【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上で説明した文献(1)〜(3)は、前述した如く、内外空気を混合し、外気を暖め、作物に適する混合空気を、低コストで給気構造でないこと、また、送風機は、常時開放であることと、防虫ネットの設備がなく、昨今のハウスでは、十分、機能しないことが考えられる。従って、この調査では、本発明が意図する建屋の局所送風機と、この送風機を利用した建屋の局所送風方法に関する文献は、調査の結果、好ましい文献は見当たらなかった。
【0010】
上記に鑑み、本発明は、下記の目的を達成することを意図する。
[イ] 外気の温度に対応し、そのまま外気を給気するか、又は内外空気を混合し、外気を暖めることで、作物に適する混合空気を、低コストで給気することで、この種の局所送風機として、最適な構造を提案する。
[ロ] また、局所送風機と、各種の給気ダクトとの相乗効果を利用することで、建屋の株間局所送風方法として機能し、かつ成長する植物(トマト株等)の花房、果実か、この花房、果実の付け根、又は葉裏か、葉の付け根(花房か、又は葉の付け根とする)に送風(噴出)することで、この株間局所送風を最適化し、例えば、この株間局所送風のスムーズな流れと、微風の流れを介して、栽培植物に、最適な生育環境(送風)を維持すること、葉面における空気の流れと(葉裏の空気の滞留をなくし得る)、又は栽培植物の健全な生育環境維持と、収穫量の拡充化を図ること、等を意図する。
[ハ] さらに、この株間局所送風方法として、好ましい一例は、妻面に設けた局所送風機に給気ダクトを接続し、給気ダクトに設けた分岐給気ダクトを、植物の株間と同じ間隔に設け、かつ分岐給気ダクトは、植物条間の下位展開葉の位置(高さ約40cm)に設置し、花房か、又は葉の付け根の下側に向って送風する。例えば、その稼働時間は、24時間の連続で、毎秒1〜1.5m程度の送風を、花房か、又は葉の付け根にあてることで、少なくとも、湿度管理を図り、病害の発生抑制は植物体表面の環境条件改善ととともに、トマト灰色かび病、葉かび病、ベト病等の発病を抑制することを意図する。
[ニ] また、建屋の株間局所送風において、この建屋の妻面にファンと、シャッターを備えた局所送風機の外気導入室にフードと、防虫ネットを設ける構造とし、外部からの風雨と、害虫の侵入防止と、益虫の逃避防止を図り、また、この局所送風機に内気吸込口を介して、混合室を設けることで、外気と内気の混合(ミキシング)を図り、植物に適した混合空気の供給と、換気の効率化が図れる局所送風方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1、2の発明は、前記[イ]と、[ロ]の他に、下記の[ホ]を達成することを
意図する。
[ホ]
ハウスの室内空気との熱交換を介して、昇温混合空気を生成することができる。
【0014】
請求項1は、建屋の壁面に設置した、内気吸込口と、外気吸込口と、外気、内気、又は混合空気の給気用の空気給気口とを備えた混合室内に、切換えダンパーと、羽根車、並びに羽根車用モータを配備し、前記外気吸込口は、箱形の外気導入室の開口に連通し、この外気導入室の外気導入口に防虫ネットを張装し、かつこの外気吸込口を、シャッターで開閉する構成とした建屋の局所送風機において、
前記混合室を、長方形状とし、かつ第一室と、同第二室とで形成し、この第一室には、当該第一室の背面側の壁面に設けた枢軸に前記切換えダンパーを設置し、この切換えダンパーで、この第一室の左右側の壁面に設けた、前記内気吸込口と外気吸込口とを、選択的に開閉自在とし、
また、この第二室の右側の壁面には、前記給気口を設けるとともに、この第二室には、羽根車と、この羽根車用モータを配備
し、
前記給気口には、ハウスの一方の妻面から他方の妻面に到る給気ダクトを設ける構成とした建屋の局所送風機である。
【0015】
請求項
2は、請求項
1に記載の建屋の局所送風機であって、
前記混合室の第一室の壁面に設けた内気吸込口と、前記第二室の壁面に設けた給気口を
並設する構成とした建屋の局所送風機である。
【0016】
請求項
3の発明は、前記[イ]と、[ロ]の他に、下記の[へ]を達成することを意図
する。
[へ] 局所送風機を構成する外気導入室の最適な構造と、装備品を提供する。
【0017】
請求項
3は、請求項
1に記載の建屋の局所送風機であって、
前記外気導入室を、長方形状とし、かつフードを備えた構造とし、この外気導入室のフードの下側の開放口に防虫ネットを設け、かつこの開放口を、前記シャッターで開閉自在とする構成とした建屋の局所送風機である。
【0018】
請求項
4の発明は、前記[ハ]と、[ニ]を達成することを意図する。
【0019】
請求項
4は、請求項
1に記載の建屋の局所送風機を利用した、建屋の局所送風方法であって、
この送風機の混合室を、建屋内に設け、また、この外気導入室を、建屋外に設け、この外気導入室を介して、外気を混合室に導き、この混合室に導入した内気を、外気と混合して混合空気を生成し、この混合空気を、混合室の給気口を介して、前記建屋内の給気ダクトに導き、この給気ダクト内において、建屋内の空気との熱交換で昇温し、この昇温した混合空気を、この建屋内に配備した分岐給気ダクトに送風し、この分岐給気ダクトから、棚下、又は棚上に設けた局所給気ダクトに送風する構成とした建屋の局所送風方法である。
【0020】
請求項
5の発明は、前記[ハ]と、[ニ]の他に、下記の[ト]を達成することを意図
する。
[ト] 局所送風機を設置するに最適な場所と、吸込位置と給気位置の構造を提供する。
【0021】
請求項
5は、請求項
4に記載の建屋の局所送風方法であって、
前記送風機を、前記建屋の妻面の天井梁材に取付ける構成とした建屋の局所送風方法である。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明は、建屋の壁面に設置した、内気吸込口と、外気吸込口と、外気、内気、又は混合空気の給気用の空気給気口とを備えた混合室内に、切換えダンパーと、羽根車、並びに羽根車用モータを配備し、外気吸込口は、箱形の外気導入室の開口に連通し、外気導入室の外気導入口に防虫ネットを張装し、かつ外気吸込口を、シャッターで開閉する構成とした建屋の局所送風機において、
混合室を、長方形状とし、かつ第一室と、同第二室とで形成し、第一室には、第一室の背面側の壁面に設けた枢軸に切換えダンパーを設置し、切換えダンパーで、第一室の左右側の壁面に設けた、内気吸込口と外気吸込口とを、選択的に開閉自在とし、
また、第二室の右側の壁面には、給気口を設けるとともに、第二室には、羽根車と、羽根車用モータを配備
し、
給気口には、ハウスの一方の妻面から他方の妻面に到る給気ダクトを設ける構成とした建屋の局所送風機である。
【0025】
請求項
2の発明は、請求項
1に記載の建屋の局所送風機であって、
混合室の第一室の壁面に設けた内気吸込口と、第二室の壁面に設けた給気口を
並設する構成とした建屋の局所送風機である。
【0026】
従って、下記の特徴を有する。
[イ] 外気の温度に対応し、そのまま外気を給気するか、又は内外空気を混合し、外気
を暖めることで、作物に適する混合空気を、低コストで給気することで、この種の局所送
風機として、最適な構造を提案できる。
[ロ] また、局所送風機と、各種の給気ダクトとの相乗効果を利用することで、建屋の
株間局所送風方法として機能し、かつ成長する植物(トマト株等)の花房、果実か、この
花房、果実の付け根、又は葉裏か、葉の付け根(花房か、又は葉の付け根とする)に送風
(噴出)することで、この株間局所送風を最適化し、例えば、この株間局所送風のスムー
ズな流れと、微風の流れを介して、栽培植物に、最適な生育環境(送風)を維持できる。
また、葉面における空気の流れを確保し(葉裏の空気の滞留をなくす)、又は栽培植物の
健全な生育環境維持と、収穫量の拡充化が図れる。
[ホ]
ハウスの室内空気との熱交換を介して、昇温混合空気を生成できる。
【0027】
請求項
3の発明は、請求項
1に記載の建屋の局所送風機であって、
外気導入室を、長方形状とし、かつフードを備えた構造とし、外気導入室のフードの下側の開放口に防虫ネットを設け、かつ開放口を、シャッターで開閉自在とする構成とした建屋の局所送風機である。
【0028】
従って、請求項
3は、前記[イ]と、[ロ]の他に、下記の[へ]の特徴を有する。
[へ] 局所送風機を構成する外気導入室の最適な構造と、装備品を提供できる。
【0029】
請求項
4の発明は、請求項
1に記載の建屋の局所送風機を利用した、建屋の局所送風方法であって、
送風機の混合室を、建屋内に設け、また、外気導入室を、建屋外に設け、外気導入室を介して、外気を混合室に導き、混合室に導入した内気を、外気と混合して混合空気を生成し、混合空気を、混合室の給気口を介して、建屋内の給気ダクトに導き、給気ダクト内において、建屋内の空気との熱交換で昇温し、昇温した混合空気を、建屋内に配備した分岐給気ダクトに送風し、分岐給気ダクトから、棚下、又は棚上に設けた局所給気ダクトに送風する構成とした建屋の局所送風方法である。
【0030】
従って、請求項
4は、下記の[ハ]と、[ニ]の特徴を有する。
[ハ] さらに、この株間局所送風方法として、好ましい一例は、妻面に設けた局所送風
機に給気ダクトを接続し、給気ダクトに設けた分岐給気ダクトを、植物の株間と同じ間隔
に設け、かつ分岐給気ダクトは、植物条間の下位展開葉の位置(高さ約40cm)に設置
し、花房か、又は葉の付け根の下側に向って送風する。例えば、その稼働時間は、24時
間の連続で、毎秒1〜1.5m程度の送風を、花房か、又は葉の付け根にあてることで、
少なくとも、湿度管理を図り、病害の発生抑制は植物体表面の環境条件改善ととともに、
トマト灰色かび病、葉かび病、ベト病等の発病を抑制できる。
[ニ] また、建屋の株間局所送風において、この建屋の妻面にファンと、シャッターを
備えた局所送風機の外気導入室にフードと、防虫ネットを設ける構造とし、外部からの風
雨と、害虫の侵入防止と、益虫の逃避防止を図り、また、この局所送風機に内気吸込口を
介して、混合室を設けることで、外気と内気の混合(ミキシング)を図り、植物に適した
混合空気の供給と、換気の効率化が図れる局所送風方法を提供できる。
【0031】
請求項
5の発明は、請求項
4に記載の建屋の局所送風方法であって、
送風機を、建屋の妻面の天井梁材に取付ける構成とした建屋の局所送風方法である。
【0032】
従って、請求項
5は、前記[ハ]と、[ニ]の他に、下記の[ト]の特徴を有する。
[ト] 局所送風機を設置するに最適な場所と、吸込位置と給気位置の構造を提供できる。