特許第5669135号(P5669135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5669135コネクタ用エンクロージャ組立体、ストレインリリーフ部材、及び封止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669135
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】コネクタ用エンクロージャ組立体、ストレインリリーフ部材、及び封止方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20150122BHJP
   H01R 13/59 20060101ALI20150122BHJP
   H01R 13/595 20060101ALI20150122BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   H01R13/56
   H01R13/59
   H01R13/595
   H01R13/52 301C
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-15922(P2011-15922)
(22)【出願日】2011年1月28日
(65)【公開番号】特開2011-159626(P2011-159626A)
(43)【公開日】2011年8月18日
【審査請求日】2013年11月7日
(31)【優先権主張番号】10001103.0
(32)【優先日】2010年2月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503168201
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ネーデルランド ビーヴイ
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Nederland BV
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】パウル スフネイデル
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0173518(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/154759(WO,A1)
【文献】 特開平09−120868(JP,A)
【文献】 特開昭53−024953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56
H01R 13/52
H01R 13/59
H01R 13/595
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のコネクタ(9)用のエンクロージャ組立体(1)であって、
前記コネクタを受容するよう構成されたコネクタ収容部(18)及び少なくとも後方端(40)に位置する開口(49)を有するエンクロージャ(1a)と、
ケーブル(8)を受容するよう構成されたストレインリリーフ部材(14)と
を具備し、
前記ストレインリリーフ部材は、一端に前記ケーブルを弾性的に支持するよう構成されたストレインリリーフ部(14a)と、実装状態で前記開口内に少なくとも部分的に配置されると共に前記ストレインリリーフ部材を前記エンクロージャに取り付ける固定部(32)とを具備するエンクロージャ組立体において、
実装前状態において、前記エンクロージャ及び前記ストレインリリーフ部材は、前方(F)へ前方位置まで互いに対して摺動するよう構成され、
前記前方位置では、前記エンクロージャが前記固定部と自動的に摩擦ロックで係合し、
前記ストレインリリーフ部材は、前記ストレインリリーフ部とは反対側の前記ストレインリリーフ部材の一端に配置された吸収部(35)を具備することを特徴とするエンクロージャ組立体。
【請求項2】
前記固定部は周囲面(32a)を有し、
前記周囲面は、前記エンクロージャに対する摩擦ロックを発生するよう構成されたロック部材(32d)を形成することを特徴とする請求項1記載のエンクロージャ組立体。
【請求項3】
前記固定部は、前記前方に対してほぼ横断方向に延びる波形部(32b)を有する波形面(32c)を具備することを特徴とする請求項1又は2記載のエンクロージャ組立体。
【請求項4】
前記固定部はほぼ円錐形状を有し、
前記円錐形状は後方(R)に傾斜することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載のエンクロージャ組立体。
【請求項5】
前記前方位置において、前記エンクロージャは、前記固定部と封止係合することを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載のエンクロージャ組立体。
【請求項6】
前記エンクロージャは、前記固定部と封止係合するよう構成されたシール部材(4)を具備することを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載のエンクロージャ組立体。
【請求項7】
前記吸収部は前記エンクロージャ内に延びることを特徴とする請求項1記載のエンクロージャ組立体。
【請求項8】
前記吸収部の周囲は、前記固定部の周囲よりも小さいことを特徴とする請求項1又は7記載のエンクロージャ組立体。
【請求項9】
前記ストレインリリーフ部材は、前記ケーブル上に成形されるよう構成されることを特徴とする請求項1ないし8のうちいずれか1項記載のエンクロージャ組立体。
【請求項10】
前記エンクロージャ組立体は、外側本体(3)及び内側本体(2)の一方又は双方が後方位置(R)を超えて後方へ摺動することを防止するために、前記ケーブル及び前記ストレインリリーフ部材の一方又は双方に付される停止部材(90)を具備することを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1項記載のエンクロージャ組立体。
【請求項11】
前記エンクロージャは、スリーブ状の内側本体及びスリーブ状の外側本体を具備し、
前記内側本体は、前記コネクタ収容部と、該コネクタ収容部の前記開口に配置されるシール部材とを具備し、
前記外側本体は、後方位置から前方位置まで前記内側本体上を摺動し、前方位置で前記シール部材を圧縮するよう構成されることを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1項記載の封止組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンクロージャ及びストレインリリーフ部材を具備するコネクタ用エンクロージャ組立体に関する。エンクロージャは、コネクタを受容するよう構成されたコネクタ収容部(connector volume)と、少なくとも後方端に開口とを有する。ストレインリリーフ部材は、ケーブルを受容するよう構成されており、一端にケーブルを弾性的に支持するよう構成されたストレインリリーフ部と、固定部とを有する。実装状態の固定部は、開口内に少なくとも部分的に配置され、ストレインリリーフ部材をエンクロージャに取り付ける。
【0002】
さらに、本発明は、一端にストレインリリーフ部と、固定部とを具備するエンクロージャ組立体のストレインリリーフ部材に関する。ストレインリリーフ部は、ケーブルを弾性的に支持するよう構成される。固定部は、エンクロージャの開口内に少なくとも部分的に配置されるよう構成され、ストレインリリーフ部材をエンクロージャに取り付ける。
【0003】
また、本発明は、エンクロージャ組立体によりコネクタ組立体を封止する方法に関する。この封止用法は、ケーブルの少なくとも一端を解く工程と、その一端にストレインリリーフ部材を取り付ける工程と、エンクロージャをケーブル上の前進位置へ摺動させる工程とを具備する。
【背景技術】
【0004】
特許文献1に示されるように、コネクタプラグ又はコネクタアダプタとして、上述したタイプのエンクロージャが従来から使用されている。特許文献1に示されたエンクロージャは、外側本体及び内側本体を有する。内側本体はプラグ本体として構成され、外側本体はバヨネット型ロック部を有するシェルとして構成される。エンクロージャは、ねじによりエンクロージャ上に実装されたストレインリリーフを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7338214号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
公知のコネクタ用エンクロージャ組立体の問題点は、エンクロージャが受容するコネクタに接続されたコネクタケーブルに作用する外力により、ケーブルがエンクロージャから滑り落ちるので、コネクタを接続解除するか、ケーブルを緩めてしまうことである。従って、解決しようとする課題は、実装が容易で、ケーブルをエンクロージャ内に信頼性高く確実に固定する、上述したタイプのエンクロージャをいかに創り出すかということである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題は、実装前状態では、エンクロージャ及びストレインリリーフ部材が前方へ前方位置まで互いに対して摺動するよう構成され、前方位置では、エンクロージャが固定部と自動的に摩擦ロックで係合する、本発明に係る封止エンクロージャにより解決される。
【0008】
上述したストレインリリーフ部材について、本発明に係るストレインリリーフ部材は、実装前状態でエンクロージャに沿って後方へ前方位置まで摺動するよう構成される。前方位置で、エンクロージャは固定部と自動的に係合する。
【0009】
「前方」は、エンクロージャについては嵌合方向を向く向き、及び相手エンクロージャの向きとそれぞれ定義される。「後方」は、逆向き、すなわち相手エンクロージャから離れる向きを指す。
【0010】
本解決手段は、エンクロージャが相手部品、例えば相手エンクロージャと係合しながら、ストレインリリーフ部とエンクロージャの同時係合が達成されるという効果を奏する。エンクロージャが相手部品と接続する際に生ずるエンクロージャの前方位置までの前方への単一動作により、エンクロージャは固定部と係合する。さらに、ストレインリリーフ部材により受容されるケーブルを前方へ向かって移動させると、固定部及びエンクロージャを係合させるか、その係合を強化する結果となる。
【0011】
エンクロージャを前方へ移動するために、作業者は、ストレインリリーフ上にエンクロージャを摺動させなければならない。エンクロージャを前方位置へ移動させながら、エンクロージャの開口及び固定部間の距離は、前方位置まで自動的に減少する。前方位置で、固定部は、圧入や摩擦ロック接続によりエンクロージャに固定される。
【0012】
エンクロージャ組立体も本発明に係るストレインリリーフ部材も、通信技術における全てのタイプのコネクタ、特にLC型コネクタ等の光ファイバコネクタ、RJ型コネクタ等の銅線コネクタ、及び光・銅線の複合型コネクタに適用可能である。
【0013】
本発明に係る解決手段は、以下のさらに有利な実施形態及びその改良した実施形態の一つ又はいくつかを組み合わせてもよい。エンクロージャ組立体もストレインリリーフ部材も自己完結型の発明であり、各々は以下の有利な実施形態の一つ又はいくつかと組み合わせることができる。特に、主要なストレインリリーフ部材は、孤立して、すなわちエンクロージャ及び以下に説明するエンクロージャの部材を含まないで使用してもよい。
【0014】
有利な第1実施形態によれば、固定部は周囲面を有し、この周囲面は、エンクロージャに対する摩擦ロックを発生するよう構成されたロック部材を形成する。摩擦ロックは、特に積極的ロックがない場合、ストレインリリーフ部材の実装を容易にする。固定部は、突起又はロック部材を有することなくほぼ筒状の形状を具備することができ、実装位置でのストレインリリーフ部材の配置及び固定部材に沿ったエンクロージャの摺動をそれぞれ容易にする。
【0015】
固定部及びエンクロージャ間の摩擦ロックを補強するために、固定部やエンクロージャの開口は、波形部等の摩擦強化構造を具備する。好適には、固定部は、前方に対してほぼ横断方向に延びる波形部を有する波形面を具備する。固定部は、複数の波形部を具備してもよい。好適には、波形部は、特に固定部がエンクロージャと係合する際に摩擦又は摩擦係数を増大させるよう構成される。或いは、又は加えて、エンクロージャ組立体の実装状態におけるストレインリリーフ部材は、エンクロージャにより圧縮されてもよい。
【0016】
ストレインリリーフ部材により伝えられる、最大力を増大させる積極的なロックを少なくとも部分的に発生させるために、固定部は、後方へ傾斜するほぼ円錐形を有する。このため、エンクロージャを前方へ移動させ、又は固定部を後方へ移動させることにより、固定部は、固定部を取り囲む実装状態で、エンクロージャの開口内に押し込まれ、又は接触的ロックにより開口の内面に接続される。
【0017】
例えば、湿気等の環境的影響からエンクロージャ組立体を封止するために、エンクロージャは、前方位置において固定部と封止係合する。このため、環境からエンクロージャを封止するシール部材は必要でない。
【0018】
別の改良点によれば、エンクロージャは、固定部と封止係合するよう構成されたシール部材を具備してもよい。このように、エンクロージャの封止機能が改良される。
【0019】
本発明の別の有利な一実施形態において、ストレインリリーフ部材は吸収部を具備する。この吸収部は、ストレインリリーフ部とは反対側のストレインリリーフ部材の一端に配置される。吸収部は、エンクロージャが取り囲む少なくとも1個のコネクタに接続された少なくとも1本のコネクタケーブルの一部を囲む。吸収部は、例えば、印刷回路基板上の相手コネクタからの振動を吸収するために、ストレインリリーフ部材の柔軟性を増大させるよう作用する。さらなる改良において、吸収部は、前方に対してほぼ横断方向に延びる溝すなわち凹部を具備する。このため、吸収部の弾性や柔軟性が、特に前方に対して横断方向に増大する。好適には、結合された印刷回路基板の振動方向の柔軟性又は弾性が増大する。
【0020】
本発明のさらに有利な一実施形態において、吸収部はエンクロージャ内に延びる。このため、例えば接続された印刷回路基板の振動により生ずる吸収部の移動は、エンクロージャ内のままである。
【0021】
固定部に関して吸収部の弾性を増大させるために、吸収部の周囲は、固定部の周囲よりも小さいことが好適である。吸収部の柔軟性を増大させるために、吸収部は、前方に対して横断方向に延びる溝を具備する。複数対の溝は吸収部の対向する両側に配置できるので、断面積が小さくなり、前方に対して横断する方向の吸収部の移動を容易にする結果となる。軸方向に厚い溝の対の間には、好適な曲げ方向に対して横断する方向の吸収部の捩れ又は曲げを防止するために、好適には筒状部が配置される。
【0022】
別の改良において、エンクロージャ内に延びるケーブル間の接続を補強するために、ストレインリリーフ部材は、ケーブル上に成形されるよう構成される。固定部を有するストレインリリーフ部材をケーブル上にオーバーモールドすることにより、固定部は好適には波形面を具備し、伝達可能な保持力が飛躍的に増大する。本出願人の実験が示すように、エンクロージャが受容するオーバーモールドされたストレインリリーフを有してないケーブルは、ケーブルに印加された張力が約30〜40Nに達するとエンクロージャ内で摺動し始めるのに対し、本発明に係るストレインリリーフ部材を具備するケーブルは、少なくとも130Nの張力までエンクロージャに対して移動しない。
【0023】
エンクロージャ組立体のさらに有利な一実施形態によれば、エンクロージャは、スリーブ状の内側本体及びスリーブ状の外側本体を具備する。内側本体は、コネクタ収容部と、コネクタ収容部の開口に配置されるシール部材とを具備する。外側本体は、後方位置から前方位置まで内側本体上を摺動し、前方位置でシール部材を圧縮するよう構成される。
【0024】
エンクロージャ組立体の実装を容易にするために、エンクロージャ組立体は、エンクロージャ組立体の部品がケーブルから滑り落ちること、又は所定の後方位置を超えて摺動することを防止するために、ケーブルやストレインリリーフ部材に対して変位できないよう構成された停止部材を具備する。このため、エンクロージャやエンクロージャの他の部品のアクセスし易さは、エンクロージャ組立体を実装しながら確保される。
【0025】
改良された別の一実施形態において、例えば外側本体は、ほぼ筒状をなす内側本体を内部に受容するほぼ中空の筒状である。このため、外側本体が前方位置にある場合、内側本体及び外側本体の間に、やはりほぼ筒状の環状空間が形成される。
【0026】
前方位置では、外側本体はその後方端で内側本体を超えて延びるので、内側本体及び外側本体の間にシール部材を固定保持することができる。
【0027】
さらに有利な一実施形態において、エンクロージャ組立体は、その前方位置にある場合に相手部品にエンクロージャを軸方向に固定するよう構成された少なくとも1個のロック部材を具備する。
【0028】
この少なくとも1個のロック部材は、相手エンクロージャに対してエンクロージャを軸方向に固定するよう作用する。好適な一実施形態において、ロック部材はバヨネット型である。このバヨネット型は、エンクロージャの後方端でシール部材によりコネクタ収容部の封止をもたらす前方への移動を、軸方向のロックの限定された回転ロック移動と組み合わせると有利である。限定された回転移動のため、シール部材にもたらされる捩れは、バヨネット型ロック部材内に限定される。もちろん、バヨネット型の代わりに、ねじ等の他のロック部材を使用してもよい。しかし、ねじ接続は、しっかりした接続を確保するために複数回の回転を要する。これは、バヨネット結合と比べてシール部材上の捩れひずみを増大させてしまう。
【0029】
後方端でのコネクタ収容部の封止を容易にして封止を確保するために、内側本体は、本発明の別の好適な実施形態に従って、後方へ開放するクランプ部を具備する。このため、シール部材は、ケーブルやストレインリリーフ部材に沿ってクランプ部内へ摺動する。クランプ部は、シール部材を受容するために後方へ開放するリテーナを有する。外側本体の前方位置において、クランプ部はシール部材上に半径方向に圧縮され、シール部材はストレインリリーフ部材の固定部に半径方向に押圧されるので、ストレインリリーフ部材及びシール部材間の間隙を封止する。クランプ部は、例えば、ストレインリリーフ部材に沿って内側本体から後方へ延びる半径方向に撓み得る、好適には弾性を有する舌片を有することにより、半径方向に弾性を有する。これらの舌片間の径は、中立の非変位状態では、シール部材の外径より大きいので、シール部材は、外側本体から大きな圧力を使用することなく、クランプ部材に受容される。
【0030】
外側本体は、その後方端に、壁部を実質的に有する閉鎖部を具備する。壁部は、シール部材に面し、外側本体が前方位置にあるか、前方位置へ移動しつつある場合、シール部材又はクランプ部材に向かって押圧される。別の実施形態において、外側本体は、シール機能は全く有しておらず、エンクロージャを相手エンクロージャにロックするよう作用するのみである。この場合、コネクタ収容部は、必要なシール部材及びシール面を具備する内側本体によってのみ封止される。しかし、エンクロージャ組立体の密着性を増大させるために、コネクタ収容部ばかりでなく、内側本体及び外側本体間の空間も封止される。
【0031】
外側本体は、外側本体が前方位置にあるか、前方位置に移動した場合、クランプと係合しシール部材の周囲を半径方向に圧縮又は撓めるよう構成される係合面を具備する。係合面は、傾斜した又は段状の筒状面又は筒状壁、若しくは截頭円錐形の表面又は壁であってもよい。前方端では、係合面の内径は、クランプ部の外径よりも大きい。後方端では、係合面の内径は、クランプ部の外径より小さい。
【0032】
特に、ロックされるようロック部材が回転するタイプである場合、内側本体は、内側本体及び相手エンクロージャが少なくとも部分的に一旦結合すると内側本体及び相手エンクロージャ間の相対回転を防止する少なくとも1個の積極的ロック部材を具備することが好適である。積極的ロック部材は、後方端から離れるケーブル方向に沿って延びる半径方向に突出するリブとして、又は対応して形成された溝又は凹部として構成される。
【0033】
別の一実施形態において、内側本体は、Oリング等の前シール部材、周辺や前方を向くシール面を前方端に具備する。前シールは、コネクタ収容部が終了するプラグ面を取り囲むことが好適である。
【0034】
コネクタ収容部は、プラグ面に位置する最大径を有する筒状又は截頭円錐状である。径は、後方端に向かって傾斜する。後方端ではコネクタ収容部の径がケーブル径より大きいことが好適であり、プラグ面では径が半径方向、すなわち軸方向に対して直交する方向にコネクタの最大寸法よりも大きいことが好適である。コネクタより大きな径を有するコネクタ収容部の部分は、好適な一実施形態では、プラグ面から内側本体への少なくとも後方に沿ったコネクタ長だけ延びる。これにより、完成コネクタをコネクタ収容部内で緩く受容することを可能にするので、コネクタは、プラグ面内で少なくとも軸方向に直交する方向に沿って移動する。
【0035】
上述した構成のいずれかでエンクロージャと嵌合するよう構成された相手エンクロージャは、内側本体のプラグ部を受容するよう構成された好適には筒状の案内面を具備する。相手エンクロージャの内輪郭は、プラグ本体の少なくとも前部の外輪郭に特に対応し、遊びが小さい密着嵌めを可能にする。また、案内面は、エンクロージャの少なくとも1個の積極的ロック部材と係合するよう構成された少なくとも1個の積極的ロック部材を具備する。
【0036】
十分な封止を提供するために、相手エンクロージャは少なくとも1個のシール面を具備する。好適には筒状であるこのようなシール面は、内側本体の周囲面と封止係合し、内側本体及び相手エンクロージャ間の半径方向の間隙を封止する。もちろん、プラグ面を取り囲む内側本体の前方を向く面を封止してもよい。この場合、相手エンクロージャはプラグ面を向く平坦壁を提供することが好適であり、プラグ面及び相手エンクロージャ間にガスケットが介在する。相手エンクロージャのこのシール面は、案内面の一部であってもよい。
【0037】
相手エンクロージャは、コネクタ及びケーブルが緩く受容される中央開口を具備することが好適である。このため、結合状態において、コネクタの位置は、エンクロージャ及び相手エンクロージャ内で変動する。これは、コネクタの半径方向の最大寸法より大きくなるよう、コネクタ収容部のように中央開口の寸法を設定することにより達成される。
【0038】
ねじ又はクリップの挿入用の孔等の固定部材は、回路基板又はトランシーバ等の部品上に固定されるように、相手エンクロージャ上に設けられる。固定部材は、実装エンクロージャのフランジ部上に配置してもよい。
【0039】
上述した課題は、本発明の方法に従って、前方位置へエンクロージャを摺動させることにより、ストレインリリーフ部材が外側本体によって自動的に封止係合することで解決する。
【0040】
エンクロージャ組立体の信頼性をさらに改良するため、特にストレインリリーフ部材が伝達するケーブルへの最大力を増大させるために、外側本体が前方位置へ摺動しながら、固定部が半径方向に圧縮される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明に係るエンクロージャの第1実施形態を示す分解側面図である。
図2】本発明に係るエンクロージャの第1実施形態を示す断面図である。
図3】相手エンクロージャを示す斜視図である。
図4図3の相手エンクロージャを示す側面図である。
図5】本発明に係るエンクロージャの第2実施形態を示す斜視図である。
図6】実装状態における図5のエンクロージャを示す斜視図である。
図7】本発明に係るエンクロージャの第3実施形態を示す断面図である。
図8図7のエンクロージャを示す斜視図である。
図9】プラグ状態で図1及び図2のエンクロージャ及び図3及び図4の相手エンクロージャからなる封止組立体を示す側面図である。
図10】ストレインリリーフの第2実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、有利な実施形態を使用し添付図面を参照して、本発明を詳細に説明する。説明された実施形態は、上述した個別の特徴が互いに独立して設けられ、又は省略することができる、可能な構成のみである。
【0043】
最初に、図1及び図2を参照して、本発明に係るエンクロージャを説明する。
【0044】
図1の実施形態において、エンクロージャ組立体1はエンクロージャ1aを具備して図示される。エンクロージャ1aは、内側本体2、外側本体3、並びに内側本体2及び外側本体3間に介在するシール部材4を具備する。
【0045】
シール部材4は、周囲方向に沿って好適には矩形断面を有する単一のエラストマリングからなる。シール部材4に加えて、エンクロージャ1aは、内側本体2及び外側本体3間に配置される環状ばね部材5及びOリング6等の別の部材を具備してもよい。
【0046】
外側本体3は、内側本体2に対して図2に示される前方位置まで移動する。好適には、外側本体3は、内側本体2に沿って摺動すると共に内側本体2に対して回転することができる。外側本体3が内側本体2上を摺動すると、これら2本体間にほぼ環状の空間7が残る。この環状空間7は、外側本体3及び内側本体2の全長にわたってケーブル8と平行に延びる。ケーブル8は、光ファイバケーブル、特に規格化された光ファイバケーブル、又は例えば銅線ケーブルである電気ケーブルであってもよい。
【0047】
エンクロージャ組立体1は、光ファイバケーブル又は電気ケーブル等のケーブル8上に実装されるよう構成される。エンクロージャ組立体1はさらに、ケーブル8の一端10に実装されたコネクタ9を封止状態で取り囲むよう構成される。コネクタ9は、通信技術で使用される規格化されたタイプであり、特に、図に示されるように光データ信号を伝送するための2連LCコネクタであってもよい。
【0048】
内側本体2は、実質的にスリーブ状の構成をなす。内側本体2は、半径方向、すなわちケーブル8に対して直交する任意の方向にコネクタ収容部を機械的にシールドする連続した外壁を表す。内側本体2は、ケーブル8の方向及び前後方向14にそれぞれ延びるほぼ細長の形状をさらに有する。好適には、内側本体2はほぼ筒状をなす。内側本体2は、プラグ部11、支持部12及びクランプ部13(図1参照)を具備する。これら全ての部分11,12,13はほぼ筒状の外輪郭を有する。内側本体2は、ストレインリリーフ部材14に実装されるよう構成され、実装前状態ではストレインリリーフ部材14及びケーブル8に沿って摺動するよう構成されている。
【0049】
クランプ部13は内側本体2の後方端15に位置するのに対し、プラグ部11は内側本体2の前方端16に配置される。以下では、エンクロージャ本体1に関する向き、ケーブル8の一端10に向かう向き、図2図4に示される相手エンクロージャに向かう向きの全ての向きを「前方F」と称する。ケーブル8の一端10から離れる方を指し、又は図2図4に示される相手エンクロージャから離れる向きを「後方R」と称する。
【0050】
プラグ部11は、前方Fを向くプラグ面17を取り囲む。プラグ面17は、前方Fに好適には完全に開口し、後方Rへ内側本体2内に延びてコネクタ収容部18を形成する。コネクタ収容部18は、内側本体2の内部を構成する。
【0051】
コネクタ収容部18は、内壁19により形成される、図2に示された段状の筒形状を有する。コネクタ収容部18は、コネクタ9を緩く受容する寸法に設定されている。従って、コネクタ収容部18の少なくとも前方部20は、増大した容積を有する。前方部20は、コネクタ9の全長の半分以上にわたって延びる。好適には、前方部20は、軸方向14に沿ってコネクタ9の全長にわたって延びる。このため、コネクタ9は、緩く、すなわち軸方向14に変位可能に、且つ軸方向14に対して横断する方向に受容される。図2に示されるように、前方部20は、コネクタ収容部18の後方部21より大きな径を有する。或いは、コネクタ収容部18は、直線的な筒状、又は後方Rに傾斜するほぼ円錐状をなしてもよい。
【0052】
プラグ部11は、図1の実施形態ではOリング6により形成される少なくとも1個の前シール面22を具備する。Oリング6は、前方端16に近接して配置された周辺溝に挿入される。追加の又は代替の封止については、プラグ面17を囲み前方Fを向く環状前壁部24が前シール面として作用することができる。エンクロージャの実装状態でこの目的のために、前壁部24は、相手エンクロージャ(図示せず)のガスケットに押圧される。
【0053】
プラグ部11は、対向する2個の停止面26,27を有する少なくとも1個の積極的ロック部材25を具備する。これら停止面26,27は、ケーブル8及びプラグ面17の回りの対向する周囲方向を指す。少なくとも1個の積極的ロック部材25は、プラグ部11から半径方向に突出すると共に軸方向Aに延びる突起としての形状を有する。或いは、ロック部材は、消極的ロック部材、例えば前方Fを向く開口を有する溝として形成することができる。この溝は、プラグ部11上で軸方向Aに延びている。
【0054】
プラグ部11は、前方Fを向く停止面28を有する。この停止面28は、内側本体2が相手エンクロージャ内に挿入される深さに対する制限部として作用する。プラグ部11の後方端において、後方Rを向く肩29は、外側本体3内での内側本体2の挿入深さを制限する別の停止部として作用する。プラグ部11は、特に大きい内側本体2の別の部分の外径とは異なる外径を有する。
【0055】
支持部12は、実質的に滑らかな筒状をなす。軸方向Iにおいて、支持部12は、ストレインリリーフ部材14に沿って内側本体2の長さの半分以上にわたって延びる。支持部12は、外側本体3用の支持及び案内として、並びにストレインリリーフ部材14上で内側本体2の取付け及び摺動を容易にするハンドルとして作用する。支持部12の外径はクランプ部13の外径より大きい。
【0056】
クランプ部13は変形されるよう、特に半径方向すなわち軸方向Aに対して直交する方向に圧縮されるよう構成される。一実施形態において、クランプ部13は、半径方向に変位可能な舌片30を有する。舌片30は、内側本体2の後方端15の周囲且つストレインリリーフ部材14が受容される内側本体2の後方開口の周囲に等間隔で離間する。舌片30は、後方端から離れる向きにストレインリリーフ部材14に沿って軸方向とほぼ平行に延びる。図2に示されるように、舌片30は、舌片30及びストレインリリーフ部材14間の環状空間にシール部材4を受容するためのリテーナ31を区画する。実装状態において、シール部材4がクランプ部13でリテーナ31に受容されると、舌片30はストレインリリーフ部材14の固定部32と半径方向に重なっている。
【0057】
内側本体2内でシール部材4の仮組立を容易にするために、リテーナ31の内径はシール部材4の外径よりも小さいので、シール部材4は、半径方向に圧縮されることによりリテーナ31内にしっかりと保持される。さらに、リテーナ31は、シール部材4が滑り落ちることを防止するために後方Rのシール部材4の背後に係止するのに対し、内側本体2はストレインリリーフ部材14に沿って摺動する。ストレインリリーフ部材14に沿ったシール部材4の摺動を容易にするために、シール部材4の内径は、ストレインリリーフ部材14の外径より大きい。
【0058】
或いは、シール部材4は、シール部材4及び内側本体2の双方がストレインリリーフ部材14に実装された後、リテーナ31内に挿入可能である。この場合、シール部材4の実装を容易にするために、リテーナ31の内径は、リテーナ31内に押圧されるように、ストレインリリーフ部材14の外径より大きい。本実施形態において、シール部材4は、ストレインリリーフ部材14上且つリテーナ31内にシール部材4を押圧することにより、内側本体2をストレインリリーフ部材14に圧入で一時的に固定するために使用される。
【0059】
クランプ部13は後方を向く壁33を具備する。壁33は、シール部材4が押圧されるシール面を構成する。壁33はストレインリリーフ部材14用の開口34を有し、開口の直径はシール部材4の外径より小さい。この開口34はコネクタ収容部18に接続する。壁33は、後方Rへリテーナ31を区切ると共に、エンクロージャが相手エンクロージャに結合されるとシール部材4が当接するシール面を形成する。
【0060】
内側本体2の内径は、ストレインリリーフ部材14の吸収部35が緩く受容され、内側本体2がストレインリリーフ部材14に沿って摺動されるように、寸法が設定される。プラグ面17を有するコネクタ収容部18は、軸方向Aに直交するコネクタ9の半径方向の最大寸法37より大きい内幅36を少なくとも前方部20に有する。このため、コネクタ9は、少なくともプラグ面17の直ぐ背後の領域でプラグ面17及びコネクタ収容部18に緩く受容される。
【0061】
内側本体2は、その上に外側本体3を摺動させることにより外側本体3により受容される。外側本体3は、筒状、又は図2に示されるように筒状の截頭円錐状中空シェルの計上を有する。外側本体3の軸方向Aに沿った長さは、内側本体2の長さとほぼ同じである。エンクロージャ組立体1の嵌合状態において、内側本体2の後方端15は、外側本体3により完全に覆われる。突起や凹部を具備する把持構造38は、外側本体3の取扱いを容易にする。
【0062】
外側本体3の内部は、異なる径を有する複数部分からなる。これらの部分の軸方向部分は、エンクロージャの実装状態において、内側本体2の複数の部分、すなわちプラグ部11、支持部12及びクランプ部13に合致する。
【0063】
支持部12は、一実施形態において、外側本体3内に配置された内側案内面39と相互作用する案内面として作用する。好適には、内側案内面39の径は、支持部12の径より若干大きい。内側案内面39は前方Fに若干、好適には円錐状に広がるので、内側本体2は外側本体3内で自己を中心として受容される。
【0064】
外側本体3の内部は、その後方端40に閉鎖部41を具備する。閉鎖部41には、エンクロージャ1aが相手エンクロージャに結合される際に、クランプ部13が受容される。閉鎖部41は、コネクタ9から見てシール部材4の背後に係止する。閉鎖部41は、傾斜した内壁42として形成された係合面を具備する。閉鎖部41は、その前方端に、クランプ部13の外径より大きな内径を有する。閉鎖部41の後方端における壁42の内径は、クランプ部13や舌片30の外径より小さい。外側本体3が内側本体2上を摺動すると、傾斜壁42は、舌片30及び舌片内に受容されたシール部材4を半径方向に徐々に圧縮する。壁42は、後方Rに沿って開口49で終了する。ケーブル8及びストレインリリーフ部材14は、この開口49を通過する。
【0065】
外側本体3の前方端44で、外側本体3の内部は、内径が内側案内面39で内径より大きい拡大部を形成する。このため、外側本体3の前方端44内に内側本体の拡大プラグ部11を収容することができる。好適にはプラグ部11を向く内側にある、外側本体3の例えばバヨネット型の少なくとも1個のロック部材45、又は前方端44に配置されたねじは、相手エンクロージャのエンクロージャ1aへの取付けに役立つ。
【0066】
外側本体3は、コネクタ収容部18の前方部47の後方端に環状の当接面46を具備する。当接面46は、軸方向Aに沿って内側本体2の肩29に対面する。エンクロージャ組立体1が相手エンクロージャに結合されると、外側本体3は、前方位置へ自動的に移動する。前方位置では、肩29及び当接面46間にばね部材5が圧縮され、外側本体3から離れる方向に内側本体2を付勢し、エンクロージャ1a及び相手エンクロージャ間にバヨネット接続部をしっかり固定する。
【0067】
外側本体3は、前方Fを向き前方端で内側本体2を取り囲む前シール面48をさらに具備する。前シール面48は、Oリング6に加えて追加シール部材として使用され、外側本体3及び内側本体2間の空間7及びコネクタ収容部18を封止する。
【0068】
図3及び図4を参照して、相手エンクロージャ62の一実施形態を説明する。
【0069】
相手エンクロージャ62は、半径方向の内幅がコネクタ9の半径方向の最大寸法より大きい中央開口63を有する。
【0070】
相手エンクロージャ62は、外側本体3の少なくとも1個のロック部材45に合致する少なくともロック部材64をさらに具備する。特に、図1に示されるように、少なくとも1個のロック部材64は、外側本体3とバヨネット型ロックを可能にする突起65を具備する。
【0071】
図3に示されるように、ロック部材64は、相手エンクロージャ62の前方端から前方Fに突出する好適には弾性のない2個の舌片上に配置される。必要に応じて、2個以上のロック部材を設けてもよい。
【0072】
図3の実施形態において、突起65はまた、内側本体2及び相手エンクロージャ62間の相対的回転を防止するために、内側本体2の接触的にロック部材25間に係合する積極的ロック部材として作用する。突起65の前方端67は、内側本体2の停止面28と当接するよう設計される。
【0073】
突起65の内面は、中心開口63を取り囲むよう前後方向すなわち軸方向に連続する好適には筒状に連続する内面69の一部である。内面69は、内側本体2、特にシール面22又はOリング6それぞれのためのシール面及び案内面を構成する。内面69の内径は、内側本体2及び相手エンクロージャ62間の密着を確保するために、内側本体2の前方端16での径より若干大きい。しかし、径71は、内側本体2が相手エンクロージャ62内に挿入されるとOリング6が内面69と封止接触状態となるように、Oリング6の外径より小さい。
【0074】
また、相手エンクロージャ62は、突起65より軸方向の高さが小さい好適には環状のカラー73を有する。このカラー73は、その外周にガスケット75用の支持部を形成する。ガスケット75は、エンクロージャ1a及び相手エンクロージャ62が一旦結合完了すると、外側本体3のシール面60に当接するよう構成される。
【0075】
相手エンクロージャ62の前方面77は、後方面にガスケット81を具備するフランジ79により形成される。固定部材を受容する孔83を設けてもよい。
【0076】
ガスケット81は、回路基板、電子又は光増幅器、トランシーバ等の部品に対して封止押圧するよう構成されるので、相手エンクロージャ62の後方面82を介してコネクタ収容部18に汚染物が到達しない。Oリング6及び内面69間の封止係合も、塵埃及び湿気等の汚染物がプラグ面を通ってコネクタ収容部18内に入り込むことを防止する。シール面60及びガスケット75間の光係合は、内側本体2及び外側本体3間の空間7を封止すると共に、もちろんコネクタ収容部18に入り込む塵埃及び湿気の別の障壁となる。
【0077】
このため、コネクタ9及びその適合アダプタ(図示せず)間の接続部は、本発明に係るエンクロージャ1a及び相手エンクロージャ62が結合した状態で完全に封止される。コネクタ収容部18及び中央開口63の半径方向の寸法は、コネクタ9が緩く受容されることを確保する。エンクロージャ1a及び相手エンクロージャ62内でのコネクタ9の可動性は、中央開口63内での適合アダプタの位置変動を補償できる。このため、相手エンクロージャ62は、ガスケット81による封止は、コネクタ9と合致するアダプタの位置とは無関係に有効となる位置に配置される。
【0078】
コネクタ収容部18、及び好適には内側本体2及び外側本体3間の空間7は、エンクロージャ1a及び相手エンクロージャ62の結合の間、後方端において単一動作で封止される。これを以下に説明する。
【0079】
現場で、作業者は、例えば2連のLCアダプタを有する印刷回路基板上のSFPトランシーバ等の部品に対する所望の接続が必要な適当な長さにケーブルを短縮する。もちろん、任意の他の部品も同様に使用してもよい。
【0080】
ケーブル8の短縮前又は短縮後において、作業者は最初に、外側本体3の後方端40がケーブル端10から離れる方向を向いた状態で、ケーブル上の外側本体3を摺動させる。この後、作業者は、シール部材4を実装し、その後、前方端16がケーブル端10を向いた状態で内側本体2を実装する。
【0081】
しかし、シール部材4はまた、内側本体2と共に仮組立され、実装され、内側本体2と共にケーブルに沿って摺動される。また、Oリング6は、既に内側本体2上に仮組立されるか、又は現場で実装される。最後に、作業者は、ケーブル8の端部にコネクタを実装する。こうして、エンクロージャ組立体1が図2に示される構成に実装される。
【0082】
図2に示される位置から始まって、エンクロージャ1aが相手エンクロージャ62(図3参照)に結合されると、最初にコネクタ9が、対応するアダプタ(図示せず)に実装される。次に、内側本体2は、相手エンクロージャ62と係合するまでケーブル8上で前方へ摺動される。停止面28は、相手エンクロージャ内への内側本体2の深く挿入し過ぎを防止する。図示の実施形態において、この係合もまた、内側本体2及び相手エンクロージャ62間の積極的ロックをもたらす。この接触的ロックは、相手エンクロージャ62に対する内側本体2の回転を防止する。
【0083】
次に、外側本体3のロック部材45が相手エンクロージャ62の適合ロック部材と係合するようにするために、外側本体3が内側本体2上をケーブル8の前方へ前方位置まで摺動される。
【0084】
シール部材がリテーナ31内にまだ受容されていない場合、一実施形態における外側本体3は、ケーブル8に沿って前方Fへリテーナ31内にシール部材4を自動的に押圧する。
【0085】
好適には、外側本体3は、さらに結合工程を容易にする指示部12により、前後方向すなわちケーブル8に沿って案内される。外側本体3の前方への移動の終了間際では、クランプ部13が傾斜壁42によりシール部材4の回りで圧縮される。半径方向の圧縮は、ケーブル8上でのシール部材4の締まり嵌め、及び軸方向に沿ったシール部材4の伸びをもたらすので、シール部材4が壁33を押圧する。このため、コネクタ収容部18の後方端が封止される。クランプ部から後方に突出するようにシール部材4の軸方向の長さが選択されると、空間7もまた、シール部材4を直接押圧する傾斜壁42により封止される。
【0086】
前方への移動中に、外側本体3のロック部材は、相手エンクロージャ62のロック部材と係合するようになる。内側本体2及び相手エンクロージャ62に対する外側本体3の前方移動の終了時において、外側本体3は、ロック部材26,27,65のため、相手エンクロージャ62に非回転でロックされる内側本体2に対して回転する。これは、ロック部材の係止完了、及び接続の完了をもたらす。同時に、ばね部材5は、外側本体3及び内側本体2間で軸方向に圧縮される。ばね部材5の圧縮は、外側本体3が回転の端部で相手エンクロージャ62から離れる方向に移動し凹部内へスナップ係合することができることにより、回転の端部でいくらか解放される。このため、外側本体3及び相手エンクロージャ62は、この位置で回転せずロックされる。外側本体3がばね5の動作に抗して相手エンクロージャ62に向かって移動した後にのみ、ロックが係合解除される。
【0087】
前方位置において、Oリング6は内面69と封止係合し、前面48はガスケット75へ押圧される。
【0088】
図5は、実装前状態の本発明に係るエンクロージャを示す。エンクロージャ1aは、ケーブル8上及びストレインリリーフ部材14上に摺動可能にそれぞれ配置される。エンクロージャは、エンクロージャがストレインリリーフ部材14の固定部32と係合する前方位置までストレインリリーフ部材14に沿って摺動する。
【0089】
エンクロージャ1aの背後の後方Rに、ケーブル8に停止部材90が印加される。停止部材90は、ケーブル8上に停止部材90を接合、クランプ又は成形することにより、ケーブル8に取り付けられる。停止部材90は、ケーブル8上又はストレインリリーフ部材14上にエンクロージャ1の後方位置を定めるよう作用する。停止部材90は、内側本体2又は外側本体3としてのエンクロージャ1aの部品の紛失を防止する。
【0090】
ストレインリリーフ部材14は、ケーブル8の少なくとも部分的に解かれた部分8aを受容するよう構成された吸収部35を具備する。吸収部35は、接続された部品が引き起こしコネクタ9から伝わる例えば振動等の移動を吸収するよう作用する。例えば、コネクタ9に接続された印刷回路基板は、動作中に振動し、コネクタ9に振動を伝える。
【0091】
コネクタ9は2連LCコネクタである。コネクタ9をストレインリリーフ部材14に結合するために、エンクロージャ1aを向くコネクタ9の端部は、ストレインリリーフ部材14、特に吸収部35によりオーバーモールドされる。
【0092】
吸収部35の柔軟性を増大させるために、吸収部35は、横断方向に、好適には前方Fに直交して延びる溝35aを具備する。複数対の溝35aは、吸収部35の両側に配置され、薄い厚さすなわち薄い径を有する部分を形成する。これらの部分がヒンジを形成することにより、横断方向すなわち前方Fに直交する方向の吸収部35の移動を容易にする。溝35aの対の間に、好適な曲げ方向Bに対して横断する方向の吸収部35の捩れすなわち曲げを防止する厚いほぼ筒状部35bが配置される。筒状部35bが好適な曲げ方向Bにほぼ直交して延びる共通方向に延びるので、吸収部35は、曲げ方向に対して横断する方向に筒状部35bにより補強される。
【0093】
図6は本発明の別の実施形態を示し、同一の参照符号が使用される。本実施形態に示される詳細の殆どは第1実施形態と同じであるので、第1実施形態との差異のみを詳細に説明する。
【0094】
エンクロージャ組立体1は実装状態に配置され、相手エンクロージャ62に接続される。エンクロージャ1a上の標識91,92及び相手エンクロージャ62上の標識93で示されるように、エンクロージャ1aは相手エンクロージャ62上にロックされる。さらに、標識91は、エンクロージャ1a及び相手エンクロージャ62間の接続をロック解除するためにエンクロージャ1aが回転しなければならない方向を示す。
【0095】
本発明の一実施形態において、停止部材90は、ストレインリリーフ部材14上に実装可能であり、或いはストレインリリーフ部材14の一体部分とすることもできる。ストレインリリーフ部材14も停止部材90も、ケーブル8上に成形することができる。
【0096】
図7は本発明の第3実施形態を示し、同一の参照符号が使用される。本実施形態に示される詳細の殆どは上述した実施形態と同じであるので、それら実施形態との差異のみを詳細に説明する。
【0097】
エンクロージャ1aは一体部品で形成される。ストレインリリーフ部材14及びエンクロージャ1a間に信頼性の高い接続を可能にするために、開口49は、ストレインリリーフ部材14の円錐形状と同じ傾斜を有する円錐形状をなす。ストレインリリーフ部材14がエンクロージャ1aの開口49内で後方Rへ移動する際、又はエンクロージャ1aがストレインリリーフ部材14の固定部32上で前方Fに摺動する際に、固定部32の波形面32aは、開口49の内側固定面49aに当接する。このため、ストレインリリーフ部材14及びエンクロージャ1a間の摩擦ロック、及び同時にストレインリリーフ部材14及びエンクロージャ1a間の積極的ロックが発生する。
【0098】
エンクロージャ1aは、相手エンクロージャ(図示せず)の内部ねじに螺合するよう構成された外部ねじ91を具備する。エンクロージャ1aが相手エンクロージャに螺合するのに対し、エンクロージャ1aは、エンクロージャ1aが固定部32と係合する前方位置まで前方Fに移動する。
【0099】
ストレインリリーフ部材14はケーブル8を受容するよう構成される。好適には、ストレインリリーフ部材14は、1工程で製造及びケーブル8に接続されるように、ケーブル8上に成形される。
【0100】
ストレインリリーフ部材14は、後方Rを指す一端でストレインリリーフ部14aを具備する。ケーブル8を弾性的に支持するために、ストレインリリーフ部14は、区分されると共に後方Rに傾斜する。
【0101】
ストレインリリーフ部14aに隣接する前方Fに、ストレインリリーフ部材14は、エンクロージャ組立体1の実装状態でエンクロージャ1aの開口49内に部分的に配置され、ストレインリリーフ部材14をエンクロージャ1aに取り付ける固定部32を有する。開口49及びストレインリリーフ部材14間に発生する閉鎖力又は摩擦ロックの信頼性を改良するために、固定部32は周囲面32aを具備する。周囲面32aは波形部32bを具備する。波形部32bは、エンクロージャ1aへの摩擦ロックを発生又は強化するよう構成されている。周囲面32a上の複数の波形部32bは波形面32cを形成する。波形部32bが設けられた周囲面32aはロック部材32dを形成する。
【0102】
さらに、固定部32は、方向Rに傾斜するほぼ円錐形状を有する。このため、固定部32上を前方Fにエンクロージャ1aを摺動させること、又はエンクロージャ1a内で後方Rにストレインリリーフ部材14を移動させることは、エンクロージャ1aが固定部32と係合する前方位置まで、固定部32及び開口49の内面49a間の垂直抗力が増大する結果となる。
【0103】
固定部32の周囲面32aは、環境からコネクタ収容部18を封止するためのシール面として作用する。ストレインリリーフ部材14の封止機能を改良するために、少なくとも固定部32で、ストレインリリーフ部材14は、例えばゴム又はシリコーン等の封止材料を具備してもよい。
【0104】
図8は、相手エンクロージャ(図示せず)へのエンクロージャ1aの螺合を容易にする図7の実施形態を示す斜視図である。エンクロージャ1aを相手エンクロージャに螺合させる際、エンクロージャ1aは、ストレインリリーフ部材14上、特に固定部32上を前方Fへ前方位置まで摺動する。前方位置では、開口49が固定部32と封止係合する。前方位置において、ストレインリリーフ部材14の円錐形又は楔形の固定部32は、エンクロージャ1aの円錐形の開口49内に押し込まれる。
【0105】
図9は、ストレインリリーフ部材の無い、結合状態すなわち外側本体3の前方位置でのエンクロージャ組立体1及び相手エンクロージャ62からなる封止組立体84を示す。相手エンクロージャ62は、破線で概略的に示された部品85上に実装される。図に見られるように、コネクタ収容部18及び中央開口63の内幅36,71はコネクタ9の半径方向最大寸法72より大きいので、コネクタ9は、相手エンクロージャ62内でアダプタ87の実際の位置に適合するように、実装されたエンクロージャ1a及び相手エンクロージャ63内で移動可能である。エンクロージャ組立体1の全体構成により、片手での実装作業を容易にすることができる。エンクロージャ組立体1及び相手エンクロージャ62の封止及びロックは、単一の移動で行われる。
【0106】
図10は本発明に係るストレインリリーフ部材の第2実施形態を示し、同一の参照符号が使用される。本実施形態に示される詳細の殆どは第1実施形態と同じであるので、第1実施形態との差異のみを詳細に説明する。
【0107】
固定部32はリング状の突起32eを具備する。複数のリング状突起32eは、波形部32b及び波形面32cを形成する。
【0108】
固定部32の外径は後方Rに沿って傾斜する。外径は、前方Fを指す固定部32の端部から後方Rを指す固定部32の端部まで傾斜する。このため、前方Fを指す端部におけるリング状突起32eの外形D1は、後方Rを指す端部におけるリング状突起32eの外形D2より大きい。固定部32の両端間に位置するリング状突起の外径は、後方Rに小さくなる。
【0109】
前方Fを指す固定部32の端部及び後方Rを指す固定部32の端部の双方には、拡大部14b,14cが設けられる。拡大部14b,14cの外径は、リング状突起32eすなわち波形面32cの最大径D1より大きい。拡大部14b,14cは、固定部32の滑り落ちに抗して固定部32上にエンクロージャ1aを固定するための停止部として作用する。
【符号の説明】
【0110】
1 エンクロージャ組立体
1a エンクロージャ
2 内側本体
3 外側本体
4 シール部材
8 ケーブル
10 一端
14 ストレインリリーフ部材
14a ストレインリリーフ部
18 コネクタ収容部
32 固定部
32a 周囲面
32b 波形部
32c 波形面
32d ロック部材
35 吸収部
40 後方端
49 開口
90 停止部材
F 前方
R 後方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10