【文献】
内藤辰彦,渡辺紀,産業用イーサネット入門,CQ出版株式会社,2009年 5月,第1版,p.51,52,55-57,110-112
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RFIDタグ等の無線機は、バーコードに代わる物品識別・管理を行うための機器として注目されている。今後、冷蔵庫の在庫管理、店舗内の商品管理、薬品管理、家電機器自体、セキュリティ機器、電気・ガス・水道用の検針機器等、より多くの物品の管理を行うためにこのような無線機が多く使用されることが予想される。
【0005】
多くの物品を識別する必要がある無線機は、その無線機を識別するための識別IDが重複しないよう、識別IDの桁数が長く、つまり情報量が大きく設定される。識別IDの情報量が大きいために、識別IDを記憶するためのメモリや識別IDを通知するためのネットワークの負荷が大きくなり、これに伴って通信時間が長くなり、電力消費が大きくなる。
【0006】
一方、自宅内等のある限られた範囲内でRFID等の無線機を用いる場合には、識別IDの桁数を短く、つまり情報量を小さくしても、当該範囲内における物品を管理することは十分に可能である。したがって、限られた範囲内で無線機を用いる場合には、その無線機の識別IDはなるべく情報量を小さく設定することが好ましい。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、限られた範囲内で無線機を用いる場合に、その無線機の識別IDの情報量を減少させることで、通信時間を短縮化し、省電力化することが可能なID管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のID管理システムは、複数の無線機器と、前記無線機器のIDを管理するID管理装置とを備え、前記ID管理装置が複数存在し、前記複数のID管理装置によって複数の
サブ中継ネットワークが形成されるID管理システムであって、前記ID管理装置は、前記無線機器を識別するための第1のIDを受信するID受信部と、前記第1のIDよりも情報量が少ない第2のIDを複数記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された複数の第2のIDから、前記ID受信部により受信された第1のIDに対応する第2のIDを指定するID指定部と、を備え、
前記ID管理装置は、管理するサブ中継ネットワークを識別するためのサブ中継ネットワークIDを、他のID管理装置と区別する情報から生成し、前記記憶部は、前記ID受信部により受信された第1のID及び前記ID指定部により指定された第2のIDを関連付けて記憶し、前記ID指定部は、前記
サブ中継ネットワークIDに基づいて、前記
サブ中継ネットワークIDにより識別される
サブ中継ネットワークに属する前記ID管理装置配下の無線機器に対して指定される前記第2のIDの範囲を指定し、
前記第2のIDの範囲は、異なるサブ中継ネットワークIDに対して重複して指定されていない。
【0009】
この構成により、限られた範囲内で無線機を用いる場合に、その無線機の識別IDの情報量を減少させることで、通信時間を短縮化し、省電力化することが可能である。
また、
サブ中継ネットワーク毎に第2のIDの範囲を指定でき、
複数のサブ中継ネットワークにおいて第2のIDが重複しないため、最小限の情報量を有する第2のIDで、通信相手を誤認する
ことなく通信を行うことが可能である。
【0012】
また、本発明のID管理システムは、前記記憶部が、前記第2のIDに関連付けて、前記第2のIDの使用実績があるか否かを識別する使用実績情報を記憶し、前記ID指定部が、前記記憶部に記憶された使用実績情報に基づいて、前記記憶部に記憶された複数の第2のIDから使用実績のない第2のIDを指定する。
【0013】
この構成により、使用実績のない第2のIDから優先的に第1のIDに対応するIDとして指定することができ、第2のIDを有効に活用することができる。
【0014】
また、本発明のID管理システムは、前記記憶部が、前記第2のIDに関連付けて、前記第2のIDが使用中か否かを識別する現使用情報を記憶し、前記ID指定部が、使用実績のない第2のIDが存在しない場合、前記記憶部に記憶された現使用情報に基づいて、前記記憶部に記憶された複数の第2のIDから使用中ではない第2のIDを指定する。
【0015】
この構成により、使用実績のない第2のIDのうち現在使用されていない第2のIDから優先的に第1のIDに対応するIDとして指定することができ、第2のIDを有効に活用することができる。
【0016】
また、本発明のID管理システムは、前記無線機器を監視する監視装置を備え、前記監視装置が、前記無線機器を識別する前記第1のIDを記憶する監視装置記憶部と、前記第1のIDにより識別される無線機器の変化を通知する変化通知信号を、前記ID管理装置から受信する変化通知信号受信部と、前記変化通知信号受信部により変化通知信号が受信された場合、前記変化通知信号に対応する第1のIDが前記監視装置記憶部に記憶されているか否かに基づいて、前記第1のIDにより識別される無線機器が不在であるか否かを判定する無線機器状態判定部と、を備える。
【0017】
この構成により、監視装置が無線機器の状態が変化したことを通知されたときに、無線機器の撤去等によりID管理システム内に当該無線機器が不在であるか、一時的に通信障害が発生しているかを判定でき、監視装置の状態を正確に把握できる。
【0018】
また、本発明のID管理システムは、前記無線機器状態判定部により前記無線機器が不在であると判定された場合、当該無線機器を識別する第1のIDを前記ID管理装置の記憶部から削除させるための削除要求信号を、前記ID管理装置へ送信する削除要求信号送信部を備える。
【0019】
この構成により、無線機器が不在であるために無線機器の第1のIDがID管理装置の記憶部から削除されるべきことをID管理装置へ通知することができる。
【0020】
また、本発明のID管理システムは、前記監視装置からの前記削除要求信号を受信する削除要求信号受信部と、前記削除要求信号受信部により受信された削除要求信号に対応する第1のIDを前記記憶部から削除するID削除部と、を備える。
【0021】
この構成により、ID管理装置において不要となった削除対象の第1のIDの削除を行うことで、第1のIDに対応する有限の第2のIDを効率良く使用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、限られた範囲内で無線機を用いる場合に、その無線機の識別IDの情報量を減少させることで、通信時間を短縮化し、省電力化することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態におけるID管理システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すID管理システム1は、監視装置10、ID管理装置20、ID管理装置20にIDを管理される無線機器30、ID管理装置20のIDを管理する中継装置40を有して構成される。また、監視装置10、ID管理装置20、中継装置40は複数であってもよい。また、無線機器30の個数は
図1に示した例に限られない。
【0026】
ID管理システム1は、公衆ネットワーク、メイン中継ネットワーク、サブ中継ネットワークを有する。公衆ネットワークは、一又は複数の監視装置10と一又は複数の中継装置40とを有して形成される。メイン中継ネットワークは、一又は複数の中継装置40と中継装置40配下の一又は複数のID管理装置20とを有して形成される。サブ中継ネットワークは、一又は複数のID管理装置20とID管理装置20配下の一又は複数の無線機器30とを有して形成される。
【0027】
監視装置10は、ID管理装置20、無線機器30、中継装置40を監視する装置であり、例えばガス会社が管理する情報センタ、セキュリティ管理会社が管理する情報センタに配置される。監視装置10は、有線又は無線による通信機能を有しており、ID管理装置20を介して無線機器30と通信を行う。
【0028】
ID管理装置20は、通信機能を有し、監視装置10と無線機器30との通信を中継する。ID管理装置20は、無線機器30とは別の装置としてもよいし、複数の無線機器30のうちの1つをID管理装置20として機能させてもよい。ID管理装置20は、通信の中継を行う際に、後述する第1のIDと第2のIDを相互に変換する。また、第1のIDと第2のIDとを関連付けるために、第1のIDに対応する第2のIDを適宜指定する(割り当てる)。
【0029】
ここで、第1のIDとは、公衆ネットワーク及びメイン中継ネットワークにおいて、無線機器30を識別するために使用される識別IDである。また、第2のIDとは、サブ中継ネットワークにおいて、無線機器30を識別するために使用される識別IDである。第2のIDは第1のIDよりも情報量が少なく、第1のIDは例えば12桁で表され、第2のIDは例えば1桁で表される。なお、1桁は8ビットで表され、0〜255の値を表すことができる。
【0030】
無線機器30は、無線通信機能を有しており、例えば、窓開閉検知センサ、ガス漏れセンサ、火災センサ、火災報知器、計測装置(メータ)などである。無線機器30は、ID管理装置20を介して監視装置10と通信を行う。また、無線機器30は、ID管理装置20との間では間欠通信を行う。
【0031】
監視装置10から無線機器30へ送信される信号としては、無線機器30のバッテリ情報、無線機器30による計測結果の情報、無線機器30が有効に動作可能か否かを示す生存確認情報等を要求する情報要求信号が考えられる。また、この信号には、無線機器30による検針指令、ガス漏れ等を把握するためのセキュリティ管理指令、ガスメータに対する遠隔遮断指令等の各種指令が含まれてもよい。監視装置10は、定期的もしくは必要なタイミングで、無線機器30へ情報要求信号を送信する。なお、情報要求信号は一例であり、監視装置10は無線機器30へ他の情報を送信してもよい。
【0032】
一方、無線機器30から監視装置10へ送信される信号としては、無線機器30のバッテリ情報、無線機器30による計測結果の情報、無線機器30の生存確認情報、メータの検針値、ガス漏れ情報等のセンサ情報が考えられる。無線機器30は、監視装置10からの情報要求信号に対して、もしくは定期的に、センサ情報を監視装置10へ送信する。例えば、無線機器30は、監視装置10からの検針指令等の各種指令に基づいて、各種計測を行い、計測結果を監視装置10へ通知する。なお、センサ情報は一例であり、無線機器30は監視装置10へ他の情報を送信してもよい。
【0033】
次に、
図2は、ID管理装置20の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すID管理装置20は、管理装置記憶部210、管理装置受信部220、管理装置送信部230、管理装置制御部240を有する。
【0034】
管理装置記憶部210は、第1のID及び第2のIDを記憶するテーブルを有し、第1のIDと、管理装置制御部240により指定される第1のIDに対応する第2のIDを関連付けて記憶する。また、各第2のIDについて、現在までに使用されたことがあるか否か、つまり使用実績があるか否かを識別するための使用実績フラグを、第2のIDに関連付けて記憶してもよい。例えば、使用実績フラグが1のときには使用実績があることを示し、使用実績フラグが0のときには使用実績がないことを示す。また、各第2のIDについて、現在使用中であるか否かを識別するための現使用フラグを、第2のIDに関連付けて記憶してもよい。例えば、現使用フラグが1のときには現在使用中であることを示し、現使用フラグが0のときには現在使用中ではないことを示す。なお、管理装置記憶部210が有するテーブルでは、第2のIDが昇順又は降順に記憶されている。
図3は、管理装置記憶部210が有するテーブルの一例を示す図である。
【0035】
管理装置受信部220は、各種信号、各種情報を受信する。例えば、管理装置受信部220は、監視装置10からの、送信先の無線機器30を識別するための第1のIDを含む情報要求信号、送信元の無線機器30からの第2のIDを含むセンサ情報、などを受信する。
【0036】
管理装置送信部230は、各種信号、各種情報を送信する。例えば、管理装置送信部230は、管理装置制御部240により送信先の無線機器30を識別するための第1のIDから変換された第2のIDを含む情報要求信号を、送信先の無線機器30へ送信する。また、管理装置送信部230は、例えば、管理装置制御部240により送信元の無線機器30を識別するための第2のIDから変換された第1のIDを含むセンサ情報を、監視装置10へ送信する。
【0037】
管理装置制御部240は、管理装置20内の各種制御を行う。例えば、管理装置制御部240は、管理装置記憶部210に記憶された複数の第2のIDから、管理装置受信部220により受信された第1のIDに対応する第2のIDを指定する。第2のIDが指定された後には、例えば、管理装置制御部240は、監視装置10と無線機器30との間で通信を行うときに、監視装置10からの情報要求信号に含まれる第1のIDに対応する第2のIDに変換したり、無線機器30からのセンサ情報に含まれる第2のIDに対応する第1のIDに変換したりする。
【0038】
次に、
図4は、監視装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示す監視装置10は、監視装置送信部110、監視装置受信部120、監視装置制御部130を有する。
【0039】
監視装置送信部110は、各種信号、各種情報をID管理装置20へ送信する。例えば、送信先の無線機器30の第1のIDを含む情報要求信号をID管理装置20へ送信する。
【0040】
監視装置受信部120は、各種信号、各種情報をID管理装置20から受信する。例えば、監視装置受信部120は、第1のIDを用いたID管理装置20からの情報要求信号に対する情報(センサ情報)を受信する。
【0041】
監視装置制御部130は、監視装置10内の各種制御を行う。
【0042】
監視装置記憶部140は、各種情報を記憶する。例えば、無線機器30の第1のIDを記憶する。
【0043】
次に、ID管理装置20の動作について説明する。
図5は、ID管理装置20の動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、ID管理装置20が、無線機器30の第1のIDに対して第2のIDを指定し、当該第1のIDを管理装置記憶部210が有するテーブルへ登録すること(初期登録)を想定している。また、管理装置記憶部210が有するテーブルでは、第2のIDが昇順に整列されていることを想定している。
【0044】
まず、管理装置受信部220は、IDの登録対象である特定の無線機器30からの第1のIDを受信する(ステップS101)。続いて、管理装置制御部240は、管理装置受信部220により受信された第1のIDが、既に管理装置記憶部210が有するテーブルに記憶されているか否かを判定する(ステップS102)。既に記憶されている場合には、受信された第1のIDを破棄する(ステップS103)。
【0045】
一方、受信された第1のIDが管理装置記憶部210が有するテーブルに記憶されていない場合には、管理装置制御部240は、テーブル内の使用実績フラグを第2のIDを基準に順に探索する(ステップS104)。そして、管理装置制御部240は、全ての第2のIDを探索したか否かを判定する(ステップS105)。
【0046】
全ての第2のIDの探索が完了していなければ、管理装置制御部240は、探索中の第2のIDに対応する使用実績フラグが1であるか0であるかを判定する(ステップS106)。探索中の第2のIDに対応する使用実績フラグが1である場合には、後続の第2のIDに対応する使用実績フラグを探索すべく、ステップS104へ戻る。一方、探索中の第2のIDに対応する使用実績フラグが0である場合には、管理装置制御部240は、探索中の第2のID、つまり使用実績フラグが0である第2のIDのうち最小のものを、ステップS101で受信された第1のIDに関連付けて管理装置記憶部210に記憶する第2のIDに指定する(ステップS107)。そして、当該第2のIDは使用が開始されるため、管理装置制御部240は、当該第2のIDに対応する使用実績フラグを1、現使用フラグを1に変更する(ステップS108)。
【0047】
ステップS105で全ての第2のIDの探索が完了していれば、管理装置制御部240は、テーブル内の現使用フラグを第2のIDを基準に順に探索する(ステップS109)。そして、管理装置制御部240は、全ての現使用フラグを第2のIDを基準に探索済みであるか否かを判定する(ステップS110)。全ての現使用フラグを探索済みである場合には、
図5の処理を終了する。一方、全ての現使用フラグを探索済みではない場合には、管理装置制御部240は、探索中の第2のIDに対応する現使用フラグが1であるか0であるかを判定する(ステップS111)。探索中の第2のIDに対応する現使用フラグが1である場合には、後続の第2のIDに対応する現使用フラグを探索すべく、ステップS109に戻る。一方、探索中の現使用フラグが0である場合には、管理装置制御部240は、探索中の第2のID、つまり使用実績フラグが1かつ現使用フラグが0である第2のIDのうち最小のものを、ステップS101で受信された第1のIDに関連付けて管理装置記憶部210に記憶する第2のIDに指定する(ステップS112)。そして、当該第2のIDは使用が開始されるため、管理制御装置240は、現使用フラグを1に変更する(ステップS112)。
【0048】
例えば、
図3に示した例では、使用実績フラグが「0」である第2のID「2」、「3」、以降がまずは優先的に未登録の第1のIDに対して割り当てられる。使用実績のない第2のIDが存在しなくなると、現使用フラグが「0」である第2のID「1」を未登録の第1のIDに対して割り当てられる。
【0049】
このような本実施形態におけるID管理システム1によれば、サブ中継ネットワーク等の限られた範囲内で無線機器30を管理する場合に、その無線機器30の識別IDの情報量を減少させることで、通信時間を短縮化し、省電力化することが可能である。また、本実施形態では、ID管理装置20は、テーブルに記憶されていない第1のIDを認識すると、当該第1のIDに対応する第2のIDとして、まずは使用実績のない第2のIDを優先的に指定し、続いて使用実績があるが現在使用されていない第2のIDを指定する。これにより、第1のIDに対応する第2のIDに指定されないIDを減少させ、効率良く第2のIDを付与して使用することが可能となる。
【0050】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、ID管理装置20が属するネットワーク(サブ中継ネットワーク)が考慮される点が、第1の実施形態と異なる。
【0051】
図6は本発明の第2の実施形態におけるID管理システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すID管理システム1Bは、
図1に示したID管理システム1と構成は基本的に同じであるが、サブ中継ネットワークAに、ID管理装置20A及びID管理装置20Aにより管理される一又は複数の無線機器30Aが属し、サブ中継ネットワークBに、ID管理装置20B及びID管理装置20Bにより管理される一又は複数の無線機器30Bが属している。
図6に示すID管理システム1Bにおいて、
図1に示したID管理システム1の各構成と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0052】
本実施形態のID管理システム1Bは、ID管理装置20を複数備え、各ID管理装置20及びそのID管理装置20によってIDを管理される一又は複数の無線機器30によって1つのネットワーク(サブ中継ネットワーク)が形成される。例えば、ID管理装置20A及びID管理装置20AによってIDを管理される一又は複数の無線機器30Aによって1つのサブ中継ネットワークが形成される。また、ID管理装置20B及びID管理装置20BによってIDを管理される一又は複数の無線機器30Bによって1つのサブ中継ネットワークが形成される。つまり、複数のID管理装置20によって複数のサブ中継ネットワークが形成される。なお、サブ中継ネットワークの数は、
図6に示した例に限られない。
【0053】
本実施形態の管理装置記憶部210は、少なくとも、第1のID及び第2のIDとともに、ネットワークID(サブ中継ネットワークID)が記憶されるテーブルを有する。サブ中継ネットワークIDとは、ID管理装置20が属するサブ中継ネットワークを識別するための識別IDである。また、第1の実施形態と同様に、使用実績フラグ、現使用フラグを有していてもよい。
【0054】
本実施形態の管理装置制御部240は、ID管理装置20が属するサブ中継ネットワークのサブ中継ネットワークIDに基づいて、このID管理装置20配下の一又は複数の無線機器30に対して指定される第2のIDの範囲を指定する。例えば、サブ中継ネットワークIDが「1」のとき、そのサブ中継ネットワークに属する無線機器30の第2のIDを「001〜050」の範囲で、サブ中継ネットワークIDが「2」のとき、そのサブ中継ネットワークに属する無線機器30の第2のIDを「051〜100」の範囲で指定する。また、第1のIDを所定数(例えば「12」)で除算した余りをサブ中継ネットワークIDとして算出し、同様にサブ中継ネットワークIDに基づいて第2のIDの範囲を指定してもよい。
【0055】
仮に、サブ中継ネットワーク毎に第2のIDが指定されると、異なるサブ中継ネットワークに属する無線機器30は、同一の第2のIDが指定されることがある。これらのネットワークが近接していると、各サブ中継ネットワークに所属する無線機器30同士を識別できず、誤認識される可能性がある。
図6に示した例では、無線機器30A1と無線機器30B1とが誤認識される可能性がある。本実施形態のID管理システム1Bによれば、異なるサブ中継ネットワークにおいて無線機器30に指定される第2のIDが同一のIDとなる可能性が少なく、最小限の情報量を有する第2のIDで、通信相手を誤認することなく通信を行うことが可能である。
【0056】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、管理装置記憶部210が有するテーブルから、撤去等により不要となった無線機器30を識別するための第1のIDを削除することを考慮する。本実施形態のID管理システムの構成は、
図1に示したID管理システム1又は
図6に示したID管理システム1Bの構成と同様であり、図示を省略する。
【0057】
本実施形態の管理装置記憶部210は、少なくとも、第1のID、第2のID、監視装置削除要求フラグ、無線機器削除要求フラグ、を記憶するテーブルを有する。また、先の実施形態と同様に、テーブル内に、使用実績フラグ、現使用フラグ、ネットワークID等を記憶してもよい。
図7は、管理装置記憶部210が有するテーブルの一例を示す図である。
【0058】
ここで、監視装置削除要求フラグは、監視装置10から、削除対象である特定の無線機器30の第1のIDを管理装置記憶部210が有するテーブルから削除することを要求されたか否かを示すフラグである。また、無線機器削除要求フラグは、監視装置10以外から、特定の無線機器30の第1のIDを管理装置記憶部210が有するテーブルから削除することを要求されたか否かを示すフラグである。削除要求フラグ(監視装置削除要求フラグ、無線機器削除要求フラグ)は、第1のIDの削除が要求されたときは1、第1のIDの削除が要求されていないときは0、となる。例えば、無線機器削除要求フラグは、ID管理装置20の図示しない入力部により特定の無線機器30の第1のIDの削除を要求された場合、特定の無線機器30自身から第1のIDの削除を要求された場合、ID管理装置20が定期的に特定の無線機器30の存在確認を行っても所定時間内に特定の無線機器30から応答がない場合に、1となる。
【0059】
本実施形態の管理装置受信部220は、例えば、監視装置10からの特定の無線機器30の第1のIDを含む削除要求信号、特定の無線機器30からの特定の無線機器30の第1のIDに対応する第2のIDを含む削除要求信号を受信する。
【0060】
本実施形態の管理装置送信部230は、例えば、特定の無線機器30の第1のIDを含み、特定の無線機器30の変化を通知する変化通知信号を監視装置10へ送信する。変化通知信号は、管理装置記憶部210に記憶された無線機器削除要求フラグが0から1に変化したときに、送信される。
【0061】
本実施形態の管理装置制御部240は、例えば、管理装置受信部220により受信された削除要求信号に含まれる第1のIDを管理装置記憶部210が有するテーブルから削除する。これにより、削除された第1のIDに対応する第2のIDを他の無線機器30の第1のIDとして割り当てることができる。
【0062】
本実施形態の監視装置記憶部140は、少なくとも無線機器30の第1のIDを記憶しているが、監視が不要となった無線機器30(例えば当該記憶部に登録された後にID管理システムから撤去された無線機器)については、当該記憶部から第1のIDが削除される。したがって、ID管理システムに存在するとされる無線機器30の情報のみが監視装置記憶部140に記憶されている。
【0063】
本実施形態の監視装置受信部120は、例えば、特定の無線機器30の第1のIDを含み、特定の無線機器30の変化を通知する変化通知信号を受信する。
【0064】
本実施形態の監視装置制御部130は、例えば、監視装置受信部120により受信された変化通知信号に含まれる特定の無線機器30の第1のIDが監視装置記憶部140に記憶されているか否かに基づいて、第1のIDにより識別される特定の無線機器30が不在であるか、特定の無線機器30に通信障害が発生したか、のいずれかの状態を判定する。監視装置制御部130は、監視装置記憶部140に特定の無線機器30の第1のIDが記憶されている場合には、特定の無線機器30に通信障害が発生していると判定し、記憶されていない場合には、特定の無線機器30が不在であると判定する。
【0065】
本実施形態の監視装置送信部110は、例えば、監視装置制御部130により特定の無線機器30が不在であると判定された場合、特定の無線機器30の第1のIDを管理装置記憶部210が有するテーブルから削除させるための削除要求信号を、ID管理装置20へ送信する。これにより、ID管理装置20に対して不要な管理情報を削除させることができる。
【0066】
次に、本実施形態のID管理装置20の動作について説明する。
図8は、本実施形態のID管理装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
【0067】
まず、管理装置受信部220は、特定の無線機器30からの第1のIDの削除要求信号を受信する(ステップS201)。続いて、管理装置制御部240は、管理装置記憶部210に記憶された特定の無線機器30に対応する無線機器削除要求フラグを1に設定する(ステップS202)。なお、先に説明したように、特定の無線機器30からの削除要求信号の受信以外の事象に基づいて、無線機器削除要求フラグを1に設定することも考えられる。続いて、管理装置送信部230は、管理装置記憶部210に記憶された特定の無線機器30の第1のIDを含む変化通知信号を監視装置10へ送信する(ステップS203)。
【0068】
変化通知信号の監視装置10への送信後、管理装置制御部240は、監視装置10からの変化通知信号に対する特定の無線機器30の第1のIDの削除要求信号を、管理装置受信部220により受信したか否かを判定する(ステップS204)。監視装置10からの削除要求信号が受信された場合、管理装置制御部240は、削除要求信号に対応する特定の無線機器30の第1のIDを管理装置記憶部210が有するテーブルから削除する(ステップS205)。第1のIDが削除されると、管理装置制御部240は、削除された第1のIDに対応する現使用フラグを0に設定する(ステップS206)。
【0069】
例えば、
図7に示すように、第2のID「1」で識別される無線機器30に関して、無線機器削除要求フラグ「1」、監視装置削除要求フラグ「0」の状態であるので、この無線機器30について変化通知信号を送信し、監視装置10に無線機器30の存在の有無について問い合わせる。また、第2のID「0」で識別される無線機器30に関して、無線機器削除要求フラグ「1」、監視装置削除要求フラグ「1」の状態であるので、第1のIDをテーブルから削除する。
【0070】
このような
図8の処理によれば、特定の無線機器30の削除要求があった後に、監視装置10からの削除許可があった場合に、管理装置記憶部210から第1のIDを削除するため、一次的な通信障害が発生したことにより誤って第1のIDの削除することを防止できる。
【0071】
次に、本実施形態の監視装置10の動作について説明する。
図9は、本実施形態の監視装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0072】
まず、監視装置受信部120は、ID管理装置20から特定の無線機器30の第1のIDを含む変化通知信号を受信する(ステップS301)。変化通知信号を受信すると、監視装置制御部130は、監視装置記憶部140に特定の無線機器30の第1のIDが記憶されているか否かに基づいて、特定の無線機器30が不在であるか否かを判定する(ステップS302)。特定の無線機器30が不在である場合には、監視装置送信部110は、特定の無線機器30の第1のIDを管理装置記憶部210が有するテーブルから削除させるための削除要求信号をID管理装置20へ送信する(ステップS303)。
【0073】
なお、上記のステップS302では、特定の無線機器30が不在であるか否かは、当該無線機器30の第1のIDが監視装置記憶部140に記憶されているか否かで判定される。しかし、監視装置記憶部140に記憶された当該無線機器30の第1のIDが削除されるタイミングと、管理装置受信部220が当該無線機器30から第1のIDの削除要求信号を受信してID管理装置20から変化通知信号が送信されるタイミングとは、必ずしも一致しないことがある。これは、例えば、無線機器30を監視する監視員が無線機器30を撤去するタイミングと、当該監視員の指示に基づいて、当該撤去を反映すべく監視装置10の図示しない入力部により監視装置記憶部140に記憶された撤去対象の無線機器30の第1のIDが削除されるタイミングとが、一致しないことがあるためである。この場合には、本来、監視装置10が削除要求信号を送信すべきであるが送信できないことがある。
【0074】
そこで、監視装置10は
図9に示す動作の代わりに、監視装置記憶部140に記憶された当該無線機器30の第1のIDが削除された時点でID管理装置20に削除要求信号を送信するというように、監視装置10の動作を工夫してもよい。
【0075】
あるいは、変化通知信号を送信したID管理装置20がその後所定期間内に削除要求信号を受信できないために、無線機器削除要求フラグ「1」、監視装置削除要求フラグ「0」の状態になっている場合、一定期間ごとに変化通知信号を監視装置10に再送するというように、ID管理装置20の動作を工夫してもよい。
【0076】
このような
図9の処理によれば、特定の無線機器30の状態を監視装置10内に記憶された情報から確認し、特定の無線機器30がID管理システム内に不在であるか、単に一時的に通信障害が発生しているかを、ID管理装置20へ通知することができる。
【0077】
このような本実施形態のID管理システムによれば、ID管理装置20において不要となった削除対象の第1のIDをテーブルから削除することで、有限である第2のIDを効率良く使用することができる。
【0078】
なお、上記のステップS202からステップS203では、管理装置制御部240が特定の無線機器に対応する無線機器削除要求フラグを1に設定した後、管理装置送信部230が管理装置記憶部210に記憶された特定の無線機器30の第1のIDを含む変化通知信号を監視装置10へ送信すると説明した。しかし、上述した通り、無線機器削除フラグは、(1)ID管理装置20の図示しない入力部により特定の無線機器30の第1のIDの削除を要求された場合、(2)特定の無線機器30自身から第1のIDの削除を要求された場合、(3)ID管理装置20が定期的に特定の無線機器30の存在確認を行っても所定時間内に特定の無線機器30から応答がない場合に「1」となる。したがって、上記(3)は原因が分からないため本当に第1のIDを削除しても良いのか否か判定し難いが、上記(1)や(2)の場合は、監視装置10から送信される削除要求信号を待つことなく第1のIDを削除しても悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられる。
【0079】
そこで、ID管理装置20は、上記(3)のように定期的に特定の無線機器30の存在確認を行っても所定時間内に特定の無線機器30から応答がない場合に限って、
図8に示す動作を行なってもよい。そして、上記(1)で入力部からの要求が確認された場合や上記(2)で無線機器30自身から第1のIDの削除要求を確認した場合は、ステップS202の後、ステップS203〜S204を行なわずにステップS205、ステップS206を行ってもよい。
【0080】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、公衆ネットワークとメイン中継ネットワークとにおいて、ID管理装置20が異なる識別IDを使用可能となるように、中継装置40がID管理装置20を管理することを考慮する。
【0081】
図10は、本発明の第4の実施形態におけるID管理システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
図10に示すID管理システム1Cは、監視装置10、ID管理装置20、無線機器30(
図10では不図示)、中継装置40を有して構成される。ID管理装置20は、第1〜第3の実施形態と同様に、無線機器30の識別ID(第1のID及び第2のID)を管理する。中継装置40は、ID管理装置20の識別ID(第1のID及び第2のID)を管理する。なお、監視装置10、中継装置40は複数であってもよい。また、ID管理装置20の個数は
図10に示した例に限られない。本実施形態のID管理システム1Cにおいて、第1〜第3の実施形態で示したID管理システムと同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0082】
ID管理装置20の第1のIDは、公衆ネットワークにおいて、ID管理装置20を識別するために使用される識別IDである。また、第2のIDとは、メイン中継ネットワークにおいて、ID管理装置20を識別するために使用される識別IDである。また、無線機器30の識別IDと同様に、ID管理装置20の第2のIDはID管理装置20の第1のIDよりも情報量が少なく、当該第1のIDは例えば12桁で表され、当該第2のIDは例えば1桁で表される。
【0083】
監視装置10は、ID管理装置20、無線機器30、中継装置40を監視する。ID管理装置20は、例えば所定エリア内に所在する1つの宅内に1つ配置される。不図示の無線機器30は、ID管理装置20及び中継装置40を介して監視装置10と通信を行う。中継装置40は、例えば1つのマンションや1つの地区等の所定エリア内に1つ配置される。
【0084】
中継装置40は、ID管理装置20と同様に識別ID(第1のID及び第2のID)を管理するID管理装置としての機能を有しており、ID管理装置20と同様の構成を有し同様の処理を行う。ただし、無線機器30の第1のID及び第2のIDを中継装置40の記憶部が有するテーブルに管理するのではなく、ID管理装置20の第1のID及び第2のIDを管理する。
【0085】
また、中継装置40は、有線、無線による通信機能を有し、少なくとも監視装置10等の公衆ネットワーク上の通信装置と中継装置40配下の一又は複数のID管理装置20との通信を中継する。中継装置40は、監視装置10からの情報要求信号、ID管理装置20を介した無線機器30からのセンサ情報等を中継する。
【0086】
このような本実施形態におけるID管理システム1Cによれば、第1の実施形態と同様に、メイン中継ネットワーク等の限られた範囲内で中継装置40配下のID管理装置20を管理する場合に、ID管理装置20の識別IDの情報量を減少させることで、通信時間を短縮化し、省電力化することが可能である。これにより、公衆ネットワークにおける通信よりも、メイン中継ネットワークにおける通信では通信トラフィックを低減させることが可能である。また、第2の実施形態と同様に、メイン中継ネットワークのネットワークIDに基づいて、ID管理装置20の第2のIDの範囲を指定してもよい。さらに、第3の実施形態と同様に、不要となった削除対象のID管理装置20の第1のIDを中継装置40の記憶部が有するテーブルから削除してもよい。