特許第5669473号(P5669473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669473
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】剃刀のハンドル
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/52 20060101AFI20150122BHJP
   B25G 1/00 20060101ALI20150122BHJP
   B25G 1/10 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   B26B21/52 A
   B25G1/00 C
   B25G1/10 D
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-168085(P2010-168085)
(22)【出願日】2010年7月27日
(65)【公開番号】特開2012-24456(P2012-24456A)
(43)【公開日】2012年2月9日
【審査請求日】2013年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】古田 樹也
【審査官】 足立 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−261543(JP,A)
【文献】 特開2009−189553(JP,A)
【文献】 特表2005−536259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/52
B25G 1/00
B25G 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部にはその長手方向の両側のうち一方の側に頭部を設けるとともに他方の側に尻部を設け、刃体を組み込んだ剃刀ヘッドをこの把持部の頭部に設け、この把持部は、その刃体の刃先が向く腹側である腹部と、その腹側に対する反対側の背側である背部と、その刃先の延設方向に沿う幅方向の両側である側部とをその頭部と尻部との間に有している剃刀のハンドルにおいて、
前記把持部の幅方向の両側で把持部の両側部には幅方向で相対向する指当壁部を把持部の頭部と尻部との間で長手方向へ延びるように設けるとともに、この把持部の背部側で両指当壁部間には把持部の頭部と尻部との間で長手方向へ延びる背壁部を設け、この把持部の腹部側で両指当壁部間には把持部の頭部と尻部との間でこの背壁部に接して長手方向へ延びる空間部を設けて、この空間部の一部または全部を両指当壁部の内面で挟み、
前記両指当壁部は把持部の長手方向及び幅方向に交叉する厚み方向の両側に設けた腹部側の端部と背部側の端部とのうち腹部側の端部を自由端部とする片持ち梁状をなして、その両指当壁部の自由端部間で前記空間部を開放し、
前記把持部には、幅方向の両側に設けられて頭部と尻部との間で長手方向へ延びる両側枠部と、頭部側で両側枠部を互いに接続した端枠部と、尻部側で両側枠部を互いに接続した端枠部とにより環状をなす支持枠部を設け、両指当壁部の自由端部に対する反対側になる固定端部は、指当壁部より硬質の支持枠部の両側枠部に取着され、
前記両指当壁部は空間部側へ押された際に空間部側へ変形し、一方の指当壁部を他方の指当壁部側へ押した際に一方の指当壁部が他方の指当壁部側へ弾性変形して撓んで生じる撓み量は、両指当壁部の固定端部側よりも自由端部側ほど大きくなっており、
頭部と尻部との間で把持部の両側部には両側部間の幅方向間隔を最も狭くした幅方向寸法のくびれ部を設け、このくびれ部で把持部は、腹部と背部とを結ぶ厚み方向と両側部間を結ぶ幅方向とへそれぞれ折曲することができるとともに、腹部と背部と両側部とを結ぶ周方向へ捻ることができるように、弾性変形し、
前記空間部に接する両指当壁部の内面側に対し反対側になる外面においては、把持部の長手方向の両側のうち頭部側の端部と尻部側の端部との間にあるくびれ部とその頭部との間で、両指当壁部の固定端部と自由端部との間の厚み方向寸法を最大に設定した頂部を設け、
前記両指当壁部の外面における厚み方向寸法は、頂部から尻部側に向うに従いくびれ部に向って減少し、そのくびれ部で両指当壁部の固定端部と自由端部との間の厚み方向寸法を最小にし、くびれ部から尻部側に向うに従い固定端部と自由端部との間の厚み方向寸法を大きくし、
前記くびれ部から連続する尻部は、厚み方向の両側へ膨出するとともに幅方向の両側へ膨出した幅方向寸法の肥大部を有するとともに、両指当壁部間の背壁部を厚み方向へ膨らませた突部を有し、
前記空間部は尻部の肥大部まで延びて指掛部を有している
ことを特徴とする剃刀のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は剃刀のハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1では、柄の表面に同素材の硬質表面部と同素材の軟質表面部とがそれぞれ露出して配置されているだけであるため、柄を把持して指を柄の表面に当てがった際に、指の感触に変化が生じにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−64170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、剃刀のハンドルにおいて、把持部を把持し易くするとともに、把持部に指を当てがった際の感触をより一層良くして使い勝手を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後記実施形態の図面(図1〜4)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる剃刀1のハンドル2は、下記の形態及び機能を有している。
把持部3にはその長手方向Xの両側のうち一方の側に頭部6を設けるとともに他方の側に尻部7を設け、刃体5を組み込んだ剃刀ヘッド4をこの把持部3の頭部6に設けている。この把持部3は、その刃体5の刃先5aが向く腹側である腹部8と、その腹側に対する反対側の背側である背部9と、その刃先5aの延設方向に沿う幅方向Yの両側である側部10とをその頭部6と尻部7との間に有している。
前記把持部3の幅方向Yの両側で把持部3の両側部10には幅方向Yで相対向する指当壁部20を把持部3の頭部6と尻部7との間で長手方向Xへ延びるように設けている。この把持部3の背部9側で両指当壁部20間には把持部3の頭部6と尻部7との間で長手方向Xへ延びる背壁部18を設けている。この把持部3の腹部8側で両指当壁部20間には把持部3の頭部6と尻部7との間でこの背壁部18に接して長手方向Xへ延びる空間部11を設けて、この空間部11の一部または全部を両指当壁部20の内面で挟んでいる。
前記両指当壁部20は把持部3の長手方向X及び幅方向Yに交叉する厚み方向Zの両側に設けた腹部8側の端部20aと背部9側の端部20bとのうち腹部8側の端部20aを自由端部20aとする片持ち梁状をなして、その両指当壁部20の自由端部20a間で前記空間部11を開放している。
前記把持部3には、幅方向Yの両側に設けられて頭部6と尻部7との間で長手方向Xへ延びる両側枠部13と、頭部6側で両側枠部13を互いに接続した端枠部14と、尻部7側で両側枠部13を互いに接続した端枠部15とにより環状をなす支持枠部12を設けている。両指当壁部20の自由端部20aに対する反対側になる固定端部20bは、指当壁部20より硬質の支持枠部12の両側枠部13に取着されている。
前記両指当壁部20は空間部11側へ押された際に空間部11側へ変形する。一方の指当壁部20を他方の指当壁部20側へ押した際に一方の指当壁部20が他方の指当壁部20側へ弾性変形して撓んで生じる撓み量は、両指当壁部20の固定端部20b側よりも自由端部20a側ほど大きくなっている。
頭部6と尻部7との間で把持部3の両側部10には両側部10間の幅方向間隔を最も狭くした幅方向寸法W1のくびれ部25を設けている。このくびれ部25で把持部3は、腹部8と背部9とを結ぶ厚み方向Zと両側部10間を結ぶ幅方向Yとへそれぞれ折曲することができるとともに、腹部8と背部9と両側部10とを結ぶ周方向へ捻ることができるように、弾性変形する。
前記空間部11に接する両指当壁部20の内面側に対し反対側になる外面23においては、把持部3の長手方向Xの両側のうち頭部6側の端部と尻部7側の端部との間にあるくびれ部25とその頭部6との間で、両指当壁部20の固定端部20bと自由端部20aとの間の厚み方向寸法H1を最大に設定した頂部24を設けている。
前記両指当壁部20の外面23における厚み方向寸法は、頂部24から尻部7側に向うに従いくびれ部25に向って減少し、そのくびれ部25で両指当壁部20の固定端部20bと自由端部20aとの間の厚み方向寸法H2を最小にし、くびれ部25から尻部7側に向うに従い固定端部20bと自由端部20aとの間の厚み方向寸法H3を大きくしている。
前記くびれ部25から連続する尻部7は、厚み方向Zの両側へ膨出するとともに幅方向Yの両側へ膨出した幅方向寸法W2の肥大部7aを有するとともに、両指当壁部20間の背壁部18を厚み方向Zへ膨らませた突部7bを有している。前記空間部11は尻部7の肥大部7aまで延びて指掛部17aを有している。
請求項1の発明にかかる剃刀1のハンドル2は、上記の形態及び機能により、下記(イ)〜(ヌ)の特徴を有している
(イ) ハンドル2の把持部3を把持して片持ち梁状の指当壁部20に指を当てがった際に、指当壁部20の自由端部20a側ほどその弾性変形の撓み量が大きくなるため、ハンドル2の把持部3が手に馴染み易くなり、感触を従来のものよりもより一層良くして使い勝手を向上させることができる。
(ロ) 両側枠部13と両端枠部14,15とにより環状に設けた支持枠部12により、片持ち梁状の指当壁部20の固定端部20bを支持して、片持ち梁状の指当壁部20の自由端部20aを撓み易くすることができる。
(ハ) 把持部3の両側枠部13は、硬質材で形成されて剛性を有しているものの、その肉厚を小さくすれば外力により撓むことも可能である。特に、指当壁部20の付近において両側枠部13は背壁部18を挟んだ状態で幅方向Yへ互いに接近するにように撓むことができる。その際、両側枠部13の剛性によりハンドル2としての剛性を維持しつつ、腹側の指当壁部20は背側の両側枠部13よりも撓み易く、使用者の指先にフィットし易い状態となる。
(ニ) 把持部3の背部9側で両指当壁部20間には背壁部18を設けているので、その背壁部18に指を当てがって把持部3を把持し易い。
(ホ) 空間部11の一部または全部を両指当壁部20の内面で挟んでいるとともに、両指当壁部20は片持ち梁状をなして自由端部20a間で空間部11を開放しているので、両指当壁部20を変形させ易い。
(へ) 把持部3は、くびれ部25で、腹部8と背部9とを結ぶ方向と両側部10間を結ぶ方向とへそれぞれ折曲することができるとともに、腹部8と背部9と両側部10とを結ぶ周方向へ捻ることができるように、弾性変形し得るため、ハンドル2を把持した際にハンドル2に与える力に応じてハンドル2が弾性変形し、ハンドル2が手に馴染み易くなって感触を良くすることができる。
(ト) 空間部11に接する両指当壁部20の内面側に対し反対側になる外面23においては、把持部3の長手方向Xの両側のうち頭部6側の端部と尻部7側の端部との間にあるくびれ部25とその頭部6との間で、両指当壁部20の固定端部20bと自由端部20aとの間の厚み方向寸法H1を最大に設定した頂部24を設けているので、把持部3を把持し易い。
(チ) 両指当壁部20の外面23における厚み方向寸法は、頂部24から尻部7側に向うに従いくびれ部25に向って減少し、そのくびれ部25で両指当壁部20の固定端部20bと自由端部20aとの間の厚み方向寸法H2を最小にし、くびれ部25から尻部7側に向うに従い固定端部20bと自由端部20aとの間の厚み方向寸法H3を大きくしているので、把持部3を把持し易い。
(リ) くびれ部25から連続する尻部7は、厚み方向Zの両側へ膨出するとともに幅方向Yの両側へ膨出した幅方向寸法W2の肥大部7aを有するとともに、両指当壁部20間の背壁部18を厚み方向Zへ膨らませた突部7bを有しているので、把持部3を把持し易い。
(ヌ) 空間部11は尻部7の肥大部7aまで延びて指掛部17aを有しているので、指掛部17aに指を掛けて把持部3を把持し易い。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、剃刀1のハンドル2において、把持部3を把持し易くするとともに、把持部3に指を当てがった際の感触を従来のものよりもより一層良くして使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)は本実施形態にかかる剃刀を腹側から見た斜視図であり、(b)は同じく剃刀を背側から見た斜視図である。
図2】(a)は上記剃刀のハンドルを腹側から見た正面図であり、(b)は上記剃刀のハンドルを背側から見た背面図である。
図3】(a)は上記剃刀のハンドルを側方から見た側面図であり、(b)は上記剃刀のハンドルを側方から見た断面図である。
図4】(a)は図3(a)のA−A線断面図であり、(b)は図3(a)のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態にかかる手動利器である剃刀のハンドルについて図面を参照して説明する。
図1に示す剃刀1は、把持部3を有するハンドル2と、刃体5を組み込んだ剃刀ヘッド4とを備えている。このハンドル2において、把持部3にはその長手方向Xの両側のうち一方の側に頭部6が設けられているとともに他方の側に尻部7が設けられている。前記剃刀ヘッド4はこの把持部3の頭部6側でハンドル2に対し着脱不能に且つ首振り可能に支持されている。この把持部3は、その刃体5の刃先5aが向く腹側である腹部8と、その腹側に対する反対側の背側である背部9と、その刃先5aの延設方向の両側である側部10とをその頭部6と尻部7との間に有している。前記把持部3の腹部8において把持部3の両側部10間には頭部6と尻部7との間で把持部3の長手方向Xへ延びる空間部11が設けられている。
【0022】
図2〜4に示すように、前記把持部3は、両側部10間を結ぶ幅方向Yの両側に配設された両側枠部13と、頭部6側で両側枠部13の端部間を互いに接続した端枠部14と、尻部7側で両側枠部13の端部間を互いに接続した端枠部15とにより、環状の支持枠部12を有しているとともに、この支持枠部12に対し一体的に成形された壁部16を有している。この壁部16は、支持枠部12の両側枠部13及び両端枠部14,15に沿って環状に延びる周壁部17と、その周壁部17の内側で周壁部17と連続して設けられた背壁部18とからなる。前記空間部11は、この周壁部17と背壁部18との間に設けられ、この背壁部18に面して腹側に開放されている。この支持枠部12はABS樹脂やポリプロピレン樹脂などの硬質材により成形されている。この壁部16はエラストマ樹脂やシリコーン樹脂などの軟質材により成形され、この壁部16の硬度は支持枠部12の硬度より小さいショアA30〜ショアD60の範囲に設定することが好ましい。
【0023】
前記周壁部17のうち支持枠部12の両側枠部13から把持部3の厚み方向Zで腹側に突出する側壁部19には、指当壁部20(指当部)が前記空間部11を把持部3の幅方向Yで挟んで空間部11に沿って頭部6側から尻部7側へ向けて長手方向Xへ延設されている。前記背壁部18には頭部6側で支持枠部12の端枠部14に隣接して指当凹部21が設けられているとともに、この指当凹部21に隣接して大小の直径を有する複数の貫通孔22が大小交互に尻部7側へ向けて並設されている。この各貫通孔22は、水中で泡が浮かんでいるイメージを使用者に抱かせることができる。この両側壁部19は側枠部13の端面13aに対し熱溶着により取着された段差部19aを有している。なお、側壁部19の段差部19aを側枠部13の端面13aに対し剥がれ得るようにしてもよい。
【0024】
前記両指当壁部20は、腹側に自由端部20aを有する片持ち梁状をなしてその両指当壁部20の自由端部20a間で前記空間部11が開放されている。片持ち梁状をなす両指当壁部20の固定端部20bは前記側枠部13に取着されている。前記空間部11に面する両指当壁部20の内面側に対し反対側になる外面23は、固定端部20b側から自由端部20a側に向うに従い両指当壁部20の自由端部20aが互いに接近するように傾斜しているとともに、把持部3の長手方向Xの両側のうち頭部6側から尻部7側に向うに従い互いに接近するように傾斜している。この両指当壁部20の外面23には凹凸状の滑り止め部23aが長手方向Xに並んで形成され、この各滑り止め部23aが長手方向Xへ並ぶ所定範囲Eで、前記背壁部18の各貫通孔22が幅方向Yの両側にある各滑り止め部23a間で並んでいる。また、この外面23においては、把持部3の長手方向Xの両側のうち頭部6側の端部と尻部7側の端部との間の中間部で、固定端部20bと自由端部20aとの間の厚み方向寸法H1(約7mm)が最大に設定された頂部24が設けられ、それらの両端部から頂部24に向けてなだらかに連続している。この両指当壁部20は空間部11側へ押された際に空間部11側へ撓んで弾性変形する。その弾性変形の際に生じる撓み量は自由端部20a側ほど大きい。
【0025】
前記把持部3の両側部10のうち前記指当壁部20を有する側部10と尻部7との間の側部10には、ハンドル2の幅方向寸法のうち両側部10間の間隔を最も狭くした幅方向寸法W1(約9mm)のくびれ部25が設けられている。このくびれ部25から連続する尻部7は、厚み方向Zの両側へ膨出するとともに幅方向Yの両側へ膨出した幅方向寸法W2(約22mm)の肥大部7aを有している。また、尻部7は背壁部18が厚み方向Zへ若干膨らんだ突部7bを有している。このくびれ部25で把持部3は、例えば、腹部8と背部9とを結ぶ方向と両側部10間を結ぶ方向とへそれぞれ折曲することができるとともに、腹部8と背部9と両側部10とを結ぶ周方向へ捻ることができるように、弾性変形し得る。
【0026】
前記両指当壁部20の外面23における厚み方向寸法は頂部24からくびれ部25に向って減少し、その外面23はくびれ部25における側壁部19の外面に対しなだらかに連続している。そのくびれ部25で側壁部19の外面の厚み方向寸法H2(約2mm)が最小になり、さらに、そのくびれ部25から尻部7側に向うに従い側壁部19の外面の厚み方向寸法が大きくなって尻部7で側壁部19の外面の厚み方向寸法がH3(約3.5mm)となる。また、前記腹部8の空間部11は尻部7の肥大部7aまで延び、その空間部11の尻端側の端を形成する周壁部17の腹部側(空間部11の開口部側)は指を掛けることができる指掛部17aを有している。
【0027】
前記ハンドル2において把持部3の頭部6側にある支持枠部12の端枠部14は、前記剃刀ヘッド4に対する支持部を兼用し、ハンドル2の幅方向寸法のうち最大の幅方向寸法W3(約23mm)を有している。剃刀ヘッド4は、この支持部(端枠部14)の幅方向Yの両側に設けられた支持腕部26により回動可能に支持され、その両支持腕部26間でこの支持部(端枠部14)の幅方向Yの中央部に設けられた板ばね部27により弾性的に付勢されて、板ばね部27の弾性力により腹側に付勢された静止状態から背側へ板ばね部27の弾性力に抗して傾動し得る。前記腹部8の空間部11は、端枠部14側へ開放され、その端枠部14に形成された小突起14aの幅方向Yの両側を通してこの剃刀ヘッド4側へ開放されている。なお、剃刀1の全長Lは約130mmになっている。
【0028】
使用時にハンドル2を把持する際には、指当壁部20に親指の腹面と人差し指の腹面とを当てがうか、或いは、人差し指の腹面を背部9の指当凹部21に当てがうとともに指当壁部20に親指の腹面と中指の腹面とを当てがい、これら把持状態に加えさらに、尻部7の背側の突部7bを手の平に当てがって尻部7の肥大部7aを手の平で包み込むようにし、小指または薬指を尻部7の腹側の空間部11で指掛部17aに当てがう。それにより、尻部7の肥大部7aを手の平内に納めて、尻部7側を安定に保持しつつ、親指や人差し指や中指でハンドル2を操作すると、くびれ部25より頭部6側を使用状況に応じて変位させることができて使い易い。
【0029】
本実施形態は下記の効果を有する。
(1) ハンドル2を把持して片持ち梁状の指当壁部20に指を当てがった際に、指当壁部20の自由端部20a側ほどその弾性変形の撓み量が大きくなるため、ハンドル2が手に馴染み易くなり、感触を従来のものよりもより一層良くして使い勝手を向上させることができる。特に、湿式の剃刀1では、ハンドル2が濡れて滑り易い状態でも、ハンドル2を安定して把持し易い。
【0030】
(2) 把持部3は、くびれ部25で、腹部8と背部9とを結ぶ方向と両側部10間を結ぶ方向とへそれぞれ折曲することができるとともに、腹部8と背部9と両側部10とを結ぶ周方向へ捻ることができるように、弾性変形し得るため、ハンドル2を把持した際にハンドル2に与える力に応じてハンドル2が弾性変形し、ハンドル2が手に馴染み易くなって感触を良くすることができる。
【0031】
(3) 把持部3の両側枠部13は、硬質材で形成されて剛性を有しているものの、その肉厚を小さくすれば外力により撓むことも可能である。特に、指当壁部20の付近において両側枠部13は背壁部18を挟んだ状態で幅方向Yへ互いに接近するにように撓むことができる。その際、両側枠部13の剛性によりハンドル2としての剛性を維持しつつ、腹側の指当壁部20は背側の両側枠部13よりも撓み易く、使用者の指先にフィットし易い状態となる。また、把持部3のくびれ部25は、硬質材と軟質材とで構成されているとともに、両側枠部13の間隔を狭くしたこともあって、ある程度の剛性を維持しつつ、捻ったり曲げたりすることが可能である。
【0032】
(4) 両指当壁部20の外面23における凹凸状の滑り止め部23aが長手方向Xへ並ぶ所定範囲Eで、背壁部18の各貫通孔22が幅方向Yの両側にある各滑り止め部23a間で並んでいるので、その各貫通孔22により両指当壁部20が撓み易くなるとともに、各滑り止め部23aを指先で持つことができ、剃刀1のハンドル2を使い易くなる。
【0033】
(5) 側壁部19が段差部19aで側枠部13の端面13aに対し剥がれ得るようにした場合、頻繁な使用によりその段差部19aが剥がれた場合にはハンドル2の交換の目安となる。
【0037】
なお、剃刀ヘッド4をハンドル2に対し着脱不能に支持するばかりでなく、剃刀ヘッド4を交換できるように着脱可能に支持してもよい。また、剃刀ヘッド4をハンドル2に対し首振り可能に支持するばかりでなく首振り不能に支持してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…手動利器としての剃刀、2…ハンドル、3…把持部、4…剃刀ヘッド、5…刃体、5a…刃先、6…頭部、7…尻部、7a…肥大部、7b…突部、8…腹部、9…背部、10…側部、11…空間部、12…支持枠部、13…側枠部(基部)、14,15…端枠部、17a…指掛部、18…背壁部、20…指当壁部(指当部)、20a…自由端部、20b…固定端部、23…外面、24…頂部、25…くびれ部、X…長手方向、Y…幅方向、Z…厚み方向。
図1
図2
図3
図4