特許第5669019号(P5669019)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 愛媛県の特許一覧

<>
  • 特許5669019-コンバートEVの動力伝達装置 図000002
  • 特許5669019-コンバートEVの動力伝達装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669019
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】コンバートEVの動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/00 20060101AFI20150122BHJP
   F16H 3/00 20060101ALI20150122BHJP
   F16D 1/02 20060101ALI20150122BHJP
   F16D 1/033 20060101ALI20150122BHJP
   H02K 7/10 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   H02K7/00 A
   F16H3/00
   F16D1/02 E
   F16D1/02 B
   H02K7/10 A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-135933(P2011-135933)
(22)【出願日】2011年6月20日
(65)【公開番号】特開2013-5637(P2013-5637A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年2月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592134583
【氏名又は名称】愛媛県
(74)【代理人】
【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 員暢
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3172122(JP,U)
【文献】 特開2004−278751(JP,A)
【文献】 特開平08−080754(JP,A)
【文献】 特開2010−169249(JP,A)
【文献】 特開2007−192336(JP,A)
【文献】 特開昭61−180068(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02294913(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/00
F16D 1/02
F16D 1/033
F16H 3/00
H02K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機の出力をトルクコンバータを介してトランスミッション(変速機)に伝達する構造のオートマティック・トランスミッションを備えた車両のコンバートEV動力伝達装置で、トルクコンバータの代わりに取り付ける動力伝達装置であって、前記電動機の出力軸取り付けた電動機側フランジを、前記トランスミッション側に取り付けたトランスミッション側フランジと結合して、前記電動機の出力を前記トランスミッションを切替制御するためのラインプレッシャを発生する油圧ポンプに伝達すると共に、前記ミッション側フランジを前記ミッション側フランジ内に設けたスプラインリングを介して前記トランスミッションの入力軸にスプライン結合させ、前記電動機の出力を直接前記トランスミッションに伝達することで前記トランスミッションの動力伝達効率を改善するようにしたことを特徴とするコンバートEVの動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートマティック・トランスミッション車をベース車両とするコンバートEV(改造電気自動車)の動力伝達装置に関するものである。
【0002】
より詳しくは、オートマティック・トランスミッション車を電気自動車に改造(コンバート)する場合に、動力伝達効率の低いトルクコンバータを使用せず、電動機からトランスミッションへ動力伝達する装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、トルクコンバータを用いた車両用駆動装置としては、例えば、下記の特許文献1、2のようなものがあった。
【0004】
現在、日本の市場に出回っている車両の90%以上がオートマティック・トランスミッション車である。しかしながら、オートマティック・トランスミッション車からコンバートEVを作製する場合に、トルクコンバータを使用した動力伝達方式で行うと、伝達効率が低くなり、一充電走行距離が短くなるという問題点があった。そこで、現在はマニュアル・トランスミッション車をベース車両として選定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−349114号公報
【特許文献2】特開平3−262726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したように、オートマティック・トランスミッション車が主流の現状で、マニュアル・トランスミッション車をベース車両として入手することは困難であり、オートマティック・トランスミッション車をベース車両としたコンバートEVの伝達効率の改善が求められていた。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みて、オートマティック・トランスミッションの効率を改善したコンバートEVの動力伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕電動機の出力をトルクコンバータを介してトランスミッション(変速機)に伝達する構造のオートマティック・トランスミッションを備えた車両のコンバートEV動力伝達装置で、トルクコンバータの代わりに取り付ける動力伝達装置であって、前記電動機(1)の出力軸(2)に取り付けた電動機側フランジ(3)を、前記トランスミッション側に取り付けたトランスミッション側フランジ(4)と結合して、前記電動機(1)の出力を前記トランスミッション(9)を切替制御するためのラインプレッシャを発生する油圧ポンプ(7)に伝達すると共に、前記ミッション側フランジ(4)を前記ミッション側フランジ(4)内に設けたスプラインリング(5)を介して前記トランスミッションの入力軸(6)にスプライン結合させ、前記電動機(1)の出力を直接前記トランスミッション(9)に伝達することで前記トランスミッションの動力伝達効率を改善するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オートマティック・トランスミッション車を用いてエネルギー効率の良いコンバートEVを製作することができる。さらに、市場に多いオートマティック・トランスミッション車をベース車両とすることで、コンバートEVの大量普及に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例を示すコンバートEVの動力伝達装置のトランスミッションとの連係部を示す断面図である。
図2】本発明の実施例を示すコンバートEVの概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電動機の出力をトルクコンバータを介してトランスミッション(変速機)に伝達する構造のオートマティック・トランスミッションを備えた車両のコンバートEV動力伝達装置で、トルクコンバータの代わりに取り付ける動力伝達装置であって、前記電動機(1)の出力軸(2)に取り付けた電動機側フランジ(3)を、前記トランスミッション側に取り付けたトランスミッション側フランジ(4)と結合して、前記電動機(1)の出力を前記トランスミッション(9)を切替制御するためのラインプレッシャを発生する油圧ポンプ(7)に伝達すると共に、前記ミッション側フランジ(4)を前記ミッション側フランジ(4)内に設けたスプラインリング(5)を介して前記トランスミッションの入力軸(6)にスプライン結合させ、前記電動機(1)の出力を直接前記トランスミッション(9)に伝達することで前記トランスミッションの動力伝達効率を改善するようにした。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施例を示すコンバートEVの動力伝達装置のトランスミッションとの連係部を示す断面図、図2は本発明の実施例を示すコンバートEVの概略構成を示す模式図である。
【0014】
これらの図において、1は電動機、2は電動機1の出力軸、3は電動機側フランジ、3aは押さえ蓋、3bはOリング、4はミッション側フランジ、5はスプラインリング、6はオートマティック・トランスミッション9の入力軸、7は油圧ポンプであり、ここで、電動機側フランジ3、ミッション側フランジ4及びスプラインリング5とを連係部8と呼び、この連係部8は電動機1の出力軸2からオートマティック・トランスミッション9へ動力を伝達する。10はオートマティック・トランスミッション9のコントロール・バルブ、11は車輪、21は車両の全体を制御する電子制御装置である。なお、オートマティック・トランスミッション9の詳細な構成は省略するが、従来のオートマティック・トランスミッション(上記特許文献1や2の機構を含む)を用いることができる。
【0015】
これらの図に示すように、本発明のコンバートEVの動力伝達装置は、動力伝達効率の低いトルクコンバータを使用せず、電動機1から連係部8を介してオートマティック・トランスミッション9へ動力を伝達する。電動機1の動力は、その電動機1に取り付けられた電動機側フランジ3、ミッション側フランジ4、スプラインリング5を経て入力軸6に伝達される。ミッション側フランジ4は、スプラインリング5を介して動力を伝達すると共に、連係部8がオートマティック・トランスミッション9のラインプレッシャを発生させるための油圧ポンプ7を駆動できる構造とする。このような構成により、電動機1の回転を直接オートマティック・トランスミッション9の入力軸へ伝達し、オートマティック・トランスミッション9としての機能を維持するようにする。
【0016】
また、前記オートマティック・トランスミッションの従来のトルクコンバータ内へ流入する入力軸6外周部の油路は遮断する構造とする。
【0017】
このように、従来の車両用動力伝達装置で用いられていたトルクコンバータを取り除き、それに代わる動力伝達を行う連係部8を構成するようにしている。
【0018】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明のコンバートEVの動力伝達装置は、オートマティック・トランスミッションの効率を改善したコンバートEVの動力伝達装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 電動機
2 電動機の出力軸
3 電動機側フランジ
3a 押さえ蓋
3b Oリング
4 ミッション側フランジ
5 スプラインリング
6 入力軸
7 油圧ポンプ
8 連係部
9 オートマティック・トランスミッション
10 コントロール・バルブ
11 車輪
21 電子制御装置
図1
図2