(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、無線通信装置として、基地局を介して通信する公衆モードの他に、装置同士で直接通信するトランシーバモードを備えるPHS通信機を用いる。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るPHS通信機(無線通信装置)1の機能ブロック図である。図示されるように、第1の実施形態に係るPHS通信機1は、通信状態監視部4と、電界強度テーブル5と、状態通知部6と、中継ルート情報作成部7と、PHSトランシーバ送受信部8とを備える。
【0017】
通信状態監視部4は、自装置以外のPHS通信機1により発信された呼出しの電界強度と発信元のPHS通信機1の呼出し番号とをPHSトランシーバ送受信部8から受け取って電界強度テーブル5に記憶する。
【0018】
また、通信状態監視部4は、自装置以外のPHS通信機1同士の通信における呼出しの発呼失敗を検知すると、呼出しを失敗したPHS通信機1によるリトライの呼出しが示す呼出し先について、後述する電界強度テーブル5を参照し、該当する情報(呼出し番号)が登録されている場合には、呼出し元と呼出し先のPHS通信機1の呼出し番号を状態通知部6に通知する。
【0019】
電界強度テーブル5は、通信状態監視部4により取得された、PHS通信機1の呼出し番号と電界強度とが格納されるテーブルである。電界強度テーブル5は、例えば
図2に示すように、複数台分の情報を記憶する。電界強度テーブル5の登録データは例えば所定時間毎にクリアされるようにしてもよい。
【0020】
状態通知部6は、通信状態監視部4から受け取った、呼出し元と呼出し先のPHS通信機1の呼出し番号に、自局の呼出し番号を中継先呼出し番号として加えた中継ルートデータを中継ルート情報作成部7に通知する。中継ルートデータの一例を
図3に示す。
【0021】
中継ルート情報作成部7は、PHS通信機1間で予め定められたメッセージフォーマットに従って、中継ルートデータを含むメッセージデータに、メッセージ識別子表から取得した当該メッセージの種別(この場合、「ルート情報識別子」)を示すデータを付与した中継ルートテーブルを生成する。そして、中継ルート情報作成部7は、生成した中継ルートテーブルをPHSトランシーバ送受信部8に渡す。メッセージフォーマットを
図4に、メッセージ識別子表を
図5に、中継ルートテーブルを
図6に、それぞれ例示する。
【0022】
PHSトランシーバ送受信部8は、アンテナを介してトランシーバ呼出しを受信すると、その呼出しが自装置以外のPHS通信機宛の場合、受信電波の電界強度を測定し、測定した電界強度を、トランシーバ呼出しに含まれる発信元のPHS通信機1の呼出し番号とともに通信状態監視部4に通知する。また、受信したトランシーバ呼出しが自装置宛の場合には、通常のトランシーバ着信処理を行う。
【0023】
また、PHSトランシーバ送受信部8は、中継ルート情報作成部7から中継ルートテーブルを受け取ると、テーブル内に設定されている呼出し元呼出し番号宛にその中継ルートテーブルを送信する。
【0024】
また、PHSトランシーバ送受信部8は、アンテナを介してメッセージを受信すると、そのメッセージに付与されているメッセージの種別を参照する。参照したメッセージの種別が「ルート情報識別子」の場合、メッセージ送信元のPHS通信機1を中継して、先に着信失敗した相手先と通信するため、中継ルートテーブルと送信データとを含むメッセージデータに、メッセージ識別子表から取得した当該メッセージの種別(この場合「中継識別子」)を付与した送信中継データを生成する。そして、メッセージデータの中継ルートテーブル内に設定されている中継先呼出し番号宛に送信する。送信中継データを
図7に例示する。
【0025】
また、PHSトランシーバ送受信部8は、アンテナを介して受信したメッセージに付与されているメッセージの種別が「中継識別子」の場合、受信したメッセージデータ内の中継ルートテーブルを参照する。参照した中継ルートテーブルにおいて、自装置の呼出し番号が中継先呼出し番号に設定されている場合には、受信したデータ(送信中継データ)を、中継ルートテーブルに設定されている呼出し先呼出し番号宛に送信する。また、参照した中継ルートテーブルにおいて、自装置の呼出し番号が呼出し先呼出し番号に設定されている場合には、自装置宛の送信データであると認識し、通常のトランシーバ着信処理を行う。
【0026】
次に、本実施形態に係るPHS通信機1が中継ルートテーブルを送信する処理について
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0027】
PHS通信機1のPHSトランシーバ送受信部8は、待ち受け状態の間、他のPHS通信機1が発信した自装置以外のPHS通信機1宛の呼出しを受信すると(ステップS1:YES)、受信電波の電界強度と呼出し元の呼出し番号とを取得して、通信状態監視部4に通知する。通信状態監視部4は、PHSトランシーバ送受信部8から通知された、電界強度と呼出し元の呼出し番号とを電界強度テーブル5に記憶する(ステップS2)。このとき、既に、呼出し番号が登録されている場合には、電界強度の値を新たな値で更新する。
【0028】
また、PHS通信機1の通信状態監視部4は、この呼出しについて、発呼が失敗したかを判定する(ステップS3)。発呼が失敗したかどうかの判定方法は任意である。例えば、受信した呼出しについて電界強度と呼出し元の呼出し番号とを取得すると、電界強度テーブル5に情報を記憶するとともに、呼出しについてカウントする。そして、カウント値が所定値(例えば、4回)に達した呼出しを検知すると、その呼出しについて発呼が失敗したと判断してもよい。呼出しのカウント方法としては、例えば、呼出し元呼出し番号と呼出し先呼出し番号が同じ呼出しについて、最初のカウント時から所定時間内だけカウントし、所定時間が経過したらカウント値をクリアするようにしてもよい。
【0029】
ステップS3において、発呼が失敗していないと判定された場合(ステップS3:NO)、フローはステップS1に戻る。また、発呼が失敗したと判定された場合(ステップS3:YES)、通信状態監視部4は、その失敗した呼出しの宛先呼出し番号が電界強度テーブル5に登録されているか検索する(ステップS4)。
【0030】
電界強度テーブル5を検索した結果、失敗した呼出しの呼出し先呼出し番号が登録されていた場合(ステップS4:YES)、通信状態監視部4は、失敗した呼出しの呼出し元と呼出し先の呼出し番号を状態通知部6に通知する。状態通知部6は、通知された呼出し元と呼出し先の呼出し番号に、自装置の呼出し番号を中継先呼出し番号として加えた中継ルートデータを生成し、中継ルート情報作成部7に渡す。中継ルート情報作成部7は、通知された中継ルートデータを含むメッセージデータにメッセージの種別を付与した中継ルートテーブルを生成する(ステップS5)。
【0031】
そして、中継ルート情報作成部7は、生成した中継ルートテーブルをPHSトランシーバ送受信部8を介して、中継ルートに設定されている呼出し元呼出し番号宛に送信する(ステップS6)。
【0032】
また、ステップS4において、電界強度テーブル5に該当する呼出し番号が登録されていない場合(ステップS4:NO)、そのまま処理を終了する。
【0033】
このようにして、PHS通信機1は、受信電波に基づいて電界強度テーブル5(
図2参照)を保持する。また、自装置以外のPHS通信機同士の通信においてPHS通信機1による呼出しの発呼失敗を検知した場合に、自装置がその呼出しの相手先と通信できる場合には自装置がデータ通信を中継できることを、呼出し元のPHS通信機1に通知する。
【0034】
次に、本実施形態に係るPHS通信機1の動作について、PHS通信機1Cが、PHS通信機1AによるPHS通信機1B宛の送信データを中継する場合を例に
図9を参照して説明する。
【0035】
まず、PHS通信機1AがPHS通信機1B宛の呼出しを発信する。PHS通信機1BがPHS通信機1Aの呼出しを感知できる電界強度レベルのエリアにいた場合、この呼出しは成功するが、ここではPHS通信機1BがPHS通信機1Aの呼出しを感知できる電界強度になく、呼出しが失敗したこととする。この場合、PHS通信機1Aは、予め定められた時間間隔(例えば5秒間隔)でリトライ(再呼出し)を行う。
【0036】
一方、待ち受け状態にあって、PHS通信機1Aの呼出しを感知できる電界強度レベルのエリアにいたPHS通信機1Cは、PHS通信機1Aの呼出しについて、その電界強度と呼出し元である呼出し番号とを取得し、取得した情報を電界強度テーブル5に記憶するとともに、呼出しをカウントする。
【0037】
そして、PHS通信機1Cは、PHS通信機1AによるPHS通信機1B宛の呼出しのカウント値が所定値(例えば、4回)に達した呼出しを検知すると、発呼が失敗したと判断する。
【0038】
PHS通信機1Cは、発呼失敗と判断した呼出しにおける呼出し先呼出し番号について、電界強度テーブル5を検索する。この例では、PHS通信機1Cの電界強度テーブル5にPHS通信機1Bの呼出し番号が登録されていたこととする。
【0039】
PHS通信機1Cは、電界強度テーブル5において、PHS通信機1Bの呼出し番号を検出すると、失敗した呼出しの呼出し元であるPHS通信機1Aの呼出し番号と呼出し先であるPHS通信機1Bの呼出し番号に、PHS通信機1Cの呼出し番号を中継先呼出し番号として加えた中継ルートデータを生成する。そして、予め定められたメッセージフォーマットに従って、この中継ルートデータを含むメッセージデータに、メッセージの種別(ルート情報識別子)を付与した中継ルートテーブルを生成し、中継ルートデータに設定された呼出し元(PHS通信機1A)の呼出し番号宛に送信する。
【0040】
PHS通信機1Aは、PHS通信機1Cからのメッセージ(中継ルートテーブル)を受信する。PHS通信機1Aは、受信したメッセージに付与されているメッセージの種別がルート情報識別子であることから、当該メッセージが中継ルートを示す情報であることを認識する。そして、PHS通信機1Aは、メッセージ送信元のPHS通信機1Cを中継してPHS通信機1Bと通信するため、中継ルートテーブルと送信データとを含むメッセージデータにメッセージの種別(中継識別子)を付与した送信中継データを生成し、PHS通信機1Cに送信する。
【0041】
PHS通信機1Cは、PHS通信機1Aからのメッセージ(送信中継データ)を受信する。PHS通信機1Cは、受信したメッセージに付与されているメッセージの種別が中継識別子であることから、当該メッセージが中継対象のデータを含むことを認識し、中継ルートテーブルを参照する。この例では、中継ルートテーブルに自装置(PHS通信機1C)の呼出し番号が中継先呼出し番号として設定されているため、送信中継データを、中継ルートテーブルの呼出し先(PHS通信機1B)の呼出し番号宛に送信する。
【0042】
PHS通信機1Bは、PHS通信機1Cからのメッセージ(送信中継データ)を受信する。PHS通信機1Bは、受信したメッセージに付与されているメッセージの種別がルート情報識別子であることから、中継ルートテーブルを参照する。そして、中継ルートテーブルに自装置の呼出し番号が呼出し先呼出し番号として設定されているため、自装置宛の送信データであると認識し、通常のトランシーバ着信処理を行う。
【0043】
以上のように、本実施の形態によれば、あるPHS通信機1が、相手のPHS通信機1と通信可能な電界強度を得られない位置にあった場合でも、発呼失敗を感知した別のPHS通信機1が、発信元のPHS通信機1に対して通信の中継ルートを教えることにより、発信元のPHS通信機1は、相手とデータ通信することができる。また、通信を中継する装置を予め特定せずに、発呼失敗を検出したときに、呼出し先と通信できるPHS通信機1が通信を中継するため、変化する通信環境に柔軟に対応し、より確実に通信を中継することできる。
【0044】
(本発明の他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本発明の他の実施形態に係るPHS通信機1(無線通信装置)は、発呼が失敗した場合、通信を中継できる他のPHS通信機1を自ら探すものである。以下、本発明の他の実施形態について、上述した本発明の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0045】
通信状態監視部4は、自装置が発信した呼出しの失敗を認識すると、電界強度テーブル5に登録されている他のPHS通信機1の呼出し番号を取得し、失敗した呼出しの呼出し先呼出し番号とともに状態通知部6に通知する。
【0046】
状態通知部6は、通信状態監視部4から受け取った、失敗した呼出しの宛先呼出し番号を含むメッセージデータに、メッセージ識別子表(
図5参照)から取得した当該メッセージの種別(この場合、「中継ルート確認識別子」)を示すデータを付与した中継ルート確認データを生成する。そして、電界強度テーブル5から取得したPHS通信機1の呼出し番号宛に、PHSトランシーバ送受信部8を介して送信する。中継ルート確認データの一例を
図10に示す。
【0047】
PHSトランシーバ送受信部8は、アンテナを介して受信したメッセージに付与されているメッセージの種別が「中継ルート確認識別子」の場合、メッセージに含まれる呼出し先呼出し番号について通信状態監視部4に通知する。
【0048】
通信状態監視部4は、PHSトランシーバ送受信部8から受け取った呼出し先呼出し番号について電界強度テーブル5を参照し、該当する情報が登録されている場合には、メッセージの発信元の呼出し番号と、メッセージに含まれる呼出し先呼出し番号とを状態通知部6に通知する。
【0049】
状態通知部6は、通信状態監視部4から受け取った、メッセージの発信元の呼出し番号と、呼出し先呼出し番号とに、自装置の呼出し番号を中継先呼出し番号として加えた中継ルートデータを中継ルート情報作成部7に通知する。
【0050】
中継ルート情報作成部7は、状態通知部6から受け取った中継ルートデータを含むメッセージデータに対して、メッセージ識別子表から取得した当該メッセージの種別(この場合、「ルート情報識別子」)を示すデータを付与した中継ルートテーブルを生成する。そして、テーブル内に設定されている発信元の呼出し番号宛にPHSトランシーバ送受信部8を介して送信する。
【0051】
次に、本実施形態に係るPHS通信機1の動作について、PHS通信機1Cが、PHS通信機1AによるPHS通信機1B宛の送信データを中継する場合を例に
図11を参照して説明する。
【0052】
まず、PHS通信機1AがPHS通信機1B宛の呼出しを発信する。ここでは、PHS通信機1Bが呼出しを感知できず、呼出しが失敗したこととする。この場合、PHS通信機1Aは、予め定められた間隔(例えば5秒間隔)でリトライ(再呼出し)を行う。PHS通信機1Aは、リトライ回数が所定値(例えば、3回)に達した場合、発呼が失敗したと認識する。
【0053】
PHS通信機1Aは、発呼が失敗したと認識した場合、電界強度テーブル5に登録されているPHS通信機1のうち、失敗した呼出し先以外のPHS通信機1(例えば、PHS通信機1C)の呼出し番号を取得する。そして、PHS通信機1Aは、失敗した呼出しの呼出し先呼出し番号(PHS通信機1Bの呼出し番号)を含むメッセージデータに、メッセージの種別「中継ルート確認識別子」を付与した中継ルート確認データを生成し、PHS通信機1C宛に送信する。
【0054】
PHS通信機1Cは、メッセージ種別「中継ルート確認識別子」が付与されたメッセージを受信すると、そのメッセージが示す呼出し先呼出し番号について、電界強度テーブル5を検索する。この例では、PHS通信機1Cの電界強度テーブル5にPHS通信機1Bの呼出し番号が登録されていたこととする。
【0055】
PHS通信機1Cは、電界強度テーブル5において、PHS通信機1Bの呼出し番号を検出すると、メッセージの発信元であるPHS通信機1Aの呼出し番号と呼出し先であるPHS通信機1Bの呼出し番号に、自装置(PHS通信機1C)の呼出し番号を中継先呼出し番号として加えた中継ルートデータを生成する。そして、この中継ルートデータを含むメッセージデータにメッセージの種別(ルート情報識別子)を付与した中継ルートテーブルを生成し、中継ルートデータに設定された発信元(PHS通信機1A)の呼出し番号宛に送信する。
【0056】
PHS通信機1Aは、PHS通信機1Cから受信したメッセージに付与されているメッセージの種別がルート情報識別子であることから、当該メッセージが中継ルートを示す情報であることを認識する。そして、メッセージ送信元のPHS通信機1Cを中継してPHS通信機1Bと通信するため、中継ルートテーブルと送信データとを含むメッセージデータにメッセージの種別(中継識別子)を付与した送信中継データを生成し、PHS通信機1Cに送信する。
【0057】
PHS通信機1Cは、PHS通信機1Aから受信したメッセージに付与されているメッセージの種別が中継識別子であることから、当該メッセージが中継対象のデータを含むことを認識し、中継ルートテーブルを参照する。この例では、中継ルートテーブルに自装置(PHS通信機1C)の呼出し番号が中継先呼出し番号として設定されているため、送信中継データを、中継ルートテーブルの呼出し先呼出し番号宛(PHS通信機1B宛)に送信する。
【0058】
PHS通信機1Bは、PHS通信機1Cからのメッセージ(送信中継データ)を受信する。PHS通信機1Bは、受信したメッセージに付与されているメッセージの種別がルート情報識別子であることから、中継ルートテーブルを参照する。そして、中継ルートテーブルに自装置の呼出し番号が呼出し先呼出し番号として設定されているため、自装置宛の送信データであると認識し、通常のトランシーバ着信処理を行う。
【0059】
以上のように、本発明の他の実施の形態によれば、呼出しに失敗したPHS通信機1が、通信相手との通信を中継できるPHS通信機1を自ら探して相手先とのデータ通信を可能にする。
【0060】
以上、好ましい実施の形態をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形し実施することが出来る。
【0061】
呼出し失敗の判定においては、リトライ回数をカウントし、カウント値が所定値に達したときに失敗と判断してもよく、また、呼出しした回数をカウントし、カウント値が所定値に達したときに失敗と判断してもよい。
【0062】
また、PHS通信機1が他のPHS通信機1の発呼失敗を検知したとき、その呼出しの宛先が電界強度テーブル5に登録されている場合に、通信を中継するための処理(中継ルートテーブル生成等)を行うが、これに限定されず、例えば、該当する呼出し番号が電界強度テーブル5に登録されており、かつ、登録されている電界強度が所定値以上の場合に、通信を中継するための処理(中継ルートテーブル生成等)を行うようにしてもよい。
【0063】
また、1つのPHS通信機1の発呼失敗を複数のPHS通信機1が検知した場合には、複数のPHS通信機1の各々が中継ルートテーブルを、発呼を失敗したPHS通信機1に送信する。この場合、発呼を失敗したPHS通信機1は、最初に受信した中継ルートテーブルに基づいて通信するようにしてもよい。また、発呼失敗を検知したPHS通信機1は、中継ルートテーブルに電界強度の情報を付与して、発呼を失敗したPHS通信機1に送信するようにしてもよい。この場合、発呼を失敗したPHS通信機は、複数のPHS通信機1から中継ルートテーブルを受信した場合、受信した複数の中継ルートテーブルに付与されている電界強度の値を比較して、電界強度が最も大きい中継ルートテーブルを選択し、その中継ルートテーブルに基づいて通信を行うようにしてもよい。
【0064】
また、いずれかのPHS通信機1による呼出しの失敗を検知すると、その通信を中継できるPHS通信機1を探して中継ルートテーブルを生成し、呼出しを失敗したPHS通信機1にその中継ルートテーブルを通知する機能を有する管理装置を用いてもよい。
【0065】
この場合、管理装置は、PHS通信機1同士の通信を監視して、いずれかのPHS通信機1による呼出しの失敗を検知すると、失敗した呼出しの呼出し先との通信を中継できるPHS通信機1を探す。中継用のPHS通信機1を探す方法は任意である。例えば、失敗した呼出しの呼出し元呼出し番号と呼出し先呼出し番号を含む確認情報を各PHS通信機1に対して発信する。確認情報を受信したPHS通信機1のうち、確認情報が示す呼出し番号のPHS通信機双方と通信できる電界強度にあるPHS通信機1が、呼出し先との通信を中継できる旨の応答情報を管理装置に送信してもよい。そして、管理装置は、応答情報を受信すると、その発信元を中継装置とした中継ルートテーブルを生成し、呼出しを失敗したPHS通信機1に送信する。この場合においても、応答情報に電界強度の情報を付与するようにしてもよい。そして、管理装置が複数のPHS通信機1から応答情報を受信した場合、電界強度の最も大きい応答情報の発信元を中継装置と決定するようにしてもよい。管理装置からの中継ルートテーブルを受信したPHS通信機1は、その中継ルートテーブルが示すルートで通信を行う。
【0066】
また、呼出し先との通信を中継するPHS通信機に複数の装置を用いるようにしてもよい。中継用の複数のPHS通信機1を探す方法は任意である。例えば、失敗した呼出しの呼出し元呼出し番号含む確認情報と、失敗した呼出しの呼出し先呼出し番号含む確認情報とを各PHS通信機1に対して発信してもよい。確認情報を受信したPHS通信機1のうち、受信した確認情報が示す呼出し番号と通信できる電界強度にあるPHS通信機1が、呼出し元及び/又は呼出し先の呼出し番号のPHS通信機1と通信できる旨の応答情報を自装置の呼出し番号とともに管理装置に送信する。管理装置は、受信した応答情報に基づいて、呼出し元と呼出し先の双方と通信できるPHS通信機1を探し、双方と通信できるPHS通信機1がある場合には、そのPHS通信機1を中継装置とし、また、双方と通信できるPHS通信機1がない場合には、呼出し先と通信できるPHS通信機1のうち、呼出し元と通信できるPHS通信機1と通信できる装置を探す。具体的には、呼出し先と通信できるPHS通信機1に対して、呼出し元と通信できるPHS通信機1の呼出し番号一覧を送信する。
【0067】
呼出し番号一覧を受信したPHS通信機1は、一覧が示すいずれかのPHS通信機1と通信できるか電界強度テーブルを参照して判断し、一覧のいずれかのPHS通信機1と通信できる場合には、通信できるPHS通信機1の呼出し番号と、自装置の呼出し番号とを管理装置に通知する。管理装置は、受信した通知に基づいて、「呼出し元→呼出し元と通信できるPHS通信機→通知の発信元のPHS通信機→呼出し先」という中継ルートに対応する中継ルートテーブルを生成し、呼出し元のPHS通信機1に送信する。管理装置からの中継ルートテーブルを受信したPHS通信機1は、その中継ルートテーブルが示すルートで通信を行う。
なお、呼出し元と通信できるPHS通信機1のうち、呼出し先と通信できるPHS通信機1と通信できる装置を探すようにしてもよい。
【0068】
上述した本発明の実施形態に係るPHS通信機1を構成する通信状態監視部4と、電界強度テーブル5と、状態通知部6と、中継ルート情報作成部7と、PHSトランシーバ送受信部8の一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)がメモリに格納された動作プログラム等を読み出して実行することにより実現されてもよく、また、ハードウェアで構成されてもよい。上述した実施の形態の一部の機能のみをコンピュータプログラムにより実現することもできる。