車横幅方向の一方側への移動を装置支持板10が揺動規制部材16に接触することで規制するように構成されている。
【0035】
揺動規制部材16について説明を加えると、図6に実線で示すように、揺動規制部材16は、自然状態では規制用規律姿勢となっており、規制用上部16aが装置用載置位置に位置する装置支持板10と同じ高さに位置する規制位置に位置するように構成されている。また、図6に仮想線で示すように、揺動規制部材16は、規制用起立姿勢から揺動させて規制解除用転倒姿勢に姿勢変更させることで、規制用上部16aが装置用載置位置に位置する装置支持板10より下方に引退するように構成されている。
そのため、揺動規制部材16は、規制用上部16aを規制位置に移動させた状態では、組立用載置位置から台車横幅方向の一方側に移動する装置支持板10の移動経路上に位置して装置支持板10の水平方向の移動を規制し、規制用上部16aを規制解除位置に移動させた状態では、装置支持板10の移動経路上から下方に退避して装置支持板10の水平方向の移動の規制を解除するように構成されている。
【0036】
そして、図9に示すように、検査箇所E2には、規制用起立姿勢の揺動規制部材16における接触用下部16bと同じ高さに接触体17が固定状態で設けられており、この接触体17は、移動台車8が検査ラインL2に沿って移動して検査台9に隣接する検査位置に移動するに伴って接触体17が接触用下部16bに接触する位置に設けられている。
そのため、移動台車8が検査箇所E2の検査台9に隣接する箇所に移動するに伴って接触用下部16bが接触体17に接触し、この接触用下部16bが台車本体19に対して相対的に台車移動方向の下流側に移動することで、揺動規制部材16が規制用起立姿勢から規制解除用転倒姿勢に姿勢変更し、規制用上部16aが規制位置から規制解除位置に移動するようになっている。
規制用上部16aが、規制位置と規制解除位置とに移動自在な規制体に相当し、接触用下部16bが、規制用上部16aを規制位置から規制解除位置に移動させる被接触体に相当するものであり、移動規制機構14には、規制体及び被接触体が備えられており、規制体と被接触体とは一体形成されている。
【0037】
図7及び図8に示すように、移動台車8には、床面上に設けられた案内レール20に案内される案内ローラ21が前後一対設けられている。この案内ローラ21は、移動車輪22を備えた台車本体19の台車横幅方向の他方側端部に連結支持されている。
案内レール20は、図3に示すように、組立箇所E1の組立ラインL1や検査箇所E2の検査ラインL2に沿って設けられている。そのため、案内ローラ21が案内レール20にて案内される状態で移動台車8を移動させることで、移動台車8を組立ラインL1及び検査ラインL2に沿って移動させることや、移動台車8を組立箇所E1から検査箇所E2に移動させることができるようになっている。このように、移動台車8は、組立箇所E1から検査箇所E2に移動自在な状態で生産設備に設けられている。
【0038】
図5及び図7に示すように、移動台車8には、台車本体19に揺動自在に支持されて先端に係合部26が備えられた連結棒27と、前記連結棒27の係合部26及び牽引装置24(図3参照)におけるワイヤ24aの先端に備えられたフックを引っ掛ける引っ掛け用部材25と、台車移動方向に隣接する移動台車8の台車本体19同士が接触することを防止する緩衝部材29と、が備えられている。尚、引っ掛け用部材25及び連結棒27の夫々は、台車本体19の台車横幅方向の他方側端部に備えられている。
【0039】
そして、図7に示すように、連結棒27を転倒させて台車移動方向の後方側(上流側)に隣接する別の移動台車8の引っ掛け用部材25に係合部26を係合させることで、自車と台車移動方向の後方側に隣接する移動台車8と連結できるようになっており、このようにして複数台の移動台車8を台車移動方向に連結自在に構成されている。
また、連結棒27の長さは、係合部26を引っ掛け用部材25に係合させて2台の移動台車8を接続した状態で、これら2台の移動台車8における一対の台車本体19の間に組立用間隔が形成される長さに設定されている。連結棒27は硬質であるため、この硬質な連結棒27にて2台の移動台車8を連結していることで、一対の台車本体19の間に形成される隙間は組立用隙間に維持され、2台の移動台車8を台車移動方向に連結した状態でも一対の台車本体19の間に作業者が入って車両用昇降装置Lの組立作業が行えるようになっている。
【0040】
そして、図7に示すように、組立ラインL1に沿って移動台車8を移動させるときは、連結棒27を用いて複数台の移動台車8を連結し、そのうちの一台の移動台車8(図3では連結された9台の移動台車8のうちの前から5台目の移動台車8)の引っ掛け用部材25に牽引装置24のフックを引っ掛け、牽引装置24にてワイヤ24aを巻き取って牽引することで、組立ラインL1(移動ラインL0)に沿って複数台の移動台車8を設定間隔で並べた台列を形成する状態で移動台車8を移動させるように構成されている。
このように、牽引装置24にてワイヤ24aを連結した牽引対象の移動台車8を牽引することで、牽引対象の移動台車8より前方側に位置する移動台車8は押され、牽引対象の移動台車8より後方側に位置する移動台車8は引かれて、連結された複数台の移動台車8の全てを移動させるようになっている。
ちなみに、牽引装置24が、連結棒27にて連結された複数台の移動台車8を設定間隔で並べた台列を形成する状態で移動台車8を移動させる移動装置に相当する。
尚、連結棒27を転倒させて係合部26を引っ掛け用部材25に係合させたときの連結棒27の姿勢を水平姿勢としたが、上述のように牽引装置24にて牽引したときに係合部26が引っ掛け用部材25から外れないのであれば、係合部26を引っ掛け用部材25に係合させたときの連結棒27の姿勢を後方側ほど上方又は下方に位置する傾斜姿勢としてもよい。
【0041】
図3に示すように、組立箇所E1では、移動台車8に載置支持された装置支持板10に基枠1を固定し、その基枠1に、油圧モータ等の油圧機器、平行四連リンク機構4a、昇降アーム4b、昇降枠3、載置体2等を順次取り付けて車両用昇降装置Lを組み立てており、移動台車8が組立ラインL1に沿って移動する間に移動台車8上に車両用昇降装置Lが組み立てられる。これらの車両用昇降装置Lの組立作業は、主に移動台車8に対して台車横幅方向の一方側から行われる。
【0042】
移動台車8上に組み立てられる車両用昇降装置Lは、載置体2がスライド移動するスライド移動方向が台車横幅方向に沿う状態となるように組み立てられており、移動台車8上に組み立てられた車両用昇降装置Lの昇降枠3は、載置体2を台車横幅方向にスライド移動自在に支持し、昇降操作機構4は、載置体2を台車横幅方向に移動させながら上昇位置と下降位置とに昇降移動させるようになっている。
また、図8は、図3において台列を形成する9台の移動台車8のうちの前から4台目の移動台車8の正面図を示しているが、この移動台車8に支持されている組立途中の車両用昇降装置Lの昇降操作機構4は下降姿勢となっており、このように昇降操作機構4を下降姿勢とした状態で昇降枠3が取り付けられる。
【0043】
そして、装置支持板10を移動台車8に載置支持した状態において、その装置支持板10における台車横幅方向の一方側端部に位置するように基枠1が固定されている。そのため、図8に示す組立途中の車両用昇降装置Lには載置体2は取り付けられていないが、仮にこの車両用昇降装置Lに載置体2を取り付けられていると、昇降操作機構4を上昇姿勢から下降姿勢に姿勢変更させることで、載置体2は台車横幅方向の一方側に移動しながら下降して移動台車8の上面より下方に移動し、昇降操作機構4を下降姿勢から上昇姿勢に姿勢変更させることで、載置体2は台車横幅方向の他方側に移動しながら上昇して移動台車8の上面(装置支持板10を載置支持する載置面)よりも上方、さらに、装置支持板10の上面よりも上方に移動するようになっている。
【0044】
このように移動台車8は、下降位置に下降させた載置体2が移動台車8に対して台車横幅方向の一方側に位置し且つ移動台車8の上面より下方に位置する状態で、車両用昇降装置Lを支持自在に構成されている。説明を加えると、移動台車8の組立用支持部13は、装置支持板10に基枠1が支持された車両用昇降装置Lにおける載置体2が下降位置に下降したときに、その載置体2が移動台車8に対して台車横幅方向の一方側に位置し且つ装置支持板10の上面より下方に位置する状態で、装置支持板10を支持自在に構成されている。
ちなみに、移動台車8は、台車横幅方向の幅に比べて台車移動方向の幅が大きな平面視矩形状に形成されている。また、支持した車両用昇降装置Lの載置体2が下降位置に位置している状態において、台車横幅方向での載置体2の一方側端から移動台車8の他方側端までの幅が移動台車8の台車移動方向の幅より大きくなるように、移動台車8が形成され且つ車両用昇降装置Lが移動台車8に支持されている。
【0045】
そして、移動台車8の夫々は、台列から離脱させて作業者の押引操作により組立箇所E1から検査箇所E2の検査台9と隣接する位置に移動ラインL0に沿って移動自在に構成されている。
説明を加えると、牽引装置24は、組立箇所E1において台列を形成する状態で複数台の移動台車8を移動ラインL0(組立ラインL1)に沿って移動させるように構成されているが、検査箇所E2において移動台車8を移動ラインL0(検査ラインL2)に沿って移動させるようには構成されていない。そのため、移動台車8を検査箇所E2の検査台9と隣接する箇所に移動させるときは、組立ラインL1の下流端まで移動した移動台車8を、連結棒27を起立させて上流側に隣接する移動台車8との連結を解除して台列から離脱させ、その離脱させた移動台車8を作業者の押引操作により移動ラインL0に沿って移動させて検査箇所E2の検査台9と隣接する箇所に移動させるようになっている。
【0046】
図6に示すように、検査箇所E2では、台車移動方向に隣接する移動台車8は連結棒27にて連結されておらず、このように連結棒27にて連結されていない台車移動方向に隣接する移動台車8の台車本体19同士が接触することを防止するために、移動台車8の前端及び後端に緩衝部材29が設けられている。
そして、装置支持板10は、緩衝部材29を含む移動台車8の台車移動方向での長さより短い長さに形成されている。そのため、図6に示すような緩衝部材29同士が接触するように台車移動方向に隣接する2台の移動台車8が接触している状態でも、一方の移動台車8の組立用支持部13に載置支持された装置支持板10と他方の移動台車8の組立用支持部13に載置支持された装置支持板10との間に台車移動方向に作業者の手の厚みより広い隙間が形成されている。
装置支持板10は、図4に示すように、台車横幅方向の両端部における台車移動方向での幅が、台車横幅方向の中央部における台車移動方向での幅より幅狭に形成されており、上述のような台車移動方向に隣接する2台の移動台車8が接触している状態で、一対の装置支持板10における台車横幅方向の中央部同士の間に形成される隙間に比べて、台車横幅方向の両端部同士の間に形成される隙間が大きくなる形状に形成されている。
【0047】
検査箇所E2では、作業者の押引操作により移動台車8を検査ラインL2に沿って移動させて検査台9の横側方の停止位置(検査台9に対して台車横幅方向の他方側に隣接する位置)に停止させるようになっている。そして、図5及び図9に示すように、検査箇所E2には、停止位置に停止する移動台車8が台車移動方向に移動することを規制する台車移動規制部材31が設けられている。この台車移動規制部材31は、停止位置に位置する移動台車8の台車移動方向の上流側及び下流側の夫々に設けられている。そして、移動台車8が停止位置に停止している状態で、一対の台車移動規制部材31を、移動台車8の移動経路から退避させた位置(図5参照)から移動台車8の移動経路上に突出させた位置(図9の仮想線参照)に揺動操作させることで、移動台車8の停止位置から台車移動方向に移動することを規制できるように構成されている。
【0048】
図9及び図10に示すように、検査箇所E2には、載置体2を上昇位置と下降位置とに昇降移動させる昇降検査や載置体2を内方位置と外方位置とにスライド移動させるスライド検査を行うための検査台9が設けられている。この検査台9は、移動台車8の組立用支持部13と同高さで装置支持板10を水平方向に移動自在に載置支持する検査用支持部32を備え、且つ、移動台車8を隣接させた状態でかつ移動規制機構14を規制解除状態に切り換えられた状態で組立用支持部13に支持された装置支持板10を水平方向に移動させることで装置支持板10を検査用支持部32上に受取自在に構成されている。このように、検査台9は、移動台車8と同じ高さで車両用昇降装置Lを支持自在に構成されている。
【0049】
検査用支持部32は、台車移動方向に沿う軸心周りに回転自在な検査用支持ローラ32aを台車移動方向及び台車横幅方向に複数並べて備え、装置支持板10を台車横幅方向に移動自在に載置支持するように構成されている。
図9に示すように、検査用支持部32の台車横幅方向の一方側の端部に装置支持板10を載置支持するように検査位置が設定されており、検査台9には、検査位置より台車横幅方向の一方側への移動を規制する移動規制体33と、検査位置に位置する装置支持板10を検査台9に固定する固定装置34と、が備えられている。移動台車8を停止位置に停止させた状態で装置支持板10を台車横幅方向の一方側に移動させることで、装置支持板10とその装置支持板10に支持されている車両用昇降装置Lを一体的に移動台車8上から検査台9上に移動させることができ、その検査台9上に移動させた装置支持板10は、移動規制体33に接触するまで台車横幅方向の一方側端部まで移動させて検査位置まで移動させ、その装置支持板10を固定装置34にて検査位置に固定するように構成されている。
【0050】
そして、装置支持板10を検査台9の検査位置に載置支持した状態では、車両用昇降装置Lは検査台9の車両横幅方向の一方側端部に位置しているため、図10に示すように、昇降操作機構4を上昇姿勢から下降姿勢に姿勢変更させることで、載置体2は台車横幅方向の一方側に移動しながら下降して検査台9の上面より下方に移動し、昇降操作機構4を下降姿勢から上昇姿勢に姿勢変更させることで、載置体2は台車横幅方向の他方側に移動しながら上昇して検査台9の上面(装置支持板10を載置支持する載置面)よりも上方、さらに、装置支持板10の上面よりも上方に移動するように構成されている。
【0051】
このように検査台9は、下降位置に下降させた載置体2が検査台9に対して台車横幅方向の一方側に位置し且つ検査台9の上面より下方に位置する状態で、車両用昇降装置Lを支持自在に構成されている。説明を加えると、検査台9の検査用支持部32は、装置支持板10に基枠1が支持された車両用昇降装置Lにおける載置体2が下降位置に下降したときに、その載置体2が検査台9に対して台車横幅方向の一方側に位置し且つ装置支持板10の上面より下方に位置する状態で、装置支持板10を支持自在に構成されている。
【0052】
装置支持板10を検査位置に固定した後、昇降枠3に対してスライド移動する載置体2を案内支持するレール部材35を検査台9に固定して、載置体2のスライド検査と昇降枠3の昇降検査とを行うようになっている。
検査台9は床面上に固定状態で設けられており、その検査台9の検査用支持部32の高さは、図9に示すように当該検査用支持部32に載置支持された装置支持板10の上面に固定された車両用昇降装置Lの高さが、図1に示すように車両Vに取り付けられた設定高さの車両用昇降装置Lと同じ又は高くなる高さに設定されている。
【0053】
このようにして検査台9(及び移動台車8)の車両用昇降装置Lを支持する高さが、車両用昇降装置Lが設置高さと同じ又は高くなる高さに設定されている。説明を加えると、生産設備の床面に対する、検査台9の検査用支持部32(及び移動台車8の組立用支持部13)に載置支持された装置支持板10の上面の高さが、地面に対する車両Vの床面の高さに比べて同じ又は高くなる高さとなっており、検査台9の検査位置に位置する装置支持板10の上面近くの位置を上昇位置とし、生産設備の床面近くの位置を下降位置として、車両Vに設置させた場合と同じ昇降ストロークで、載置体2を上昇位置と下降位置とに昇降移動させる昇降検査を実行できるようになっている。
【0054】
そして、スライド検査や昇降検査が終わった後は、装置支持板10を移動台車8上に移動させて、その検査が完了した車両用昇降装置Lを支持する移動台車8を図外の出荷箇所まで移動させて車両用昇降装置Lを移動台車8から卸し、車両用昇降装置Lを支持せず装置支持板10のみを支持する空き状態の移動台車8を検査ラインL2の上流側の端部に移動させるようになっている。
【0055】
〔別実施形態〕
(1) 上記実施形態では、検査台9を、下降位置に下降した支持体が検査台9の台車横幅方向の一方側に位置する状態で、昇降装置を支持自在に構成したが、検査台9を、下降位置に下降した支持体が検査台9の台車移動方向の一方側に位置する状態で、昇降装置を支持自在に構成してもよい。
また、移動台を、下降位置に下降した支持体が移動台の台車横幅方向の一方側に位置する状態で、昇降装置を支持自在に構成したが、移動台を、下降位置に下降した支持体が移動台の台車移動方向の一方側に位置する状態で、昇降装置を支持自在に構成してもよい。
ちなみに、移動台にて昇降装置を支持する向きと検査台9にて昇降装置を支持する向きとが異なる場合は、例えば、検査用支持部32を縦軸心周りに回転させるターンテーブルを検査台9に設けて、検査用支持部32に昇降装置を支持させた状態でターンテーブルにて検査用支持部32を回転させることで、移動台にて昇降装置を支持する向きから検査台9にて昇降装置を支持する向きに変更することで対応可能である。
【0056】
(2) 上記実施形態では、移動台を、移動車輪22を備えて床面上を移動自在な移動台車8とし、複数台の移動台車8を連結棒27にて連結して台列を形成し、その台列を形成した複数台の移動台車8を移動装置にて移動ラインL0に沿って移動させるように構成したが、移動台を、移動車輪22を備えない床面上を移動不能な移動用台とし、移動装置を、移動用台を設定間隔で並べた状態で支持して移動用台の台列を形成し、その支持した複数台の移動用台を移動ラインL0に沿って移動させるように構成してもよい。
また、移動装置を、設定間隔で並べた状態で複数台の移動台を移動ラインL0に沿って移動させたが、例えば、組立箇所E1において移動する移動台の数に対応させて牽引装置24を複数設け、複数の牽引装置24にて複数台の移動台を個々に移動させるように構成して、設定間隔とならない状態で複数台の移動台を移動させるように構成してもよい。
【0057】
(3) 上記実施形態では、検査台9の検査用支持部32の高さを、当該検査用支持部32に載置支持された装置支持板10の上面に固定された車両用昇降装置Lの高さが車両Vに設置された車両用昇降装置Lの高さと同じ又は高くなる高さに設定したが、検査用支持部32の高さを、装置支持板10の上面に固定された車両用昇降装置Lの高さが車両Vに設置された車両用昇降装置Lより低い高さになるように設定してもよい。
また、上記実施形態では、検査台9から移動台車8に装置支持板10を移動させるときの検査用支持部32の高さと昇降検査を行うときの検査用支持部32の高さとを同じ高さとしたが、検査用支持部32を昇降自在に検査台9に備えて、昇降検査を行うときの検査用支持部32の高さを、移動台車8から検査台9に装置支持板10を移動させるときの検査用支持部32の高さより高くしてもよい。
【0058】
(4) 上記実施形態では、移動台と検査台9とを別々に設けたが、移動台を検査台9に兼用してもよい。具体的には、移動ラインL0に沿って検査箇所E2まで移動させた移動台を、移動台と同じ高さで車両用昇降装置Lを支持自在に構成された検査台9として用いて、移動台を検査台9に兼用してもよい。
【0059】
(5) 上記実施形態では、物品を車椅子Cとして、昇降装置を、載置体2に車椅子Cを載置支持させる車椅子用の車両用昇降装置としたが、物品をカートンケースやパレット等として、載置体2を垂直方向に昇降移動させる物品用の車両用昇降装置でもよい。
また、昇降装置は車両用昇降装置に限られるものではなく、例えば、昇降操作機構4を建物の2階に設置し、載置体2を地面近くの下降位置と建物の2階の床面近くの上昇位置とに昇降移動させる昇降装置でもよい。
また、支持体を、物品を載置支持する載置体2としたが、物品を引っ掛けて吊下げ支持するフック体等、支持体の形状は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 基枠
4 昇降操作機構
8 移動台車(移動台)
9 検査台
10 装置支持板
13 組立用支持部
24 移動装置
32 検査用支持部
E1 組立箇所
E2 検査箇所
L 車両用昇降装置(昇降装置)
L0 移動ライン
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10