特許第5669075号(P5669075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5669075
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】指圧具
(51)【国際特許分類】
   A61H 39/04 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   A61H39/04 H
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-103971(P2014-103971)
(22)【出願日】2014年5月20日
【審査請求日】2014年6月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514126186
【氏名又は名称】大森 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】大森 拓
(72)【発明者】
【氏名】大森 怜
【審査官】 岩田 洋一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−113548(JP,U)
【文献】 実開昭54−077589(JP,U)
【文献】 実開昭48−064294(JP,U)
【文献】 特開2007−244834(JP,A)
【文献】 特開2009−050664(JP,A)
【文献】 実開昭63−135637(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の指圧突起を長尺な本体の延在方向に並べた指圧列を、前記延在方向に直交する周方向に120度等間隔で前記本体に3列設けた指圧具において、
設置面に指圧突起を接地させる2列の指圧列の周方向中間角度で、本体の端部直近にある指圧突起と前記本体の端部との間から、前記設置面に当接する転倒防止突起を突出させたことを特徴とする指圧具。
【請求項2】
転倒防止突起は、各指圧列の周方向中間角度すべてで本体から突出させた請求項1記載の指圧具。
【請求項3】
転倒防止突起は、本体の両端部それぞれ直近にある指圧突起と前記本体の両端部と間それぞれから突出させた請求項1又は2いずれか記載の指圧具。
【請求項4】
転倒防止突起は、本体の端部から前記本体の延在方向に突出させた請求項1〜3いずれか記載の指圧具。
【請求項5】
本体は、端部の一方又は両方から本体の延在方向に持ち手を突出させた請求項1〜4いずれか記載の指圧具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首、背中、腰や臀部等にある左右一対のつぼを刺激する指圧具に関する。
【背景技術】
【0002】
首、背中、腰や臀部にある左右一対のつぼを刺激する指圧具は、例えば特許文献1に見られるように、2個の指圧突起(突起)を長尺な三角柱状の本体(三角棒)の延在方向に並べた指圧列を、前記延在方向に直交する周方向に120度等間隔で前記本体に3列設けた構成がある。特許文献1が開示する指圧具は、例えば下方を向いた2面それぞれから突出する合計4個の指圧突起を床面等の設置面に接地させた状態で仰向けになった利用者が乗り、上方を向いた1面から突出する2個の指圧突起に上方から首、背中、腰や臀部を押し付けて、前記首、背中、腰や臀部にある左右一対のつぼを刺激する。
【0003】
特許文献1が開示する指圧具は、各指圧列に並ぶ指圧突起の間隔が異なり、いずれかの指圧列を上方に向けて突出させることにより、利用者に体格や身長に合わせた指圧突起の間隔を選択できるようになっている。また、本体の一端を延長して持ち手(握柄)とすることにより、指圧具そのものを扱いやすくすると共に、例えば持ち手を持ち、いずれかの指圧列に並ぶ指圧突起を肩に打ち付けるようにして、指圧具を肩叩き具として利用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実全昭48-064294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する指圧具は、上方に向けて突出させた指圧列を構成する2個の指圧突起に、首、背中、腰や臀部を同時に押し当てることができればよい。しかし、利用者が前記指圧具の上に仰向けになる際、2個の指圧突起のいずれか先に首、背中、腰や臀部が当たることも少なくなく、こうした場合、持ち手が接地する限度で本体が持ち上がる問題があった。しかし、持ち手が接地しても、本体が目に見えて持ち上がって指圧具ががたつくこともあり、がたついた指圧具が首、背中、腰や臀部に打ち付けられることもある。
【0006】
また、指圧具に本体から延長した持ち手がなければ、上述のように2個の指圧突起の一方のみに首、背中、腰や臀部が押し当てられると、本体が大きく持ち上げられ、更にひっくり返ることもある。この場合、指圧具がひっくり返る際に利用者が体勢を崩して怪我をする虞も出てくる。指圧具の利用者は高齢者が多く、このように怪我を招く虞があると、現実的に利用し難くなる。そこで、複数の指圧突起を長尺な本体の延在方向に並べた指圧列を、前記延在方向に直交する周方向に120度等間隔で前記本体に3列設けた指圧具において、複数の指圧突起の1個のみに首、背中、腰や臀部が押し当てられても本体が持ち上がらず、ひっくり返らないようにするため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検討の結果、複数の指圧突起を長尺な本体の延在方向に並べた指圧列を、前記延在方向に直交する周方向に120度等間隔で前記本体に3列設けた指圧具において、設置面に指圧突起を接地させる2列の指圧列の周方向中間角度で、本体の端部直近にある指圧突起と前記本体の端部との間から、前記設置面に当接する転倒防止突起を突出させたことを特徴とする指圧具を開発した。本体及び指圧突起は、それぞれ木製、金属製又は樹脂製で、指圧突起の頂面は、利用者の背中、腰及び首に接触するため、コルクや弾性変形する柔らかい樹脂を用いる。
【0008】
本発明の指圧具は、本体の端部と指圧突起との間に、指圧列の周方向中間角度から転倒防止突起を突出させることにより、複数の指圧突起の1個のみに首、背中、腰や臀部が押し付けられた時に、本体が持ち上がったり、ひっくり返ったりしないようにする。転倒防止突起は、指圧突起が接地する設置面に当接するだけの突出量で、直上に向けて突出する指圧突起より上方へ突出することがなく、また本体の端部と指圧突起との間で本体から突出することから、不用意に利用者に当たる虞はない。
【0009】
転倒防止突起は、特定の指圧列に対して本体の端部の一方にのみ設けるだけでもよいが好ましい転倒防止突起は、各指圧列の周方向中間角度すべてで本体から突出させるとよい。これにより、接地面に接地する指圧突起が変わっても転倒防止突起を設置面に当接させることができ、本体の持ち上がりやひっくり返ることを防止できる。また、好ましい転倒防止突起は、本体の両端部それぞれ直近にある指圧突起と前記本体の両端部と間それぞれから突出させる。これにより、本体の延在方向いずれの側も、持ち上がりやひっくり返ることを防止できる。
【0010】
転倒防止突起は、本体の端部と前記端部に直近の指圧突起の間で本体から突出させれば十分であるが、例えば本体の端部から前記本体の延在方向に突出させることにより、転倒防止突起の接地面積を増やすと共に、本体を持ち上げようとする回動に対抗しやすくなり、指圧具の設置安定性を向上させる。そして、安定して設置面に置かれた指圧具を、前記設置面に当接する転倒防止突起の先端を支点として持ち上げ、指圧突起を利用者の首、背中、腰や臀部に強く押し付けることができる。
【0011】
本発明の指圧具においても、本体は、端部の一方又は両方から本体の延在方向に持ち手を突出させることにより、取扱を容易にしたり、指圧具を肩叩き具として利用できるようにする。また、上述のように、本体の端部の一方から突出させた転倒防止突起を設けた場合、残る本体の端部の他方から突出させた持ち手を持てば、前記転倒防止突起の先端を支点として指圧具を持ち上げる操作が容易になる。これから、本体の端部から突出させる転倒防止突起と持ち手とは、本体の端部の両方に対して振り分けて設けることになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、指圧列に並ぶ複数(通常2個又は3個)の指圧突起の1個のみに首、背中、腰や臀部が押し付けられた時、本体が持ち上がったり、ひっくり返ったりしない指圧具が提供できる。これは、設置面に指圧突起を接地させる2列の指圧列の周方向中間角度で、本体の端部直近にある指圧突起と前記本体の端部との間から、前記設置面に突出させた転倒防止突起による働きである。転倒防止突起は、指圧突起より突出量が小さいため、邪魔にならず、本体の転倒を抑制又は防止する点で効用が大きい。
【0013】
こうした転倒防止突起は、各指圧列の周方向中間角度すべてで本体から突出させたり、本体の両端部それぞれ直近にある指圧突起と前記本体の両端部と間それぞれから突出させることにより、設置面に接地させる指圧列を入れ替えても、また指圧列に並ぶどの指圧突起に首、背中、腰や臀部が押し付けられても、本体が持ち上がったり、ひっくり返ったりしないようにできる。こうして、本発明は、極めて安定して指圧具を接地面に置いておくことができる効果を得る。
【0014】
更に、本発明は、転倒防止突起を本体の端部から前記本体の延在方向に突出させると、転倒防止突起の接地面積を増やして上記本体の転倒防止の効用を高め、指圧具の設置安定性を向上させるほか、前記設置面に当接する転倒防止突起の先端を支点として指圧具を持ち上げ、指圧突起を利用者の首、背中、腰や臀部に強く押し付ける態様での使用をできるようにする効果を得る。本体から突出させた転倒防止突起は、持ち手として利用できる。
【0015】
本体から突出させた転倒防止突起と別に、前記本体から突出させた持ち手は、指圧具の取扱を容易にしたり、前記指圧具を肩叩き具として利用できる効果を有する。特に、本体から突出させた転倒防止突起の先端を支点として指圧具を持ち上げる場合、前記転倒防止突起と逆の側から持ち手を突出させておくと、指圧具を持ち上げる操作が容易になる効果も得られる。また、本体から突出させた持ち手は、同じく本体から突出させた転倒防止突起同様の働き、すなわち本体が傾くと設置面に直ちに設置して、前記本体の転倒を抑制又は防止する効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の指圧具の一例について、持ち手を右に突出させた状態を表す斜視図である。
図2】本例の指圧具について、持ち手を左に突出させた状態を表す斜視図である。
図3】本例の指圧具の正面図である。
図4】本例の指圧具の背面図である。
図5】本例の指圧具の平面図である。
図6】本例の指圧具の底面図である。
図7】本例の指圧具の左側面図である。
図8】本例の指圧具の右側面図である。
図9】本例の指圧具を設置面に置き、第1の指圧列を利用者の首に押し当てる使用状態を表す左側面図である。
図10】本例の指圧具を設置面に置き、第1の指圧列を利用者の背中に押し当てる使用状態を表す左側面図である。
図11】本例の指圧具を設置面に置き、第1の指圧列を利用者の腰に押し当てる使用状態を表す左側面図である。
図12】本例の指圧具を設置面に置き、第1の指圧列を利用者の臀部に押し当てる使用状態を表す左側面図である。
図13】第1の指圧列の一番目に狭い間隔A1を形成する指圧突起を利用者の背中に押し当てる使用状態を表す正面図である。
図14】第1の指圧列の一番目に広い間隔A6を形成する指圧突起を利用者の背中に押し当てる使用状態を表す正面図である。
図15】第1指圧列の右端の指圧突起のみに背中が押し当てられた状態を表す正面図である。
図16】第1指圧列の左端の指圧突起のみに背中が押し当てられた状態を表す正面図である。
図17】本例の指圧具について、第2指圧列の指圧突起を直上に向けた状態を表す図1相当斜視図である。
図18】第2の指圧列の二番目に狭い間隔A2を形成する指圧突起を利用者の背中に押し当てる使用状態を表す正面図である。
図19】第2の指圧列の二番目に広い間隔A5を形成する指圧突起を利用者の背中に押し当てる使用状態を表す正面図である。
図20】本例の指圧具について、第3指圧列の指圧突起を直上に向けた状態を表す図1相当斜視図である。
図21】第3の指圧列の三番目に狭い間隔A3を形成する指圧突起を利用者の背中に押し当てる使用状態を表す正面図である。
図22】第3の指圧列の三番目に広い間隔A4を形成する指圧突起を利用者の背中に押し当てる使用状態を表す正面図である。
図23】本例の指圧具について、延長された転倒防止突起の先端を支点として全体を傾けた状態を表す斜視図である。
図24】本例の指圧具について、延長された転倒防止突起の先端を支点として全体を傾けた状態を表す正面図である。
図25】本発明の指圧具の別例を表す図1相当斜視図である。
図26】別例の指圧具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明に基づく指圧具1は、例えば図1図8に見られるように、第1〜第3の指圧突起111,121,131を3個ずつ本体14の延在方向に並べて構成される第1〜第3の指圧列11,12,13を、前記延在方向に直交する周方向に120度等間隔で、前記本体14の第1〜第3の取付面141,142,143それぞれに設けている。第1〜第3の転倒防止突起144,145,146及び延長された転倒防止突起147(第1の転倒防止突起144を延長したもの)は、第1〜第3の指圧列11,12,13に対して2個ずつ、合計6個設けている。
【0018】
本体14は、側面にあたる第1〜第3の取付面141,142,143が交差する角部を面取りした木製の三角柱で、上面及び底面にあたる端面の一方(図1中左方)から第1の転倒防止突起144を延長した三角片状の延長された転倒防止突起147を突出させ、また残る端面の他方(図1中右方)から円柱状の持ち手15をそれぞれ突出させている。本体14は、第1〜第3の指圧列11,12,13を周方向に120度等間隔で設けることができれば、外形状が三角柱に限定されず、また第1〜第3の指圧突起111,121,131を固定できれば木製に限定されない。
【0019】
第1の指圧列11は、両端に位置する指圧突起111,111の全体間隔Lに対し、左端(図5中左端)の指圧突起111と中間の指圧突起111との間隔を一番目に広い間隔A6とし、右端(図5中右端)の指圧突起111と中間の指圧突起111との間隔を一番目に狭い間隔A1として、L=A1+A6としている。指圧突起111は、木製の円錐台の上面に半球状のコルクを取り付けた構成で、本体14の第1の取付面141に接着して固定している。指圧突起111は、本体14の第1の取付面141に固定されればよいので、例えばボルト及びナットで第1の取付面141に固定してもよいし、前記ボルト及びナットを利用して着脱自在に第1の取付面141に固定してもよい。
【0020】
第2の指圧列12は、両端に位置する指圧突起121,121の全体間隔Lを上述の第1の指圧列11の全体間隔Lと同じにし、両端の指圧突起121の本体14の延在方向の位置を前記第1の指圧列11両端の指圧突起111と一致させながら、左端(図5中左端)の指圧突起121と中間の指圧突起121との間隔を二番目に広い間隔A5とし、右端(図5中右端)の指圧突起121と中間の指圧突起121との間隔を二番目に狭い間隔A2として、L=A2+A5としている。指圧突起121は、上記指圧突起111と同じ木製の円錐台の上面に半球状のコルクを取り付けた構成で、本体14の第2の取付面142に接着して固定している。指圧突起121も、ボルト及びナットで第2の取付面142に固定してもよいし、前記ボルト及びナットを利用して着脱自在に第2の取付面142に固定してもよい。着脱自在とした場合、指圧突起111と交換することもできる。
【0021】
第3の指圧列12は、両端に位置する指圧突起131,131の全体間隔Lを上述の第1の指圧列11の全体間隔Lと同じにし、両端の指圧突起131の本体14の延在方向の位置を前記第1の指圧列11両端の指圧突起111と一致させながら、左端(図5中左端)の指圧突起131と中間の指圧突起131との間隔を三番目に広い間隔A4とし、右端(図5中右端)の指圧突起131と中間の指圧突起131との間隔を三番目に狭い間隔A3として、L=A3+A4としている。指圧突起131は、上記指圧突起111及び指圧突起121と同じ木製の円錐台の上面に半球状のコルクを取り付けた構成で、本体14の第3の取付面143に接着して固定している。指圧突起131も、ボルト及びナットで第3の取付面143に固定してもよいし、前記ボルト及びナットを利用して着脱自在に第3の取付面143に固定してもよい。着脱自在とした場合、指圧突起111又は指圧突起121と交換することもできる。
【0022】
こうして、本例の指圧具1は、第1〜第3の指圧列11,12,13それぞれの指圧突起111,121,131が形成する全体間隔Lを同じにしながら、隣り合う指圧突起111,121,131が形成する間隔A1〜A6がすべて異なせ、間隔A1<間隔A2<間隔A3<間隔A4(=全体間隔L−間隔A3)<間隔A5(=全体間隔L−間隔A2)<間隔A6(=全体間隔L−間隔A1)の関係に設定している。これにより、異なる指圧突起の間隔A1〜間隔A6が、本体14の周方向に大小の順番で並び(図5参照)、利用者2が指圧突起111,121,131の間隔を選択する際、本体14の周方向に回しながら容易に選択できる。
【0023】
第1の転倒防止突起144は、設置面3に指圧突起121,131を接地させる第2及び第3の指圧列12,13の周方向中間角度で、本体14の端部直近にある前記指圧列12,13の指圧突起121,131と前記本体14の端部とを本体14の延在方向に結ぶ間の本体14から、前記設置面3に当接するように突出させる略直方体の木製ブロックである。本例の転倒防止突起144は、持ち手15を突出させた本体14の端部(図1中右方)に対し、また転倒防止突起147は、持ち手15を突出させない端部の他方(図1中左方)に対して、それぞれ接着により固定される。転倒防止突起146及び転倒防止突起147は、本体14に対して着脱自在にしてもよいし、本体14と一体に成形してもよい。
【0024】
第2の転倒防止突起145は、第1の転倒防止突起144同様、設置面3に指圧突起111,131を接地させる第1及び第3の指圧列11,13の周方向中間角度で、本体14の端部直近にある前記指圧列11,13の指圧突起111,131と前記本体14の端部とを本体14の延在方向に結ぶ間の本体14から、前記設置面3に当接するように突出させる略直方体の木製ブロックである。本例の転倒防止突起145は、本体14の両端部に対して接着により固定される。転倒防止突起145は、本体14に対して着脱自在にしてもよいし、本体14と一体に成形してもよい。
【0025】
第3の転倒防止突起146は、第1の転倒防止突起144同様、設置面3に指圧突起111,121を接地させる第1及び第2の指圧列11,12の周方向中間角度で、本体14の端部直近にある前記指圧列12,13の指圧突起121,131と前記本体14の端部とを本体14の延在方向に結ぶ間の本体14から、前記設置面3に当接するように突出させる略直方体の木製ブロックである。本例の転倒防止突起146は、本体14の両端部に対して接着により固定される。転倒防止突起146は、本体14に対して着脱自在にしてもよいし、本体14と一体に成形してもよい。
【0026】
指圧具1は、例えば第2及び第3の指圧列12,13の指圧突起121,131を接地面3に接地させ、本体14の延在方向に直交する向きで利用者が仰向けに乗り、第1指圧列11のうち、間隔A1である中間及び右端の指圧突起111,111(図5及び図13参照)又は間隔A6である左端及び中間の指圧突起111,111(図5及び図14参照)を組として、首21(図9参照)、背中22(図10参照)、腰23(図11参照)や臀部24(図12参照)を押し当て、それぞれにあるツボを左右一対で刺激する。
【0027】
本例の指圧具1は、全体が木製で、首21、背中22、腰23や臀部24に押し当てられる指圧突起111の先端であるコルクもほとんど変形しないので、指圧具1だけを設置面3に置いて利用者2が前記指圧具1の上に仰向けで寝ると、前記利用者2の背中22が大きく反ったり、臀部24が浮き上がったりする場合もある。これから、例えば指圧具1から離れた位置に枕やクッションを敷いて、指圧突起111が首21、背中22、腰23や臀部24を押す状態を確保しながら、背中22の反り返りを抑えたり、臀部24のみが浮き上がる状態を緩和してもよい。
【0028】
利用者2の背中を指圧突起111,121,131で押す場合を例に、本例の指圧具1の使用態様を説明する。まず、第2及び第3の指圧列12,13を構成する6個の指圧突起121,131を設置面3に接地させると、第1の指圧列12に並ぶ3個の指圧突起111が直上を向く。本例の指圧具1は、第2及び第3の指圧列12,13両端(本体14の端部に直近)の指圧突起121,131が本体14の延在方向の位置を揃えているため、前記両端の指圧突起121,131の結ぶ仮想線が本体14の延在方向に直交する。これは、中間の指圧突起121,131がずれて両方が見える場合でも、両端の指圧突起121,131が重なって手前の指圧突起131しか見えないことから理解される(図3参照)。
【0029】
こうした設置状態において、図13に見られるように、利用者2が間隔A1である中間(図13中中間)及び右端(図13中右端)の指圧突起111,111に背中22を押し当てるように寝ると、前記指圧突起111,111が背骨を挟む左右一対のツボを押して刺激する。このとき、左端の指圧突起111は、中間の指圧突起111から離れているので、特に背中22に触れたり、前記背中22に強く押し当てられたりすることはない。また、第2及び第3の指圧列12,13の指圧突起121,131を設置面3に接地させた設置状態で、第2及び第3の転倒防止突起145,146が上方に突出するが、前記転倒防止突起145,146は直上に向く指圧突起111よりも低いため、やはり背中22に当たることがない。
【0030】
中間及び右端の指圧突起111,111の間隔A1が狭いと感じた場合、図14に見られるように、持ち手15を引っ張って指圧具1を、本体14の延在右方(図14中右方)にずらし、利用者2が間隔A6である左端(図14中中間)及び中間(図14中中間)の指圧突起111,111に背中22を押し当てればよい。このとき、右端の指圧突起111は、中間の指圧突起111に近いため、背中22に触れることもあるが、前記背中22に強く押し当てられたりすることはない。また、第2及び第3の転倒防止突起145,146は、上述同様、直上に向く指圧突起111よりも低いため、やはり背中22に当たることがない。
【0031】
転倒防止突起144,147は、次の場合に転倒防止の働きを発揮する。例えば図15に見られるように、利用者2が間隔A1である中間(図15中中間)及び右端(図15中右端)の指圧突起111,111に背中22を押し当てようとして、右端の指圧突起111だけを押した場合(図15中白抜矢印参照)、本体14は第2及び第3の指圧列12,13右端の指圧突起121,131を結ぶ仮想線を軸に右回り(図15中右回り)に起き上がろうとする。このとき、前記指圧突起121,131を結ぶ仮想線より右方に位置する転倒防止突起144が初めから設置面3に当接していることで、本体14を回転させようとする力に対抗し(図15中黒矢印参照)、本体14の回転を抑制又は防止する。仮に、転倒防止突起144を支点として本体が持ち上がろうとしても、本例の指圧具1の場合、端部から突出させた持ち手15が突っ張り、前記本体14が大きく持ち上がることが防止される。
【0032】
また、図16に見られるように、利用者2が間隔A2である左端(図16中左端)及び中間(図16中中間)の指圧突起111,111に背中22を押し当てようとして、左端の指圧突起111だけを押した場合(図16中白抜矢印参照)、本体14は第2及び第3の指圧列12,13左端の指圧突起121,131を結ぶ仮想線を軸に左回り(図16中)に起き上がろうとする。このとき、前記指圧突起121,131を結ぶ仮想線より左方に位置する転倒防止突起147が初めから設置面3に当接していることで、本体14を回転させようとする力に対抗し(図16中黒矢印参照)、本体14の回転を抑制又は防止する。本例の指圧具1の場合、転倒防止突起147の接地面積が大きいため、後述するように、転倒防止突起147の先端を支点として本体14を意図的に持ち上げない限り、前記本体14の持ち上がりが防止される。
【0033】
本例の指圧具1は、隣り合う指圧突起111,121,131の間隔A1〜間隔A6がすべて異なっており、本体14を周方向に回転させて前記間隔A1〜間隔A6を選択して利用できる。例えば図17に見られるように、第1の指圧列11の指圧突起111を直上に突出させた状態(図1参照)で手前から奥へと本体14を周方向に120度回転させ、第2の指圧列12の指圧突起121を直上に突出させた状態にし、図18に見られるように、二番目に狭い間隔A2で並ぶ中間(図18中中間)及び右端(図18中右端)の指圧突起121,121や、図19に見られるように、二番目に広い間隔A2で並ぶ左端(図19中左端)及び中間(図19中中間)の指圧突起121,121で、それぞれ背中22のツボを押すことができる
【0034】
また、図20に見られるように、第2の指圧列12の指圧突起121を直上に突出させた状態(図17参照)で手前から奥へと本体14を周方向に120度回転させ、第3の指圧列13の指圧突起131を直上に突出させた状態にし、図21に見られるように、三番目に狭い間隔A3で並ぶ中間(図21中中間)及び右端(図21中右端)の指圧突起131,131や、図22に見られるように、三番目に広い間隔A3で並ぶ左端(図22中左端)及び中間(図22中中間)の指圧突起131,131で、それぞれ背中22のツボを押すことができる。
【0035】
図1図8に明らかなように、本発明の指圧具1は、周方向に第1〜第3の指圧列11,12,13が並んでいるため、指圧突起111,111の間隔A1、指圧突起121,121の間隔A2、そして指圧突起131,131の間隔A3や、指圧突起111,111の間隔A6、指圧突起121,121の間隔A5、そして指圧突起131,131の間隔A4は、本体14の周方向に並んでいる。また、端部に直近である両端の指圧突起111,121,131は本体14の延在方向に揃った位置にあるため、前記間隔A1〜間隔A3や間隔A4〜間隔A6は、比較しやすくなっている(図5参照)。これから、本発明の指圧具1は、利用者が本体14を周方向に回すだけで、間隔A1〜間隔A6を比較して、選択しやすい利点を有する。
【0036】
本体14を周方向に回転させる場合、設置面3に置く前の本体14を持って直接回転させてもよいし、持ち手15を持って設置面3に置いた本体14を回転させてもよい。同じ指圧列12,13内で指圧突起121,131の間隔A2及び間隔A5や間隔A3及び間隔A4を切り換える場合、上述同様、持ち手15を持って本体14の延在方向にずらすとよい。また、延長された転倒防止突起147が設置面3から離れるので、前記転倒防止突起147を持ち手15代わりに持って、本体14を延在方向にずらしてもよい。
【0037】
そして、図示を省略するが、指圧突起121又は指圧突起131を直上に向けた場合でも、本体14の両端に設けられた第2又は第3の転倒防止突起145,146が設置面3に当接している(図18図19図21及び図22参照)ため、右端(図18又は図21中右端)や左端(図19又は図22中左端)の指圧突起121,131のみに背中22が当たっても、本体14が回転して持ち上がることがない(転倒防止の働きは図15及び図16参考)。
【0038】
指圧具1の端部から突出させた持ち手15は、指圧具1の取扱を容易にしたり、指圧具1を肩叩き具として利用できるようにするほか、図23及び図24に見られるように、例えば指圧突起111を押し付けるために指圧具1を斜めに持ち上げる際の操作部分として働く。具体的には、第2及び第3の指圧列12,13の指圧突起121,131と共に前記転倒防止突起147を設置面3に接面させた状態で、転倒防止突起147を突出させた端部と反対側の本体14の端部から突出させた持ち手15を手に持って持ち上げ、転倒防止突起147の先端を支点として設置面3に押し付け、例えば左端(図24中左端)の指圧突起111を強く背中22に押し付ける。
【0039】
転倒防止突起144,145,146,147は、第1〜第3の指圧列11,12,13に並ぶ指圧突起111,121,131が2個の場合でも、本体14の転倒を防止する働きがある。別例の指圧具1は、図25及び図26に見られるように、第1〜第3の指圧列11,12,13に並ぶ指圧突起111,121,131が2個で、各指圧列11,12,13における指圧突起111,121,131の全体間隔Lが異なり、第1の指圧列11に並ぶ指圧突起111,111は間隔A6=全体間隔L、第2の指圧列12に並ぶ指圧突起121,121は間隔A5=全体間隔L、そして第3の指圧列13に並ぶ指圧突起131,131は間隔A4=全体間隔Lとして、間隔A4<間隔A5<間隔A6の関係としている。
【0040】
第1〜第3の指圧列11,12,13は、それぞれの指圧突起111,121,131の間隔A4〜間隔A6を中点で揃えているため、前記指圧突起111,121,131の本体14の延在方向の位置がずれる。このため、設置面3に第2及び第3の指圧列12,13の指圧突起121,131を設置させた際、指圧突起121,131を結ぶ仮想線が本体14の延在方向に対して斜めになり、直上を向いた指圧突起111,111の左右いずれかのみに背中22が押し当てられると、本体14が傾いて回転する虞がある。転倒防止突起144,147は、こうした本体14の傾きを抑制し、転倒を防止する。図示を省略するが、転倒防止突起145,146も同様に転倒防止の働きを発揮する。
【符号の説明】
【0041】
1 指圧具
11 第1の指圧列
111 指圧突起
12 第2の指圧列
121 指圧突起
13 第3の指圧列
131 指圧突起
14 本体
141 第1の取付面
142 第2の取付面
143 第3の取付面
144 第1の転倒防止突起
145 第2の転倒防止突起
146 第3の転倒防止突起
147 延長された転倒防止突起
15 持ち手
2 利用者
21 首
22 背中
23 腰
24 臀部
3 設置面
L 全体間隔
A1 一番目に狭い間隔
A2 二番目に狭い間隔
A3 三番目に狭い間隔
A4 三番目に広い間隔
A5 二番目に広い間隔
A6 一番目に広い間隔
【要約】
【課題】複数の指圧突起を長尺な本体の延在方向に並べた指圧列を、前記延在方向に直交する周方向に120度等間隔で前記本体に3列設けた指圧具において、複数の指圧突起の1個のみに首、背中、腰や臀部が押し当てられても本体が持ち上がらず、ひっくり返らないようにする。
【解決手段】複数の指圧突起111,121,131を長尺な本体14の延在方向に並べた指圧列11,12,13を、前記延在方向に直交する周方向に120度等間隔で前記本体14に3列設けた指圧具1において、設置面3に指圧突起111,121,131を接地させる2列の指圧列12,13の周方向中間角度で、本体14の端部に直近する前記指圧列12,13の指圧突起121,131と前記本体14の端部とを本体14の延在方向に結ぶ間の本体14から、前記設置面3に当接する転倒防止突起144を突出させた。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26