(54)【発明の名称】最適な書き込み電流パルスのオーバーシュートのために不均一なセクションを有する、書き込みドライバから書き込みヘッドへの伝送線を有する磁気記録ディスクドライブ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のセグメントの前記各伝送線セクションの前記導電性トレースの幅は、前記各伝送線セクションに接続された伝送線セクションの前記導電性トレースの幅と異なる、
請求項4に記載の磁気記録ディスクドライブ。
前記第1のセグメントの前記各伝送線セクションの前記導電性トレースの幅は、前記各伝送線セクションに接続された伝送線セクションの前記導電性トレースの幅と異なる、
請求項9に記載の磁気記録ディスクドライブ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、ハードディスクドライブ10のヘッド/ディスク組立体(HDA)の上面図である。ハードディスクドライブ10は、読み書きヘッド29に接続された導電性トレースまたは線32のアレイを有する一体型リードサスペンション(ILS)30または屈曲部を有する少なくとも1つの負荷ビーム組立体20を有する。負荷ビーム組立体20は、Eブロック24に接続された剛性アーム22に取り付けられている。ハードディスクドライブ10は、ディスクのスタック(上部ディスク16を含む)を支持するスピンドル14を支持する剛性ベース12を含む。スピンドル14は、湾曲した矢印17により示す方向にディスクを回転させるためのスピンドルモータ(不図示)により回転させられる。また、ハードディスクドライブ10は、ピボット点41において剛性ベース12に回転可能に装着されたアクチュエータ組立体40を含む。アクチュエータ組立体40は、剛性ベース12に固定された磁石組立体42とボイスコイル43とを含むボイスコイルモータ(VCM)アクチュエータである。制御回路(不図示)により通電されると、ボイスコイル43は移動し、それにより、Eブロック24を取り付けられた剛性アーム22および負荷ビーム組立体20とともに回転させて、読み書きヘッド29をディスク上のデータトラックに対して位置決めする。線32のアレイは、一端において読み書きヘッド29に接続されるとともに、その他端において、短い可撓性ケーブルを介して、Eブロック24の側面に固定された電気モジュールまたはチップ50に収容された読み書き回路に接続されている。チップ50は、読み取り前置増幅器/書き込みドライバ回路を含む。
【0012】
図2Aは、チップ50を読み書きヘッドと接続する伝送線を示すILS30およびチップ50の平面図である。ILS30は、ジンバル部51と可撓ケーブルパッド部52との間の伝送線31を含む。ILS30は、導電性基板、絶縁誘電体層、電気トレースまたは線のための導電性層、およびオプションの絶縁誘電体カバー層の3層で構成される積層体である。ジンバル部51は、読み書きヘッド29(
図1)を収容するスライダ(不図示)を支持し、スライダ上のパッドに電気的に接続するためのパッド55に至る導電性トレース53を有する。ILS30は、ジンバル部51上の導電性トレース53に接続された電気的接続端部34を有する。可撓ケーブルパッド部52は、可撓ケーブル60を介してチップ50に電気的に接続された複数の電気的接続パッド(パッド54、56等)を有する。可撓ケーブル60は、Eブロック24(
図1)の側面に装着されたチップ50をILS30上のパッド(パッド54、56等)に接続する。
図2Aを単純化するため、それぞれ−Wおよび+Wのリード線58、59のみを示す。ILS30は、可撓ケーブルパッド部52上のパッド54、56に接続された電気的接続端部36を有する。可撓ケーブルパッド部52とジンバル部51との間でILS30の本体に沿って、複数の交互配置された導電性トレースまたは線32が互いに略平行に延在している。線32は、チップ50における書き込みドライバからジンバル部51に接続されたスライダ上の書き込みヘッドへのILS30の伝送線31の一部を形成する。チップ50における書き込みドライバから書き込みヘッドへの伝送線の他の部分は、可撓ケーブル60上の伝送線37(具体的にはリード線58、59)である。
【0013】
図2Bおよび
図2Cは、第1の組の線71、73(+W線)と第2の組の線72、74(−W線)としてグループ化された線32のトレース相互接続アレイを示す伝送線31の断面図である。線71〜74は、銅で形成されるのが典型的であり、交互配置された状態の差分書き込み信号(+Wおよび−W)を搬送するものとして図示されている。また、ILS30は、チップ50における読み取り前置増幅器を、ジンバル部51に接続されたスライダ上の読み取りヘッドに接続する導電性トレースまたは線57(
図2A)を含む。
【0014】
図2Bは、
図2Aにおける伝送線31の断面2B−2Bを通る拡大断面図であり、その積層構成を示す。伝送線31は、略平面の支持部材61、複数の4本の交互配置された導電性書き込みトレースまたは線(第1の組における線71、73および第2の組における線72、74等)、およびオプションの絶縁誘電体カバー層66を含む。線71〜74は、交互配置された状態の差分書き込み信号(+Wおよび−W)を搬送する。支持部材61は、ステンレス鋼などの金属で形成されるのが典型的な導電性ベースまたは基板62、およびポリイミドなどの誘電体材料で形成された線71〜74と基板62との間の絶縁誘電体層64を含む。基板62は、厚さ約18ミクロンであるのが典型的で、絶縁誘電体層64は、厚さ約10ミクロンであるのが典型的である。また、オプションの絶縁誘電体カバー層66は、ポリイミドで、線71〜74の上部に約15ミクロンの厚さに形成されるのが典型的である。書き込み線は、4本の交互配置された線に分割された状態で示しているが、書き込み線は、所望される特性インピーダンスレベルに到達するように5本以上の線(例えば8本の線)に分割することも可能である。
【0015】
また、
図2Aに示すように、伝送線31は、積層体の基板62において複数の窓33または間隙を含んでもよい。この様子を、
図2Aの断面2C−2Cの断面図である
図2Cに示す。間隙においては、絶縁誘電体層64の下方にステンレス鋼が存在しない。間隙により、導電性の基板62により引き起こされる信号損失が低減される。交互配置された導電性トレース、導電性の基板62、および窓33または間隙により、伝送線31の相互接続特性インピーダンスZ
0のより幅広い調整が可能になる。
【0016】
図2Dは、電気的接続端部36およびパッド54、56への接続を示すILS30の一部の平面図である。この例では、伝送線が、4本の交互配置された線に分割された書き込み線を有する。パッド54は、+W信号に接続され、リード線81を介して線71および73に直接接続されている。パッド56は、−W信号に接続され、線74にリード線89を介して直接、次いで線72にバイアを通じて接続されている。第1の組における線71、73および第2の組における線72、74は、交互配置され、絶縁誘電体層64上で同一平面にあり、互いに略平行に延在している。
図2Dにおいて、各信号は、+Wおよび−W信号が図示のように交互配置された状態で2本の線に散開している。線の本数は、所望される特性インピーダンスレベルに到達するように、例えば図示の4から6、8、10、12...などに増加可能である。単一ソース接続のパッド54および56により、隣接する電気的相互接続への単純な2パッド接続が可能になり、単純な機械的接続が可能になる。空間的に許容される場合は、多数の交互配置されたパッドを用いることが可能である。
【0017】
図3は、書き込みドライバ回路と書き込みヘッドとの間の相互接続を示す概略図である。書き込みドライバは、電圧V
driveで動作し、各々が抵抗R
WD/2を有する2つの抵抗器により表される抵抗R
WDを有する。書き込みドライバ回路は、典型的には0.01GHzから1.5GHzまでの、将来のより高データレートのハードディスクドライブシステムにおいてはそれ以上の関連する周波数成分を有する、広帯域信号を供給することが要求される。書き込みドライバ回路は、可撓ケーブル60(
図2A)の伝送線37に接続され、書き込みヘッドは、ILS30(
図2A)の伝送線31に接続されている。現在のHDDでは、書き込みヘッドへの書き込み電流パルスのブーストまたはオーバーシュートを用いて、ディスク媒体において精密な磁気的フットプリントを生じさせる。この精度は、低データレートおよび高データレートで要求される。典型的には、ヘッドおよび媒体における磁束密度反転が比較的遅いことが、より高いデータレートおよび領域密度性能を達成する上でのボトルネックである。高速な磁束反転を達成するための現在の解決策は、書き込みドライバ回路における電子装置を用いて書き込み電流のオーバーシュートを生じさせる、というものである。しかし、データレートが増加し電源電圧が低下するにつれ、電子部品の使用は、制限要因になる可能性がある。
【0018】
より高速な磁束反転を達成するために提案された別のアプローチは、伝送線の反射を用いるもので、(非特許文献1)に説明されている。この固有の伝送線オーバーシュートのアプローチでは、書き込みドライバ回路からのオーバーシュート要求が低下する。書き込み電流パルスのオーバーシュートを達成する多セグメント伝送線が、ともにHitachiに譲受された(特許文献1)および(特許文献2)に記載されている。要求されるオーバーシュートを達成するため、書き込みドライバに接続された第1のセグメントは、書き込みドライバのインピーダンスZ
WDに整合するインピーダンスZ
01を有することが要求され、第1のセグメントから書き込みヘッドに接続されたセグメントまでの各連続セグメントは、連続的に小さくなるインピーダンスを有することが要求される。
図4は、(特許文献2)による2セグメント実施形態の書き込みドライバ回路と書き込みヘッドとの間の相互接続を示す概略図の例である。書き込みドライバは、電圧V
driveで動作し、各々が抵抗R
WD/2を有する2つの抵抗器により表される抵抗R
WDを有し、書き込み電流I
wを書き込みヘッドに供給する。第1のセグメントのインピーダンスZ
01は、書き込みドライバのインピーダンスZ
WDと整合し、第2のセグメントのインピーダンスZ
02よりも大きく、第2のセグメントのインピーダンスZ
02は、負荷インピーダンスZ
Lよりも大きい。
図5は、
図4の相互接続についての時間関数としての正規化書き込み電流のグラフを示す。書き込み電流パルスの開始における書き込み電流オーバーシュートは、公称書き込み電流、すなわちオーバーシュート終了後の書き込み電流の約30%である。このオーバーシュートは、Z
01およびZ
02のインピーダンス不整合による伝送線の反射の結果である。オーバーシュートの持続時間は、設計により設定され、インピーダンスZ
02を有する相互接続の伝搬遅延時間により決定され、
図4に示すように伝送線全体についての典型的な伝搬遅延時間τ
pd1が200psのオーダであり、τ
pd2が100psのオーダである場合、2τ
pd2である。この持続時間は、インピーダンスZ
02を有する第2のセグメントの長さをより短くし、インピーダンスZ
01を有する第1のセグメントの長さを増加させた場合、より短くなる。連続的な信号遷移が互いに干渉しないように、高データレートでは、より短いオーバーシュートの持続時間が望ましい。
図6は、書き込みドライバと書き込みヘッドとの間の35mm長伝送線についての、(特許文献2)による2セグメント伝送線についてのインピーダンスプロファイルのグラフである。要求されるオーバーシュートを達成するため、第1セグメントは、書き込みドライバのインピーダンスR
WD=Z
WDと整合するインピーダンスZ
01を有し、第2のセグメントは、Z
01よりも小さくZ
Lよりも大きいインピーダンスZ
02を有する。3つ以上のセグメントが存在する場合、
図6のグラフは、一連の下降階段状になり、第2のセグメント以降の各連続セグメントは、直前のセグメントのインピーダンスよりも小さいインピーダンスを有する。
【0019】
しかし、書き込みドライバおよび書き込みヘッドの伝送線への接続部における寄生容量(これらの接続におけるパッドおよびバイアに起因する)、および短い可撓ケーブル60(
図2A)についてのコスト制約のため、(特許文献2)に記載の多セグメント伝送線のアプローチは、最適な解決策とはならない。本発明は、不均一なインピーダンスレベルを有する伝送線のサブセグメントまたはセクションの使用により固有の書き込み電流のブーストを発生させる多セグメント伝送線であって、書き込みドライバに接続するセクションは、Z
WDよりも実質的に高いインピーダンスを有する、伝送線を提供する。不均一なインピーダンス値を有する多数のセクションを有する伝送線セグメントにより、書き込みドライバの出力における寄生容量(相互接続の短い可撓ケーブル部の高インピーダンスセクション)と、書き込みヘッド付近および書き込みヘッドにおける寄生容量とが平衡化される。
【0020】
図7は、本発明による書き込みドライバ回路と書き込みヘッドとの間の相互接続を示す概略図である。相互接続は、伝送線100を介するものであり、かかる伝送線100は、
図2Aの先行技術図に示す可撓ケーブルの伝送線(可撓ケーブル60の伝送線37等)およびILSの伝送線(ILS30の伝送線31等)を含む。書き込みドライバは、電圧V
driveで動作し、各々が抵抗R
WD/2を有する2つの抵抗器により表される抵抗R
WDを有し、寄生容量C
parを有する。書き込みドライバは、伝送線100に出力電圧V
outを供給し、書き込みヘッドに書き込み電流I
wを供給する。書き込みドライバと書き込みヘッドとの間の伝送線100は、延長参照面(ERP)において接続された2つのセグメント110および120を有する。セグメント110は、少なくとの2つのセクション、すなわち
図7に示す3つのセクション110−1、110−2、および110−3で構成されている。第1のセクション110−1は、意図的にZ
WDと整合させずにZ
WDよりも実質的に大きくしたインピーダンスZ
01−1を有する(すなわち、Z
01−1はZ
WDよりも50パーセント超大きい)。加えて、セグメント110における連続するセクションの各々は、Z
01−1よりも小さくても大きくてもよい独自のインピーダンス値を有する。セグメント110を構成するセクションの不均一なインピーダンス値は、Z
WDと実質的に整合する実効インピーダンスZ
01−effを有する(すなわち、Z
01−effはZ
WDと実質的に等しい(Z
WDの10パーセント以内である))。セグメント120は、単一のセグメントであってもよく、またはオプションで、多数のセクションで構成してもよい。
図7に示すセグメント120は、3つのセクション120−1、120−2、および120−3を有する。セグメント120におけるセクションの各々は、独自のインピーダンス値を有する。セグメント120を構成するセクションの不均一なインピーダンス値は、Z
01−effよりも実質的に小さい実効インピーダンスZ
02−effを有する(すなわち、Z
02−effはZ
01−effの約90パーセントよりも小さい)。
【0021】
Z
01−effインピーダンスのセグメントは、R
WDと同等、すなわちR
WDの10パーセント以内に設定しなければならない。上述のように、書き込みドライバのチップキャリアおよび短い可撓ケーブルからの固有の寄生容量により、Z
WDの高周波インピーダンス値が低下する。各インピーダンスセクションを通過するため、伝送線の出力インピーダンスは、R
WDと同等に設定しなければならない。伝送線の出力インピーダンスについての基本式を数式1に示す。数式1について、Zout
Nは相互接続の最後の値Nにおける出力インピーダンスであり、相互接続のその直前の出力インピーダンス値はZout
N−1であり、Z
0N値は第Nのセクションの特性インピーダンスである。
【数1】
式中、β=位相定数、L=インピーダンスZ
0Nを有するセクションの長さである。数式1における式を用いて、Z
01−effを有する第1のセグメントを構成するN個のセクションから鎖方程式を組み立てる。MATLABなどのソフトウェアプログラムを用いて計算可能である。
【0022】
インピーダンスプロファイルを決定する手段は、書き込みドライバそのものから開始可能である。数式1から、Zout
N−1がZ
0Nと等しければ、方程式はZout
N=Z
0Nと約分され、整合状態であることが分かる。Zout
N−1がZ
0Nよりも小さい状態では、数式1は次の数式2に約分される。
【数2】
式中、β=位相定数、L=Z
0Nの長さ、τ
pd=Z
01の伝搬遅延、およびω=ラジアンを単位とする周波数である。
【0023】
上述のように、書き込みドライバの出力における相互接続インピーダンスを増加させることで、実効出力インピーダンスZoutをソースインピーダンスZ
WDと同等にする。不均一なインピーダンスレベルを生じさせるこの第1のステップは、書き込みドライバの寄生容量C
parをオフセットさせるステップである。Z
01−effを有する第1のセグメントの第1のセクションである可撓ケーブル部のインピーダンスは、C
parでオフセット可能であり、数式1は、低出力インピーダンスZ
WDでは第1の部分をインダクタと見なす(L=Z
01−eff−1τ
pd)ことが可能であることを示している。次に、数式3に示すように、インダクタンスおよび静電容量についての既知の伝送線式を用いる。
【数3】
【0024】
例えば、1pFと等しいC
parおよび40psの伝搬遅延(τ
pd)について、Z
01−eff−1のインピーダンスレベルは、数式3および数式2を用いて、60ΩのR
WDで90Ωである必要がある。インピーダンスレベルを計算するこの手段は、ソースから格子を形成するステップである。インピーダンスレベルを決定する代替の手段は、出力から格子を形成するステップである。この方法を用いて、延長参照平面(ERP)における出力を、書き込みドライバの出力インピーダンスR
WDの実部と同等になるように設定する。伝送線についての反射方程式から、およびZout
Nの式を用いて、次式が決定される:
【数4】
【0025】
Γをゼロと等しくすることにより、ERPにおける出力インピーダンスは、R
WDと同等になる。加えて、ソースおよび出力からの格子形成の組み合わせを用いることで解を決定可能である。
図8は、第1のセグメントにおいて5つの不均一な伝送線セクションを有する35mm長伝送線についての、本発明による多セグメント伝送線についてのインピーダンスプロファイルのグラフである。
図8に示す例では、書き込みドライバの出力における寄生容量のためインピーダンスが増加し(Z
01−1およびZ
01−2)、次いでZ
01−1およびZ
01−2からの反射を補償するため、R
WDに対して比較的低いインピーダンスのセクションZ
01−4が加えられている。Z
01−5のセクションは、R
WDにより近いが、パッド54および56のレイアウトに固有であり、低インピーダンスのセクションZ
01−3が存在し、Z
01−5のセクションについて少し高いインピーダンス値を導く。これらの不均一なインピーダンスレベルの組み合わせにより、ERPにおける出力を、書き込みドライバの出力インピーダンスR
WD(Γ=0)と同等になるように設定する。加えて、数式1および寄生容量は、周波数範囲に依存するため、インピーダンスのセクションについての最適なインピーダンス値を決定するように周波数範囲を設定可能である。
【0026】
図8は、5つのセクションの各々についての長さおよびインピーダンス値を示す。書き込みドライバに接続された第1のセクションについてのインピーダンスZ
01−1は、約70Ωであり、Z
WDについての55Ωのインピーダンス値よりも実質的に大きい。この第1のセクションは、書き込みドライバをILS上のパッドに接続する短い可撓ケーブルの伝送線全体であるのが好ましい。残りの4つのセクションZ
01−2〜Z
01−5の各々は、独自のインピーダンス値を有するが、実効インピーダンスZ
01−effは、R
WDと実質的に同等であるが、不均一なインピーダンス値で構成され、そのいくつかの値はR
WDよりも実質的に大きい。また、
図8は、セクションの各々が独自の長さを有することを示しているが、それらが実質的に同じ長さを有する場合、すなわち、すべての長さが互いの10パーセント以内である場合も、本発明の範囲内である。
【0027】
また、
図8は、第2のセグメント120を構成する2つのセクションZ
02−1およびZ
02−2の各々についての長さおよびインピーダンス値を示す。実効インピーダンスZ
02−effは、Z
01−effよりも小さくZ
Lよりも大きい40Ωである。実効インピーダンスZ
02−effも、数式1から計算可能で、この方程式は、入力インピーダンスについての式であり、数式5に変形され、第Nのセグメントが書き込みヘッドのインピーダンスを導く。
【数5】
【0028】
本発明の伝送線を設計する際、インピーダンスの個々の値(第1の伝送線セグメントのセクションについてのZ
01−1〜Z
01ーN等)は、各個々のセクションについてトレースの幅を適正に設計することにより得ることができる。この様子を
図9に示し、かかる図は、トレース幅d1を有するセクション110−1とトレース幅d2を有するセクション110−2との間の典型的なインターフェイスを示す。トレース幅は、
図9に示すように窓33上で変化させてもよいし、ILSのステンレス鋼領域上で変化させてもよい。固定長セグメントのインピーダンスにおける変化は、そのトレース幅における変化の関数である。従って、110−2がd1よりも大きいd2を有する場合、Z
01−2はZ
01−1よりも小さい(Z
01−1およびZ
01−2はそれぞれ110−1および110−2を含む伝送線セクションの特性インピーダンス)。トレース幅を適正に設計することに加え、またはその代わりに、個々のインピーダンス値は、トレース厚を適正に設計することにより得てもよい。また、書き込みトレースの交互配置を用いることにより、異なる伝送線セクションについて、交互配置を用いずに達成されるよりもはるかに広いインピーダンス範囲の実装が可能になる。
【0029】
図10は、2つのセグメント110および120間の延長参照面(ERP)における接続を示す概略図である。書き込みトレース131、132は、窓33上でセグメント110における広い幅からセグメント120における狭い幅に少しテーパ化されている様子が図示されている。
【0030】
本発明を好ましい実施形態を参照して特に図示し、説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく形態および詳細における様々な変更を行ってもよいことが当業者には理解されよう。そのため、開示された発明は、例示的なものにすぎず、添付の請求項において特定される範囲にのみ限定されるものと考えられるべきである。