(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記シートは、上記野地板部材の上記上段側板部材群上面、上記上段側板部材群と上記下段側板部材群との間、上記下段側板部材群下面のうちいずれか2箇所に配置された第1シート及び第2シートとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の屋根構造。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る屋根構造1を示す斜視図、
図2は野地部材20と透湿ルーフィング30を示す側面図、
図3は野地部材20の組合せを示す斜視図、
図4は透湿ルーフィング30の組合せを示す斜視図である。なお、
図1中F及びGは通気の流れを示している。
【0018】
図1及び
図2に示すように、屋根構造1は、複数の垂木10と、これら垂木10上に渡された野地部材20と、野地部材20上に一定間隔を持って配置された透湿性及び防水性を有する材料で形成された透湿ルーフィング(シート)30と、透湿ルーフィング30上に設けられ支持部材である複数の桟木40と、透湿ルーフィング30上であり屋根の縁近傍に設けられた鼻桟41と、桟木40及び鼻桟41に設けられ例えば釘等により固定された複数枚の瓦50とを備えている。
【0019】
野地部材20は、小幅板材で形成され一定間隔で垂木10と直交方向に設けられた複数の下板(下段側板材群)21と、小幅板材で形成され下板21に一定間隔で直交方向に設けられた上板(上段側板材群)22とを組合せて格子状に形成されている。また、例えば、屋根の大きさに対し野地部材20の大きさが足りない場合等(1つの野地部材20では製造等に対応できない大きさや形状等)には
図3に示すように、野地部材20の端部に袖部23を備えた野地部材20を複数用いる。このとき、隣り合う野地部材20の袖部23を接触させ、接合部材24を袖部23接触部分の上部又は下部へ設置し、例えば釘打ち等で固定させることにより、野地部材20を結合させる。なお、複数枚用いる場合においても、袖部23を有さない野地板20を用いても良い。
【0020】
このように野地部材20を結合させるときに、野地部材20に設ける透湿ルーフィング30の大きさは、
図4に示すように、組合せる野地部材20より若干大きくし、組合せ箇所(野地部材20の袖部23)で透湿ルーフィング30を重ねることにより、雨水等を漏らすことなく野地部材20を組合せることが可能となる。なお、透湿ルーフィング30を重ねる際、透湿ルーフィング30の高低差が高い側の透湿ルーフィング30を上に重ねることとする。ここで、透湿ルーフィング30は、これら透湿ルーフィング30を組合せずに、屋根と同じ広さの1枚布形状の透湿ルーフィング30を用いても良い。
【0021】
桟木40は、透湿ルーフィング30と桟木40との間に、桟木40下面に空間を持たせ通気可能にするための通気板42を有している。また鼻桟41は、瓦50と透湿ルーフィング30との空間の通気及び排水を外部へと行うことが可能にするために、中空体43を有している。
【0022】
このように構成された屋根構造1では、透湿ルーフィング30の上面では、透湿ルーフィング30と瓦50との空間は、通気板42及び中空体43により、矢印Fに示すように通気が可能となっている。更に、瓦50から雨水等が浸入した場合でも、透湿ルーフィング30により、野地部材20の下方へとは雨水等は浸透せず、通気板42及び中空体43により外部へと雨水等は排出される。
【0023】
また、野地部材20では、上板22と下板21とで構成された空間により、矢印Gのように通気が可能となっている。さらに、野地部材20の空間の湿気等も通気により外部へと排出されるか、若しくは、野地部材20の上面の透湿ルーフィング30により瓦50と透湿ルーフィング30の空間へと透過し、外部へと通気される。この通気により、野地部材20周辺空間に湿気が篭らないため、木材等が腐りにくく耐久性を向上させることができる。
【0024】
さらに、野地部材20は複数結合させることで、屋根の広さに合わせることが可能となるため、様々な形状及び広さの屋根に対応できる汎用性を有する。例えば、数種類の形状の野地部材20を工場等で製造し、現場ではこの野地部材20を屋根の広さにあわせて結合(施工)するだけで済むため、施工工程の低減が可能となり、施工時間及び施工コストを抑えることが可能となる。
【0025】
上述したように、本実施の形態に係る屋根構造1によれば、上板22と下板21とで格子状に形成した野地部材20を野地板として用いることにより通気を行うことが可能となるため、簡単な構造で、家屋の十分な通気効率のよい屋根構造1を形成することができる。すなわち、合板を野地板として用いた場合よりも透湿抵抗を大幅に低減することができるとともに、瓦の放射熱を蓄熱させず、放出することが可能となる。
【0026】
図5は上述した実施の形態の第1の変形例に係る屋根構造1Aの野地部材20Aを示す側面図である。なお、
図5において
図1〜
図4と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0027】
図5に示すように、野地部材20Aは、上板22と下板21とを備え、この上板22と下板21との間に透湿ルーフィング30が挟みこまれている。このため、桟木40は直接上板22へと設置される。したがって通気板42は不要となる。同様に、鼻桟41も、中空体43を用いないで直接上板22の上面に設置する。ただし、桟木40及び鼻桟41はそれぞれ通気板42及び中空体43を有し野地部材20Aに設置してもよい。
【0028】
また、野地部材20A同士を組合せる場合は、
図3、4に示すように、袖部23を接触させ、接合部材24を袖部23接触部分の上部又は下部へ設置させ、上板22と下板21との間で、透湿ルーフィング30を重ね合わせ、例えば釘打ち等で固定させればよい。
【0029】
このように構成された野地部材20Aを用いた屋根構造1Aでは、透湿ルーフィング30の上面であり、透湿ルーフィング30と瓦50との空間は、垂木10と同方向に一定の間隔を有して設けられている上板22により、
図1中の矢印F及びGと同様に通気が可能となっている。更に、瓦50から雨水等が浸入した場合でも、上板22と透湿ルーフィング30により外部への雨水等の排出が可能である。
【0030】
また、野地部材20Aの下板21と透湿ルーフィング30とで構成された空間に篭る湿気は透湿ルーフィング30により、野地部材20Aの上板22の空間へと透過し、この上板22の通気により湿気は外部へと排出される。このため、野地部材20A周辺では湿気が篭らないため、木材等が腐りにくく耐久性を得ることができる。
【0031】
さらに、野地部材20Aと透湿ルーフィング30との組立てを、例えば工場等で製造し、現場ではこの野地部材20Aを屋根の広さにあわせて結合(施工)するだけで済み、さらに、通気板42及び中空体43を必要としないので、施工時間及び施工コスト、更には材料コストを低減させることが可能となる。なお、野地部材20Aを結合する際には、透湿ルーフィング30を重ね合わせ、雨水等が漏洩しないようにする。
【0032】
上述したように、第1の変形例に係る屋根構造1Aによれば、下板21周辺の空間の湿気を透湿ルーフィング30により透過させ、上板22と瓦50との空間にて通気を行うことが可能となるため、簡単な構造で、家屋の十分な通気が可能な屋根構造1Aを形成することができる。
【0033】
図6は上述した実施の形態の第2の変形例に係る屋根構造1Bの野地部材20Bを示す側面図である。なお、
図6において
図1〜
図5と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0034】
図6に示すように、野地部材20Bは、上板22と下板21とを備え、上板22上面には透湿ルーフィング30を、上板22と下板21との間には透湿性及び遮熱性を有するアルミシート31を有している。
【0035】
このように構成された屋根構造1Bでは、透湿ルーフィング30の上面では、透湿ルーフィング30と瓦50との空間は、通気板42及び中空体43により、
図1中の矢印Fと同様に通気が可能となっている。更に、瓦50から雨水等が浸入した場合でも、この通気板42、中空体43及び透湿ルーフィング30により外部へ雨水等の排出が可能である。
【0036】
また、野地部材20Bの下板21とアルミシート31とで構成された空間に篭る湿気はアルミシート31により、野地部材20Bの上板22の空間へと透過し、この上板22の通気(
図1中矢印Gと同様)により湿気は外部へと排出される。このため、野地部材20B周辺では湿気が篭らないため、木材が腐りにくく耐久性を得ることができる。また、アルミシート31により遮熱効果を有し、且つ、アルミシート31により野地部材20Bの空間を二分するため、下板21の空間と上板22の空間とにおいての温度差が発生し断熱効果を有する。これら遮熱効果及び断熱効果により、外気温による室内温度の変化の影響を低減させることが可能となる。
【0037】
さらに、野地部材20Bの上面の透湿ルーフィング30により、雨水等は野地部材20Bへ浸透せず、また、野地部材20Bの空間の湿気等は通気により外部へと排出されるか、透湿ルーフィング30により、瓦50と透湿ルーフィング30の空間へと透過する。このため、野地部材20B周辺では通気をとることができ、湿気が篭らないため、木材が腐りにくく耐久性を得ることができる。
【0038】
ここで、下板21と上板22との間に設けているアルミシート31を透湿ルーフィング30としてもよい。透湿ルーフィング30を用いることで、遮熱性能は僅かに低下するが、低コストで断熱効果を発生させることが可能となる。
【0039】
上述したように、第2の変形例に係る屋根構造1Bによれば、野地部材20Bの下板21と上板22との間にアルミシート31を設けることにより、通気が可能であり、且つ、高い遮熱性、断熱性を有することが可能な屋根構造1Bを形成することができる。
【0040】
図7は上述した実施の形態の第3の変形例に係る屋根構造1Cの野地部材20Cを示す側面図、
図8は同野地部材20Cの組合せを示す側面図である。なお、
図7、8において
図1〜
図6と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0041】
図7に示すように、野地部材20Cは、上板22と下板21とを備え、下板21下面には透湿性及び遮熱性を有するアルミシート31を有している。このため、桟木40は直接上板22へと設置される。したがって通気板42は不要となる。同様に、鼻桟41も、中空体43を用いないで直接上板22の上面に設置する。ただし、桟木40及び鼻桟41はそれぞれ通気板42及び中空体43を有し野地部材20Cに設置してもよい。
【0042】
また、野地部材20C同士を組合せる場合は、
図8に示すように、袖部23同士を隣合わせ、これらの間にアルミシート31を挟み、どちらか一方の野地部材20Cの下板21上面で重ね合わせ、その上に接合部材24を例えば釘打ち等で固定させればよい。
【0043】
このように構成された屋根構造1Cでは、アルミシート31の上面では、アルミシート31と瓦50との空間は、下板21と上板22とにより
図1中の矢印F、Gと同様に通気が可能となっている。更に、瓦50から雨水等が浸入した場合でも、アルミシート31へと雨水等が移動し、下板21とアルミシート31との間には施工時に発生する隙間があるため、この隙間から雨水等の排出が可能である。なお、雨水等の排水効率を上げるために下板21に溝を切ったり、下板21とアルミシート31との間に隙間を設けるための板材を配置してもよい。
【0044】
また、垂木10とアルミシート31とで構成された空間に篭る湿気はアルミシート31により、野地部材20Cの空間へと透過し、下板21と上板22の通気(
図1中矢印F、Gと同様)により湿気は外部へと排出される。このため、垂木周辺では湿気が篭らないため、木材が腐りにくく耐久性を得ることができる。また、アルミシート31により遮熱効果を有する。この遮熱効果により、外気温による室内温度の変化の影響を低減させることが可能となる。
【0045】
さらにまた、瓦50同士を釘打ちにより緊結する際には、本変形例のようにアルミシート31を下板21下面に設けることにより、釘等の打ち付けを行っても接合部材24と下板21とに打ち付けられるだけであり、アルミシート31に釘等が到達しない。アルミシート31はその性質上、釘等を打ち付けると、釘打付箇所から雨水等が漏洩してしまう可能性がある。そのため、アルミシート31まで釘が貫通する場合には何らかの対処を行わなければならないが、本変形例では対処が必要ないため施工コストの低減となる。
【0046】
さらに、施工時において、アルミシート31を敷設後、瓦を設置する際、太陽光等がアルミシート31を反射し、この反射光により作業性が著しく低下してしまうが、本変形例のように、アルミシート31上に格子状の野地部材20Cを設置することにより、反射光が低減され、作業性の向上が可能となる。
【0047】
上述したように、第3の変形例に係る屋根構造1Cによれば、野地部材20Cの下板21下面にアルミシート31を設けることにより、通気が可能であり、且つ、高い遮熱性、を有することが可能な屋根構造1Cを形成することができる。
【0048】
なお、透湿ルーフィング30及びアルミシート31の設置位置は、上記の位置に限られるものではなく、上板22上面、上板22と下板21との間、下板21のうちいずれか2箇所に配置されるものであればよい。
【0049】
図9は上述した実施の形態の第4の変形例に係る屋根構造1Dを示す断面図である。なお、
図9において
図1〜
図8と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、
図9中二点鎖線P及びQは通気の流れを示している。また、
図9中100は家屋、110は雨樋、120は野地部材20Aからの雨水を雨樋110に案内する水切り部材を示している。
【0050】
図9に示すように、屋根構造1Dは、垂木10と、垂木10上に渡された野地部材20Aと、野地部材20A上に配置された透湿ルーフィング(シート)30と、野地部材20A上に設けられ支持部材である複数の桟木40と、野地部材20A上であり屋根の縁近傍に設けられた鼻桟41と、桟木40及び鼻桟41に設けられ例えば釘等により固定された複数枚の瓦50とを備えている。
【0051】
垂木10の上面の下端であって、垂木10と透湿ルーフィング30の間に配置された位置に通気部材130が配置されている。通気部材130は、垂木10と上板22の下端との間に設けられ、外部と、上記野地部材20Aと瓦50との間、及び、垂木10の下方である家屋100の内部、すなわち小屋裏との換気を行う機能を有している。
【0052】
なお、通気部材130を配置するため、野地部材20Aの通気部材130に対応する位置には、下板21は配置されておらず、透湿ルーフィング30が上板22と通気部材130とに挟まれている。
【0053】
このように構成された屋根構造1Dでは、透湿ルーフィング30の上面の空間は、上板22同士の間隙を介して、二点鎖線Pに示すように通気が可能となっている。一方、透湿ルーフィング30の下面の空間は、通気部材130を介して垂木10同士の間隙を介して二点鎖線Qに示すように小屋裏への通気が可能となっている。
【0054】
これらの通気により、野地部材20A及び小屋裏の空間に湿気が篭らないため、木材等が腐りにくく耐久性を向上させることができる。
【0055】
上述したように、本実施の形態に係る屋根構造1Dによれば、上板22と下板21とで格子状に形成した野地部材20を野地板として用いることにより通気を行うことが可能となるとともに、小屋裏へも簡単な構造で通気を行うことができる。
【0056】
図10は本発明の第2の実施の形態に係る壁用下地構造2を示す斜視図である。なお、
図10において
図1と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、
図10中Hは通気の流れを示している。
【0057】
図10に示すように、壁用下地構造2は、複数の柱11と、これら柱11の側面に設けられ、例えば小幅板材で形成された複数の下板(第1板材群)21、及び下板21に直交し小幅板材で形成された上板(第2板材群)22を組合せて格子状に形成された下地部材20と、下板21と上板22との間に挟み込まれ、透湿性及び遮熱性を有するアルミシート31と、上板22側面であり、アルミシート31設置面と対向した面に設けられたラス44と、ラス44に設けられ例えばコンクリート等で形成された外装材51とを備えている。
【0058】
下地部材20は、柱11に直交する下板21及び下板21に直交する上板22により格子状に形成されている。また、下地部材20は、柱11間にそれぞれ備えてもよいが、例えば
図3に示すような下地部材20の端部に袖部23を備えた下地部材20を複数用いることにより、下地部材20を組合せて1枚の下地部材20を形成してもよい。
【0059】
このように構成された壁用下地構造2では、アルミシート31に設けられた上板22により、上板22と隣り合う上板22との間に通気路(空間)ができるため、通気が可能となる。さらに、万一雨水等が侵入したとしても、上板22と隣り合う上板22との間にできる通気路により排水することができる。
【0060】
また、遮熱性のアルミシート31を使用することにより、アルミシート31による遮熱性が向上する。この遮熱効果により、壁面において外気温による室内温度の変化の影響を低減させることが可能となる。
【0061】
さらに、アルミシート31と下板21とで構成された空間に篭る湿気はアルミシート31により、下地部材20の上板22の空間へと透過し、この上板22の通気(矢印Hのように)により湿気は外部へと排出される。このため、下地部材20周辺では湿気が篭らないため、木材が腐りにくく耐久性を得ることができる。
【0062】
上述したように、本実施の形態に係る壁用下地構造2によれば、下板21と上板22との間にアルミシート31を設けることで、下板21周辺の空間の湿気をアルミシート31により透過させ、通気を行うことが可能となり、且つ、高い遮熱性を有することが可能な壁用下地構造2を形成することができる。
【0063】
ここで、下板21側面でありアルミシート31設置面と対向した面又は上板22でありアルミシート31設置面と対向した面に、例えば透湿ルーフィング30等を設けてもよい。透湿ルーフィングを設けることにより、断熱性を有することが可能となる。
【0064】
図11は、本発明の第3の実施の形態に係る屋根構造60を示す平面図、
図12は同屋根構造を示す側面図、
図13は同屋根構造60に用いられるスレート瓦70を示す平面図である。なお、これらの図において
図1〜
図3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0065】
屋根構造60は、複数の垂木10と、これら垂木10上に渡された野地部材20と、野地部材20上に所定の間隔で配置されたスレート瓦70とを備えている。スレート瓦70は、左右方向には重ならないように並べられ、また、下側のスレート瓦70の上半分に上側のスレート瓦70が載るように配置され、かつ、その位置が幅方向の半分だけずれるように千鳥状に配置されている。
【0066】
本実施の形態に係る野地部材20では、幅60mmの上板22が7枚、下板21が6枚組み合せられている。また、上板22の間隔は、一方側から他方側にかけて60mm、95mm、90mm、90mm、95mm、60mmに設定されている。
【0067】
スレート瓦70の瓦本体71は、
図13に示すような幅910mm、高さ332mmの一般的なものであるが、瓦本体71に設けられた釘孔72が上板22の間隔に合致するように配置されている。すなわち、幅方向一方側の端面から150mm、155mm及び他方側の端面から150mm、155mmの合計4箇所に設定されている。
【0068】
この釘孔72に釘(不図示)を通すことにより、上板22にスレート瓦70が固定される。
【0069】
このように構成された屋根構造60では、上板22の位置に合せてスレート瓦70の釘孔72が設けられているため、スレート瓦70を確実に野地部材20に取り付けることができる。このため、スレート瓦70を用いた場合でも、釘孔72からの雨水等の浸入を防ぎつつ、屋根構造自体の軽量化を図ることができる。
【0070】
また、野地部材20が上板22と下板21とで格子状に形成されているため、簡単な構造で、家屋の十分な通気効率のよい屋根構造60を形成することができる。すなわち、合板を野地板として用いた場合よりも透湿抵抗を大幅に低減することができるとともに、瓦の放射熱を蓄熱させず、放出することが可能となる。
【0071】
図14は、本発明の第4の実施の形態に係る屋根構造80を示す平面図、
図15は同屋根構造80を示す側面図である。なお、これらの図において
図11及び
図12と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、図中の数値は寸法(単位mm)である。
【0072】
屋根構造80は、複数の垂木10と、これら垂木10上に渡された野地部材90と、野地部材90上に所定の間隔で配置されたスレート瓦70とを備えている。スレート瓦70は、左右方向には重ならないように並べられ、また、下側のスレート瓦70の上半分に上側のスレート瓦70が載るように配置され、かつ、その位置が幅方向の半分だけずれるように千鳥状に配置されている。
【0073】
本実施の形態に係る野地部材90は、野地パネル91と、この野地パネル91上に設けられるとともに、幅60mmの小幅板材で形成され、垂木10と平行に配置された上板(上段側板材群)92とを組合せて形成されている。上板92の間隔は、一定間隔に設定されている。
【0074】
スレート瓦70の瓦本体71には、釘孔72が上板92の間隔に合致するように配置されている。すなわち、幅方向一方側の端面から150mm、155mm及び他方側の端面から150mm、155mmの合計4箇所に設定されている。
【0075】
この釘孔72に釘(不図示)を通すことにより、上板92にスレート瓦70が固定される。
【0076】
このように構成された屋根構造80では、上板92の位置に合せてスレート瓦70の釘孔72が設けられているため、スレート瓦70を確実に野地部材20に取り付けることができる。このため、スレート瓦70を用いた場合でも、釘孔72からの雨水等の浸入を防ぐことができる。
【0077】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、透湿ルーフィングを用いるよう説明したが、これを透湿性及び遮熱性を有するアルミシートを用いても適用できる。これにより高い遮熱性を有することが可能となる。また、アルミシート31を下板21と上板22との間に設ける場合には、施工時において、アルミシート31を敷設後、瓦を設置する際、太陽光等がアルミシート31を反射し、この反射光により作業性が著しく低下してしまうが、本変形例のように、アルミシート31上に格子状の野地部材20Cを設置することにより、反射光が低減され、作業性の向上が可能となる。ただし、上述にもあるように、アルミシートは施工時に、釘等により雨水等が漏洩してしまうため防水性を保持しないため、釘打ち箇所に例えばゴムシートや樹脂シート等を敷くことで雨水等の漏洩を防止(すなわち防水性を有する)するための施工を行えばよい。
【0078】
また、野地部材の結合に接合部材を使用すると説明したが、接合部材を野地部材に設けておいても適用でき、または、野地部材を隣り合わせるだけでも、野地部材を固定し、防水性をきちんと有することで適用できる。これらの他にも、下地部材(野地部材)に用いる下板及び上板の交差の角度は直交(90度)でなくても適用できる。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]垂木と、この垂木の上面に設けられ、間隔をもって互いに平行に配置された板材を有する上段側板材群と、間隔をもって互いに平行に配置された板材を有する下段側板材群とを重ねることにより格子状に形成された野地部材と、この野地部材に積層されたシートと、上記野地部材の上側に設けられ屋根材とを備えていることを特徴とする屋根構造。
[2]上記シートは、上記野地部材の上記上段側板材群の上面に設けられていることを特徴とする[1]に記載の屋根構造。
[3]上記シートは、上記野地部材の上記上段側板材群と上記下段側板材群との間に設けられていることを特徴とする[1]に記載の屋根構造。
[4]上記シートは、上記野地部材の上記下段側板材群の下面に設けられていることを特徴とする[1]に記載の屋根構造。
[5]上記シートは、少なくとも透湿性、遮熱性及び防水性のいずれか1つを有する材料で形成されていることを特徴とする[1]に記載の屋根構造。
[6]上記シートは、上記野地板部材の上記上段側板部材群上面、上記上段側板部材群と上記下段側板部材群との間、上記下段側板部材群下面のうちいずれか2箇所に配置された第1シート及び第2シートとを備えていることを特徴とする[1]に記載の屋根構造。
[7]上記第1シートは遮熱性と、透湿性又は防水性を有する材料により形成され、
上記第2シートは遮熱性又は透湿性を有する材料により形成されていることを特徴とする[6]に記載の屋根構造。
[8]上記下段側板材群の各板材は、上記垂木と直交する向きに設けられていることを特徴とする[1]に記載の屋根構造。
[9]上記野地部材は複数用いられ、相隣接する野地部材同士を組み合せて配置されるとともに、上記シートの端部は、上段側板材群及び下段側板材群の少なくとも一方の端部を超えて位置し、相隣接する野地部材同士の高さ位置が異なる場合に、上側にある野地部材のシートが上、下側にある野地部材のシートが下として重なり合わされていることを特徴とする[1]に記載の屋根構造。
[10]垂木と、この垂木の上面に設けられ、上記垂木と平行に、かつ、間隔をもって互いに平行に配置された板材を有する上段側板材群と、上記垂木と直交する向きに、かつ、間隔をもって互いに平行に配置された板材を有する下段側板材群とを重ねることにより格子状に形成された野地部材と、上記下段側板材群の下面に積層されたシートと、上記野地部材の上側に設けられた屋根材と、上記垂木の上面の下端であって、上記垂木と上記シートの間に配置され、外部と、上記野地部材と上記屋根材との間、及び、上記垂木の下方との換気を通流する通気部材とを備えていることを特徴とする屋根構造。
[11]上記野地部材の上記通気部材に対応する位置には、上記下段側板材群の板材が配置されていないことを特徴とする[10]に記載の屋根構造。
[12]柱と、この柱間に設けられ、間隔をもって互いに平行に配置された板材を有する第1板材群と、互いに一定間隔で平行に配置された第2板材群とを交差することで形成された下地部材と、上記下地部材の第1板材群と第2板材群との間に設けられたシートとを備えることを特徴とする壁用下地構造。
[13]上記シートは少なくとも透湿性及び防水性を有する材料により形成されていることを特徴とする[12]に記載の壁用下地構造。
[14]上記シートは、遮熱性を有する材料により形成されていることを特徴とする[13]に記載の壁用下地構造。
[15]垂木と、この垂木の上面に設けられ、間隔をもって互いに平行に配置された板材を有する上段側板材群と、間隔をもって互いに平行に配置された板材を有する下段側板材群とを重ねることにより格子状に形成された野地部材と、この野地部材に積層される板状の屋根材とを備え、上記屋根材には、上記上段側板材群の各板材の間隔に合致した複数の釘孔が設けられていることを特徴とする屋根構造。
[16]垂木と、この垂木の上面に設けられ、間隔をもって互いに平行に配置された板材を有する上段側板材群と、板状の野地パネルとを重ねることにより格子状に形成された野地部材と、この野地部材に積層される板状の屋根材とを備え、上記屋根材には、上記上段側板材群の各板材の間隔に合致した複数の釘孔が設けられていることを特徴とする屋根構造。