特許第5669470号(P5669470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669470
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】巻きずれ防止方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 16/06 20060101AFI20150122BHJP
   B65H 23/032 20060101ALI20150122BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   B65H16/06 B
   B65H23/032
   A47K10/16 D
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2010-163091(P2010-163091)
(22)【出願日】2010年7月20日
(65)【公開番号】特開2012-25494(P2012-25494A)
(43)【公開日】2012年2月9日
【審査請求日】2013年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】松田 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 勝人
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−298571(JP,A)
【文献】 特開2005−343124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 16/00 〜 16/10
B65H 23/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を含む衛生薄葉紙が巻かれた保湿ティシューペーパー用の原反の外周側に駆動ベルトを当接させ、この駆動ベルトにより前記原反の外周側から衛生用薄葉紙を繰出す際に発生する巻きずれを防止する方法であって、
原反の側端部に配置されてリング状に形成された金属製の円盤と、
原反の内周側寄りに配置されて円盤の内周側を原反に対して固定する固定部材と、
放射状に円盤に配置される放射補強部及び円盤の外周部分に配置される外周補強部により形成される補強部材と、
円盤の原反と対向する側の面に存在している弾性変形可能な弾性材と、
を有する巻きずれ防止材を、
弾性材が原反の側端部に接するように前記円盤を原反に押し付けるように固定して取付けた状態で、原反から衛生薄葉紙を繰出す、
ことを特徴とする巻きずれ防止方法。
【請求項2】
円盤が原反側に押付けられた状態で、原反の支持軸に円盤の内周側を固定部材が取り付けることで、円盤の内周側を原反に対して固定し、
弾性材がゴム製とされる請求項1記載の巻きずれ防止方法。
【請求項3】
前記円盤がアルミニウム製とされ、
前記放射補強部及び外周補強部がアルミニウム製で円盤と一体的に形成されたものである請求項1または請求項2に記載の巻きずれ防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸湿している場合でも紙材を繰り出す際に原反に巻きずれを防止して安定して操業可能な巻きずれ防止材に関し、例えば、ロータリー式インターフォルダに供するティシューペーパー製品用二次原反ロールに適用可能なものである。
【背景技術】
【0002】
ティシューペーパーの箱詰め製品は、一般的に、インターフォルダ(折り畳み設備)によって複数の連続するティシューペーパーを折り畳みながら積み重ね、所定の長さに切断するなどしてティシューペーパー束を得、このティシューペーパー束を収納箱(ティシューカートン)内に収納することによって製造される。
【0003】
そして、このようなインターフォルダの例として、ロータリー式インターフォルダ、マルチスタンド式インターフォルダなどが知られている。このロータリー式インターフォルダを用いた製造方法の従来例としては、次のようなものがある。
【0004】
まず、抄紙設備において衛生用薄葉紙を抄造して巻き取ることで、一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造し、次いで、この一次原反ロールをプライマシンにセットし、複数の一次原反ロールから繰り出した一次連続シートを重ね合わせて巻き取ると共にスリットし、ティシューペーパー製品の製品幅の複数倍幅とし、紙巻を共通とした、複数のプライからなる二次原反ロールを製造する。
【0005】
この後、プライマシンで製造された二次原反ロールは、プライマシンから取り出された後、必要な数だけロータリー式インターフォルダにセットされる。次いで、二次原反ロールから二次連続シートを繰り出して、折り畳み機構部へ送り込み、ここで折り畳みながら積み重ね、その後、所定の長さに切断されてティシューペーパー束とし、収納箱内に収納する。
【0006】
ところで、現在、ティシューペーパー製品に保湿剤や香料などの薬液を付与されたティシューペーパー製品である保湿ティシューペーパーは、800トン/月の需要があると言われているが、近年、保湿ティシューの認知率の増加に伴い使用人口及び使用量は増加しつづけ、需要が拡大している。したがって、保湿ティシューの需要の拡大に伴い、保湿ティシューを製造する工程の生産性を改善する必要があった。
【0007】
ロータリー式インターフォルダで保湿ティシューペーパーを製造するには、抄紙工程、プライマシン工程(二次原反ロール製造)、折り畳み工程(ロータリー式インターフォルダ)の各工程の何れかで、各種の印刷方式、噴霧方式、スプレー方式、インクジェット方式などの方式を用いて、薬液を塗布、塗工するか、或いはプライマシン工程と折畳み工程の間に薬液を塗布、塗工する専用設備(例えばフレキソ印刷機)を用いることが必要である。しかし、抄紙工程でのオンマシン塗布は、通常1000m/分以上の高速で低粘度の薬液塗布を行なうため、薬液飛散、低い薬液歩留など技術的に難しい課題があり商業的に成功することは難しい。
【0008】
また、ロータリー式インターフォルダでのオンライン薬液塗布をするには、薬液塗布装置を、二次原反ロールの繰り出し部から折り畳み機構部までの間などに設置する必要があるが、目的であるところの生産性向上を達成するためにはインターフォルダの台数を増やし、インターフォルダの台数と同じ台数の薬液塗布設備を付設しなくてはならないことから、多大な設備費用がかかるため実際的ではない。
薬液塗布専用設備を用い、プライマシンで製造された二次原反ロールに、薬液を塗布、塗工する場合、塗布設備が一台で済むため、最も実際的である。塗布する速度は300m/分以上である。
また、プライマシン工程での薬液塗布は、比較的高速(通常700m/分以上)での塗布が必要であるものの、基本的に広幅のプライシートに対し均一に薬液塗布することが可能で、薬液の循環再生処理と使用も容易であるため、実際に有効な薬液塗布方法の1つである。
【0009】
ただし、薬液塗布専用設備、またはプライマシンで薬液塗布する場合、薬液が塗布された状態の衛生用薄葉紙が一旦巻き取られて二次原反ロールになるが、この場合においても、いくつかの課題がある。
つまり、この二次原反ロールは薬液を含んだ原反となるが、この二次原反ロールは直径が1m超程度の大きさの大巻きの原反であるものの、この大巻きの二次原反ロールにおいては、塗布された薬液が時間経過により衛生用薄葉紙に吸湿されることで、衛生用薄葉紙が伸びることになる。また、塗布した薬液によりシート表面の摩擦抵抗が下がり、ティシュー同士がすべり易くなることになる。
【0010】
そして、吸湿したこの大巻きの二次原反ロールからロータリー式インターフォルダに衛生用薄葉紙を繰り出す場合、二次原反ロールの外周側に駆動ベルトを当接させ、この駆動ベルトにより理想的には加速度の小さい安定した速度で原反の外周側から衛生用薄葉紙を押出すことになる。
しかし、衛生用薄葉紙が伸びて原反ロールの巻きが緩くなること、薬液塗布によりティシューが滑りやすくなること、また二次原反ロールが大きく、実際の操業では加速度が加わり、加工開始時には慣性モーメントにより外側の押出す力が内側に伝わりにくくなり原反ロールが締まったり、あるいは外側の押出しを止めた時に内側が慣性により回転し原反ロールがゆるむこともあって、ティシュー幅毎にスリットの入っている二次原反ロールをロータリー式インターフォルダにより加工する際には、二次原反ロールが進行方向に対して左右に、および/あるいは前後に巻きずれを生じて、ティシュー製品に皺や縒れ、裂けを発生させてしまうことがあった。
【0011】
ロータリー式インターフォルダで加工する場合、薬液塗布し吸湿した二次原反ロールは駆動ベルトにより安定した速度で押出されるが、押出し開始時および押出し停止時、もしくは加減速時には、二次原反ロールの内周側は外周側と比べて異なった回転速度で回転しようする力が働き、二次原反ロールの内周側と外周側との間で、図2に示す製品のティシューペーパーにおけるMD方向とCD方向に巻きずれが生じることがあった。
【0012】
そして、この巻きずれの発生に伴って、完成品となるティシューペーパーに皺や縒れ、裂けが入った不良品が発生する欠点があった。
【0013】
これに対して、原反を構成する紙材の皺防止のためには種々の構造が知られている。
例えば、特許文献1に示す巻取装置の巻取り制御方法、特許文献2に示すロール紙の幅方向での巻きを均一にし、皺の発生を防止する巻替装置及び、特許文献3に示す搬送ロールとフィルムのエアー厚みを調整し、フィルムを搬送中にフィルムに傷や皺が入らない運搬装置等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭63-123743号公報
【特許文献2】特開2009-220991号公報
【特許文献3】特開2007-106508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、これらの特許文献に示された構造であっても、例えばティシューペーパー等の紙材である衛生用薄葉紙に関して巻きずれを防止するようなものはなく、また、時間経過により原反である二次原反ロールを構成する衛生用薄葉紙が吸湿する結果として二次原反ロールからの衛生用薄葉紙の送り出し時に、二次原反ロールが巻きずれしてしまうことを防止できるものはなかった。
【0016】
すなわち、ティシューペーパーのような衛生用薄葉紙はクレープ紙であるため、後述の図2に示すMD方向のテンションに対し伸びやすい。これに加えて保湿剤を含む薬液を塗布したティシューペーパーでは吸湿によりさらに伸びやすく、紙の厚みが薄くなり易く、ティシューペーパー表面の薬液によりシート表面が滑りやすくなるため、二次原反ロールが巻きずれしやすい。とりわけMD方向の巻きずれが発生した場合には、皺や縒れ、裂けが発生しやすい傾向にあった。
【0017】
以上より、従来は二次原反ロールの表面に当接して紙材を送り出す為の駆動ベルトの押付け圧を弱めたり、或いは二次原反ロールの巻き取り長さを短くして二次原反ロール自体の重量を軽くしたりすることにより、二次原反ロールに加わるトルクを小さく抑えることで、二次原反ロールの巻きずれから生じる皺や縒れ、裂けを発生させないようにすることが考えられた。
【0018】
しかし、二次原反ロールの巻き取り長さを短くすることは、二次原反ロールの交換回数を増やすことに繋がり、二次原反ロールの交換による作業停止時間が増加すると共に、紙材の損失量が増加する欠点があることから、生産性改善を目的として、二次原反ロールの巻き取り長さを長くする必要を有していた。
【0019】
ここで、従来のインターフォルダによるティシューペーパーの加工を図9に示し、この図に基づき、二次原反ロールの巻きずれ等を説明する。
2つの二次原反ロールRは支持軸102が通されて、図示しない原反架台にそれぞれ載せられている。この際、駆動源に繋がる駆動ベルト104は図示しないエアシリンダ等で二次原反ロールR側に押しつける。そして、駆動ベルト104により二次原反ロールRから送り出された紙材は所定の搬送経路を経過して、2枚の紙材が交互に折り畳まれてティシュー製品TSとされるようになっている。
【0020】
例えば、一方の二次原反ロールRの端面である側端部に1本の直線Lをマーキングの為に引くと、二次原反ロールRの回転の経過によって、図9のように巻きの緩い箇所でこの直線Lがずれるようになり、直線Lがずれたところでは、紙材が縒れて皺になる。さらに、この縒れが進行すると、二次原反ロールRのMD方向と平行の裂けが発生し、不良品の発生や断紙による機械停止に発展するおそれがある。尚、二次原反ロールRのCD方向の品質のばらつきから縒れ易い箇所と縒れ難い箇所があり、この差により裂けが発生するものと考えられる。
【0021】
上記の対策として、二次原反ロールRの両端面にポリカーボネート製や金属製の板材を当てることが考えられるが、このような板材を当る際に板材を当てるのみで二次原反ロールRに押付けていなかったため、二次原反ロールRのCD方向の巻きずれには効果があるものの、MD方向の巻ずれには効果が無かった。この結果として、従来は巻き取り長さの上限を例えば4,000mとして二次原反ロールRを軽くし、二次原反ロールに加わるトルクを軽減して巻きずれ対策としているものの、二次原反ロールRの品質がばらつく等の原因から、二次原反ロールRの内周寄りの箇所で、やはり二次原反ロールRの巻きずれや縒れが発生することが有り、単に板材を当てたのみでは、二次原反ロールRの巻き取り長さを長くすることはできなかった。
【0022】
そこで、本発明の主たる課題は、吸湿している場合でも紙材を繰り出す際に原反に巻きずれを防止して安定して操業可能な巻きずれ防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
請求項1に係る巻きずれ防止方法は、
薬液を含む衛生薄葉紙が巻かれた保湿ティシューペーパー用の原反の外周側に駆動ベルトを当接させ、この駆動ベルトにより前記原反の外周側から衛生用薄葉紙を繰出す際に発生する巻きずれを防止する方法であって、
原反の側端部に配置されてリング状に形成された金属製の円盤と、
原反の内周側寄りに配置されて円盤の内周側を原反に対して固定する固定部材と、
放射状に円盤に配置される放射補強部及び円盤の外周部分に配置される外周補強部により形成される補強部材と、
円盤の原反と対向する側の面に存在している弾性変形可能な弾性材と、
を有する巻きずれ防止材を、
弾性材が原反の側端部に接するように前記円盤を原反に押し付けるように固定して取付けた状態で、原反から衛生薄葉紙を繰出す、
ことを特徴とする。
【0024】
請求項1に係る巻きずれ防止方法の作用を以下に説明する。
本請求項の巻きずれ防止材によれば、リング状に形成された金属製の円盤の内周側を紙材が巻かれた原反に対して固定するための固定部材が、原反の内周側寄りに配置されている。また、放射状に円盤の配置される放射補強部及び円盤の外周部分に配置される外周補強部を有した補強部材により、この円盤が補強されることから、特に外周側が反ったりすることもなく、原反の側端部に密着してこの円盤が配置されることになる。
【0025】
この際、原反の側端部に密着させる部材を外形が円形とされる円盤としたのは、原反の回転に伴い回転するものであるから、この円盤の外周側に何らかのものが接触しても、巻き込まれ難くなるようにしたものである。
【0026】
但し、円盤の原反と対向する側の面に弾性変形可能な弾性材が存在していることから、固定部材により円盤が原反に対して固定されているものの、円盤と原反の側端部は適度な摩擦力を生じると同時に、原反から紙材がスムーズに繰り出されるようになる。例えば、原反への円盤の押付けが弱い場合には、巻ずれや縒れが解消できない一方、逆に押付けが強すぎた場合には、原反に当たっている箇所で紙材のちぎれが生じることがあるものの、円盤の原反に当たる面に弾性材を貼り付けたことで、押付け力が適正に調整されて、巻きずれや縒れを解消しつつ紙材のちぎれを解消することが可能になった。
【0027】
つまり、原反の側端部を固定部材及び弾性材により適度な力で押さえつつ、円盤で案内することができるので、薬液が塗布されて吸湿している原反が回転された場合でも、円盤によりこの原反が支持されて最後まで巻きずれすることなく、原反から紙材を送り出すことができる。これに伴い、本請求項の巻きずれ防止材を用いることにより、予め薬液を含浸させた原反であっても、巻きずれや縒れを改善できることから、原反の巻き取り長さを従来技術より長くすることが可能となった。
【0028】
以上の結果、原反の交換回数を減らすことができるため、作業性の改善、作業効率の向上及び、原反の交換に伴う作業停止時間の削減が可能となるだけでなく、原反の交換に伴う作業停止による例えばインターフォルダの加減速回数の低減による平均加工速度の向上が可能となり、生産量の向上や労務費の削減が図れて安定した操業が可能になった。
他方、原反の交換に伴って紙材の継目が削減できることから、損紙の発生量を削減し、加工歩留も向上することになった。
【0029】
請求項2に係る巻きずれ防止方法の作用を以下に説明する。
本請求項に係る巻きずれ防止方法は請求項1の発明と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、巻きずれ防止材が、円盤が原反側に押付けられた状態で、原反の支持軸に円盤の内周側を固定部材が取り付けることで、円盤の内周側を原反に対して固定し、
弾性材がゴム製とされるという構成を有している。
【0030】
つまり、本請求項によれば、円盤が原反側に押付けられた状態で、原反の支持軸に円盤の内周側を固定部材により取り付けて円盤の内周側を原反に対して固定することで、円盤を原反側に押付けた状態に確実に維持できるようになる。この一方、ゴム製の弾性材により押付け力を調整することで、紙材のちぎれをより確実に解消することができるようになる。
【0031】
請求項3に係る巻きずれ防止方法の作用を以下に説明する。
本請求項に係る巻きずれ防止方法は、請求項1の発明と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、巻きずれ防止材が、その円盤がアルミニウム製とされ、放射補強部及び外周補強部がアルミニウム製で円盤と一体的に形成されたという構成を有している。
つまり、本請求項によれば、円盤とすることで体積が大きくなるものの、円盤及び補強部材がアルミニウム製とされると共に、補強部材の放射補強部及び外周補強部が円盤と一体的に形成されたことで、必要な強度を維持しつつ軽量化が図られるようになった。
【発明の効果】
【0032】
以上のとおり本発明の巻きずれ防止方法によれば、吸湿している場合でも紙材を繰り出す際に原反に巻きずれを防止して安定して操業可能になるという優れた効果を奏するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一次原反ロールの製造設備、製造方法を示す概略図である。
図2】(b)収納箱に収納されたティシューペーパーの取出す様子を示す一部破断図である。
図3】二次原反ロールの製造設備、製造方法を示す概略図である。
図4図3で示す薬液付与手段周辺の要部拡大図である。
図5】コンタクトエンボス手段によって積層連続シートにコンタクトエンボスを付与している様子を示す図である。
図6】本発明に係る巻きずれ防止材の一実施の形態に適用される円盤を示す図であって、(A)は正面図あり、(B)は断面図である。
図7】本発明に係る巻きずれ防止材の一実施の形態を示す分解図である。
図8】本発明に係る巻きずれ防止材の一実施の形態を二次原反ロールに装着した斜視図である。
図9】ロータリー式インターフォルダにおける原反の巻きずれ等を表わす説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明の実施形態を説明する。
〔一次原反ロールの製造方法〕
一次原反ロールの製造方法の一例としてダブルフェルト方式を、図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、ワイヤーパートを経た湿紙Wがボトムフェルト111に載せられて移送され、その後、トップフェルト110及びボトムフェルト111に挟持されたまま、トップロール112とボトムロール113の間を通過し搾水される。その後、搾水された湿紙Wは、トップフェルト110に載せられた状態で、タッチロール116を介してヤンキードライヤー115の表面に付着させられる。そして、湿紙Wは、ヤンキードライヤー115によって乾燥され、ドクターブレード117により引き剥がされた後、巻き取られることで一次原反ロールJRとされる。
この抄紙に際しては、例えば、分散剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、コーティング剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、消泡剤、染料などの適宜の薬品を添加することができる。
なお、本一次原反ロールの製造方法においては、ドクターブレード117により引き剥がされた後でカレンダー手段118によって平滑化処理を施すこともできる。
一次原反ロールの製造方法としては他に、シングルフェルト方式がある。
【0035】
〔ティシューペーパー製品用二次原反ロールの製造設備〕
図3に示すように、本発明に係るティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造設備X1(プライマシンX1)は、上述の製造方法などで製造された一次原反ロールJRを、少なくとも2つ以上セット可能とされており、プライ枚数と同じ本数の一次原反ロールをセットする。これらの一次原反ロールJRから繰り出した一次連続シートS1を、その連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とするプライ手段51を有している。
【0036】
プライ手段51の後段には、プライ手段51から流れてくる積層連続シートS2に対して薬液を付与する一対の薬液付与手段53が設けられており、これらの薬液付与手段53の後段には、並設された複数のカッターから成り、薬液付与手段53から移送されてきた積層連続シートS2をティシューペーパー製品の製品幅毎にスリットするスリット手段55が配置されている。そして、スリット手段55の後段には、スリット手段55によってスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシューペーパー製品の製品幅の複数倍幅の、複数の二次原反ロールRを形成する巻き取り手段56が設けられている。ここで、この巻き取り手段56は、スリットされた各積層連続シートS2を二次原反ロールRに案内するための2つのワインディングドラム56Aを有していて、これら2つのワインディングドラム56Aが二次原反ロールRの外周面に接して積層連続シートS2を案内している。
【0037】
(カレンダー手段)
ティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造設備X1には、積層連続シートS2をカレンダー処理するカレンダー手段52を一つ以上設けることもできる。
カレンダー手段52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーの事である。
カレンダー手段52の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
二つ以上のカレンダー手段52を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直交する断面の円弧の一部)の角度を意味している。
カレンダー処理条件におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるシートの品質すなわちシートの紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
また、カレンダー手段52の設置位置は特に限定されないが、プライ手段51の後段であって且つ薬液付与手段53の前段や、薬液付与手段53の後段であって且つコンタクトエンボス手段54の前段とすることができる。
【0038】
(薬液付与手段)
積層連続シートS2に対して薬液を付与する薬液塗布工程は、薬液付与手段53により実行されるが、具体的には、この薬液付与手段53はそれぞれドクターチャンバー形式による2つの薬液付与部53A、53Bにより構成され、これら2つの薬液付与部53A、53Bにより薬液を付与するようにされている。そして、積層連続シートS2を700m/分以上で、好ましくは900m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤をこれら薬液付与手段53A、53Bによって両面の合計で1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布している。
塗布量は、操業中にプライ後の薬液を塗布しない場合の各々のシート米坪と、対応する塗布した直後の各々のシート米坪との差異により算出した。
(塗布量g/m2)=(塗布直後の米坪g/m2)−(塗布しない場合の米坪g/m2
両表層の塗布量、もしくは両面の塗布量の合計とは、プライされたティシューペーパーのシートの単位面積当たりの塗布量の合計であり、各シートの塗布量を加算したものとする。
【0039】
つまり、図3及び図4に示すように一方のドクターチャンバー形式とされる薬液付与部53Aは、薬液の入っているドクターチャンバー61Aが、回転可能なアニロックスロール63Aと対向して配置されていて、ドクターチャンバー61Aからアニロックスロール63Aに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール63Aと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール64Aが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール63Aから刷版ロール64Aに薬液を受け渡すようになっている。さらに、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール64Aと対向している圧胴65Aとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ、刷版ロール64Aから積層連続シートS2に薬液を付与するようになっている。
【0040】
そして、本実施の形態では、この薬液付与部53Aが後述するコンタクトエンボス手段54のコロ54Aと対向し且つ、前述のワインディングドラム56Aとも対向する積層連続シートS2の面側に位置している。尚、前述のドクターチャンバー61Aに対して薬液を付与する供給ポンプ(図示しない)及び、このドクターチャンバー61Aから薬液を戻すための排出供給ポンプ(図示しない)が、ドクターチャンバー61Aに設置されている。
【0041】
他方、図3及び図4に示すように他方のドクターチャンバー形式とされる薬液付与部53Bは、薬液の入っているドクターチャンバー61Bが、回転可能なアニロックスロール63Bと対向して配置されていて、ドクターチャンバー61Bからアニロックスロール63Bに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール63Bと接し且つ積層連続シートS2の他の面とも接する刷版ロール64Bが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール63Bから刷版ロール64Bに薬液を受け渡すようになっている。さらに、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール64Bと対向している圧胴65Bとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ、刷版ロール64Bから積層連続シートS2に薬液を付与するようになっている。
【0042】
そして、本実施の形態では、この薬液付与部53Bがコロ54Aと非対向とされ且つ、前述のワインディングドラム56Aとも非対向となる積層連続シートS2の他の面側に位置している。尚、前述のドクターチャンバー61Bに対して薬液を付与する供給ポンプ(図示しない)及び、このドクターチャンバー61Bから薬液を戻すための排出供給ポンプ(図示しない)が、ドクターチャンバー61Bにも設置されている。
【0043】
従って、積層連続シートS2の両面に薬液付与部53A及び薬液付与部53Bから薬液がそれぞれ付与されるが、この際、薬液付与部53Aによるコロ54Aと対向する積層連続シートS2の面側の塗布量を薬液付与部53Bによる他の面側の塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートS2の両面からそれぞれ積層連続シートS2に対して薬液を付与している。
【0044】
但し、両面の合計塗布量は、前述のように1.5〜5g/m2であり、プライ原反ロールである二次原反ロールRの外周面の塗布量が、二次原反ロールRの内周面の塗布量より少なくされている。そして、紙の両面に対する薬液の合計塗布量の内、二次原反ロールRの外周面への塗布量は、全体の20%以上で50%未満が良いが、具体的な値は、二次原反ロールRの滑りと品質のバランス、シートの厚みや薬液の浸透性、転移性により最適条件が異なるので、上記の範囲で変化する。
具体的には、片面毎の塗布量を変えるだけでなく、フレキソ版の線数を15〜40線程度、頂点面積率を20〜40%程度の薬液が飛散しない程度に粗くすることが考えられ、このようにすることで、塗布直後はドット柄が残り、瞬間的に塗布部分と未塗布部分ができるようになる。
【0045】
従って、本実施の形態によれば、フレキソ形式を用いて版が樹脂であり弾力性があるため衛生用薄葉紙に多少の凹凸があっても印圧で調整可となるので、グラビア印刷のような金属ロールで塗布するよりも積層連続シートS2に皺が入り難くなる。他方、フレキソ印刷を応用したフレキソ形式を用いることにより、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができるようになる。具体的には、積層連続シートS2を700m/分以上とし、好ましくは900m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布する際にも、塗布が均一で蛇行無く積層連続シートS2を巻き取れるようになる。
【0046】
尚、本実施の形態において使用する原紙は1プライで、米坪10〜25g/m2、クレープ率10〜30%とされ、同じく2プライで、伸び10〜25%、乾燥紙力縦が200〜700cN/25mm、乾燥紙力横が100〜300cN/25mm、原紙の湿潤紙力は横が50〜150cN/25mmの衛生用薄葉紙である。
【0047】
本実施の形態の薬液付与手段53は単数或いは複数設置することができ、複数設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設しても良く、水平方向を含めたこれらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると抱き角度を小さくなるため、加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。
【0048】
薬液付与手段53の前後に配置される手段(図3の例ではカレンダー手段52及びコンタクトエンボス手段54)は、相互に近接して配置することが好ましい。そうすることによって、薬液が付与されないティシューペーパー製品を製造する場合には、積層連続シートS2を薬液付与手段53の前段から後段に直接移送し、薬液付与手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけでよくなるため、薬液付与の有無を容易に切り替えることが可能となる。例えば、図3に示すティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造設備X1では、薬液が付与されないティシューペーパー製品を製造する場合、図3において二点鎖線で示すように、積層連続シートS2をカレンダー手段52からコンタクトエンボス手段54に直接移送し、薬液付与手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけで良い。
【0049】
また、ドクターチャンバー61A、61B等の塗布装置内で薬液の温度をコントロールし、薬液粘度を安定させる必要が考えられるが、ドクターチャンバー61A、61Bに繋がる中間タンク及び配管にヒーターを設置することにできる。他方、操業中に積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理する必要が考えられるが、例えば赤外線の検査機等を用いて常に幅方向の水分量とバラツキをチェックするようにできる。
【0050】
(薬液)
塗布する薬液について、粘度は高速加工を行う観点から40℃で1〜700mPa・sが望ましい。1mPa・sより小さいとアニロックスロール、刷版ロール、グラビアロール等のロール上で薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと各ロールや衛生用薄葉紙への塗布量をコントロールしにくくなる。成分はポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬剤を0.01〜22%含むものとする。
【0051】
ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を助けたり、維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
薬液塗布時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0052】
(コンタクトエンボス手段)
ティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造設備X1には、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボスを付与するコンタクトエンボス手段54を設けることができる。そして、このコンタクトエンボス手段54により、積層連続シートS2に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分であるコンタクトエンボスCEを形成するための接合工程が実行される。
【0053】
ここで、コンタクトエンボス手段54は、図5に示すように、受けロールである圧胴54Bと表面に細かい凸部54Cを有した金属製で硬質のコロ54Aとが所定の圧力を有して相互に外周面同士を当接しつつ、それぞれ回転可能に設置されている。そして、積層連続シートS2におけるティシューペーパー製品の幅方向中央に該当する部分に対して、左右各2つずつ存在する凸部54Cと圧胴54Bとの間で積層連続シートS2を挟みつつ搬送することで、積層連続シートS2に対して、積層連続シートS2の連続方向に沿って層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスCEを施すようになっている。
尚、このコンタクトエンボスCEを施すコロ54Aと対向した側の面を外周側として前述の巻き取り手段56が、積層連続シートS2を巻き取ることになる。
【0054】
このようにコンタクトエンボスCEを付与することによって、複数の一次連続シートS1を積層して成る積層連続シートS2の層間剥離を防止する。なお、コンタクトエンボスCEは、ティシューペーパー製品の端部が層間剥離し難くなるように、ティシューペーパー製品の幅方向両側部に位置するよう形成されることが好ましい。
なお、コンタクトエンボス手段54の設置箇所は特に限定されないが、薬液付与手段53の後段であって且つスリット手段55の前段や、カレンダー手段52の後段であって且つ薬液付与手段53の前段とすることが考えられる。つまり、カレンダー手段52の後段であって且つスリット手段55の前段の何れかの箇所で有ればよいことになる。
【0055】
また、この接合工程において、本実施形態ではコロとして表面に細かい凸部54Cを有した金属製で硬質のコロ54Aを用いたが、積層連続シートS2に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分が形成できればよく、例えばコロ54Aの替りに、表面に細かい針状の部材を有したローラをコロとすることもできる。
さらに、接合する為の手段としては上記例に限定されず、凸部の先端形状が、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状のものをコロとして用いても良く、凸部の先端形状が、細長い線状、細く斜めに伸びる線状等のものをコロとして用いても良い。
他方、凸部の配列としては等間隔が考えられるが、千鳥状としたり、等間隔としなくとも良く、また、凸部を1列に配置してコンタクトエンボスを連続して付与する他に、凸部を2列以上の複数列配置することも考えられる。そして、コンタクトエンボスを緊密に複数列付与するように凸部が配置された群を複数並べて、複数のコンタクトエンボス群を付与するようにしても良い。尚、接合工程としては、上記のように機械的に圧力を加えて接合する他に、超音波等の他の手段により接合しても良い。
【0056】
(一次連続シート)
一次連続シートS1の原料パルプは、特に限定されず、ティシューペーパー製品の用途に応じて適宜の原料パルプを選択して使用することができる。原料パルプとしては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0057】
特に原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=2:8〜8:2がよく、特に、NBKP:LBKP=4:6〜7:3が望ましい。
【0058】
一次連続シートS1は、JIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2とされ、好ましくは11〜20g/m2とされ、より好ましくは12〜16g/m2とされる。坪量が10g/m2未満であると、柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。
また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は2プライで80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとされる。
【0059】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%であるのが好ましく、12〜25%であるのがより好ましく、13〜20%であるのが特に好ましい。クレープ率が10%未満であると、加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシューペーパー製品となる。クレープ率が30%以上であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく皺が発生したり、また肌触りの悪いティシューペーパー製品となる。
【0060】
一次連続シートS1は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張が低過ぎると、製造時に破れや伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0061】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、紙力剤を内添(ドライヤーパートよりも前の段階、例えばパルプスラリーに添加)する、パルプのフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、NBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の手法を適宜組み合わせることができる。
【0062】
乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0063】
〔ティシューペーパー製品用二次原反ロールの製造方法〕
次に、本発明に係るティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造方法の一例を説明する。本形態に係るティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造方法は、例えば、上述したティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造設備X1(プライマシン)を用いて行うことができる。
図3に示すように、本発明に係るティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートS1をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して一対の薬液付与手段53で薬液を付与し(薬液塗布工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシューペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻き取ってティシューペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
【0064】
なお、本形態に係るティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造方法では、上述したティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造設備X1と同様に、積層工程の後段であって且つ薬液塗布工程の前段に、積層連続シートS2に対して一対のカレンダー手段52で平滑化処理する平滑化工程を設けることもできる。また、薬液塗布工程の後段であって且つスリット工程の前段に、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボス手段54で層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程を設けることもできる。
【0065】
本実施形態に係るティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造設備又は製造方法においては、加工速度は100〜1100m/分とされ、好ましくは300〜1050m/分とされ、より好ましくは450〜1000m/分とされる。1200m/分超過であると、積層連続シートS2が断紙する頻度が高くなり、薬液塗布工程では刷版ロールやアニロックスロール表面の薬液の幅方向の不均一性により、薬液の塗布ムラが生じる可能性があり、また薬液の飛散が多くなる。
【0066】
本実施形態に係る衛生用薄葉紙製品用二次原反ロールRの製造設備又は製造方法においては、薬液を積層連続シートS2の両面に塗布する場合、両面の合計の薬液塗布量は、1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.5g/m2とされ、より好ましくは2.0〜4.0g/m2とされる。5.0g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙したり、ワインディングドラムで巻き取りの際に巻きずれを起こしたり、また品質的にべたつき感が過ぎる場合も出てくる。1.5g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布面との差異を感じられなくなってしまう。
【0067】
なお、両塗布面への塗布量に大きな差異があると、表裏差を生じてしまうことから、一方の塗布量が全体の20%以上で50%未満が良い。塗布後にプライ原反で保管されてから折り加工されるまでの時間(平均的に8時間〜24時間)に、両塗布面は接していることから、しだいに両者の薬液量は均等化していき表裏差は改善される。
薬液を積層連続シートの片面のみに塗布する場合、薬液の塗布は、巻きずれを起こしにくいことからS1への塗布がよい。塗布量は、1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.5g/m2とされ、より好ましくは2.0〜4.0g/m2とされる。
【0068】
なお、プライマシンで薬液を塗布、塗工することとして説明したが、プリンターで薬液塗布、塗工することもできる。
【0069】
〔ロータリー式インターフォルダ〕
上述のティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造設備、製造方法で製造された二次原反ロールRは、ロータリー式インターフォルダに二本セットされ、セットされた二次原反ロールRから二次連続シートを繰り出して折り畳むと共に積層することによってティシューペーパー束が製造される。以下では、そのロータリー式インターフォルダの一例について説明する。
【0070】
図9に、ロータリー式インターフォルダの一例を示した。この図においては、ロータリー式インターフォルダの図示しない二次原反ロールRの支持部にセットされた二次原反ロールR,Rを示している。この二次原反ロールR,Rは、プライ数と同数が二次原反ロールRの図2に示す製品のMD方向に対し、平行水平にセットされている。
【0071】
二次原反ロールRから巻き出された連続する帯状の二次連続シートは、ペーパーロール等に案内されて折り畳み機構部へ送り込まれる。また、折り畳み機構部には、製品MD方向の二倍幅に裁断して折り重ねるフォールディングロール部と、これにより得られる積層体30を所定の枚数で切り離して後工程に送る自動取り出し部とで構成される。
【0072】
ロータリー式インターフォルダで得られた積層体30は、後段の切断手段において製品の複数倍幅の二次原反ロールRが裁断(切断)されてティシューペーパー束30aとされ、図2(a)に示すように、このティシューペーパー束30aは、更に後段設備において収納箱Bに収納される。なお、以上のようなロータリー式インターフォルダでは、積層体30の紙の方向は、ティシューペーパーの積層方向に沿って縦方向(MD方向)となり、ティシューペーパーの積層方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となる。
【0073】
図2(b)に、収納箱Bにティシューペーパー束30aを収納して成る製品の一例を示した。収納箱Bの上面にはミシン目Mが設けられており、このミシン目Mで収納箱B上面の一部を破断することにより収納箱Bの上面が開口するようになっている。この開口は中央にスリットを有するフィルムFによって覆われており、このフィルムFに設けられたスリットを介してティシューペーパーTを取出すことができるようになっている。
ところで、前述したように、ティシューペーパー束30aを構成するティシューペーパーの紙の方向は、ティシューペーパーの積層方向に沿って縦方向(MD方向)となるため、図2(b)に示すように、ティシューペーパーTを収納箱Bから引き出す際には、その引き出し方向は、ティシューペーパーTの縦方向(MD方向)と沿うようになっている。
【0074】
次に、本発明に係る巻きずれ防止材の一実施の形態を図6から図8に示し、これら図面を参照しつつ本実施の形態を詳細に説明する。
上記のように薬液が塗布された積層連続シートS2が、巻心に巻かれて二次原反ロールRが形成されることになる。そして、この二次原反ロールRは前述のように所定時間保持後にロータリー式インターフォルダにて折り畳まれて、多数の製品である収納箱B入りのティシューペーパーになる。
【0075】
他方、本実施の形態に係る巻きずれ防止材70は、図6に示すように、それぞれリング状に形成されたアルミニウム製で外径1250mm程度の大きさの一対の円盤72を有しており、これら一対の円盤72の二次原反ロールRに対し反対向側の面には、十文字状となるように円盤72の中心から放射状に4本配置される放射補強部74A及び、円盤72の外周に沿って円形に形成される外周補強部74Bを有する補強部材74が設けられている。尚、各放射補強部74Aはそれぞれ80mm程度離れて並ぶ一対のリブにより構成されている。
【0076】
また、円盤72の中心部分には、円筒状に一段突出すると共に円形の貫通穴76を中心に有した中心補強部74Cが設置されていて、この中心補強部74Cも補強部材74の一部を構成している。但し、これら放射補強部74A、外周補強部74B及び中心補強部74Cはアルミニウム製であり、円盤72と一体的に形成されている。
【0077】
さらに、この円盤72には、放射補強部74Aに対して45度傾いた角度で延びるスリット75が、二次原反ロールRの側端部RTに付けた巻ずれ発生確認用のマーキングを目視するために、貫通して設けられている。そして、円盤72の二次原反ロールRと対向する側の面には、弾性変形可能なゴム製のシートとされる弾性材78が、放射補強部74Aに対して円盤72を挟んだ同一位置とされる十文字状に位置するように、円盤72の中心から放射状に4本貼付けられて存在している。尚、これら弾性材78は各2重に設置されているが、各1枚のみであっても良い。また、4本としたのは、面積比によって二次原反ロールRを固定する力が変わるためであって、本発明を検証した際、弾性材78を全面に設置した場合には、巻きずれ防止材70を押しつける力が分散して二次原反ロールRを固定することができず、2本とした場合、巻きずれ防止材70を押しつける力が強すぎて、弾性材78が当たっている箇所で原紙のちぎれが発生した。尚、弾性材78の面積及び本数は、二次原反ロールRの強度や剛度、選定した弾性材78の硬度によって、適宜変更しても良い。
【0078】
また、二次原反ロールRを支持するための図8に示す支持軸80には、図7に示すような細径に形成された細径部82Aを先端側に有する鋼製のコア部材82が、このコア部材82の基端部に形成されたネジ穴83にボルトがねじ込まれることにより固定されるようになっている。このコア部材82の細径部82Aには、ベアリング86が取り付けられる他、図示しないスナップリングが入る溝部84が一周に亘って形成されていて、この溝部84に入るスナップリングがベアリング86のずれを防止するようになる。
【0079】
さらに、このベアリング86の外周側には、リング状に形成された鋼製の中間部材88が配置されている。この中間部材88の内周面には、スナップリングの外周側が嵌り込む溝部89が一周に亘って形成されており、この中間部材88の外周面には、雄ねじ90が形成されている。但し、この中間部材88は、中心補強部74Cの貫通穴76に隙間無く挿入可能な大きさに形成されている。
【0080】
そして、図7において中間部材88に隣り合った位置には、軸方向に延びるスリット溝93を有しつつリング状に形成された鋼製のソケット92が存在している。このソケット92の内周面には雌ねじ94が形成されていて、中間部材88の雄ねじ90と螺合してこのソケット92内に中間部材88がねじ込まれるようになっている。このソケット92の外周面のスリット溝93を挟んだ部分には、ネジ止め可能な穴部95A及びねじ穴95Bを有した突出部92Aが、外周側に突出するように形成されている。
【0081】
従って、これらコア部材82、ベアリング86、中間部材88及びソケット92を一体的に組み合わせ、コア部材82を支持軸80にネジ止めて固定した状態で、ソケット92を中間部材88に対してねじ込んで、円盤72の中心部分に存在する中心補強部74Cに当接させつつ、二次原反ロールRに対して所定の応力を加えて円盤72を押し付ける。そして、ソケット92に形成された突出部92Aの穴部95A及びねじ穴95Bにボルトをねじ込んで、このボルトを締めつけることでインターフォルダでの加工中においてソケット92が緩まないようにする。
【0082】
つまり、これらコア部材82、ベアリング86、中間部材88及びソケット92を一体的に組み合わせ、ソケット92の突出部92Aにボルトをねじ込んだ状態とされるものが、二次原反ロールRの内周側寄りに配置される図8に示す固定部材96とされることから、この固定部材96が円盤72の内周側を二次原反ロールRに対して固定することになる。
【0083】
これに伴い、二次原反ロールRの他方の側端部RTにも、同様に円盤72を配置することができる。つまり、一対の円盤72が二次原反ロールR側にそれぞれ押付けられた状態で、円盤72の内周側を一対の固定部材96が支持軸80にそれぞれ取り付けることで、円盤72の内周側を二次原反ロールRに対して固定することになる。
【0084】
また、前述のティシューペーパー製品用二次原反ロールRの製造設備により形成されて、薬液が塗布されている積層連続シートS2が巻かれた二次原反ロールRは、一定時間保存されて積層連続シートS2が薬液を吸湿することになるが、この後に、この二次原反ロールRから積層連続シートS2が送り出されて折り畳まれると共に所定長さ毎に切断されて、ティシューペーパーとなる。
【0085】
この際、この二次原反ロールRの両側端部RTに各円盤72を配置し、固定部材96で支持軸80に対して各円盤72を固定した状態で、ロータリー式インターフォルダに二次原反ロールRがセットされ、セットされた二次原反ロールRから積層連続シートS2を繰り出して折り畳むと共に積層することによってティシューペーパー束を製造することになる。
但しこの際、図示しない駆動源により回転される駆動ベルトが、このように一対の円盤72が取り付けられた二次原反ロールRに常時接する状態となるように、配置されることになる。そして、この駆動ベルトが回転するのに伴い二次原反ロールRが回転して、二次原反ロールRの外周側から巻き出されて連続する帯状の二次連続シートが、駆動ベルトにより安定した速度で送り出されるようになっている。
【0086】
次に、本実施の形態に係る巻きずれ防止材70の作用を説明する。
本実施の形態の巻きずれ防止材70によれば、リング状に形成された金属製であるアルミニウム製の円盤72の内周側を紙材である積層連続シートS2が巻かれた二次原反ロールRに対して固定するための固定部材96が、二次原反ロールRの内周側寄りに配置されている。そして、円盤72が二次原反ロールR側に押付けられた状態で、この固定部材96が円盤72の内周側を支持軸80に取り付けることで、円盤72の内周側を二次原反ロールRに対して固定することができる。
【0087】
また、放射状に円盤72に配置される放射補強部74A及び円盤72の外周部分に配置される外周補強部74Bを有した補強部材74により、この円盤72が補強され、これら放射補強部74A及び外周補強部74Bがアルミニウム製で円盤72と一体的に形成されていることから、特に外周側が反ったりすることもなく、二次原反ロールRの側端部RTに密着してこの円盤72が配置されることになる。この際、二次原反ロールRの側端部RTに密着させる部材を外形が円形とされる円盤72としたのは、二次原反ロールRの回転に伴って回転するものであるから、円盤72の外周側に何らかのものが接触しても、巻き込まれ難くなるようにしたものである。
【0088】
但し、円盤72の二次原反ロールRと対向する側の面に弾性変形可能なゴム製のシートによる弾性材78が存在していることから、固定部材96により円盤72が二次原反ロールRに対して固定して設置されているものの、円盤72と二次原反ロールRの側端部RTは適度な摩擦力を生じると同時に、二次原反ロールRから積層連続シートS2がスムーズに繰り出されるようになる。
【0089】
つまり、二次原反ロールRの側端部RTを固定部材96と弾性材78とにより適度な力で押さえつつ、円盤72で案内することができるので、薬液が塗布されて吸湿している二次原反ロールRが回転された場合でも、円盤72によりこの二次原反ロールRが支持されて最後まで巻きずれすることなく、二次原反ロールRから積層連続シートS2を送り出すことができる。これに伴い、本実施の形態の巻きずれ防止材70を用いることにより、予め薬液を含浸させた二次原反ロールRであっても、巻ずれや縒れを改善できるため、二次原反ロールRの巻取り長さを従来技術より長くすることが可能となった。
【0090】
以上の結果、二次原反ロールRの交換回数を減らすことができるため、作業性の改善、作業効率の向上及び、二次原反ロールRの交換に伴う作業停止時間の削減が可能となるだけでなく、二次原反ロールRの交換に伴う作業停止によるインターフォルダの加減速回数の低減による平均加工速度の向上が可能となり、生産量の向上や労務費の削減が図れて安定した操業が可能になった。
他方、二次原反ロールRの交換に伴って積層連続シートS2の継目が削減できることから、損紙の発生量を削減し、加工歩留も向上することになった。
【0091】
また、本実施の形態によれば、円盤72が二次原反ロールR側に押付けられた状態で、二次原反ロールRの支持軸80に円盤72の内周側を固定部材96により取り付けて円盤72の内周側を二次原反ロールRに対して固定することで、円盤72を二次原反ロールR側に押付けた状態に確実に維持できるようになった。この一方、弾性材78の面積により押付け力を調整することで、積層連続シートS2のちぎれをより確実に解消することができるようにもなった。
【0092】
さらに、本実施の形態によれば、円盤72とすることで体積が大きくなるものの、円盤72及び補強部材74がアルミニウム製とされると共に、補強部材74の放射補強部74A及び外周補強部74Bが円盤72と一体的に形成されたことで、必要な強度を維持しつつ軽量化が図られるようになった。
【0093】
尚、上記実施の形態では、円盤72をアルミニウム製としたが、単なるアルミニウム材だけでなく、アルミニウム合金としても良く、軽量で必要な強度を有する金属材であれば他の金属材を用いても良い。さらに、上記実施の形態では、ゴム製のシートとされる弾性材78を2枚重ねたものを用いたが、必要な弾性が得られるのであれば、弾性材は1枚であっても良く、また、材質としては、ゴム材以外の発泡性の合成樹脂、例えばポリ塩化ビニル等を用いることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、ティシューペーパー製品用二次原反ロールのロータリー式インターフォルダへの送り出しに適用できるものである。
【符号の説明】
【0095】
70 巻きずれ防止材
72 円盤
74 補強部材
74A 放射補強部
74B 外周補強部
78 弾性材
82 コア部材
86 ベアリング
88 中間部材
92 ソケット
96 固定部材
図1
図2
図3
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図9