特許第5669225号(P5669225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5669225中間体の揺動バーによってデッドロックが確実に行われるようにした、自動車のステアリングコラム用の盗難防止装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669225
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】中間体の揺動バーによってデッドロックが確実に行われるようにした、自動車のステアリングコラム用の盗難防止装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/023 20130101AFI20150122BHJP
【FI】
   B60R25/023
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-535747(P2012-535747)
(86)(22)【出願日】2010年10月20日
(65)【公表番号】特表2013-510029(P2013-510029A)
(43)【公表日】2013年3月21日
(86)【国際出願番号】EP2010065821
(87)【国際公開番号】WO2011054673
(87)【国際公開日】20110512
【審査請求日】2013年10月11日
(31)【優先権主張番号】0905363
(32)【優先日】2009年11月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506415218
【氏名又は名称】ヴァレオ セキュリテ アビタクル
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100086726
【弁理士】
【氏名又は名称】森 浩之
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック マレタヴェルヌ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ペラン
【審査官】 木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−044297(JP,A)
【文献】 特開平04−358948(JP,A)
【文献】 特開平07−032973(JP,A)
【文献】 特開平07−009944(JP,A)
【文献】 特開2006−044394(JP,A)
【文献】 特開2002−054334(JP,A)
【文献】 特開2004−114730(JP,A)
【文献】 特開2007−038905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 自動車のステアリングコラムをロックするための舌片(8)と、前記舌片を適切な位置にロックするように制御することができる可動部材(22)とを有しているロッキング部分(6)と、
− 施錠機構を有しているアクセス部分とを備えている、自動車のステアリングコラム用の盗難防止装置であって、
前記可動部材(22)の変位運動を、デッドロック用素子(26)の開放運動に変換するための揺動バー(27)を備え
前記デッドロック用素子(26)は、前記ステアリングコラムに関して、前記施錠機構が位置している側と反対の側に位置していることを特徴とする盗難防止装置。
【請求項2】
前記揺動バー(27)は、前記可動部材(22)の変位方向に対して横方向であって、かつ前記デッドロック用素子の変位方向に対して横方向である方向に延在していることを特徴とする、請求項1に記載の盗難防止装置。
【請求項3】
前記盗難防止装置は、前記施錠機構の回転運動を、前記舌片(8)の変位を開始させる運動に変換するための、側面にノッチ(31)を有しているシャフト(30)を備えており、前記揺動バーは、前記揺動バーがデッドロックを開始する位置にロックされるときに、前記ノッチ内に回動していくように配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の盗難防止装置。
【請求項4】
前記施錠機構の回転運動を、前記舌片(8)の変位を開始させる運動に変換するためのシャフトのノッチは、前記シャフトまたは前記施錠機構が、前記ステアリングコラムのロッキングを引き起こす位置にあるときしか、前記揺動バー(27)が前記ノッチ(31)内に入り込むことができないように配置されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
【請求項5】
前記施錠機構の回転運動を、前記舌片(8)の変位を開始させる運動に変換するためのシャフトは、前記舌片および前記デッドロック用素子が、前記シャフト(30)と前記ステアリングコラムとの間に位置するように配置されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
【請求項6】
前記デッドロック用素子は、スライドピン(26)であること、および前記揺動バー(27)は、前記スライドピンと側面結合することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
【請求項7】
前記スライドピンは、そのスライド方向に対して傾斜している斜面を有しており、前記斜面は、前記揺動バー(27)に接することを特徴とする、請求項に記載の盗難防止装置。
【請求項8】
前記可動部材(22)はスライドロッドであリ、前記デッドロック用素子はスライドピンであリ、前記スライドロッドのスライド方向と前記スライドピンのスライド方向とは互いに平行であり、前記揺動バー(27)は、前記スライドロッドおよび前記スライドピンに対して横方向に延在しており、かつ側面において、前記スライドロッドおよび前記スライドピンに、それぞれ1つずつ対向する2つのアームを有していることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載の盗難防止装置(2)を備えていることを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のステアリングコラム用の盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、自動車のイグニションキーを差し込む施錠機構を備えている盗難防止装置は、ステアリングコラムが不当に操作されたときに、特に、その自動車のイグニションキーが施錠機構に差し込まれていないときに、ステアリングコラムの動きをロックする機能を有している。
【0003】
さらに、この盗難防止装置は、犯罪者が、盗難防止装置の、施錠機構が嵌め込まれている部分を破壊したとしても、ステアリングコラムのロッキングを維持することを目的としているデッドロック機能を備えていることが多い。
【0004】
さらに、このような盗難防止装置は、運転者の膝による、あらかじめ定められた大きさの衝撃の作用によって盗難防止装置が破損し、運転者の膝をひどく負傷させないように、運転者の膝からの衝撃に関する現行の規格および規則を満たさなければならない。このような要件を満たすために、盗難防止装置には、一般に、低応力の作用によって破損することができる、分解可能なゾーンが設けられている。このような条件において、犯罪者が同様の応力を加えた場合に、デッドロック機能が損なわれることなく、破損させるようになっている手段が望まれている。
【0005】
このような盗難防止装置において、高い信頼度でデッドロックを確実に始動させることができ、かつデッドロック機能のために必要な各素子を、サイズの面から有利な配置とすることが望まれている。
【0006】
実際には、このデッドロック機能は、可動ロッドが、ばねによって、盗難防止装置の、施錠機構が嵌め込まれている部分に作用を及ぼすことにより、または可動ロッドが、施錠機構が嵌め込まれている部分に直接的に結合することにより始動する。
【0007】
この可動ロッドは、施錠機構の近傍のゾーンから、デッドロック用ピンの近傍のゾーンまで延在していなければならず、この点を考慮した、可動ロッドとデッドロック用ピンとの連動に対する改良が必要であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第WO08/074726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、特に、デッドロック用ピンが、ステアリングコラムに関して、施錠機構の位置している側と反対の側に配置されているときに、デッドロック用ピンの位置に関係なく、デッドロック機能の始動を容易にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明によると、自動車のステアリングコラム用の、次のものを備えている盗難防止装置が提供される。
− ステアリングコラムをロックするための舌片と、この舌片を適切な位置にロックするように制御することができる可動部材とを有しているロッキング部分と、
− 施錠機構を有しているアクセス部分。
この盗難防止装置は、可動部材の変位運動を、デッドロック用素子の開放運動に変換するための回動可能な揺動バーを備えている。
【0011】
したがって、本発明による盗難防止装置は、デッドロック用素子、例えばデッドロック用のピンを、施錠機構から十分離れたゾーンに配置し、したがって、外部からの攻撃から十分に保護することができる。
【0012】
この揺動バーは、制御ロッドである可動部材、およびデッドロック用のピンが、種々の空間的構造、特に次の空間的構造をとることを可能にする。
− デッドロック用のピンは、ステアリングコラムに関して、施錠機構が位置している側と反対の側に位置している。
− 揺動バーは、可動部材の変位方向に対して横方向であって、かつデッドロック用のピンの変位方向に対して横方向である方向に延在している。
【0013】
本発明による盗難防止装置は、さらに、次の特徴のうちの少なくとも1つを有している場合がある。
− 盗難防止装置は、施錠機構の回転運動を、舌片の変位を開始させる運動に変換するための、側面にノッチを有しているシャフトを備えており、揺動バーは、揺動バーがデッドロックを開始する位置にロックされるときに、ノッチ内に回動していくように配置されている。
− 施錠機構の回転運動を、舌片の変位を開始させる運動に変換するためのシャフトのノッチは、シャフトまたは施錠機構が、ステアリングコラムのロッキングを引き起こす位置にあるときしか、揺動バーがノッチ内に入り込むことができないように配置されている。
− 施錠機構の回転運動を、舌片の変位を開始させる運動に変換するためのシャフトは、舌片およびデッドロック用のピンが、シャフトとステアリングコラムとの間に位置するように配置されている。
【0014】
このクランク状のシャフトのノッチは、さらに、揺動バーの角度の許容公差を大きくして、デッドロック機能の始動をより容易にすることを可能にする。
【0015】
本発明は、さらに、本発明による盗難防止装置を備えている自動車を提供するものである。
【0016】
添付図面を参照して、非限定的な例として示す一実施形態および変形例に関する以下の説明を読むことによって、本発明の他の特徴および利点が、より明瞭になると思う。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による盗難防止装置の組立分解斜視図である。
図2図1の盗難防止装置の部分斜視図である。
図3図1の盗難防止装置の断面図である。
図4図1の盗難防止装置の一部分の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図4は、自動車のステアリングコラム用の、本発明による盗難防止装置の一実施形態を示している。
【0019】
盗難防止装置2は、アクセス部分4およびロッキング部分6と、それぞれに呼ばれる2つの主要部分を備えている。アクセス部分4は、イグニションキーを差し込む施錠機構、または同様の装置を有している。自動車の運転者が、イグニションキーを施錠機構に差し込んで、そのロータを回転させると、自動車に電力が供給され、自動車は駆動される。
【0020】
ロッキング部分6は、図4に示すように、概ね直角平行六面体の形状を呈している舌片8を有している。舌片8は、ロッキング部分6の舌片ガイド10内にスライド可能に据え付けられている。このスライド変位は、舌片の長手方向12に沿って生じる。舌片は、その展開位置にあるときに、ステアリングコラムの回転軸のまわりのステアリングコラムの回転を阻止するために、その遠位端14を通じて、自動車のステアリングコラムの1つの部材と組み合っている。
【0021】
イグニションキーを用いて施錠機構を作動させることにより、舌片の位置、したがってステアリングコラムのロッキングやロッキング解除を制御することができる。この点に関する、より詳細な説明については、例えば本出願人の出願になる特許文献1を参照されたい。
【0022】
盗難防止装置2は、ハウジング16を備えている。このハウジング16は、アクセス部分4とロッキング部分6との間の接続部に、ハウジング16の壁の厚さを局所的に薄くすることによって実現された弱化ゾーン、すなわち破損しやすいゾーンを有している。この弱化ゾーンは、アクセス部分4に応力が加えられたときに、アクセス部分4とロッキング部分6とを分離することによって、ハウジング16の破損、したがって、盗難防止装置の破損を引き起こすことができるような位置とされている。
【0023】
ロッキング部分6は、ゲージロッドまたはニードルのようなスライダの形態の可動部材22を有している。可動部材22は、長手方向12に直角に延在している、概ね直線状の剛性のロッドの形態を呈している。可動部材22は、ハウジング16内をスライド運動するように設けられている。
【0024】
可動部材22は、アクセス部分とロッキング部分とを接続するように延在しており、アクセス部分をロッキング部分から離すことによって、可動部材は、ロッキング部分中で変位することができる。
【0025】
可動部材22は、アクセス部分の分離運動によって変位する。この変位を可能にするために、可動部材22は、その端部を通じて、施錠機構に固定されており、施錠機構によって駆動される。
【0026】
ロッキング部分は、チャネル28内に可動に据え付けられており、かつ揺動バー27の保持アームによって、このチャネルの一端の位置に保持されているピン26を有している。盗難防止装置は、ばねによって付勢された可動部材22は、アクセス部分4の方向、すなわち舌片から遠ざかる方向に移動すると、可動部材22が、揺動バー27の作動アームから離れ、その結果、揺動バー27が回動して、保持アームと呼ばれる、作動アームと反対側のアームがピン26から外れていくために、ピン26が開放されるように構成されている。次いで、ばねによって付勢されたピン26は、ステアリングコラムを不動化する位置に、舌片8をロックする。
【0027】
揺動バー27すなわちレバーは、ハウジング16と相対的に、軸36のまわりに回動するように設けられている。軸36は、可動部材22の延在している方向と平行で、かつデッドロック用のピン26の変位方向と平行であり、さらにステアリングコラムの延在している方向に対して、横方向に延びている。
【0028】
揺動バー27は、可動部材22とピン36との間に延在しており、その側面は、それらの各々に押し当てられている。したがって、可動部材22が、長手方向に揺動バー27から外れることによって、可動部材22に押し当てられていた揺動バーの作動アームが開放され、他方のアームである保持アームの側面が、デッドロック用のピン26から外れる。
【0029】
揺動バー27は、ピン26の側面切り欠きにおいて、ピン26に押し当てられている。この側面切り欠きは、傾斜端部を有しており、揺動バー27は、ピン27を保持している位置において、この傾斜端部に押し当てられている。
【0030】
揺動バーが開放されると、その保持アームは、この傾斜端部に接しながらスライドして、ピンを開放する。したがって、ピンの開放は徐々に、かつ保持アームとピンとの間の広い面積での接触なしに行われる。この傾斜端部のおかげで、揺動バーの保持アームの前方に障害物が形成され、なおかつピンと揺動バーとの間に限定された接触面しか与えられないから、揺動バー27との摩擦によって、ピンが偶発的に揺動バー27に保持され続け、いかなる危険性も除かれる。
【0031】
揺動バーの保持アームは、ピン26と組み合っている側面と反対側の側面に、シャフトまたはクランク状のシャフト30に接している面を有している。
【0032】
クランク状のシャフト30は、図2の左側の部分に部分的に示されている施錠機構の回転運動、および舌片8の変位を開始させる運動を変換する。さらに、このシャフト30は、施錠機構の回転運動を、図2の右側に示されているロータリースイッチに伝達する。したがって、シャフト30は、その動作を、ステアリングコラムの正反対の2つの局面に関連付けるために、ハウジングの、舌片8およびデッドロック用のピン26を収容している部分と重なるように配置されている。
【0033】
シャフト30は、ステアリングコラムのロッキング状態に対応するシャフト30の向きにおいて揺動バー27に対向するノッチ31を有している。したがって、このノッチ30は、揺動バー27が可動部材22から開放されると、揺動バー27のノッチ内に入り込むようになっている。
【0034】
揺動バーの、シャフト30に対向している側面は、シャフト30の他の向きにおいてシャフト30の輪郭と一致する円形のくぼみ(ノッチ)を有している。
【0035】
したがって、このアセンブリがデッドロック状態にある場合には、揺動バー27は、デッドロック用のピン、より一般的には、デッドロック用素子(揺動バー自体である場合もある)を開放しているだけではなく、シャフト30の長手方向の変位を不可能にするために、シャフト30のノッチ31内に入り込んでいる。
【0036】
シャフト30を、舌片およびデッドロック用素子と重なるように位置決めし、かつシャフト30を、揺動バー27によって適切な位置にロックすることによって、舌片8およびデッドロック用のピン26に対する、犯罪者によるアクセスに対する防御機能が、シャフト30に与えられる。
【符号の説明】
【0037】
2 盗難防止装置
4 アクセス部分
6 ロッキング部分
8 舌片
10 舌片ガイド
12 長手方向
14 遠位端
16 ハウジング
22 可動部材
26 ピン
27 揺動バー
28 チャネル
30 シャフト
31 ノッチ
36 軸
図1
図2
図3
図4